愛知県衛生研究所

広東住血線虫

2020年9月16日更新

広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)とはどんな寄生虫?

成虫はドブネズミやクマネズミなどの肺動脈内(心臓から肺にいく血管)に寄生する体長22〜23mmの線虫です。肺動脈内に虫卵を産み、孵化した幼虫(1期幼虫)は外界に出ます。この幼虫が中間宿主(ナメクジ等)に経口的あるいは経皮的に入ると、体内で発育し感染幼虫(3期幼虫)になり、これをネズミが食べると肺動脈内で成虫になります。

ヒトへはどうやって感染するの?

広東住血線虫の3期幼虫を食べることによって感染します。この幼虫は、アフリカマイマイ等の陸産・淡水産の巻貝、ナメクジ、カエル、淡水産のエビ、陸産のカニ等に寄生しています。

3期幼虫は非常に小さく、体長の平均値は0.45 mmです。

ヒトが感染するとどうなるの?

寄生虫がクモ膜下腔などに寄生して、好酸球性髄膜脳炎を起こすことがあります。その場合、約1〜2週間の潜伏期の後、激しい頭痛、発熱、知覚異常等の症状を示します。

一般に予後は良好ですが、まれに失明や知的障害といった後遺症を残すことがあり、2000年には日本で初めての死亡例も発生しています。

予防はどうすればいいの?

日本では1998年〜2003年8月の約5年半に14例の発症例が報告されており、全てが沖縄県で感染したものと推定されています。(国立感染症研究所HP 「広東住血線虫とは」

しかし、愛知県を含めた本州や北海道においても広東住血線虫に感染している野生動物が発見されているため、本県においても基本的な衛生対策を行うことが必要です。

広東住血線虫の発育と感染のしかた
広東住血線虫の発育と感染のしかたの図