委員会情報
委員会審査状況
一般会計・特別会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年11月13日(水) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
石井芳樹、天野正基 正副委員長
横井五六、神野博史、高桑敏直、政木りか、林 文夫、宮島謙治、
高木ひろし、松本まもる、山口 健、古林千恵、末永けい 各委員
警察本部長、総務部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、
交通部長、警備部長、財務統括官、組織犯罪対策局長、
経済産業局長、経済産業局技監、中小企業部長、産業部長、革新事業創造部長
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和5年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第5款経済労働費、歳出第8款警察費及びこれらに関する歳入
決算第6号 令和5年度愛知県中小企業設備導入資金特別会計歳入歳出決算
<会議の概要>
Ⅰ 警察本部関係
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 休 憩(午後1時52分)
Ⅱ 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、労働委員会事務局関係
5 再 開(午後1時58分)
6 決算概要の説明
7 質 疑
8 閉 会
(主な質疑)
《警察本部関係》
【委員】
令和5年度決算に関する報告書319ページの3街頭犯罪対策費約3,900万円について質問する。
昨年の警察委員会でも質問したが、普及啓発を図っている県警察のアプリ、アイチポリスについて質問する。
まず、アイチポリスの運用や普及に要した経費及びアプリの普及状況について伺う。
【理事者】
令和5年度のアイチポリスの経費については、運用経費に広報用リーフレットの作成経費を加え、329万6,700円を執行した。
アイチポリスの普及状況については、令和6年3月末の時点で登録件数が7万8,468件、前年同期比プラス2万5,675件、約49パーセント増加しており、令和6年10月末現在ではさらに2万28件増加するなど、登録件数は着実に増加しており、年内には10万件を超える見込みである。
【委員】
10万件を超える予定という話が出たが、県民の人数を考えたときに、果たしてその10万件がどうなのか、そして私もアイチポリスを使っているが、通知機能で交通死亡事故や、地元での犯罪状況などが通知されるのは非常に有効だと思う。
アイチポリスの普及促進のための広報や新機能追加の状況について伺う。
【理事者】
アイチポリスの普及促進について説明する。
まず、アイチポリスは、犯罪や交通重大事故の発生状況などがマップ上で分かりやすく認識できるアプリであり、県民に防犯、交通事故の防止に広く役立ててもらうよう広報している。
特に、子供を持つ保護者は子供に声をかける不審者に関する情報に関心が高いことから、教育委員会や学校関係者等の協力を得て、生徒や保護者にリーフレットを配布する、生徒や保護者向けの公的ウェブサイトにデジタルチラシを掲載するなどして、アイチポリスの周知を図っている。
このほか、テレビやFMラジオ、新聞紙面、フリーペーパーに加え、アイドルグループなどの著名人が運営するSNS上で紹介してもらうなど、あらゆる媒体を活用して周知を図っている。
次に、アイチポリスの新機能について説明する。
本年10月からAIが県警察に寄せられる質問にチャット形式で回答するチャットボット機能を追加し、利便性が大きく向上している。また、本年7月からはクーポンコーナーを追加し、CSR活動として協力してもらった企業が運営するテーマパークなどにおいて、アプリ内のクーポン画面を提示することで特典を受けられるようになった。
今後も様々なツールを活用し、あらゆる世代に向けてアイチポリスの周知を図るとともに、安全・安心に活用できる情報を誰でも簡単に入手できるアプリとなるよう、各種機能の改善、拡充を図っていく。
【委員】
私も使う中で、アプリの画面にコノハけいぶのAIチャットボットが登場するようになり、改善されたと思っていたが、クーポンコーナーがあるのは知らなかったため一度使ってみる。
警視庁のデジポリスの普及率との比較になる。警視庁もマスコミをうまく使い、デジポリスの普及促進が図られたと認識している。良いアプリだと思うので、まだダウンロードしていない県民に広く使ってもらえるように、しっかり啓発してもらうことを要望する。
次に、決算に関する付属書38ページ以降に記載がある警察手数料に含まれる、今年の4月から免許センターをはじめ、県民の利便性向上として大々的に導入されたキャッシュレス決済について伺う。
まず、警察手数料のキャッシュレス決済導入におけるシステム及び機器の整備に要した経費について伺う。
【理事者】
キャッシュレス決済を導入するために必要となるシステム、レジ、決済端末などの機器については、一括して6年間の賃貸借契約を締結して整備しており、契約額は6年間の総額で5億5,517万6,160円、年額では9,252万9,360円である。
【委員】
総額5億5,000万円という大きな金額を答弁してもらった。この契約における業者の選定方法及び応札業者数について伺う。
【理事者】
当該契約における業者の選定方法については、公金の収納に関わるシステムであり、県民が広く利用するシステムであるので、価格面の評価と機能面の評価も行えるよう総合評価一般競争入札により業者を選定した。応札業者の数については4者であった。
【委員】
4者からの提案から選定されたとのことであるが、応札業者の入札金額にどれぐらいの開きがあったのか。
【理事者】
入札金額が最も高額であった業者と最も低額であった業者との差は、6年総額で約6,160万円であった。また、総合評価一般競争入札では価格面と機能面の両方を評価して落札業者を決定しているので、実際の落札業者と最も低額であった業者の差は約4,580万円であった。
【委員】
6年間で5億5,500万、差額が6,000万とのことである。今後もデジタル化などで県民の利便性向上を図るような新規システムの導入が見込まれるので、効率的な執行が図れるよう、業者選定についてノウハウを蓄積して対応してもらうよう要望して、私からの質問を終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書315ページの警察費の2地震災害警備対策費について伺う。
報告書には地震等の大規模災害発生時に必要となる装備資機材等の整備を図るとともに災害警備訓練を実施したとあるが、先ほどの説明で、災害警備活動経費にも使われているとのことであった。どのような予算内容だったのか、また、どのような物品を整備したのか伺う。
【理事者】
地震災害警備対策費は大規模地震等、突発的な大規模災害に備え、迅速な救出救助活動に必要な救助資機材の整備、備蓄食糧等の整備、非常参集時に活用している安否確認及び参集システムの管理等に要した費用である。
具体的には、救出救助資機材として、高所での救出救助に使用する二連梯子や浸水地域における活動に際して着用する救命胴衣のほか、警察職員等の非常用備蓄食糧と飲料水を備蓄した。
また、大規模災害等発生時に、災害発生情報等の緊急情報を警察職員にメール配信するとともに、警察職員の安否に関する情報を集約する安否確認及び参集システムを導入した。
【委員】
整備した物品については、災害の発生時にすぐに活用できなければならないが、ふだんからどのように保管、管理しているのか伺う。
【理事者】
救出救助資機材は災害等発生時にすぐに活用できるよう各警察署に配備しており、定期的に取扱訓練やメンテナンスを行っているほか、非常用備蓄食糧と飲料水は各所属に配分し、保存期間に応じて順次補充している。
また、非常参集時に活用している安否確認及び参集システムについては、大規模災害等発生時に緊急情報を自動配信できるよう、あらかじめ設定しているほか、定期的に配信訓練を行い、県警察の災害警備体制の早期確立を図っている。
【委員】
購入した物品については、それぞれメンテナンスを行いながら各所に配付していると理解した。
先ほど災害警備活動の活動経費と説明があったので要望する。1月の能登半島地震で愛知県警がベースにしていた石川県かほく市の高松体育センターに行き、現場を見たが、被災地まで片道2時間以上かかった。毎日朝6時台に出発して被災地に向かって、24時間活動して翌朝の交代の部隊が被災地に着いたら、申し送りをしてベースに戻る。他の行政機関の支援部隊にしても片道2時間以上かかるので、朝早く出ても日中に活動して、暗くなる前にベースに戻らなければならず、職員も心配していた。
作業に非常に制約がある中での活動であり、長時間に及ぶことで心身を疲労させている。装備資機材等の整備については、そういったことも含めて今後しっかり行ってほしい。さらに今後起こるだろう南海トラフ巨大地震を見据えて、私たちが援助を受ける側に、受援の立場に立ったときのためにも、その整備も同時に行うよう要望し、私からの質問を終わる。
【委員】
私からは、令和5年度決算に関する報告書321ページ、信号機改良の歩車分離式信号機の整備状況について伺う。
また、この整備によって県内における整備数は累計で何か所になって、全国的にどれぐらいの整備状況に至っているのか、当県における整備の特徴について併せて伺う。
【理事者】
歩車分離式信号機の整備状況等について、令和5年度は67交差点に整備した。この整備により、当県における歩車分離式信号機の整備箇所数は844交差点となり、全体の6.5パーセントとなる。
全国の整備率は、令和5年度末時点で5.0パーセントとなっており、当県の整備率は全国第5位となっている。
次に、整備の特徴について、歩車分離式信号機はスクランブル方式、歩行者専用現示方式、右左折車両分離方式及び右折車両分離方式の四つの方式があり、近年、当県においては右折車両分離方式の整備を推進している。この方式は車両が交差点を右折する際、対向の直進車両と右折先の横断歩行者を赤信号で止めているため、車両と歩行者が交錯しないようになっており、特に車線の多い交差点において事故抑止に効果的と考えている。
【委員】
この令和5年度の整備が行われたことで、交通事故の抑止にどのような効果が確認されたか。
【理事者】
令和5年度に整備した全ての信号交差点については整備から期間が短く、現時点で十分な検証結果を示すことはできないが、令和5年度に整備した右折車両分離方式の交差点においては、令和6年10月末現在、整備した方向における右折車両に起因する人身交通事故は発生していないので、一定の交通事故抑止効果が認められると考えている。
【委員】
この歩車分離式信号については、今から16年前に私が一般質問において、熱田区でトラックが左折した際に横断歩道を渡っていた幼稚園登園中の親子をひいたという痛ましい死亡事故が起きたことをきっかけに質問し、かなりのペースで増えてきたものだと思う。
私が調べたところ、当時16年前、歩車分離信号は愛知県内ではまだ148か所にとどまっており、普及率は1.1パーセント。それに比べると、今は6.5パーセント、箇所数にして844か所であり、16年で数倍、六倍、七倍にまで増えて、全国の順位も当時は最低レベルだったが、全国5位まで改善されてきた。これが全てではないが、愛知県における交通死亡事故、特に歩行者が犠牲となる交通死亡事故が減少、ワーストワンを脱出したことに対して貢献した度合いは決して少なくない。
こうした事故抑止効果が明らかな、特に歩行者を守るための信号機の改良としては著しい効果が認められるこの問題については、車社会であり、ワーストレベルがまだ全国的にも高いレベルにある本県としては、モデル県としての取組を一層加速して進めてもらうことを要望して終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書319ページ、街頭犯罪対策費に関連して質問する。
県内では昨年に引き続き特殊詐欺の被害が多発しており、被害防止のための取組が重要であるが、警察の業務は多岐にわたっており、限られた人員による被害防止の広報には限界があるとも考えている。
県の警察では特殊詐欺被害防止コールセンターを運用して、特殊詐欺被害の未然防止に取り組んでいるが、その概要と効果について伺う。
【理事者】
特殊詐欺被害防止コールセンターの概要を説明する上で、まず特殊詐欺被害の現状から簡単に説明をする。
令和6年中の特殊詐欺被害の認知件数については、10月末現在で1,225件、被害額は約34億円と依然として危機的な状況が続いている。
また、被害者の大半が高齢者であり、自宅の固定電話に対して国際電話番号から着信を契機とする手口が増加している。
こうした情勢の中、県警察においては、事業者に業務委託して、平成22年から特殊詐欺被害防止コールセンターを開設し、特殊詐欺の前兆電話が集中した地域を中心に住民の固定電話に電話をかけ、注意喚起を行っている。加えて、同コールセンターでは、特殊詐欺被害が多発する地域の金融機関やコンビニエンスストアに注意喚起の電話をかけ、特殊詐欺被害の防止に努めている。
令和5年度中は同コールセンターから地域住民などに対して23万4,842件の電話をかけ、注意喚起を行っているが、その際、相手方が直前に警察官をかたったキャッシュカードの特殊詐欺被害に遭っていることが判明し、直ちに口座凍結を行ったことで口座から出金される前に被害を防ぐことができた好事例もある。
【委員】
特殊詐欺被害防止コールセンターの概要、効果については、同コールセンターから住民に対して非常に多くの注意喚起をしており、その効果として被害を未然に防止した事例を答弁してもらい、同コールセンターの事業が大変有効なものであると分かった。
次に、これら増加する特殊詐欺の対策について、県警察における特殊詐欺被害防止に向けた今後の取組方針について伺う。
【理事者】
特殊詐欺事件にはSNSを通じて緩やかにつながり、離合集散を繰り返す匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウの暗躍がある。県警察においては、こうしたトクリュウを募るSNS上の投稿、いわゆる闇バイトの募集投稿に対する警告メッセージの送信、SNS事業者に対して削除要請を行うサイバーパトロールを行っているところである。
本年、これらの業務を自動化するシステムを開発して、試験実施したところ、それまで月平均165件の警告数が約9倍の1,526件と大幅に増加したことから、10月に本運用を開始している。
また、こうした投稿に応募し、犯罪に加担しようとする者に対しては、警察への相談を呼びかける情報発信も行っている。
今後も特殊詐欺被害防止コールセンターの運用、国際電話番号を受信しないための取組、闇バイト対策などあらゆる対策を県警察全体で推進し、特殊詐欺被害の防止に取り組んでいく。
【委員】
SNS上の闇バイトの募集投稿に対して、警察や事業者を通じて削除するなど、いろいろな警告をしていると答弁があり、様々な面から未然防止に取り組んでいると分かったが、月平均件数が165件から約1,500件と9倍にも増えているということもあり、しっかり取り組んでもらいたい。
要望するが、今後もこのコールセンター事業のさらなる強化をはじめ、あらゆる取組を推進して、一件でも被害を減らせるように努力してもらいたい。そして、最近、首都圏で闇バイトによる強盗事件が多発している。そのうち、名古屋圏や大阪圏にも来るのではないかと大変心配しているが、実行犯やその途中の人は捕まっても、指示する人がなかなか捕まらない。
法律上禁止されていると思うが、盗聴やおとり捜査をできないのか。特に殺人など、複数の人で来たらどうしようもない。指示役を押さえないといつまでも事件が終わらないので、おとり捜査等も限定的、条件付で必要ではないか。
今後とも、県民の安全・安心をしっかり守ってもらうよう要望して終わる。
【委員】
私からは318ページの犯罪捜査活動費関連で、過去5年間に愛知県警が取り扱った死体数及び司法解剖を行った死体数の推移を伺う。
【理事者】
過去5年間の県警察における死体取扱数の推移について、2019年が7,520件、2020年が7,666件、2021年が7,801件、2022年が8,525件、昨年2023年が8,596件となっている。
次に、司法解剖数の推移については、2019年が343件、2020年が308件、2021年が339件、2022年が344件、昨年2023年が346件となっている。
【委員】
今、説明があったように、2020年以前と2021年以降、激増している死体取扱数、いわゆる変死体について、私の知人の所轄の警察官や消防の職員に話を聴いたことがあるが、変死体が増えていると言っていた。それとも合致しているのを今、数字で確認した。
何が原因なのかというと、私が再三言っているコロナワクチン、これ以外に考えられない。これを裏づける形で国立感染症研究所などが出している超過死亡に関する統計を見ると、45万人以上の超過死亡が発生している。普通であれば、戦争や大震災などがないと発生しないものである。
一方で、コロナで亡くなった人は、季節性インフルエンザとほとんど変わらない死亡者になるので、それ以外の変数は、コロナワクチン以外考えられない。名古屋大学の先生もこれに関して、もう虐殺だと記者会見しているし、有史最大の、薬害ではなくて、事件である。
2022年に徳島県の事例であるが、14歳の女子中学生が亡くなった。ファイザーのワクチンを接種して、翌日の夜に呼吸困難となって、次の日の朝に呼吸をしていない状態で家族が発見、その後、死亡が確認された。接種後45時間後だった。3回目の接種だった。徳島県警の依頼で司法解剖を実施した徳島大学医学部法医学教室の研究チームがワクチン接種による心筋・心膜炎が原因とする論文を医学会の学術誌に発表している。
2億回ワクチンを打って死亡した人がいない、そんな論文はないと言っている大臣がこの国にいる。平気でうそをついている。そのうそがまかり通っている。異常事態である。
国の予防接種健康被害救済制度でも、800人以上が認定されている。マクロでいうと45万人以上が実際に亡くなっており、そういった事実に基づいて考えると、司法解剖や論文、あるいは予防接種健康被害救済制度のサンプル数がまだまだ足りないと思っており、この徳島県警の事例のように、警察でもワクチンとの因果関係を考えてもらい、司法解剖に回すと良いのではないかと思っている。
警察で取り扱った死体のうち、どのような基準で司法解剖の要否を判断しているのか。
【理事者】
まず、司法解剖については一般的には犯罪によることが明らかな死体、いわゆる犯罪死体、または犯罪による死亡の疑いがある死体、いわゆる変死体が、司法解剖の対象となる。
解剖の要否については、それぞれの事案ごとに死体や現場の状況、各種検査結果を勘案するなどして、個別に判断している。
【委員】
病歴がないにもかかわらず、また、先ほどの中学生の事例のように、若くして多くの人が命を落としている。クリニックや病院によっては、医者自身はワクチンの危険性も分かっているので打たない、また自分の家族に打たせないが、従業員の看護師や患者に対してはお金もうけのために打ち進めている医者も少なくない。これもいろいろなところから聞いている。故意犯、未必の故意、もう極めて犯罪的な行為が進んでいる。
アメリカでトランプ氏が勝って、ロバート・ケネディ・ジュニアが政権幹部に入る。早速、会見して、コロナワクチンの政策、コロナの政策を見直すと言っている。バイデン政権の幹部や、関わった人たちは国外にもう逃げ出している情報も入ってきている。日本においても、流れが大きく変わると考えて良いと思うので、できれば、こういった故意の、悪いと思っても進めている、分かってやっている人たちを逮捕してもらいたい。これは極めて犯罪的である。政権担当者、メディア、医療機関も医者も。せめて、このワクチンとの因果関係を立証していくことを司法解剖の仕組みなど使って事件の全容をしっかり明らかにしていくことを要望する。
《経済産業局、労働局、観光コンベンション局関係》
【委員】
令和5年度決算に関する報告書の181ページ、22次世代産業振興事業費の(2)自動運転社会実装推進事業費について、本県では自動運転の社会実装を目指して、全国に先駆けて2016年度から様々な実証実験を積み重ねており、令和5年度は県内3市において、自動運転の社会実装を見据えた実証実験等を実施した。
自動運転の技術的な課題等を踏まえ、令和5年度は各エリアにおいて、どのようなテーマで取り組んだのか。また、その成果について伺う。
【理事者】
令和5年度は名古屋市内、中部国際空港エリア及び愛・地球博記念公園において、実証実験を実施した。
名古屋市内では、都心の道路環境に対応したスムーズな自動走行をテーマに取り組んだ。名古屋駅付近とイオンタウン千種を結ぶ若宮大通を中心としたルートで、セダン型の自動運転車両を走行させる実証実験を19日間実施した。幹線道路における通常速度での走行は全国初の取組となるが、幹線道路で周囲の車速に対応するとともに、交通量の多い都心の複雑な道路環境においても、他の一般車両等と共存した自動走行を行うことができた。
中部国際空港エリアでは、一般客向けの定期運行をテーマに、中部国際空港とイオンモール常滑を結ぶ自動車専用道路を含むルートにおいて、小型バス車両で一般客を乗せた実証実験を実施した。自動運転で用いるセンサー機器は雨や雪の影響を受けやすいことが課題となるので、冬季に毎週日曜日を中心に3か月間実施した。雨や雪等の耐候性の検証を行い、雪が降っている中でも走行できることを確認した。また、輸送力確保の観点では、全国初の取組として自動車専用道路での時速60キロ走行時を含めて、立席での乗車も行い、安定的で揺れの少ない自動走行を確認した。
愛・地球博記念公園では、将来の無人自動走行に向けた検証をテーマに公園内の管理道路において小型バス車両での実証実験を実施した。公園の特性を踏まえ、システムでの検知が難しい枝等の自然落下物の自動回避、路面の起伏への対応等を検証した。また、樹木等によって、電波環境の悪い状況下における遠隔管制室との音声映像の安定した通信の検証も行った。
【委員】
昨年度までの成果を踏まえて、今年度どのような取組を行っているのか。
【理事者】
今年度も昨年度に引き続き同じエリアで、自動運転の社会実装を目指し、具体的なビジネスモデルを想定した実証実験を実施している。
中部国際空港エリアでは、8月から9月にかけて、輸送力向上のため昨年度の小型バスよりサイズの大きい中型バス車両を用いて、高速走行時の安定走行や立席での輸送、夜間走行等の検証を行った。また、小型EVバスを用いて、常滑市のコミュニティーバスを想定したダイヤで走行を行い、交差点右左折の自動制御等の検証も行った。
愛・地球博記念公園では、10月にジブリパークの各エリアを結ぶ園内バス東ルートにおいて、歩行者が多数存在する環境下での自動走行や、他の園内バスと混在した運行の検証を行った。
名古屋市内では、11月から名古屋駅前とSTATION Aiを結ぶ自動運転の定期運行を開始し、長期間運行することで生じる課題の検証を始めた。年末年始を除く平日に毎日4往復、計8便を来年3月までの5か月間にわたり運行する。名古屋市内のこの取組は、いわば実装に近い形での運行となっている。今後も引き続き、自動運転の社会実装に向けた取組を進めていく。
【委員】
社会実装に向けて確実に成果が上がっていると理解できた。
会社員として勤めている頃、国の自動運転に関する実証実験の何件かに参画させてもらい、トヨタ自動車株式会社や株式会社デンソーとは道路のラインや標識をカメラで認識する検証や、アイサンテクノロジー株式会社とは点群データのやり取り等をした経験もあり、自動運転の取組は自動車産業の振興はもとより、高齢者の移動支援をはじめ各種の地域課題の解決にも非常に重要な取組である。引き続き、自動運転の普及に向けたインフラ整備や安全性の向上、研究開発等の取組にしっかりと予算をつけて進めてもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書の197ページ、7の外国人雇用促進事業費について、事業内容と利用件数や伴走型支援の実績を伺う。
【理事者】
外国人雇用促進事業では、就労制限のない定住外国人の雇用促進や就職支援のため、県内企業向けの雇用相談及び定住外国人向けの就職相談を行う相談窓口の運営や市町村等への出張相談を実施した。
令和5年度の相談窓口の利用実績は企業から167件、定住外国人から142件、また、出張相談については、延べ52回実施し、定住外国人からの相談件数は65件となっている。人手不足感が高まる中、外国人雇用を検討している企業等からの相談が前年度の件数を上回っている。
相談内容として、企業からは、外国人を紹介してほしいという相談が60件、外国人向けの求人方法に関する相談が40件と多くなっており、就労可能な在留資格に関する説明や、募集・採用方法、受入れ体制についての助言等を実施した。
また、外国人からは、仕事探しに関する相談が105件と多く、履歴書等の書類の書き方や就職活動への助言、キャリアアップや転職の支援等を実施した。
さらに、企業に対して定住外国人の円滑な雇用が図れるよう、社会保険労務士や行政書士等の専門家を活用し、社内規定などの体制整備等や採用手続に関する助言から雇用後の職場定着までを継続的にフォローする伴走型支援を6社に対して実施し、そのうち3社に5人が採用された。5人の内訳だが、介護3人、飲食2人となっている。
また、希望する定住外国人に対しては、日本語をはじめ、職場におけるマナーや安全衛生、キャリア形成に関する講習を16人に行い、就職を支援した。
【委員】
企業からの相談件数が前年を上回るとの答弁だが、県内には日系ブラジル人のように就労可能な人が多くいるが、多くの人が派遣社員という不安定な形で働いている実態もあると認識しているので、この事業をうまく生かしてもらいながら、しっかりと雇用対策を進めてもらうことを要望する。
次に、決算に関する報告書199ページ、5の技能競技大会費、約1.2億円に関して質問する。
これまで技能五輪全国大会で本県選手団は極めて優秀な成績を収めており、いよいよ来週、開幕するあいち技能五輪・アビリンピック2024においても活躍を期待している。
選手の皆さんは将来の愛知県のモノづくり産業を支える優秀な技能者であって、この大会を経験することで、さらなる飛躍が期待されるが、技能五輪全国大会も出場するには多くの練習時間や練習用の機材などを要することから、大企業では問題なくても、学生や中小企業で働く技能者は経費負担の観点から出場を躊躇する人がいるのではないか心配している。決算に関する報告書199ページに、県は選手育成の経費を助成したとあるが、助成制度の内容と実績について伺う。
【理事者】
昨年度に愛知県で技能五輪全国大会が開催されることになったことを受け、中小企業や学校を対象とした選手育成助成制度を設け、大会出場へのハードルを軽減するとともに選手強化を図っている。
具体的には、選手育成助成金により、大会への出場を目指す選手の育成をするために訓練を行う中小企業や学校等に対し、外部講師の謝金あるいは訓練用の材料費、会場借り上げ費等の一部を助成している。
選手育成助成金の2023年度の実績としては、2023年度対象あるいは2024年度対象の選手に対して、延べ件数で46件、839万円で、このうち中小企業からの申請が延べで15件、179万6,000円であった。
なお、2023年度大会に出場した愛知県代表の選手209名、技能五輪188名とアビリンピック21名のうち、この助成金を活用した選手は中小企業所属が15名、学生が18名となっていることから、中小企業等の出場の一助になっている。
【委員】
モノづくり愛知を支える技能人材の育成の重要な取組であるため、費用面でしっかりサポートを継続してもらうことを要望する。
決算に関する報告書200ページ、2の短期課程訓練費について、離転職者等を対象とした職業訓練を実施しているが、内容と実績及びその決算額について伺う。
【理事者】
短期課程訓練の事業内容について、名古屋高等技術専門校、岡崎高等技術専門校、東三河高等技術専門校の3校において、施設内で行う訓練及び民間教育機関に委託して行う訓練がある。
施設内訓練として、離転職者を対象にモノづくり、建築、造園、窯業分野などについて、6か月または1年の訓練を行う離転職者対象訓練を行い、企業などで働いている人を対象に、デジタルやモノづくり等に関する技術を身につけ、スキルアップを図るための2日間程度の訓練を行う在職者訓練を実施した。
また、離転職者を対象に、介護福祉分野のほか、事務系、情報系等の訓練を民間教育機関に委託して行う雇用セーフティーネット対策訓練を実施した。
次に実績について、離転職者対象訓練では3校で全11科、訓練生337人の規模で訓練を実施した。就職率は全体で86.5パーセントとなっており、決算額は8,232万9,166円である。在職者対象訓練では、3校で全168コース、受講者1,688人の規模で訓練を実施しており、決算額は1,303万753円である。雇用セーフティーネット対策訓練では、3校で全324コース、受講者3,594人の規模で訓練を実施し、就職率は全体で79.6パーセントとなっており、決算額は8億7,031万4,132円である。
【委員】
昨年のデジタル化・地方創生調査特別委員会で名古屋高等技術専門校を視察した際、就職率は8割を超えていると説明があった。中小企業の支援に大きく寄与する取組だと思うので、しっかりと継続してもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書の197ページ、4の就職氷河期世代就職支援事業費に関連して、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇が受けられ、多様な働き方を自由に選択できるように2020年の労働者派遣法の施行や、2021年のパートタイム・有期雇用労働法の全面施行がされている。
本事業について、愛知県ではこれまでどれくらいの期間取り組んできたのか。
【理事者】
本事業について、就職氷河期といわれる雇用環境の厳しい時期に就職活動を行い、現在も不安定な就業を余儀なくされている人や長期間無業の状態にある人等の就職、正社員化を目的に2020年度から実施している。
【委員】
「正社員化に向けた支援のため、キャリアコンサルティング・求職者のニーズに応じた個別研修や紹介予定派遣制度を活用した職場実習を実施した」とあるが、どのような個別研修や職場実習を行ってきたのか。
また、令和5年度の研修や実習に参加した人数と就職につながった人数及びこれまでの推移について伺う。
【理事者】
就職氷河期世代就職支援事業は、事業を開始した2020年度から状況に応じて事業内容の見直しを図りながら実施している。2023年度は早期に就職を希望する求職者を対象に、ビジネススキル向上のための個別研修を実施するさっそく就活コースと、就労経験が少ない求職者を対象に、個別研修に加えて紹介予定派遣制度を活用した職場実習等を実施するじっくり就活コースの二つのコースを用意して、求職者のニーズに沿った支援を行った。
個別研修は、ビジネスマナー、パソコン操作、模擬面接等を実施しており、職場実習の内容は参加者に対して行うキャリアコンサルティングの結果に基づき、本人の希望や適性に沿った企業での実習を1か月間程度実施している。
2023年度の本事業への参加者は92人で、うち就職者は51人であった。職場実習を実施する現在の事業内容に変更した2021年度から2023年度までの累計は、参加者が304人、就職者が172人となっている。
【委員】
マッチング先の企業数の推移について伺う。
【理事者】
紹介予定派遣制度を活用した職場実習への参加企業を開拓した結果、2023年度の登録企業は172社であった。職場実習を開始した2021年度から2023年度までの登録企業数は延べ594社となっている。
【委員】
約6,000万円の決算額の内訳について伺う。
【理事者】
本事業は民間事業者への委託により実施しているため、全額委託費となっている。内訳だが、講師謝金や会場借上料を含む研修費、職場実習先企業の開拓に必要な人件費を含む企業開拓費、職場実習に参加した人への給与を含む実習費、広報費等になる。
【委員】
安定した生活のためにも正社員になりたいと希望する人への支援は継続的に必要であると考えるが、正社員を希望する人々への支援内容として工夫している点を伺う。
【理事者】
本事業では、受託事業者がマッチングから採用、採用後のフォローまでを年間通じて参加者に寄り添う伴走型で支援しているが、事業終了後については、本県と国が共同で運営しているヤング・ジョブ・あいち等につなぎ、正社員を希望する人に向けた就職相談や職業紹介などによる継続的な支援を行っている。
【委員】
決算に関する報告書の171ページ、PRE-STATION Ai事業費について、10月31日にグランドオープンしたSTATION Aiに先駆けて2020年1月に名古屋市中村区のWeWorkグローバルゲート名古屋内に設置し、スタートアップ支援を行ったPRE-STATION Aiについて、令和5年度決算額3億7,336万5,368円の内訳と具体的な取組について伺う。
【理事者】
PRE-STATION Aiの事業費の内訳について、賃借料や光熱費など、PRE-STATION Aiの設置に必要なPRE-STATION Ai活動費が2億4,012万3,000円、次にスタートアップの総合支援に必要な人件費である統括マネジャー設置事業費に1億2,703万4,000円、次にビジネスプランコンテストの開催に要する起業促進事業費に476万6,000円、関係者による会議開催に要するあいちスタートアップ会議等運営事務費に144万2,000円という形で構成している。
次に、取組について、PRE-STATION Aiでは大きく二つの取組を行ってきた。
一つ目は、スタートアップに活動拠点を提供するということを目的として、フリーアドレスのコワーキングスペースやミーティングルームなどを設け、スタートアップがビジネスを進める場を整備した。
二つ目は、スタートアップの成長に向けた総合支援を行うことを目的として、1年間通して実施するプログラムであるファウンダーズプログラムと短期間に特定のスタートアップに集中的に支援を行う短期集中型プログラムを行っており、起業経験等を有する統括マネジャーなどによるメンタリングや事業アイデアのブラッシュアップを行っているほか、コミュニティーマネジャーを設け、それらマネジャーによるメンバー同士のコミュニティー構築の支援や各種専門家による無料相談会をはじめとしたイベントを開催している。
【委員】
PRE-STATION Aiの設置目的は、STATION Aiのオープンに先駆けてスタートアップ支援を行うことであり、このPRE-STATION Aiでの取組で得られた知見などは当然STATION Aiにおける支援に今、生かされていると思う。そこで伺うが、PRE-STATION Aiで得られた成果はどのようなものなのか。また、今後STATION Aiにおいて、どのようにその成果を展開していくのか。
【理事者】
PRE-STATION Aiの成果について、これまでに株式の上場が1件、事業の売却が2件となっている。2023年度には、事業連携が21件、資金調達43件、個人事業主としての起業が14件といった成果が出ている。
具体的な例を紹介すると、事業連携の例として、名古屋市西区にある株式会社ユーリアという、即時尿検査サービスを展開している会社が栄養状態の改善や健康状態の解決などを可視化するサービスの構築に向けて、ソフトバンク株式会社と業務提携契約を締結している例がある。
資金調達の例としては、名古屋市西区の株式会社トクイテンというAIとロボットで有機農業を推進している会社は、ユナイテッド株式会社やSTATION Aiセントラルジャパン1号ファンド等を引受先とする第三者割当増資、及び日本政策金融公庫の融資により3億7,000万円の資金調達を行っている。
次に、2020年からの4年余りのPRE-STATION Aiにおける取組で蓄積したものとして、例えばPRE-STATION Aiでスタートアップの支援をしてきたノウハウに加えて、スタートアップ、ベンチャーキャピタルや専門家がPRE-STATION Aiに集まって、コミュニティーをつくってきた。そういったノウハウやコミュニティーは財産であり、これからSTATION Aiで実施するオールステージのスタートアップに対する支援やスタートアップとパートナー企業とのオープンイノベーションが、円滑に進むようにしっかりと引き継ぎ、STATION Aiで次々とイノベーションが生まれていくよう取り組んでいきたい。
【委員】
PRE-STATION Aiでの知見を生かしたSTATION Aiでの活動については、本県のモノづくりを支える中小・小規模事業所の第二創業、新たな収入の柱をつくることや、スタートアップやパートナー企業の技術を生かした企業力強化につなげていくことが重要であると思っている。ぜひそうした取組も力強く進めてもらうよう要望する。
決算に関する報告書の185ページ、24の知の拠点あいち推進費の(1)重点研究プロジェクト推進事業費10億8,902万4,538円について、この事業費の内訳と事業内容及び三つのプロジェクトテーマにおける成果を伺う。
【理事者】
重点研究プロジェクトの事業費の内訳について、研究費が約8億4,349万円となっている。27の研究テーマで実施しており、1テーマ当たりの研究費は、平均約3,124万円となっている。
そのほか、業務を委託している科学技術交流財団の事務費や、重点研究プロジェクト第Ⅲ期で実施した研究成果について、あいち産業科学技術総合センターを中心に、県内企業への技術移転を推進するための経費などがあり、これらを合わせて約2億4,553万円となっている。
次に、事業の内容について、重点研究プロジェクトは、大学等の研究シーズを活用し、県内主要産業が有する課題の解決、新技術の開発、実用化等を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクトである。
現在、2022年度から2024年度を実施期間とする第Ⅳ期の事業を実施しており、プロジェクトCore Industry、プロジェクトDX、プロジェクトSDGsの三つのプロジェクトにおいて、合計27の研究テーマで80件の技術ターゲットの達成を目指して、研究開発を実施している。
2024年11月1日現在で、プロジェクトには合計111の企業や大学、研究開発機関が参画しており、このうち企業は88社である。企業のうち59社が中小企業、18社がスタートアップであり、多くの中小企業、スタートアップが参加している。
プロジェクト参画企業に対しては、県の研究費と同額以上の自己負担を求めているが、中小企業やスタートアップの場合は減免等を行っているほか、研究テーマの審査に当たり、スタートアップが参画するテーマに対しては評価項目の得点を加点するなど、優遇措置を取り、中小企業やスタートアップが参画しやすい制度としている。
次にプロジェクトの成果について、これまで80件の技術ターゲットのうち5件が社会実装の段階、45件が社会実装一歩手前の技術確立の各段階に至っており、着実に成果が上がっている。
例として一つ挙げると、手指デバイスを利用した精神的フレイルの予防・回復を促す脳トレシステムの開発に、日本で初めて成功した研究がある。この研究テーマにはスタートアップである株式会社セカンドコンセプトが参画しており、重点研究プロジェクトの研究成果に基づく特許出願や、開発した技術を活用したシステム開発を行うなど、スタートアップの技術開発力の底上げに貢献している。
【委員】
これまでの取組における課題と、その課題に対する今後の取組について伺う。
【理事者】
課題について、重点研究プロジェクトは2011年度から実施しており、実施内容の見直しを行いながら、現在、第Ⅳ期を実施している。
その中で認識している課題としては、主に3項目ある。一つ目は、研究チームメンバーの広がりが必要であり、例えばSTATION Aiとの連携等によるスタートアップの活用が課題と思っている。二つ目は、研究フェーズの多様化、三つ目は、研究成果の着実な製品化に向けた支援、これらを課題と捉えている。
課題に対する今後の取組について、来年度から開始を予定している第Ⅴ期のプロジェクトでは、こうした課題に対応するため、まず第Ⅴ期に参画するスタートアップに対して、試作・評価機能に強みのある知の拠点あいちの研究室を優先的に利用してもらい、活動拠点を確保するとともに、技術面からスタートアップを支援することを検討している。
また、研究機関や研究費が異なる複数の採択枠を設定して、多様な研究フェーズに対応するとともに、各研究テーマに対して技術の優位性の評価や市場の見極めなどのハンズオン支援を実施し、事業化や製品化を後押しすることを検討している。
引き続き、中小企業やスタートアップをはじめとする参画企業の課題解決、技術の実用化に資する制度となるように運用していきたい。
【委員】
本県の産業の底支えをする中小・小規模事業者は重要な存在であるため、支援を強化していかなければならない。大学発の研究テーマに対し、事業化に向けたパートナーとして県下の中小企業・小規模事業者への呼びかけを商工会など通じて実施することで、中小・小規模事業者が持つ技術を生かして、それら技術の可能性をぜひ広げる取組を行ってもらうよう要望する。
決算に関する報告書の194ページ、勤労者福祉推進事業費の2中小企業男性育児休業取得促進事業費5億3,914万3,100円のうち、男性従業員が育児休業を取得した中小企業等に対して支給をされる奨励金について、この事業の内訳と事業のPR方法を伺う。
【理事者】
中小企業男性育児休業取得促進奨励金は、男性従業員が育児休業を取得した県内中小企業等に対して奨励金を支給する制度で、昨年9月から申請受付を開始した。支給額は、育児休業を通算14日以上取得すると50万円、通算28日以上の取得で100万円となっており、一社でも多くの中小企業が男性の育児休業取得促進に取り組むきっかけとなるよう、1事業者につき1回限りの支給としている。
次に、事業のPR方法について、9月の制度創設と同時に県内中小企業等2万社へ直接チラシを発送するとともに、ウェブサイトを作成し、制度の内容について情報発信を行った。また、国や市町村、経済団体等と連携し、広報誌やメールマガジンへの紹介記事の掲載などにより周知、広報を実施している。
【委員】
奨励金5億2,350万円の昨年度の支給実績、また、育児休業を取得した男性従業員数と事業の成果はどのようか。
【理事者】
昨年度の支給実績であるが、50万円が147件、100万円が450件、計597件で、支給金額は5億2,350万円となっている。
従業員規模の小さい企業では代替要員の確保が難しく、男性が育児休業を取得しづらい状況であるが、奨励金の受給希望の内訳を見ると、従業員の30人以下の企業が33パーセント、195件となっており、規模の小さい企業において多く活用されている。実際に育休を取得した人数は合計で597人になっている。
【委員】
本事業の実施を踏まえて、男性の育児休業取得促進に向けた課題をどのように捉えているのか。また、課題を受けて、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
奨励金の受給企業からは、育休の取得促進に向けて育児休業制度への従業員の理解不足や業務の属人化などの課題があると聞いている。このため、県では専門家を企業に派遣して、職場の理解促進や、取得を申請しやすい環境づくり、業務の効率化などについて助言を行う伴走型支援を実施するほか、経営者等を対象にセミナーを開催し、企業が男性の育休取得促進に取り組む意義などを周知している。
こうした取組により、引き続き男性の育児休業取得促進に取り組む企業を支援していく。
【委員】
法定の育児休業制度で対象となる労働者と子供、そして育児休業の回数や育児休業の期間など奨励金の申請基準と、各事業所がつくる就業規則との整合性がとりづらいところが現状の課題としてあるのではないかと思っている。
実際、地元の小規模事業者も代替の従業員がいない中で、他の従業員に理解をしてもらうように奨励金の手続を考えていたが、子どもが1歳から2歳にかかるため就業規則に合致せず、泣く泣く奨励金の申請は諦めたと聞いている。そうした、少しでも男性の育児休業の取得に協力、理解してもらえる中小・小規模事業者に対して分かりやすいポイントをしっかりと明記したパンフレットを配ってもらうなど、この事業をしっかりと推進してもらうよう要望する。
【委員】
決算に関する報告書194ページ、2の中小企業男性育児休業取得促進事業費について、この事業で育休を取得した企業が申請するときの要件としてアンケートに協力してもらうことが条件の中にあったと思うが、企業へのアンケート結果を伺う。
【理事者】
中小企業男性育児休業取得促進奨励金については、奨励金を申請する企業の担当者から、男性の育児休業取得促進に向けた企業の取組や課題、工夫点などを報告してもらうとともに、育休を取得した男性従業員からも育休取得のきっかけを含め、育児休業に関する自身の体験談について報告を聞いている。
企業担当者からは、日頃から情報共有を意識し、周りがサポートすることで業務を円滑に継続できた、取組事例を共有し、さらに男性が育休を取得しやすい環境づくりに取り組むといった声をもらっている。
また、男性従業員からは、おむつ替え、沐浴など初めての育児は新鮮だった、夫婦で助け合いながら育児の楽しさやつらさなどを経験できて本当によかったなど、実体験に基づいた声をもらっている。
【委員】
男性が育児に参加することを企業として支援するための事業費であると承知しているが、子供を持つ親は、母親だけでなく父親も、育児においては平等にしてしかるべきだと思う。男性社員からのアンケートはもちろん、できればその配偶者にも取得した育休に対してどうだったかという感想も聞いた方がよい。
男性も女性も一緒に子育てすることに対してのアンケートをしてもらいたいが、今後の考えを伺う。
【理事者】
本奨励金は、男性が積極的に育児を行い、仕事と育児を両立できるよう、中小企業の職場環境づくりを支援し、男性の育児休業取得を促進することを目的としており、従業員の配偶者に対して、夫の育休取得に対する意見や希望を聴取することは想定をしていない。県としては、男性が育休を取得する意義や必要性を正しく伝え、男性が育休を取得しやすい職場環境を中小企業が整備できるよう支援を続けていく。
【委員】
父親と母親が同じ割合で育児参加することが主流になっていないと感じている。子供を持つことは、子供の父親である男性の意識改革ができるように、従業員の家族は会社の従業員の一部と考えて、企業ぐるみで子育てを応援するように考えてもらいたい。
労働局として、今後、育児休業者の代わりにアルバイトを雇うことができる今回のような事業費は、企業にとっても育児休業する側にとっても、ありがたい取組だと思うので、ぜひ続けてもらいたい。
次に決算に関する報告書の171ページ、3のあいちモビリティイノベーションプロジェクト推進事業費の2023年度の事業について、普及啓発活動を実施したとあるが、普及啓発活動の具体的な内容と目的を伺う。
【理事者】
普及啓発活動の内容について、10月に東京都で開催されたジャパンモビリティーショー2023、11月に名古屋市で開催されたあいちITSワールド2023、また3月に常滑市で開催されたスマート・マニュファクチャリング・サミット・バイ・グローバル・インダストリーにブース出展をして、当プロジェクトの目指す姿を紹介するとともに、プロジェクト参画企業からドローンや空飛ぶクルマの機体展示を行った。
目的については、愛知県にはドローンや空飛ぶクルマ等の次世代空モビリティの開発、製造を行う企業は集中しているが、知名度は高いといえないため、このプロジェクトの情報発信を行うことで認知度を高めることと、ドローンや空飛ぶクルマの安全性や利便性について理解を広めていき、社会受容性の向上や次世代空モビリティの普及に向けた機運の醸成を図ることである。
【委員】
次に、事業化調査について得られた成果や課題、2023年度の事業を踏まえ、社会実装に向けた取組を今年度どのように進めていくのか。
【理事者】
昨年度は当プロジェクトの目的の一つである次世代空モビリティの社会実装の早期化を目指して、県内3か所でドローンに関する事業化調査を行った。成果や課題として、昨年11月に豊田市では医療コンテナへの医療物資の往復輸送をテーマに調査を行い、これにより、医療物資の配送や往復配送のノウハウを蓄積することができた。
1月には豊川市、新城市で、河川上空の航路でのドローンの多目的利用をテーマに、物資の輸送と河川の巡視を同時に行う調査を行った。これにより、河川上空は調整先の観点や航路上に人がいないことなどの運用上のメリットを確認するとともに、多目的利用の観点では、上空からの映像では木に隠れてしまう部分があるなど、巡視の利用には制限がある点を確認した。
2月には名古屋市、春日井市で災害時のデジタルマップの情報共有及び平時のデジタルマップ活用をテーマに調査を行った。上空から被害状況を撮影し、解析及びマップの作成を行い、市役所への可視化情報の迅速な共有を確認することができた。他方で、デジタルマップの平時の活用については、公共目的の測量への活用を検討したが、なかなか要件等が難しく、平時の活用方法は引き続き課題となっている。
今後の社会実装に向けて、今年度、河川を航路とした配送や医薬品の配送で得た知見を生かして、物流ドローンによる配送サービスを想定し、より社会実装に近い形で、西尾市や新城市での長期事業化調査を行っている。加えて、今年度実施している災害時のドローン利活用スキームの構築に向けた検討の中では、デジタルマップの災害時と平時の活用についても併せて検討を行っており、昨年度に得た成果を検討に生かしていく予定である。
【委員】
9月定例議会での一般質問の際に、災害時にドローンをすぐに活用できるようにしてもらいたいと要望したことに加え、先日、西尾市の実証実験も見せてもらい、医療物資の輸送についても今、着々と実証実験を重ねてもらっていることは理解し、期待している。
推進プランに沿ってプロジェクトを推進するに当たり、クリアすべきハードルや、それに対して今年度どのように進めていくつもりなのか伺う。
【理事者】
あいちモビリティイノベーションプロジェクト推進プランでは、需要の創出と供給力の強化の二つを取組の柱に掲げており、一つ目の柱、需要の創出に関しては、物流、人流、災害対応のそれぞれの分野で2026年度頃に早期社会実装を目指すローンチモデルの実現を目標としている。
実現に向けてのハードルは、ドローンや空飛ぶクルマを用いたビジネスとして成り立つサービスモデルの構築、離着陸場の整備といった環境整備がある。
このため、今年度は物流分野での長期事業化調査、人流分野での遊覧飛行の実現に向けた適地調査、災害対応分野では活用スキームを考える検討会を実施して、ローンチモデルの実現に向けて検討を進めている。
二つ目の柱である供給力の強化に関しては、愛知県が強みを有する自動車、航空宇宙産業といった既存産業の次世代空モビリティ産業への巻き込みや、ドローンのエンジニア人材育成に向けた体制整備がハードルとなる。
このため、今年度は次世代空モビリティの基幹産業化に向けて、競争力のあるドローン機体や供給部品の特定とサプライヤーとなる事業者の掘り起こしの検討を行うとともに、エンジニア人材育成に向けてのテキスト、カリキュラムの作成や養成機関の探索を進めている。
【委員】
ドローンを操作する人もだが、今後はサービスを受ける人も、経験を重ねていかなければならない。また、悪天候によるパターンもドローンの場合は考えられるため、2023年度の事業での実証を踏まえて、今年度以降も引き続き実証実験を実施してもらいたい。
次に、決算に関する報告書182ページ、(7)のサービスロボット社会実装推進事業費について、どのような課題が明らかになったのか伺う。
【理事者】
昨年度は半田市立半田病院、イオンモール常滑、ヒサヤオオドオリパークの3か所において、搬送、警備、案内等の業務の効率化といった施設の課題をロボットで解決する実証実験を行った。
また、名古屋市栄地区内において、今後の市場拡大が期待される自動配送ロボットを活用した事業モデルの創出を目的とした実証実験も実施した。
これらの実証実験により明らかになった課題は、屋外環境において太陽光、水、音といった環境要件があり、具体的には、水滴によるセンサーの誤作動、周辺の環境音で歩行者とのコミュニケーションが取りづらくなるなどの問題があった。
また、屋内環境では、実際に走行を行うことにより、ロボットの方向転換時の占有面積が想定より大きいことが判明し、人や車椅子といった他の通行者とのすれ違いなど、刻々と変わる周辺状況への変化に対応するところが課題であった。
自動配送ロボットを活用した実証実験については、交通信号の認識は問題なかったものの、工事現場におけるガードマンの停止合図の認識などの自律走行では対応できない場面があった。
【委員】
明らかになった課題を解決するために今後どうするのか伺う。
【理事者】
今回の実証実験で明らかになった課題や対策について専門家からフィードバックされており、先ほど話した環境要件への対応に関しては、ロボットメーカーにおいて引き続き課題を克服すべく技術開発を進めている。
また、技術開発だけではなく、特に屋内環境では走行動線の確保の十分な検討を行うことや、ロボットと人との通行ルールの整備といった施設側の運用面での対応も取り組む必要がある。加えて、施設整備面では、ロボットの保管場所や充電を行うための十分な電源装置を整えるといった対応も求められる。
なお、自動配送ロボットについては、走行環境の変化に柔軟に対応できるよう、今年度さらに長期間の実証実験を行い、検証を行う予定である。
【委員】
屋内の場合は半田市立半田病院で導入を実際に行っていくが、屋外は外的要因でいろいろ状況が変わり、歩道であれば点字ブロックや車道との段差など場所ごとに条件が異なり、社会実装していく上で、解決すべき課題がたくさんある。社会実装に当たってスケジュールはどのように考えているのか伺う。
【理事者】
半田市立半田病院では本事業をきっかけに、2025年度に移転統合予定の新病院においてサービスロボットの導入を決定した。具体的には、現在、看護師が担っている書類、検体等の院内搬送業務をロボットに代替させる予定で、昨年度の実証実験で活躍したロボットの中から機種選定を進めている。
屋外環境に関しては自動配送ロボットを用いた実証実験を行っており、今年度も引き続き検証を行っていくが、この事業主体である中電ウイング株式会社は本事業の取組によってロボットの安全性や実用性を確認することができ、社内で導入イメージが固まり、今後3年以内での事業化を目指していると聞いている。
【委員】
決算に関する報告書の188ページ、30の水素ステーション整備促進事業費補助金について、水素ステーションが西庁舎側にあったのがなくなったことを始め、これまであった場所からなくなっている場所も幾つか見受けられるが、県内の水素ステーションの設置数はどうなっているのか。
【理事者】
現時点では34か所の水素ステーションが営業している。
【委員】
燃料電池自動車(FCV)は1回充填すれば長距離走ることができる。例えばMIRAIであれば600キロの走行が可能であるが、水素ステーションを利用している車の台数は1日当たり何台ぐらいあるのか、平均的な数を伺う。
【理事者】
四半期ごとに統計をとっており、ステーションの1日当たりの利用台数は平均5.5台となっている。
【委員】
まだFCVの車自体の普及率が少ないという感覚を受ける。1日の平均利用台数が5.5台であると、運営していくことも大変だと思う。今後は、民間企業が敷地内で走行させている車やバスに、水素を使うような形になっていくのではないかと予想するが、今後の見通しについて伺う。
【理事者】
自社内に燃料タンクを設置する状態になるには、燃料電池トラックを何十台導入しないと運営が難しいと思っている。
国でもFCVがなかなか普及しないと見込んでいて、燃料電池車両でのメリットである、充填が早い、航続距離が長いことを踏まえると、商用車の普及を期待している。
そうした中で、県としても運輸事業者向けに、燃料電池商用車、燃料電池トラックが普及するよう、機運を高めている。
そうした場合にはステーションが重要になる。現状の水素ステーションは乗用車タイプで、トラックがそのまま入れないところも多い。充填する時間もかかることから、現状の水素ステーションで充塡を早くするようなバージョンアップや、大型水素ステーションを新たに整備する必要がある。
そのため、実際に運輸事業者が燃料電池トラック導入を促進する取組、ステーション事業者が燃料電池トラック対応にしていく取組、トラックメーカーが燃料電池トラックを造る取組、それぞれが歩調を合わせながら、進めていくことが重要になる。県は現在そうした取組を促進するため、事業者を集めて検討している。
【委員】
燃料電池トラックの推進を進めていくとのことだが、トラックドライバーが不足しているため、自動運転技術の発展に期待している。今後、そうした面からも事業者向けに補助を考えてもらいたい。
次に、決算に関する報告書203ページ、8のジブリパーク周遊観光促進事業費の決算額の内訳と事業内容について伺う。
【理事者】
この事業は大きく二つに分けられ、一つ目はジブリパークのある愛知の認知度を上げるためのPR・プロモーションで約5,700万円、二つ目は、チケット販売サイト内に開設した特設サイトの運用やその他の取組で約7,800万円である。
ジブリパークのある愛知のPR・プロモーションでは、首都圏や関西圏からの誘客に向け、スタジオジブリが手がけた本県の観光動画を、渋谷や道頓堀の屋外ビジョン、東京駅や新大阪駅のデジタルサイネージ、映画館等で放映している。また、県内を周遊する10のモデルコースを紹介するパンフレットを作成し、首都圏、関西圏の美術館や博物館などに配架したほか、雑誌やインフルエンサーを活用した愛知の観光情報の紹介を行った。
チケット販売サイト内の特設サイトの運用やその他の取組では、地域の関係者と一緒になって造成したジブリ作品ファンに喜ばれそうな観光プログラムや、周遊モデルコースの特設サイトの紹介のほか、来園の前月にジブリパークのチケット購入者に対する愛知の観光情報を掲載したメールマガジンの配信、特設サイトや観光プログラムを紹介するSNS広告の配信、来園者の属性や滞在時間、来園前後の移動情報等のデータを分析して、ジブリ作品ファン向けの観光プログラムの造成やプロモーションの実施を検討している市町村、観光協会、観光事業者への提供を行った。
【委員】
次に、事業実施による成果と課題について伺う。
【理事者】
事業の成果について、昨年8月の1か月間、ジブリパークの3エリアを含むモリコロパークの一部区域を対象に、来園者の県内周遊状況をスマートフォンの位置情報を基に分析した。推計値になるが、来園前後に名古屋市以外にも、常滑市、豊田市、犬山市、蒲郡市、瀬戸市などを訪れた結果があった。
例えば、来園者のうち岡崎市、豊田市、犬山市への訪問者は、昨年8月の1か月間の推計値でそれぞれ1,000人から2,000人程度で、そのほとんどが県外からの来園者であった。
また、同じくスマートフォンの位置情報から、県外からの来園者の3分の2は愛知県内に宿泊していることも推測され、観光消費にプラスの影響があると思っている。周遊、観光消費の二つの面から、行っている取組に一定程度の成果があったと考えている。
一方、課題として、期待していたよりも観光誘客につながっていないとの声も届いている。
そうしたことに対応していくためには、本県の多種多様な魅力を引き続き発信していくことで、観光地としての認知度を高め、来園者による周遊観光を促していくことが大事だと考えている。
【委員】
名古屋市以外にも岡崎市、豊田市、犬山市にそれぞれ1,000人から2,000人程度が訪れており、県外からの来園者の3分の2の人は本県に宿泊したとのことだが、県内の周遊先にジブリパークのある長久手市が入ってこなかったことが、新たな気づきであった。
他の事業であるリニモ沿線地域活力創出事業でも交通対策としての周遊イベントを行っており、リニモ1日乗車券の購入者がタイアップしたお店に行くと、割引や優待に加えて、ジブリパークのチケット購入者はマルシェバッグの引換券がもらえたが、こういったリニモや他の鉄道を活用した周遊や車で来た場合についてのタイアップなどを考えなかったのか。
【理事者】
交通機関との具体的なタイアップの取組は、観光コンベンション局では特に行っていない。
【委員】
それも今後の課題と考える。期待していたよりも誘客につながっていない声があるが、今後、どのように取り組むのか。
【理事者】
愛知の観光地としての認知度、関心を高めることが必要であると考えており、今年度も首都圏、関西圏、いわゆる人口集積地などにおいて、大型ビジョンあるいはインターネット広告等を活用して、ジブリパークのある愛知をデスティネーションブランドとして活用し、情報発信を行っている。
また、旅マエの情報発信として、チケット購入者に対し、観光情報を掲載したメールマガジンの配信、旅ナカの情報発信として、モリコロパーク内の案内所や県内のホテルなどにおいて周遊モデルコースを紹介するパンフレットを設置する取組も実施している。
そして、今年度からの新たな周遊促進策として、ジブリ作品のファン層が多い20~30代の女性を主なターゲットとして、ジブリ作品に出演する人気声優の音声ガイド付きデジタルスタンプラリーを実施している。
また、県民自らが、ジブリパークと一緒に訪れてほしい本県おすすめスポットなどをインスタグラムに投稿する、ジブリパークのある愛知ハッシュタグキャンペーンを行っており、情報発信の幅を広げている。
今後も本県の魅力を積極的に発信することで宿泊、周遊観光につなげていきたい。
【委員】
決算に関する報告書177ページ、14の貨物自動車運送事業者燃油価格高騰対策支援金について、近年ネットショッピングで注文した物の運送等で沢山のトラックが走っているが、支援金の交付額は6,896万8,000円で非常に少ない印象を受ける。そこで、この決算額について詳細を伺う。
【理事者】
貨物自動車運送事業者燃油価格高騰対策支援金については、令和5年12月議会補正予算での可決であり、募集期間が令和6年3月1日から4月15日までと年度をまたぐことになった。令和5年度の執行額6,896万8,000円については令和5年度予算で執行した分であり、残額は令和6年度予算に繰越している。令和6年度予算での執行額は7億6,939万6,000円であり、合計の執行額は8億3,836万4,000円であった。
【委員】
制度の周知について、例えば、愛知県トラック協会等に加盟している人や法人は協会からデータが来ると思うが、一人親方のような事業者に周知されているのか心配である。その辺はどうなっているのか。
【理事者】
周知方法については、募集開始1か月前の2月2日に制度概要について、2月22日には募集開始について、2回にわたり記者発表を行うとともに、愛知県のホームページでも貨物支援金特設ページへのリンクを設けるなど、広く周知を行っている。
また、委員指摘のとおり、愛知県トラック協会からの会員事業者への周知のほか、中部運輸局から提供を受けた支援金の対象となる事業者の一覧データに基づき、県内約1万8,000の事業者に対し、個別に郵送で案内チラシを送付し、貨物自動車運送事業者全体へ広く周知を図っている。
【委員】
ホームページ等を使ってもらい、なるべく広く周知してもらいたい。軽貨物車の人たちへの支援金が4,000円だと思うが、荷物を積んで走ると軽貨物車といえども非常に燃費がよくないという話も事業者から聞いており、金額の多寡も含めて、各事業者に支援金が公平に行き渡るような制度にしてもらいたい。
次に、決算に関する報告書176ページ、11の空き店舗活用まちづくり活性化事業費について、事業内容を伺う。
【理事者】
空き店舗活用まちづくり活性化事業は、国の交付金を活用しながら三つの事業を実施している。一つ目は、商店街情報や市町村の支援策等を物件情報とともに確認できる空き店舗情報サイト、あいち商店街空き店舗情報ナビの維持管理や新規コンテンツ拡充費合わせて145万2,000円となっている。
二つ目は、魅力ある商店街動画発信事業であり、商店街の雰囲気や個店の店主の人柄などの魅力について発信する動画として、豊田市の稲武商店街と一宮市の一宮本町商店街の2本を作成、発信し、その事業費は248万6,000円となっている。
三つ目は、空き店舗活用モデルの調査及び事例集の作成であり、空き店舗を活用して商店街が活性化した事例について、成功までのプロセスや取組内容をモデル事例集として、名古屋市名東区の西山商店街をはじめ5事例を作成、発信するとともに、市町村や関係機関へ配付した。その事業費は271万7,000円となっている。これらの動画や事例集は新規コンテンツとして空き店舗情報サイトにも掲載している。
以上、三つの事業を合わせて、空き店舗活用まちづくり活性化事業全体の事業費は665万5,000円となっている。
【委員】
答弁を聞くと広報広聴費のような印象を受ける。今、若い人がこういったところに取り組むときはSNSが中心になってくるが、高齢者を始めとしたSNSに対応しにくい人たちに対しても引き続き広報活動をしてもらいたい。
次に、決算に関する報告書176ページ、12のげんき商店街推進事業費について事業内容を伺う。
【理事者】
げんき商店街推進事業費全体の決算額7億7,338万6,520円のうち、事務費を除いた市町村への補助金に係る決算額は7億7,335万7,000円となっている。
補助金は、プレミアム商品券発行事業やキャッシュレス決済ポイント還元事業などの地域消費拡大事業分と、空き店舗対策、地域コミュニティー活性化、にぎわい創出といった各種事業の通常分の二つに区分されている。
補助金額については、地域消費拡大事業分は31市町村、34事業で6億7,888万1,000円、通常分が17市町、47事業で9,447万6,000円となっている。
通常分の補助事業の例としては、名古屋市の空き店舗を活用したリノベーション事業や東海市の中心市街地の店舗事業者と連携したイベントの開催事業、瀬戸市の末広町商店街振興組合のマルシェ開催事業、東栄町商工会の移動販売事業などが挙げられる。
今後も引き続き、市町村が実施する商店街活性化事業に対して効果的な支援となるよう取り組んでいく。
【委員】
空き店舗の活用とげんき商店街を組み合わせればさらに良くなると思う。東栄町商工会の移動販売について、買い物難民がこれから増えてくる。したがって、地域活性化の中でこうした事業をしてもらうことは大賛成である。買い物をしづらい人や、山間地地域にもうまくマッチングできるような仕組みを考えてもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書の183ページにある(9)デジタル技術活用促進事業費では、県内企業のデジタル化・DXの推進のために様々な支援施策を実施しているが、令和5年度の取組と成果を伺う。
【理事者】
中小企業のデジタル化の状況は様々なため、そのニーズに対応したきめ細かな施策が必要となる。
まず、デジタル化に未着手または初期段階の企業に対しては、経営者が理解を深めるためのセミナーを開催するとともに、相談窓口を開設し、ノウハウ不足に対応している。生成AIなどをテーマとしたセミナーを4回開催し、合計で336人が参加し、相談窓口では132件の相談対応を行った。
次に、初期段階を経て、さらなるデジタル化に挑戦する中小企業に対してはデジタルツールの導入を伴走支援するとともに、その導入事例をモデルケースとして普及啓発するデジタル技術導入モデル実証事業を実施し、10社を支援した。
本事業では、成果の横展開を図るために報告会を開催するとともに、新たに当事業に参加した県内企業等の事例を紹介する事例集を作成・配付した。また、デジタル技術導入補助金により、これまで生み出されたモデルケースの県内企業への活用も促進している。
さらに、DXによる新たな付加価値創出に挑戦するDXチャレンジ促進事業では、生成AI等のデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出を目指すワーキンググループ活動を実施した。17の企業や団体が参加し、活動の中でAIを活用して得られた気づきを基に特許出願を行った参加者、あるいは独自のWebチャットシステムを作成する参加者も現れた。
また、中小企業がサイバー攻撃の対象となる事例が増えていることを踏まえ、新たに情報セキュリティー診断支援事業を開始し、95社に対して診断及びそれに基づくアドバイスを行う情報セキュリティー対策支援を行った。
【委員】
次に、昨年度までの成果や課題を踏まえて、今年度はどのような取組を行っているのかを伺う。
【理事者】
今年度は昨年度に引き続き、同様のメニューで実施しているが、より事業効果を高めるために内容をブラッシュアップしている。
デジタル技術導入モデル実証事業では、中小企業の様々な業種や業務分野に対応するため、モデルケースのバリエーションを増やすことを目指し、支援先中小企業10社のうち8社については、これまでのモデルケースで使用されていないデジタルツールを用いて実証を進めている。
また、DXチャレンジ促進事業では、より成果を上げるため、取り組むテーマを明確にすることとし、製造業のみをメンバーとしてAIやデータの利活用による業務プロセス改善を目指すグループと、AIやデータを活用して新規事業の創出を目指す二つのワーキンググループを立ち上げ、12社がDXを目指して活動している。
さらに情報セキュリティー対策では、企業の現場に出向き、情報通信機器やソフトウエアの設定管理状況等の脆弱性を直接診断するなど、より具体的な支援を実施している。
【委員】
産業界を見渡してみると、大企業ではデジタル化が急速に進められているが、中小企業は10パーセント程度しかデジタル化が進んでいないといわれている。最近、最低賃金を1,500円にすると国が言っているが、賃金を上昇させるためには、中小企業で生産性を向上する、コストを削減するとともに、業務を効率化していかなければならず、最低賃金の上昇は中小企業にとって死活問題である。デジタル化を進めることは、喫緊の課題である。
しかし、中小企業は人的資源や資金の面で不足が顕著であり、中小企業に対しては県からの情報提供等の支援が必要不可欠になっている。今後とも県にはしっかりと中小企業を支援してもらうよう要望する。
決算に関する報告書198ページ、3のデジタル人材育成推進事業費のうち、アドバイザー派遣や階層別の人材育成研修の具体的な事業内容及び実績について伺う。
【理事者】
デジタル人材育成推進事業費ではデジタル人材の不足に対応するため、中小企業の実情に応じたサポートや企業内の各階層に合わせた研修を実施し、デジタル人材の育成を支援した。具体的には、何から始めたらよいか分からない、どんなスキルを身につけさせたらよいか分からないといった中小企業からのデジタル人材育成に関する様々な相談、課題に対して、専門のアドバイザーを244回派遣し、助言・指導を行った。
派遣した企業からは、社内のDX推進の方向性が定まった、社員のデジタル化への意欲が高まったなどの声をもらった。
また、社内研修を検討している中小企業に対して、研修カリキュラムの作成から研修の実施、フォローアップまでの伴走支援を10社に対して行った。支援した企業からは、日常業務内でRPAによる業務改善ができるポイントを模索しながら進めている、DX推進基本方針の実行に向けて段階的に取り組んでいるなどの声をもらった。
このほか、中小企業のリーダーや一般社員向けの階層別のデジタル人材育成研修を行い、4,670人に受講してもらった。
具体的には、リーダー向けにデジタル人材の育成手法や指導方法を学べる研修を、一般社員向けに企業内の蓄積データを分析、活用できるスキルが習得できる研修など全8種類、延べ27回実施した。研修後のアンケートによると、75パーセントの人から実務に役立つ内容であったとの評価をもらった。
また、年度末に再度アンケートを実施し、自社の業務での活用状況を聞いたところ、個々の作業の効率アップにつながった、データの分析が簡単にできるようになったなど、日々の社内業務で活用されていることが分かる声をもらっている。
【委員】
答弁を聞くと、アドバイザー派遣や階層別の人材育成研修等が行われ、中小企業からの反応もよかったとのことである。
それでも、いろいろな課題がある。そのことを踏まえて、今年度の実施状況はどうなっているのか。
【理事者】
階層別の人材育成研修は、昨年度の課題として、会場参加しかできない研修の参加率が低かった、中級者には物足りない内容の研修があった、研修の実施時期が10月から11月に集中していた、といった課題があった。
そこで、今年度からはオンラインでも参加できる研修の増設や初心者向け、中級者向けといったレベル別のカリキュラムを新たに設定するほか、研修の開始時期を早めることで、実施日の分散化を図り、アンケートから参加しやすいと回答の多かった時期や曜日で研修を実施するなど、より参加しやすくなるよう工夫を凝らしている。
また、生成AIが急速に普及してきたことから、その活用を推進するため、生成AIを社内業務で活用するための基本的な知識、スキルを習得できる研修を今年度より新たに実施するなど、課題や社会情勢を踏まえ、見直しを行っている。
【委員】
2021年度の調査であるが、デジタル人材は県内で約7万人おり、2030年には45万人前後が不足すると言われている。本県の今後の経済成長、これはデジタル人材の育成にかかっていると言っても過言ではない。今後ともこのデジタル人材の育成をしっかりと実施してもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書180ページ、19の伝統工芸産業振興事業費について、伝統工芸品とは何なのか、伝統的工芸品の市場経済規模はどれぐらいなのか、事業者数の推移や今後の展望・傾向をどのように見ているのか。
【理事者】
伝統工芸品について、本県では法律に基づき、経済産業大臣が指定した伝統的工芸品と、産地の規模が小さいなどの理由によって国の指定には至らない郷土伝統工芸品を合わせて伝統工芸品として整理している。
次に、伝統的工芸品の市場経済規模、従事者数、その推移、傾向及び見込みについて、昭和50年代頃には全国の生産額が5,000億円あり、従業員数は28万人を超えていたが、平成28年度には生産額は1,000億円、従業員数は6万3,000人を下回り、以降も少しずつ減少し続けている。愛知県においても、平成28年度には生産額は約50億円、従業員数は約3,000人であったが、令和5年度には、生産額は約30億円、従業員数は約2,500人に減少している。
伝統的工芸品は日本人の生活に根差した日用品であるが、我々の生活様式の変容や、海外からの安価な競合・類似品の流入などの影響を受けて、市場は縮小傾向にある。
【委員】
伝統工芸品には法律上の行政的な定義が決められており、特にその伝統的工芸品に関しては、経済産業大臣が指定したもので、原則10企業以上または30人以上の従事者を要するなど、かなり制限があると感じるが、それ以外の伝統的工芸品以外の伝統工芸品に関しても非常に希少性が高く由緒あるもの、生産者がたくさんいるものもあるため、そういったところにもぜひ支援に力を入れてもらいたい。
次に、本県は自動車産業をはじめとした近代的な製造業がどうしても目立つが、話を聴くと伝統産業に関しても非常に盛んな地域であるため、ぜひPRに力を入れてもらいたい。
また、観光もこれから盛り上がってくると思うため、そこをチャンスとして捉えてもらいたい。インバウンドとアウトバウンドの双方の需要を意識し、特にインバウンドにおける海外旅行者とか富裕層向けに市場拡大の取組を行ってもらいたい。また、国内の内需、市場拡大も必要であり、そのためには日本人や愛知県民自身がその伝統工芸品の良さを知ることが大事である。
そこで、国内と海外の市場拡大について、それぞれ今後の取組について伺う。
【理事者】
伝統的工芸品の国内及び海外の市場拡大に向けての取組について、生産規模や従業者数は減少傾向にあるが、この伝統的工芸品産業の維持、振興を図っていくためには、まず、国内の一般消費者に対して伝統的工芸品の良さをPRして、ブランドイメージを確立することが必要である。
そのため、国内需要の拡大に向けて、全国団体である一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が主催する伝統的工芸品展に負担金を出資することで出展支援を行い、展示即売や製造実演等を通じて、一般消費者に対する普及啓発に努めている。
また、伝統的工芸品産地企業にマーケティングの専門家を派遣して、現代のライフスタイルに即した新商品開発や販路開拓等の取組を支援している。
一方、海外に目を向けた取組も行っている。国内需要は減少傾向にあるが、伝統的工芸品は、和の文化が感じられ、高い品質を備えていることから、海外でも評価されている。そこで、海外市場における新たな販路開拓を促進するために、産地企業を対象とした伝統的工芸品の海外バイヤー商談会を開催している。海外バイヤー商談会に向けて産地企業向けに、販路開拓セミナーを行っており、海外の販路開拓に関する知識やプレゼン能力等を深めてもらうとともに、海外バイヤー商談会への参加を促している。
また、インバウンド向けとしては、本県で行う国際会議や表敬などの場において記念品等として伝統的工芸品を活用してもらえるように、主催等の関係局と情報共有を行いたいと考えている。
今後も国内向け・海外向けとの両輪で販路開拓に向けた支援を継続的に取り組むことで、伝統的工芸品産業の持続的な発展を目指していきたい。
【委員】
伝統産業もそうだが、1次産業である農業、漁業及び畜産も同じで、携わっている人たちは作ることに関してはプロだが、流通とか販路に関しては不慣れな人が多いと思われる。行政が、そういった人達を流通に長けた民間企業とマッチングさせる取組をしっかりと進めてもらうことを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年11月13日(水) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
石井芳樹、天野正基 正副委員長
横井五六、神野博史、高桑敏直、政木りか、林 文夫、宮島謙治、
高木ひろし、松本まもる、山口 健、古林千恵、末永けい 各委員
警察本部長、総務部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、
交通部長、警備部長、財務統括官、組織犯罪対策局長、
経済産業局長、経済産業局技監、中小企業部長、産業部長、革新事業創造部長
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和5年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第5款経済労働費、歳出第8款警察費及びこれらに関する歳入
決算第6号 令和5年度愛知県中小企業設備導入資金特別会計歳入歳出決算
<会議の概要>
Ⅰ 警察本部関係
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 休 憩(午後1時52分)
Ⅱ 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、労働委員会事務局関係
5 再 開(午後1時58分)
6 決算概要の説明
7 質 疑
8 閉 会
(主な質疑)
《警察本部関係》
【委員】
令和5年度決算に関する報告書319ページの3街頭犯罪対策費約3,900万円について質問する。
昨年の警察委員会でも質問したが、普及啓発を図っている県警察のアプリ、アイチポリスについて質問する。
まず、アイチポリスの運用や普及に要した経費及びアプリの普及状況について伺う。
【理事者】
令和5年度のアイチポリスの経費については、運用経費に広報用リーフレットの作成経費を加え、329万6,700円を執行した。
アイチポリスの普及状況については、令和6年3月末の時点で登録件数が7万8,468件、前年同期比プラス2万5,675件、約49パーセント増加しており、令和6年10月末現在ではさらに2万28件増加するなど、登録件数は着実に増加しており、年内には10万件を超える見込みである。
【委員】
10万件を超える予定という話が出たが、県民の人数を考えたときに、果たしてその10万件がどうなのか、そして私もアイチポリスを使っているが、通知機能で交通死亡事故や、地元での犯罪状況などが通知されるのは非常に有効だと思う。
アイチポリスの普及促進のための広報や新機能追加の状況について伺う。
【理事者】
アイチポリスの普及促進について説明する。
まず、アイチポリスは、犯罪や交通重大事故の発生状況などがマップ上で分かりやすく認識できるアプリであり、県民に防犯、交通事故の防止に広く役立ててもらうよう広報している。
特に、子供を持つ保護者は子供に声をかける不審者に関する情報に関心が高いことから、教育委員会や学校関係者等の協力を得て、生徒や保護者にリーフレットを配布する、生徒や保護者向けの公的ウェブサイトにデジタルチラシを掲載するなどして、アイチポリスの周知を図っている。
このほか、テレビやFMラジオ、新聞紙面、フリーペーパーに加え、アイドルグループなどの著名人が運営するSNS上で紹介してもらうなど、あらゆる媒体を活用して周知を図っている。
次に、アイチポリスの新機能について説明する。
本年10月からAIが県警察に寄せられる質問にチャット形式で回答するチャットボット機能を追加し、利便性が大きく向上している。また、本年7月からはクーポンコーナーを追加し、CSR活動として協力してもらった企業が運営するテーマパークなどにおいて、アプリ内のクーポン画面を提示することで特典を受けられるようになった。
今後も様々なツールを活用し、あらゆる世代に向けてアイチポリスの周知を図るとともに、安全・安心に活用できる情報を誰でも簡単に入手できるアプリとなるよう、各種機能の改善、拡充を図っていく。
【委員】
私も使う中で、アプリの画面にコノハけいぶのAIチャットボットが登場するようになり、改善されたと思っていたが、クーポンコーナーがあるのは知らなかったため一度使ってみる。
警視庁のデジポリスの普及率との比較になる。警視庁もマスコミをうまく使い、デジポリスの普及促進が図られたと認識している。良いアプリだと思うので、まだダウンロードしていない県民に広く使ってもらえるように、しっかり啓発してもらうことを要望する。
次に、決算に関する付属書38ページ以降に記載がある警察手数料に含まれる、今年の4月から免許センターをはじめ、県民の利便性向上として大々的に導入されたキャッシュレス決済について伺う。
まず、警察手数料のキャッシュレス決済導入におけるシステム及び機器の整備に要した経費について伺う。
【理事者】
キャッシュレス決済を導入するために必要となるシステム、レジ、決済端末などの機器については、一括して6年間の賃貸借契約を締結して整備しており、契約額は6年間の総額で5億5,517万6,160円、年額では9,252万9,360円である。
【委員】
総額5億5,000万円という大きな金額を答弁してもらった。この契約における業者の選定方法及び応札業者数について伺う。
【理事者】
当該契約における業者の選定方法については、公金の収納に関わるシステムであり、県民が広く利用するシステムであるので、価格面の評価と機能面の評価も行えるよう総合評価一般競争入札により業者を選定した。応札業者の数については4者であった。
【委員】
4者からの提案から選定されたとのことであるが、応札業者の入札金額にどれぐらいの開きがあったのか。
【理事者】
入札金額が最も高額であった業者と最も低額であった業者との差は、6年総額で約6,160万円であった。また、総合評価一般競争入札では価格面と機能面の両方を評価して落札業者を決定しているので、実際の落札業者と最も低額であった業者の差は約4,580万円であった。
【委員】
6年間で5億5,500万、差額が6,000万とのことである。今後もデジタル化などで県民の利便性向上を図るような新規システムの導入が見込まれるので、効率的な執行が図れるよう、業者選定についてノウハウを蓄積して対応してもらうよう要望して、私からの質問を終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書315ページの警察費の2地震災害警備対策費について伺う。
報告書には地震等の大規模災害発生時に必要となる装備資機材等の整備を図るとともに災害警備訓練を実施したとあるが、先ほどの説明で、災害警備活動経費にも使われているとのことであった。どのような予算内容だったのか、また、どのような物品を整備したのか伺う。
【理事者】
地震災害警備対策費は大規模地震等、突発的な大規模災害に備え、迅速な救出救助活動に必要な救助資機材の整備、備蓄食糧等の整備、非常参集時に活用している安否確認及び参集システムの管理等に要した費用である。
具体的には、救出救助資機材として、高所での救出救助に使用する二連梯子や浸水地域における活動に際して着用する救命胴衣のほか、警察職員等の非常用備蓄食糧と飲料水を備蓄した。
また、大規模災害等発生時に、災害発生情報等の緊急情報を警察職員にメール配信するとともに、警察職員の安否に関する情報を集約する安否確認及び参集システムを導入した。
【委員】
整備した物品については、災害の発生時にすぐに活用できなければならないが、ふだんからどのように保管、管理しているのか伺う。
【理事者】
救出救助資機材は災害等発生時にすぐに活用できるよう各警察署に配備しており、定期的に取扱訓練やメンテナンスを行っているほか、非常用備蓄食糧と飲料水は各所属に配分し、保存期間に応じて順次補充している。
また、非常参集時に活用している安否確認及び参集システムについては、大規模災害等発生時に緊急情報を自動配信できるよう、あらかじめ設定しているほか、定期的に配信訓練を行い、県警察の災害警備体制の早期確立を図っている。
【委員】
購入した物品については、それぞれメンテナンスを行いながら各所に配付していると理解した。
先ほど災害警備活動の活動経費と説明があったので要望する。1月の能登半島地震で愛知県警がベースにしていた石川県かほく市の高松体育センターに行き、現場を見たが、被災地まで片道2時間以上かかった。毎日朝6時台に出発して被災地に向かって、24時間活動して翌朝の交代の部隊が被災地に着いたら、申し送りをしてベースに戻る。他の行政機関の支援部隊にしても片道2時間以上かかるので、朝早く出ても日中に活動して、暗くなる前にベースに戻らなければならず、職員も心配していた。
作業に非常に制約がある中での活動であり、長時間に及ぶことで心身を疲労させている。装備資機材等の整備については、そういったことも含めて今後しっかり行ってほしい。さらに今後起こるだろう南海トラフ巨大地震を見据えて、私たちが援助を受ける側に、受援の立場に立ったときのためにも、その整備も同時に行うよう要望し、私からの質問を終わる。
【委員】
私からは、令和5年度決算に関する報告書321ページ、信号機改良の歩車分離式信号機の整備状況について伺う。
また、この整備によって県内における整備数は累計で何か所になって、全国的にどれぐらいの整備状況に至っているのか、当県における整備の特徴について併せて伺う。
【理事者】
歩車分離式信号機の整備状況等について、令和5年度は67交差点に整備した。この整備により、当県における歩車分離式信号機の整備箇所数は844交差点となり、全体の6.5パーセントとなる。
全国の整備率は、令和5年度末時点で5.0パーセントとなっており、当県の整備率は全国第5位となっている。
次に、整備の特徴について、歩車分離式信号機はスクランブル方式、歩行者専用現示方式、右左折車両分離方式及び右折車両分離方式の四つの方式があり、近年、当県においては右折車両分離方式の整備を推進している。この方式は車両が交差点を右折する際、対向の直進車両と右折先の横断歩行者を赤信号で止めているため、車両と歩行者が交錯しないようになっており、特に車線の多い交差点において事故抑止に効果的と考えている。
【委員】
この令和5年度の整備が行われたことで、交通事故の抑止にどのような効果が確認されたか。
【理事者】
令和5年度に整備した全ての信号交差点については整備から期間が短く、現時点で十分な検証結果を示すことはできないが、令和5年度に整備した右折車両分離方式の交差点においては、令和6年10月末現在、整備した方向における右折車両に起因する人身交通事故は発生していないので、一定の交通事故抑止効果が認められると考えている。
【委員】
この歩車分離式信号については、今から16年前に私が一般質問において、熱田区でトラックが左折した際に横断歩道を渡っていた幼稚園登園中の親子をひいたという痛ましい死亡事故が起きたことをきっかけに質問し、かなりのペースで増えてきたものだと思う。
私が調べたところ、当時16年前、歩車分離信号は愛知県内ではまだ148か所にとどまっており、普及率は1.1パーセント。それに比べると、今は6.5パーセント、箇所数にして844か所であり、16年で数倍、六倍、七倍にまで増えて、全国の順位も当時は最低レベルだったが、全国5位まで改善されてきた。これが全てではないが、愛知県における交通死亡事故、特に歩行者が犠牲となる交通死亡事故が減少、ワーストワンを脱出したことに対して貢献した度合いは決して少なくない。
こうした事故抑止効果が明らかな、特に歩行者を守るための信号機の改良としては著しい効果が認められるこの問題については、車社会であり、ワーストレベルがまだ全国的にも高いレベルにある本県としては、モデル県としての取組を一層加速して進めてもらうことを要望して終わる。
【委員】
令和5年度決算に関する報告書319ページ、街頭犯罪対策費に関連して質問する。
県内では昨年に引き続き特殊詐欺の被害が多発しており、被害防止のための取組が重要であるが、警察の業務は多岐にわたっており、限られた人員による被害防止の広報には限界があるとも考えている。
県の警察では特殊詐欺被害防止コールセンターを運用して、特殊詐欺被害の未然防止に取り組んでいるが、その概要と効果について伺う。
【理事者】
特殊詐欺被害防止コールセンターの概要を説明する上で、まず特殊詐欺被害の現状から簡単に説明をする。
令和6年中の特殊詐欺被害の認知件数については、10月末現在で1,225件、被害額は約34億円と依然として危機的な状況が続いている。
また、被害者の大半が高齢者であり、自宅の固定電話に対して国際電話番号から着信を契機とする手口が増加している。
こうした情勢の中、県警察においては、事業者に業務委託して、平成22年から特殊詐欺被害防止コールセンターを開設し、特殊詐欺の前兆電話が集中した地域を中心に住民の固定電話に電話をかけ、注意喚起を行っている。加えて、同コールセンターでは、特殊詐欺被害が多発する地域の金融機関やコンビニエンスストアに注意喚起の電話をかけ、特殊詐欺被害の防止に努めている。
令和5年度中は同コールセンターから地域住民などに対して23万4,842件の電話をかけ、注意喚起を行っているが、その際、相手方が直前に警察官をかたったキャッシュカードの特殊詐欺被害に遭っていることが判明し、直ちに口座凍結を行ったことで口座から出金される前に被害を防ぐことができた好事例もある。
【委員】
特殊詐欺被害防止コールセンターの概要、効果については、同コールセンターから住民に対して非常に多くの注意喚起をしており、その効果として被害を未然に防止した事例を答弁してもらい、同コールセンターの事業が大変有効なものであると分かった。
次に、これら増加する特殊詐欺の対策について、県警察における特殊詐欺被害防止に向けた今後の取組方針について伺う。
【理事者】
特殊詐欺事件にはSNSを通じて緩やかにつながり、離合集散を繰り返す匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウの暗躍がある。県警察においては、こうしたトクリュウを募るSNS上の投稿、いわゆる闇バイトの募集投稿に対する警告メッセージの送信、SNS事業者に対して削除要請を行うサイバーパトロールを行っているところである。
本年、これらの業務を自動化するシステムを開発して、試験実施したところ、それまで月平均165件の警告数が約9倍の1,526件と大幅に増加したことから、10月に本運用を開始している。
また、こうした投稿に応募し、犯罪に加担しようとする者に対しては、警察への相談を呼びかける情報発信も行っている。
今後も特殊詐欺被害防止コールセンターの運用、国際電話番号を受信しないための取組、闇バイト対策などあらゆる対策を県警察全体で推進し、特殊詐欺被害の防止に取り組んでいく。
【委員】
SNS上の闇バイトの募集投稿に対して、警察や事業者を通じて削除するなど、いろいろな警告をしていると答弁があり、様々な面から未然防止に取り組んでいると分かったが、月平均件数が165件から約1,500件と9倍にも増えているということもあり、しっかり取り組んでもらいたい。
要望するが、今後もこのコールセンター事業のさらなる強化をはじめ、あらゆる取組を推進して、一件でも被害を減らせるように努力してもらいたい。そして、最近、首都圏で闇バイトによる強盗事件が多発している。そのうち、名古屋圏や大阪圏にも来るのではないかと大変心配しているが、実行犯やその途中の人は捕まっても、指示する人がなかなか捕まらない。
法律上禁止されていると思うが、盗聴やおとり捜査をできないのか。特に殺人など、複数の人で来たらどうしようもない。指示役を押さえないといつまでも事件が終わらないので、おとり捜査等も限定的、条件付で必要ではないか。
今後とも、県民の安全・安心をしっかり守ってもらうよう要望して終わる。
【委員】
私からは318ページの犯罪捜査活動費関連で、過去5年間に愛知県警が取り扱った死体数及び司法解剖を行った死体数の推移を伺う。
【理事者】
過去5年間の県警察における死体取扱数の推移について、2019年が7,520件、2020年が7,666件、2021年が7,801件、2022年が8,525件、昨年2023年が8,596件となっている。
次に、司法解剖数の推移については、2019年が343件、2020年が308件、2021年が339件、2022年が344件、昨年2023年が346件となっている。
【委員】
今、説明があったように、2020年以前と2021年以降、激増している死体取扱数、いわゆる変死体について、私の知人の所轄の警察官や消防の職員に話を聴いたことがあるが、変死体が増えていると言っていた。それとも合致しているのを今、数字で確認した。
何が原因なのかというと、私が再三言っているコロナワクチン、これ以外に考えられない。これを裏づける形で国立感染症研究所などが出している超過死亡に関する統計を見ると、45万人以上の超過死亡が発生している。普通であれば、戦争や大震災などがないと発生しないものである。
一方で、コロナで亡くなった人は、季節性インフルエンザとほとんど変わらない死亡者になるので、それ以外の変数は、コロナワクチン以外考えられない。名古屋大学の先生もこれに関して、もう虐殺だと記者会見しているし、有史最大の、薬害ではなくて、事件である。
2022年に徳島県の事例であるが、14歳の女子中学生が亡くなった。ファイザーのワクチンを接種して、翌日の夜に呼吸困難となって、次の日の朝に呼吸をしていない状態で家族が発見、その後、死亡が確認された。接種後45時間後だった。3回目の接種だった。徳島県警の依頼で司法解剖を実施した徳島大学医学部法医学教室の研究チームがワクチン接種による心筋・心膜炎が原因とする論文を医学会の学術誌に発表している。
2億回ワクチンを打って死亡した人がいない、そんな論文はないと言っている大臣がこの国にいる。平気でうそをついている。そのうそがまかり通っている。異常事態である。
国の予防接種健康被害救済制度でも、800人以上が認定されている。マクロでいうと45万人以上が実際に亡くなっており、そういった事実に基づいて考えると、司法解剖や論文、あるいは予防接種健康被害救済制度のサンプル数がまだまだ足りないと思っており、この徳島県警の事例のように、警察でもワクチンとの因果関係を考えてもらい、司法解剖に回すと良いのではないかと思っている。
警察で取り扱った死体のうち、どのような基準で司法解剖の要否を判断しているのか。
【理事者】
まず、司法解剖については一般的には犯罪によることが明らかな死体、いわゆる犯罪死体、または犯罪による死亡の疑いがある死体、いわゆる変死体が、司法解剖の対象となる。
解剖の要否については、それぞれの事案ごとに死体や現場の状況、各種検査結果を勘案するなどして、個別に判断している。
【委員】
病歴がないにもかかわらず、また、先ほどの中学生の事例のように、若くして多くの人が命を落としている。クリニックや病院によっては、医者自身はワクチンの危険性も分かっているので打たない、また自分の家族に打たせないが、従業員の看護師や患者に対してはお金もうけのために打ち進めている医者も少なくない。これもいろいろなところから聞いている。故意犯、未必の故意、もう極めて犯罪的な行為が進んでいる。
アメリカでトランプ氏が勝って、ロバート・ケネディ・ジュニアが政権幹部に入る。早速、会見して、コロナワクチンの政策、コロナの政策を見直すと言っている。バイデン政権の幹部や、関わった人たちは国外にもう逃げ出している情報も入ってきている。日本においても、流れが大きく変わると考えて良いと思うので、できれば、こういった故意の、悪いと思っても進めている、分かってやっている人たちを逮捕してもらいたい。これは極めて犯罪的である。政権担当者、メディア、医療機関も医者も。せめて、このワクチンとの因果関係を立証していくことを司法解剖の仕組みなど使って事件の全容をしっかり明らかにしていくことを要望する。
《経済産業局、労働局、観光コンベンション局関係》
【委員】
令和5年度決算に関する報告書の181ページ、22次世代産業振興事業費の(2)自動運転社会実装推進事業費について、本県では自動運転の社会実装を目指して、全国に先駆けて2016年度から様々な実証実験を積み重ねており、令和5年度は県内3市において、自動運転の社会実装を見据えた実証実験等を実施した。
自動運転の技術的な課題等を踏まえ、令和5年度は各エリアにおいて、どのようなテーマで取り組んだのか。また、その成果について伺う。
【理事者】
令和5年度は名古屋市内、中部国際空港エリア及び愛・地球博記念公園において、実証実験を実施した。
名古屋市内では、都心の道路環境に対応したスムーズな自動走行をテーマに取り組んだ。名古屋駅付近とイオンタウン千種を結ぶ若宮大通を中心としたルートで、セダン型の自動運転車両を走行させる実証実験を19日間実施した。幹線道路における通常速度での走行は全国初の取組となるが、幹線道路で周囲の車速に対応するとともに、交通量の多い都心の複雑な道路環境においても、他の一般車両等と共存した自動走行を行うことができた。
中部国際空港エリアでは、一般客向けの定期運行をテーマに、中部国際空港とイオンモール常滑を結ぶ自動車専用道路を含むルートにおいて、小型バス車両で一般客を乗せた実証実験を実施した。自動運転で用いるセンサー機器は雨や雪の影響を受けやすいことが課題となるので、冬季に毎週日曜日を中心に3か月間実施した。雨や雪等の耐候性の検証を行い、雪が降っている中でも走行できることを確認した。また、輸送力確保の観点では、全国初の取組として自動車専用道路での時速60キロ走行時を含めて、立席での乗車も行い、安定的で揺れの少ない自動走行を確認した。
愛・地球博記念公園では、将来の無人自動走行に向けた検証をテーマに公園内の管理道路において小型バス車両での実証実験を実施した。公園の特性を踏まえ、システムでの検知が難しい枝等の自然落下物の自動回避、路面の起伏への対応等を検証した。また、樹木等によって、電波環境の悪い状況下における遠隔管制室との音声映像の安定した通信の検証も行った。
【委員】
昨年度までの成果を踏まえて、今年度どのような取組を行っているのか。
【理事者】
今年度も昨年度に引き続き同じエリアで、自動運転の社会実装を目指し、具体的なビジネスモデルを想定した実証実験を実施している。
中部国際空港エリアでは、8月から9月にかけて、輸送力向上のため昨年度の小型バスよりサイズの大きい中型バス車両を用いて、高速走行時の安定走行や立席での輸送、夜間走行等の検証を行った。また、小型EVバスを用いて、常滑市のコミュニティーバスを想定したダイヤで走行を行い、交差点右左折の自動制御等の検証も行った。
愛・地球博記念公園では、10月にジブリパークの各エリアを結ぶ園内バス東ルートにおいて、歩行者が多数存在する環境下での自動走行や、他の園内バスと混在した運行の検証を行った。
名古屋市内では、11月から名古屋駅前とSTATION Aiを結ぶ自動運転の定期運行を開始し、長期間運行することで生じる課題の検証を始めた。年末年始を除く平日に毎日4往復、計8便を来年3月までの5か月間にわたり運行する。名古屋市内のこの取組は、いわば実装に近い形での運行となっている。今後も引き続き、自動運転の社会実装に向けた取組を進めていく。
【委員】
社会実装に向けて確実に成果が上がっていると理解できた。
会社員として勤めている頃、国の自動運転に関する実証実験の何件かに参画させてもらい、トヨタ自動車株式会社や株式会社デンソーとは道路のラインや標識をカメラで認識する検証や、アイサンテクノロジー株式会社とは点群データのやり取り等をした経験もあり、自動運転の取組は自動車産業の振興はもとより、高齢者の移動支援をはじめ各種の地域課題の解決にも非常に重要な取組である。引き続き、自動運転の普及に向けたインフラ整備や安全性の向上、研究開発等の取組にしっかりと予算をつけて進めてもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書の197ページ、7の外国人雇用促進事業費について、事業内容と利用件数や伴走型支援の実績を伺う。
【理事者】
外国人雇用促進事業では、就労制限のない定住外国人の雇用促進や就職支援のため、県内企業向けの雇用相談及び定住外国人向けの就職相談を行う相談窓口の運営や市町村等への出張相談を実施した。
令和5年度の相談窓口の利用実績は企業から167件、定住外国人から142件、また、出張相談については、延べ52回実施し、定住外国人からの相談件数は65件となっている。人手不足感が高まる中、外国人雇用を検討している企業等からの相談が前年度の件数を上回っている。
相談内容として、企業からは、外国人を紹介してほしいという相談が60件、外国人向けの求人方法に関する相談が40件と多くなっており、就労可能な在留資格に関する説明や、募集・採用方法、受入れ体制についての助言等を実施した。
また、外国人からは、仕事探しに関する相談が105件と多く、履歴書等の書類の書き方や就職活動への助言、キャリアアップや転職の支援等を実施した。
さらに、企業に対して定住外国人の円滑な雇用が図れるよう、社会保険労務士や行政書士等の専門家を活用し、社内規定などの体制整備等や採用手続に関する助言から雇用後の職場定着までを継続的にフォローする伴走型支援を6社に対して実施し、そのうち3社に5人が採用された。5人の内訳だが、介護3人、飲食2人となっている。
また、希望する定住外国人に対しては、日本語をはじめ、職場におけるマナーや安全衛生、キャリア形成に関する講習を16人に行い、就職を支援した。
【委員】
企業からの相談件数が前年を上回るとの答弁だが、県内には日系ブラジル人のように就労可能な人が多くいるが、多くの人が派遣社員という不安定な形で働いている実態もあると認識しているので、この事業をうまく生かしてもらいながら、しっかりと雇用対策を進めてもらうことを要望する。
次に、決算に関する報告書199ページ、5の技能競技大会費、約1.2億円に関して質問する。
これまで技能五輪全国大会で本県選手団は極めて優秀な成績を収めており、いよいよ来週、開幕するあいち技能五輪・アビリンピック2024においても活躍を期待している。
選手の皆さんは将来の愛知県のモノづくり産業を支える優秀な技能者であって、この大会を経験することで、さらなる飛躍が期待されるが、技能五輪全国大会も出場するには多くの練習時間や練習用の機材などを要することから、大企業では問題なくても、学生や中小企業で働く技能者は経費負担の観点から出場を躊躇する人がいるのではないか心配している。決算に関する報告書199ページに、県は選手育成の経費を助成したとあるが、助成制度の内容と実績について伺う。
【理事者】
昨年度に愛知県で技能五輪全国大会が開催されることになったことを受け、中小企業や学校を対象とした選手育成助成制度を設け、大会出場へのハードルを軽減するとともに選手強化を図っている。
具体的には、選手育成助成金により、大会への出場を目指す選手の育成をするために訓練を行う中小企業や学校等に対し、外部講師の謝金あるいは訓練用の材料費、会場借り上げ費等の一部を助成している。
選手育成助成金の2023年度の実績としては、2023年度対象あるいは2024年度対象の選手に対して、延べ件数で46件、839万円で、このうち中小企業からの申請が延べで15件、179万6,000円であった。
なお、2023年度大会に出場した愛知県代表の選手209名、技能五輪188名とアビリンピック21名のうち、この助成金を活用した選手は中小企業所属が15名、学生が18名となっていることから、中小企業等の出場の一助になっている。
【委員】
モノづくり愛知を支える技能人材の育成の重要な取組であるため、費用面でしっかりサポートを継続してもらうことを要望する。
決算に関する報告書200ページ、2の短期課程訓練費について、離転職者等を対象とした職業訓練を実施しているが、内容と実績及びその決算額について伺う。
【理事者】
短期課程訓練の事業内容について、名古屋高等技術専門校、岡崎高等技術専門校、東三河高等技術専門校の3校において、施設内で行う訓練及び民間教育機関に委託して行う訓練がある。
施設内訓練として、離転職者を対象にモノづくり、建築、造園、窯業分野などについて、6か月または1年の訓練を行う離転職者対象訓練を行い、企業などで働いている人を対象に、デジタルやモノづくり等に関する技術を身につけ、スキルアップを図るための2日間程度の訓練を行う在職者訓練を実施した。
また、離転職者を対象に、介護福祉分野のほか、事務系、情報系等の訓練を民間教育機関に委託して行う雇用セーフティーネット対策訓練を実施した。
次に実績について、離転職者対象訓練では3校で全11科、訓練生337人の規模で訓練を実施した。就職率は全体で86.5パーセントとなっており、決算額は8,232万9,166円である。在職者対象訓練では、3校で全168コース、受講者1,688人の規模で訓練を実施しており、決算額は1,303万753円である。雇用セーフティーネット対策訓練では、3校で全324コース、受講者3,594人の規模で訓練を実施し、就職率は全体で79.6パーセントとなっており、決算額は8億7,031万4,132円である。
【委員】
昨年のデジタル化・地方創生調査特別委員会で名古屋高等技術専門校を視察した際、就職率は8割を超えていると説明があった。中小企業の支援に大きく寄与する取組だと思うので、しっかりと継続してもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書の197ページ、4の就職氷河期世代就職支援事業費に関連して、同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇が受けられ、多様な働き方を自由に選択できるように2020年の労働者派遣法の施行や、2021年のパートタイム・有期雇用労働法の全面施行がされている。
本事業について、愛知県ではこれまでどれくらいの期間取り組んできたのか。
【理事者】
本事業について、就職氷河期といわれる雇用環境の厳しい時期に就職活動を行い、現在も不安定な就業を余儀なくされている人や長期間無業の状態にある人等の就職、正社員化を目的に2020年度から実施している。
【委員】
「正社員化に向けた支援のため、キャリアコンサルティング・求職者のニーズに応じた個別研修や紹介予定派遣制度を活用した職場実習を実施した」とあるが、どのような個別研修や職場実習を行ってきたのか。
また、令和5年度の研修や実習に参加した人数と就職につながった人数及びこれまでの推移について伺う。
【理事者】
就職氷河期世代就職支援事業は、事業を開始した2020年度から状況に応じて事業内容の見直しを図りながら実施している。2023年度は早期に就職を希望する求職者を対象に、ビジネススキル向上のための個別研修を実施するさっそく就活コースと、就労経験が少ない求職者を対象に、個別研修に加えて紹介予定派遣制度を活用した職場実習等を実施するじっくり就活コースの二つのコースを用意して、求職者のニーズに沿った支援を行った。
個別研修は、ビジネスマナー、パソコン操作、模擬面接等を実施しており、職場実習の内容は参加者に対して行うキャリアコンサルティングの結果に基づき、本人の希望や適性に沿った企業での実習を1か月間程度実施している。
2023年度の本事業への参加者は92人で、うち就職者は51人であった。職場実習を実施する現在の事業内容に変更した2021年度から2023年度までの累計は、参加者が304人、就職者が172人となっている。
【委員】
マッチング先の企業数の推移について伺う。
【理事者】
紹介予定派遣制度を活用した職場実習への参加企業を開拓した結果、2023年度の登録企業は172社であった。職場実習を開始した2021年度から2023年度までの登録企業数は延べ594社となっている。
【委員】
約6,000万円の決算額の内訳について伺う。
【理事者】
本事業は民間事業者への委託により実施しているため、全額委託費となっている。内訳だが、講師謝金や会場借上料を含む研修費、職場実習先企業の開拓に必要な人件費を含む企業開拓費、職場実習に参加した人への給与を含む実習費、広報費等になる。
【委員】
安定した生活のためにも正社員になりたいと希望する人への支援は継続的に必要であると考えるが、正社員を希望する人々への支援内容として工夫している点を伺う。
【理事者】
本事業では、受託事業者がマッチングから採用、採用後のフォローまでを年間通じて参加者に寄り添う伴走型で支援しているが、事業終了後については、本県と国が共同で運営しているヤング・ジョブ・あいち等につなぎ、正社員を希望する人に向けた就職相談や職業紹介などによる継続的な支援を行っている。
【委員】
決算に関する報告書の171ページ、PRE-STATION Ai事業費について、10月31日にグランドオープンしたSTATION Aiに先駆けて2020年1月に名古屋市中村区のWeWorkグローバルゲート名古屋内に設置し、スタートアップ支援を行ったPRE-STATION Aiについて、令和5年度決算額3億7,336万5,368円の内訳と具体的な取組について伺う。
【理事者】
PRE-STATION Aiの事業費の内訳について、賃借料や光熱費など、PRE-STATION Aiの設置に必要なPRE-STATION Ai活動費が2億4,012万3,000円、次にスタートアップの総合支援に必要な人件費である統括マネジャー設置事業費に1億2,703万4,000円、次にビジネスプランコンテストの開催に要する起業促進事業費に476万6,000円、関係者による会議開催に要するあいちスタートアップ会議等運営事務費に144万2,000円という形で構成している。
次に、取組について、PRE-STATION Aiでは大きく二つの取組を行ってきた。
一つ目は、スタートアップに活動拠点を提供するということを目的として、フリーアドレスのコワーキングスペースやミーティングルームなどを設け、スタートアップがビジネスを進める場を整備した。
二つ目は、スタートアップの成長に向けた総合支援を行うことを目的として、1年間通して実施するプログラムであるファウンダーズプログラムと短期間に特定のスタートアップに集中的に支援を行う短期集中型プログラムを行っており、起業経験等を有する統括マネジャーなどによるメンタリングや事業アイデアのブラッシュアップを行っているほか、コミュニティーマネジャーを設け、それらマネジャーによるメンバー同士のコミュニティー構築の支援や各種専門家による無料相談会をはじめとしたイベントを開催している。
【委員】
PRE-STATION Aiの設置目的は、STATION Aiのオープンに先駆けてスタートアップ支援を行うことであり、このPRE-STATION Aiでの取組で得られた知見などは当然STATION Aiにおける支援に今、生かされていると思う。そこで伺うが、PRE-STATION Aiで得られた成果はどのようなものなのか。また、今後STATION Aiにおいて、どのようにその成果を展開していくのか。
【理事者】
PRE-STATION Aiの成果について、これまでに株式の上場が1件、事業の売却が2件となっている。2023年度には、事業連携が21件、資金調達43件、個人事業主としての起業が14件といった成果が出ている。
具体的な例を紹介すると、事業連携の例として、名古屋市西区にある株式会社ユーリアという、即時尿検査サービスを展開している会社が栄養状態の改善や健康状態の解決などを可視化するサービスの構築に向けて、ソフトバンク株式会社と業務提携契約を締結している例がある。
資金調達の例としては、名古屋市西区の株式会社トクイテンというAIとロボットで有機農業を推進している会社は、ユナイテッド株式会社やSTATION Aiセントラルジャパン1号ファンド等を引受先とする第三者割当増資、及び日本政策金融公庫の融資により3億7,000万円の資金調達を行っている。
次に、2020年からの4年余りのPRE-STATION Aiにおける取組で蓄積したものとして、例えばPRE-STATION Aiでスタートアップの支援をしてきたノウハウに加えて、スタートアップ、ベンチャーキャピタルや専門家がPRE-STATION Aiに集まって、コミュニティーをつくってきた。そういったノウハウやコミュニティーは財産であり、これからSTATION Aiで実施するオールステージのスタートアップに対する支援やスタートアップとパートナー企業とのオープンイノベーションが、円滑に進むようにしっかりと引き継ぎ、STATION Aiで次々とイノベーションが生まれていくよう取り組んでいきたい。
【委員】
PRE-STATION Aiでの知見を生かしたSTATION Aiでの活動については、本県のモノづくりを支える中小・小規模事業所の第二創業、新たな収入の柱をつくることや、スタートアップやパートナー企業の技術を生かした企業力強化につなげていくことが重要であると思っている。ぜひそうした取組も力強く進めてもらうよう要望する。
決算に関する報告書の185ページ、24の知の拠点あいち推進費の(1)重点研究プロジェクト推進事業費10億8,902万4,538円について、この事業費の内訳と事業内容及び三つのプロジェクトテーマにおける成果を伺う。
【理事者】
重点研究プロジェクトの事業費の内訳について、研究費が約8億4,349万円となっている。27の研究テーマで実施しており、1テーマ当たりの研究費は、平均約3,124万円となっている。
そのほか、業務を委託している科学技術交流財団の事務費や、重点研究プロジェクト第Ⅲ期で実施した研究成果について、あいち産業科学技術総合センターを中心に、県内企業への技術移転を推進するための経費などがあり、これらを合わせて約2億4,553万円となっている。
次に、事業の内容について、重点研究プロジェクトは、大学等の研究シーズを活用し、県内主要産業が有する課題の解決、新技術の開発、実用化等を目指す産学行政連携の研究開発プロジェクトである。
現在、2022年度から2024年度を実施期間とする第Ⅳ期の事業を実施しており、プロジェクトCore Industry、プロジェクトDX、プロジェクトSDGsの三つのプロジェクトにおいて、合計27の研究テーマで80件の技術ターゲットの達成を目指して、研究開発を実施している。
2024年11月1日現在で、プロジェクトには合計111の企業や大学、研究開発機関が参画しており、このうち企業は88社である。企業のうち59社が中小企業、18社がスタートアップであり、多くの中小企業、スタートアップが参加している。
プロジェクト参画企業に対しては、県の研究費と同額以上の自己負担を求めているが、中小企業やスタートアップの場合は減免等を行っているほか、研究テーマの審査に当たり、スタートアップが参画するテーマに対しては評価項目の得点を加点するなど、優遇措置を取り、中小企業やスタートアップが参画しやすい制度としている。
次にプロジェクトの成果について、これまで80件の技術ターゲットのうち5件が社会実装の段階、45件が社会実装一歩手前の技術確立の各段階に至っており、着実に成果が上がっている。
例として一つ挙げると、手指デバイスを利用した精神的フレイルの予防・回復を促す脳トレシステムの開発に、日本で初めて成功した研究がある。この研究テーマにはスタートアップである株式会社セカンドコンセプトが参画しており、重点研究プロジェクトの研究成果に基づく特許出願や、開発した技術を活用したシステム開発を行うなど、スタートアップの技術開発力の底上げに貢献している。
【委員】
これまでの取組における課題と、その課題に対する今後の取組について伺う。
【理事者】
課題について、重点研究プロジェクトは2011年度から実施しており、実施内容の見直しを行いながら、現在、第Ⅳ期を実施している。
その中で認識している課題としては、主に3項目ある。一つ目は、研究チームメンバーの広がりが必要であり、例えばSTATION Aiとの連携等によるスタートアップの活用が課題と思っている。二つ目は、研究フェーズの多様化、三つ目は、研究成果の着実な製品化に向けた支援、これらを課題と捉えている。
課題に対する今後の取組について、来年度から開始を予定している第Ⅴ期のプロジェクトでは、こうした課題に対応するため、まず第Ⅴ期に参画するスタートアップに対して、試作・評価機能に強みのある知の拠点あいちの研究室を優先的に利用してもらい、活動拠点を確保するとともに、技術面からスタートアップを支援することを検討している。
また、研究機関や研究費が異なる複数の採択枠を設定して、多様な研究フェーズに対応するとともに、各研究テーマに対して技術の優位性の評価や市場の見極めなどのハンズオン支援を実施し、事業化や製品化を後押しすることを検討している。
引き続き、中小企業やスタートアップをはじめとする参画企業の課題解決、技術の実用化に資する制度となるように運用していきたい。
【委員】
本県の産業の底支えをする中小・小規模事業者は重要な存在であるため、支援を強化していかなければならない。大学発の研究テーマに対し、事業化に向けたパートナーとして県下の中小企業・小規模事業者への呼びかけを商工会など通じて実施することで、中小・小規模事業者が持つ技術を生かして、それら技術の可能性をぜひ広げる取組を行ってもらうよう要望する。
決算に関する報告書の194ページ、勤労者福祉推進事業費の2中小企業男性育児休業取得促進事業費5億3,914万3,100円のうち、男性従業員が育児休業を取得した中小企業等に対して支給をされる奨励金について、この事業の内訳と事業のPR方法を伺う。
【理事者】
中小企業男性育児休業取得促進奨励金は、男性従業員が育児休業を取得した県内中小企業等に対して奨励金を支給する制度で、昨年9月から申請受付を開始した。支給額は、育児休業を通算14日以上取得すると50万円、通算28日以上の取得で100万円となっており、一社でも多くの中小企業が男性の育児休業取得促進に取り組むきっかけとなるよう、1事業者につき1回限りの支給としている。
次に、事業のPR方法について、9月の制度創設と同時に県内中小企業等2万社へ直接チラシを発送するとともに、ウェブサイトを作成し、制度の内容について情報発信を行った。また、国や市町村、経済団体等と連携し、広報誌やメールマガジンへの紹介記事の掲載などにより周知、広報を実施している。
【委員】
奨励金5億2,350万円の昨年度の支給実績、また、育児休業を取得した男性従業員数と事業の成果はどのようか。
【理事者】
昨年度の支給実績であるが、50万円が147件、100万円が450件、計597件で、支給金額は5億2,350万円となっている。
従業員規模の小さい企業では代替要員の確保が難しく、男性が育児休業を取得しづらい状況であるが、奨励金の受給希望の内訳を見ると、従業員の30人以下の企業が33パーセント、195件となっており、規模の小さい企業において多く活用されている。実際に育休を取得した人数は合計で597人になっている。
【委員】
本事業の実施を踏まえて、男性の育児休業取得促進に向けた課題をどのように捉えているのか。また、課題を受けて、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
奨励金の受給企業からは、育休の取得促進に向けて育児休業制度への従業員の理解不足や業務の属人化などの課題があると聞いている。このため、県では専門家を企業に派遣して、職場の理解促進や、取得を申請しやすい環境づくり、業務の効率化などについて助言を行う伴走型支援を実施するほか、経営者等を対象にセミナーを開催し、企業が男性の育休取得促進に取り組む意義などを周知している。
こうした取組により、引き続き男性の育児休業取得促進に取り組む企業を支援していく。
【委員】
法定の育児休業制度で対象となる労働者と子供、そして育児休業の回数や育児休業の期間など奨励金の申請基準と、各事業所がつくる就業規則との整合性がとりづらいところが現状の課題としてあるのではないかと思っている。
実際、地元の小規模事業者も代替の従業員がいない中で、他の従業員に理解をしてもらうように奨励金の手続を考えていたが、子どもが1歳から2歳にかかるため就業規則に合致せず、泣く泣く奨励金の申請は諦めたと聞いている。そうした、少しでも男性の育児休業の取得に協力、理解してもらえる中小・小規模事業者に対して分かりやすいポイントをしっかりと明記したパンフレットを配ってもらうなど、この事業をしっかりと推進してもらうよう要望する。
【委員】
決算に関する報告書194ページ、2の中小企業男性育児休業取得促進事業費について、この事業で育休を取得した企業が申請するときの要件としてアンケートに協力してもらうことが条件の中にあったと思うが、企業へのアンケート結果を伺う。
【理事者】
中小企業男性育児休業取得促進奨励金については、奨励金を申請する企業の担当者から、男性の育児休業取得促進に向けた企業の取組や課題、工夫点などを報告してもらうとともに、育休を取得した男性従業員からも育休取得のきっかけを含め、育児休業に関する自身の体験談について報告を聞いている。
企業担当者からは、日頃から情報共有を意識し、周りがサポートすることで業務を円滑に継続できた、取組事例を共有し、さらに男性が育休を取得しやすい環境づくりに取り組むといった声をもらっている。
また、男性従業員からは、おむつ替え、沐浴など初めての育児は新鮮だった、夫婦で助け合いながら育児の楽しさやつらさなどを経験できて本当によかったなど、実体験に基づいた声をもらっている。
【委員】
男性が育児に参加することを企業として支援するための事業費であると承知しているが、子供を持つ親は、母親だけでなく父親も、育児においては平等にしてしかるべきだと思う。男性社員からのアンケートはもちろん、できればその配偶者にも取得した育休に対してどうだったかという感想も聞いた方がよい。
男性も女性も一緒に子育てすることに対してのアンケートをしてもらいたいが、今後の考えを伺う。
【理事者】
本奨励金は、男性が積極的に育児を行い、仕事と育児を両立できるよう、中小企業の職場環境づくりを支援し、男性の育児休業取得を促進することを目的としており、従業員の配偶者に対して、夫の育休取得に対する意見や希望を聴取することは想定をしていない。県としては、男性が育休を取得する意義や必要性を正しく伝え、男性が育休を取得しやすい職場環境を中小企業が整備できるよう支援を続けていく。
【委員】
父親と母親が同じ割合で育児参加することが主流になっていないと感じている。子供を持つことは、子供の父親である男性の意識改革ができるように、従業員の家族は会社の従業員の一部と考えて、企業ぐるみで子育てを応援するように考えてもらいたい。
労働局として、今後、育児休業者の代わりにアルバイトを雇うことができる今回のような事業費は、企業にとっても育児休業する側にとっても、ありがたい取組だと思うので、ぜひ続けてもらいたい。
次に決算に関する報告書の171ページ、3のあいちモビリティイノベーションプロジェクト推進事業費の2023年度の事業について、普及啓発活動を実施したとあるが、普及啓発活動の具体的な内容と目的を伺う。
【理事者】
普及啓発活動の内容について、10月に東京都で開催されたジャパンモビリティーショー2023、11月に名古屋市で開催されたあいちITSワールド2023、また3月に常滑市で開催されたスマート・マニュファクチャリング・サミット・バイ・グローバル・インダストリーにブース出展をして、当プロジェクトの目指す姿を紹介するとともに、プロジェクト参画企業からドローンや空飛ぶクルマの機体展示を行った。
目的については、愛知県にはドローンや空飛ぶクルマ等の次世代空モビリティの開発、製造を行う企業は集中しているが、知名度は高いといえないため、このプロジェクトの情報発信を行うことで認知度を高めることと、ドローンや空飛ぶクルマの安全性や利便性について理解を広めていき、社会受容性の向上や次世代空モビリティの普及に向けた機運の醸成を図ることである。
【委員】
次に、事業化調査について得られた成果や課題、2023年度の事業を踏まえ、社会実装に向けた取組を今年度どのように進めていくのか。
【理事者】
昨年度は当プロジェクトの目的の一つである次世代空モビリティの社会実装の早期化を目指して、県内3か所でドローンに関する事業化調査を行った。成果や課題として、昨年11月に豊田市では医療コンテナへの医療物資の往復輸送をテーマに調査を行い、これにより、医療物資の配送や往復配送のノウハウを蓄積することができた。
1月には豊川市、新城市で、河川上空の航路でのドローンの多目的利用をテーマに、物資の輸送と河川の巡視を同時に行う調査を行った。これにより、河川上空は調整先の観点や航路上に人がいないことなどの運用上のメリットを確認するとともに、多目的利用の観点では、上空からの映像では木に隠れてしまう部分があるなど、巡視の利用には制限がある点を確認した。
2月には名古屋市、春日井市で災害時のデジタルマップの情報共有及び平時のデジタルマップ活用をテーマに調査を行った。上空から被害状況を撮影し、解析及びマップの作成を行い、市役所への可視化情報の迅速な共有を確認することができた。他方で、デジタルマップの平時の活用については、公共目的の測量への活用を検討したが、なかなか要件等が難しく、平時の活用方法は引き続き課題となっている。
今後の社会実装に向けて、今年度、河川を航路とした配送や医薬品の配送で得た知見を生かして、物流ドローンによる配送サービスを想定し、より社会実装に近い形で、西尾市や新城市での長期事業化調査を行っている。加えて、今年度実施している災害時のドローン利活用スキームの構築に向けた検討の中では、デジタルマップの災害時と平時の活用についても併せて検討を行っており、昨年度に得た成果を検討に生かしていく予定である。
【委員】
9月定例議会での一般質問の際に、災害時にドローンをすぐに活用できるようにしてもらいたいと要望したことに加え、先日、西尾市の実証実験も見せてもらい、医療物資の輸送についても今、着々と実証実験を重ねてもらっていることは理解し、期待している。
推進プランに沿ってプロジェクトを推進するに当たり、クリアすべきハードルや、それに対して今年度どのように進めていくつもりなのか伺う。
【理事者】
あいちモビリティイノベーションプロジェクト推進プランでは、需要の創出と供給力の強化の二つを取組の柱に掲げており、一つ目の柱、需要の創出に関しては、物流、人流、災害対応のそれぞれの分野で2026年度頃に早期社会実装を目指すローンチモデルの実現を目標としている。
実現に向けてのハードルは、ドローンや空飛ぶクルマを用いたビジネスとして成り立つサービスモデルの構築、離着陸場の整備といった環境整備がある。
このため、今年度は物流分野での長期事業化調査、人流分野での遊覧飛行の実現に向けた適地調査、災害対応分野では活用スキームを考える検討会を実施して、ローンチモデルの実現に向けて検討を進めている。
二つ目の柱である供給力の強化に関しては、愛知県が強みを有する自動車、航空宇宙産業といった既存産業の次世代空モビリティ産業への巻き込みや、ドローンのエンジニア人材育成に向けた体制整備がハードルとなる。
このため、今年度は次世代空モビリティの基幹産業化に向けて、競争力のあるドローン機体や供給部品の特定とサプライヤーとなる事業者の掘り起こしの検討を行うとともに、エンジニア人材育成に向けてのテキスト、カリキュラムの作成や養成機関の探索を進めている。
【委員】
ドローンを操作する人もだが、今後はサービスを受ける人も、経験を重ねていかなければならない。また、悪天候によるパターンもドローンの場合は考えられるため、2023年度の事業での実証を踏まえて、今年度以降も引き続き実証実験を実施してもらいたい。
次に、決算に関する報告書182ページ、(7)のサービスロボット社会実装推進事業費について、どのような課題が明らかになったのか伺う。
【理事者】
昨年度は半田市立半田病院、イオンモール常滑、ヒサヤオオドオリパークの3か所において、搬送、警備、案内等の業務の効率化といった施設の課題をロボットで解決する実証実験を行った。
また、名古屋市栄地区内において、今後の市場拡大が期待される自動配送ロボットを活用した事業モデルの創出を目的とした実証実験も実施した。
これらの実証実験により明らかになった課題は、屋外環境において太陽光、水、音といった環境要件があり、具体的には、水滴によるセンサーの誤作動、周辺の環境音で歩行者とのコミュニケーションが取りづらくなるなどの問題があった。
また、屋内環境では、実際に走行を行うことにより、ロボットの方向転換時の占有面積が想定より大きいことが判明し、人や車椅子といった他の通行者とのすれ違いなど、刻々と変わる周辺状況への変化に対応するところが課題であった。
自動配送ロボットを活用した実証実験については、交通信号の認識は問題なかったものの、工事現場におけるガードマンの停止合図の認識などの自律走行では対応できない場面があった。
【委員】
明らかになった課題を解決するために今後どうするのか伺う。
【理事者】
今回の実証実験で明らかになった課題や対策について専門家からフィードバックされており、先ほど話した環境要件への対応に関しては、ロボットメーカーにおいて引き続き課題を克服すべく技術開発を進めている。
また、技術開発だけではなく、特に屋内環境では走行動線の確保の十分な検討を行うことや、ロボットと人との通行ルールの整備といった施設側の運用面での対応も取り組む必要がある。加えて、施設整備面では、ロボットの保管場所や充電を行うための十分な電源装置を整えるといった対応も求められる。
なお、自動配送ロボットについては、走行環境の変化に柔軟に対応できるよう、今年度さらに長期間の実証実験を行い、検証を行う予定である。
【委員】
屋内の場合は半田市立半田病院で導入を実際に行っていくが、屋外は外的要因でいろいろ状況が変わり、歩道であれば点字ブロックや車道との段差など場所ごとに条件が異なり、社会実装していく上で、解決すべき課題がたくさんある。社会実装に当たってスケジュールはどのように考えているのか伺う。
【理事者】
半田市立半田病院では本事業をきっかけに、2025年度に移転統合予定の新病院においてサービスロボットの導入を決定した。具体的には、現在、看護師が担っている書類、検体等の院内搬送業務をロボットに代替させる予定で、昨年度の実証実験で活躍したロボットの中から機種選定を進めている。
屋外環境に関しては自動配送ロボットを用いた実証実験を行っており、今年度も引き続き検証を行っていくが、この事業主体である中電ウイング株式会社は本事業の取組によってロボットの安全性や実用性を確認することができ、社内で導入イメージが固まり、今後3年以内での事業化を目指していると聞いている。
【委員】
決算に関する報告書の188ページ、30の水素ステーション整備促進事業費補助金について、水素ステーションが西庁舎側にあったのがなくなったことを始め、これまであった場所からなくなっている場所も幾つか見受けられるが、県内の水素ステーションの設置数はどうなっているのか。
【理事者】
現時点では34か所の水素ステーションが営業している。
【委員】
燃料電池自動車(FCV)は1回充填すれば長距離走ることができる。例えばMIRAIであれば600キロの走行が可能であるが、水素ステーションを利用している車の台数は1日当たり何台ぐらいあるのか、平均的な数を伺う。
【理事者】
四半期ごとに統計をとっており、ステーションの1日当たりの利用台数は平均5.5台となっている。
【委員】
まだFCVの車自体の普及率が少ないという感覚を受ける。1日の平均利用台数が5.5台であると、運営していくことも大変だと思う。今後は、民間企業が敷地内で走行させている車やバスに、水素を使うような形になっていくのではないかと予想するが、今後の見通しについて伺う。
【理事者】
自社内に燃料タンクを設置する状態になるには、燃料電池トラックを何十台導入しないと運営が難しいと思っている。
国でもFCVがなかなか普及しないと見込んでいて、燃料電池車両でのメリットである、充填が早い、航続距離が長いことを踏まえると、商用車の普及を期待している。
そうした中で、県としても運輸事業者向けに、燃料電池商用車、燃料電池トラックが普及するよう、機運を高めている。
そうした場合にはステーションが重要になる。現状の水素ステーションは乗用車タイプで、トラックがそのまま入れないところも多い。充填する時間もかかることから、現状の水素ステーションで充塡を早くするようなバージョンアップや、大型水素ステーションを新たに整備する必要がある。
そのため、実際に運輸事業者が燃料電池トラック導入を促進する取組、ステーション事業者が燃料電池トラック対応にしていく取組、トラックメーカーが燃料電池トラックを造る取組、それぞれが歩調を合わせながら、進めていくことが重要になる。県は現在そうした取組を促進するため、事業者を集めて検討している。
【委員】
燃料電池トラックの推進を進めていくとのことだが、トラックドライバーが不足しているため、自動運転技術の発展に期待している。今後、そうした面からも事業者向けに補助を考えてもらいたい。
次に、決算に関する報告書203ページ、8のジブリパーク周遊観光促進事業費の決算額の内訳と事業内容について伺う。
【理事者】
この事業は大きく二つに分けられ、一つ目はジブリパークのある愛知の認知度を上げるためのPR・プロモーションで約5,700万円、二つ目は、チケット販売サイト内に開設した特設サイトの運用やその他の取組で約7,800万円である。
ジブリパークのある愛知のPR・プロモーションでは、首都圏や関西圏からの誘客に向け、スタジオジブリが手がけた本県の観光動画を、渋谷や道頓堀の屋外ビジョン、東京駅や新大阪駅のデジタルサイネージ、映画館等で放映している。また、県内を周遊する10のモデルコースを紹介するパンフレットを作成し、首都圏、関西圏の美術館や博物館などに配架したほか、雑誌やインフルエンサーを活用した愛知の観光情報の紹介を行った。
チケット販売サイト内の特設サイトの運用やその他の取組では、地域の関係者と一緒になって造成したジブリ作品ファンに喜ばれそうな観光プログラムや、周遊モデルコースの特設サイトの紹介のほか、来園の前月にジブリパークのチケット購入者に対する愛知の観光情報を掲載したメールマガジンの配信、特設サイトや観光プログラムを紹介するSNS広告の配信、来園者の属性や滞在時間、来園前後の移動情報等のデータを分析して、ジブリ作品ファン向けの観光プログラムの造成やプロモーションの実施を検討している市町村、観光協会、観光事業者への提供を行った。
【委員】
次に、事業実施による成果と課題について伺う。
【理事者】
事業の成果について、昨年8月の1か月間、ジブリパークの3エリアを含むモリコロパークの一部区域を対象に、来園者の県内周遊状況をスマートフォンの位置情報を基に分析した。推計値になるが、来園前後に名古屋市以外にも、常滑市、豊田市、犬山市、蒲郡市、瀬戸市などを訪れた結果があった。
例えば、来園者のうち岡崎市、豊田市、犬山市への訪問者は、昨年8月の1か月間の推計値でそれぞれ1,000人から2,000人程度で、そのほとんどが県外からの来園者であった。
また、同じくスマートフォンの位置情報から、県外からの来園者の3分の2は愛知県内に宿泊していることも推測され、観光消費にプラスの影響があると思っている。周遊、観光消費の二つの面から、行っている取組に一定程度の成果があったと考えている。
一方、課題として、期待していたよりも観光誘客につながっていないとの声も届いている。
そうしたことに対応していくためには、本県の多種多様な魅力を引き続き発信していくことで、観光地としての認知度を高め、来園者による周遊観光を促していくことが大事だと考えている。
【委員】
名古屋市以外にも岡崎市、豊田市、犬山市にそれぞれ1,000人から2,000人程度が訪れており、県外からの来園者の3分の2の人は本県に宿泊したとのことだが、県内の周遊先にジブリパークのある長久手市が入ってこなかったことが、新たな気づきであった。
他の事業であるリニモ沿線地域活力創出事業でも交通対策としての周遊イベントを行っており、リニモ1日乗車券の購入者がタイアップしたお店に行くと、割引や優待に加えて、ジブリパークのチケット購入者はマルシェバッグの引換券がもらえたが、こういったリニモや他の鉄道を活用した周遊や車で来た場合についてのタイアップなどを考えなかったのか。
【理事者】
交通機関との具体的なタイアップの取組は、観光コンベンション局では特に行っていない。
【委員】
それも今後の課題と考える。期待していたよりも誘客につながっていない声があるが、今後、どのように取り組むのか。
【理事者】
愛知の観光地としての認知度、関心を高めることが必要であると考えており、今年度も首都圏、関西圏、いわゆる人口集積地などにおいて、大型ビジョンあるいはインターネット広告等を活用して、ジブリパークのある愛知をデスティネーションブランドとして活用し、情報発信を行っている。
また、旅マエの情報発信として、チケット購入者に対し、観光情報を掲載したメールマガジンの配信、旅ナカの情報発信として、モリコロパーク内の案内所や県内のホテルなどにおいて周遊モデルコースを紹介するパンフレットを設置する取組も実施している。
そして、今年度からの新たな周遊促進策として、ジブリ作品のファン層が多い20~30代の女性を主なターゲットとして、ジブリ作品に出演する人気声優の音声ガイド付きデジタルスタンプラリーを実施している。
また、県民自らが、ジブリパークと一緒に訪れてほしい本県おすすめスポットなどをインスタグラムに投稿する、ジブリパークのある愛知ハッシュタグキャンペーンを行っており、情報発信の幅を広げている。
今後も本県の魅力を積極的に発信することで宿泊、周遊観光につなげていきたい。
【委員】
決算に関する報告書177ページ、14の貨物自動車運送事業者燃油価格高騰対策支援金について、近年ネットショッピングで注文した物の運送等で沢山のトラックが走っているが、支援金の交付額は6,896万8,000円で非常に少ない印象を受ける。そこで、この決算額について詳細を伺う。
【理事者】
貨物自動車運送事業者燃油価格高騰対策支援金については、令和5年12月議会補正予算での可決であり、募集期間が令和6年3月1日から4月15日までと年度をまたぐことになった。令和5年度の執行額6,896万8,000円については令和5年度予算で執行した分であり、残額は令和6年度予算に繰越している。令和6年度予算での執行額は7億6,939万6,000円であり、合計の執行額は8億3,836万4,000円であった。
【委員】
制度の周知について、例えば、愛知県トラック協会等に加盟している人や法人は協会からデータが来ると思うが、一人親方のような事業者に周知されているのか心配である。その辺はどうなっているのか。
【理事者】
周知方法については、募集開始1か月前の2月2日に制度概要について、2月22日には募集開始について、2回にわたり記者発表を行うとともに、愛知県のホームページでも貨物支援金特設ページへのリンクを設けるなど、広く周知を行っている。
また、委員指摘のとおり、愛知県トラック協会からの会員事業者への周知のほか、中部運輸局から提供を受けた支援金の対象となる事業者の一覧データに基づき、県内約1万8,000の事業者に対し、個別に郵送で案内チラシを送付し、貨物自動車運送事業者全体へ広く周知を図っている。
【委員】
ホームページ等を使ってもらい、なるべく広く周知してもらいたい。軽貨物車の人たちへの支援金が4,000円だと思うが、荷物を積んで走ると軽貨物車といえども非常に燃費がよくないという話も事業者から聞いており、金額の多寡も含めて、各事業者に支援金が公平に行き渡るような制度にしてもらいたい。
次に、決算に関する報告書176ページ、11の空き店舗活用まちづくり活性化事業費について、事業内容を伺う。
【理事者】
空き店舗活用まちづくり活性化事業は、国の交付金を活用しながら三つの事業を実施している。一つ目は、商店街情報や市町村の支援策等を物件情報とともに確認できる空き店舗情報サイト、あいち商店街空き店舗情報ナビの維持管理や新規コンテンツ拡充費合わせて145万2,000円となっている。
二つ目は、魅力ある商店街動画発信事業であり、商店街の雰囲気や個店の店主の人柄などの魅力について発信する動画として、豊田市の稲武商店街と一宮市の一宮本町商店街の2本を作成、発信し、その事業費は248万6,000円となっている。
三つ目は、空き店舗活用モデルの調査及び事例集の作成であり、空き店舗を活用して商店街が活性化した事例について、成功までのプロセスや取組内容をモデル事例集として、名古屋市名東区の西山商店街をはじめ5事例を作成、発信するとともに、市町村や関係機関へ配付した。その事業費は271万7,000円となっている。これらの動画や事例集は新規コンテンツとして空き店舗情報サイトにも掲載している。
以上、三つの事業を合わせて、空き店舗活用まちづくり活性化事業全体の事業費は665万5,000円となっている。
【委員】
答弁を聞くと広報広聴費のような印象を受ける。今、若い人がこういったところに取り組むときはSNSが中心になってくるが、高齢者を始めとしたSNSに対応しにくい人たちに対しても引き続き広報活動をしてもらいたい。
次に、決算に関する報告書176ページ、12のげんき商店街推進事業費について事業内容を伺う。
【理事者】
げんき商店街推進事業費全体の決算額7億7,338万6,520円のうち、事務費を除いた市町村への補助金に係る決算額は7億7,335万7,000円となっている。
補助金は、プレミアム商品券発行事業やキャッシュレス決済ポイント還元事業などの地域消費拡大事業分と、空き店舗対策、地域コミュニティー活性化、にぎわい創出といった各種事業の通常分の二つに区分されている。
補助金額については、地域消費拡大事業分は31市町村、34事業で6億7,888万1,000円、通常分が17市町、47事業で9,447万6,000円となっている。
通常分の補助事業の例としては、名古屋市の空き店舗を活用したリノベーション事業や東海市の中心市街地の店舗事業者と連携したイベントの開催事業、瀬戸市の末広町商店街振興組合のマルシェ開催事業、東栄町商工会の移動販売事業などが挙げられる。
今後も引き続き、市町村が実施する商店街活性化事業に対して効果的な支援となるよう取り組んでいく。
【委員】
空き店舗の活用とげんき商店街を組み合わせればさらに良くなると思う。東栄町商工会の移動販売について、買い物難民がこれから増えてくる。したがって、地域活性化の中でこうした事業をしてもらうことは大賛成である。買い物をしづらい人や、山間地地域にもうまくマッチングできるような仕組みを考えてもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書の183ページにある(9)デジタル技術活用促進事業費では、県内企業のデジタル化・DXの推進のために様々な支援施策を実施しているが、令和5年度の取組と成果を伺う。
【理事者】
中小企業のデジタル化の状況は様々なため、そのニーズに対応したきめ細かな施策が必要となる。
まず、デジタル化に未着手または初期段階の企業に対しては、経営者が理解を深めるためのセミナーを開催するとともに、相談窓口を開設し、ノウハウ不足に対応している。生成AIなどをテーマとしたセミナーを4回開催し、合計で336人が参加し、相談窓口では132件の相談対応を行った。
次に、初期段階を経て、さらなるデジタル化に挑戦する中小企業に対してはデジタルツールの導入を伴走支援するとともに、その導入事例をモデルケースとして普及啓発するデジタル技術導入モデル実証事業を実施し、10社を支援した。
本事業では、成果の横展開を図るために報告会を開催するとともに、新たに当事業に参加した県内企業等の事例を紹介する事例集を作成・配付した。また、デジタル技術導入補助金により、これまで生み出されたモデルケースの県内企業への活用も促進している。
さらに、DXによる新たな付加価値創出に挑戦するDXチャレンジ促進事業では、生成AI等のデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの創出を目指すワーキンググループ活動を実施した。17の企業や団体が参加し、活動の中でAIを活用して得られた気づきを基に特許出願を行った参加者、あるいは独自のWebチャットシステムを作成する参加者も現れた。
また、中小企業がサイバー攻撃の対象となる事例が増えていることを踏まえ、新たに情報セキュリティー診断支援事業を開始し、95社に対して診断及びそれに基づくアドバイスを行う情報セキュリティー対策支援を行った。
【委員】
次に、昨年度までの成果や課題を踏まえて、今年度はどのような取組を行っているのかを伺う。
【理事者】
今年度は昨年度に引き続き、同様のメニューで実施しているが、より事業効果を高めるために内容をブラッシュアップしている。
デジタル技術導入モデル実証事業では、中小企業の様々な業種や業務分野に対応するため、モデルケースのバリエーションを増やすことを目指し、支援先中小企業10社のうち8社については、これまでのモデルケースで使用されていないデジタルツールを用いて実証を進めている。
また、DXチャレンジ促進事業では、より成果を上げるため、取り組むテーマを明確にすることとし、製造業のみをメンバーとしてAIやデータの利活用による業務プロセス改善を目指すグループと、AIやデータを活用して新規事業の創出を目指す二つのワーキンググループを立ち上げ、12社がDXを目指して活動している。
さらに情報セキュリティー対策では、企業の現場に出向き、情報通信機器やソフトウエアの設定管理状況等の脆弱性を直接診断するなど、より具体的な支援を実施している。
【委員】
産業界を見渡してみると、大企業ではデジタル化が急速に進められているが、中小企業は10パーセント程度しかデジタル化が進んでいないといわれている。最近、最低賃金を1,500円にすると国が言っているが、賃金を上昇させるためには、中小企業で生産性を向上する、コストを削減するとともに、業務を効率化していかなければならず、最低賃金の上昇は中小企業にとって死活問題である。デジタル化を進めることは、喫緊の課題である。
しかし、中小企業は人的資源や資金の面で不足が顕著であり、中小企業に対しては県からの情報提供等の支援が必要不可欠になっている。今後とも県にはしっかりと中小企業を支援してもらうよう要望する。
決算に関する報告書198ページ、3のデジタル人材育成推進事業費のうち、アドバイザー派遣や階層別の人材育成研修の具体的な事業内容及び実績について伺う。
【理事者】
デジタル人材育成推進事業費ではデジタル人材の不足に対応するため、中小企業の実情に応じたサポートや企業内の各階層に合わせた研修を実施し、デジタル人材の育成を支援した。具体的には、何から始めたらよいか分からない、どんなスキルを身につけさせたらよいか分からないといった中小企業からのデジタル人材育成に関する様々な相談、課題に対して、専門のアドバイザーを244回派遣し、助言・指導を行った。
派遣した企業からは、社内のDX推進の方向性が定まった、社員のデジタル化への意欲が高まったなどの声をもらった。
また、社内研修を検討している中小企業に対して、研修カリキュラムの作成から研修の実施、フォローアップまでの伴走支援を10社に対して行った。支援した企業からは、日常業務内でRPAによる業務改善ができるポイントを模索しながら進めている、DX推進基本方針の実行に向けて段階的に取り組んでいるなどの声をもらった。
このほか、中小企業のリーダーや一般社員向けの階層別のデジタル人材育成研修を行い、4,670人に受講してもらった。
具体的には、リーダー向けにデジタル人材の育成手法や指導方法を学べる研修を、一般社員向けに企業内の蓄積データを分析、活用できるスキルが習得できる研修など全8種類、延べ27回実施した。研修後のアンケートによると、75パーセントの人から実務に役立つ内容であったとの評価をもらった。
また、年度末に再度アンケートを実施し、自社の業務での活用状況を聞いたところ、個々の作業の効率アップにつながった、データの分析が簡単にできるようになったなど、日々の社内業務で活用されていることが分かる声をもらっている。
【委員】
答弁を聞くと、アドバイザー派遣や階層別の人材育成研修等が行われ、中小企業からの反応もよかったとのことである。
それでも、いろいろな課題がある。そのことを踏まえて、今年度の実施状況はどうなっているのか。
【理事者】
階層別の人材育成研修は、昨年度の課題として、会場参加しかできない研修の参加率が低かった、中級者には物足りない内容の研修があった、研修の実施時期が10月から11月に集中していた、といった課題があった。
そこで、今年度からはオンラインでも参加できる研修の増設や初心者向け、中級者向けといったレベル別のカリキュラムを新たに設定するほか、研修の開始時期を早めることで、実施日の分散化を図り、アンケートから参加しやすいと回答の多かった時期や曜日で研修を実施するなど、より参加しやすくなるよう工夫を凝らしている。
また、生成AIが急速に普及してきたことから、その活用を推進するため、生成AIを社内業務で活用するための基本的な知識、スキルを習得できる研修を今年度より新たに実施するなど、課題や社会情勢を踏まえ、見直しを行っている。
【委員】
2021年度の調査であるが、デジタル人材は県内で約7万人おり、2030年には45万人前後が不足すると言われている。本県の今後の経済成長、これはデジタル人材の育成にかかっていると言っても過言ではない。今後ともこのデジタル人材の育成をしっかりと実施してもらうことを要望する。
【委員】
決算に関する報告書180ページ、19の伝統工芸産業振興事業費について、伝統工芸品とは何なのか、伝統的工芸品の市場経済規模はどれぐらいなのか、事業者数の推移や今後の展望・傾向をどのように見ているのか。
【理事者】
伝統工芸品について、本県では法律に基づき、経済産業大臣が指定した伝統的工芸品と、産地の規模が小さいなどの理由によって国の指定には至らない郷土伝統工芸品を合わせて伝統工芸品として整理している。
次に、伝統的工芸品の市場経済規模、従事者数、その推移、傾向及び見込みについて、昭和50年代頃には全国の生産額が5,000億円あり、従業員数は28万人を超えていたが、平成28年度には生産額は1,000億円、従業員数は6万3,000人を下回り、以降も少しずつ減少し続けている。愛知県においても、平成28年度には生産額は約50億円、従業員数は約3,000人であったが、令和5年度には、生産額は約30億円、従業員数は約2,500人に減少している。
伝統的工芸品は日本人の生活に根差した日用品であるが、我々の生活様式の変容や、海外からの安価な競合・類似品の流入などの影響を受けて、市場は縮小傾向にある。
【委員】
伝統工芸品には法律上の行政的な定義が決められており、特にその伝統的工芸品に関しては、経済産業大臣が指定したもので、原則10企業以上または30人以上の従事者を要するなど、かなり制限があると感じるが、それ以外の伝統的工芸品以外の伝統工芸品に関しても非常に希少性が高く由緒あるもの、生産者がたくさんいるものもあるため、そういったところにもぜひ支援に力を入れてもらいたい。
次に、本県は自動車産業をはじめとした近代的な製造業がどうしても目立つが、話を聴くと伝統産業に関しても非常に盛んな地域であるため、ぜひPRに力を入れてもらいたい。
また、観光もこれから盛り上がってくると思うため、そこをチャンスとして捉えてもらいたい。インバウンドとアウトバウンドの双方の需要を意識し、特にインバウンドにおける海外旅行者とか富裕層向けに市場拡大の取組を行ってもらいたい。また、国内の内需、市場拡大も必要であり、そのためには日本人や愛知県民自身がその伝統工芸品の良さを知ることが大事である。
そこで、国内と海外の市場拡大について、それぞれ今後の取組について伺う。
【理事者】
伝統的工芸品の国内及び海外の市場拡大に向けての取組について、生産規模や従業者数は減少傾向にあるが、この伝統的工芸品産業の維持、振興を図っていくためには、まず、国内の一般消費者に対して伝統的工芸品の良さをPRして、ブランドイメージを確立することが必要である。
そのため、国内需要の拡大に向けて、全国団体である一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が主催する伝統的工芸品展に負担金を出資することで出展支援を行い、展示即売や製造実演等を通じて、一般消費者に対する普及啓発に努めている。
また、伝統的工芸品産地企業にマーケティングの専門家を派遣して、現代のライフスタイルに即した新商品開発や販路開拓等の取組を支援している。
一方、海外に目を向けた取組も行っている。国内需要は減少傾向にあるが、伝統的工芸品は、和の文化が感じられ、高い品質を備えていることから、海外でも評価されている。そこで、海外市場における新たな販路開拓を促進するために、産地企業を対象とした伝統的工芸品の海外バイヤー商談会を開催している。海外バイヤー商談会に向けて産地企業向けに、販路開拓セミナーを行っており、海外の販路開拓に関する知識やプレゼン能力等を深めてもらうとともに、海外バイヤー商談会への参加を促している。
また、インバウンド向けとしては、本県で行う国際会議や表敬などの場において記念品等として伝統的工芸品を活用してもらえるように、主催等の関係局と情報共有を行いたいと考えている。
今後も国内向け・海外向けとの両輪で販路開拓に向けた支援を継続的に取り組むことで、伝統的工芸品産業の持続的な発展を目指していきたい。
【委員】
伝統産業もそうだが、1次産業である農業、漁業及び畜産も同じで、携わっている人たちは作ることに関してはプロだが、流通とか販路に関しては不慣れな人が多いと思われる。行政が、そういった人達を流通に長けた民間企業とマッチングさせる取組をしっかりと進めてもらうことを要望する。