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議事概要(平成29年度愛知県陶磁美術館運営会議)

ページID:0361491 掲載日:2017年9月6日更新 印刷ページ表示

議事概要(愛知県陶磁美術館運営会議)

 〇日時:平成29年8月4日(金曜日)午後2時~午後3時50分

 

 〇会場:愛知県陶磁美術館本館3階会議室

 

  〇出席者

 委  員:伊藤委員、加藤委員、川上委員、柴垣委員、嶋村委員、鈴木委員、丹羽委員、

       前田委員、宮本委員

 事務局:藤林館長、神崎副館長、鹿島総務課長、佐藤学芸課長

 

  〇議題

   (1) 平成28年度事業報告について

   (2) 平成29年度陶磁美術館の運営について

 

  〇会議の概要

委員

「高・大生の観覧者数」について、平成27年度は落ち込んでいるが、平成28年度には増えているのは何が原因なのか。

事務局

学生証を提示すれば無料で観覧できるパートナーシップの提携校が平成28年度は1大学増えたためではないかと考える。

委員

「朝日遺跡」展の使用料について、予算と決算がおよそ半々の割合となっているが、実際には計画観覧者数6000人に対し実績5084人と健闘していた。この差は何か。

事務局

御指摘の観覧者数は、無料観覧者を含む合計値で、観覧者数のうち( )内の数値が有料観覧者数であり、「朝日遺跡」展の場合は計画が4150人、実績が2351人となり、概ね半数程度となっている。

委員

各種教育普及活動を行い、また他機関とも良い関係を築いているにも関わらず、来館者数に結びつかない理由を考える必要がある。ホームページやSNS等で情報を発信し、「館を知ってもらう」ことが大事だと思う。たとえばホームページ内の「学芸員のページ」に、それぞれの研究成果等を掲載しているが、教育普及に関する成果や子供たちにも分かりやすいトピックの記事なども掲載するとよいのではないだろうか。また情報発信に継続性を持たせることも大事である。

事務局

平成28年度は、展覧会・陶芸館とも利用者数が減少し、合計の利用者数が大幅な減少となった。教育普及活動等も盛んに行っているがなかなか数字に結びついていないため、今後は企画展の組み立て方の検討や館のPRも一層必要と考えている。また、近年、学芸課ではベテラン、中堅学芸員の中途退職が相次ぎ、戦力的に厳しい状況となっている。もうしばらく時間がかかると思うが努力していきたい。

委員

企画展観覧者の属性別のデータはあるが、同様な陶芸館のデータはあるのか。

事務局

残念ながらデータがない。

委員

かつて、瀬戸のこどもたちに午前・午後100人ずつ、陶芸館と南館・西館で1日中楽しんでもらった実績がある。学芸員のトークなどもわかりやすく、館の印象はとてもよかった。瀬戸市民の利用者がわずか13%ということだが、利用者数をもっと増やすことは可能だと考える。展覧会と陶芸館を分けずに、総合的に来館者が増えるようなことをやるべきではないか。

委員

同感である。この館はリピーター来館者数も多く、また高・大生の中でもパートナーシップ以外の学生数も増えている。

事務局

 データを今後よく分析していきたい。

 委員

 来館者のターゲットを絞っているのか。

 事務局

絞っているわけではないが、昨年は幼稚園に向けて陶芸館をPRするチラシを作成・配付した。

委員

何か年かの計画を立ててターゲットを絞っていくとよいのでは。イベントはさまざまな場所で行われてきていて、どこでも参加者の取り合いとなってしまっている。

委員

「六古窯」のひとつである瀬戸市・常滑市が、中世から現代まで稼働している重要な窯業地として日本遺産に認定された。このほか、滋賀県甲賀市、福井県越前市、兵庫県篠山市、岡山県備前市が「六古窯」として古くから知られている窯場である。これらの地域の中で、この瀬戸に愛知県陶磁美術館がある、ということは大きなアドバンテージである。たとえば六古窯の学術サミットを当館で開催し、全国から陶磁ファンを呼ぶことも可能ではないか。また、越前市も参加している国交省の「昇龍道」や、同じ愛知県の高浜市なども巻き込んでイベントを行うというのはどうか。来年は難しくとも、2020年までにそういう試みはできないだろうか。

委員

この館では2011年に「古陶の譜 中世のやきもの」展という六古窯を紹介する巡回展を、中心となって行った実績がある。この館の企画が、館の立地などと噛み合っていないということも入館者数の問題と関係があるのではないか。また、秋には大きなお茶会を開催して来館者数に貢献してくれていた「友の会」がなくなってしまったことも大きなマイナス要因と考える。陶芸館の利用者数については、年間4万人前後でキャパシティ的にはフルになってしまうため、企画展などで人を呼ぶべきだろう。来年、40周年事業の一環として館の建設に関わった方々を顕彰する展示を行うというアイデアは良い。その中に、当館や東京国立博物館の東洋館の設計に関わっている谷口吉郎氏も入れていけば、デザイン関係の人々の関心も惹くことができるのではないか。館内施設に関しては、古窯館の解説パネルや復元古窯、移築した瓦窯についても早急に修復すべきである。

委員

復元古窯のうち、大窯に関して、現在の構造は発掘された窯の平面図だけを元に天井高は推定で築かれていることが問題。この天井の高さでは実際には製品全体をうまく焼成することはできない。おそらく本来の大窯の天井はもっと低かったと考えている。この館にこうした「復元の」大窯があると、若手の陶芸作家の中にはこれを手本として、築いてしまう人もいる。実際の大窯の構造を今一度考えて、修復すべきである。1000万円位の予算で修復することができるように思う。「朝日遺跡」展は非常に面白く鑑賞したが、当時、窯は存在したのだろうか。

事務局

当時は製品に藁や泥を覆い被せて焼成したと考えられている。すなわち恒常的な窯ではなく、簡易な仮設窯のようなものであったと思われる。

委員

私は「朝日遺跡」展で見た巨大な甕などから、窯が存在したのではないかと考えている。また同遺跡から出土している白い胎に丹塗りを施した製品についても、窯なしでは焼成できない製品とみている。一方で、展覧会を見る陶芸作家が少ないことは残念なことであるので、例えば展覧会の中で陶芸家と学芸員・研究者が意見交換をし合うような場が持てるとよいのではないだろうか。

委員

中国では朝日遺跡よりもはるかに古い時代にすでに窯で製品を焼成していた。

委員

 埴輪を焼成した巨大な窯があると聞いている。

 事務局

古墳時代の埴輪を焼成した窯が発掘されているのは事実だが、朝日遺跡の弥生時代にさかのぼる窯跡はまだ発見されていない。

委員

「六古窯」として名前が挙がっている窯業地以外にも日本には窯業地がたくさんある。「六古窯」に縛られず、広く日本全国の窯業地でつながっていくことが大事ではないだろうか。たとえば美濃も「六古窯」として名前は挙げられないが、古代・中世から重要な窯業地であった。

委員

産地としての常滑では危機的な状況の中、最近20代~40代の若手陶芸作家に光をあてることを始めた。陶磁美術館の「愛知ノート」展に出品した若手作家は大変良い経験をさせてもらった。年1回、愛知県内の若手作家を紹介する試みをやってみてはどうか。

委員

多治見市長も同意見。瀬戸と美濃はもっと連携すべきである。

委員

 「古瀬戸」という呼び方の中には「瀬戸」と「美濃」、「三河」の地域が含まれていることは、窯跡の分布をみれば実感できる。

委員

やはり館のPRに工夫が必要。陶芸には特別な、難しそうなイメージがある。40周年の事業名にも、サブタイトルに親しみやすいものをつけるというのはどうか。一般の人にも近づきやすく感じてもらえるようにするべきである。

委員

この愛知県陶磁美術館の多様な所蔵品で世界のやきものを知ることができる。これを核にして、広くやきものの文化をPRしていくべきである。

委員

 こどもの頃にこの館に来て体験をしてもらうというのも効果的だろう。

 (事前にいただいた質疑及びそれに対する事務局の応答)

   座長

 本日御欠席の委員から御意見をいただいているので、披露させていただく。

開館40周年事業は、開館時の目的確認やこれから目指す方向を明確にする機会であり、大切な時期である。

そこで、猿投展を開催することは意義深い。当館の設立の原点ともなる大切な展示内容でもあり、しっかりとした企画を期待している。

当館が、谷口良郎氏の設計による名建築であることのアピールとともに、建築家らによる建築解説等による建築の魅力の再認識活動を行ってはどうか。

40周年事業全般では、各事業を「女性」「こども」「体験」の目線でブラッシュアップしていただくことを要望する。

事務局

「猿投窯」展については、館設立の原点に関わる大変重要な展示であると認識している。展示企画にあたっては、これまでの諸先輩方の研究成果も踏まえつつ、今日的な視野に立って「猿投窯」をあらためて全国に発信する機会とし、同時に、より多くの県民の皆様に「猿投窯」の重要性や製品の美しさに触れていただく機会にしたいと考えている。

建築のファンの方々にも当館に関心をもっていただきたいという思いは我々も同様であり、タイルがふんだんに使われたこの谷口吉郎氏設計の当館に目を向けていただけるよう、どのような工夫ができるか検討していきたい。

40周年事業の中でどのような教育普及事業を行うかは現在検討中であるが、例えば、これまでにない茶会や陶芸体験も視野に入れて計画しており、より多くの方々に楽しんで参加していただける事業を行うよう努力していく。

委員

 自分も当事者としてがんばってPRしていきたいと思う。

 委員

親しみやすいネーミングを考えていく必要はあるがそれだけで必ずしもよいというわけでもない。同じ展示内容でも易しく説明してあるとか、あるいは来館者個々で学んでいける「セルフ・ラーニング」を継続して行っていけるような取り組みが必要だと思う。

座長

 本日は長時間にわたり活発な御審議をありがとうございました。

 

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