愛知県衛生研究所

回虫症(Ascariasis)

回虫(学名:Ascaris lumbricoidesは全世界に分布し、昔から寄生虫の代名詞のようにいわれており、我が国でも特に第二次世界大戦後の生活困窮期には国民の大多数が感染しました。最近では、患者数が激減しましたが、時々海外旅行などで感染するケースがみうけられます。

形態

成虫
ミミズかうどんのような大型の線虫、雌は約30×0.5 cm、雄は約20×0.4 cm。
受精卵
50-70×40-50μmの楕円形、糞便中では黄褐色で卵の最外層に金平糖状の蛋白膜をもちます。産卵後、適温、適湿下で約1週間で幼虫保有卵となります。
不受精卵
受精卵よりやや大きい63-98×40-60μmの不定形。

寄生部位

ヒトの胃や腸で幼虫が孵化し、肝、心、肺と移行し、気管、食道、胃を経て小腸に達し、成虫になります。虫卵燕下後約2カ月で成虫となり、寿命は1-2年と考えられています。

感染方法

幼虫保有卵の経口感染

図 感染経路及び体内移行経路(医動物学 第3版:南山堂より引用)
回虫の感染経路及び体内移行経路

症状

成虫が静かに寄生しているときは、時々腹痛がおこる程度。成虫が塊状になって腸閉塞をおこしたり、胆管や虫垂に頭を突っ込んだような場合には激しい腹痛を伴い急性腹症として手術の適用となることがあります。