海溝型地震
 地球はプレートと呼ばれる厚さ数10kmの岩盤10数枚で覆われており、プレートは1年で数cm移動しているため、プレートの境目では歪みが生じ、地震の原因となっています。日本近海には、陸のプレートの下に海のプレートが沈みこんでいる所が多くあるため、これらの歪みの開放により地震が数多く発生しています。

東海地震
 近い将来、東海地方に大きな大きな被害をもたらすであろうといわれている駿河トラフで発生する地震であり、安政東海地震から約150年ほど発生していないことから、地震学者が昭和51年に「駿河湾でマグニチュード8前後の大地震が明日おきてもおかしくない。」と唱えてから30年近くが経過しています。今では、東南海地震等と連動して発生するという説も多く聞かれます。
 東海地震が発生した場合に著しい被害が生じるおそれのある地域は、大規模地震対策特別措置法に基づいて、地震防災対策強化地域(以下単に「強化地域」といいます。)に指定されています。唯一予知が可能な地震とされており、強化されている観測・測量体制から異常データが現れ、判定会において「東海地震の前兆」と判断された場合、内閣総理大臣が警戒宣言を発令します。警戒宣言が発令されると、強化地域では住民避難のほか、鉄道は止まり、道路は通行規制され、百貨店、銀行窓口、病院外来を閉鎖する等の警戒体制がとられることになります。
 平成13年6月、国の中央防災会議は東海地震の想定震源域を22年ぶりに見直し、従ハ来より50kmほど愛知県寄りに想定されました。これを受けて、同年12月には東海地震で想定される震度分布が発表され、愛知県内でも震度6弱以上となる地点が数多く示されました。これらをもとに、平成14年4月24日、強化地域の指定が見直され、愛知県内では下図のとおり、新城市1市から58市町村に強化地域が広がりました。



震度分布 地震防災対策強化地域
東海地震で想定される震度分布 地震防災対策強化地域
従来からの強化地域
新しく指定された強化地域

東南海地震
 浜名湖から紀伊半島の沖合いの南海トラフで発生する地震であり、歴史的に見て100〜150年の間隔で発生しています。
 平成13年9月、国の地震調査研究推進本部は、長期的な確率評価等を公表しました。それによれば、今後30年以内に東南海地震が発生する確率が50%程度、地震の規模がマグニチュード8.1前後(南海地震と同時発生の場合マグニチュード8.5前後)と推定しています。また、その後発表した「想定東南海地震における県庁所在地等の震度試算結果」では、知多市で震度6弱相当以上、名古屋市では震度5弱相当から5強相当だが場合によつては震度6弱相当以上になるとしています。

南海地震
 紀伊半島から四国の沖合いの南海トラフで発生する地震であり、東海地震や東南海地震と同じく100〜150年の間隔で発生しています。
 国の地震調査研究推進本部の公表では、今後30年以内に南海地震が発生する確率が40%程度、地震の規模がマグニチュード8.4前後(東南海地震と同時発生の場合マグニチュード8.5前後)と推定しています。また、その後発表した「想定南海地震における県庁所在地等の震度試算結果」では、知多市で震度5弱〜5強相当、名古屋市では震度4弱相当以下になるとしています。

地震発生間隔図
地震発生間隔図

駿河トラフ、南海トラフでの地震発生間隔図

内陸型地震
 海溝型地震と違い、陸域の地下20km程度までの比較的浅いところで発生する地震であり、いわゆる活断層が引き起こす地震がこれに当たります。活断層とは、約200万年前から現在までに繰り返し動いた断層とされています。
 国の地震調査推進本部地震調査委員会は、現在、全国で98の主要な活断層帯を調査しています。その中では、愛知県近傍にある活断層帯4つを取り上げています。ただし、この4つ以外にも、愛知県近傍において判明している活断層もありますので、次ページの活断層地図をご覧ください。
 最も注意していただきたいことは、判明していない活断層もたくさんあると考えられているため、日本全国のどの地点においても活断層による地震が起こる可能性があることを承知していただき、地震に備えていただく必要があるということです。

養老−桑名−四日市断層帯
 この断層帯は、濃尾平野の西端と養老山地の境に沿って伸びる活断層です。
 この断層帯の最新の活動は13〜16世紀の間、また、その前は7〜11世紀の間に起こって、過去約1万年間の平均活動間隔は1400年〜1900年であった可能性があり、1回の活動で6mもの段差ができるマグニチュード8程度の大地震が繰り返し発生したと推定されています。
 これら過去における活動状況から、今後、マグニチュード8程度の大地震の発生が予想されており、今後30年以内の地震発生確率はほぼ0%〜0.6%になると評価されています。また、この0.6%という数字は全国の主要活断層の中で、やや高いグループに属することになります。

伊勢湾断層帯
 この断層帯は、木曽三川沖の伊勢湾北部から知多半島に沿うように南南東に伸びる断層帯主部と三重県河芸町白子沖から愛知県美浜町野間沖の東西に伸びる白子−野間断層に分かれています。
 断層帯主部については、今後30年以内の地震発生確率はほぼ0%〜0.002%と比較的小さい数字が出ていますが、白子−野間断層については、今後30年以内の地震発生確率は0.2%〜0.8%であり、マグニチュード7程度の地震が発生すると評価されています。これは全国の主要活断層の中で、やや高いグループに属することになります。

岐阜−一宮線
岐阜−一宮線について、国は「活断層ではないと判断される」という調査結果を出しています。

猿投−境川断層
猿投−境川断層については、近々国から評価が発表されることとなっています。
 愛知県活断層文献調査研究では、猿投山北断層の最新活動時期は1840年〜3230年前であり、活動間隔は5000年±400年であると推定しています。また、猿投−境川断層の最新活動時期は約11800年前であり、活動間隔は1.4万年〜3.4万年程度と推定されており、安全とは断言できず注意を怠ることはできないとされています。

活断層地図
活断層地図
愛知県周辺の活断層地図(出典:平成9年発行「愛知県活断層アトラス」)
画像をクリックしますと拡大図がご覧になれます。