医薬品成分が検出された健康食品について（最近の検出状況）

2004/10/26

最近の健康ブ－ム・健康志向により、国民の健康に対する関心が高まっています。中でも「健康食品」は手軽に摂取できることも手伝って、店頭販売や新聞・雑誌・インタ－ネットによる通信販売により、広く流通し、その消費は年々増加しています。しかし、これら「健康食品」から、その効果を高めるために故意に添加された医薬品成分が検出されたことが度々報告されています。当所においても、平成14年に県内で健康被害のあった「健康食品」を分析したところ、中国製ダイエット用健康食品から医薬品成分の甲状腺末、N-ニトロソ－フェンフルラミンを検出しています（Fig.1）。このような「健康食品」は消費者の健康を害するものであり、薬事法上、違反品として取り扱われています。健康被害を未然に防ぐため、最近の「健康食品」から検出された医薬品成分の検出状況について述べたいと思います。

平成16年1月１日から平成16年10月15日までだけでも全国では33種もの違法「健康食品」が検出されています。その一覧を標榜されている表示内容と検出された医薬品成分と共に表1に示しました。なお、これらの商品は現在、販売が中止されています。

これらの結果から平成16年1月1日から10月15日までの間に33製品の「健康食品」から34件の医薬品成分が検出されました。その内訳はシルデナフィルが16件、タダラフィルが９件、ホンデナフィルが３件、ホモシルデナフィルが２件、ヒドロキシホモシルデナフィルが２件、甲状腺末が１件、シブトラミンが１件でありました。

これらのことから「健康食品」に不正に添加された医薬品成分を効果別で分類すると、滋養強壮効果を期待したもの（シルデナフィル、タダラフィル、ホンデナフィル、ホモシルデナフィル、ヒドロキシホモシルデナフィル）が32件（94％）と最も多く、次いでダイエット効果を期待したもの（甲状腺末、シブトラミン）が２件検出されました。

上記のシルデナフィル（バイアグラ）、タダラフィルは勃起不全・勃起障害の治療に用いる医薬品成分で、副作用として頭痛、ほてりの他、狭心症や高血圧の薬として用いられる硝酸剤及び酸化窒素供与剤（ニトログリセリン等）との併用により降圧作用が増強され、重篤な症状が発生し、時としては死にいたる可能性もあります。また、シルデナフィルに類似した化学構造を有するホモシルデナフィル、ヒドロキシホモシルデナフィル、ホンデナフィル（Fig.2）はシルデナフィルと同様の作用を有すると考えられ、健康被害が発生するおそれが否定できないと思われます。

公表された上記の製品を服用している人は、直ちに服用を中止して下さい。また、製品の服用が原因と疑われる症状を示している場合には、医療機関や最寄りの保健所までご相談下さい。