委員会情報
委員会審査状況
一般会計・特別会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年11月5日(火) 午後1時1分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
石井芳樹、天野正基 正副委員長
横井五六、神野博史、高桑敏直、政木りか、林 文夫、宮島謙治、
高木ひろし、松本まもる、山口 健、古林千恵、末永けい 各委員
学事振興監、
教育長、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、教育部長、教育改革監、
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進局長、
アジア・アジアパラ競技大会推進監、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和5年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第9款教育・スポーツ費及びこれに関する歳入
<会議の概要>
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 閉 会
(主な質疑)
《スポーツ局、教育委員会関係》
【委員】
令和5年度決算に関する報告書329ページ、4の心豊かな児童生徒育成推進事業費について、表の上から3段目のSNS相談事業について伺う。
昨年度、小中学生を対象としたSNSによる相談の実施とあるが、昨今増加の一途をたどる不登校児童生徒や、いじめに悩んでいる児童生徒等の相談窓口として大変有意義なものであると考えている。
そこで、SNS相談の具体的な事業内容と周知の方法について伺う。
【理事者】
SNS相談は、対面や電話で悩みを相談することが苦手な子供の受皿として、ラインによる相談窓口として、あいちこども相談を昨年5月16日に開設した。小学校4年生から中学校3年生を対象に、毎週火曜日、木曜日、日曜日の週3日午後4時から午後10時まで臨床心理士等の資格のある相談員3人が匿名による相談に応じている。夏休みや冬休みの長期休業明けに登校への不安を持つ子供が増えるため、長期休みの終了前後の2週間は毎日開設している。
次に、周知の方法として、SNS相談について記載されたチラシを児童生徒に配布している。また、そのチラシを学校内の掲示板に掲示し、児童生徒が使う一人一台端末の画面上に掲載している。県教育委員会のウェブサイトにもチラシと同じ内容を掲載するとともに、県の公式ラインや県教育委員会の公式エックスでも発信しており、現在はあいち、こども、相談などのキーワードを検索すると上位の候補として挙がるようになっている。
【委員】
次に、SNS相談にはどれくらいの子供から相談があるのか、昨年度と今年度の登録者数と相談件数について伺う。
【理事者】
まず、登録者数であるが、昨年度は3月末時点で667人であった。今年の9月末時点で832人となっており、徐々に増えてきている。次に、相談件数について、昨年度は598件であり、今年度は9月末時点で359件となっている。年単位で考えると、昨年度より2割ほど増加が見込まれる。
なお、時間外に相談があった場合には、相談時間内の相談を促す自動メッセージが送られるようになっている。
【委員】
次に、今後相談できる曜日や時間などを変更する予定があるのかどうか、今後の在り方についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
今年8月から利用者に任意で満足度や要望等のアンケートを行っており、現行の午後4時から午後10時が相談しやすいとの結果も出ており、今後も利用状況やアンケート結果等を踏まえ、必要に応じて見直していきたい。
【委員】
私の地元、知多市において小中学生の不登校児童生徒が年々増加している中、不登校の児童生徒の親と定期的に話し合う機会を私は設けており、気軽にSNSを通じて相談できる仕組みづくりは大変ありがたいという声を聞いているため、引き続き、SNSを活用した相談事業の充実に積極的に取り組んでもらうよう要望する。
【委員】
決算に関する報告書の330ページ、7のスクールロイヤー設置事業費について伺う。
スクールロイヤーは学校内の様々な問題の相談に応じる弁護士として、2020年度から都道府県、指定都市の教育委員会が弁護士に相談する際の費用を地方交付税で負担する制度である。スクールロイヤーには明確な定義がないとする見解もあるが、日本弁護士連合会ではスクールロイヤーを学校で発生する様々な問題について法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士と位置づけている。それに加え、文部科学省は、学校や教育委員会への過剰な要求の対応などスクールロイヤーに代理人業務も含めることが適切な事案もあるとしている。このように、スクールロイヤーの立ち位置や業務内容が不明確であるため、スクールロイヤーに選任された弁護士もどこまで対応すればいいのか分からず、対応が不完全になってしまうこともある。
愛知県におけるスクールロイヤーの主な業務を伺う。
【理事者】
愛知県におけるスクールロイヤーの業務としては、相談業務と教職員研修があり、相談業務ではいじめ、不登校、虐待、保護者とのトラブル等、様々な問題に対して法律に照らして学校がどのように対応すべきか助言を行っている。
教職員研修では、学校の管理職等を対象に、いじめ防止対策推進法や子どもの権利条約等に関する解説、トラブルや安全配慮に関する望ましい対応等について研修を行っている。
【委員】
企業や病院などの組織においても法的な介入が必要な事例に関しては早期発見し、解決に導くようインシデントレポートなどの蓄積を検討する手法が用いられている。教育現場においての事例検討の方法及びその後の弁護士への相談の流れについて伺う。
【理事者】
学校で様々な問題が起きると、管理職や教務主任、養護教諭、学年主任、学級担任、必要に応じてスクールカウンセラー等と対策会議を行い、事実確認と支援、指導の方針を決めて具体的な対応を行う。その中で、法的に相談する必要がある場合にスクールロイヤーに相談することになる。スクールロイヤーへの相談の流れについては、学校から市町村教育委員会を通じて教育事務所に相談依頼する。緊急性の高い場合はすぐに相談できるようにしている。
【委員】
令和4年度、令和5年度の一般会計・特別会計決算特別委員会においてもスクールロイヤーについての質問が繰り返しあったことは、教育現場の負担軽減のための法的な介入がとても重要であり、県としてもしっかり続けていく事業であることの表れである。
そこで、令和5年度における相談件数及び相談時間、研修開催の回数、経年別の相談件数の推移を伺う。
【理事者】
令和5年度の相談件数と相談時間については、170件で228時間であった。また、教職員研修の開催回数は21回であった。相談件数の推移としては、初年度の令和2年度は140件、令和3年度140件、令和4年度は143件、令和5年度は170件となっている。
【委員】
決算に関する報告書の325ページ、1のラーケーション推進事業費では、ラーケーションの日が円滑に実施されるよう、市町村に委託して小中学校に校務支援員を派遣するモデル事業を実施してもらっている。決算額3億4万1,892円の内訳と事業の成果、また課題について伺う。
【理事者】
令和5年度は名古屋市を除く53市町村においてラーケーションの日を実施しており、モデル事業については、そのうち18市町の430校に参加してもらった。この事業は、昨年6月に補正予算を認めてもらい、モデル事業に参加する学校へ校務支援員を週20時間配置することができた。9月以降準備のできた市町から順次開始してもらったが、年度の途中であったとこともあり、校務支援員を確保するのに苦労した市町もあったと聞いている。
一方、モデル事業を実施した学校を対象に今年1月に行ったアンケートでは、9割以上の学校から校務支援員の活用は有効であるとの回答をもらっており、感謝の声も聞いている。校務支援員を活用することでラーケーションの日の導入に伴う事務負担の軽減を図ることができた。
【委員】
教職員で自分の子供のラーケーションの日のために有給休暇を取得した人はどのくらいいたのか。
【理事者】
実際の休暇の取得状況は調査していないが、今年1月に行ったアンケートで、対象となる教職員に自分の子のラーケーションの日のために有給休暇を取得したかと尋ねたところ、取得したと回答した割合は4.4パーセント、取得する予定と回答した割合は4.7パーセントであった。
【委員】
有給の取得率があまり多くない印象を受けるが、今後の取組について伺う。
【理事者】
今年度は年度当初から事業を始めることができ、多くの市町村が校務支援員を確保し、順調に活用してもらっている。校務支援員を配置する本事業は大変好評であり、ラーケーションの日を円滑に実施、定着させるためには学校への人的支援は必要である。今後も校務支援員の継続配置ができるように努めていく。
【委員】
私が現場で話を聞いたところ、配置された校務支援員はラーケーションの日に直結する業務だけでなく学校全体の業務の改善につながる仕事、業務に従事させることができるため、教員の多忙化解消にも有効であると聞いている。ラーケーションの推進には必要な事業である。
2023年9月4日付けで大村秀章知事から、子供がいる教員にはラーケーションの日を機会として休暇を取ってもらい、家族とともに豊かな時間を過ごしてもらいたいというメッセージも出ており、また、今後も休み方改革を推進し、教職員が休暇を取得しやすい環境づくりをしていくこともメッセージとして発信しているため、今後ともしっかりと予算を確保してもらい、継続して取り組んでもらうよう要望する。
次に、決算に関する報告書332ページ、14のキャリア教育推進事業費、2,213万4,402円であるが、学校から社会への移行が円滑に行われるように、産業界等と連携したキャリア教育を対象の各学校の科目に合わせて推進している。その中で、決算に関する報告書333ページの表の最下段にある産学連携地域活性化事業について、この事業では、二地域三校での実施とあるが、事業の内容と開催地域、参加した企業数、生徒の数はどのくらいか、またその成果と課題について伺う。
【理事者】
県教育委員会では、高校生が地域の企業の魅力を知り、地元への愛着を深めることで地域産業を担う人材を育成するため、昨年度、新城市と美浜町で就職を希望する高校2年生と地元企業のマッチングフェアを行った。新城市では12社の地元企業と120人の生徒が参加、美浜町では7社の地元企業と27人の生徒が参加し、企業から直接地域の魅力や地域で働くことの良さについて説明があり、生徒からは、地元企業の魅力を発見できた、企業からは、生徒と直接話せる機会は貴重であった、また学校からは、この事業を通して生徒は地域にある様々な業界を知ることができ、進路選択の幅を広げることができたとの報告を受けており、有意義な取組になった。
二地域において有意義な取組を行うことができたので、この取組を充実させるとともに他の地域でもこの成果を生かしていくことができないかと課題意識を持った。
【委員】
この取組について、昨年度の取組や課題等を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
今年度も新城市、美浜町の二地域でマッチングフェアを行い、この取組をしっかりと定着させていく。さらに、今年度は観光ビジネスコースを持つ県立足助高校のある豊田市、企業連携コースを持つ県立幸田高校のある幸田町、来年度地域探究科を設置する県立美和高校のあるあま市の三地域においても地元商工会や企業と連携した取組について話合いを始めている。
【委員】
五つの地域で実施していくことは、我が党の辻󠄀秀樹幹事長も9月定例議会の代表質問で取り上げており、中小企業の人材不足というのは他の地域でも深刻な問題である。この産学連携地域活性化事業の取組の手法、ノウハウ等をしっかりとまとめてもらい、各県内の商工会と連携して、他の地域にも積極的に拡大してもらうよう要望する。
【委員】
委員の質問に関連して、決算に関する報告書の325ページ、1のラーケーション推進事業費について伺う。
昨年度は18市町430校でのモデル事業が展開されたとあったが、今年度は参加状況はどうなっているのか。また来年度の参加見込みについて伺う。
【理事者】
今年度は35の市町村がモデル事業に参加をしている。また、来年度についてはモデル事業の対象となる名古屋市以外の53市町村に参加希望を確認したところ、ほぼ全ての市町村が参加の意向を示した。参加を希望する全ての市町村で校務支援員を配置できるよう予算確保に努めていく。
【委員】
ラーケーションの日は愛知県全体で行う休み方改革プロジェクトの取組の一つであるため、愛知県全体で取り組んでもらうことで意味があるものになる。名古屋市長も新しい人に代わるようなので、再度名古屋市と調整してもらい、今後は愛知県全体で取り組んでもらうよう要望する。
次に、決算に関する報告書の336ページから337ページ、部活動指導員配置事業費について、部活動の指導員はどのような基準で任用しているのか。
【理事者】
県立高校の部活動指導員については、教員免許状を有すること、または部活動の指導経験を5年以上有することを条件としていたが、ダンスや和太鼓など多様な部活動指導に対応するため、2022年度に資格要件を改定し、日本スポーツ協会公認スポーツ指導者など部活動に関して専門的知識や技能を有すると校長が認めた者についても任用できるようにしている。
【委員】
部活動というと、文化的なものから運動部を含めて幅広い部活があると思うが、特に部活動に関しては体罰や勝利至上主義に基づく指導など、過去にも全国的に問題になったところもあり、そういった観点から行き過ぎた指導が懸念されると思うが、部活動指導員の資質の確保に向けて県としてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
県では、2018年に部活動指導ガイドラインを策定し、体罰や勝利至上主義などの行き過ぎた指導にならないよう各学校を指導している。部活動指導員を各学校において任用する際には、校長が面談において部活動指導ガイドラインの内容を説明し、これを遵守させる。また、保健体育課主催の研修を年2日間開催し、部活動の教育的意義や体罰等の防止などを学ぶことで指導員の資質の向上を図っている。
【委員】
部活動については、これまで教育的観点から顧問が教員であったが、外部の指導員を任用すると、教育的観点が薄れてしまうことを懸念している。例えば、運動部であれば出席率の高い人は実力にかかわらず試合に出すといったことも含めて、指導してもらうよう要望する。
続いて、決算に関する報告書の364ページから365ページにかけて、5の私立幼稚園授業料等軽減補助金のうち、365ページの一番上の区分、満3歳第三子についてどのような補助内容なのか伺う。
【理事者】
私立幼稚園等への就園に係る多子世帯の保護者負担の軽減を図るため、18歳未満の子が3人以上いる世帯の3人目以降の幼児のうち当年度満3歳となった幼児、いわゆる満3歳児の入園料や授業料を無償化する事業を実施している。満3歳児についても国の幼児教育無償化の対象となっているため、本事業においては、年収680万円未満の世帯を対象に、国の幼児教育無償化の上限額30万8,400円を上回る部分を対象として補助している。
【委員】
法人数が59法人で約700万円が補助されているが、補助した幼稚園数と園児数について伺う。
【理事者】
補助対象となった園児が在籍する幼稚園数は84園、園児数は185人となっている。
【委員】
次に、決算に関する報告書367ページから368ページの13の私立学校安全特別対策事業費補助金について伺う。
368ページに記載されている表の一番下、性被害防止対策に関わる支援についてどのような内容の補助なのか伺う。
【理事者】
被害を認識しがたい、または被害を相談することが困難な子供たちの性被害を防止するため、幼稚園や保育所等における性被害防止対策に関する予算が令和5年11月に国の補正予算で成立した。これを受け、私立幼稚園に対する支援に必要な予算を令和5年12月県議会で計上したものである。私立幼稚園がパーティション等の設置による子供たちのプライバシー保護や、保護者からの確認依頼等に応えるためのカメラ設置などに対して補助するものであり、負担割合は県負担が2分の1、設置者負担が2分の1となっている。
なお、県負担分の財源は全額国庫支出金となっている。
【委員】
金額は79万円で多額ではないが、補助した幼稚園数と実際にどういうことに補助したのか伺う。
【理事者】
補助した幼稚園数は18園である。補助の内容は、パーティション設置に対する補助が14園で補助額は59万616円、カーテン設置に対する補助が2園で補助額は10万円、カメラ設置に対する補助が2園で補助額は9万9,390円となっている。
【委員】
全体的に件数として少ないというイメージを持った。カメラ設置は2園と答弁があったが、カメラはどのような使い方をするのか。
【理事者】
国の説明によれば、カメラは保護者からの性被害等の確認依頼があった場合、録画された記録により性被害等の有無を確認するといった使い方を想定している。
【委員】
子供に対する被害というのはなかなか発見しづらいので、カメラについては適材適所に配置するように、園のほうにもアナウンスしてもらうよう要望する。
決算に関する報告書の373ページ、10の選手村後利用基盤整備事業費負担金について伺う。
選手村後利用事業については、名古屋競馬場の移転に伴ってその跡地を利用してまちづくりを行うとともに、アジア・アジアパラ競技大会開催時には選手村として利用する計画であったと認識している。この選手村後利用事業とは、当初どのような事業内容であったのか伺う。
【理事者】
当初、2026年に開催するアジア・アジアパラ競技大会のメイン選手村として名古屋競馬場跡地を利用し、その検討に際しては大会時の選手村を計画するだけでなく大会後もレガシーとして有効活用されるよう大会を契機としたまちづくりを併せて進めることとした。このまちづくりは、民間活力の導入により新たな地域の拠点としての都市機能を誘導し、適切な土地利用転換を図るとともに後利用事業で整備する施設の一部を大会時の選手村施設として一時使用するもので、2020年10月に後利用事業を担う民間事業者を募集し、2021年6月に中部電力を代表法人とする事業者グループを契約候補事業者として決定した。
現在は、事業者グループと不動産鑑定評価に必要な事項を整理しており、それが整い次第、不動産鑑定評価を経て土地売買契約を締結する予定としている。その後、2030年度末までのまちびらきを目指し、事業者グループが施設の設計や整備を行っていく。
【委員】
当初は選手村として使う予定であり、レガシーとして有効活用することは理解できるが、選手村として整備を計画していたときに、後利用事業で整備する施設をどのように選手村として活用する予定であったのか。
【理事者】
選手村の整備に当たり、事業者グループが整備するマンションや福祉施設などを大会時に大会組織委員会が選手村の施設として一時使用するとともに、不足する施設については仮設施設として整備する予定としていた。選手村として一時使用する施設は事業者グループが外装までを整備した上で、その後選手村施設として使用できるように大会組織委員会が選手村仕様の内装工事等を2026年3月までに完了し、2026年4月から選手村としての一時使用を開始する予定としていた。
選手村として一時使用した後は、大会組織委員会が選手村として一時使用した施設及び仮設施設の解体、除却工事を2027年4月までに完了し、その後2027年5月から事業者グループが選手村として一時使用した施設の内装等の工事及び選手村として一時使用しなかった施設の工事に着手した後に、2030年度末までにまちびらきを目指すことを予定していた。
【委員】
アジア・アジアパラ競技大会の選手村については、名古屋競馬場跡地で選手村整備をする当初の計画を聞いたが、選手村整備がなくなることによって後利用事業の内容や工程に影響があるのではないか。
【理事者】
事業者グループの計画は、大会終了後のまちづくりを前提としており、選手村整備は後利用事業の途中段階の一時期に関するものにすぎないため、計画から選手村整備に関する事項を取り除いても影響は限定的である。また、後利用事業の工程に関しては、名古屋競馬場跡地での選手村整備取りやめの方針に伴い、事業者グループと協議を行い、引き続き事業継続することで調整しており、募集要項で定めた2030年度末までの、まちびらきに影響はない。
【委員】
事業者としては事業計画の継続が難しくなると思われるが、そのあたりは事業者との調整の中でどのような回答をもらっているのか。
【理事者】
事業者からは、現在の募集要項及び基本計画に基づいて、引き続き事業を継続していくことで同意を得ている。
【委員】
選手村というプレミア感がなくなることは痛手だと想像するが、事業者グループにとっては、事業として継続してもらえることが分かった。アジア・アジアパラ競技大会のレガシーが失われることから考えると、このまちに来てもらえるような魅力あるまちづくりを講じる必要があると思うがどうか。
【理事者】
大会終了後の2030年頃を見据えて将来のまちづくりの方向性を示すために、県と名古屋市は2020年3月に後利用基本構想を策定している。事業者グループの計画はこの将来のまちづくりを見据えた基本構想を踏まえた提案であり、目指すべきまちの姿として掲げているGO ACTIVE、GO ASIA、GO GREEN、GO FUN、GO FUTUREの五つの夢が提案内容に反映されている点も2021年6月の事業者決定の際に高く評価されている。具体的には、大会終了後の魅力あるまちづくりを前提に多様な人々がつながり、共につくる次世代型のまちづくり、ウェルネス・アソシエーションをグランドコンセプトに、それを実現するための事業内容が計画されている。
こうした経緯を踏まえ、県としてもさらなる魅力あるまちづくりに向けて事業者グループが行う後利用事業に対し、名古屋市とともに連携しつつ協力していきたい。
【委員】
決算に関する報告書の354ページの特別支援学校整備事業費、1の施設整備費について、県の特別支援学校には全校防犯カメラが設置されていると聞いているが、各学校ではどのような場所に何台ぐらいカメラが現状設置されているのか。
【理事者】
2016年7月に神奈川県相模原市にある障害者施設津久井やまゆり園で発生した殺傷事件を受け、分校、分教室を含む全ての特別支援学校34校に防犯カメラを設置している。各学校では不審者の侵入を防止するため正門や昇降口などに2台の防犯カメラを設置している。また、寄宿舎のある学校では寄宿舎の入り口にさらに1台を追加して、計3台の防犯カメラを設置している。
【委員】
池田小学校事件の前は、小中学校も校門を開いて地域に開かれた学校を目指しましょうとやっていた。池田小学校の事件が起きてから180度方向転換して、門を閉ざして外部から侵入できないようにし、やまゆり事件も契機にして特別支援学校では特にそれを強化した。
問題は、その閉ざされた空間にある学校内で起きる事件に対して、防犯カメラというのは有効なはずである。それは、先ほども委員の話にあったとおりである。また、防犯カメラは、昔に比べ随分安くなっており、性能も良くなってきている。これから部活動で部外者も入れるという状況の中で、体罰防止とかいじめの防止に、実は校内の防犯カメラが有効活用できないかと思っている。学校で起こる事故の防止や原因解明にもつながるため、どんどん導入すべきである。監視社会と一時期言われたが、あくまでも事件が起きたときにメモリースティックを確認するだけであり、ドライブレコーダーと一緒であるため、これから学校内に取り入れていくことを考えてもらうよう要望する。
【委員】
決算に関する報告書の345ページ、高等学校整備事業費の1の施設整備事業費約21億円について、約3分の1が城北つばさ高等学校の整備費である。決算に関する報告書には安全で快適な学習環境をつくりと記載しているが、残りの3分の2の費用については、どのような事業を実施したのか。
【理事者】
決算に関する報告書に記載の城北つばさ高校整備以外の事業については、県立学校の屋上防水、外壁改修、防球ネットの改修などの施設の維持修繕に係る事業が約6億5,000万円ある。また、工科高校10校の溶接実習に必要な換気設備の改修、高校50校の外壁の打診点検、高校3校の公共下水道の接続など法律に基づく事業として約5億8,000万円を支出している。このほか高等学校の再編整備として、犬山総合高校の総合学科の設置、春日井泉高校の生活文化科の設置、足助高校の観光ビジネスコースの設置にあたり、それぞれ必要となる教室の模様替えを行った事業など、約1億7,000万円がある。
【委員】
安全で快適なという言葉をどのように捉えるかにもよるが、長年使用している学校施設の改修だけでなく、メンタルにも目を向けて環境を整え、子供たちが学校を選べるような仕組みが作られるとよいと思うので要望する。
決算に関する報告書の370ページ、4のあいちトップアスリート発掘・育成・強化事業費について伺う。
あいちトップアスリート発掘・育成・強化推進本部で行っている、あいちトップアスリートアカデミー事業や、オリンピック・アジア競技大会等選手強化事業における、それぞれの負担額はどのような形になっているのか。令和6年2月定例議会の議案質疑でトップアスリート強化におけるアーバンスポーツに対する取組について質問した。その中で、アーバンスポーツもオリンピック・アジア競技大会等選手強化事業の対象として強化指定選手を認定していると答弁があった。アーバンスポーツの選手に対して推進本部からどのぐらい補助が出ているのか。
【理事者】
あいちトップアスリートアカデミー事業及びオリンピック・アジア競技大会等選手強化事業におけるそれぞれの負担額について、あいちトップアスリートアカデミー事業は、アカデミー生を選考するための選考会経費や、アカデミー生の育成に係る経費などとして2,659万425円を負担した。オリンピック・アジア競技大会等選手強化事業は、183人を強化指定選手に認定し、合宿、大会等への参加費や競技用具の購入費などに対する補助金として4,728万9,952円を負担した。その他、推進本部委員の旅費や式典広報費など、両事業に係る事務局費として296万3,564円を負担しており、合計7,684万3,941円を負担した。
また、オリンピック・アジア競技大会等選手強化事業では、アーバンスポーツの選手についてはスポーツクライミング4人、スケートボード3人、ブレイキン1人の計8人を強化指定選手に認定しており、この8人に対して1人最大30万円、合計224万6,131円を推進本部から補助した。
【委員】
アーバンスポーツは、今までメジャーだったスポーツにプラスして子供たちが非常に興味を持って、なおかつ小さい頃から始めればチャンスがあるスポーツだと思う。新聞報道等を見ると、バイシクルモトクロスでの事例のように、低年齢の選手が金メダルを取っている。かつてフィギュアスケートは愛知県が一番だと言われたように、アーバンスポーツは名古屋だと言われるぐらいの事業にしてもらいたい。選手に話を聞くと、移動費や道具の購入などで非常にお金がかかると聞いているので、アーバンスポーツの育成にも少し目を向けてもらえたらと思う。
【委員】
決算に関する報告書の345ページ、高等学校整備事業費について、昨年度の本会議の議案質疑で高等学校のバリアフリー化について教育長に質問したことを踏まえて、幾つか確認する。
まず、令和5年度の事業費の中で、県立高校150校のエレベーターの設置を含むバリアフリー化がどのように進んだのか伺う。
【理事者】
県立高校のバリアフリー化については、県立学校施設長寿命化計画に基づく改修工事の中で、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に適合するよう手すりやスロープを設置している。また、これとは別に身体に障害がある生徒の入学等に当たり、昨年度は生徒本人や保護者からの要望に基づき、春日井西高校をはじめ4校へ手すりを設置し、また県立小牧南高校をはじめ3校へスロープを設置した。
なお、エレベーターの設置については、校舎の新築・増改築の際に、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に合わせて設置をしているため、現在県立高校150校のうち9校に設置しているが、昨年度に設置した実績はない。
【委員】
県内の公立小中学校においても、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー法に基づいてエレベーターの設置が義務化され、整備が進んできていると思うが、県内の公立の小中学校におけるエレベーターの設置状況はどうか。
【理事者】
県内の公立小中学校におけるエレベーターの設置状況について、本年5月1日現在で305校に設置されており、設置率は22.4パーセントとなっている。なお、昨年度は287校に設置され、設置率は21パーセントであったため、この1年間で設置校は18校、設置率にして1.4ポイント増加している。
【委員】
県立高校150校のうち現在は9校に設置済になるため、設置率にすると6パーセントである。
県内の公立小中学校は全体で何校あるのか。
【理事者】
小中学校合わせて1,364校である。
【委員】
小中学校においては既に2割以上の学校にエレベーターが設置されているが、県立高校ではまだ一桁の6パーセントにとどまっており、随分差がついている。なぜこうした差ができたのかについても論じたいが、まず、今後の県立高校のエレベーター設置に関する目標、計画はどうなっているのか。
【理事者】
県立高校へのエレベーター設置については、原則、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づき、3階以上かつ延床面積2,000平方メートル以上の建物の新増改築を行う際に設置する。これにより、現在改築を進めている県立明和高校、県立春日井高校の校舎、高校再編に伴い校舎を増築している県立稲沢緑風館高校の3校に4基のエレベーターを設置する予定としている。
【委員】
3校にエレベーター4基の設置を計画しており、これができたとしても合わせて12校であり、設置率は8パーセントである。バリアフリー法で小中学校はエレベーターの設置が義務化されている。高校に関しても適合努力義務が課されており、設置してもしなくてもいいというものではない。適合努力義務が今のような状況の愛知県における県立高校においては、答弁にあったように、人にやさしい街づくりの推進に関する条例で新しい建物を建てたり、改築するときにはエレベーターを設置するという原則であり、建物全体としては長寿命化でできるだけ全面改築を避けながら長く使う方針である。全面改築という方法は絞られてくる。そうすると、必然的にエレベーターの設置のテンポも遅くなる。エレベーター設置はバリアフリー法に定められた適合努力義務であり、小中学校などは国が4割設置を目標にやっているため、県立高校における現在までのエレベーターの設置に関するやり方は、基本的に問題があるのではないかと思っている。
名古屋市も小中学校のエレベーターの設置数が年々増えており、最新の数字だと小中学校合わせて372校中の78校にエレベーターが設置されたと聞いている。設置率にすると21パーセントである。名古屋市はどういう考え方でエレベーターを整備しているかというと、ニーズ発生主義である。下肢に障害があり車椅子を利用している、ストレッチャーに乗ったままでしか移動できない、エレベーターが必要な児童が入学する可能性が出てきたときに予算化に着手する。
そして、その児童が入学する際、あるいは入学した後に、時間を置かずにエレベーターが設置されるということを積み上げてきた結果が今の78校である。県は名古屋市の考え方とは異なる。ニーズのあるなしではなく、新築・改築の場合だけエレベーターを設置することで、新築・改築はなるべくせず現有の建物を長寿命化させようという方針であるため、これから差は広がっていく。
令和5年の2月定例議会で質問したが、県内の小中学校に在籍するエレベーターを必要とする生徒は一定程度存在していることはある程度把握されている。何年か後に高校へ進学する時期を迎えると、高校ではその生徒を受け入れることとなり、義務教育課程に存在するエレベーターを必要としている生徒の実態を県が把握すれば、どこの高校に行くかは分からないが、これを基にして何年後には何基ぐらい必要になるというような、総量としてどれぐらいのペースで増やさなければならないのかという計画の根拠にはなり得る。教育長は国の全国調査に合わせて調べてみると答弁していたが、その調査はどうなっているか。
【理事者】
文部科学省の全国調査として、今年度、学校施設のバリアフリー化に関する実態調査が、国公立の小中学校及び特別支援学校を対象に行われている。この調査に合わせて、義務教育課程に在籍するエレベーターを必要とする障害のある児童生徒数についても、現在市町村教育委員会に対して県独自で調査を行っている。
【委員】
この件に関しては、重ねての要望になるが、エレベーターの設置を計画化することが適合努力義務の具体的な中身だと思うため、新築や改築のときが来たら実施するというのではなく、何年度までに何基は設置していくといった具体的な形にしなければならない。どの地域に存在する児童生徒が通う可能性があるか、あるいは実際に入学したことに対して早急に措置を進めていくという考え方に転換していかなければいけない。
次に、障害者雇用率の問題について、これは、水増しというと教育委員会としては厳しい言い方になるかもしれないが、計算方法によっては愛知県、特に教育委員会における障害者雇用率の達成が大幅に不足していることが数年前に明らかになった。その後について伺うが、決算に関する報告書326ページ、教職員人事費に令和5年度の教職員の採用選考試験のことが載っている。そこで伺うが、令和5年度採用の教員採用選考試験における障害者選考の志願者数と採用結果はどうであったのか。また、非常勤職員を含めた障害者全体の令和5年度の採用数はどうであったのか。
【理事者】
2023年度採用の教員採用選考試験において、25人の志願者がおり、そのうち6人が採用となっている。また、非常勤職員を含めた障害者全体の2023年度の採用数は107人となっている。
【委員】
雇用率は計算が難しく、単純にその人数ではない。そのため、法定雇用率が、現在、教育委員会において2.5パーセントまで上がってきていると思うが、私が数年前に質問したときは1.17パーセントという数字であった。今年度の採用を含めていろいろ努力してもらっている。令和5年度6月に障害者雇用率の調査をして、この数字が12月にいつも発表される。障害者雇用率は何パーセントになったのか。
【理事者】
2024年度の障害者雇用全体の実人数は456人であり、これを障害者雇用率算定のため労働時間や障害の種類、重度に応じて換算した人数は535人となる。その結果、障害者雇用率は1.63パーセントであった。
【委員】
はっきり言ってまだまだ道のりは遠いといえる。目標とする法定雇用率は2.7パーセントから2.9パーセントとどんどん上がっていく。目標とする数値がどんどん上がっていくのに、実雇用率の改善については全然追いついていない。愛知労働局からもいろいろと指導や指摘を受けていると思うが、法定雇用率の達成を目指して、今後の障害者雇用をどう進めようとしているのか。
【理事者】
障害者の法定雇用率について、県教育委員会としては、できるだけ早期に達成しなければならない。しかしながら、教員として採用するには教員免許が必要であり、教員の中で障害者を大量に採用するというのはなかなか難しい面がある。したがって、教員以外の採用を増やす必要がある。そのため、事務職員や実習助手の障害者枠に加え、令和2年度からは県立学校において、令和4年度からは小中学校において障害者手帳を持つ校務補助員を採用しており、令和5年度には合わせて94人を採用し、校務補助員全体で200人を雇用した。
校務補助員を雇用している学校からは、一つ一つの作業が丁寧である、時間のかかる印刷作業なども任せることができて助かっているといった声が届いており、雇用していない市町村に対し、こういった声を周知していきたい。できるだけ早期に法定雇用率を達成できるよう、今後も着実に障害者雇用の拡大に取り組んでいく。
【委員】
この問題に関する要望だが、先ほど質問した学校がバリアフリーになっていることと、障害のある生徒が入学してくる、あるいは障害のある生徒や補助員が勤務できることは関係があると思う。バリアフリーが整っていない学校に障害のある生徒が入学することも難しく、採用するにしてもどこの学校で働いてもらうかについては、整備面で壁ができている。
したがって、教職員の話で教員免許を持っている障害のある人が少ないという話があったが、これは学校の整備面と関係がある。高校から大学と通うことが障害を持った人にも可能な条件を整えないと免許を持った障害のある人が増えてこないことになる。自然現象のように教員の免許を持った障害のある人が少ないというが、その原因は学校がバリアフリーになっていないことにある。
よって、単にバリアフリー法だけではなくて、障害者の雇用均等を目指した障害者雇用促進法における法定雇用率の大幅未達成と、両方をにらんで、愛知県の高等学校に障害のある能力、意欲のある人が進学できて、そして教員免許を取得して、愛知県の教員として働いてもらえるように、そしてそういった人が働けるような環境を計画的に順次整えていけるように取り組んでいかないと、永遠に達成できないと思う。その点について中期的な目標を持って取り組んでもらうことを要望する。
決算に関する報告書359ページに、学校給食振興事業費があり、学校給食物資検査委託費がある。まずこの費目に上がっている検査を委託して給食材料等の安全性に関する検査を実施したとあるが、検査の結果はどういった結果になったのか。
【理事者】
県立学校で実施している検査については、残留農薬検査とO157検査になる。これらについて検査を実施したが、全て国の基準内に収まっており、O157等については検出されていない。
【委員】
学校給食に関しては、さきの総選挙においても学校給食を国の責任において無償化すべきだという政策を各党が掲げており、特に義務教育課程に関しては全国一律にすべきだと思うが、それを待つまでもなく愛知県内の各市町村において、100パーセント無償化又は一部無償化によって給食費の負担を軽減する動きが相当出てきている。これは、今どれくらいの自治体に広がっているのか。
【理事者】
小中学校の給食費無償化の状況であるが、本年6月現在、津島市、豊田市、安城市、みよし市、飛島村、豊根村の6市村において小中学校の給食費の完全無償化が実施されている。
また、期間や対象を限定して一部無償化を実施している市町が11市町あり、これらを合わせると17市町村である。
【委員】
全国的にも大体3分の1の市町村で既に給食費の完全無償化ないしは一部無償化が実現している。この問題については、例えばこれを県費で全部やるべきだとの請願なども出ているが、県費で無償化することになると、どれぐらいの県費が必要になるのか試算はしているか。
【理事者】
名古屋市を含めた県内の公立小中学校の給食費を無償化するための経費を試算すると、毎年およそ320億円が必要になると見込んでいる。
【委員】
相当な金額であるため、私としては国において措置するように、県としても働きかけていくべきだと考えるので、これを要望とさせてもらう。
次に、令和5年度愛知県歳入歳出決算及び美術品等取得基金運用状況の審査意見書の41ページの下段に、高等学校等奨学事業貸付金収入における収入未済額の記載がある。これは約8億4,800万円であるが、審査意見書の43ページを見ると、8億円前後の未済額はこのところ変わらず、毎年減りも増えもしないという状況が続いている。県としてはこの奨学金の未済額を返済してもらう必要があるが、回収のために手は打っているのか。
【理事者】
滞納者に対して、初めのうちは職員による文書、電話、訪問による督促を行っている。滞納期間が1年以上となった場合は債権回収業務を弁護士法人等の債権回収業者に委託し、回収に努めている。
また、特段の事情もなく全く返還の意思を示さない長期滞納者については、6月及び12月定例議会の議決を経て奨学金貸付金返還請求事件に係る訴えの提起を行っている。一方で、経済状況により返還が困難な場合について、奨学生や連帯保証人に対して生活状況を聞き取り、1回の返済額を少額とする分割返還を提案するなどの負担軽減を図る取組を行っている。
【委員】
この未済額をどうするかについては、外部委託を既に平成24年からしているが、それによって回収率が特に上がったわけではないように見える。一方で、令和5年度愛知県財務諸表(一般会計局別、管理事業別)(7)の46ページを見ると就学支援事業の中で長期貸付金が貸倒引当金に400万円計上されており、返済免除という措置を執っているケースもある。どういう場合に返済免除になるのか。
【理事者】
奨学金の事業については、死亡等により返還を免除する場合と、就学が困難になった場合に限る。
【委員】
就学が困難になった場合というのは、どういうことか。
【理事者】
休学等をした場合、または就職後働けない状況になった場合に限り返還を免除している。
【委員】
最近、教育無償化が各党共通して大きな政治課題になってきている。奨学金についても、昔は貸与型、いわゆる教育ローンが普通であったが、返済の必要のない給付型の奨学金をどんどん増やそうという動きになってきている。そうすると、貸与型の奨学金については、貸したのだから返すことは当然であるが、もともと就学が困難な経済事情にある人に貸し付けており、卒業してもなかなか定職にも就けず、不正規雇用で収入も少ない人が非常に多い。
そのため、私は亡くなった人や途中で就学ができなくなった場合だけ返済免除というのではなく、もう少し弾力的に生活の実態に着目し、実態をある程度把握して処理すべきと考えている。悪意を持って返済しない人は良くないことは確かだが、債権放棄や不納処理などいろいろな方法がある。しかし、その基準がないため、裁判にまで訴えて取り立てようとしている。これは法律に沿ってやっているので仕方がないが、職員にとっても負担になるし、効率が悪い。
それをやって滞納金を回収できればまだよいが、全然回収できないのに形式的に裁判所に訴えることまでしている。収入未済額が8億円程度残っている状況は、実態に合わせて返済の免除をするような形でルールを変えなければならない可能性もあるため、ぜひ検討してもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書343ページからの小学校費、中学校費、高等学校費、特別支援学校費に関連して、教員の研修について伺う。まず教職員の休職者数の推移について、コロナ禍前からの推移を伺う。
【理事者】
教員の休職者数の推移について、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を合わせて、コロナ禍前の2019年度は304人、新型コロナウイルス感染症流行による臨時休校の措置が取られた2020年度は306人、2021年度は312人、2022年度は363人、2023年度は427人であった。
【委員】
増加の一途をたどっているが、その要因や原因をどのように考えているか。
【理事者】
はっきりとした原因はこれからの分析なども必要になる。今後しっかり分析していきたい。
【委員】
次に、学生、児童生徒の不登校者数について、こちらも同じくコロナ禍前とその後の推移を伺う。
【理事者】
不登校者数について、本県の小中学校では、新型コロナウイルス発生前の2019年度は1万2,151人、2020年度は1万3,263人、2021年度は1万6,959人、2022年度は2万775人、直近の2023年度は2万4,051人であった。
【理事者】
高等学校においては、新型コロナウイルス発生前の2019年度の不登校者数は2,238人、2020年度は1,909人、2021年度は2,504人、2022年度は2,908人、直近の2023年度の不登校者数は3,274人であった。
【理事者】
県立特別支援学校においては、新型コロナウイルス発生前の2019年度の不登校者数は45人、2020年度は61人、2021年度は54人、2022年度は59人、直近の2023年度の不登校者数は108人であった。
【委員】
こちらも教員の休職者数と同じく増加の一途が顕著に出ているが、その要因や原因をどのように考えているか。
【理事者】
不登校者数については年々増加しており、主な要因としては、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が施行され、必ずしも学校に登校しなければならないという意識が薄れたことが一つ大きな要因としてあるのではないか。
【委員】
コロナ禍になってから不登校者数が増えていることに関しては、本当に顕著であり、地元や県内全体でもその傾向にある。実際保護者からの問合せも非常に増え、前段で教職員の休職者数に関しても増えている現状を見ると、今の学校教育法の一条校そのものが陳腐化、形骸化しており、もっと踏み込んで言うと、教育理念の喪失をすごく感じる。
また、新型コロナウイルスの感染対策で、どれだけ頑張っても学校はクリーンルームにできない中で、食べるときに話してはいけない、子供同士が遊んでいても手をつないではいけない、過剰な手洗いやアルコールで常在菌を殺してしまう現状をいろいろ聞いていると、子供や先生が置かれていた環境が、いかにひどい非現実的な非人間的な環境であったかをしっかりと検証してもらいたい。
あと、学校教育法の一条校だけでなく、オルタナティブスクールにおいて不登校支援のためではなくて最初からオルタナティブスクールに通うのか、一条校に通うのか、選択ができるようにしてほしい。オルタナティブスクールはそれぞれ教育理念を持って運営している。よって、一条校も、もう一度どういう教育理念でそれぞれの学校を運営しているのか、しっかりと方針を立てていかなければならない。
今被害者意識に捉われて非常にわがままな保護者もすごく増えてきている。嘘をついたりごまかしたりしており、学校の先生もそういう人たちに対して対応が大変だと思う。しかし、しっかりとした教育理念があれば、わがままを跳ね返せる。政治家も気をつけなければならないが、わがままを言っている人に迎合してはいけない。この学校はこういう理念でやっているといえる、説明できる校長や担任の先生などをつくっていかなければならず、併せてスクールカウンセラーやスクールロイヤーといった人たちを増やしていかなければならない。
そもそも学校が一体何の場、どういう場所なのかである。教育理念が占領憲法下における戦後レジームの中でどんどん失われてしまっている。修身や教育勅語といったものもない。教育勅語の是非などの話をするつもりはないが、学校は人間教育や人格形成の場としても一度立て直していく必要がある。そう考えたときに、戦前の教育がどうだったか考えたときに、愛知県には立派な、偉大な教育者がたくさんいた。東海市の細井平洲、田原藩の渡辺崋山、あと西尾藩の関口長太郎、そういう人々の教育理念を今の教員研修の中に入れているのか。各市町で、もしかしたら副読本などでやっているのかもしれないが、教員の研修に、そういった地元の偉大な先生の教育理念を入れていく取組はしているのか。
【理事者】
細井平洲や渡辺崋山といった特定の教育者の理念を取り入れた内容の研修は実施していないが、小中学校において地域の偉人を題材とした授業を行っており、担当する教員が授業準備等の中でその理念について勉強する機会はある。
【委員】
特定の地域の教育者にとどめることなく、例えば細井平洲先生は尾張藩の藩校の初代校長先生でもあり、江戸時代から寺子屋などで受け継がれていた。現代においてしっかりと愛知の教育モデルとしてやっていくことを提案する。
次に、決算に関する報告書344ページ、352ページ、新型コロナウイルス感染症対策に関連して、各学校、高等学校や特別支援学校では、どういう取組を行ったのか。
【理事者】
令和5年度の国の学校保健特別対策事業費補助金を活用し、高等学校費及び特別支援学校費において、県立学校教育活動継続事業費として高等学校137校で1億5,509万6,025円、特別支援学校29校で4,014万3,448円を執行し、換気を徹底するためのサーキュレーターや空気清浄機の購入、窓開け換気を徹底するための網戸の設置などを行った。
【委員】
次に、同じく公立、私立の幼稚園に関連して感染症対策の取組を行ったのか、補助金を出したのか伺う。
【理事者】
公立幼稚園については、国の補助事業を活用して令和5年度は2市の19園に対し、合わせて219万2,000円の補助を行った。具体的には、マスクや消毒液などの保健衛生用品、空気清浄機やサーキュレーターなどの備品の購入経費に対して補助を行った。
【理事者】
私立幼稚園については、86法人102園に対して合計2,746万8,000円を補助している。具体的には、保健衛生用品として消毒液、ハンドソープ等、継続的に必要となる消耗品や空気清浄機、サーキュレーターなどの備品の購入等に対して補助を行っている。
【委員】
新型コロナウイルスの感染対策に関しては、答弁のとおりアルコール消毒液、マスク、空調機の設置など、それぞれ各現場で頑張っていたと思うが、蓋を開けたら新型コロナウイルスには季節性インフルエンザと死亡者が変わらなかった。逆にワクチン接種に関しては45万人以上の人が亡くなった。数百万人規模の新型コロナワクチンの後遺症患者が出ている。先ほども話したが、学校現場とか病院の中をクリーンルームにすることはできないため、どれだけ頑張っても、人間の免疫力が落ちていき、笑顔が失われ、教育機会が失われていき、教職員や生徒の不登校者数も増加していく。
また政府とかマスメディアは、第12波や第13波が出たとあおり、国内でネズミでしか治験を行っていないようなものをたくさんつくり始めた。世界中でどの国でも打っていないようなワクチンが今国内でたくさん増産されている。また、それを打たせるためにマスメディアや政府があおっている。教育現場が知事部局に忖度してワクチン接種の会場に連れていくといったことはもうやめなければいけない。教育現場はしっかりと確固たるものを持って子供たちを守っていかなければならない。しかも、アルコールやマスクといったものが感染防止対策にどれだけ効果があったのかというと、全然効果がないわけである。一番マスクして一番ワクチンを打っている国で一番感染者が出たため、むしろ真逆であるといえる。開発した人がいい加減といっているPCR検査を無料でたくさんやらせただけである。
そのため、同じ過ちを絶対に繰り返してはいけない。本来であればこの感染症対策だけに関して言えば、意味のないことにこれだけのお金を使ったため、決算不認定である。教育現場にはすごくストレスがかかったと思うので、このことについては監査委員のほうからもぜひ指摘してもらいたい。
次に、決算に関する報告書359ページ、学校給食振興事業費について、食育に関しての取組を伺う。
【理事者】
公立の小中、高校、特別支援学校の栄養教諭や学校栄養職員は授業や給食の時間に児童生徒の食に関する興味関心が高まるよう指導しており、これらの職員を対象に学校食育推進研修会を実施し、より効果的な指導方法について学んでいる。また、各学校の食育を担当する一般の教員に対して実施している学校食育推進者養成講座では、研究指定校がそれぞれの取組を発表し、市役所の農政課や農業協同組合(JA)、生産者を講師に招いた授業や栄養バランスの取れた献立を考える授業など、食事の重要性、食に携わる人々への感謝、地域の農産物や食文化を学ぶ授業、授業実践の共有を行っている。
さらに、県教育委員会では、愛知を食べる学校給食の日を年に3日定め、県内の多くの市町村にも協力してもらっている。学校給食で地域の農畜産物や水産物を使用した郷土料理などを提供することで子供たちが地域の農林水産業や地産地消について理解を深めることができるように取り組んでいる。
【委員】
私の地元の教育委員会の取組でも、献立メニューを見ると地元の食材を使っているメニューが思っていた以上にあり、それを各市町で取組をやっていると思う。私は今年度、農林水産委員会に所属しており、いろいろな農業、漁業、畜産分野を視察すると、一次産業は担い手が高齢者で、ここ数年がかなり正念場だと思っている。食料自給率のことも考えると、地元のものを食べられることがいかにありがたいかが分かる。産地をどういうふうに応援していくのか、生産者をどういうふうに応援していくかを、教育現場のほうからもやってもらいたいと思っている。
いいともあいち運動において、Eat more Aichi productsのあいまるというキャラクターや、いいともあいちネットワークがあり、県民生産者、生産者団体、流通関係、消費者、行政や教育機関も入っている。各市町の学校単位で生産者を応援してもらうことを力を入れてやってもらいたいと思っている。そこで伺うが、今の学校給食の食育の概念の中に産地、生産者を応援するという考え方はあるのか。
【理事者】
小中学校の学校給食は市町村で実施しているが、県産品や地元の食材をできるだけ使用するよう、市町村の担当者を集めた会議等で県からも伝えている。各市町では、委員指摘のとおり取組が進んでおり、例えば飛島村等では地元の生産者から調達したものを給食で出すなどといった取組が進んでいるため、そういった取組を広げていきたいと思っている。
【委員】
決算に関する報告書351ページ、7の情報化推進整備費における生徒用のタブレットの活用について伺う。
国のGIGAスクール構想に基づき、2022年の8月末に生徒1人1台のタブレット端末が配備されたと聞いているが、今年の10月15日のニュースで公立高校向けのタブレット端末3分の1が使われていないと会計検査院から報告があったと取り上げられた。このことについて、県内の高等学校でのタブレット端末の活用状況はどうなっているのか。
【理事者】
生徒1人1台端末の活用状況については、県立高校全校に調査を実施している。全日制高校146校のうち週5日程度活用している学校が69校で47パーセント、週2から4日程度という学校が62校で43パーセントとなっている。
【委員】
そのことについて、どのような認識を持っているのか。
【理事者】
活用率は着実に上昇しているが、まだ満足できるような活用状況ではないという認識である。
【委員】
情報活用能力と学び方を身につけ、各教科などでの深い学びを行うという当初の目的に照らして、その効果をどのように把握しているのか。また、現時点での課題は何か。
【理事者】
効果をどのように把握しているのかについて、全ての県立高校に派遣しているICT支援員から定期的な報告を受けており、授業など学習における端末の活用状況やその効果を把握している。その中から、ICT教育推進課の指導主事が学校を抽出して訪問し、ICTを活用した授業を参観し、教員と面談して聞き取りを行っている。
課題について、活用することの効果をどのように測定するのかというところに難しさを感じており、今後の検討課題としている。
【委員】
教育に関しては、費用対効果は分かりにくく、長期にわたり、心の問題もあり、原則論としては難しいと思う。例えば県でアンケートや簡単な検定などを行えば、おのずと効果が出てくると思うため、そういう点も考慮してやってもらいたい。
いずれにしても、バランスシートを導入したからには、やはり有効活用が第一であるため、しっかりとタブレット端末を活用してもらいたい。
次に、決算に関する報告書328ページのキャリア教育推進事業費について、私は、かつて稲沢市の領内小学校へキャリア教育について調査に行ったことがある。そこでは、将来子供たちは何になりたいのか、例えば警察官になりたいとか、公務員になりたいとか、そういう目的をきちんと書かせて、それに対して、いつ頃にあなたは何をやったらいいのかを書かせていた。
いわゆる成功哲学に近いような授業をやっており、児童も皆楽しそうであった。
最近、これに似たケースで、テレビでドジャースの大谷翔平選手の経歴などについて取り上げていた。領内小学校の事例によく似ているが、大谷翔平選手も、28歳頃には大リーガーでワールドシリーズに出て優勝するという人生設計を描き、固く心に思いを募らせていたといっていた。こうした考えを持った理由は、中村天風氏の本に従ってやっていたといっていた。私は、こうした児童生徒の潜在能力を引き出すようなキャリア教育、学校教育の中にも積極的に取り入れてもらいたいと思っている。
そこで伺うが、本事業の取組状況と成果はどうなっているのか。
【理事者】
本事業では、小中学校において発達段階に応じた系統的なキャリア教育を進めている。小学校では県内36市町村の各1校で高学年児童を中心に農業やモノづくり、伝統芸能等の多様な体験をやるなど、地域の様々な仕事をしている人の話を聞くなどしている。令和5年度は5,439人の児童が参加した。参加した児童は、講師の仕事への思いに触れ、働くことの難しさ、すばらしさを知るとともに、子供たちが自分の将来を考える機会となり職業観、勤労観を形成するための一助となっている。
中学校では、県内全ての公立中学校において2年生を中心に地元の事業所で働く職場体験活動を実施している。令和5年度は262校で実施され、卸売、小売業、飲食店、宿泊業、医療、福祉、教育・学習支援業、その他のサービス業等の延べ1万4,433事業所で受け入れてもらい、3万8,892人の生徒が参加した。参加した生徒からは、仕事の大変さ、楽しさを知ることができた、将来体験した仕事に就きたいと思った、仕事は丁寧な言葉遣い、気遣い、思いやり、粘り強さが必要だと思ったなどの声があり、社会の一員としての自覚や学ぶこと、働くことの意義の理解が得られ、望ましい勤労観、職業観の理解につながっている。
【委員】
成果等を聞いていると、良い回答が返ってきたのではないかと思う。私も実際に中学生の職場体験を引き受けて、自分の会計事務所で体験してもらい、アンケートを取ったときに、こんなにもよくうちの会計事務所のことを思ってくれているのかと、非常に良い印象だったと覚えているため、職場体験は良いことだと思う。今後は、私が先ほど言ったように、成功哲学に似たようなことを取り入れてもらえれば、もっと人間形成には良くなるのではないかと思うので、今後の在り方についてどのように考えているか伺う。
【理事者】
小中学校におけるキャリア教育では、子供たちが自分の夢やなりたい姿のイメージをより具体的に持てるようにすることが重要だと考えている。市町村教育委員会もキャリア教育には力を入れているため、しっかり連携するとともに、地元企業や経済団体等と協同して実施できるよう取り組んでいく。
また、児童生徒はキャリア教育で学んだことや感想などをキャリア教育ノートに小、中、高と継続的に記録することとしており、これを振り返ることで将来のイメージを持って進学、就職など次のステップに進むことができるようしっかりと取り組んでいきたい。
【委員】
キャリア教育ノートは見たことがあるが、細かくしっかりとしているなと思った。そういうものを拡充することも非常に良いことだと思っている。若いときに、私は小中学校が一番適当だと思うが、いろいろな経験や多くの学習の機会を提供し、夢や希望、目標を持たせることは本当に重要なことであるため、今後ともキャリア教育の推進には力を入れてもらうよう要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年11月5日(火) 午後1時1分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
石井芳樹、天野正基 正副委員長
横井五六、神野博史、高桑敏直、政木りか、林 文夫、宮島謙治、
高木ひろし、松本まもる、山口 健、古林千恵、末永けい 各委員
学事振興監、
教育長、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、教育部長、教育改革監、
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進局長、
アジア・アジアパラ競技大会推進監、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和5年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第9款教育・スポーツ費及びこれに関する歳入
<会議の概要>
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 閉 会
(主な質疑)
《スポーツ局、教育委員会関係》
【委員】
令和5年度決算に関する報告書329ページ、4の心豊かな児童生徒育成推進事業費について、表の上から3段目のSNS相談事業について伺う。
昨年度、小中学生を対象としたSNSによる相談の実施とあるが、昨今増加の一途をたどる不登校児童生徒や、いじめに悩んでいる児童生徒等の相談窓口として大変有意義なものであると考えている。
そこで、SNS相談の具体的な事業内容と周知の方法について伺う。
【理事者】
SNS相談は、対面や電話で悩みを相談することが苦手な子供の受皿として、ラインによる相談窓口として、あいちこども相談を昨年5月16日に開設した。小学校4年生から中学校3年生を対象に、毎週火曜日、木曜日、日曜日の週3日午後4時から午後10時まで臨床心理士等の資格のある相談員3人が匿名による相談に応じている。夏休みや冬休みの長期休業明けに登校への不安を持つ子供が増えるため、長期休みの終了前後の2週間は毎日開設している。
次に、周知の方法として、SNS相談について記載されたチラシを児童生徒に配布している。また、そのチラシを学校内の掲示板に掲示し、児童生徒が使う一人一台端末の画面上に掲載している。県教育委員会のウェブサイトにもチラシと同じ内容を掲載するとともに、県の公式ラインや県教育委員会の公式エックスでも発信しており、現在はあいち、こども、相談などのキーワードを検索すると上位の候補として挙がるようになっている。
【委員】
次に、SNS相談にはどれくらいの子供から相談があるのか、昨年度と今年度の登録者数と相談件数について伺う。
【理事者】
まず、登録者数であるが、昨年度は3月末時点で667人であった。今年の9月末時点で832人となっており、徐々に増えてきている。次に、相談件数について、昨年度は598件であり、今年度は9月末時点で359件となっている。年単位で考えると、昨年度より2割ほど増加が見込まれる。
なお、時間外に相談があった場合には、相談時間内の相談を促す自動メッセージが送られるようになっている。
【委員】
次に、今後相談できる曜日や時間などを変更する予定があるのかどうか、今後の在り方についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
今年8月から利用者に任意で満足度や要望等のアンケートを行っており、現行の午後4時から午後10時が相談しやすいとの結果も出ており、今後も利用状況やアンケート結果等を踏まえ、必要に応じて見直していきたい。
【委員】
私の地元、知多市において小中学生の不登校児童生徒が年々増加している中、不登校の児童生徒の親と定期的に話し合う機会を私は設けており、気軽にSNSを通じて相談できる仕組みづくりは大変ありがたいという声を聞いているため、引き続き、SNSを活用した相談事業の充実に積極的に取り組んでもらうよう要望する。
【委員】
決算に関する報告書の330ページ、7のスクールロイヤー設置事業費について伺う。
スクールロイヤーは学校内の様々な問題の相談に応じる弁護士として、2020年度から都道府県、指定都市の教育委員会が弁護士に相談する際の費用を地方交付税で負担する制度である。スクールロイヤーには明確な定義がないとする見解もあるが、日本弁護士連合会ではスクールロイヤーを学校で発生する様々な問題について法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士と位置づけている。それに加え、文部科学省は、学校や教育委員会への過剰な要求の対応などスクールロイヤーに代理人業務も含めることが適切な事案もあるとしている。このように、スクールロイヤーの立ち位置や業務内容が不明確であるため、スクールロイヤーに選任された弁護士もどこまで対応すればいいのか分からず、対応が不完全になってしまうこともある。
愛知県におけるスクールロイヤーの主な業務を伺う。
【理事者】
愛知県におけるスクールロイヤーの業務としては、相談業務と教職員研修があり、相談業務ではいじめ、不登校、虐待、保護者とのトラブル等、様々な問題に対して法律に照らして学校がどのように対応すべきか助言を行っている。
教職員研修では、学校の管理職等を対象に、いじめ防止対策推進法や子どもの権利条約等に関する解説、トラブルや安全配慮に関する望ましい対応等について研修を行っている。
【委員】
企業や病院などの組織においても法的な介入が必要な事例に関しては早期発見し、解決に導くようインシデントレポートなどの蓄積を検討する手法が用いられている。教育現場においての事例検討の方法及びその後の弁護士への相談の流れについて伺う。
【理事者】
学校で様々な問題が起きると、管理職や教務主任、養護教諭、学年主任、学級担任、必要に応じてスクールカウンセラー等と対策会議を行い、事実確認と支援、指導の方針を決めて具体的な対応を行う。その中で、法的に相談する必要がある場合にスクールロイヤーに相談することになる。スクールロイヤーへの相談の流れについては、学校から市町村教育委員会を通じて教育事務所に相談依頼する。緊急性の高い場合はすぐに相談できるようにしている。
【委員】
令和4年度、令和5年度の一般会計・特別会計決算特別委員会においてもスクールロイヤーについての質問が繰り返しあったことは、教育現場の負担軽減のための法的な介入がとても重要であり、県としてもしっかり続けていく事業であることの表れである。
そこで、令和5年度における相談件数及び相談時間、研修開催の回数、経年別の相談件数の推移を伺う。
【理事者】
令和5年度の相談件数と相談時間については、170件で228時間であった。また、教職員研修の開催回数は21回であった。相談件数の推移としては、初年度の令和2年度は140件、令和3年度140件、令和4年度は143件、令和5年度は170件となっている。
【委員】
決算に関する報告書の325ページ、1のラーケーション推進事業費では、ラーケーションの日が円滑に実施されるよう、市町村に委託して小中学校に校務支援員を派遣するモデル事業を実施してもらっている。決算額3億4万1,892円の内訳と事業の成果、また課題について伺う。
【理事者】
令和5年度は名古屋市を除く53市町村においてラーケーションの日を実施しており、モデル事業については、そのうち18市町の430校に参加してもらった。この事業は、昨年6月に補正予算を認めてもらい、モデル事業に参加する学校へ校務支援員を週20時間配置することができた。9月以降準備のできた市町から順次開始してもらったが、年度の途中であったとこともあり、校務支援員を確保するのに苦労した市町もあったと聞いている。
一方、モデル事業を実施した学校を対象に今年1月に行ったアンケートでは、9割以上の学校から校務支援員の活用は有効であるとの回答をもらっており、感謝の声も聞いている。校務支援員を活用することでラーケーションの日の導入に伴う事務負担の軽減を図ることができた。
【委員】
教職員で自分の子供のラーケーションの日のために有給休暇を取得した人はどのくらいいたのか。
【理事者】
実際の休暇の取得状況は調査していないが、今年1月に行ったアンケートで、対象となる教職員に自分の子のラーケーションの日のために有給休暇を取得したかと尋ねたところ、取得したと回答した割合は4.4パーセント、取得する予定と回答した割合は4.7パーセントであった。
【委員】
有給の取得率があまり多くない印象を受けるが、今後の取組について伺う。
【理事者】
今年度は年度当初から事業を始めることができ、多くの市町村が校務支援員を確保し、順調に活用してもらっている。校務支援員を配置する本事業は大変好評であり、ラーケーションの日を円滑に実施、定着させるためには学校への人的支援は必要である。今後も校務支援員の継続配置ができるように努めていく。
【委員】
私が現場で話を聞いたところ、配置された校務支援員はラーケーションの日に直結する業務だけでなく学校全体の業務の改善につながる仕事、業務に従事させることができるため、教員の多忙化解消にも有効であると聞いている。ラーケーションの推進には必要な事業である。
2023年9月4日付けで大村秀章知事から、子供がいる教員にはラーケーションの日を機会として休暇を取ってもらい、家族とともに豊かな時間を過ごしてもらいたいというメッセージも出ており、また、今後も休み方改革を推進し、教職員が休暇を取得しやすい環境づくりをしていくこともメッセージとして発信しているため、今後ともしっかりと予算を確保してもらい、継続して取り組んでもらうよう要望する。
次に、決算に関する報告書332ページ、14のキャリア教育推進事業費、2,213万4,402円であるが、学校から社会への移行が円滑に行われるように、産業界等と連携したキャリア教育を対象の各学校の科目に合わせて推進している。その中で、決算に関する報告書333ページの表の最下段にある産学連携地域活性化事業について、この事業では、二地域三校での実施とあるが、事業の内容と開催地域、参加した企業数、生徒の数はどのくらいか、またその成果と課題について伺う。
【理事者】
県教育委員会では、高校生が地域の企業の魅力を知り、地元への愛着を深めることで地域産業を担う人材を育成するため、昨年度、新城市と美浜町で就職を希望する高校2年生と地元企業のマッチングフェアを行った。新城市では12社の地元企業と120人の生徒が参加、美浜町では7社の地元企業と27人の生徒が参加し、企業から直接地域の魅力や地域で働くことの良さについて説明があり、生徒からは、地元企業の魅力を発見できた、企業からは、生徒と直接話せる機会は貴重であった、また学校からは、この事業を通して生徒は地域にある様々な業界を知ることができ、進路選択の幅を広げることができたとの報告を受けており、有意義な取組になった。
二地域において有意義な取組を行うことができたので、この取組を充実させるとともに他の地域でもこの成果を生かしていくことができないかと課題意識を持った。
【委員】
この取組について、昨年度の取組や課題等を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
今年度も新城市、美浜町の二地域でマッチングフェアを行い、この取組をしっかりと定着させていく。さらに、今年度は観光ビジネスコースを持つ県立足助高校のある豊田市、企業連携コースを持つ県立幸田高校のある幸田町、来年度地域探究科を設置する県立美和高校のあるあま市の三地域においても地元商工会や企業と連携した取組について話合いを始めている。
【委員】
五つの地域で実施していくことは、我が党の辻󠄀秀樹幹事長も9月定例議会の代表質問で取り上げており、中小企業の人材不足というのは他の地域でも深刻な問題である。この産学連携地域活性化事業の取組の手法、ノウハウ等をしっかりとまとめてもらい、各県内の商工会と連携して、他の地域にも積極的に拡大してもらうよう要望する。
【委員】
委員の質問に関連して、決算に関する報告書の325ページ、1のラーケーション推進事業費について伺う。
昨年度は18市町430校でのモデル事業が展開されたとあったが、今年度は参加状況はどうなっているのか。また来年度の参加見込みについて伺う。
【理事者】
今年度は35の市町村がモデル事業に参加をしている。また、来年度についてはモデル事業の対象となる名古屋市以外の53市町村に参加希望を確認したところ、ほぼ全ての市町村が参加の意向を示した。参加を希望する全ての市町村で校務支援員を配置できるよう予算確保に努めていく。
【委員】
ラーケーションの日は愛知県全体で行う休み方改革プロジェクトの取組の一つであるため、愛知県全体で取り組んでもらうことで意味があるものになる。名古屋市長も新しい人に代わるようなので、再度名古屋市と調整してもらい、今後は愛知県全体で取り組んでもらうよう要望する。
次に、決算に関する報告書の336ページから337ページ、部活動指導員配置事業費について、部活動の指導員はどのような基準で任用しているのか。
【理事者】
県立高校の部活動指導員については、教員免許状を有すること、または部活動の指導経験を5年以上有することを条件としていたが、ダンスや和太鼓など多様な部活動指導に対応するため、2022年度に資格要件を改定し、日本スポーツ協会公認スポーツ指導者など部活動に関して専門的知識や技能を有すると校長が認めた者についても任用できるようにしている。
【委員】
部活動というと、文化的なものから運動部を含めて幅広い部活があると思うが、特に部活動に関しては体罰や勝利至上主義に基づく指導など、過去にも全国的に問題になったところもあり、そういった観点から行き過ぎた指導が懸念されると思うが、部活動指導員の資質の確保に向けて県としてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
県では、2018年に部活動指導ガイドラインを策定し、体罰や勝利至上主義などの行き過ぎた指導にならないよう各学校を指導している。部活動指導員を各学校において任用する際には、校長が面談において部活動指導ガイドラインの内容を説明し、これを遵守させる。また、保健体育課主催の研修を年2日間開催し、部活動の教育的意義や体罰等の防止などを学ぶことで指導員の資質の向上を図っている。
【委員】
部活動については、これまで教育的観点から顧問が教員であったが、外部の指導員を任用すると、教育的観点が薄れてしまうことを懸念している。例えば、運動部であれば出席率の高い人は実力にかかわらず試合に出すといったことも含めて、指導してもらうよう要望する。
続いて、決算に関する報告書の364ページから365ページにかけて、5の私立幼稚園授業料等軽減補助金のうち、365ページの一番上の区分、満3歳第三子についてどのような補助内容なのか伺う。
【理事者】
私立幼稚園等への就園に係る多子世帯の保護者負担の軽減を図るため、18歳未満の子が3人以上いる世帯の3人目以降の幼児のうち当年度満3歳となった幼児、いわゆる満3歳児の入園料や授業料を無償化する事業を実施している。満3歳児についても国の幼児教育無償化の対象となっているため、本事業においては、年収680万円未満の世帯を対象に、国の幼児教育無償化の上限額30万8,400円を上回る部分を対象として補助している。
【委員】
法人数が59法人で約700万円が補助されているが、補助した幼稚園数と園児数について伺う。
【理事者】
補助対象となった園児が在籍する幼稚園数は84園、園児数は185人となっている。
【委員】
次に、決算に関する報告書367ページから368ページの13の私立学校安全特別対策事業費補助金について伺う。
368ページに記載されている表の一番下、性被害防止対策に関わる支援についてどのような内容の補助なのか伺う。
【理事者】
被害を認識しがたい、または被害を相談することが困難な子供たちの性被害を防止するため、幼稚園や保育所等における性被害防止対策に関する予算が令和5年11月に国の補正予算で成立した。これを受け、私立幼稚園に対する支援に必要な予算を令和5年12月県議会で計上したものである。私立幼稚園がパーティション等の設置による子供たちのプライバシー保護や、保護者からの確認依頼等に応えるためのカメラ設置などに対して補助するものであり、負担割合は県負担が2分の1、設置者負担が2分の1となっている。
なお、県負担分の財源は全額国庫支出金となっている。
【委員】
金額は79万円で多額ではないが、補助した幼稚園数と実際にどういうことに補助したのか伺う。
【理事者】
補助した幼稚園数は18園である。補助の内容は、パーティション設置に対する補助が14園で補助額は59万616円、カーテン設置に対する補助が2園で補助額は10万円、カメラ設置に対する補助が2園で補助額は9万9,390円となっている。
【委員】
全体的に件数として少ないというイメージを持った。カメラ設置は2園と答弁があったが、カメラはどのような使い方をするのか。
【理事者】
国の説明によれば、カメラは保護者からの性被害等の確認依頼があった場合、録画された記録により性被害等の有無を確認するといった使い方を想定している。
【委員】
子供に対する被害というのはなかなか発見しづらいので、カメラについては適材適所に配置するように、園のほうにもアナウンスしてもらうよう要望する。
決算に関する報告書の373ページ、10の選手村後利用基盤整備事業費負担金について伺う。
選手村後利用事業については、名古屋競馬場の移転に伴ってその跡地を利用してまちづくりを行うとともに、アジア・アジアパラ競技大会開催時には選手村として利用する計画であったと認識している。この選手村後利用事業とは、当初どのような事業内容であったのか伺う。
【理事者】
当初、2026年に開催するアジア・アジアパラ競技大会のメイン選手村として名古屋競馬場跡地を利用し、その検討に際しては大会時の選手村を計画するだけでなく大会後もレガシーとして有効活用されるよう大会を契機としたまちづくりを併せて進めることとした。このまちづくりは、民間活力の導入により新たな地域の拠点としての都市機能を誘導し、適切な土地利用転換を図るとともに後利用事業で整備する施設の一部を大会時の選手村施設として一時使用するもので、2020年10月に後利用事業を担う民間事業者を募集し、2021年6月に中部電力を代表法人とする事業者グループを契約候補事業者として決定した。
現在は、事業者グループと不動産鑑定評価に必要な事項を整理しており、それが整い次第、不動産鑑定評価を経て土地売買契約を締結する予定としている。その後、2030年度末までのまちびらきを目指し、事業者グループが施設の設計や整備を行っていく。
【委員】
当初は選手村として使う予定であり、レガシーとして有効活用することは理解できるが、選手村として整備を計画していたときに、後利用事業で整備する施設をどのように選手村として活用する予定であったのか。
【理事者】
選手村の整備に当たり、事業者グループが整備するマンションや福祉施設などを大会時に大会組織委員会が選手村の施設として一時使用するとともに、不足する施設については仮設施設として整備する予定としていた。選手村として一時使用する施設は事業者グループが外装までを整備した上で、その後選手村施設として使用できるように大会組織委員会が選手村仕様の内装工事等を2026年3月までに完了し、2026年4月から選手村としての一時使用を開始する予定としていた。
選手村として一時使用した後は、大会組織委員会が選手村として一時使用した施設及び仮設施設の解体、除却工事を2027年4月までに完了し、その後2027年5月から事業者グループが選手村として一時使用した施設の内装等の工事及び選手村として一時使用しなかった施設の工事に着手した後に、2030年度末までにまちびらきを目指すことを予定していた。
【委員】
アジア・アジアパラ競技大会の選手村については、名古屋競馬場跡地で選手村整備をする当初の計画を聞いたが、選手村整備がなくなることによって後利用事業の内容や工程に影響があるのではないか。
【理事者】
事業者グループの計画は、大会終了後のまちづくりを前提としており、選手村整備は後利用事業の途中段階の一時期に関するものにすぎないため、計画から選手村整備に関する事項を取り除いても影響は限定的である。また、後利用事業の工程に関しては、名古屋競馬場跡地での選手村整備取りやめの方針に伴い、事業者グループと協議を行い、引き続き事業継続することで調整しており、募集要項で定めた2030年度末までの、まちびらきに影響はない。
【委員】
事業者としては事業計画の継続が難しくなると思われるが、そのあたりは事業者との調整の中でどのような回答をもらっているのか。
【理事者】
事業者からは、現在の募集要項及び基本計画に基づいて、引き続き事業を継続していくことで同意を得ている。
【委員】
選手村というプレミア感がなくなることは痛手だと想像するが、事業者グループにとっては、事業として継続してもらえることが分かった。アジア・アジアパラ競技大会のレガシーが失われることから考えると、このまちに来てもらえるような魅力あるまちづくりを講じる必要があると思うがどうか。
【理事者】
大会終了後の2030年頃を見据えて将来のまちづくりの方向性を示すために、県と名古屋市は2020年3月に後利用基本構想を策定している。事業者グループの計画はこの将来のまちづくりを見据えた基本構想を踏まえた提案であり、目指すべきまちの姿として掲げているGO ACTIVE、GO ASIA、GO GREEN、GO FUN、GO FUTUREの五つの夢が提案内容に反映されている点も2021年6月の事業者決定の際に高く評価されている。具体的には、大会終了後の魅力あるまちづくりを前提に多様な人々がつながり、共につくる次世代型のまちづくり、ウェルネス・アソシエーションをグランドコンセプトに、それを実現するための事業内容が計画されている。
こうした経緯を踏まえ、県としてもさらなる魅力あるまちづくりに向けて事業者グループが行う後利用事業に対し、名古屋市とともに連携しつつ協力していきたい。
【委員】
決算に関する報告書の354ページの特別支援学校整備事業費、1の施設整備費について、県の特別支援学校には全校防犯カメラが設置されていると聞いているが、各学校ではどのような場所に何台ぐらいカメラが現状設置されているのか。
【理事者】
2016年7月に神奈川県相模原市にある障害者施設津久井やまゆり園で発生した殺傷事件を受け、分校、分教室を含む全ての特別支援学校34校に防犯カメラを設置している。各学校では不審者の侵入を防止するため正門や昇降口などに2台の防犯カメラを設置している。また、寄宿舎のある学校では寄宿舎の入り口にさらに1台を追加して、計3台の防犯カメラを設置している。
【委員】
池田小学校事件の前は、小中学校も校門を開いて地域に開かれた学校を目指しましょうとやっていた。池田小学校の事件が起きてから180度方向転換して、門を閉ざして外部から侵入できないようにし、やまゆり事件も契機にして特別支援学校では特にそれを強化した。
問題は、その閉ざされた空間にある学校内で起きる事件に対して、防犯カメラというのは有効なはずである。それは、先ほども委員の話にあったとおりである。また、防犯カメラは、昔に比べ随分安くなっており、性能も良くなってきている。これから部活動で部外者も入れるという状況の中で、体罰防止とかいじめの防止に、実は校内の防犯カメラが有効活用できないかと思っている。学校で起こる事故の防止や原因解明にもつながるため、どんどん導入すべきである。監視社会と一時期言われたが、あくまでも事件が起きたときにメモリースティックを確認するだけであり、ドライブレコーダーと一緒であるため、これから学校内に取り入れていくことを考えてもらうよう要望する。
【委員】
決算に関する報告書の345ページ、高等学校整備事業費の1の施設整備事業費約21億円について、約3分の1が城北つばさ高等学校の整備費である。決算に関する報告書には安全で快適な学習環境をつくりと記載しているが、残りの3分の2の費用については、どのような事業を実施したのか。
【理事者】
決算に関する報告書に記載の城北つばさ高校整備以外の事業については、県立学校の屋上防水、外壁改修、防球ネットの改修などの施設の維持修繕に係る事業が約6億5,000万円ある。また、工科高校10校の溶接実習に必要な換気設備の改修、高校50校の外壁の打診点検、高校3校の公共下水道の接続など法律に基づく事業として約5億8,000万円を支出している。このほか高等学校の再編整備として、犬山総合高校の総合学科の設置、春日井泉高校の生活文化科の設置、足助高校の観光ビジネスコースの設置にあたり、それぞれ必要となる教室の模様替えを行った事業など、約1億7,000万円がある。
【委員】
安全で快適なという言葉をどのように捉えるかにもよるが、長年使用している学校施設の改修だけでなく、メンタルにも目を向けて環境を整え、子供たちが学校を選べるような仕組みが作られるとよいと思うので要望する。
決算に関する報告書の370ページ、4のあいちトップアスリート発掘・育成・強化事業費について伺う。
あいちトップアスリート発掘・育成・強化推進本部で行っている、あいちトップアスリートアカデミー事業や、オリンピック・アジア競技大会等選手強化事業における、それぞれの負担額はどのような形になっているのか。令和6年2月定例議会の議案質疑でトップアスリート強化におけるアーバンスポーツに対する取組について質問した。その中で、アーバンスポーツもオリンピック・アジア競技大会等選手強化事業の対象として強化指定選手を認定していると答弁があった。アーバンスポーツの選手に対して推進本部からどのぐらい補助が出ているのか。
【理事者】
あいちトップアスリートアカデミー事業及びオリンピック・アジア競技大会等選手強化事業におけるそれぞれの負担額について、あいちトップアスリートアカデミー事業は、アカデミー生を選考するための選考会経費や、アカデミー生の育成に係る経費などとして2,659万425円を負担した。オリンピック・アジア競技大会等選手強化事業は、183人を強化指定選手に認定し、合宿、大会等への参加費や競技用具の購入費などに対する補助金として4,728万9,952円を負担した。その他、推進本部委員の旅費や式典広報費など、両事業に係る事務局費として296万3,564円を負担しており、合計7,684万3,941円を負担した。
また、オリンピック・アジア競技大会等選手強化事業では、アーバンスポーツの選手についてはスポーツクライミング4人、スケートボード3人、ブレイキン1人の計8人を強化指定選手に認定しており、この8人に対して1人最大30万円、合計224万6,131円を推進本部から補助した。
【委員】
アーバンスポーツは、今までメジャーだったスポーツにプラスして子供たちが非常に興味を持って、なおかつ小さい頃から始めればチャンスがあるスポーツだと思う。新聞報道等を見ると、バイシクルモトクロスでの事例のように、低年齢の選手が金メダルを取っている。かつてフィギュアスケートは愛知県が一番だと言われたように、アーバンスポーツは名古屋だと言われるぐらいの事業にしてもらいたい。選手に話を聞くと、移動費や道具の購入などで非常にお金がかかると聞いているので、アーバンスポーツの育成にも少し目を向けてもらえたらと思う。
【委員】
決算に関する報告書の345ページ、高等学校整備事業費について、昨年度の本会議の議案質疑で高等学校のバリアフリー化について教育長に質問したことを踏まえて、幾つか確認する。
まず、令和5年度の事業費の中で、県立高校150校のエレベーターの設置を含むバリアフリー化がどのように進んだのか伺う。
【理事者】
県立高校のバリアフリー化については、県立学校施設長寿命化計画に基づく改修工事の中で、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に適合するよう手すりやスロープを設置している。また、これとは別に身体に障害がある生徒の入学等に当たり、昨年度は生徒本人や保護者からの要望に基づき、春日井西高校をはじめ4校へ手すりを設置し、また県立小牧南高校をはじめ3校へスロープを設置した。
なお、エレベーターの設置については、校舎の新築・増改築の際に、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に合わせて設置をしているため、現在県立高校150校のうち9校に設置しているが、昨年度に設置した実績はない。
【委員】
県内の公立小中学校においても、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、通称バリアフリー法に基づいてエレベーターの設置が義務化され、整備が進んできていると思うが、県内の公立の小中学校におけるエレベーターの設置状況はどうか。
【理事者】
県内の公立小中学校におけるエレベーターの設置状況について、本年5月1日現在で305校に設置されており、設置率は22.4パーセントとなっている。なお、昨年度は287校に設置され、設置率は21パーセントであったため、この1年間で設置校は18校、設置率にして1.4ポイント増加している。
【委員】
県立高校150校のうち現在は9校に設置済になるため、設置率にすると6パーセントである。
県内の公立小中学校は全体で何校あるのか。
【理事者】
小中学校合わせて1,364校である。
【委員】
小中学校においては既に2割以上の学校にエレベーターが設置されているが、県立高校ではまだ一桁の6パーセントにとどまっており、随分差がついている。なぜこうした差ができたのかについても論じたいが、まず、今後の県立高校のエレベーター設置に関する目標、計画はどうなっているのか。
【理事者】
県立高校へのエレベーター設置については、原則、人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づき、3階以上かつ延床面積2,000平方メートル以上の建物の新増改築を行う際に設置する。これにより、現在改築を進めている県立明和高校、県立春日井高校の校舎、高校再編に伴い校舎を増築している県立稲沢緑風館高校の3校に4基のエレベーターを設置する予定としている。
【委員】
3校にエレベーター4基の設置を計画しており、これができたとしても合わせて12校であり、設置率は8パーセントである。バリアフリー法で小中学校はエレベーターの設置が義務化されている。高校に関しても適合努力義務が課されており、設置してもしなくてもいいというものではない。適合努力義務が今のような状況の愛知県における県立高校においては、答弁にあったように、人にやさしい街づくりの推進に関する条例で新しい建物を建てたり、改築するときにはエレベーターを設置するという原則であり、建物全体としては長寿命化でできるだけ全面改築を避けながら長く使う方針である。全面改築という方法は絞られてくる。そうすると、必然的にエレベーターの設置のテンポも遅くなる。エレベーター設置はバリアフリー法に定められた適合努力義務であり、小中学校などは国が4割設置を目標にやっているため、県立高校における現在までのエレベーターの設置に関するやり方は、基本的に問題があるのではないかと思っている。
名古屋市も小中学校のエレベーターの設置数が年々増えており、最新の数字だと小中学校合わせて372校中の78校にエレベーターが設置されたと聞いている。設置率にすると21パーセントである。名古屋市はどういう考え方でエレベーターを整備しているかというと、ニーズ発生主義である。下肢に障害があり車椅子を利用している、ストレッチャーに乗ったままでしか移動できない、エレベーターが必要な児童が入学する可能性が出てきたときに予算化に着手する。
そして、その児童が入学する際、あるいは入学した後に、時間を置かずにエレベーターが設置されるということを積み上げてきた結果が今の78校である。県は名古屋市の考え方とは異なる。ニーズのあるなしではなく、新築・改築の場合だけエレベーターを設置することで、新築・改築はなるべくせず現有の建物を長寿命化させようという方針であるため、これから差は広がっていく。
令和5年の2月定例議会で質問したが、県内の小中学校に在籍するエレベーターを必要とする生徒は一定程度存在していることはある程度把握されている。何年か後に高校へ進学する時期を迎えると、高校ではその生徒を受け入れることとなり、義務教育課程に存在するエレベーターを必要としている生徒の実態を県が把握すれば、どこの高校に行くかは分からないが、これを基にして何年後には何基ぐらい必要になるというような、総量としてどれぐらいのペースで増やさなければならないのかという計画の根拠にはなり得る。教育長は国の全国調査に合わせて調べてみると答弁していたが、その調査はどうなっているか。
【理事者】
文部科学省の全国調査として、今年度、学校施設のバリアフリー化に関する実態調査が、国公立の小中学校及び特別支援学校を対象に行われている。この調査に合わせて、義務教育課程に在籍するエレベーターを必要とする障害のある児童生徒数についても、現在市町村教育委員会に対して県独自で調査を行っている。
【委員】
この件に関しては、重ねての要望になるが、エレベーターの設置を計画化することが適合努力義務の具体的な中身だと思うため、新築や改築のときが来たら実施するというのではなく、何年度までに何基は設置していくといった具体的な形にしなければならない。どの地域に存在する児童生徒が通う可能性があるか、あるいは実際に入学したことに対して早急に措置を進めていくという考え方に転換していかなければいけない。
次に、障害者雇用率の問題について、これは、水増しというと教育委員会としては厳しい言い方になるかもしれないが、計算方法によっては愛知県、特に教育委員会における障害者雇用率の達成が大幅に不足していることが数年前に明らかになった。その後について伺うが、決算に関する報告書326ページ、教職員人事費に令和5年度の教職員の採用選考試験のことが載っている。そこで伺うが、令和5年度採用の教員採用選考試験における障害者選考の志願者数と採用結果はどうであったのか。また、非常勤職員を含めた障害者全体の令和5年度の採用数はどうであったのか。
【理事者】
2023年度採用の教員採用選考試験において、25人の志願者がおり、そのうち6人が採用となっている。また、非常勤職員を含めた障害者全体の2023年度の採用数は107人となっている。
【委員】
雇用率は計算が難しく、単純にその人数ではない。そのため、法定雇用率が、現在、教育委員会において2.5パーセントまで上がってきていると思うが、私が数年前に質問したときは1.17パーセントという数字であった。今年度の採用を含めていろいろ努力してもらっている。令和5年度6月に障害者雇用率の調査をして、この数字が12月にいつも発表される。障害者雇用率は何パーセントになったのか。
【理事者】
2024年度の障害者雇用全体の実人数は456人であり、これを障害者雇用率算定のため労働時間や障害の種類、重度に応じて換算した人数は535人となる。その結果、障害者雇用率は1.63パーセントであった。
【委員】
はっきり言ってまだまだ道のりは遠いといえる。目標とする法定雇用率は2.7パーセントから2.9パーセントとどんどん上がっていく。目標とする数値がどんどん上がっていくのに、実雇用率の改善については全然追いついていない。愛知労働局からもいろいろと指導や指摘を受けていると思うが、法定雇用率の達成を目指して、今後の障害者雇用をどう進めようとしているのか。
【理事者】
障害者の法定雇用率について、県教育委員会としては、できるだけ早期に達成しなければならない。しかしながら、教員として採用するには教員免許が必要であり、教員の中で障害者を大量に採用するというのはなかなか難しい面がある。したがって、教員以外の採用を増やす必要がある。そのため、事務職員や実習助手の障害者枠に加え、令和2年度からは県立学校において、令和4年度からは小中学校において障害者手帳を持つ校務補助員を採用しており、令和5年度には合わせて94人を採用し、校務補助員全体で200人を雇用した。
校務補助員を雇用している学校からは、一つ一つの作業が丁寧である、時間のかかる印刷作業なども任せることができて助かっているといった声が届いており、雇用していない市町村に対し、こういった声を周知していきたい。できるだけ早期に法定雇用率を達成できるよう、今後も着実に障害者雇用の拡大に取り組んでいく。
【委員】
この問題に関する要望だが、先ほど質問した学校がバリアフリーになっていることと、障害のある生徒が入学してくる、あるいは障害のある生徒や補助員が勤務できることは関係があると思う。バリアフリーが整っていない学校に障害のある生徒が入学することも難しく、採用するにしてもどこの学校で働いてもらうかについては、整備面で壁ができている。
したがって、教職員の話で教員免許を持っている障害のある人が少ないという話があったが、これは学校の整備面と関係がある。高校から大学と通うことが障害を持った人にも可能な条件を整えないと免許を持った障害のある人が増えてこないことになる。自然現象のように教員の免許を持った障害のある人が少ないというが、その原因は学校がバリアフリーになっていないことにある。
よって、単にバリアフリー法だけではなくて、障害者の雇用均等を目指した障害者雇用促進法における法定雇用率の大幅未達成と、両方をにらんで、愛知県の高等学校に障害のある能力、意欲のある人が進学できて、そして教員免許を取得して、愛知県の教員として働いてもらえるように、そしてそういった人が働けるような環境を計画的に順次整えていけるように取り組んでいかないと、永遠に達成できないと思う。その点について中期的な目標を持って取り組んでもらうことを要望する。
決算に関する報告書359ページに、学校給食振興事業費があり、学校給食物資検査委託費がある。まずこの費目に上がっている検査を委託して給食材料等の安全性に関する検査を実施したとあるが、検査の結果はどういった結果になったのか。
【理事者】
県立学校で実施している検査については、残留農薬検査とO157検査になる。これらについて検査を実施したが、全て国の基準内に収まっており、O157等については検出されていない。
【委員】
学校給食に関しては、さきの総選挙においても学校給食を国の責任において無償化すべきだという政策を各党が掲げており、特に義務教育課程に関しては全国一律にすべきだと思うが、それを待つまでもなく愛知県内の各市町村において、100パーセント無償化又は一部無償化によって給食費の負担を軽減する動きが相当出てきている。これは、今どれくらいの自治体に広がっているのか。
【理事者】
小中学校の給食費無償化の状況であるが、本年6月現在、津島市、豊田市、安城市、みよし市、飛島村、豊根村の6市村において小中学校の給食費の完全無償化が実施されている。
また、期間や対象を限定して一部無償化を実施している市町が11市町あり、これらを合わせると17市町村である。
【委員】
全国的にも大体3分の1の市町村で既に給食費の完全無償化ないしは一部無償化が実現している。この問題については、例えばこれを県費で全部やるべきだとの請願なども出ているが、県費で無償化することになると、どれぐらいの県費が必要になるのか試算はしているか。
【理事者】
名古屋市を含めた県内の公立小中学校の給食費を無償化するための経費を試算すると、毎年およそ320億円が必要になると見込んでいる。
【委員】
相当な金額であるため、私としては国において措置するように、県としても働きかけていくべきだと考えるので、これを要望とさせてもらう。
次に、令和5年度愛知県歳入歳出決算及び美術品等取得基金運用状況の審査意見書の41ページの下段に、高等学校等奨学事業貸付金収入における収入未済額の記載がある。これは約8億4,800万円であるが、審査意見書の43ページを見ると、8億円前後の未済額はこのところ変わらず、毎年減りも増えもしないという状況が続いている。県としてはこの奨学金の未済額を返済してもらう必要があるが、回収のために手は打っているのか。
【理事者】
滞納者に対して、初めのうちは職員による文書、電話、訪問による督促を行っている。滞納期間が1年以上となった場合は債権回収業務を弁護士法人等の債権回収業者に委託し、回収に努めている。
また、特段の事情もなく全く返還の意思を示さない長期滞納者については、6月及び12月定例議会の議決を経て奨学金貸付金返還請求事件に係る訴えの提起を行っている。一方で、経済状況により返還が困難な場合について、奨学生や連帯保証人に対して生活状況を聞き取り、1回の返済額を少額とする分割返還を提案するなどの負担軽減を図る取組を行っている。
【委員】
この未済額をどうするかについては、外部委託を既に平成24年からしているが、それによって回収率が特に上がったわけではないように見える。一方で、令和5年度愛知県財務諸表(一般会計局別、管理事業別)(7)の46ページを見ると就学支援事業の中で長期貸付金が貸倒引当金に400万円計上されており、返済免除という措置を執っているケースもある。どういう場合に返済免除になるのか。
【理事者】
奨学金の事業については、死亡等により返還を免除する場合と、就学が困難になった場合に限る。
【委員】
就学が困難になった場合というのは、どういうことか。
【理事者】
休学等をした場合、または就職後働けない状況になった場合に限り返還を免除している。
【委員】
最近、教育無償化が各党共通して大きな政治課題になってきている。奨学金についても、昔は貸与型、いわゆる教育ローンが普通であったが、返済の必要のない給付型の奨学金をどんどん増やそうという動きになってきている。そうすると、貸与型の奨学金については、貸したのだから返すことは当然であるが、もともと就学が困難な経済事情にある人に貸し付けており、卒業してもなかなか定職にも就けず、不正規雇用で収入も少ない人が非常に多い。
そのため、私は亡くなった人や途中で就学ができなくなった場合だけ返済免除というのではなく、もう少し弾力的に生活の実態に着目し、実態をある程度把握して処理すべきと考えている。悪意を持って返済しない人は良くないことは確かだが、債権放棄や不納処理などいろいろな方法がある。しかし、その基準がないため、裁判にまで訴えて取り立てようとしている。これは法律に沿ってやっているので仕方がないが、職員にとっても負担になるし、効率が悪い。
それをやって滞納金を回収できればまだよいが、全然回収できないのに形式的に裁判所に訴えることまでしている。収入未済額が8億円程度残っている状況は、実態に合わせて返済の免除をするような形でルールを変えなければならない可能性もあるため、ぜひ検討してもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書343ページからの小学校費、中学校費、高等学校費、特別支援学校費に関連して、教員の研修について伺う。まず教職員の休職者数の推移について、コロナ禍前からの推移を伺う。
【理事者】
教員の休職者数の推移について、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校を合わせて、コロナ禍前の2019年度は304人、新型コロナウイルス感染症流行による臨時休校の措置が取られた2020年度は306人、2021年度は312人、2022年度は363人、2023年度は427人であった。
【委員】
増加の一途をたどっているが、その要因や原因をどのように考えているか。
【理事者】
はっきりとした原因はこれからの分析なども必要になる。今後しっかり分析していきたい。
【委員】
次に、学生、児童生徒の不登校者数について、こちらも同じくコロナ禍前とその後の推移を伺う。
【理事者】
不登校者数について、本県の小中学校では、新型コロナウイルス発生前の2019年度は1万2,151人、2020年度は1万3,263人、2021年度は1万6,959人、2022年度は2万775人、直近の2023年度は2万4,051人であった。
【理事者】
高等学校においては、新型コロナウイルス発生前の2019年度の不登校者数は2,238人、2020年度は1,909人、2021年度は2,504人、2022年度は2,908人、直近の2023年度の不登校者数は3,274人であった。
【理事者】
県立特別支援学校においては、新型コロナウイルス発生前の2019年度の不登校者数は45人、2020年度は61人、2021年度は54人、2022年度は59人、直近の2023年度の不登校者数は108人であった。
【委員】
こちらも教員の休職者数と同じく増加の一途が顕著に出ているが、その要因や原因をどのように考えているか。
【理事者】
不登校者数については年々増加しており、主な要因としては、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が施行され、必ずしも学校に登校しなければならないという意識が薄れたことが一つ大きな要因としてあるのではないか。
【委員】
コロナ禍になってから不登校者数が増えていることに関しては、本当に顕著であり、地元や県内全体でもその傾向にある。実際保護者からの問合せも非常に増え、前段で教職員の休職者数に関しても増えている現状を見ると、今の学校教育法の一条校そのものが陳腐化、形骸化しており、もっと踏み込んで言うと、教育理念の喪失をすごく感じる。
また、新型コロナウイルスの感染対策で、どれだけ頑張っても学校はクリーンルームにできない中で、食べるときに話してはいけない、子供同士が遊んでいても手をつないではいけない、過剰な手洗いやアルコールで常在菌を殺してしまう現状をいろいろ聞いていると、子供や先生が置かれていた環境が、いかにひどい非現実的な非人間的な環境であったかをしっかりと検証してもらいたい。
あと、学校教育法の一条校だけでなく、オルタナティブスクールにおいて不登校支援のためではなくて最初からオルタナティブスクールに通うのか、一条校に通うのか、選択ができるようにしてほしい。オルタナティブスクールはそれぞれ教育理念を持って運営している。よって、一条校も、もう一度どういう教育理念でそれぞれの学校を運営しているのか、しっかりと方針を立てていかなければならない。
今被害者意識に捉われて非常にわがままな保護者もすごく増えてきている。嘘をついたりごまかしたりしており、学校の先生もそういう人たちに対して対応が大変だと思う。しかし、しっかりとした教育理念があれば、わがままを跳ね返せる。政治家も気をつけなければならないが、わがままを言っている人に迎合してはいけない。この学校はこういう理念でやっているといえる、説明できる校長や担任の先生などをつくっていかなければならず、併せてスクールカウンセラーやスクールロイヤーといった人たちを増やしていかなければならない。
そもそも学校が一体何の場、どういう場所なのかである。教育理念が占領憲法下における戦後レジームの中でどんどん失われてしまっている。修身や教育勅語といったものもない。教育勅語の是非などの話をするつもりはないが、学校は人間教育や人格形成の場としても一度立て直していく必要がある。そう考えたときに、戦前の教育がどうだったか考えたときに、愛知県には立派な、偉大な教育者がたくさんいた。東海市の細井平洲、田原藩の渡辺崋山、あと西尾藩の関口長太郎、そういう人々の教育理念を今の教員研修の中に入れているのか。各市町で、もしかしたら副読本などでやっているのかもしれないが、教員の研修に、そういった地元の偉大な先生の教育理念を入れていく取組はしているのか。
【理事者】
細井平洲や渡辺崋山といった特定の教育者の理念を取り入れた内容の研修は実施していないが、小中学校において地域の偉人を題材とした授業を行っており、担当する教員が授業準備等の中でその理念について勉強する機会はある。
【委員】
特定の地域の教育者にとどめることなく、例えば細井平洲先生は尾張藩の藩校の初代校長先生でもあり、江戸時代から寺子屋などで受け継がれていた。現代においてしっかりと愛知の教育モデルとしてやっていくことを提案する。
次に、決算に関する報告書344ページ、352ページ、新型コロナウイルス感染症対策に関連して、各学校、高等学校や特別支援学校では、どういう取組を行ったのか。
【理事者】
令和5年度の国の学校保健特別対策事業費補助金を活用し、高等学校費及び特別支援学校費において、県立学校教育活動継続事業費として高等学校137校で1億5,509万6,025円、特別支援学校29校で4,014万3,448円を執行し、換気を徹底するためのサーキュレーターや空気清浄機の購入、窓開け換気を徹底するための網戸の設置などを行った。
【委員】
次に、同じく公立、私立の幼稚園に関連して感染症対策の取組を行ったのか、補助金を出したのか伺う。
【理事者】
公立幼稚園については、国の補助事業を活用して令和5年度は2市の19園に対し、合わせて219万2,000円の補助を行った。具体的には、マスクや消毒液などの保健衛生用品、空気清浄機やサーキュレーターなどの備品の購入経費に対して補助を行った。
【理事者】
私立幼稚園については、86法人102園に対して合計2,746万8,000円を補助している。具体的には、保健衛生用品として消毒液、ハンドソープ等、継続的に必要となる消耗品や空気清浄機、サーキュレーターなどの備品の購入等に対して補助を行っている。
【委員】
新型コロナウイルスの感染対策に関しては、答弁のとおりアルコール消毒液、マスク、空調機の設置など、それぞれ各現場で頑張っていたと思うが、蓋を開けたら新型コロナウイルスには季節性インフルエンザと死亡者が変わらなかった。逆にワクチン接種に関しては45万人以上の人が亡くなった。数百万人規模の新型コロナワクチンの後遺症患者が出ている。先ほども話したが、学校現場とか病院の中をクリーンルームにすることはできないため、どれだけ頑張っても、人間の免疫力が落ちていき、笑顔が失われ、教育機会が失われていき、教職員や生徒の不登校者数も増加していく。
また政府とかマスメディアは、第12波や第13波が出たとあおり、国内でネズミでしか治験を行っていないようなものをたくさんつくり始めた。世界中でどの国でも打っていないようなワクチンが今国内でたくさん増産されている。また、それを打たせるためにマスメディアや政府があおっている。教育現場が知事部局に忖度してワクチン接種の会場に連れていくといったことはもうやめなければいけない。教育現場はしっかりと確固たるものを持って子供たちを守っていかなければならない。しかも、アルコールやマスクといったものが感染防止対策にどれだけ効果があったのかというと、全然効果がないわけである。一番マスクして一番ワクチンを打っている国で一番感染者が出たため、むしろ真逆であるといえる。開発した人がいい加減といっているPCR検査を無料でたくさんやらせただけである。
そのため、同じ過ちを絶対に繰り返してはいけない。本来であればこの感染症対策だけに関して言えば、意味のないことにこれだけのお金を使ったため、決算不認定である。教育現場にはすごくストレスがかかったと思うので、このことについては監査委員のほうからもぜひ指摘してもらいたい。
次に、決算に関する報告書359ページ、学校給食振興事業費について、食育に関しての取組を伺う。
【理事者】
公立の小中、高校、特別支援学校の栄養教諭や学校栄養職員は授業や給食の時間に児童生徒の食に関する興味関心が高まるよう指導しており、これらの職員を対象に学校食育推進研修会を実施し、より効果的な指導方法について学んでいる。また、各学校の食育を担当する一般の教員に対して実施している学校食育推進者養成講座では、研究指定校がそれぞれの取組を発表し、市役所の農政課や農業協同組合(JA)、生産者を講師に招いた授業や栄養バランスの取れた献立を考える授業など、食事の重要性、食に携わる人々への感謝、地域の農産物や食文化を学ぶ授業、授業実践の共有を行っている。
さらに、県教育委員会では、愛知を食べる学校給食の日を年に3日定め、県内の多くの市町村にも協力してもらっている。学校給食で地域の農畜産物や水産物を使用した郷土料理などを提供することで子供たちが地域の農林水産業や地産地消について理解を深めることができるように取り組んでいる。
【委員】
私の地元の教育委員会の取組でも、献立メニューを見ると地元の食材を使っているメニューが思っていた以上にあり、それを各市町で取組をやっていると思う。私は今年度、農林水産委員会に所属しており、いろいろな農業、漁業、畜産分野を視察すると、一次産業は担い手が高齢者で、ここ数年がかなり正念場だと思っている。食料自給率のことも考えると、地元のものを食べられることがいかにありがたいかが分かる。産地をどういうふうに応援していくのか、生産者をどういうふうに応援していくかを、教育現場のほうからもやってもらいたいと思っている。
いいともあいち運動において、Eat more Aichi productsのあいまるというキャラクターや、いいともあいちネットワークがあり、県民生産者、生産者団体、流通関係、消費者、行政や教育機関も入っている。各市町の学校単位で生産者を応援してもらうことを力を入れてやってもらいたいと思っている。そこで伺うが、今の学校給食の食育の概念の中に産地、生産者を応援するという考え方はあるのか。
【理事者】
小中学校の学校給食は市町村で実施しているが、県産品や地元の食材をできるだけ使用するよう、市町村の担当者を集めた会議等で県からも伝えている。各市町では、委員指摘のとおり取組が進んでおり、例えば飛島村等では地元の生産者から調達したものを給食で出すなどといった取組が進んでいるため、そういった取組を広げていきたいと思っている。
【委員】
決算に関する報告書351ページ、7の情報化推進整備費における生徒用のタブレットの活用について伺う。
国のGIGAスクール構想に基づき、2022年の8月末に生徒1人1台のタブレット端末が配備されたと聞いているが、今年の10月15日のニュースで公立高校向けのタブレット端末3分の1が使われていないと会計検査院から報告があったと取り上げられた。このことについて、県内の高等学校でのタブレット端末の活用状況はどうなっているのか。
【理事者】
生徒1人1台端末の活用状況については、県立高校全校に調査を実施している。全日制高校146校のうち週5日程度活用している学校が69校で47パーセント、週2から4日程度という学校が62校で43パーセントとなっている。
【委員】
そのことについて、どのような認識を持っているのか。
【理事者】
活用率は着実に上昇しているが、まだ満足できるような活用状況ではないという認識である。
【委員】
情報活用能力と学び方を身につけ、各教科などでの深い学びを行うという当初の目的に照らして、その効果をどのように把握しているのか。また、現時点での課題は何か。
【理事者】
効果をどのように把握しているのかについて、全ての県立高校に派遣しているICT支援員から定期的な報告を受けており、授業など学習における端末の活用状況やその効果を把握している。その中から、ICT教育推進課の指導主事が学校を抽出して訪問し、ICTを活用した授業を参観し、教員と面談して聞き取りを行っている。
課題について、活用することの効果をどのように測定するのかというところに難しさを感じており、今後の検討課題としている。
【委員】
教育に関しては、費用対効果は分かりにくく、長期にわたり、心の問題もあり、原則論としては難しいと思う。例えば県でアンケートや簡単な検定などを行えば、おのずと効果が出てくると思うため、そういう点も考慮してやってもらいたい。
いずれにしても、バランスシートを導入したからには、やはり有効活用が第一であるため、しっかりとタブレット端末を活用してもらいたい。
次に、決算に関する報告書328ページのキャリア教育推進事業費について、私は、かつて稲沢市の領内小学校へキャリア教育について調査に行ったことがある。そこでは、将来子供たちは何になりたいのか、例えば警察官になりたいとか、公務員になりたいとか、そういう目的をきちんと書かせて、それに対して、いつ頃にあなたは何をやったらいいのかを書かせていた。
いわゆる成功哲学に近いような授業をやっており、児童も皆楽しそうであった。
最近、これに似たケースで、テレビでドジャースの大谷翔平選手の経歴などについて取り上げていた。領内小学校の事例によく似ているが、大谷翔平選手も、28歳頃には大リーガーでワールドシリーズに出て優勝するという人生設計を描き、固く心に思いを募らせていたといっていた。こうした考えを持った理由は、中村天風氏の本に従ってやっていたといっていた。私は、こうした児童生徒の潜在能力を引き出すようなキャリア教育、学校教育の中にも積極的に取り入れてもらいたいと思っている。
そこで伺うが、本事業の取組状況と成果はどうなっているのか。
【理事者】
本事業では、小中学校において発達段階に応じた系統的なキャリア教育を進めている。小学校では県内36市町村の各1校で高学年児童を中心に農業やモノづくり、伝統芸能等の多様な体験をやるなど、地域の様々な仕事をしている人の話を聞くなどしている。令和5年度は5,439人の児童が参加した。参加した児童は、講師の仕事への思いに触れ、働くことの難しさ、すばらしさを知るとともに、子供たちが自分の将来を考える機会となり職業観、勤労観を形成するための一助となっている。
中学校では、県内全ての公立中学校において2年生を中心に地元の事業所で働く職場体験活動を実施している。令和5年度は262校で実施され、卸売、小売業、飲食店、宿泊業、医療、福祉、教育・学習支援業、その他のサービス業等の延べ1万4,433事業所で受け入れてもらい、3万8,892人の生徒が参加した。参加した生徒からは、仕事の大変さ、楽しさを知ることができた、将来体験した仕事に就きたいと思った、仕事は丁寧な言葉遣い、気遣い、思いやり、粘り強さが必要だと思ったなどの声があり、社会の一員としての自覚や学ぶこと、働くことの意義の理解が得られ、望ましい勤労観、職業観の理解につながっている。
【委員】
成果等を聞いていると、良い回答が返ってきたのではないかと思う。私も実際に中学生の職場体験を引き受けて、自分の会計事務所で体験してもらい、アンケートを取ったときに、こんなにもよくうちの会計事務所のことを思ってくれているのかと、非常に良い印象だったと覚えているため、職場体験は良いことだと思う。今後は、私が先ほど言ったように、成功哲学に似たようなことを取り入れてもらえれば、もっと人間形成には良くなるのではないかと思うので、今後の在り方についてどのように考えているか伺う。
【理事者】
小中学校におけるキャリア教育では、子供たちが自分の夢やなりたい姿のイメージをより具体的に持てるようにすることが重要だと考えている。市町村教育委員会もキャリア教育には力を入れているため、しっかり連携するとともに、地元企業や経済団体等と協同して実施できるよう取り組んでいく。
また、児童生徒はキャリア教育で学んだことや感想などをキャリア教育ノートに小、中、高と継続的に記録することとしており、これを振り返ることで将来のイメージを持って進学、就職など次のステップに進むことができるようしっかりと取り組んでいきたい。
【委員】
キャリア教育ノートは見たことがあるが、細かくしっかりとしているなと思った。そういうものを拡充することも非常に良いことだと思っている。若いときに、私は小中学校が一番適当だと思うが、いろいろな経験や多くの学習の機会を提供し、夢や希望、目標を持たせることは本当に重要なことであるため、今後ともキャリア教育の推進には力を入れてもらうよう要望する。