マイコプラズマ肺炎
1 感染と流行のしかた
「マイコプラズマ・ニューモニア」という病原体の感染によって、人から人にうつります。具体的には,主に患者の咳で飛沫感染します。家族内や職場内で多く感染します。1度かかった人が、再感染することもあり、マイコプラズマ肺炎に対する免疫は終生続くものではありません。わが国では4年毎のオリンピック(夏季)の年に流行が見られ、「オリンピック病」といわれた時期もありましたが、最近ではそのような傾向は無くなりました。潜伏期間は約2~3週間と言われています。
2 主な症状
1) 激しい乾いた咳、2) 発熱、3) 全身倦怠感が3大症状です。
咳は多くの場合、痰を伴わない「コンコン」という乾いた感じの咳で、長期間続きます。その他に、結膜充血、頭痛などを伴うこともあります。
まれに、病気が進むと肺の一部に空気が行かなくなり、その部分の肺の大きさが縮む、「無気肺」の状態になることがあります。
特に、小児や若い成人に多いが、高齢者にもみられます。
乾いた激しい咳が長引く場合は、マイコプラズマ肺炎を疑ってください。
3 予防方法
流行期には、うがいと手洗いを励行してください。
4 合併症
経過中に発熱が続き、嘔吐、頭痛等がみられる場合は髄膜炎になっている可能性が高いので、すぐ医療機関を受診させてあげてください。
溶血性貧血、中耳炎、心筋炎、心嚢炎、ギラン・バレー症候群、スチーブンス・ジョンソン症候群など多くの合併症が報告されています。死亡例もあるので注意が必要です。
5 主な診断方法
(1) 胸部レントゲン所見
胸部レントゲン写真上、異常な影は肺の下の方にあり、扇型に広がってすりガラス様を呈することが多く、影の形は、斑状、線状、帯状、棒状など多彩を呈しています。急性期は、網の目の様な影(間質性陰影)で、炎症が肺胞領域に及ぶと網の目の内側も影になる斑状影が主体となります。
(2) 血清抗体価の測定
血清抗体価が以下の3つの場合に、それぞれ陽性(マイコプラズマに感染している)と診断されます。
- ① ペア血清で4倍以上の上昇
- ② 単一血清で補体結合反応で64倍以上の上昇
- ③ 間接赤血球凝集反応で320倍以上の上昇
1歳までに40%、5歳までに65%のヒトが感染するといわれています。成人までには約97%が感染を受けるといわれています。高齢者にもみられます。
6 治療方法について
テトラサイクリン系、マクロライド系の薬剤が有効。呼吸不全を呈する重症例では、抗菌剤併用のもと、副腎皮質ステロイド剤の投薬が有用なことがあります。