地震防災対策を計画的・効率的に実施するため、アクションプランの目標として、(1)防災協働社会の形成、(2)防災型まちづくりの推進、(3)災害対策活動への備えの三つを掲げることとします。

ア 防災協働社会の形成
 災害から住民の生命、財産及び身体を守ることは、行政の最も重要な役割の一つですが、大規模な災害が発生した場合、どうしても住民や地域社会の災害対策活動が不可欠となります。
 これからの防災対策においては、住民が自らを災害から守る「自助」と、地域社会がお互いを守る「共助」と、国や地方公共団体等行政の施策としての「公助」が適切な役割分担をしていくことが求められています。すなわち、行政のみならず、住民、企業、地域のコミュニティや自主防災組織、NPOなど、様々な主体が防災対策に取り組むという防災協働社会の形成が必要となっています。
 特に、台風、集中豪雨などの災害と異なり、地震は突発的に発生するものであり、それだけに初期消火、救出救助などの発生直後の自助、共助の果たす役割が極めて大切です。大規模な地震によって、同時多発的に被害が発生した状況では、行政の対応には自ずと限界があります。
 また、避難所についても、避難が長期化したような場合、できる限り地域の自主防災組織を中心とした被災者の自主運営に切り替え、ボランティアがきめ細かなサポートをする体制が望ましいのではないかと指摘されています。
 そこで、自助、共助、公助の役割分担による防災協働社会を形成することをアクションプランの目標として掲げることとします。

イ 防災型まちづくりの推進
 近年、阪神淡路大震災や東海豪雨などでは、災害に対する都市の脆弱性が明らかとなっています。
 特に、阪神淡路大震災においては、住宅・建築物、道路、鉄道、ライフライン施設等の構造物の多くが損壊し、我が国の安全神話が崩壊したとも言われております。
 なかでも、犠牲者の8割以上が住宅等の倒壊によるものであったことから、現在地震防災対策を推進する上で、住宅等の耐震性を向上させることが最重要課題の一つとなっています。
 また、高速道路や鉄道の高架の倒壊や密集市街地における火災延焼などの教訓から、社会基盤施設を耐震化するとともに、脆弱な都市構造を地震に強い都市構造へと転換していくことも急務となっています。
 大規模地震が発生した場合、避難、救助、消防活動等を円滑に行うとともに、広域的な相互応援体制を有効に機能させるためには、社会基盤施設、都市構造の耐震化が欠かせません。
 このような耐震性を向上させる必要性は、県有施設もその例外ではありません。
 そこで、地震に強い防災型まちづくりを推進することをアクションプランの目標として掲げることとします。

ウ 災害対策活動への備え
 災害が発生した場合、国、地方公共団体その他防災関係機関は、災害応急対策を実施します。その後、活動の内容は、次第に復旧・復興対策へと重点を移していくこととなります。
 災害発生後は、様々な対策を実施することにより、被災地の住民の生命、身体及び財産をできる限り守ることが重要となります。
 特に、突然襲ってくる地震の発生直後には、二次災害の防止に留意しつつ、限られた時間と情報の中で迅速かつ的確に応急対策活動を実施する必要があります。そのためには、消火、医療、応急給水など、各分野ごとに可能な限りの事前の準備を関係機関の連携により、実践的に行っておくことが大切です。
 また、被災者の安定した生活の回復のためには、住宅確保や健康管理など、きめ細かな対応が求められることになります。そのためには、あらかじめ震災時の対応や役割分担を検討し、実践的な対応パターンを具体的に定めておくことが大切です。
 このように、地震発生直後に様々な災害対策活動を展開するには、事前の備えを確実に行っておくことが不可欠です。
 さらに、復旧・復興対策あるいは警戒宣言発令に伴う諸対策への備えも考慮しておかなければなりません。
 そこで、地震による被害発生後における災害対策活動に備えることをアクションプランの目標として掲げることとします。