「インフルエンザH1pdm2009」ウイルス学的検体採取について
2009年5月2日更新(2013年4月1日最終更新)
2009年5月2日国立感染症研究所感染症情報センターのウェブページに、医療機関、保健所、地方衛生研究所向けに「新型インフルエンザ(swine-origin influenza A/H1N1)」ヒト感染例に対する検査診断(医療機関から地方衛生研究所への流れ) Ver.1が掲載されました。
上記をふまえ愛知県の医療機関における検体採取の流れをお示しします。
1) 必要な物品
- ① ウイルス検査用滅菌綿棒(室温保存)
- ② 1~2mLに小分けしたウイルス輸送培地(Virus transfer medium:VTM**)
(冷凍保存:-20℃で1年保存可能) - ③ 個人予防具(PPE)
2) 検体採取の概要*
- ① PPEを装着した上で
- 1)①の滅菌綿棒を用いて鼻腔ぬぐい液又は咽頭ぬぐい液を2本(ウイルスサーベイランスの場合は1本)採取
- ↓
- 1)②のウイルス輸送培地に十分攪拌したのち、棒部分を折り曲げ、綿球部分が輸送培地に浸っている状態ですぐに冷蔵保存
(PCR予定の場合、室温保存や凍結はしない!)
鼻腔吸引液を用いる場合は、
鼻腔を吸引した後に、
1)②のウイルス輸送培地を吸引し、チューブ内の検体を吸引し、すぐに冷蔵保存(PCR予定の場合、室温保存や凍結はしない!) - ② 各検体に、ラベルを貼付(検査依頼票と照合可となるようにする)。
- ③ 採取後すぐに冷蔵保管しておいた検体は、冷蔵で保健所経由で地方衛生研究所に搬送する。
可能であれば、急性期(発症後1週間以内)と回復期(発症後3~4週)の血清を、小分けして冷凍(-20℃以下)保管(短期間なら4℃も可能)しておく。
- ※ウイルス輸送培地(VTM)**
- 市販の細胞培養培地(MEM 培地、199 培地など)またはPBSにBSA(ウシ血清アルブミンの略:最終濃度0.5%)、ペニシリン(最終濃度100-500U/mL)、ストレプトマイシン(同100-500 μg/mL)、ゲンタマイシン(同100μg/mL)およびアンフォテリシンB(同2μg/mL)を添加した液体。医療機関に既にあったウイルス分離用の培地を代用することは可能ですが、細菌培養用の培地、生理食塩水、迅速診断キットに添付されている検体採取用の液は、絶対に用いないよう注意してください。
検体採取についてご不明の点は、最寄りの保健所におたずねください。
*定点医療機関にお願いするウイルスサーベイランス用検体は、1回あたり1本採取、また凍結保存の場合もありますので、ご不明の点は保健所に確認をお願いします。