愛知県衛生研究所

ペットから感染する寄生虫症

2006年4月26日

2006年3月、アメリカにおいてペットに感染するジアルジアについての報告がありました(ProMED-mail「31-MAR-2006, GIARDIASIS, CANINE - USA (GEORGIA)」より)。

2匹の子犬の写真

ジョージア州アトランタ市において、2006年1月から6つのペットショップ(同一系列の会社)にいた138頭の仔イヌ(151頭のうちの91.4%)がジアルジア症に罹っていました。アメリカ農務省はそれらのペットショップの本部に仔イヌの販売と移動の禁止を言い渡しました。記事によるとジアルジアの保有率はイヌで8〜50%、ネコでは4%とされています。

当所が愛知県動物保護管理センターと協力して行なっている調査では、調査年により大きく異なってはいましたが、県内の4.6〜12.5%(14〜17年度調査分:計200頭)のイヌがジアルジアに感染していたことが判明しています。

また、アメリカの疾病防疫センター(CDC)からのコメント(Healthy Pets Healthy People, Jan 30, 2006 「Organ Transplant Patients」より)にもペットのイヌやネコに下痢などの症状がある時、特に臓器移植後の患者さんなど免疫状態の低下している人では、感染の危険性、重症化の危険性が高いと考えられるため注意が必要と書かれています。

最近、寄生虫の分野でも遺伝子解析が進み、ヒトや動物から検出されたジアルジアの遺伝子型が明らかになってきました。その中にはヒトとイヌに共通する遺伝子型(Assemblage B)のジアルジアが存在し、ヒトとイヌの両方に感染する可能性が示されています。

人がペットからのジアルジア感染を避けるために、イヌと触れ合ったあと特に糞の処理をしたあとなどには、必ず手洗いをする習慣を身に付けましょう。

ジアルジアの生活史や病原性などの詳細については、当所生物学部医動物研究室に掲載したジアルジアのページを参照してください。