委員会情報
委員会審査状況
アジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年8月19日(月) 午後0時59分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
久保田浩文、杉浦正和 正副委員長
中野治美、いなもと和仁、島倉 誠、中根義高、杉浦哲也、伊藤貴治、
森井元志、鳴海やすひろ、江原史朗、岡 明彦、神谷まさひろ、
永田敦史 各委員
上村 哲也 参考人(株式会社愛知国際アリーナ 広報渉外室長)
スポーツ局長、アジア・アジアパラ競技大会推進局長、
アジア・アジアパラ競技大会推進監 関係各課長等
<議 題>
国際スポーツ大会における機運醸成について
<会議の概要>
1 開 会
2 委員長あいさつ
3 議題について参考人からの意見聴取
4 質 疑
5 閉 会
《参考人の意見陳述》
【参考人】
改めまして、上村哲也と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
こういったところで、自分の経験をお話しできるというのは非常に光栄なことですので、どうかよろしくお願いします。
では、国際スポーツ大会における機運醸成と題しまして、私がラグビーワールドカップ2019組織委員会と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で管理職を務めていた経験から、お話をさせていただければと思います。
プロフィールにもありますが、ドイツで生まれ、その後、オーストラリアで過ごし、ここが結構な片田舎で、スポーツぐらいしか楽しみがなかったため、スポーツとまちづくり、どう人を集めるかを仕事にしたいと思い、その後、最初に、2000年シドニーオリンピック・パラリンピック組織委員会側のボランティアスタッフという形で現地に三か月派遣され、ここがメガスポーツイベントと触れ合う最初になったところです。かれこれ24年ほど、国際スポーツに携わっています。
その後、大学卒業後、日本テレビグループ、こちらでFIFAと特にサッカーをやりました。当時豊田スタジアムにもサッカーのFIFAトヨタカップで何度も足を運ばせてもらい、そこからIFとの協議や、どうブランディングしていくか、放送の関係、そういった経験を積み、その後、航空会社や鉄道会社などでマーケティングに従事しながら、2015年からラグビーワールドカップ2019組織委員会、続いて2019年、大会が終わってから東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でマネジャー職を務めました。
2021年より愛知県新体育館「IGアリーナ」のプロジェクトにNTTドコモとして参画させてもらって、出向で、名古屋に住んで、業務に当たらせてもらっています。アジア・アジアパラ競技大会があるので、私もお力になれればなと考えています。
業務でいろいろなことを経験しました。特にメガスポーツイベントでは20ほどの様々な仕事、開会式関係などからやりましたが、幾つか行政関係をやった中で、例えば当時安倍総理に東大阪市花園ラグビー場に視察に来てもらい、機運醸成支援を見てもらうなどをやらしてもらいました。
いろいろな、マーケティング・広報を中心にしながらも、機運醸成で行政の方や、政府の方など、そういった方とつながりながら、認知を上げていくというのも重要な仕事です。
機運醸成の話に行く前に、収支構造がどうなっているのかをメジャーなイベントから少しひも解いていきたいと思います。
ラグビーワールドカップは、トーナメントフィーを組織委員会がIFのワールドラグビーに対して支払うという構造になっています。
そのため、IFからするとお金がちゃんと支払われるので、持続可能な大会になりますが、組織委員会としては、チケット収入がメインになってきます。
この後、続いてくるのは2002年です。FIFAワールドカップ、この後のオリンピック・パラリンピックも似ているのですが、逆にIF、FIFAのほうから分配金がある形や、ローカル・スポンサー・フィーでスポンサーが入ると、お金が入り、組織委員会の運営的には多少楽になるのですが、チケット収入に依存するのは変わりないので、ここをどう積み上げていくかが組織委員会の成功の秘けつになってきます。
最後、オリンピックです。こちらもIOCから組織委員会と開催都市が三つどもえになってやっていく形になります。IOCと、USOCが発言力を持っており、放送のお金ですとか、ワールドワイドパートナーのお金は、配分金として組織委員会に入るようになってきまして、チケット収入、ローカルスポンサー、あとライセンシンググッズなどが組織委員会の収入源になっています。
この三つの大会、ひも解いてきて分かるように、放送とかは全部IF、IOCに入るようになっていますし、海外チケットもそちらに入ってくるようになっていますが、チケット収入が国内では一番どうにかしていかなくてはいけないところで、安定的な組織委員会の運営を目指し、大会の盛り上がりを目指すには一番重要となります。
これらの前提の下で、メガスポーツイベントの目的活動は、一義的にはチケット販売にフォーカスして行うべきと考えています。このチケット販売にフォーカスしながら、それを盛り上げていくための要因ですとか、それを逆に下げてしまう要因、また大会後にどういうレガシーを残せるのかは、次の段階で計画していくところで、まずどうやったらチケットが売れるのかにフォーカスしていくと、やれることが絞れる形になってきます。
また、チケット活動につながらない活動は極力控えていくところですが、今回、大会まであと2年で、二年前にお金を使う機会はなかなか多く、いかに二年前までお金を使わないかが重要な一つのファクターだと思っています。
逆に言うと、これからはしっかりと投資して、それをチケット販売につなげ、大会後のレガシーにつなげていくべきタイミングです。ラグビーワールドカップ2019は逆に、十何年前から招致が決まってしまっていたので、どんどんと使って機運醸成しようという勢力もいたのですが、そうすると、幾ら予算があっても足りないので、この2年までいかに予算をためながら活動するかが大切なスケジュール感となっています。
メガスポーツイベントの機運醸成で大切なことを三つ挙げています。議会の皆様や行政の方々の支援が一つ目です。二つ目がファンの組織化となります。三つ目がコマーシャルパートナー、スポンサーや放送局やメディアや、ライセンスグッズとかのパートナーとの関係構築になります。
一つ一つひも解いていくと、まず議会の方々や行政の皆様の支援で、大会の公式感をいかに醸成していくかが大切だと思っています。なかなか民間の普通のスポーツ大会だと、ポスター一つ貼るにしても、場所を買わなくてはいけないのですが、行政の方々が一緒になっていくと、公共的なところに貼れたりとか、そういったことを長くやれたりもするので、一般の大会ではできないところにもしていけます。
大会の格は、言葉で伝わらず、実際にラグビーワールドカップは184万枚のチケットが売れて、単独スポーツでは最高となっていますが、この前の東京2020オリンピック・パラリンピックでは、合わせて1,000万枚のチケットの販売が予定されていましたが、残念ながら無観客となっています。
日本のチケットが最も売れたのは、1964年のオリンピックです。200万枚近いチケットが売れる大会は、日本でもすごい大会で、その価値をどう伝えるかが重要だと思っています。それには議会の皆様、行政の方々の御支援なくしては実現できないと思いますので、そういうことを言葉で言うよりは雰囲気で醸し出す、共通認識をつくっていくことが大切だと思っています。
続いて、二つ目のファンの組織化ですが、チケット販売の最大化をするために必要だと思っています。チケットの枚数が100万枚、200万枚となると、そこからどのぐらいのデータをためておけばいいのかがおのずと分かってくるところであり、これをカスタマー・リレーションシップ・マネジメントと言いまして、ラグビーワールドカップの例でいくと、メールマガジンのメールアドレスをいかにためていくか、それをチケットの販売のIDにつなげていくかをファンの組織化としています。
ラグビーですと競技人口が大体20万人ぐらいおり、ラグビーをやっていたOBが100万人ぐらい、海外で常に来られる方が20万人ぐらい、そうすると1人何枚チケットを買ってくれれば、200万枚近いチケットとなるか、そのためにはどうやってその人たちを組織化していくかを計画して実行していったのがラグビーワールドカップの事例になります。
三つ目です。コマーシャルパートナー、これはスポンサーの少し丁寧な言い方ですが、あとは放送局、メディアとで、彼らのサポートを借りると、認知が上がります。東京2020オリンピック・パラリンピックも非常に人気があったため、認知が高まったと思うのですが、これもひとえに、最初の行政の支援の中で、シティドレッシングというバナーを街中に貼って、このスポンサーが早くからCMを流して、オリンピックが来るよと機運を醸成してもらった、そこによると思っていますので、これからアジア・アジアパラ競技大会もスポンサーが続々決まっていくと思いますが、その中で少し早くから皆さんが広告活動してもらうと思いますので、そこから認知は非常に上がってくると思っています。
また、放送局、特にラグビーワールドカップの場合は3放送局に支援してもらったのですが、日本テレビとはがっつりと組み、選手の名前を何名いつまでに覚えさせるみたいなプロジェクトを組んでおりました。選手が分からないとなかなか認知度が上がってきませんので、スケジュールによって計画をつくっていくのも非常に大切です。
言わずもがなですが、メディアとの関係性も重要になってきます。この辺は、なかなかコントロールできないので、しっかりとコミュニケーションして向き合っていくというのが大切です。特に東京2020オリンピック・パラリンピックの延期に伴った、中止したほうが良いのではないかという機運と対応するところでは非常に重要な、メディアとしっかりと会話できたのが大会の開催、運営ができた要因だったと思っています。
ここから国際スポーツ大会における機運醸成例で、ラグビーの、認知率のところを挙げたいと思います。オリンピック・パラリンピックはもうもともと認知が高いので、特に認知が低かったラグビーワールドカップ2019についてお伝えをしたいと思っています。
スタートポイントで、20パーセント、大体少し高く出るのが例なので、2013年、もっと早くから大会自体は決まっていたのですが、2013、14、15と定点調査して、大体30パーセントいかないぐらいでした。私が実際に組織委員会に入ったのが2015年1月ですが、その半年ぐらい前から組織委員会の手伝いをしており、一つショックになったのは、愛知県、豊田市もその中の12都市の一つになった開催都市発表を2015年の3月に行いました。
これは、プレスリリースを流すだけでもできたのですが、あえてIFのあるダブリン、アイルランドから、生中継をすることによって、各都市でパブリックビューイングをし、釜石市では釜石市役所がパブリックビューイングをし、ほかにも12都市、19自治体の方々がそれぞれパブリックビューイングをし、一気に認知が変わってきたタイミングになります。
その後、予期していなかったのですが、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会がありまして、ここでジャイアントキリングと言われる、日本代表が南アフリカを破ることが起きました。そこで認知が上がったので、戦略を変えていかなくてはいけないというようなことがありましたが、そのときに一気に60パーセントを超えました。
ただし、世の常で、少し下がります。これも織り込み済みで、またチケットのときに上げていけばいいことで、少しずつ上がっていきました。開幕直前は85パーセント、終わったときは90パーセントを超える認知率となっていきました。そこに向けて、どういう施策をしたのかで、フェーズ、フェーズで分けていくとこのような形になります。
まず、開催都市を発表するまで、ラグビーファンを、どう取りまとめていくかです。先ほどの二つ目に挙げさせてもらったファンの取りまとめをしっかりと、ファンだけではなく、元ラグビー選手、ラグビーOB、現役のラグビー選手、そういったところをいかに取りまとめていけるか、といったところに苦心をしたところです。ここでメールアドレスを集めるとか、大会のイベントをやっているとき、スポーツイベントをやっているところで出展していくところを一生懸命やった時期になります。
その後、戦略が変わったのは、南アフリカに勝ったラグビーワールドカップ2015イングランド大会です。ライトファンができまして、女性のファンが一気に増えました。そういう方々にも刺さるマーケティング、広報、機運醸成をしていかなくてはいけないということで、日本代表や五郎丸選手を推したPRを追加した時期になります。
それがなかったら、大会ブランディングをどうつくっていくかで、先ほどの最初にあった、行政の方々、議員の皆様と連携した中で、大会の格を推していくフェーズに、この2015年の大会後、9月、10月ぐらいから2017年の3月ぐらいまでやっていこうと思い、実際にそういった時期でやっていきました。
個別でいきますと、大会ナンバープレートの発表ですとか、ブルーインパルスを大会中に飛ばすみたいなことの仕込みをやっている形になります。
チケット先行販売のタイミングとチケット一般販売のタイミング、そこに向けてデータベース、カスタマー・リレーションシップ・マネジメントと言われるデータベースのため方と、そのデータベースを使って、最後売れない席を、ひたすらメールだけで売りまくったのが最後の時期になります。同じメールを送っているのですが、送れば送るほどチケットの販売は伸びていくので、データベースというのは、しっかりためておくと嘘をつきません。最後1会場だけ大きな箱で苦労したのですが、そこも含めてほぼ満席とできたのは、このデータベースをしっかりとためていたことによります。
国際大会は四つの時期に分かれると思っていまして、一つは勉強時期、これは四年前以上に過去大会のラーニングをしていくことです。実際の企画が四年前から二年前、ちょうど今頃は企画が終わる頃です。準備期、大会の二年前から一年前で、最後はそれをどう運営していくかにかかっています。
先ほど予算は、二年前ぐらいから徐々に使っていくのと、ノーサプライズと国際大会ではいわれるのですが、どれだけ驚かせないか、最後の1年は計画したことだけを愚直にやるのが重要で、ただでさえ愚直にやっていっても、いろんなハプニングは起きます。その中でも対応していくためには、一年前にある程度計画を決めておいて、ファインチューニングでこなしていくしかない。実はこの二年前、あと2年あるではなくて、もう1年しかないと思って、そこに向けて準備をしていくのが、広報も、マーケティングも、全体的な組織委員会の運営として必要なことです。
これらを前提に、ラグビーワールドカップ2019ではどうやったのか。大会五年前、この関係構築です。もちろんワールドラグビーという国際統括団体との関係もそうですし、一緒に開催都市を見て回った、私が入ったときはまだ一桁台の、最終的に400人近い組織委員会のメンバーになるのですが、開催都市の選考を一緒にバスに乗って行った形になります。最後までそういった関係性は生きたなと思うので、ここでの関係構築が重要です。また、自治体の皆様です。開催都市と一緒に、まず応募してもらうのが重要なことで、手を挙げていただいたところは感謝ですし、そこに向けての自治体とのコミュニケーションも密に行っていきました。
ラグビー好きなメディアとスポーツ好きなメディアはあるので、そういったところにも定期的に情報を共有していくのと、コアファンの応援がなければ成立しないので、コアファンにもどんな大会なのかを伝えていくのが五年前ぐらいの時期にやっていました。
この辺は認知向上施策で、アジア・アジアパラ競技大会の組織委員会も行われますが、いろいろなイベントに出ていって、お金を使ってマーケティングというよりは、イベントをやって、認知を上げていく期間が大会五年前となります。
大会四年前になると、大会の、前回大会が大体ありますので、杭州は三年前となっていますが、どのサービスレベルを前回大会でやったのかを目で見て、確認していくのが重要になってきます。これは必ずしも同じ国際大会だけでなくていいので、ほかの国際大会を含めて、サービスレベルは幅があります。そういった中でどこを選ぶかがあります。
細かい点で言うと、例えばメディアに出す食べ物は温かいか、冷たいかとか、そういうサービスレベルまで一つ一つの大会、実は定義されていまして、ラグビーとかだとメディアに対してアルコールを出すところもありますので、そういった細かいものが、全てのファンクショナルエリアで決まっているので、そういったところをしっかりと学んで、マキシマムとミニマムを決めていくために、視察は非常に重要だと思っています。決して前回大会が終わったからといって、ないわけではないので、ほかの国際大会や冬季の大会を見ても、必ず勉強になると思います。この辺は、非常に視察は重要かなと思っています。
四年ぐらい前になると大体PR戦略とか広報戦略を決定していく、これも1年2年かけて決めていく作業になりますが、こういった方向性で行こうといったところを現状のマーケットやスポーツ業界のチケットの売れ方みたいなものを研究しながら行っていく形です。
ベンチマークの設定は、先ほどの大会視察に似ていますが、このレベル感で行こうというのがそれぞれ変わってきますので、ここはラグビーワールドカップを参考にする、ここはオリンピック・パラリンピックを参考にする、ここは杭州大会を参考にするとそれぞれ決めていけるといいのかなと思っています。
四年前には開催都市の発表が、開催都市との連携を始めたので、組織委員会だけではなくて、行政の皆様と一緒になって進めていく体制ができました。
コアファン向けイベントは、会場の中でずっとラグビーを応援してくれる方に、ラグビーワールドカップの存在を知らしめていき、ポスター掲出、この辺は特に行政の方のお力をお借りすると、先ほども申し上げましたが、いろんな公共的な場所に貼らせてもらえるので、いかに長くタッチポイントをつくっていくかが重要ですので、そういったところを大会四年前からやっていきました。
4年あったから、ここから始めたから認知が上がっていったというところで、認知率自体はピュッと上がるわけではないのですが、そういったベースがあると、二年後とかに思い出してもらえるところがあるので、そういった、しっかりとベースをつくるのが四年前ぐらいになっています。
それで、アジア競技大会のほうも、アジアパラ競技大会のほうも、ポスターを制作されて、いろんなバラエティーができたり、新しいマスコットができたりもあるので、これに乗っています。
大会三年前です。この辺になると戦略を決めていますが、改善していくとか、より明確化していくとか、あとチケッティングの戦略が、特にラグビーは早くから、二年前からチケットを売り出しているので、その辺の戦略を決めていきました。先ほどのカスタマー・リレーションシップ・マネジメント、ファンの組織化とファン向けイベントも定期的に行ったのが三年前までの活動になります。
ラスト2年です。ラスト2年は、予算はここから使う時期になるので、基本的に戦略を決めて、予算をしっかりと投下しながらやっていく時期になります。ラグビーワールドカップ2019ではチケットの販売をして、コアファンから、開催都市の住民から、メールマガジン読者から一般販売につなげるような動きがありました。
あとマイルストーンイベントと言われる三年前、二年前、半年前、一年前、百日前、五十日前イベントをしっかりとやっていくことと、開催都市の皆さんと連携を深めて、開催都市特別サポーターをつくらせてもらって、そういった枠組みの中で、それぞれが御当地で有名な、愛知県だと矢野きよ実さんとか、Sonar Pocketさんとか、歌手のグループの方とかに着任してもらったのですが、そういった中で、それぞれ御当地で人気ある方の枠をつくった形になります。
大会一年前になると、マイルストーンイベント、この一年前イベントを、トロフィーツアーとか、試合の発表とか、予算を使ったオンライン上のマーケティングとか、あと開催都市と連携して、ラグビーの試合の誘致をしたり、バナーを貼ってもらったり、駅に広告してもらったりといったところを一年前から行って、大会前はそれをもっと盛り上げて華やかにやっていくなどで、最後に売れないチケットはメールマガジンを使って、必死で売っていくことをしました。広告、宣伝の要素も入れていったのが最後の年になります。
最近のマーケティングの潮流ですが、PRと言われるメディアに今までみたいにCMを流す形ではなくて、CMとかを流すのは直前期で、それまでにいかにPRでポスターを貼るとか、そういうものも一部宣伝にはなるのかもしれないですが、公共の場所を使うとそこまでの予算はかからないので、車内の中づり広告だと2日、3日で変わってしまうので、お勧めとしてはPRで一年ぐらい前までとか半年ぐらい前までやって、最後に広告宣伝を残していくほうが、広告予算の有効活用としても、最近のスポーツマーケティングの中の潮流としてもいいのかなと考えています。
実際の戦略です。マーケティングとコミュニケーションのマスタープランで、ラスト2年、どういうふうに迎えたかとなっています。まず大会を迎える前に、それぞれのテストマッチ、日本代表戦とか、海外同士の試合をそれぞれのラグビーワールドカップを行う都市でやって盛り上げをつくります。
メッセージは、どういうメッセージを届けていくかで、ラグビーの世界大会が来る、サッカーのワールドカップが終わったから次は我々だ、のようなメッセージ化をして、フェーズごとに区切って届けた形になります。
チケットは、先行販売でいろいろな策を使って身近に感じてもらうようにしたところがあります。
マイルストーンでマスコットの発表や、開催都市を行脚してトロフィーを見せたり、どういう試合が来るのかを決めていったりと、そのようなことをしながら最後、大会を迎える形になっています。
コミュニケーションのところでは、アンバサダーとか、何万人ものボランティアの方も、これも一つの機運醸成の大きな機会なので、ここも最大限使っていきます。また、ラグビーワールドカップではキャンプもありまして、キャンプ地を決めるのが12都市19自治体よりまた別にありましたので、そういった選考とか、自治体とも一緒に盛り上げていく枠をつくっていました。
最後に、できるだけフォーカスしていくデジタルですが、さきにやらないと一気に機運が盛り上がらないところもあったので、大会の三か月前から予算の8割はセーブしながら使い、売行きが怪しいところや、広告が効く土地柄、そういったところには新聞の枠を買うなどもしていました。
実際にチケットをどのように売ってきたのかは、一番最初がラグビーファミリーという、ラグビーの有料会員に入っている方々といったところに売り出しました。これは七日間だけ設け、販売日を大分短くしました。チケットは最初の3日と最後の3日だけやたら売れるのですが、間はほとんど売れないです。それをちょっと広く、三週間ぐらいにすれば、最初の一週間、最後の一週間が売れるので、スケジュールを区切って、希少感を出して、チケットも全部売り切るわけではなく、売り切れるような枚数だけ用意して売っていくことで、売り切れることによって人はほかの試合が欲しくなります。そういった心理的な要因もうまくなでながら、やっていきました。
最初のラグビーファミリーのところが売れたおかげで、その後のラグビーファミリーの三週間も売れやすかったですし、その後、開催都市住民も売れていると聞くと、シティプライドというか、おらがまちに来ることで、買ってもらえるので、ここも完売、それぞれ10万、20万のチケットを用意していたのですが、それぞれが半分ぐらいは先行で売れた形になります。
その後、ラグビーフレンズというラグビーをプレーしていた方、OBの方、OGの方で、これも100万人を超えるぐらいで、ここに向けて販売していきました。
最後、サポーターズクラブはメールマガジンに登録してもらった方なので、一般に近いのですが、一般よりもメールマガジンをさきに登録しているので、少し関与度が高い方で、そこまでに売り切れが出ていたので、ここのサポーターズクラブも最後に入会が増え、メールマガジン登録が殺到しました。12会場の皆様と40万人という、一緒に組織委員会と含めて、目標、ゴールを、40万メールアドレスを集めるというのをしっかりと掲げて、それを皆さんと一緒にやっていったところで、無事集まりまして、計画どおり販売できました。
ここまでで半分以上売り切れて、一般抽せん販売、三次販売までいくのですが、ここは小刻みよりは少し長めに売り出していって、売れないところは、ためていったサポーターズクラブをうまく活用しながら、希少感を出しながら売っていった形になります。
クリエイティブで見ていくと、大分早くからやっていて、まだ開催都市が決まってないときは、こんな形で、日本開催で、海外勢のラグビーの試合のところでやっておりました。これはほんとにコアファンのマニアックな、これを見てどこのチームか分かる方々向けです。ロゴもまだ古いです。
その後、開催都市が決まり、それぞれの自治体の名前を入れさせてもらってポスターを作りました。愛知県・豊田市バージョンももちろんあります。なので、貼りやすくなるといったらなんですが、組織委員会で作って納品したことによって、皆さんに貼ってもらえます。
その後、ロゴが変わったので、そのロゴの認知と、開催都市を入れ込んで、これも新たにここからスイッチということで貼ってもらいました。
その後、大会三から四年前で、先ほどの南アフリカの試合で盛り上がりを見せたので、急遽、日本代表寄り、組織委員会は本来、全ての国にフェアにいかなくてはいけないので、一つのチームを推してはいけないのですが、ここは盛り上がりのタイミングで、半年バージョンで、それぞれ自治体の名前も入れて、作って、認知を掲げていったところです。
大会二年前ぐらいになると、相手チームも含めながら、いろいろなブランドで色味とかも、この「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」というようなキャッチコピーもできてきましたので、こういうのをベースにやっていき、最後の1年は、「ザ・国際大会」という形でつくっていきました。
五年前の計画ですと、大会時はそれぞれアンバサダーとか応援団長に舘ひろしさんについてもらったり、嵐さんに応援してもらったりで、そういったポスターをつくりたかったのですが、思ったよりチケットが売れたので、ここはそういった著名人に頼らずにやっていこうということで、ここの最後は当初のプランと違って実施しないことになりました。
これはさらに違う例なのですが、私が日本テレビでFIFAトヨタカップを担当したときの例で、世界一のサッカー大会を伝えるのに、「地球一のサッカーを見よう。」というキャッチコピーを九か国語で表現したようなポスターを至る所に貼っていって、最終的に、大会のアンバサダーだった上戸彩さんとか、ほかの競技のアンバサダーの方にもいろいろとついてもらって、いろんな方が応援してくれているみたいなポスターを作りました。
ラグビーもその思想に近いところでやっていったところもあるので、まず国際大会感をどう伝えていくかがきっと重要になりますし、最後は、見知った方というか、著名人を使いながらのマーケティングは今も有効だと思っています。
その中で、おのおのの施策というところ、マーケティングと広報とチケッティングは連関してなくてはいけないと思っており、冒頭でお伝えしたように、メガスポーツイベントの究極の目的はチケット販売です。まずはチケット販売をどうやっていくかといったところを中心に検討していきます。
それをサポートするのが二つ目のカスタマー・リレーションシップ・マネジメントと言われる、メールマガジンだったり、チケッティングのIDだったりと、このデータの蓄積が重要です。大会後にそれをどう残すかまで長い目で考えて計画していくとなおよいかと思っており、ラグビーの場合は、そのときのIDを、最初から日本ラグビーフットボール協会も使えるようにデータを取得しておいて、我々が最終的に取ったIDデータは、日本ラグビーフットボール協会にお渡しして、残している形になります。
海外だとJSCみたいな機関が代わりに持って、国際大会のたびにそこにメールマガジンを送ることは、イギリスとかではやっていますが、日本ではまだそこまでになっていませんので、こういったところも大会後にどう残していくかとか、JOCも含めて考えていけるといいと思っています。
広報の戦略、フェーズによるターゲットです。先ほどのスケジュール感でも、フェーズでもありましたが、広く満遍なくやるより、短期的な締切りを複数設けてやったほうが、締切り効果がありますので、効きやすいなといったところは、チケット販売もほかの施策も含めて思いましたので、長期に大きなことをやるよりは、小さくでもしっかり仕込んでいくのが重要だと思っています。
特にスポーツですと、消えていったり、触れられないこともあったりしますので、タッチポイントを増やす方法を短期的に多く組み上げる方法を考えていくのが重要だと思いました。
トータルで見て、コストパフォーマンスのよい広報は、先ほどのポスター掲出も、いろいろなところで貼らせてもらい、行政の名前を書かせてもらうことによって、より長く貼ってもらうこともありますので、こういうのもしっかりやっていくとか、SNSとか、動画も入りますが、分かりやすくラグビーのワールドカップのプレーをひも解き、100万人の方に見てもらうのが6コンテンツぐらいできました。
値段からすると、かなりの方に触れてもらったので、分かりやすく、この大会ってどうなの、みたいなのを切り口としてやっていくところも重要かなと思っています。そのため、つくるだけではなくて、どういうふうに組み合わせていくかとか、どういうふうに触れてもらうかみたいな順番も重要と思っています。
あとはメディアとの関係構築です。こちらは一朝一夕にはできないので、プレスサイトをつくったり、プレスルームをつくったり、そこにコーヒーを出したりとかをして、使いたくなる素材を用意して、使用ルールを用意して、トップ懇親会を定期的に開いて、プレスリリースを定期的にやってと、どれだけ会えるか、これは一つ重要だったと思っています。
ラグビーワールドカップ2019は日本ラグビーフットボール協会のプレスルームを借りながら運営しておりました。東京2020オリンピック・パラリンピックは、社内にプレス室を用意して、日々やっていましたが、どちらかといえば社会部が多かったので、スポーツに来る前に結構、追及が厳しいときもありました。そういったときでも、しっかりコミュニケーションを取らないと、余計報道は膨らんでしまいますので、しっかりとコミュニケーションを取っていくことが大切かなと思っています。
その次の戦略、施策でいきますと、前回大会ですることは、担当者とのネットワークとか、どういったサービスレベルでどういったプロバイダーが、事業者がサービスを提供しているかで関係構築をして、サービスレベルを決めてくのが重要なところになります。
アンバサダー、大会マスコットもそうですが、大会の顔として重要です。「ホノホン」とかができていますが、しっかりと活用してくのが重要かと思っています。競技性や地域性などありますので、それぞれの開催都市とか自治体とか区とかまで、市とか区まで落としてのインフルエンサーとかもあるのでしたら、そこまでひも解いていくとか、それぞれの御当地マスコットもいると思うので、ラグビーワールドカップでもうまく権利のところは分けながら御当地のマスコットは活かさせてもらった形になります。
変にIFに入れると、権利を持っていかれてしまうみたいな感じになってしまうので、全都市をバランスよくやっていく中で一つ、くまモンがあったり、モリゾーとキッコロがあったりというところで組ませてもらったりするので、この辺は説明の仕方だったり、絵の描き方かなと思っています。
あとはSNSです。できるだけアカウントは絞っていき、一つのSNSに一つのアカウントみたいな形が重要なのですが、例外もあると思っています。例えば交通情報を伝えるのは別のSNSです。オペレーションと機運醸成でSNSは分けていくとよいと思っています。徐々にでもチケットを売っていくのが必要なところですので、そこのコアのところはターゲティングしながら広告で人を増やしていくところも大切かなと思っています。
危機管理広報は、危機管理広報のPR会社とか経験者の方もいると思うので、そこで一緒にやって、どれだけ悲観的に計画して、楽観的に対処するかが基本になってくると思います。特にオリンピック・パラリンピックの場合は、対応を誤るとダメージが残るものが多かったので、ダメージリカバリーを早く回復するためにも、しっかりと危機管理広報はしておいたほうがよいと考えています。
戦略施策リストの最後です。チケット販売のインターネットの不使用者対応で、基本的にオンラインでラグビーワールドカップ2019も東京2020オリンピック・パラリンピックもチケットを販売しました。ただ、取り残しているというような、いろんなクレームも頂戴しましたので、そうならないように、しっかりとお孫さんとか友人の方にも御購入してもらえますよと、その案内までしっかりとしていったところです。
ただ、売行きによって、EXPO2025大阪・関西万博のほうも、リアル窓口も保険として常にありましたが、どういうふうにやったら有用かは考えておくといいと思っています。基本的にはオンラインをどう生かしていくかが売りやすさになっていきます。
続いて放送局とのワンチーム体制です。ラグビーでは三年前から日本テレビと広告代理店、日本ラグビーフットボール協会や組織委員会で月次会議を行いまして、大会前まで5人の日本代表選手、リーチマイケルさんの名前を覚えてもらうためにバラエティー番組に出てもらうとか、試合だけではなくて、バラエティーで覚えてもらう、ニュースで覚えてもらうことをやりまして、それが大きく機能しました。放送局、アジア・アジアパラ競技大会、その辺やられているところはあると思いますので、そういったところとどうやって連携していけるかです。
最後、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピックの体制比較で、ラグビーワールドカップ2019は人数が400人ぐらい、東京2020オリンピック・パラリンピックは8,000人ぐらいの組織委員会のメンバーでした。ラグビーの広報、マーケティング部署としての私の評価ではありますが、マネジメントというよりは、どちらかというと現場に経験者が多かったので、現場判断で乗り切れたのがラグビーワールドカップ2019です。もちろんきちんとトップの嶋津事務総長を含めて、ラグビーワールドカップ2019もマネジメントは機能していたのですが、一部のところは、機能しなかったり、合わなかったりというところの方も一部いたので、そういったところはスタッフで乗り越えたところです。
逆に東京2020オリンピック・パラリンピックは、全く逆で、大所帯で、それぞれ入ってきた方の業務のサービスレベルの理解が全然違いましたので、要所要所に適切なマネジャー、リソース配置をし、組織力で乗り切ったのが東京2020オリンピック・パラリンピックでした。人数が多い、少ないでこの辺変わってくると思いますが、どちらでも機能はするところですが、そういう意味でも、組織的にしっかりと仕込むのも大事ですし、要所要所に今のマーケティングだけではなくて、このオペレーションとか国際大会を知っている人間を配置していくのが重要です。
これは東京2020オリンピック・パラリンピックの延期後の一部の例ですが、最後の1年、コロナで1年延期になりまして、どちらかというと守備の範囲です。一年前プログラム、大会をやるときだったころに池江璃花子選手にサポートしてもらって、国立競技場で聖火をともしてもらうことをやって、少し風向きを東京2020オリンピック・パラリンピックのほうに戻していったとか、プレイブックと言われる、感染対策をしてきちんと協議をするために書類を用意して、これらを遵守して大会を届けるよというようなメッセージを発信し、組織委員会の会長や事務総長の定例的な囲みということ、メディアの対応をしました。あと、ゲームズ・デリバリー・オフィサーがいたのですが、報道番組の行脚で、生放送番組にともかく出続けました。逃げずにしっかりと話して、我々はこういうふうにして安全に大会をお届けできると考えているということで、報道ステーションや、NewsPicksなどに出ていき、こういうのをしっかりと積み上げることによって、否定的な声はだんだんと減ってきました。
最後2ページになりますが、最初に申し上げたように三つのポイント、メガスポーツイベントの機運醸成に大切なことです。議会の皆様、行政の方々の支援として、大会の公式感の醸成、シティドレッシングとかそういったところを中心に、いかに持っているリソースをフル活用できるかが大切になってきます。
二つ目がファンの組織化です。チケットの販売をどう最大化するかで、どれだけデータベースをためられるか、レガシーに何を残せるかをトータルでデザインするのが大切です。
あと、コマーシャルパートナーや放送局、メディアで、ここは認知の最大化をベースにするために、放送スケジュールやCRMスケジュールの理解と調整、スポンサーがいつCMをやってもらえるのか、ホストブロードキャストがどういう放送スケジュールを組んでいるのか、その前に、テストイベントをどう放送するかを組めていけるといいと思います。この三つが国際大会、特に機運醸成で重要なことです。
最後のページです。大会で何ができるかより、大会後に何ができるかを考えるのが国際大会の一つの定石、成功の秘けつです。結局、国際大会は海外の輸入コンテンツであって、日本が生み出したものは多くないです。できること、できないこと、特にできないことが明確化されておりまして、特にスポンサーとかをまたぐとほぼできないところで、そこであがいてもしようがないです。
全員に愛される大会にするには、大会後に何を残せるかが一番重要だと思っており、それをベースに、一体何がアジア・アジアパラ競技大会で残せるかを前提に考えていくと、一つ大会の成功が見いだせると思っています。
私もラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピックとやってきましたが、まだ成功だとは思っておりません。これからの、フランス、パリ大会の中で、オペレーションのところでは東京2020オリンピック・パラリンピックのほうがよかったとお褒めの言葉ももらっていますが、いかにスポーツを見る、スポーツする環境がさらに整っていくかとか、ラグビーワールドカップでラグビーファンが、する方も含めてさらに増やしていけるかが重要だと思っていますが、実際に評価を受けるのは、十年後、二十年後と思っていますので、そういった長い目でどうやって大会後に残していくかが機運醸成の一番重要な秘けつです。
長々とお話ししましたが、以上、私からとなります。ありがとうございました。
(主な質疑)
【委員】
東京2020オリンピック・パラリンピックにしても、ラグビーワールドカップ2019にしても、ある意味で大変グローバルな視点の大会、全国規模の大会、こういうイメージがある。それと比較をすると、アジアの国の競技大会は、どうしても愛知県の大会に思えてしまう。
そうすると、ファン層にしても、開催地でPRするにしても、あまり広い感じではなくて、どうしても局所的なイメージがある。でも、チケットを売ろうと思うと全国から来てもらわなくてはいけないことになる。
例えばラグビーワールドカップにしても、試合をやらない地域もたくさんあったわけで、試合をやらないところから来てもらっていっぱいにしなくてはいけない。そうすると愛知県の場合は、北海道から来てもらうとか、沖縄県から来てもらうとか、大きな動きにならなければチケットは売れないわけで、そういう意味で、ファンはどういうふうにつくるのか、開催地じゃないところの遠方から来てもらう、その組織化をどう考えたらいいか。
あと、議会、行政の支援といっても、北海道の稚内で支援してもらうとか、沖縄県の石垣でしてもらうとか、そうなれば当然、いろいろなことが目に映るが、そういうワイドなものにどうやったらなるのか、その辺はどう考えていけばよいか伺う。
【参考人】
説明の中でもお話しさせてもらったように、100万枚から200万枚といった客席数がアジア・アジアパラ競技大会で狙われるところと思う。
もちろん主の会場になるところは愛知県、名古屋市だが、来る選手はそこに依存するわけではないので、日本の、アジアのトップレベルの競技を見られるところで、どう推していけるか、それがどう端的に伝えられるかが一つ勝負だと思う。
キャッチコピーの作り方だったり、日本代表選手が来るので、そこに向けたJOCだったり、それぞれの県のスポーツの団体だったりがそれぞれ組織化というか、メンバーやファンを持っているので、そこをどう集められて、ほかの競技もクロスボーダーで見ていくみたいなのが、ベースを押さえれば可能になると思うので、まずは足元からしっかりと押さえていくところと、それぞれに県の団体があって、日本政府みたいなところもあって、それぞれが役割を持っているので、そことコミュニケーションを取れば、そこの役割に応じたターゲットにリーチできると思う。
【委員】
そうすると、どうしてもさっきの話で、個々に固まるのではなくて、広い視野の中で我々も他の都道府県や他の市町村とのやり取りを考えながら展開をしていかないと、今のようにはならないと聞こえるが、そういう解釈でいいか。
【参考人】
あうんの呼吸でやってよ、みたいなことが、なかなか国際大会だと特に難しい。行政の方、議員の方、横のつながりをしっかりと生かしながらやれるところもあると思うので、政府にもラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟みたいなところもあるが、そういったところのコミュニケーションとか、あとは、キャンプ地とか、県外にキャンプを張られてから公式キャンプ場に入る団体、チームも多いと思うので、そういったところの選定の仕方、非公式的な、権利は与えられないが、それに似たような連合体とか、グルーピングみたいなのをしていって、応援してもらえるような素地をつくっていくとか、そういうふうにしてやっていけると少しずつ積み上げられるかと思う。
【委員】
愛知県で新しいファンを増やそうとしたときをイメージした場合、我々、様々な広報を打つ場合に、セグメントするわけだが、この東京2020オリンピック・パラリンピックにしても、ラグビーワールドカップ2019にしても、そういう意味でセグメントしながらPRしてきたことはあるか。
【参考人】
まずは取りこぼさないというか、先ほどの話であるが、コミュニケーションしないと、ラグビーファンだからといって来てくれるわけじゃない。2005年から2006年にある競技の世界大会が行われたが、これは赤字額もなかなかで、あまり成功したといえない大会であり、学生の競技者が40万人から50万人いたが、そこに正しくリーチしなかった。県に既にある競技者、ファン、そういうところをまずは取りこぼさないように一つセグメント化していって、新しいファンというのは、いろんなスポーツが開催されているので、そこからどう獲得していくか、みたいなところで、ベースをしっかりとアプローチするかといったところが大切だと思っている。それを一気に組織化していくところが、まだなかなかないところだと思うので、そこから始めると、レガシーも含めて積み上げられると思っている。
【委員】
機運醸成になると、愛知県というくくりでやることもあれば、国というようなくくりでやることもあれば、公式キャンプ場みたいな、開催ではないけれども、愛知県内のどこかの市がそういった練習場を提供することによって、競技はなくても愛知県全体で盛り上がるような仕組みを考えたり、やれることは何でも全部複合的にやっていくっていうのが多分機運醸成なのかなと思った。
でも最終的には、チケット販売に収れんさせるという、そこのゴールだけは動かないというような話だと思うが、チケットを売ろうと思うと、国内で何割ぐらい、海外で何割ぐらい、もっというと、海外でも、韓国、中国、あとはインド、インドネシア、あとはサウジアラビアだとか、そこら辺を狙っていかなきゃいけない。
競技によっても、アーチェリーだったら韓国を狙い撃ちしていったほうがいいのかとか、そういったのはあると思うが、そういう戦略的なもの、チケットの国内、海外、あとはターゲットづくりはどんなふうに考えたらいいか。
【参考人】
これは大会によって大きく変わる。オリンピック・パラリンピックだと、ほぼ国内のためのイベントで、あまり海外から来ないというのが実際のところで、チケット率もほぼ90パーセント、95パーセントが日本国内であった。
翻ってラグビーワールドカップの場合は、40万枚が海外で売られて、日本は145万枚というところになるので、パーセンテージとしてはそのぐらいになっている。
ラグビーの例を参考にしていくと、どのぐらい来るかというのを文部科学省からも問われ、数字を出したが、ニュージーランド大会が10万人ぐらいの観光客だった。どこからもそんなに近くなく、かなり距離があるので、そこが10万枚で、逆にイギリス大会は50万枚だった。50万人が来たというところで、日本だったらその中間の、どこからでもそこまで距離がないので、来られるみたいな計算の仕方で20万人、40万枚みたいなところを計算して、実際にそこがビンゴとなった。
過去大会、新たに人が来る、スポーツを見て人が来るというのは、なかなか難しいことだと思っていて、常に来る大会の率というのは、ある程度、地政学が変わらなければ同じなのかなというふうに思っている。過去大会でここの8年、12年とかをひも解いていくと、おのずとこのぐらいの数が海外の方から来るというのは、現実的なラインが引けると思っている。
ただ、オリンピック・パラリンピックと同様で、このぐらいの規模のイベントになると開催国の開催都市のためのイベントというような要素は非常にある。まずしっかりそこを押さえた上で、この機会だからよりインバウンドの方を招くといったところをアジア・アジアパラ競技大会も一つのトピックとして誘致していく。そこは観光の話になってくるかもしれないが、力を合わせてやっていくという形で、自然にインバウンドの方がこの大会だから来るっていうのは考えにくいので、そこは戦略的にやっていかないと誘致できないと思う。愛知県にはいろいろな魅力的なテーマパークもあるので、観光部署と組みながらやっていけると、少しでも増えるのかなと思っている。
【委員】
そうするとチケットの売り先は、基本的には国内を中心に見て、余力があれば、幅広に海外にも展開ができるところはやってもらえればいい、みたいな感じのスタンスになるわけか。
【参考人】
そのとおりである。
【委員】
過去のこういった大きな大会を見たとき、ラグビーワールドカップ2019のときは、愛知環状鉄道に合わせる格好でIC乗車券を展開するということになった。大会にかこつけてとはいわないが、インフラ整備がすごくその面で一面進んだところがあったりもするが、これを機に社会変革の中での今足りてない部分を加速化させるのもあってもいいのかなと思うがどうか。
【理事者】
私どもはレガシーも非常に意識してやっているが、例えば今年度から宿泊施設に、備品も含めてバリアフリー化を進めるという愛知県宿泊施設バリアフリー整備推進事業費補助金を交付している。それはアジア・アジアパラ競技大会のためというよりも、その後の、障害者の方の観光客が宿泊施設を使って、愛知県内でスムーズに泊まってもらえるような施設をたくさん増やしたいという意図から、アジア・アジアパラ競技大会推進局でやっている。
これはアジア・アジアパラ競技大会のためよりも、その後のことを考えてやっている。
【委員】
今こういう社会変化が起きているのは、このアジア・アジアパラ競技大会がきっかけだったと言われるような、もっとドラスティックに、ドラマティックに展開ができる話題があると、面白いなと感じる。
【委員】
大会後に何ができるかを考えることが大事だとある。一つがバリアフリーもやっていくことがレガシーになるという意見があった。
過去に東京大会や広島大会があったと思うが、こういったところは、終わってから、何かずっと続いているレガシーがあったと何か参考になるものがあるのか。また、今まで日本国内でやったこういった大会の後に、レガシーとして残っている、継続しているような事例が何かあったら教えてもらいたい。
【理事者】
ラグビーワールドカップ2019の後であったが、例えばパロマ瑞穂ラグビー場のトイレなどがリフレッシュされ、いろいろなものが形として残った。
また、わかしゃち国体で、カヌーがみよし市で開催され、そのみよし市が、今もカヌーの町ということで、地域から選手を出している。今回もアジア・アジアパラ競技大会の会場として使われるというようなことが続いているので、そういうことを増やしていく。それから、愛知県総合射撃場も、この機会にバリアフリー化がかなり進む。そういったことをやりながら、トップアスリートアカデミーとか、そういう子供たちの育成もやっているので、いろいろレガシーをつくってつなげていければと思う。
十年、二十年先というようなこともあるが、種をまいて、芽を少しずつ出していく、そのようなことを目指したいと思っている。
【委員】
こういった大会で、いろいろなスポンサーが来ると、当然そこに対する規制が出てくると思うが、そこら辺の規制というのはどういうものがあって、これはどういうふうにクリアしていくか、教えてもらいたい。
【理事者】
当然今後、大会スポンサーというものがついてくる。この大会を行うに当たって、スポンサーの権利が当然あり、協賛金を出していることで、大会スポンサーを守っていかないといけないということがある。組織委員会で、どういったスポンサーの守り方があるかも、しっかりガイドライン等で固めて、スポンサーを保護していくことが大事になるので、そういったことを周知することも大切になってくる。そういったところをしっかりやっていきたい。
【委員】
明文化されていないサービスレベルというものがあり、これがキーになると思ったが、東京2020オリンピック・パラリンピックの評価が、今になってパリ大会と比べて、おもてなしの部分でよかったのではないかという評価が出てきている。
上村参考人もシドニーオリンピック・パラリンピックであったり、東京2020オリンピック・パラリンピックであったりと、またラグビーワールドカップ2019であったり、そういう国際大会を経験されてきて、これからアジア・アジアパラ競技大会が開かれるに当たって、来る選手に対してのおもてなしというか、そういった今後を見据えたレガシーをつくるに当たって、今、サービスレベルというのは、世界はこうだよというアドバイスがあれば教えてもらいたい。
【参考人】
国民性によっても大分変ってくるが、日本人はそのままで人への対応はすばらしいので、そのままでグローバルに通じると思う。何か変えていくのではなく、これまでの日本が培ってきた伝統文化と自信というか、そのようなおもてなしの心といったところをしていけば、グローバルでも通じると思うし、逆にそれがモデルになると思う。
ハードで残るレガシーもあれば、ボランティアのスタッフ、これもレガシーだと思っていて、ラグビーワールドカップ2019はその後、レガシーとして同じボランティアスタッフの方で活動して、活躍している例もあるので、そういったソフトの面での残し方もレガシーであるといえる。
マニュアル化していくのが難しいが、日本のこれまでの培ってきたところを存分に出せば、世界で十分通じると思う。
どこをこだわるかは、世界の情勢に合わせていくところで、それぞれ世界でどういうことをやっているのか、前回大会が一つのベンチマークになるのは間違いないので、そういったベンチマークをきちんと学んで、それに類して、日本は取り入れる、取り入れないと、選択していけばいい。
なかなか全体的な国民性で、大きく変わってくるので、一概にはいえないところではあるが、全部を100パーセントは難しいので、その中で、きちんと哲学を持って決めていければ、ほかにないアジア・アジアパラ競技大会ができると思う。
【委員】
チケット販売のみにフォーカスすべきとあったが、このアジア・アジアパラ競技大会で見たときに、チケット販売の成功の数というか目標値というのは、どれぐらいの設定が正しいのか。
【参考人】
大会にもよるが、一つベンチマークにするとしたら、収支が重要になってくるかと思う。その中で、チケットの売り方、値段、枚数、各会場によっても大きく変わってくるので、その中で決めていくが、一般的に80パーセント近く入っていれば満席に見えることもあるので、テレビの見え方とか含めると、そういうのが参考になる。ホスピタリティー席、高級な席が少し売れていれば、収支的にはかなうときもあったりするので、必ずしもその80パーセントが何かというところではないが、その辺がベンチマークにされていることは多い気はする。
【委員】
収支、最後は平たく見ないと、それは成功うんぬんというのが最後まで分からないところでもあるというふうな理解でよいか。
【参考人】
来場者が見てどう感じるかが大切なのと、組織委員会としてはやはりビジネスでもあるので、そこで収支がというところで、せめぎ合いではあるとは思う。組織委員会のことだけで考えると、どれだけしっかりと組織委員会としてビジネスにしていくのかは重要なところではあるので、そこで取れれば取れるだけいいということは、ビジネス上で、特に日本でスポーツビジネスが根づいていくには必要なところではある。そこは確かにこだわっていくところだと思う。
その中でも、値段をどう決めて、このぐらいはきちんと取り切れるみたいなところを計算していくというのが重要かと思う。インバウンドの方で、来る一定の数といったところもしっかりと取り残さないようにしていくというのも重要である。今後それをチケットの販売に向けてどう向かっていくかだと思うが、まだまだそこには時間があるので、きっちりとリサーチをして、値段設定していくことが重要であり、その先にそのパーセンテージの数字はあると思う。
【委員】
まだまだ日本だと、スポーツビジネスというところが弱いところだと思っている。このアジア・アジアパラ競技大会がそういったところの一つのコンテンツになってくるとよいと個人的にも思っている。
例えば社交の場としてスポーツのⅤIP席が使われるとか、プレミア感をつけようとしたときの値段設定というのはまさに必要な部分だと思う。そういったときに、先ほどお金をかけてマーケティングをしていくという話だったが、プレミア感をつけようとすると、どういう形が一番やりやすいか。
【参考人】
どういうサービスをするかと表裏一体ではある。部屋とか座席のしつらえ、あと見えやすさなどの変わりというところがある。そこに飲食とかサービスを含めて、このぐらいみたいな、ホテルライクだったらホテルの五つ星、四つ星、三つ星といろいろあるが、そういったグレードで値段を決めていくというところになる。
特に海外からいつも見に来る方だとか、オリンピックファミリーみたいな、サービスを受け慣れしている方には、しっかりとそれなりのサービスをといったところが重要なのかなと思う。
その辺の数というのは、組織委員会のほうが、これまでの大会のところで十分把握していると思う。必ずやらなくてはいけないところと、これからやっていくとさらにエクストラの狙えるようなところは狙っていくのではないかと思うが、国際大会はそもそも複雑なので、できる限りチケットの券種とかはシンプルにしていくほうが、オペレーション上はいいと思う。ラグビーワールドカップ2019も値段設定はいろいろとあったが、実は一つの会場、一つの試合で4カテゴリーの値段しかない。どれだけシンプルにしていくかといったところと、愛知の中のほかの事例、バンテリンドームナゴヤの事例とかいろいろ学びながら決めていくというのがいいのではないかと考えている。
あとは、カテゴリーは四つと言ったが、カテゴリーの数も最初からカチッと決めないで、途中でパーセンテージを変えている。売行きに乗じて見ていく、フレキシブルにやっていくというのも重要かなと思っている。
【委員】
ボランティアスタッフの確保もレガシーになるということで、今、各市町、また県も含めてだが、スポーツコミッションだけではなく、フィルムコミッション等でも、ボランティアの確保によって投げかけにどれだけすぐ応じられるかが、その選択のところの一つの規準になってくるということも、民間側から声をもらっている。また、そういった重要性等を持っていくと、産官学、市民活動、そういったところが横串をさしてやっていくことが必要だと、改めてこのアジア・アジアパラ競技大会の意義、目的を感じた。
【委員】
盛り上がりや機運は、若干抽象論になってくるが、客観とか、あるいは定量で測るのがチケットになってくると思う。それ以外の部分で、盛り上がりとか機運というところで、指標になるものがあれば教えてもらいたい。
一方で、主観とか、あるいは定性であっても大切なことだと思う。何となく感情的なことでも、そうしたことも含めて、自治体とか、あるいは政治側が今後なすべきこととして、どんなことが役割として、やってもらえるとありがたいことがあれば、ヒントをもらいたい。
【参考人】
まず一つ目のほうで言うと、可視化できないものというのは、空気感といったところでいつも難しいなと思うので、できるだけ可視化できるほうにというので、チケットが非常に分かりやすい。最初の収入が入ってくるまで、組織委員会側として不安だったが、スポンサーが決まり、チケットが売れると、それだけで空気が大分よくなるので、ベースとなる積み上がった数字というのは重要と思う。
一方で、空気感は、認知率とかである程度測れたりもするが、見えないところもあるので、行政の方のところのポスターを貼らしてもらう枠とか、バナーを貼らしてもらうとか、うまく活用できるといいと思う。
議員には、これまでもいろいろと支援してもらっているが、ルールを大きく変えるというわけではないが、解釈のところで、前例のあるものに関してスポーツのイベントでも活用できるみたいなところが、支援とか、それぞれの町が協力してもらえると、組織委員会側としては助かった。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年8月19日(月) 午後0時59分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
久保田浩文、杉浦正和 正副委員長
中野治美、いなもと和仁、島倉 誠、中根義高、杉浦哲也、伊藤貴治、
森井元志、鳴海やすひろ、江原史朗、岡 明彦、神谷まさひろ、
永田敦史 各委員
上村 哲也 参考人(株式会社愛知国際アリーナ 広報渉外室長)
スポーツ局長、アジア・アジアパラ競技大会推進局長、
アジア・アジアパラ競技大会推進監 関係各課長等
委員会審査風景
<議 題>
国際スポーツ大会における機運醸成について
<会議の概要>
1 開 会
2 委員長あいさつ
3 議題について参考人からの意見聴取
4 質 疑
5 閉 会
《参考人の意見陳述》
【参考人】
改めまして、上村哲也と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。
こういったところで、自分の経験をお話しできるというのは非常に光栄なことですので、どうかよろしくお願いします。
では、国際スポーツ大会における機運醸成と題しまして、私がラグビーワールドカップ2019組織委員会と東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で管理職を務めていた経験から、お話をさせていただければと思います。
プロフィールにもありますが、ドイツで生まれ、その後、オーストラリアで過ごし、ここが結構な片田舎で、スポーツぐらいしか楽しみがなかったため、スポーツとまちづくり、どう人を集めるかを仕事にしたいと思い、その後、最初に、2000年シドニーオリンピック・パラリンピック組織委員会側のボランティアスタッフという形で現地に三か月派遣され、ここがメガスポーツイベントと触れ合う最初になったところです。かれこれ24年ほど、国際スポーツに携わっています。
その後、大学卒業後、日本テレビグループ、こちらでFIFAと特にサッカーをやりました。当時豊田スタジアムにもサッカーのFIFAトヨタカップで何度も足を運ばせてもらい、そこからIFとの協議や、どうブランディングしていくか、放送の関係、そういった経験を積み、その後、航空会社や鉄道会社などでマーケティングに従事しながら、2015年からラグビーワールドカップ2019組織委員会、続いて2019年、大会が終わってから東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会でマネジャー職を務めました。
2021年より愛知県新体育館「IGアリーナ」のプロジェクトにNTTドコモとして参画させてもらって、出向で、名古屋に住んで、業務に当たらせてもらっています。アジア・アジアパラ競技大会があるので、私もお力になれればなと考えています。
業務でいろいろなことを経験しました。特にメガスポーツイベントでは20ほどの様々な仕事、開会式関係などからやりましたが、幾つか行政関係をやった中で、例えば当時安倍総理に東大阪市花園ラグビー場に視察に来てもらい、機運醸成支援を見てもらうなどをやらしてもらいました。
いろいろな、マーケティング・広報を中心にしながらも、機運醸成で行政の方や、政府の方など、そういった方とつながりながら、認知を上げていくというのも重要な仕事です。
機運醸成の話に行く前に、収支構造がどうなっているのかをメジャーなイベントから少しひも解いていきたいと思います。
ラグビーワールドカップは、トーナメントフィーを組織委員会がIFのワールドラグビーに対して支払うという構造になっています。
そのため、IFからするとお金がちゃんと支払われるので、持続可能な大会になりますが、組織委員会としては、チケット収入がメインになってきます。
この後、続いてくるのは2002年です。FIFAワールドカップ、この後のオリンピック・パラリンピックも似ているのですが、逆にIF、FIFAのほうから分配金がある形や、ローカル・スポンサー・フィーでスポンサーが入ると、お金が入り、組織委員会の運営的には多少楽になるのですが、チケット収入に依存するのは変わりないので、ここをどう積み上げていくかが組織委員会の成功の秘けつになってきます。
最後、オリンピックです。こちらもIOCから組織委員会と開催都市が三つどもえになってやっていく形になります。IOCと、USOCが発言力を持っており、放送のお金ですとか、ワールドワイドパートナーのお金は、配分金として組織委員会に入るようになってきまして、チケット収入、ローカルスポンサー、あとライセンシンググッズなどが組織委員会の収入源になっています。
この三つの大会、ひも解いてきて分かるように、放送とかは全部IF、IOCに入るようになっていますし、海外チケットもそちらに入ってくるようになっていますが、チケット収入が国内では一番どうにかしていかなくてはいけないところで、安定的な組織委員会の運営を目指し、大会の盛り上がりを目指すには一番重要となります。
これらの前提の下で、メガスポーツイベントの目的活動は、一義的にはチケット販売にフォーカスして行うべきと考えています。このチケット販売にフォーカスしながら、それを盛り上げていくための要因ですとか、それを逆に下げてしまう要因、また大会後にどういうレガシーを残せるのかは、次の段階で計画していくところで、まずどうやったらチケットが売れるのかにフォーカスしていくと、やれることが絞れる形になってきます。
また、チケット活動につながらない活動は極力控えていくところですが、今回、大会まであと2年で、二年前にお金を使う機会はなかなか多く、いかに二年前までお金を使わないかが重要な一つのファクターだと思っています。
逆に言うと、これからはしっかりと投資して、それをチケット販売につなげ、大会後のレガシーにつなげていくべきタイミングです。ラグビーワールドカップ2019は逆に、十何年前から招致が決まってしまっていたので、どんどんと使って機運醸成しようという勢力もいたのですが、そうすると、幾ら予算があっても足りないので、この2年までいかに予算をためながら活動するかが大切なスケジュール感となっています。
メガスポーツイベントの機運醸成で大切なことを三つ挙げています。議会の皆様や行政の方々の支援が一つ目です。二つ目がファンの組織化となります。三つ目がコマーシャルパートナー、スポンサーや放送局やメディアや、ライセンスグッズとかのパートナーとの関係構築になります。
一つ一つひも解いていくと、まず議会の方々や行政の皆様の支援で、大会の公式感をいかに醸成していくかが大切だと思っています。なかなか民間の普通のスポーツ大会だと、ポスター一つ貼るにしても、場所を買わなくてはいけないのですが、行政の方々が一緒になっていくと、公共的なところに貼れたりとか、そういったことを長くやれたりもするので、一般の大会ではできないところにもしていけます。
大会の格は、言葉で伝わらず、実際にラグビーワールドカップは184万枚のチケットが売れて、単独スポーツでは最高となっていますが、この前の東京2020オリンピック・パラリンピックでは、合わせて1,000万枚のチケットの販売が予定されていましたが、残念ながら無観客となっています。
日本のチケットが最も売れたのは、1964年のオリンピックです。200万枚近いチケットが売れる大会は、日本でもすごい大会で、その価値をどう伝えるかが重要だと思っています。それには議会の皆様、行政の方々の御支援なくしては実現できないと思いますので、そういうことを言葉で言うよりは雰囲気で醸し出す、共通認識をつくっていくことが大切だと思っています。
続いて、二つ目のファンの組織化ですが、チケット販売の最大化をするために必要だと思っています。チケットの枚数が100万枚、200万枚となると、そこからどのぐらいのデータをためておけばいいのかがおのずと分かってくるところであり、これをカスタマー・リレーションシップ・マネジメントと言いまして、ラグビーワールドカップの例でいくと、メールマガジンのメールアドレスをいかにためていくか、それをチケットの販売のIDにつなげていくかをファンの組織化としています。
ラグビーですと競技人口が大体20万人ぐらいおり、ラグビーをやっていたOBが100万人ぐらい、海外で常に来られる方が20万人ぐらい、そうすると1人何枚チケットを買ってくれれば、200万枚近いチケットとなるか、そのためにはどうやってその人たちを組織化していくかを計画して実行していったのがラグビーワールドカップの事例になります。
三つ目です。コマーシャルパートナー、これはスポンサーの少し丁寧な言い方ですが、あとは放送局、メディアとで、彼らのサポートを借りると、認知が上がります。東京2020オリンピック・パラリンピックも非常に人気があったため、認知が高まったと思うのですが、これもひとえに、最初の行政の支援の中で、シティドレッシングというバナーを街中に貼って、このスポンサーが早くからCMを流して、オリンピックが来るよと機運を醸成してもらった、そこによると思っていますので、これからアジア・アジアパラ競技大会もスポンサーが続々決まっていくと思いますが、その中で少し早くから皆さんが広告活動してもらうと思いますので、そこから認知は非常に上がってくると思っています。
また、放送局、特にラグビーワールドカップの場合は3放送局に支援してもらったのですが、日本テレビとはがっつりと組み、選手の名前を何名いつまでに覚えさせるみたいなプロジェクトを組んでおりました。選手が分からないとなかなか認知度が上がってきませんので、スケジュールによって計画をつくっていくのも非常に大切です。
言わずもがなですが、メディアとの関係性も重要になってきます。この辺は、なかなかコントロールできないので、しっかりとコミュニケーションして向き合っていくというのが大切です。特に東京2020オリンピック・パラリンピックの延期に伴った、中止したほうが良いのではないかという機運と対応するところでは非常に重要な、メディアとしっかりと会話できたのが大会の開催、運営ができた要因だったと思っています。
ここから国際スポーツ大会における機運醸成例で、ラグビーの、認知率のところを挙げたいと思います。オリンピック・パラリンピックはもうもともと認知が高いので、特に認知が低かったラグビーワールドカップ2019についてお伝えをしたいと思っています。
スタートポイントで、20パーセント、大体少し高く出るのが例なので、2013年、もっと早くから大会自体は決まっていたのですが、2013、14、15と定点調査して、大体30パーセントいかないぐらいでした。私が実際に組織委員会に入ったのが2015年1月ですが、その半年ぐらい前から組織委員会の手伝いをしており、一つショックになったのは、愛知県、豊田市もその中の12都市の一つになった開催都市発表を2015年の3月に行いました。
これは、プレスリリースを流すだけでもできたのですが、あえてIFのあるダブリン、アイルランドから、生中継をすることによって、各都市でパブリックビューイングをし、釜石市では釜石市役所がパブリックビューイングをし、ほかにも12都市、19自治体の方々がそれぞれパブリックビューイングをし、一気に認知が変わってきたタイミングになります。
その後、予期していなかったのですが、ラグビーワールドカップ2015イングランド大会がありまして、ここでジャイアントキリングと言われる、日本代表が南アフリカを破ることが起きました。そこで認知が上がったので、戦略を変えていかなくてはいけないというようなことがありましたが、そのときに一気に60パーセントを超えました。
ただし、世の常で、少し下がります。これも織り込み済みで、またチケットのときに上げていけばいいことで、少しずつ上がっていきました。開幕直前は85パーセント、終わったときは90パーセントを超える認知率となっていきました。そこに向けて、どういう施策をしたのかで、フェーズ、フェーズで分けていくとこのような形になります。
まず、開催都市を発表するまで、ラグビーファンを、どう取りまとめていくかです。先ほどの二つ目に挙げさせてもらったファンの取りまとめをしっかりと、ファンだけではなく、元ラグビー選手、ラグビーOB、現役のラグビー選手、そういったところをいかに取りまとめていけるか、といったところに苦心をしたところです。ここでメールアドレスを集めるとか、大会のイベントをやっているとき、スポーツイベントをやっているところで出展していくところを一生懸命やった時期になります。
その後、戦略が変わったのは、南アフリカに勝ったラグビーワールドカップ2015イングランド大会です。ライトファンができまして、女性のファンが一気に増えました。そういう方々にも刺さるマーケティング、広報、機運醸成をしていかなくてはいけないということで、日本代表や五郎丸選手を推したPRを追加した時期になります。
それがなかったら、大会ブランディングをどうつくっていくかで、先ほどの最初にあった、行政の方々、議員の皆様と連携した中で、大会の格を推していくフェーズに、この2015年の大会後、9月、10月ぐらいから2017年の3月ぐらいまでやっていこうと思い、実際にそういった時期でやっていきました。
個別でいきますと、大会ナンバープレートの発表ですとか、ブルーインパルスを大会中に飛ばすみたいなことの仕込みをやっている形になります。
チケット先行販売のタイミングとチケット一般販売のタイミング、そこに向けてデータベース、カスタマー・リレーションシップ・マネジメントと言われるデータベースのため方と、そのデータベースを使って、最後売れない席を、ひたすらメールだけで売りまくったのが最後の時期になります。同じメールを送っているのですが、送れば送るほどチケットの販売は伸びていくので、データベースというのは、しっかりためておくと嘘をつきません。最後1会場だけ大きな箱で苦労したのですが、そこも含めてほぼ満席とできたのは、このデータベースをしっかりとためていたことによります。
国際大会は四つの時期に分かれると思っていまして、一つは勉強時期、これは四年前以上に過去大会のラーニングをしていくことです。実際の企画が四年前から二年前、ちょうど今頃は企画が終わる頃です。準備期、大会の二年前から一年前で、最後はそれをどう運営していくかにかかっています。
先ほど予算は、二年前ぐらいから徐々に使っていくのと、ノーサプライズと国際大会ではいわれるのですが、どれだけ驚かせないか、最後の1年は計画したことだけを愚直にやるのが重要で、ただでさえ愚直にやっていっても、いろんなハプニングは起きます。その中でも対応していくためには、一年前にある程度計画を決めておいて、ファインチューニングでこなしていくしかない。実はこの二年前、あと2年あるではなくて、もう1年しかないと思って、そこに向けて準備をしていくのが、広報も、マーケティングも、全体的な組織委員会の運営として必要なことです。
これらを前提に、ラグビーワールドカップ2019ではどうやったのか。大会五年前、この関係構築です。もちろんワールドラグビーという国際統括団体との関係もそうですし、一緒に開催都市を見て回った、私が入ったときはまだ一桁台の、最終的に400人近い組織委員会のメンバーになるのですが、開催都市の選考を一緒にバスに乗って行った形になります。最後までそういった関係性は生きたなと思うので、ここでの関係構築が重要です。また、自治体の皆様です。開催都市と一緒に、まず応募してもらうのが重要なことで、手を挙げていただいたところは感謝ですし、そこに向けての自治体とのコミュニケーションも密に行っていきました。
ラグビー好きなメディアとスポーツ好きなメディアはあるので、そういったところにも定期的に情報を共有していくのと、コアファンの応援がなければ成立しないので、コアファンにもどんな大会なのかを伝えていくのが五年前ぐらいの時期にやっていました。
この辺は認知向上施策で、アジア・アジアパラ競技大会の組織委員会も行われますが、いろいろなイベントに出ていって、お金を使ってマーケティングというよりは、イベントをやって、認知を上げていく期間が大会五年前となります。
大会四年前になると、大会の、前回大会が大体ありますので、杭州は三年前となっていますが、どのサービスレベルを前回大会でやったのかを目で見て、確認していくのが重要になってきます。これは必ずしも同じ国際大会だけでなくていいので、ほかの国際大会を含めて、サービスレベルは幅があります。そういった中でどこを選ぶかがあります。
細かい点で言うと、例えばメディアに出す食べ物は温かいか、冷たいかとか、そういうサービスレベルまで一つ一つの大会、実は定義されていまして、ラグビーとかだとメディアに対してアルコールを出すところもありますので、そういった細かいものが、全てのファンクショナルエリアで決まっているので、そういったところをしっかりと学んで、マキシマムとミニマムを決めていくために、視察は非常に重要だと思っています。決して前回大会が終わったからといって、ないわけではないので、ほかの国際大会や冬季の大会を見ても、必ず勉強になると思います。この辺は、非常に視察は重要かなと思っています。
四年ぐらい前になると大体PR戦略とか広報戦略を決定していく、これも1年2年かけて決めていく作業になりますが、こういった方向性で行こうといったところを現状のマーケットやスポーツ業界のチケットの売れ方みたいなものを研究しながら行っていく形です。
ベンチマークの設定は、先ほどの大会視察に似ていますが、このレベル感で行こうというのがそれぞれ変わってきますので、ここはラグビーワールドカップを参考にする、ここはオリンピック・パラリンピックを参考にする、ここは杭州大会を参考にするとそれぞれ決めていけるといいのかなと思っています。
四年前には開催都市の発表が、開催都市との連携を始めたので、組織委員会だけではなくて、行政の皆様と一緒になって進めていく体制ができました。
コアファン向けイベントは、会場の中でずっとラグビーを応援してくれる方に、ラグビーワールドカップの存在を知らしめていき、ポスター掲出、この辺は特に行政の方のお力をお借りすると、先ほども申し上げましたが、いろんな公共的な場所に貼らせてもらえるので、いかに長くタッチポイントをつくっていくかが重要ですので、そういったところを大会四年前からやっていきました。
4年あったから、ここから始めたから認知が上がっていったというところで、認知率自体はピュッと上がるわけではないのですが、そういったベースがあると、二年後とかに思い出してもらえるところがあるので、そういった、しっかりとベースをつくるのが四年前ぐらいになっています。
それで、アジア競技大会のほうも、アジアパラ競技大会のほうも、ポスターを制作されて、いろんなバラエティーができたり、新しいマスコットができたりもあるので、これに乗っています。
大会三年前です。この辺になると戦略を決めていますが、改善していくとか、より明確化していくとか、あとチケッティングの戦略が、特にラグビーは早くから、二年前からチケットを売り出しているので、その辺の戦略を決めていきました。先ほどのカスタマー・リレーションシップ・マネジメント、ファンの組織化とファン向けイベントも定期的に行ったのが三年前までの活動になります。
ラスト2年です。ラスト2年は、予算はここから使う時期になるので、基本的に戦略を決めて、予算をしっかりと投下しながらやっていく時期になります。ラグビーワールドカップ2019ではチケットの販売をして、コアファンから、開催都市の住民から、メールマガジン読者から一般販売につなげるような動きがありました。
あとマイルストーンイベントと言われる三年前、二年前、半年前、一年前、百日前、五十日前イベントをしっかりとやっていくことと、開催都市の皆さんと連携を深めて、開催都市特別サポーターをつくらせてもらって、そういった枠組みの中で、それぞれが御当地で有名な、愛知県だと矢野きよ実さんとか、Sonar Pocketさんとか、歌手のグループの方とかに着任してもらったのですが、そういった中で、それぞれ御当地で人気ある方の枠をつくった形になります。
大会一年前になると、マイルストーンイベント、この一年前イベントを、トロフィーツアーとか、試合の発表とか、予算を使ったオンライン上のマーケティングとか、あと開催都市と連携して、ラグビーの試合の誘致をしたり、バナーを貼ってもらったり、駅に広告してもらったりといったところを一年前から行って、大会前はそれをもっと盛り上げて華やかにやっていくなどで、最後に売れないチケットはメールマガジンを使って、必死で売っていくことをしました。広告、宣伝の要素も入れていったのが最後の年になります。
最近のマーケティングの潮流ですが、PRと言われるメディアに今までみたいにCMを流す形ではなくて、CMとかを流すのは直前期で、それまでにいかにPRでポスターを貼るとか、そういうものも一部宣伝にはなるのかもしれないですが、公共の場所を使うとそこまでの予算はかからないので、車内の中づり広告だと2日、3日で変わってしまうので、お勧めとしてはPRで一年ぐらい前までとか半年ぐらい前までやって、最後に広告宣伝を残していくほうが、広告予算の有効活用としても、最近のスポーツマーケティングの中の潮流としてもいいのかなと考えています。
実際の戦略です。マーケティングとコミュニケーションのマスタープランで、ラスト2年、どういうふうに迎えたかとなっています。まず大会を迎える前に、それぞれのテストマッチ、日本代表戦とか、海外同士の試合をそれぞれのラグビーワールドカップを行う都市でやって盛り上げをつくります。
メッセージは、どういうメッセージを届けていくかで、ラグビーの世界大会が来る、サッカーのワールドカップが終わったから次は我々だ、のようなメッセージ化をして、フェーズごとに区切って届けた形になります。
チケットは、先行販売でいろいろな策を使って身近に感じてもらうようにしたところがあります。
マイルストーンでマスコットの発表や、開催都市を行脚してトロフィーを見せたり、どういう試合が来るのかを決めていったりと、そのようなことをしながら最後、大会を迎える形になっています。
コミュニケーションのところでは、アンバサダーとか、何万人ものボランティアの方も、これも一つの機運醸成の大きな機会なので、ここも最大限使っていきます。また、ラグビーワールドカップではキャンプもありまして、キャンプ地を決めるのが12都市19自治体よりまた別にありましたので、そういった選考とか、自治体とも一緒に盛り上げていく枠をつくっていました。
最後に、できるだけフォーカスしていくデジタルですが、さきにやらないと一気に機運が盛り上がらないところもあったので、大会の三か月前から予算の8割はセーブしながら使い、売行きが怪しいところや、広告が効く土地柄、そういったところには新聞の枠を買うなどもしていました。
実際にチケットをどのように売ってきたのかは、一番最初がラグビーファミリーという、ラグビーの有料会員に入っている方々といったところに売り出しました。これは七日間だけ設け、販売日を大分短くしました。チケットは最初の3日と最後の3日だけやたら売れるのですが、間はほとんど売れないです。それをちょっと広く、三週間ぐらいにすれば、最初の一週間、最後の一週間が売れるので、スケジュールを区切って、希少感を出して、チケットも全部売り切るわけではなく、売り切れるような枚数だけ用意して売っていくことで、売り切れることによって人はほかの試合が欲しくなります。そういった心理的な要因もうまくなでながら、やっていきました。
最初のラグビーファミリーのところが売れたおかげで、その後のラグビーファミリーの三週間も売れやすかったですし、その後、開催都市住民も売れていると聞くと、シティプライドというか、おらがまちに来ることで、買ってもらえるので、ここも完売、それぞれ10万、20万のチケットを用意していたのですが、それぞれが半分ぐらいは先行で売れた形になります。
その後、ラグビーフレンズというラグビーをプレーしていた方、OBの方、OGの方で、これも100万人を超えるぐらいで、ここに向けて販売していきました。
最後、サポーターズクラブはメールマガジンに登録してもらった方なので、一般に近いのですが、一般よりもメールマガジンをさきに登録しているので、少し関与度が高い方で、そこまでに売り切れが出ていたので、ここのサポーターズクラブも最後に入会が増え、メールマガジン登録が殺到しました。12会場の皆様と40万人という、一緒に組織委員会と含めて、目標、ゴールを、40万メールアドレスを集めるというのをしっかりと掲げて、それを皆さんと一緒にやっていったところで、無事集まりまして、計画どおり販売できました。
ここまでで半分以上売り切れて、一般抽せん販売、三次販売までいくのですが、ここは小刻みよりは少し長めに売り出していって、売れないところは、ためていったサポーターズクラブをうまく活用しながら、希少感を出しながら売っていった形になります。
クリエイティブで見ていくと、大分早くからやっていて、まだ開催都市が決まってないときは、こんな形で、日本開催で、海外勢のラグビーの試合のところでやっておりました。これはほんとにコアファンのマニアックな、これを見てどこのチームか分かる方々向けです。ロゴもまだ古いです。
その後、開催都市が決まり、それぞれの自治体の名前を入れさせてもらってポスターを作りました。愛知県・豊田市バージョンももちろんあります。なので、貼りやすくなるといったらなんですが、組織委員会で作って納品したことによって、皆さんに貼ってもらえます。
その後、ロゴが変わったので、そのロゴの認知と、開催都市を入れ込んで、これも新たにここからスイッチということで貼ってもらいました。
その後、大会三から四年前で、先ほどの南アフリカの試合で盛り上がりを見せたので、急遽、日本代表寄り、組織委員会は本来、全ての国にフェアにいかなくてはいけないので、一つのチームを推してはいけないのですが、ここは盛り上がりのタイミングで、半年バージョンで、それぞれ自治体の名前も入れて、作って、認知を掲げていったところです。
大会二年前ぐらいになると、相手チームも含めながら、いろいろなブランドで色味とかも、この「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」というようなキャッチコピーもできてきましたので、こういうのをベースにやっていき、最後の1年は、「ザ・国際大会」という形でつくっていきました。
五年前の計画ですと、大会時はそれぞれアンバサダーとか応援団長に舘ひろしさんについてもらったり、嵐さんに応援してもらったりで、そういったポスターをつくりたかったのですが、思ったよりチケットが売れたので、ここはそういった著名人に頼らずにやっていこうということで、ここの最後は当初のプランと違って実施しないことになりました。
これはさらに違う例なのですが、私が日本テレビでFIFAトヨタカップを担当したときの例で、世界一のサッカー大会を伝えるのに、「地球一のサッカーを見よう。」というキャッチコピーを九か国語で表現したようなポスターを至る所に貼っていって、最終的に、大会のアンバサダーだった上戸彩さんとか、ほかの競技のアンバサダーの方にもいろいろとついてもらって、いろんな方が応援してくれているみたいなポスターを作りました。
ラグビーもその思想に近いところでやっていったところもあるので、まず国際大会感をどう伝えていくかがきっと重要になりますし、最後は、見知った方というか、著名人を使いながらのマーケティングは今も有効だと思っています。
その中で、おのおのの施策というところ、マーケティングと広報とチケッティングは連関してなくてはいけないと思っており、冒頭でお伝えしたように、メガスポーツイベントの究極の目的はチケット販売です。まずはチケット販売をどうやっていくかといったところを中心に検討していきます。
それをサポートするのが二つ目のカスタマー・リレーションシップ・マネジメントと言われる、メールマガジンだったり、チケッティングのIDだったりと、このデータの蓄積が重要です。大会後にそれをどう残すかまで長い目で考えて計画していくとなおよいかと思っており、ラグビーの場合は、そのときのIDを、最初から日本ラグビーフットボール協会も使えるようにデータを取得しておいて、我々が最終的に取ったIDデータは、日本ラグビーフットボール協会にお渡しして、残している形になります。
海外だとJSCみたいな機関が代わりに持って、国際大会のたびにそこにメールマガジンを送ることは、イギリスとかではやっていますが、日本ではまだそこまでになっていませんので、こういったところも大会後にどう残していくかとか、JOCも含めて考えていけるといいと思っています。
広報の戦略、フェーズによるターゲットです。先ほどのスケジュール感でも、フェーズでもありましたが、広く満遍なくやるより、短期的な締切りを複数設けてやったほうが、締切り効果がありますので、効きやすいなといったところは、チケット販売もほかの施策も含めて思いましたので、長期に大きなことをやるよりは、小さくでもしっかり仕込んでいくのが重要だと思っています。
特にスポーツですと、消えていったり、触れられないこともあったりしますので、タッチポイントを増やす方法を短期的に多く組み上げる方法を考えていくのが重要だと思いました。
トータルで見て、コストパフォーマンスのよい広報は、先ほどのポスター掲出も、いろいろなところで貼らせてもらい、行政の名前を書かせてもらうことによって、より長く貼ってもらうこともありますので、こういうのもしっかりやっていくとか、SNSとか、動画も入りますが、分かりやすくラグビーのワールドカップのプレーをひも解き、100万人の方に見てもらうのが6コンテンツぐらいできました。
値段からすると、かなりの方に触れてもらったので、分かりやすく、この大会ってどうなの、みたいなのを切り口としてやっていくところも重要かなと思っています。そのため、つくるだけではなくて、どういうふうに組み合わせていくかとか、どういうふうに触れてもらうかみたいな順番も重要と思っています。
あとはメディアとの関係構築です。こちらは一朝一夕にはできないので、プレスサイトをつくったり、プレスルームをつくったり、そこにコーヒーを出したりとかをして、使いたくなる素材を用意して、使用ルールを用意して、トップ懇親会を定期的に開いて、プレスリリースを定期的にやってと、どれだけ会えるか、これは一つ重要だったと思っています。
ラグビーワールドカップ2019は日本ラグビーフットボール協会のプレスルームを借りながら運営しておりました。東京2020オリンピック・パラリンピックは、社内にプレス室を用意して、日々やっていましたが、どちらかといえば社会部が多かったので、スポーツに来る前に結構、追及が厳しいときもありました。そういったときでも、しっかりコミュニケーションを取らないと、余計報道は膨らんでしまいますので、しっかりとコミュニケーションを取っていくことが大切かなと思っています。
その次の戦略、施策でいきますと、前回大会ですることは、担当者とのネットワークとか、どういったサービスレベルでどういったプロバイダーが、事業者がサービスを提供しているかで関係構築をして、サービスレベルを決めてくのが重要なところになります。
アンバサダー、大会マスコットもそうですが、大会の顔として重要です。「ホノホン」とかができていますが、しっかりと活用してくのが重要かと思っています。競技性や地域性などありますので、それぞれの開催都市とか自治体とか区とかまで、市とか区まで落としてのインフルエンサーとかもあるのでしたら、そこまでひも解いていくとか、それぞれの御当地マスコットもいると思うので、ラグビーワールドカップでもうまく権利のところは分けながら御当地のマスコットは活かさせてもらった形になります。
変にIFに入れると、権利を持っていかれてしまうみたいな感じになってしまうので、全都市をバランスよくやっていく中で一つ、くまモンがあったり、モリゾーとキッコロがあったりというところで組ませてもらったりするので、この辺は説明の仕方だったり、絵の描き方かなと思っています。
あとはSNSです。できるだけアカウントは絞っていき、一つのSNSに一つのアカウントみたいな形が重要なのですが、例外もあると思っています。例えば交通情報を伝えるのは別のSNSです。オペレーションと機運醸成でSNSは分けていくとよいと思っています。徐々にでもチケットを売っていくのが必要なところですので、そこのコアのところはターゲティングしながら広告で人を増やしていくところも大切かなと思っています。
危機管理広報は、危機管理広報のPR会社とか経験者の方もいると思うので、そこで一緒にやって、どれだけ悲観的に計画して、楽観的に対処するかが基本になってくると思います。特にオリンピック・パラリンピックの場合は、対応を誤るとダメージが残るものが多かったので、ダメージリカバリーを早く回復するためにも、しっかりと危機管理広報はしておいたほうがよいと考えています。
戦略施策リストの最後です。チケット販売のインターネットの不使用者対応で、基本的にオンラインでラグビーワールドカップ2019も東京2020オリンピック・パラリンピックもチケットを販売しました。ただ、取り残しているというような、いろんなクレームも頂戴しましたので、そうならないように、しっかりとお孫さんとか友人の方にも御購入してもらえますよと、その案内までしっかりとしていったところです。
ただ、売行きによって、EXPO2025大阪・関西万博のほうも、リアル窓口も保険として常にありましたが、どういうふうにやったら有用かは考えておくといいと思っています。基本的にはオンラインをどう生かしていくかが売りやすさになっていきます。
続いて放送局とのワンチーム体制です。ラグビーでは三年前から日本テレビと広告代理店、日本ラグビーフットボール協会や組織委員会で月次会議を行いまして、大会前まで5人の日本代表選手、リーチマイケルさんの名前を覚えてもらうためにバラエティー番組に出てもらうとか、試合だけではなくて、バラエティーで覚えてもらう、ニュースで覚えてもらうことをやりまして、それが大きく機能しました。放送局、アジア・アジアパラ競技大会、その辺やられているところはあると思いますので、そういったところとどうやって連携していけるかです。
最後、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピックの体制比較で、ラグビーワールドカップ2019は人数が400人ぐらい、東京2020オリンピック・パラリンピックは8,000人ぐらいの組織委員会のメンバーでした。ラグビーの広報、マーケティング部署としての私の評価ではありますが、マネジメントというよりは、どちらかというと現場に経験者が多かったので、現場判断で乗り切れたのがラグビーワールドカップ2019です。もちろんきちんとトップの嶋津事務総長を含めて、ラグビーワールドカップ2019もマネジメントは機能していたのですが、一部のところは、機能しなかったり、合わなかったりというところの方も一部いたので、そういったところはスタッフで乗り越えたところです。
逆に東京2020オリンピック・パラリンピックは、全く逆で、大所帯で、それぞれ入ってきた方の業務のサービスレベルの理解が全然違いましたので、要所要所に適切なマネジャー、リソース配置をし、組織力で乗り切ったのが東京2020オリンピック・パラリンピックでした。人数が多い、少ないでこの辺変わってくると思いますが、どちらでも機能はするところですが、そういう意味でも、組織的にしっかりと仕込むのも大事ですし、要所要所に今のマーケティングだけではなくて、このオペレーションとか国際大会を知っている人間を配置していくのが重要です。
これは東京2020オリンピック・パラリンピックの延期後の一部の例ですが、最後の1年、コロナで1年延期になりまして、どちらかというと守備の範囲です。一年前プログラム、大会をやるときだったころに池江璃花子選手にサポートしてもらって、国立競技場で聖火をともしてもらうことをやって、少し風向きを東京2020オリンピック・パラリンピックのほうに戻していったとか、プレイブックと言われる、感染対策をしてきちんと協議をするために書類を用意して、これらを遵守して大会を届けるよというようなメッセージを発信し、組織委員会の会長や事務総長の定例的な囲みということ、メディアの対応をしました。あと、ゲームズ・デリバリー・オフィサーがいたのですが、報道番組の行脚で、生放送番組にともかく出続けました。逃げずにしっかりと話して、我々はこういうふうにして安全に大会をお届けできると考えているということで、報道ステーションや、NewsPicksなどに出ていき、こういうのをしっかりと積み上げることによって、否定的な声はだんだんと減ってきました。
最後2ページになりますが、最初に申し上げたように三つのポイント、メガスポーツイベントの機運醸成に大切なことです。議会の皆様、行政の方々の支援として、大会の公式感の醸成、シティドレッシングとかそういったところを中心に、いかに持っているリソースをフル活用できるかが大切になってきます。
二つ目がファンの組織化です。チケットの販売をどう最大化するかで、どれだけデータベースをためられるか、レガシーに何を残せるかをトータルでデザインするのが大切です。
あと、コマーシャルパートナーや放送局、メディアで、ここは認知の最大化をベースにするために、放送スケジュールやCRMスケジュールの理解と調整、スポンサーがいつCMをやってもらえるのか、ホストブロードキャストがどういう放送スケジュールを組んでいるのか、その前に、テストイベントをどう放送するかを組めていけるといいと思います。この三つが国際大会、特に機運醸成で重要なことです。
最後のページです。大会で何ができるかより、大会後に何ができるかを考えるのが国際大会の一つの定石、成功の秘けつです。結局、国際大会は海外の輸入コンテンツであって、日本が生み出したものは多くないです。できること、できないこと、特にできないことが明確化されておりまして、特にスポンサーとかをまたぐとほぼできないところで、そこであがいてもしようがないです。
全員に愛される大会にするには、大会後に何を残せるかが一番重要だと思っており、それをベースに、一体何がアジア・アジアパラ競技大会で残せるかを前提に考えていくと、一つ大会の成功が見いだせると思っています。
私もラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピックとやってきましたが、まだ成功だとは思っておりません。これからの、フランス、パリ大会の中で、オペレーションのところでは東京2020オリンピック・パラリンピックのほうがよかったとお褒めの言葉ももらっていますが、いかにスポーツを見る、スポーツする環境がさらに整っていくかとか、ラグビーワールドカップでラグビーファンが、する方も含めてさらに増やしていけるかが重要だと思っていますが、実際に評価を受けるのは、十年後、二十年後と思っていますので、そういった長い目でどうやって大会後に残していくかが機運醸成の一番重要な秘けつです。
長々とお話ししましたが、以上、私からとなります。ありがとうございました。
(主な質疑)
【委員】
東京2020オリンピック・パラリンピックにしても、ラグビーワールドカップ2019にしても、ある意味で大変グローバルな視点の大会、全国規模の大会、こういうイメージがある。それと比較をすると、アジアの国の競技大会は、どうしても愛知県の大会に思えてしまう。
そうすると、ファン層にしても、開催地でPRするにしても、あまり広い感じではなくて、どうしても局所的なイメージがある。でも、チケットを売ろうと思うと全国から来てもらわなくてはいけないことになる。
例えばラグビーワールドカップにしても、試合をやらない地域もたくさんあったわけで、試合をやらないところから来てもらっていっぱいにしなくてはいけない。そうすると愛知県の場合は、北海道から来てもらうとか、沖縄県から来てもらうとか、大きな動きにならなければチケットは売れないわけで、そういう意味で、ファンはどういうふうにつくるのか、開催地じゃないところの遠方から来てもらう、その組織化をどう考えたらいいか。
あと、議会、行政の支援といっても、北海道の稚内で支援してもらうとか、沖縄県の石垣でしてもらうとか、そうなれば当然、いろいろなことが目に映るが、そういうワイドなものにどうやったらなるのか、その辺はどう考えていけばよいか伺う。
【参考人】
説明の中でもお話しさせてもらったように、100万枚から200万枚といった客席数がアジア・アジアパラ競技大会で狙われるところと思う。
もちろん主の会場になるところは愛知県、名古屋市だが、来る選手はそこに依存するわけではないので、日本の、アジアのトップレベルの競技を見られるところで、どう推していけるか、それがどう端的に伝えられるかが一つ勝負だと思う。
キャッチコピーの作り方だったり、日本代表選手が来るので、そこに向けたJOCだったり、それぞれの県のスポーツの団体だったりがそれぞれ組織化というか、メンバーやファンを持っているので、そこをどう集められて、ほかの競技もクロスボーダーで見ていくみたいなのが、ベースを押さえれば可能になると思うので、まずは足元からしっかりと押さえていくところと、それぞれに県の団体があって、日本政府みたいなところもあって、それぞれが役割を持っているので、そことコミュニケーションを取れば、そこの役割に応じたターゲットにリーチできると思う。
【委員】
そうすると、どうしてもさっきの話で、個々に固まるのではなくて、広い視野の中で我々も他の都道府県や他の市町村とのやり取りを考えながら展開をしていかないと、今のようにはならないと聞こえるが、そういう解釈でいいか。
【参考人】
あうんの呼吸でやってよ、みたいなことが、なかなか国際大会だと特に難しい。行政の方、議員の方、横のつながりをしっかりと生かしながらやれるところもあると思うので、政府にもラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟みたいなところもあるが、そういったところのコミュニケーションとか、あとは、キャンプ地とか、県外にキャンプを張られてから公式キャンプ場に入る団体、チームも多いと思うので、そういったところの選定の仕方、非公式的な、権利は与えられないが、それに似たような連合体とか、グルーピングみたいなのをしていって、応援してもらえるような素地をつくっていくとか、そういうふうにしてやっていけると少しずつ積み上げられるかと思う。
【委員】
愛知県で新しいファンを増やそうとしたときをイメージした場合、我々、様々な広報を打つ場合に、セグメントするわけだが、この東京2020オリンピック・パラリンピックにしても、ラグビーワールドカップ2019にしても、そういう意味でセグメントしながらPRしてきたことはあるか。
【参考人】
まずは取りこぼさないというか、先ほどの話であるが、コミュニケーションしないと、ラグビーファンだからといって来てくれるわけじゃない。2005年から2006年にある競技の世界大会が行われたが、これは赤字額もなかなかで、あまり成功したといえない大会であり、学生の競技者が40万人から50万人いたが、そこに正しくリーチしなかった。県に既にある競技者、ファン、そういうところをまずは取りこぼさないように一つセグメント化していって、新しいファンというのは、いろんなスポーツが開催されているので、そこからどう獲得していくか、みたいなところで、ベースをしっかりとアプローチするかといったところが大切だと思っている。それを一気に組織化していくところが、まだなかなかないところだと思うので、そこから始めると、レガシーも含めて積み上げられると思っている。
【委員】
機運醸成になると、愛知県というくくりでやることもあれば、国というようなくくりでやることもあれば、公式キャンプ場みたいな、開催ではないけれども、愛知県内のどこかの市がそういった練習場を提供することによって、競技はなくても愛知県全体で盛り上がるような仕組みを考えたり、やれることは何でも全部複合的にやっていくっていうのが多分機運醸成なのかなと思った。
でも最終的には、チケット販売に収れんさせるという、そこのゴールだけは動かないというような話だと思うが、チケットを売ろうと思うと、国内で何割ぐらい、海外で何割ぐらい、もっというと、海外でも、韓国、中国、あとはインド、インドネシア、あとはサウジアラビアだとか、そこら辺を狙っていかなきゃいけない。
競技によっても、アーチェリーだったら韓国を狙い撃ちしていったほうがいいのかとか、そういったのはあると思うが、そういう戦略的なもの、チケットの国内、海外、あとはターゲットづくりはどんなふうに考えたらいいか。
【参考人】
これは大会によって大きく変わる。オリンピック・パラリンピックだと、ほぼ国内のためのイベントで、あまり海外から来ないというのが実際のところで、チケット率もほぼ90パーセント、95パーセントが日本国内であった。
翻ってラグビーワールドカップの場合は、40万枚が海外で売られて、日本は145万枚というところになるので、パーセンテージとしてはそのぐらいになっている。
ラグビーの例を参考にしていくと、どのぐらい来るかというのを文部科学省からも問われ、数字を出したが、ニュージーランド大会が10万人ぐらいの観光客だった。どこからもそんなに近くなく、かなり距離があるので、そこが10万枚で、逆にイギリス大会は50万枚だった。50万人が来たというところで、日本だったらその中間の、どこからでもそこまで距離がないので、来られるみたいな計算の仕方で20万人、40万枚みたいなところを計算して、実際にそこがビンゴとなった。
過去大会、新たに人が来る、スポーツを見て人が来るというのは、なかなか難しいことだと思っていて、常に来る大会の率というのは、ある程度、地政学が変わらなければ同じなのかなというふうに思っている。過去大会でここの8年、12年とかをひも解いていくと、おのずとこのぐらいの数が海外の方から来るというのは、現実的なラインが引けると思っている。
ただ、オリンピック・パラリンピックと同様で、このぐらいの規模のイベントになると開催国の開催都市のためのイベントというような要素は非常にある。まずしっかりそこを押さえた上で、この機会だからよりインバウンドの方を招くといったところをアジア・アジアパラ競技大会も一つのトピックとして誘致していく。そこは観光の話になってくるかもしれないが、力を合わせてやっていくという形で、自然にインバウンドの方がこの大会だから来るっていうのは考えにくいので、そこは戦略的にやっていかないと誘致できないと思う。愛知県にはいろいろな魅力的なテーマパークもあるので、観光部署と組みながらやっていけると、少しでも増えるのかなと思っている。
【委員】
そうするとチケットの売り先は、基本的には国内を中心に見て、余力があれば、幅広に海外にも展開ができるところはやってもらえればいい、みたいな感じのスタンスになるわけか。
【参考人】
そのとおりである。
【委員】
過去のこういった大きな大会を見たとき、ラグビーワールドカップ2019のときは、愛知環状鉄道に合わせる格好でIC乗車券を展開するということになった。大会にかこつけてとはいわないが、インフラ整備がすごくその面で一面進んだところがあったりもするが、これを機に社会変革の中での今足りてない部分を加速化させるのもあってもいいのかなと思うがどうか。
【理事者】
私どもはレガシーも非常に意識してやっているが、例えば今年度から宿泊施設に、備品も含めてバリアフリー化を進めるという愛知県宿泊施設バリアフリー整備推進事業費補助金を交付している。それはアジア・アジアパラ競技大会のためというよりも、その後の、障害者の方の観光客が宿泊施設を使って、愛知県内でスムーズに泊まってもらえるような施設をたくさん増やしたいという意図から、アジア・アジアパラ競技大会推進局でやっている。
これはアジア・アジアパラ競技大会のためよりも、その後のことを考えてやっている。
【委員】
今こういう社会変化が起きているのは、このアジア・アジアパラ競技大会がきっかけだったと言われるような、もっとドラスティックに、ドラマティックに展開ができる話題があると、面白いなと感じる。
【委員】
大会後に何ができるかを考えることが大事だとある。一つがバリアフリーもやっていくことがレガシーになるという意見があった。
過去に東京大会や広島大会があったと思うが、こういったところは、終わってから、何かずっと続いているレガシーがあったと何か参考になるものがあるのか。また、今まで日本国内でやったこういった大会の後に、レガシーとして残っている、継続しているような事例が何かあったら教えてもらいたい。
【理事者】
ラグビーワールドカップ2019の後であったが、例えばパロマ瑞穂ラグビー場のトイレなどがリフレッシュされ、いろいろなものが形として残った。
また、わかしゃち国体で、カヌーがみよし市で開催され、そのみよし市が、今もカヌーの町ということで、地域から選手を出している。今回もアジア・アジアパラ競技大会の会場として使われるというようなことが続いているので、そういうことを増やしていく。それから、愛知県総合射撃場も、この機会にバリアフリー化がかなり進む。そういったことをやりながら、トップアスリートアカデミーとか、そういう子供たちの育成もやっているので、いろいろレガシーをつくってつなげていければと思う。
十年、二十年先というようなこともあるが、種をまいて、芽を少しずつ出していく、そのようなことを目指したいと思っている。
【委員】
こういった大会で、いろいろなスポンサーが来ると、当然そこに対する規制が出てくると思うが、そこら辺の規制というのはどういうものがあって、これはどういうふうにクリアしていくか、教えてもらいたい。
【理事者】
当然今後、大会スポンサーというものがついてくる。この大会を行うに当たって、スポンサーの権利が当然あり、協賛金を出していることで、大会スポンサーを守っていかないといけないということがある。組織委員会で、どういったスポンサーの守り方があるかも、しっかりガイドライン等で固めて、スポンサーを保護していくことが大事になるので、そういったことを周知することも大切になってくる。そういったところをしっかりやっていきたい。
【委員】
明文化されていないサービスレベルというものがあり、これがキーになると思ったが、東京2020オリンピック・パラリンピックの評価が、今になってパリ大会と比べて、おもてなしの部分でよかったのではないかという評価が出てきている。
上村参考人もシドニーオリンピック・パラリンピックであったり、東京2020オリンピック・パラリンピックであったりと、またラグビーワールドカップ2019であったり、そういう国際大会を経験されてきて、これからアジア・アジアパラ競技大会が開かれるに当たって、来る選手に対してのおもてなしというか、そういった今後を見据えたレガシーをつくるに当たって、今、サービスレベルというのは、世界はこうだよというアドバイスがあれば教えてもらいたい。
【参考人】
国民性によっても大分変ってくるが、日本人はそのままで人への対応はすばらしいので、そのままでグローバルに通じると思う。何か変えていくのではなく、これまでの日本が培ってきた伝統文化と自信というか、そのようなおもてなしの心といったところをしていけば、グローバルでも通じると思うし、逆にそれがモデルになると思う。
ハードで残るレガシーもあれば、ボランティアのスタッフ、これもレガシーだと思っていて、ラグビーワールドカップ2019はその後、レガシーとして同じボランティアスタッフの方で活動して、活躍している例もあるので、そういったソフトの面での残し方もレガシーであるといえる。
マニュアル化していくのが難しいが、日本のこれまでの培ってきたところを存分に出せば、世界で十分通じると思う。
どこをこだわるかは、世界の情勢に合わせていくところで、それぞれ世界でどういうことをやっているのか、前回大会が一つのベンチマークになるのは間違いないので、そういったベンチマークをきちんと学んで、それに類して、日本は取り入れる、取り入れないと、選択していけばいい。
なかなか全体的な国民性で、大きく変わってくるので、一概にはいえないところではあるが、全部を100パーセントは難しいので、その中で、きちんと哲学を持って決めていければ、ほかにないアジア・アジアパラ競技大会ができると思う。
【委員】
チケット販売のみにフォーカスすべきとあったが、このアジア・アジアパラ競技大会で見たときに、チケット販売の成功の数というか目標値というのは、どれぐらいの設定が正しいのか。
【参考人】
大会にもよるが、一つベンチマークにするとしたら、収支が重要になってくるかと思う。その中で、チケットの売り方、値段、枚数、各会場によっても大きく変わってくるので、その中で決めていくが、一般的に80パーセント近く入っていれば満席に見えることもあるので、テレビの見え方とか含めると、そういうのが参考になる。ホスピタリティー席、高級な席が少し売れていれば、収支的にはかなうときもあったりするので、必ずしもその80パーセントが何かというところではないが、その辺がベンチマークにされていることは多い気はする。
【委員】
収支、最後は平たく見ないと、それは成功うんぬんというのが最後まで分からないところでもあるというふうな理解でよいか。
【参考人】
来場者が見てどう感じるかが大切なのと、組織委員会としてはやはりビジネスでもあるので、そこで収支がというところで、せめぎ合いではあるとは思う。組織委員会のことだけで考えると、どれだけしっかりと組織委員会としてビジネスにしていくのかは重要なところではあるので、そこで取れれば取れるだけいいということは、ビジネス上で、特に日本でスポーツビジネスが根づいていくには必要なところではある。そこは確かにこだわっていくところだと思う。
その中でも、値段をどう決めて、このぐらいはきちんと取り切れるみたいなところを計算していくというのが重要かと思う。インバウンドの方で、来る一定の数といったところもしっかりと取り残さないようにしていくというのも重要である。今後それをチケットの販売に向けてどう向かっていくかだと思うが、まだまだそこには時間があるので、きっちりとリサーチをして、値段設定していくことが重要であり、その先にそのパーセンテージの数字はあると思う。
【委員】
まだまだ日本だと、スポーツビジネスというところが弱いところだと思っている。このアジア・アジアパラ競技大会がそういったところの一つのコンテンツになってくるとよいと個人的にも思っている。
例えば社交の場としてスポーツのⅤIP席が使われるとか、プレミア感をつけようとしたときの値段設定というのはまさに必要な部分だと思う。そういったときに、先ほどお金をかけてマーケティングをしていくという話だったが、プレミア感をつけようとすると、どういう形が一番やりやすいか。
【参考人】
どういうサービスをするかと表裏一体ではある。部屋とか座席のしつらえ、あと見えやすさなどの変わりというところがある。そこに飲食とかサービスを含めて、このぐらいみたいな、ホテルライクだったらホテルの五つ星、四つ星、三つ星といろいろあるが、そういったグレードで値段を決めていくというところになる。
特に海外からいつも見に来る方だとか、オリンピックファミリーみたいな、サービスを受け慣れしている方には、しっかりとそれなりのサービスをといったところが重要なのかなと思う。
その辺の数というのは、組織委員会のほうが、これまでの大会のところで十分把握していると思う。必ずやらなくてはいけないところと、これからやっていくとさらにエクストラの狙えるようなところは狙っていくのではないかと思うが、国際大会はそもそも複雑なので、できる限りチケットの券種とかはシンプルにしていくほうが、オペレーション上はいいと思う。ラグビーワールドカップ2019も値段設定はいろいろとあったが、実は一つの会場、一つの試合で4カテゴリーの値段しかない。どれだけシンプルにしていくかといったところと、愛知の中のほかの事例、バンテリンドームナゴヤの事例とかいろいろ学びながら決めていくというのがいいのではないかと考えている。
あとは、カテゴリーは四つと言ったが、カテゴリーの数も最初からカチッと決めないで、途中でパーセンテージを変えている。売行きに乗じて見ていく、フレキシブルにやっていくというのも重要かなと思っている。
【委員】
ボランティアスタッフの確保もレガシーになるということで、今、各市町、また県も含めてだが、スポーツコミッションだけではなく、フィルムコミッション等でも、ボランティアの確保によって投げかけにどれだけすぐ応じられるかが、その選択のところの一つの規準になってくるということも、民間側から声をもらっている。また、そういった重要性等を持っていくと、産官学、市民活動、そういったところが横串をさしてやっていくことが必要だと、改めてこのアジア・アジアパラ競技大会の意義、目的を感じた。
【委員】
盛り上がりや機運は、若干抽象論になってくるが、客観とか、あるいは定量で測るのがチケットになってくると思う。それ以外の部分で、盛り上がりとか機運というところで、指標になるものがあれば教えてもらいたい。
一方で、主観とか、あるいは定性であっても大切なことだと思う。何となく感情的なことでも、そうしたことも含めて、自治体とか、あるいは政治側が今後なすべきこととして、どんなことが役割として、やってもらえるとありがたいことがあれば、ヒントをもらいたい。
【参考人】
まず一つ目のほうで言うと、可視化できないものというのは、空気感といったところでいつも難しいなと思うので、できるだけ可視化できるほうにというので、チケットが非常に分かりやすい。最初の収入が入ってくるまで、組織委員会側として不安だったが、スポンサーが決まり、チケットが売れると、それだけで空気が大分よくなるので、ベースとなる積み上がった数字というのは重要と思う。
一方で、空気感は、認知率とかである程度測れたりもするが、見えないところもあるので、行政の方のところのポスターを貼らしてもらう枠とか、バナーを貼らしてもらうとか、うまく活用できるといいと思う。
議員には、これまでもいろいろと支援してもらっているが、ルールを大きく変えるというわけではないが、解釈のところで、前例のあるものに関してスポーツのイベントでも活用できるみたいなところが、支援とか、それぞれの町が協力してもらえると、組織委員会側としては助かった。