愛知県衛生研究所

サルモネラ検出情報

2005/06/20

愛知県衛生研究所ではサルモネラ感染症の感染源の調査や流行型の把握のために、県内の保健所等で患者および保菌者から分離されたサルモネラを収集し、血清型の決定を行なっています。今回、過去10年間の推移について調べてみましたので、ご報告致します。

Salmonella Enteritidisは表1にあるように愛知県では過去10年間にわたり、毎年多く分離される血清型です。また、全国的にも S.Enteritidisによる食中毒はサルモネラ食中毒(1996〜99年:患者数10名以上の事件、総数80〜116件/年)事例のうちの66〜88%を占めています。

皆さんの記憶にも残っていることとは思いますが、1998年末から99年5月にかけて乾燥イカ菓子由来のS.Oranienburg, S.Chesterによる食中毒が全国規模で発生し....いわゆるDiffused Outbreak....、全国での患者総数は1,505名にのぼりました。愛知県においても当該乾燥イカ菓子による患者が発生したこともあり、1998年にはこのS.Oranienburgが県内では最も多く検出された血清型となりましたが、2000年以降、その検出率は急激に減少しました。一方、1999年以降、愛知県ではS.Saintpaul が多く検出されるようになってきていますが、全国的にもみても、1999年以降S.Saintpaulは検出される血清型として上位にランクインされています。

(参考:全国で検出されるサルモネラの血清型、文献:Jpn.J.Infect.Dis.56:77-79., 2003.)

表1.愛知県内で検出されたサルモネラの血清型と株数
愛知県内で検出されたサルモネラの血清型と株数の表
 2001年度以降、試験検査実施保健所数が削減されたため、当所へ搬入される菌株は従来より減少しました。

サルモネラ菌についての薬剤耐性を調べました。2002年と2003年に当所に搬入された菌株115株のち、104株について調査した結果を表2にまとめました。サルモネラ血清型ではInfantisの薬剤耐性率が高く(64.3%)、多剤耐性株も多く検出されました(9株中6株)。近年検出率の高いS.Saintpaulの薬剤耐性率は低く、耐性株は調査した17株中、1株のみ(5.9%)でした。

表2.サルモネラの薬剤耐性と血清型(2002−3年)
サルモネラの薬剤耐性と血清型(2002−2003年)の表
サルモネラ症について掲載されているウェブサイト
日本細菌学会
国立感染症研究所感染症情報センター
CDC(米国疾病管理予防センター)