愛知県衛生研究所

水質基準について

2022年4月1日更新

飲み水や炊事だけでなく、洗濯、風呂、トイレなど現代人の生活に欠かすことのできないのが水道です。ここでは、この水道を安全かつ快適に使用できるように設けられている水質基準等について解説します。

水質基準 (水質基準一覧表

現代人にとって最も重要なライフラインの一つである水道は、昭和32年(1957年)に制定された「水道法」という法律に基づいて管理・運営されています。水質基準とは、この水道法に基づいて省令により定められる"水道水が備えるべき要件"、すなわち、"国が定めた水道水の品質規格"のことで、県や市町村などの水道事業者には、これに適合した水の供給が義務付けられています。また、水質基準は最新の知見に合わせて改正していく逐次改正方式が取られています。毎年のように基準項目や基準値の改正がなされており、令和3年(2021年)4月現在、51種類の項目について基準値が設定されています。

水質基準以外の項目

水質基準項目以外にも、利用者の健康や生活に何らかの影響を及ぼすことが懸念される水質項目を「水質管理目標設定項目」及び「要検討項目」とし、目標値が示されています。これらは水質基準ではないため、水道事業者には測定などの義務はありませんが、国では水質基準に準ずる項目として自主的に管理することを求めています。

1)水質管理目標設定項目(水質管理目標設定項目及び目標値一覧表

水道を管理する上で留意すべき項目として、ニッケルや農薬類など27項目が規定され、それぞれに目標値が設定されています。これらは、毒性や水道水からの検出量などの観点から「水質基準とするには及びませんが、測定・監視を続けることが望ましい項目」と位置づけられています。

また、農薬類の目標値は、総農薬方式で"1"とされていますが、これは、個々の農薬についてその測定値(検出値)と個別に定められている目標値(農薬名及び目標値一覧表)との比(検出値/目標値)を求め、それらの総和(検出指針値)が "1" を超えないとするものです。

2)要検討項目(要検討項目及び目標値一覧表

水質基準及び水質管理目標設定項目のいずれにも分類されない項目で、ダイオキシン類や、ビスフェノールAなど46項目が規定されています。しかし、これらのうち8項目の目標値は暫定であり、21項目については、毒性や水道水中の存在量などの情報が不十分という理由で目標値も設定されていません。国は、現在要検討項目とされている物質の毒性や水道水中の存在量、それに健康に対する影響等について議論できるように引き続き情報収集に努めています。

蛇口のイラスト

当研究所の検査について

当所は、水質基準項目の全てと水質管理目標設定項目、要検討項目の大部分を検査できる設備を有しており、県が実施する行政検査や県内の水道事業者等から依頼された試料の分析などを通して、愛知県内水道水の安全確保の一役を担っています。

農薬を例に挙げると、愛知県の主要な水道水源として利用されている木曽川、矢作川、豊川の3河川について、平成16年(2004年)から毎年1回の検査を実施しています。その結果、ほとんどの農薬は検出されていません。

以上のように、皆様のご家庭や職場などに水道事業者(愛知県や市町村)から届けられる水道水は、様々な基準とこれを常に検査監視することにより護られています。しかしながら、安全で快適な水道水はこのような法の整備だけで望めるものではありません。良質な原水の確保が不可欠であり、そのためには水源である河川や地下水を工場廃水や生活排水で汚染しないよう皆で守っていくことが大切です。