居住環境のダニとダニアレルゲン
2021/07/26更新
ダニについて
ダニの種類は世界で約5万種とも言われ、環境中に広く生息しています。昆虫よりもクモに近い仲間だとされ、多くのダニは無害ですが、その一部には動植物に寄生したり、感染症を媒介するダニが含まれています。
ダニは、高温多湿な環境を好むため、梅雨時から夏にかけてよく繁殖します。しかし、居住環境中では住宅構造の高断熱化・高気密化によって、年間を通してダニの繁殖がみられるようになっています。
ダニアレルゲンとは
住居内に生息しているダニ・その死骸・糞は、これらを吸い込むことで気管支喘息やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患を引き起こす主要アレルゲン(アレルギーをひき起こす原因物質)です。そのため、これらを総称して「ダニアレルゲン」と呼ばれています。中でも、ダニの糞は大きさが小さく、乾燥するとさらに小さくなって空中に浮遊するため気管に入りやすく、さらにアレルゲン活性は生きているダニや死骸よりも高いため、ダニアレルゲン中の主要物質で、ダニが繁殖してしまった場合にはダニを駆除するだけでなく、死骸や特に糞を除去することが重要です。
また上記とは別に、開封済みの小麦粉製品に混入したダニが袋の中で繁殖し、これを調理して口にするとアナフィラキシー(蕁麻疹や呼吸困難等)を起こすことがあり、「パンケーキ症候群」と呼ばれています。特に、アレルギー性疾患の既往歴がある人に発症しやすいといわれています。
これらアレルギー疾患の原因となるダニ類のうち、70%以上をチリダニ科のダニが占め、さらにその95%以上をコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの2種(写真)が占めています。
ヒョウヒダニ類が好む環境
- ① 温度20~30℃、湿度60%以上(最適60~80%)でよく繁殖し、湿度の高い6月に特に多くなります。湿度50%以下では繁殖できず、高温に弱いため60℃、1時間で死滅します。
- ② 人やペットから出たフケ、アカ、食品屑等の室内塵を好んで食べます。
小麦粉製品の場合、お好み焼き粉などダニの餌となるタンパク質が豊富に含まれているものは特に注意が必要です。 - ③ 暗い場所を好み、畳、じゅうたん、寝具、衣類等に潜って産卵します。
以上のように、ダニの繁殖条件としては、①高温多湿の環境、②餌、③潜って産卵する場所、の3つが揃うことです。従って、ダニの繁殖を防ぐには、この条件を1つでもなくすか、減らすことがポイントで、次のような対策が効果的です。
ダニ対策について
- 天気のよい乾燥した日には窓をあけて換気し、室内の湿度を下げましょう。除湿器やエアコンの除湿機能を使用することも効果的です。
- 部屋の隅々までこまめに掃除し、ほこりをためないようにしましょう。
- 晴れた日には布団を干し、干した後は軽く叩いて、さらに掃除機をかけましょう。丸洗いできる毛布や布団を使用し、シーツやカバーはこまめに取替えましょう。
- じゅうたんは、ダニが潜り込めない板間(フローリング)で使用し、取りはずして清掃できるよう置き敷きにしましょう。
- ダニが通過できない高密度繊維や、ダニを寄せ付けない薬剤(忌避剤)等により防ダニ加工が施された寝具等も利用しましょう。
- お好み焼き粉やホットケーキミックス等の小麦粉製品を開封した後は1回で使い切りましょう。保存する場合は密閉状態で冷蔵庫に保管し、1カ月以内に使い切りましょう。