愛知県衛生研究所

室内の微小粒子状物質(PM2.5)について

2021年8月5日

PM2.5ってなに?

PM2.5とは、大気中に浮遊する大きさ(粒径)2.5 μm以下(1 mmの400分の1以下)の粒子のことで、微小粒子状物質(Particulate matter 2.5)とも呼んでいます。PM2.5はその形状が小さいため、人体の肺胞まで入り込やすく、健康への影響が心配されています。日本では、主に呼吸器系への健康に影響があることが報告されています。さらに、諸外国においては、呼吸器系だけでなく、循環器系についても健康に影響を及ぼすことが報告されています。

2009年9月には、環境基本法第16条第1項に基づき、人の健康の適切な保護を図るために維持されることが望ましい水準として「1年平均値が15 μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35 μg/m3以下であること」という環境基準が定められました。さらに2013年には中国からの越境汚染がメディアに取り上げられたことから、国民の関心を集めています。

一般住宅の室内PM2.5はどのくらい?

本県では、2015年度から2019年度にかけて行った快適居住環境調査において、一般住宅25軒の室内PM2.5濃度を6日間連続測定しました。測定には図1の簡易測定装置(エアロゾルモニター DUSTTRAK 8530 TSI社製)を用いました。その結果、大気中の環境基準である1日平均値を超えた住宅は、初年度に実施した1軒のみであり、6日間のうち1日のみでした。しかし、その1日については当該住宅付近の大気中PM2.5濃度が高濃度であったことが明らかとなっており、大気中の影響を受けて室内濃度が高濃度になったと考えられました。

図1:DUSTTRAK 8530の写真
図1:DUSTTRAK 8530

次に、これら25軒の1時間値の平均値(室内)と測定住宅に最も近い測定局*1の1時間値の平均値(大気中)の比を図2に示し、時間帯による変化を調査しました。その結果、①2、3時、②5時~7時、③9時~12時、④17時~22時に大気中よりも室内でPM2.5濃度が高濃度となる傾向がみられました。①については、蚊取り線香を焚いていた住宅があり、②~④については、ほとんどが調理によって発生したPM2.5でした。

*1:都道府県等が設置する大気汚染常時監視測定局

図2 室内と大気中PM2.5濃度の比のグラフ

室内PM2.5の発生原因は?

一般住宅での調査にて、線香や調理等によってPM2.5が発生している可能性が考えられました。そこで、2016年度に実験室内において、室内PM2.5の発生原因を調査し、その結果を表1に示しました。室内PM2.5の発生原因としてタバコや線香などの燃焼や発煙を伴うもの、スプレー類、発煙を伴う調理及びホコリが舞い散るような清掃が考えられました。また、一部のスプレー類、燃焼や発煙を伴うもの及びはたきによる清掃では、1時間以上高濃度が持続する場合もありました。

表1 室内PM2.5の発生原因調査結果

タバコによってPM2.5に違いはあるの?

先の項目でも述べたように、燃焼や発煙を伴うタバコでは、PM2.5が発生します。令和元年度の国民健康・栄養調査から、習慣的に喫煙をしている人は徐々に減少しているものの、16.7%の人が習慣的に喫煙を行っていることが明らかとなっています。このうち、従来からの紙巻タバコではなく、加熱式タバコ*2の使用者の比率は男性で27.2%、女性で25.2%となっており、紙巻タバコに変わり、加熱式タバコを使用する人が増えています。

当所では、この紙巻タバコと加熱式タバコによるPM2.5濃度の発生の違いを調査し、その結果を図3に示しました。(今回は調査の一部を紹介するため、製品や個人の喫煙方法によりPM2.5濃度に違いがあります。)図3に示した“↓”は喫煙者が煙を吐き出したときを示しています。紙巻タバコでは、燃焼が始まった段階から徐々に濃度があがり、くゆらせた状態でも発煙を伴います。そのため、喫煙者が煙を吐き出していないときも高濃度を維持します。加熱式タバコの場合は、喫煙者が煙を吐き出していないときにはほとんど発煙はしないため、煙を吐き出し終わるとすぐに濃度は低下します。しかし、加熱式タバコについても煙を吐き出したときには、紙巻タバコと同等のPM2.5濃度が上昇しました。

図3 紙巻タバコと加熱式タバコのPM2.5濃度の違いのグラフ

*2:加熱式タバコとは、加工されたタバコの葉を携帯型の加熱装置に差し込み数十秒間加熱した後に数分間発生する煙を吸引する製品のこと。

PM2.5を除去するには?

2016年度に換気扇及び空気清浄機によるPM2.5の除去効果を調査したところ、換気扇及び空気清浄機にはPM2.5の除去効果が認められました。換気扇の方が除去能力は大きいものの、空気清浄機は室内濃度を大気中濃度以下にまで減少させることができるため、大気中濃度が高い場合や締め切った部屋でエアコンディショナー(エアコン)を使用する夏及び冬には有効な手段と考えられました。

【関連資料】
愛知県衛生研究所報(第67号)[平成29年3月]室内PM2.5濃度について