委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月28日(水) 午後0時56分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 82 号 令和5年度愛知県水道事業会計補正予算(第1号)
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第82号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の
行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉会中の委員会活動について
7 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
今回、PFIによる事業の実施を検討するということであるが、至った経緯はどのようなものか。また、運営形式はどのように変わっていくのか。
【理事者】
豊橋浄水場は、築造から50年以上が経過し、主要構造物の老朽化が進み耐震化も必要なことから、施設の全面的な再整備に着手する必要がある。
今回の再整備事業は、受水団体へ安定供給を続けながら、浄水場の狭い敷地の中で沈殿池やろ過池などの施設を順次造り替えていく難しい工事であること、また、浄水場の水処理には多くのエネルギーを消費していることから、カーボンニュートラルの実現に向けた新しい技術や発想を取り入れる仕組みが必要であること、さらに施設完了後の維持管理には、IoT、AIを用いた効率的な運営管理体制の実現など多くの課題に対応し、次世代型の新しい浄水場に更新していく必要があるため、これまでにPFIでの導入可能性調査を行ってきた。
調査の結果、PFIによる一括発注、長期契約などによる効率的かつ効果的な事業の実施が期待できること、本事業におけるバリュー・フォー・マネーの効果が期待できるなどのことからPFIの導入が望ましいとし、現在、発注に向けた必要な手続を進めているところである。
なお、豊橋浄水場以外の浄水場の再整備については、PFIでの実施が適切かどうか個別に検討した上で判断していく。
運営方針については、民営化ではないため、民間業者が施設を建設した後、所有権を県に移し民間業者が施設の運転管理等を行う予定であるが、民間業者と県との業務分担については、今後、調整を進めていくこととしている。
【委員】
厚生労働省の交付金の交付要綱にも、このPFIの導入、適切な提案を採択する要件が導入されているので、その辺りは国の動向等もあると思う。また、水の供給は人の生命に関わる最も大切な業務なので、既に運転管理業務は民間に委託しているということであるが、PFI方式を採用した場合に、愛知県はどのように浄水場運営に関わって安心・安全を担保し、また、関係自治体に対して水の安定供給を行っていくのか伺う。
【理事者】
受水団体へのサービス等が低下しないよう、民間業者に求める要求水準を愛知県が設定し、民間業者と契約することを予定している。
本県は、水質管理、業務管理などについて、PFI業者のサービス水準が適切に保たれているかどうかモニタリングを実施し、確認する。
モニタリングでは、本県職員のみで運用している直営浄水場で培った技術力やノウハウを生かして、管理、指導を行っているが、要求水準の設定、モニタリングの方法など詳細については、今後、契約予定のアドバイザリー業務委託の中で引き続き検討していく。
なお、油流入等の水質事故や自然災害等の不測の事態が発生した場合は、民間業者でそのリスクを負うことは困難であるため、本県が主体となり、これまでどおり応急修繕や復旧対応等、適切な措置を講じていく。
今後も、水道用水の安全で安定的な供給を果たす使命は、愛知県が経営主体として最終責任を担っていきたい。
《一般質問》
【委員】
ウクライナ情勢などが要因となって、原油価格高騰により昨年度は電気料金が高騰したが、水道事業、工業用水事業に与える影響についてはどうなっているのか。
【理事者】
水道事業は、昨年度、燃料価格の高騰に伴う電気料金の高騰により動力費が大きく増加した。昨年度、動力費については、当初予算で約24億円を計上したが、電気料金の高騰により不足が生じる見込みとなったため、9月議会で約19億円の補正をして動力費の予算を約43億円に増額した。
昨年度の決算見込みとしては、純利益が2021年度から約23億円減の約3億円まで減少した。
また、今年度当初予算の動力費については、前年度当初予算の約2倍の約50億円を計上し、収益的収支は約25億円の純損失を見込んでいる。
工業用水についても、電気料金の高騰に伴い動力費が増加しているものの、一番規模の大きい愛知用水工業用水道において臨海部の工業地帯等へ自然流下で給水していることもあって、費用全体に占める割合は昨年度で約5パーセントと、水道事業の約12パーセントと比較して小さい割合となっている。
昨年度の動力費については、当初予算で約5億円を計上したが、9月議会において約4億円の補正を行い、動力費の予算を約9億円に増額した。
昨年度決算見込みについては、2021年度から1億円減少したものの、約20億円の純利益を見込んでいる。
なお、2023年度当初予算では、動力費については、昨年度当初予算の約2倍の約10億円を計上し、収益的収支は約9億円の純利益を見込んでいる。
【委員】
水道事業においては、先ほども報告があったが、今年度当初予算が25億円の純損失ということである。これについて、その後の状況もしっかり見ていく必要があると思うが、今後どのような対応を考えているのか。
【理事者】
水道事業では、電気料金の高騰により、動力費の費用に占める割合が、2021年度は約6パーセント、昨年度は約12パーセントであり、今年度当初予算では約13パーセントを見込んでいる。このように、動力費の費用に占める割合は増加しており、電気料金が水道事業経営に与える影響は、非常に大きくなってきている。電気料金が高い水準を継続していくと、大変厳しい経営状況となる。
このような状況の中、健全な事業運営を行っていくためには、料金改定の検討を行う状況にあると考えている。
また、県営水道の料金は、受水団体の受水費として費用に計上され、受水団体の費用のうち、受水費の割合は、水道事業の規模、地形、県営水道の依存率などにより異なっているが、平均すると、約3割である。このように、県営水道の料金改定は、受水団体の経営に与える影響が大きいものとなっている。このため、料金改定の検討に当たっては、今後の電気料金の動向を注視し、収益的収支の費用を慎重に見極めながら検討を行うとともに、受水団体に対し、検討状況を丁寧に説明していく。
【委員】
健全な事業運営を行っていくためには、料金改定の検討を行う状況にあるという答弁である。企業会計である以上は、動力費の割合が増えていくと収入を確保していかなければならないということは十分に理解ができるが、一方で、この水というのは、欠かすことのできない社会インフラであると思っており、全ての人が必要とするものであるので、そうした経緯というのをしっかりと受水団体等に説明をして、なるべく情報をオープンにしながら理解してもらった上で、進めてほしい。
また、同時に電気料金の話をしたが、電気料金は年末にかけて上昇し、現在は少し落ち着きつつあるので、今後の電力料金の動向等もしっかりと見定めて、慎重な判断をお願いしたい。
【委員】
中部臨空都市、特に空港の対岸部について、その状況について伺う。
これまで3年ほど猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症も、先月8日に感染症法上、2類から5類に移行し、社会経済活動も活発になりつつある。
こうした中で、中部臨空都市においては、空港島のほうでセントレアの航空需要が徐々に回復し、また、国際展示場での展示会やイベントの開催が本格化するなど、活気が戻ってきた。また、対岸部にあるめんたいパーク、コストコ、イオンモール常滑でも買物客が戻り、りんくう常滑駅周辺にも飲食店や結婚式場、賃貸マンションが建つなど、都市としてのにぎわいが出ていると感じる。
こうした中で、最近になって対岸部で新たな店舗が開業するなど、少しずつ立地が進んでいると思うが、中部臨空都市における企業立地の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
中部臨空都市における現在の企業立地状況として、空港島は、ホテルや航空貨物を取り扱う物流施設をはじめ、25社が立地しており、契約面積は56ヘクタールである。
空港対岸部は、イオンモール常滑などの大型商業施設をはじめ、28社が立地しており、契約面積は67.8ヘクタールである。
中部臨空都市全体では、53社の立地で、契約面積123.8ヘクタール、全体分譲面積に対する契約率は76.9パーセントとなっている。
なお、昨年度は、空港対岸部で2件の契約を締結しており、そのうちの1件である家具インテリア販売の株式会社ニトリについては、今年の5月19日に開業している。
【委員】
企業庁としては分譲契約が基本だと思うが、初期投資軽減のためにリース契約を締結している企業もかなりあると思う。
そこで、現在の分譲契約とリース契約の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
契約済みである53社、契約面積123.8ヘクタールのうち、分譲契約は39社、面積としては91.1ヘクタールであり、リース契約は14社、32.7ヘクタールである。
企業数、契約面積ともに、おおむね7割が分譲契約、3割がリース契約となっている。
【委員】
企業庁としては、投下資金を回収するために分譲への切替えが必要であると思っている。リース契約から分譲契約への切替えを促進するために、どのように取り組んでいるのか。また、リースから分譲に切り替えた企業は何社あるのか伺う。
【理事者】
企業庁では、リースから分譲への切替えを促進するため、中部臨空都市を対象に、平成27年から支払い済みリース料の2分の1を分譲代金から減額する優遇制度を導入している。中部臨空都市においてリースから分譲の切替えは12社で、このうち8社がこの制度を活用しており、これまでの優遇額である約4億5,000万円を差し引いても、約77億円の収入が確保できている。
これ以外にも、現在、検討中の企業もあるので、今後も優遇制度を積極的にPRし、売却を促進することで資金の回収に努めていく。
【委員】
企業庁は、別の内陸部や臨海部の土地を企業に提供してくことが使命だと思っているので、投下資金を確実に回収するために、しっかりとリース契約から分譲契約への切替えを進めてほしい。
また、イオンモール常滑の東側には大きい区画の分譲地があり、ここにどういった企業が立地するのかが、今後この地域の発展を左右する大きなポイントになると思っている。
この状況を踏まえて、これから中部臨空都市の企業誘致をどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
今後の企業誘致の取組についてであるが、空港対岸部にあるイオンモールの東側の区画にどのような企業が立地するのかというのが、今後、この地域の発展を左右する大きなポイントになると思う。このため、空港対岸部に立地しているイオンモール常滑やコストコといった広域から集客できるブランド力のある施設との相乗効果が見込め、また、最近復活しつつあるインバウンド需要にも対応できるような、この地域全体のにぎわいにつながる魅力的な施設の誘致がしたいと考えている。
これ以外にも、このエリアで勤務する従業員向けのマンションや、マリーナなどの景観を生かした飲食店等の誘致にも積極的に取り組んでいく。
また、空港島については、中部国際空港を利用する観光客やビジネス客が今後増える見込みもあり、国際展示場における展示会やイベントの開催の増加によるビジネスチャンスの拡大を取り入れながら、物流企業等にPRしていきたい。
いずれにしても、最近、企業からの中部臨空都市に関する問合せも増えているので、企業ニーズをしっかり把握しながら、積極的な企業誘致活動にも取り組んでいく。
【委員】
中部臨空都市の企業誘致が進むことによって、常滑市だけではなくて知多半島全体がこれからますます発展していくように、企業庁の一層の企業誘致への取組を要望する。
【委員】
中部臨空都市について分譲・リース契約含めて53社で約74パーセント埋まってきたと説明があった。この53社について聞くと、製造業、大型店が多く、空港というのは高付加価値を運ぶのに最適である。価格としては、海の港よりも空港の運ぶ金額は大きい。そのためもう少し、ソフト、ITに関する製造メーカーが張りついて、付加価値の高いものを運ぶということは、これからトレンドになると思う。
県外調査で、熊本県の半導体工場を見に行こうと話が出ている。熊本県は、高付加価値な製品を作っている工場を多く誘致している。
半導体というのはデジタルITの要であるため、それがデカップリングによって、海外生産に頼っていたものが、国内回帰が始まっているということであり、経済安全保障上、国内で作らないと大変なことになるということで、熊本県、北海道にも工場を造るという話も出ているため、日本の真ん中の中部に工場を造ってもよいと考える。積極的に高付加価値の、経済安全保障から見ても、この愛知県のモノづくりに必ず半導体は使われるため、逆に誘致するぐらいの気持ちで取り組むべきだと思う。
これらを踏まえて、この53社のうち産業別ではどのような構成になっているのか。
【理事者】
中部臨空都市の53社の内訳であるが、まず、空港島が25社であり、そのうち航空貨物取扱事業者が9社、運送会社が6社、ホテルが3社、その他サービス業が7社になっている。
空港対岸部については結婚式場が4社、製造業が4社あり、飲食店、小売等サービス業が多い。
【委員】
航空貨物というのは、付加価値の高い製品を作っているのか。どのようなものを作っているのか。
【理事者】
空港島に1社、半導体につながる部品関係を作っている会社がある。空港島は、基本的には従来の航空貨物を受けたり、仕分したりという企業が現状では立地しており、委員が想定している企業というのは、その1社ということになる。
【委員】
全てのものがネットにつながっていくわけで、車もEVになり、家電になることから半導体は今後さらになくてはならないものになる。さらに、日本の強みは、半導体を作る装置が強いことにある。装置と様々な部品がそろえば完全に作ることができる。そのため、国を挙げてこれをやろうとしているわけなので、国に対してこれから貢献するような企業を探し、アプローチしていくことが重要だと考える。
加えて、大きなデータセンターを国も造ろうとしているので、チャンネルを広げて、もう少し努力していくべきだと思う。これからの産業を呼び込むことをやるべきだと思う。
中部臨空都市は3割強の土地が残っているとのことだが、全体を見て売れ残りの土地は、どのくらい残っているのか。また、それをどのような割合で、年間どれぐらい売っているのか。
【理事者】
企業庁では、現在、内陸用地で約13.9ヘクタール、臨海用地で約85.6ヘクタール、合計で約99.5ヘクタールの分譲用地がある。
昨年度の分譲実績であるが、内陸用地で1件、2ヘクタール、臨海用地で、御津1区で2件、田原1区で1件、空港対岸部で2件の計5件、内陸臨海を合わせて約7.2ヘクタールの契約を締結した。
【委員】
99ヘクタールも残っているということだが、ばく大な県費を使って造成している背景があるため、何としても売り切る必要がある。時代は変わっているため、製造業だけに特化するとこういうことになる。例えば物流に変えて売れたように、あらゆる職種を変え、努力して早く売り切る必要がある。普通の企業なら責任問題である。不動産業界であれば、土地を売るプロもいるため、企業も巻き込んでできるだけ早く売る、売り抜く必要があると思う。
それから、PFI法で民間の活力とノウハウと資金を使ってやるということであるが、これは大変いいことで、水道事業や企業庁の事業を役所がやらなければならないということはない。そのため、大切な県税を使っているため、できる限り民間企業のノウハウを利用して、企業に貢献をしてもらいたい。
加えて、既成の工業団地、これから造る団地についても、この先はデジタルの時代なので、ITのインフラを造り続けなければならないと思う。それと5Gの基地を造り、デジタル化に向けて使い勝手のいい造成、分譲をやるべきだと思う。情報インフラも進んできているという話を聞いているが、既成のもの、それから新しく造成した団地に対して、現状どのような状況か。
【理事者】
既存の工業用地に情報インフラを整備するということについて、企業庁では、造成した工業団地に、企業の立地後も操業開始の確認の際などの機会を通じ、立地企業とは様々な意見交換を行っている。
企業庁としても、今後ますます進化を遂げるデジタル社会において立地企業が効率的に操業していくためには、高速通信技術を活用したデジタル化の取組というものは不可欠なものになると考えている。このため、今後は立地企業との意見交換の場などで、企業がデジタル化を進めていく上で必要となる通信環境のニーズ等を把握して、企業庁から通信事業者に対して設備の設置をこれまで以上に働きかけるとともに、企業庁が様々な企業を訪問して得られたデジタル活用の事例等を紹介していくなど、個々の企業のデジタル化に向けた後押しとなるように努めていく。
【委員】
造成して土地を売る、貸すで終わりではない。土地代を払うわけなので、もう少しどうしたら企業活動がうまくいくか、もうかるか、無駄を省くかということを考えて、お客さん目線で行ってもらいたい。顧客第一主義で、民間がやっているように真剣にやってもらいたいと思う。
加えて、先ほど水道料金を上げると話があった。それは様々な理由があると思うが、上げる前に、現場で技術者として現業で働いている人はどれぐらいの割合か。
【理事者】
今年度、企業庁全体では439人の定数であり、水道事業現場の技術者は、水道事務所、浄水場等で水道施設の維持管理、保守などに携わっている水道部門の職員は、全部で255人である。これは、企業庁職員全体の約6割である。
【委員】
普通の工場を持った企業だと、現場での人員は3割から4割で、後の6割から7割は事務所、倉庫などのバックヤードで働いている。現在、大企業を中心にどこの企業でもロボット化している。6割から7割のいわゆるバックヤードの事務職、営業職の事務についてアナログが多いと感じる。
PFIで民間の活力を利用するということなので、一挙にデジタル化をして、そこからは、事務はITを使い、あらゆるネットワークをつくった上で、DXを推進したらどうかと思う。そうすると、無駄がどれだけあるかがよく分かり、その浮いたお金であらゆる投資もでき、営業強化もできる。時代は変化しており、気合をいれてやらないと、民営化したほうがいいという意見も出てくると思うがどう考えるか。
【理事者】
水道事業についてであるが、電気代の上昇等により、単年度で25億円の赤字を今のところ見込んでおり、これが累積すると、企業庁の現金のストックが尽きてしまうということもあるので、今年度、料金の値上げについて検討すると先ほど説明を行った。この後、市町村とも相談をしていくが、経費がかかったから料金を上げるということでは、誰の納得ももらえないと思っている。そのため、今は緊急事態で上げさせてもらうが、その代わりこういうことをやっていくから、将来的には経費を節減し、これ以上料金を上げなくてもやれる体制にしていくということがセットでなければ、お客様に納得してもらえないと思っている。そのためにやるべきことは三つあると思っている。
一つ目が、デジタル化、DXである。
企業庁においても、水道事業、用地事業でも、デジタル技術を使った遠隔臨場や、遠隔で浄水場の操作をするなど、そういうことは順次導入しており、最近は現場の確認にドローンを使った検査も全国に先駆けて導入している。直ちに省力化によって人員が要らなくなるとか、その段階まで成果が出る状況にはなっていないので、そこについては本気になって取り組んでいきたい。
二つ目が、今日まさに議案で取り上げられたPFIの導入である。これは、老朽化した豊橋市浄水場についてPFI手法をもって再整備するということで、その準備のためのアドバイザリー予算を計上したが、一番の目的は、もちろん技術的に難しいということもあるが、現状、浄水場というのが、ポンプで水をくんで送り出すという行為をやっており、そこにたくさんの電気を使っている。それをそのままの状態で更新したのであれば、電気代が上がったら、また多くのお金がかかり、そういうことはずっと続いていく。PFIを使うことによって、省エネ型の浄水場、もしくは、新しい技術でノーカーボンのエネルギーで運営していける浄水場の提案をしてもらいたいということも念頭に置き、今回はPFIでの検討をしている。
そして、順次、老朽施設を更新するに当たっては、そうした新しい技術を積極的に導入し、今後、運営費や設備の費用にお金をできるだけかけないように、適時適切なダウンサイジングもしながら新しい施設の更新を行っていきたい。
三つ目が、順次進めているところであるが、水道事業の広域化である。
本県の企業庁は、名古屋市と北設の3町村、それから、大治町以外の全ての市町村に、水を買ってもらっている。企業庁がダム、河川からもらってきた水を浄水場で浄水し、各市町村の配水池、配水場へ水を送り、今度は各市町村が自前の費用で、その配水池、配水場からの水を各家庭に送ることで水道事業が成り立っているが、現在は、県は県、市町村は市町村で、事業も別々に行い、施設も別々に管理している。これを将来的に、更新、耐震化などのインフラの費用を含めて計算すると、今後、費用は上がっていく一方である。それをどうやって合理化するか考えると、できるだけ一緒にやれるところは一緒にやっていく必要があると考える。
例えば、愛知県の浄水場から、高さ的に低いところの市町村の配水場に送って、市町村は、それをポンプで、もっと高いところの住民の方々に配水しているが、このような事例が愛知県内でもかなり存在する。そのときに、事業を一緒にすることで、愛知県の浄水場から、直接自然流下で、市町村の配水池よりは高いが、愛知県の浄水場よりは低いところにある家庭に送ることができれば、エネルギーを節約することができる。場合によっては、その配水場を愛知県に統合して一つにすることで、管理費、更新費を減らすこともできる可能性がある。そういうことについて、この料金改定の検討とセットで各市町村に将来的なことも含めて、今は経費が上がったから上げさせてもらうが、今後、費用を減らすためにはこういったことを愛知県は考えているので、ぜひ相談に乗ってほしいということを、この料金改定の議論をきっかけに、行っていきたいと考えている。
そのため、総合的に勘案しながら、短期的には上げることになるかもしれないが、これもこれから検討していった結果で、長期的に見て、どういう水道事業の姿が愛知県にとっても市町村にとってもいいのかということをこの機会にしっかりと考えたいと思っている。
また、企業用地についても、攻めの部分と守りの部分を意識しながら、在庫はとにかく早く売り切るよう努める。そのために、不動産業者に報奨金のようなものを支払い、売上げの何パーセントを渡すから売ってほしいということをやっており、いいところは売れるが、塩漬けになっているところは、職員が足で稼いで売ってこないと売れない部分もあるので、誘致部隊も非常に頑張って在庫処分に努めている。
攻めの部分として、これから必要になってくる半導体やデータセンターなど、そういったものについても積極的に誘致をし、企業庁の土地に立地してもらうためには、企業を回って、主に東京等のニーズを早めにつかまえることで、そこの企業が、どのような条件の、どのぐらいの土地なら、どのぐらいの装備が予定されている土地だったら買ってもらえるんだということを、しっかりと見極める必要がある。
東京事務所にも職員を2人置き、誘致活動をやっているが、攻めの部分と守りの部分、その両方に、職員をフル活用し、しっかりと用地事業もやっていきたい。
その上で、公共がやっている事業は、単に土地が売れればいい、企業が来ればいいというものでもないため、この愛知の産業を強くするために、愛知県の未来のために必要になる業種を的確に、土地を買った上で立地してもらうことがベストだと思っているため、しっかりと頑張っていきたい。
【委員】
産業が少なかった熊本県は必死になって巻き返しを図り、付加価値の高い企業の集積地になっている。企業庁は前向きで考えているので安心したが、ぜひそういう心意気で取り組んでもらいたい。
最後に、今の時代は、何が起こるか分からない。まず、サイバーのこともあるが、セキュリティーが大事である。例えば浄水場に、毒物を入れられたら、パニックになる。そのため、センサーやAIのカメラをところどころに設置して、リアルタイムに状況を把握する工夫が必要だと思う。常駐していると思うが、それをいち早く情報をお互いに共有して、防いでいくことが大事だと思う。
STATION Aiの仕組みをつくるときに、知事と一緒にイスラエルへ行った。イスラエルは、セキュリティーについてサイバーもリアルも含め技術を持った企業がたくさんある。もう少し、どのような企業があるのかを聞いてもらい、ぜひセキュリティーの面も強固にすることを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月28日(水) 午後0時56分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 82 号 令和5年度愛知県水道事業会計補正予算(第1号)
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第82号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の
行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉会中の委員会活動について
7 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
今回、PFIによる事業の実施を検討するということであるが、至った経緯はどのようなものか。また、運営形式はどのように変わっていくのか。
【理事者】
豊橋浄水場は、築造から50年以上が経過し、主要構造物の老朽化が進み耐震化も必要なことから、施設の全面的な再整備に着手する必要がある。
今回の再整備事業は、受水団体へ安定供給を続けながら、浄水場の狭い敷地の中で沈殿池やろ過池などの施設を順次造り替えていく難しい工事であること、また、浄水場の水処理には多くのエネルギーを消費していることから、カーボンニュートラルの実現に向けた新しい技術や発想を取り入れる仕組みが必要であること、さらに施設完了後の維持管理には、IoT、AIを用いた効率的な運営管理体制の実現など多くの課題に対応し、次世代型の新しい浄水場に更新していく必要があるため、これまでにPFIでの導入可能性調査を行ってきた。
調査の結果、PFIによる一括発注、長期契約などによる効率的かつ効果的な事業の実施が期待できること、本事業におけるバリュー・フォー・マネーの効果が期待できるなどのことからPFIの導入が望ましいとし、現在、発注に向けた必要な手続を進めているところである。
なお、豊橋浄水場以外の浄水場の再整備については、PFIでの実施が適切かどうか個別に検討した上で判断していく。
運営方針については、民営化ではないため、民間業者が施設を建設した後、所有権を県に移し民間業者が施設の運転管理等を行う予定であるが、民間業者と県との業務分担については、今後、調整を進めていくこととしている。
【委員】
厚生労働省の交付金の交付要綱にも、このPFIの導入、適切な提案を採択する要件が導入されているので、その辺りは国の動向等もあると思う。また、水の供給は人の生命に関わる最も大切な業務なので、既に運転管理業務は民間に委託しているということであるが、PFI方式を採用した場合に、愛知県はどのように浄水場運営に関わって安心・安全を担保し、また、関係自治体に対して水の安定供給を行っていくのか伺う。
【理事者】
受水団体へのサービス等が低下しないよう、民間業者に求める要求水準を愛知県が設定し、民間業者と契約することを予定している。
本県は、水質管理、業務管理などについて、PFI業者のサービス水準が適切に保たれているかどうかモニタリングを実施し、確認する。
モニタリングでは、本県職員のみで運用している直営浄水場で培った技術力やノウハウを生かして、管理、指導を行っているが、要求水準の設定、モニタリングの方法など詳細については、今後、契約予定のアドバイザリー業務委託の中で引き続き検討していく。
なお、油流入等の水質事故や自然災害等の不測の事態が発生した場合は、民間業者でそのリスクを負うことは困難であるため、本県が主体となり、これまでどおり応急修繕や復旧対応等、適切な措置を講じていく。
今後も、水道用水の安全で安定的な供給を果たす使命は、愛知県が経営主体として最終責任を担っていきたい。
《一般質問》
【委員】
ウクライナ情勢などが要因となって、原油価格高騰により昨年度は電気料金が高騰したが、水道事業、工業用水事業に与える影響についてはどうなっているのか。
【理事者】
水道事業は、昨年度、燃料価格の高騰に伴う電気料金の高騰により動力費が大きく増加した。昨年度、動力費については、当初予算で約24億円を計上したが、電気料金の高騰により不足が生じる見込みとなったため、9月議会で約19億円の補正をして動力費の予算を約43億円に増額した。
昨年度の決算見込みとしては、純利益が2021年度から約23億円減の約3億円まで減少した。
また、今年度当初予算の動力費については、前年度当初予算の約2倍の約50億円を計上し、収益的収支は約25億円の純損失を見込んでいる。
工業用水についても、電気料金の高騰に伴い動力費が増加しているものの、一番規模の大きい愛知用水工業用水道において臨海部の工業地帯等へ自然流下で給水していることもあって、費用全体に占める割合は昨年度で約5パーセントと、水道事業の約12パーセントと比較して小さい割合となっている。
昨年度の動力費については、当初予算で約5億円を計上したが、9月議会において約4億円の補正を行い、動力費の予算を約9億円に増額した。
昨年度決算見込みについては、2021年度から1億円減少したものの、約20億円の純利益を見込んでいる。
なお、2023年度当初予算では、動力費については、昨年度当初予算の約2倍の約10億円を計上し、収益的収支は約9億円の純利益を見込んでいる。
【委員】
水道事業においては、先ほども報告があったが、今年度当初予算が25億円の純損失ということである。これについて、その後の状況もしっかり見ていく必要があると思うが、今後どのような対応を考えているのか。
【理事者】
水道事業では、電気料金の高騰により、動力費の費用に占める割合が、2021年度は約6パーセント、昨年度は約12パーセントであり、今年度当初予算では約13パーセントを見込んでいる。このように、動力費の費用に占める割合は増加しており、電気料金が水道事業経営に与える影響は、非常に大きくなってきている。電気料金が高い水準を継続していくと、大変厳しい経営状況となる。
このような状況の中、健全な事業運営を行っていくためには、料金改定の検討を行う状況にあると考えている。
また、県営水道の料金は、受水団体の受水費として費用に計上され、受水団体の費用のうち、受水費の割合は、水道事業の規模、地形、県営水道の依存率などにより異なっているが、平均すると、約3割である。このように、県営水道の料金改定は、受水団体の経営に与える影響が大きいものとなっている。このため、料金改定の検討に当たっては、今後の電気料金の動向を注視し、収益的収支の費用を慎重に見極めながら検討を行うとともに、受水団体に対し、検討状況を丁寧に説明していく。
【委員】
健全な事業運営を行っていくためには、料金改定の検討を行う状況にあるという答弁である。企業会計である以上は、動力費の割合が増えていくと収入を確保していかなければならないということは十分に理解ができるが、一方で、この水というのは、欠かすことのできない社会インフラであると思っており、全ての人が必要とするものであるので、そうした経緯というのをしっかりと受水団体等に説明をして、なるべく情報をオープンにしながら理解してもらった上で、進めてほしい。
また、同時に電気料金の話をしたが、電気料金は年末にかけて上昇し、現在は少し落ち着きつつあるので、今後の電力料金の動向等もしっかりと見定めて、慎重な判断をお願いしたい。
【委員】
中部臨空都市、特に空港の対岸部について、その状況について伺う。
これまで3年ほど猛威を振るっていた新型コロナウイルス感染症も、先月8日に感染症法上、2類から5類に移行し、社会経済活動も活発になりつつある。
こうした中で、中部臨空都市においては、空港島のほうでセントレアの航空需要が徐々に回復し、また、国際展示場での展示会やイベントの開催が本格化するなど、活気が戻ってきた。また、対岸部にあるめんたいパーク、コストコ、イオンモール常滑でも買物客が戻り、りんくう常滑駅周辺にも飲食店や結婚式場、賃貸マンションが建つなど、都市としてのにぎわいが出ていると感じる。
こうした中で、最近になって対岸部で新たな店舗が開業するなど、少しずつ立地が進んでいると思うが、中部臨空都市における企業立地の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
中部臨空都市における現在の企業立地状況として、空港島は、ホテルや航空貨物を取り扱う物流施設をはじめ、25社が立地しており、契約面積は56ヘクタールである。
空港対岸部は、イオンモール常滑などの大型商業施設をはじめ、28社が立地しており、契約面積は67.8ヘクタールである。
中部臨空都市全体では、53社の立地で、契約面積123.8ヘクタール、全体分譲面積に対する契約率は76.9パーセントとなっている。
なお、昨年度は、空港対岸部で2件の契約を締結しており、そのうちの1件である家具インテリア販売の株式会社ニトリについては、今年の5月19日に開業している。
【委員】
企業庁としては分譲契約が基本だと思うが、初期投資軽減のためにリース契約を締結している企業もかなりあると思う。
そこで、現在の分譲契約とリース契約の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
契約済みである53社、契約面積123.8ヘクタールのうち、分譲契約は39社、面積としては91.1ヘクタールであり、リース契約は14社、32.7ヘクタールである。
企業数、契約面積ともに、おおむね7割が分譲契約、3割がリース契約となっている。
【委員】
企業庁としては、投下資金を回収するために分譲への切替えが必要であると思っている。リース契約から分譲契約への切替えを促進するために、どのように取り組んでいるのか。また、リースから分譲に切り替えた企業は何社あるのか伺う。
【理事者】
企業庁では、リースから分譲への切替えを促進するため、中部臨空都市を対象に、平成27年から支払い済みリース料の2分の1を分譲代金から減額する優遇制度を導入している。中部臨空都市においてリースから分譲の切替えは12社で、このうち8社がこの制度を活用しており、これまでの優遇額である約4億5,000万円を差し引いても、約77億円の収入が確保できている。
これ以外にも、現在、検討中の企業もあるので、今後も優遇制度を積極的にPRし、売却を促進することで資金の回収に努めていく。
【委員】
企業庁は、別の内陸部や臨海部の土地を企業に提供してくことが使命だと思っているので、投下資金を確実に回収するために、しっかりとリース契約から分譲契約への切替えを進めてほしい。
また、イオンモール常滑の東側には大きい区画の分譲地があり、ここにどういった企業が立地するのかが、今後この地域の発展を左右する大きなポイントになると思っている。
この状況を踏まえて、これから中部臨空都市の企業誘致をどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
今後の企業誘致の取組についてであるが、空港対岸部にあるイオンモールの東側の区画にどのような企業が立地するのかというのが、今後、この地域の発展を左右する大きなポイントになると思う。このため、空港対岸部に立地しているイオンモール常滑やコストコといった広域から集客できるブランド力のある施設との相乗効果が見込め、また、最近復活しつつあるインバウンド需要にも対応できるような、この地域全体のにぎわいにつながる魅力的な施設の誘致がしたいと考えている。
これ以外にも、このエリアで勤務する従業員向けのマンションや、マリーナなどの景観を生かした飲食店等の誘致にも積極的に取り組んでいく。
また、空港島については、中部国際空港を利用する観光客やビジネス客が今後増える見込みもあり、国際展示場における展示会やイベントの開催の増加によるビジネスチャンスの拡大を取り入れながら、物流企業等にPRしていきたい。
いずれにしても、最近、企業からの中部臨空都市に関する問合せも増えているので、企業ニーズをしっかり把握しながら、積極的な企業誘致活動にも取り組んでいく。
【委員】
中部臨空都市の企業誘致が進むことによって、常滑市だけではなくて知多半島全体がこれからますます発展していくように、企業庁の一層の企業誘致への取組を要望する。
【委員】
中部臨空都市について分譲・リース契約含めて53社で約74パーセント埋まってきたと説明があった。この53社について聞くと、製造業、大型店が多く、空港というのは高付加価値を運ぶのに最適である。価格としては、海の港よりも空港の運ぶ金額は大きい。そのためもう少し、ソフト、ITに関する製造メーカーが張りついて、付加価値の高いものを運ぶということは、これからトレンドになると思う。
県外調査で、熊本県の半導体工場を見に行こうと話が出ている。熊本県は、高付加価値な製品を作っている工場を多く誘致している。
半導体というのはデジタルITの要であるため、それがデカップリングによって、海外生産に頼っていたものが、国内回帰が始まっているということであり、経済安全保障上、国内で作らないと大変なことになるということで、熊本県、北海道にも工場を造るという話も出ているため、日本の真ん中の中部に工場を造ってもよいと考える。積極的に高付加価値の、経済安全保障から見ても、この愛知県のモノづくりに必ず半導体は使われるため、逆に誘致するぐらいの気持ちで取り組むべきだと思う。
これらを踏まえて、この53社のうち産業別ではどのような構成になっているのか。
【理事者】
中部臨空都市の53社の内訳であるが、まず、空港島が25社であり、そのうち航空貨物取扱事業者が9社、運送会社が6社、ホテルが3社、その他サービス業が7社になっている。
空港対岸部については結婚式場が4社、製造業が4社あり、飲食店、小売等サービス業が多い。
【委員】
航空貨物というのは、付加価値の高い製品を作っているのか。どのようなものを作っているのか。
【理事者】
空港島に1社、半導体につながる部品関係を作っている会社がある。空港島は、基本的には従来の航空貨物を受けたり、仕分したりという企業が現状では立地しており、委員が想定している企業というのは、その1社ということになる。
【委員】
全てのものがネットにつながっていくわけで、車もEVになり、家電になることから半導体は今後さらになくてはならないものになる。さらに、日本の強みは、半導体を作る装置が強いことにある。装置と様々な部品がそろえば完全に作ることができる。そのため、国を挙げてこれをやろうとしているわけなので、国に対してこれから貢献するような企業を探し、アプローチしていくことが重要だと考える。
加えて、大きなデータセンターを国も造ろうとしているので、チャンネルを広げて、もう少し努力していくべきだと思う。これからの産業を呼び込むことをやるべきだと思う。
中部臨空都市は3割強の土地が残っているとのことだが、全体を見て売れ残りの土地は、どのくらい残っているのか。また、それをどのような割合で、年間どれぐらい売っているのか。
【理事者】
企業庁では、現在、内陸用地で約13.9ヘクタール、臨海用地で約85.6ヘクタール、合計で約99.5ヘクタールの分譲用地がある。
昨年度の分譲実績であるが、内陸用地で1件、2ヘクタール、臨海用地で、御津1区で2件、田原1区で1件、空港対岸部で2件の計5件、内陸臨海を合わせて約7.2ヘクタールの契約を締結した。
【委員】
99ヘクタールも残っているということだが、ばく大な県費を使って造成している背景があるため、何としても売り切る必要がある。時代は変わっているため、製造業だけに特化するとこういうことになる。例えば物流に変えて売れたように、あらゆる職種を変え、努力して早く売り切る必要がある。普通の企業なら責任問題である。不動産業界であれば、土地を売るプロもいるため、企業も巻き込んでできるだけ早く売る、売り抜く必要があると思う。
それから、PFI法で民間の活力とノウハウと資金を使ってやるということであるが、これは大変いいことで、水道事業や企業庁の事業を役所がやらなければならないということはない。そのため、大切な県税を使っているため、できる限り民間企業のノウハウを利用して、企業に貢献をしてもらいたい。
加えて、既成の工業団地、これから造る団地についても、この先はデジタルの時代なので、ITのインフラを造り続けなければならないと思う。それと5Gの基地を造り、デジタル化に向けて使い勝手のいい造成、分譲をやるべきだと思う。情報インフラも進んできているという話を聞いているが、既成のもの、それから新しく造成した団地に対して、現状どのような状況か。
【理事者】
既存の工業用地に情報インフラを整備するということについて、企業庁では、造成した工業団地に、企業の立地後も操業開始の確認の際などの機会を通じ、立地企業とは様々な意見交換を行っている。
企業庁としても、今後ますます進化を遂げるデジタル社会において立地企業が効率的に操業していくためには、高速通信技術を活用したデジタル化の取組というものは不可欠なものになると考えている。このため、今後は立地企業との意見交換の場などで、企業がデジタル化を進めていく上で必要となる通信環境のニーズ等を把握して、企業庁から通信事業者に対して設備の設置をこれまで以上に働きかけるとともに、企業庁が様々な企業を訪問して得られたデジタル活用の事例等を紹介していくなど、個々の企業のデジタル化に向けた後押しとなるように努めていく。
【委員】
造成して土地を売る、貸すで終わりではない。土地代を払うわけなので、もう少しどうしたら企業活動がうまくいくか、もうかるか、無駄を省くかということを考えて、お客さん目線で行ってもらいたい。顧客第一主義で、民間がやっているように真剣にやってもらいたいと思う。
加えて、先ほど水道料金を上げると話があった。それは様々な理由があると思うが、上げる前に、現場で技術者として現業で働いている人はどれぐらいの割合か。
【理事者】
今年度、企業庁全体では439人の定数であり、水道事業現場の技術者は、水道事務所、浄水場等で水道施設の維持管理、保守などに携わっている水道部門の職員は、全部で255人である。これは、企業庁職員全体の約6割である。
【委員】
普通の工場を持った企業だと、現場での人員は3割から4割で、後の6割から7割は事務所、倉庫などのバックヤードで働いている。現在、大企業を中心にどこの企業でもロボット化している。6割から7割のいわゆるバックヤードの事務職、営業職の事務についてアナログが多いと感じる。
PFIで民間の活力を利用するということなので、一挙にデジタル化をして、そこからは、事務はITを使い、あらゆるネットワークをつくった上で、DXを推進したらどうかと思う。そうすると、無駄がどれだけあるかがよく分かり、その浮いたお金であらゆる投資もでき、営業強化もできる。時代は変化しており、気合をいれてやらないと、民営化したほうがいいという意見も出てくると思うがどう考えるか。
【理事者】
水道事業についてであるが、電気代の上昇等により、単年度で25億円の赤字を今のところ見込んでおり、これが累積すると、企業庁の現金のストックが尽きてしまうということもあるので、今年度、料金の値上げについて検討すると先ほど説明を行った。この後、市町村とも相談をしていくが、経費がかかったから料金を上げるということでは、誰の納得ももらえないと思っている。そのため、今は緊急事態で上げさせてもらうが、その代わりこういうことをやっていくから、将来的には経費を節減し、これ以上料金を上げなくてもやれる体制にしていくということがセットでなければ、お客様に納得してもらえないと思っている。そのためにやるべきことは三つあると思っている。
一つ目が、デジタル化、DXである。
企業庁においても、水道事業、用地事業でも、デジタル技術を使った遠隔臨場や、遠隔で浄水場の操作をするなど、そういうことは順次導入しており、最近は現場の確認にドローンを使った検査も全国に先駆けて導入している。直ちに省力化によって人員が要らなくなるとか、その段階まで成果が出る状況にはなっていないので、そこについては本気になって取り組んでいきたい。
二つ目が、今日まさに議案で取り上げられたPFIの導入である。これは、老朽化した豊橋市浄水場についてPFI手法をもって再整備するということで、その準備のためのアドバイザリー予算を計上したが、一番の目的は、もちろん技術的に難しいということもあるが、現状、浄水場というのが、ポンプで水をくんで送り出すという行為をやっており、そこにたくさんの電気を使っている。それをそのままの状態で更新したのであれば、電気代が上がったら、また多くのお金がかかり、そういうことはずっと続いていく。PFIを使うことによって、省エネ型の浄水場、もしくは、新しい技術でノーカーボンのエネルギーで運営していける浄水場の提案をしてもらいたいということも念頭に置き、今回はPFIでの検討をしている。
そして、順次、老朽施設を更新するに当たっては、そうした新しい技術を積極的に導入し、今後、運営費や設備の費用にお金をできるだけかけないように、適時適切なダウンサイジングもしながら新しい施設の更新を行っていきたい。
三つ目が、順次進めているところであるが、水道事業の広域化である。
本県の企業庁は、名古屋市と北設の3町村、それから、大治町以外の全ての市町村に、水を買ってもらっている。企業庁がダム、河川からもらってきた水を浄水場で浄水し、各市町村の配水池、配水場へ水を送り、今度は各市町村が自前の費用で、その配水池、配水場からの水を各家庭に送ることで水道事業が成り立っているが、現在は、県は県、市町村は市町村で、事業も別々に行い、施設も別々に管理している。これを将来的に、更新、耐震化などのインフラの費用を含めて計算すると、今後、費用は上がっていく一方である。それをどうやって合理化するか考えると、できるだけ一緒にやれるところは一緒にやっていく必要があると考える。
例えば、愛知県の浄水場から、高さ的に低いところの市町村の配水場に送って、市町村は、それをポンプで、もっと高いところの住民の方々に配水しているが、このような事例が愛知県内でもかなり存在する。そのときに、事業を一緒にすることで、愛知県の浄水場から、直接自然流下で、市町村の配水池よりは高いが、愛知県の浄水場よりは低いところにある家庭に送ることができれば、エネルギーを節約することができる。場合によっては、その配水場を愛知県に統合して一つにすることで、管理費、更新費を減らすこともできる可能性がある。そういうことについて、この料金改定の検討とセットで各市町村に将来的なことも含めて、今は経費が上がったから上げさせてもらうが、今後、費用を減らすためにはこういったことを愛知県は考えているので、ぜひ相談に乗ってほしいということを、この料金改定の議論をきっかけに、行っていきたいと考えている。
そのため、総合的に勘案しながら、短期的には上げることになるかもしれないが、これもこれから検討していった結果で、長期的に見て、どういう水道事業の姿が愛知県にとっても市町村にとってもいいのかということをこの機会にしっかりと考えたいと思っている。
また、企業用地についても、攻めの部分と守りの部分を意識しながら、在庫はとにかく早く売り切るよう努める。そのために、不動産業者に報奨金のようなものを支払い、売上げの何パーセントを渡すから売ってほしいということをやっており、いいところは売れるが、塩漬けになっているところは、職員が足で稼いで売ってこないと売れない部分もあるので、誘致部隊も非常に頑張って在庫処分に努めている。
攻めの部分として、これから必要になってくる半導体やデータセンターなど、そういったものについても積極的に誘致をし、企業庁の土地に立地してもらうためには、企業を回って、主に東京等のニーズを早めにつかまえることで、そこの企業が、どのような条件の、どのぐらいの土地なら、どのぐらいの装備が予定されている土地だったら買ってもらえるんだということを、しっかりと見極める必要がある。
東京事務所にも職員を2人置き、誘致活動をやっているが、攻めの部分と守りの部分、その両方に、職員をフル活用し、しっかりと用地事業もやっていきたい。
その上で、公共がやっている事業は、単に土地が売れればいい、企業が来ればいいというものでもないため、この愛知の産業を強くするために、愛知県の未来のために必要になる業種を的確に、土地を買った上で立地してもらうことがベストだと思っているため、しっかりと頑張っていきたい。
【委員】
産業が少なかった熊本県は必死になって巻き返しを図り、付加価値の高い企業の集積地になっている。企業庁は前向きで考えているので安心したが、ぜひそういう心意気で取り組んでもらいたい。
最後に、今の時代は、何が起こるか分からない。まず、サイバーのこともあるが、セキュリティーが大事である。例えば浄水場に、毒物を入れられたら、パニックになる。そのため、センサーやAIのカメラをところどころに設置して、リアルタイムに状況を把握する工夫が必要だと思う。常駐していると思うが、それをいち早く情報をお互いに共有して、防いでいくことが大事だと思う。
STATION Aiの仕組みをつくるときに、知事と一緒にイスラエルへ行った。イスラエルは、セキュリティーについてサイバーもリアルも含め技術を持った企業がたくさんある。もう少し、どのような企業があるのかを聞いてもらい、ぜひセキュリティーの面も強固にすることを要望する。