委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年12月10日(火) 午後0時58分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
経済産業局長、同技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第216号 事業契約の変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第216号
○ 請 願
第 60 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第60号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(1件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時36分)
7 再 開(午後2時49分)
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業、いわゆるSTATION Aiについて、第216号議案で、この事業契約の変更について議案が提出されている。先ほど産業部長から変更内容及び理由について説明があったが、STATION Aiがグランドオープンを迎えた後、このタイミングで建設費の変更契約の議案を提出することになった経緯を教えてほしい。
【理事者】
今回の議案については、まず9月定例議会の補正予算の議決を受けて提出しており、その経緯からいうと、事業者であるSTATION Ai株式会社から、契約締結後の建設物価等の高騰を背景として、2024年2月時点と5月時点を基準月とした増額の請求があったため、契約額を増額することとしたものである。
変更額の算定に当たり、国土交通省の建設工事費デフレーターという指標を用いているが、このデフレーターは、基準月の2か月後に数値が公表される。先ほどの例でいうと、2月時点の数値は4月に公表され、5月時点の数値は7月に公表されている。この公表された数値を基に、県の方で変動額の算出を行い、その直後の9月の議会に補正予算として提出して、議決したという流れである。
次に、12月定例議会に今回の契約変更議案を提案した理由としては、地方自治法の規定により、予算議案を議決した後に、契約変更議案を提案することとなっているためである。
【委員】
既に増額補正しており、今回再度増額した理由についても教えてほしい。
【理事者】
以前の増額については、令和5年5月臨時議会において補正予算、そして同6月定例議会において契約変更議案を提出している。これも賃金及び物価の変動に伴い、愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業契約書の規定に基づいて、契約金額の変更を行ったものである。しかしその後も、建設工事費が上昇基調であったため、事業者の請求に基づいて対応するとしたものである。
なお、事業者は、契約書に基づき、年に1度、施設整備費の増額を請求することが可能となっている。
なし
《一般質問》
【委員】
愛知県雇用セーフティネット対策訓練、委託訓練について伺う。
愛知県雇用セーフティネット対策訓練、委託訓練は、愛知県が離職者や若年就職者などの再就職を支援するために実施している職業訓練で、民間の教育訓練機関に委託して行われ、知識や技術、技能を習得することで早期就職につなげることを目的としている。
令和6年度愛知県雇用対策協定に基づく事業計画の概要によると、この委託訓練における就職率の目標は75パーセント以上とされているが、現状の就職率について伺う。
【理事者】
雇用セーフティネット対策訓練は、国から示されている委託訓練実施要領に基づいて実施する訓練であり、本県では、名古屋高等技術専門校、岡崎高等技術専門校、東三河高等技術専門校の各高等技術専門校において公募した事業者に委託して実施している。
雇用セーフティネット対策訓練の就職率は、訓練修了3か月後における就職率としており、受託事業者である訓練実施機関が、訓練修了から3か月後に受講生の就職状況を確認したものを各高等技術専門校で取りまとめている。令和4年4月から6月までに訓練が修了した46コースでの訓練修了3か月後の就職率は、就職のため中退した人及び修了生473人中、388人が就職し、就職率は82パーセントとなっている(後刻訂正)。
なお、令和5年度の就職率は79.6パーセントである。
先日、その訓練の委託を受けている事業者に話を聞いたところ、受講生を集めることが大変であり、その要因は、周知不足にあるのではないかといっていた。今の答弁では、目標を上回る結果を出していることから、この離職者や若年就職者への再就職支援として有益な制度であると認識するが、それにもかかわらず、知らないがために活用されていない、選択肢になっていないのであれば、非常にもったいないと思う。
その上で、周知のために県としてどのような取組をしているか伺う。
【理事者】
先ほどの質問について、一点修正する。最後に、令和4年と言ったが、令和6年4月から6月までに訓練が修了した46コースでの訓練修了3か月後の就職率は、就職のため中退した人及び修了生473人中388人が就職し、就職率は82パーセントとなっている。
続いて、周知のための取組について、雇用セーフティネット対策訓練は、求職者を対象に実施するものであり、訓練の受講に当たっては、ハローワークを通じて申込みする必要がある。したがって、ハローワーク及び求職者に対して、必要な情報を届けることが重要である。そのため、受講生の募集に当たっては、ハローワークに対して受講生募集パンフレットを配布するほか、ハローワークが主催する雇用保険説明会や職業訓練セミナーに出席し説明を行うなど、ハローワークとの連携を密にしながら周知活動を実施している。
また、図書館などの市町村の公共施設をはじめ、県民が訪れる機会の多い場所へ、受講生募集パンフレットを配布するほか、県ウェブサイトやSNSを活用したPRも積極的に行うなど、広く周知を図っている。今後も訓練を必要とする求職者に対して必要な情報が届くよう、様々な機会を捉えた周知活動にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
この訓練先に関しては、名古屋市内が圧倒的に多い状況である。私の地元にも、訓練先の事業所があるがコースが限られている。受けたいコースがあっても、名古屋まで通わないといけないとなると、尻込みしてしまう人もいるかと思う。
東三河でいえば、地域によっては名古屋へ出るよりも、浜松方面へ出るほうが物理的に近い、アクセスしやすいこともある。例えば、静岡県が行っている浜松市内の委託訓練先に行きたいコースがあった場合、豊橋市からでも通うことができるのか伺う。
【理事者】
職業訓練の受講に当たっては、住まいの地域を管轄するハローワークから受講指示等を受ける必要がある。そのため、ハローワークが県外の訓練施設での受講指示等をした場合は、県外の訓練を受講することが可能である。
本県においては、受講生募集に当たっては、県内県外に関係なく、受講後に県内企業に就職した場合に、通勤が可能と考えられる地域を対象として募集活動している。例えば東三河高等技術専門校で行う募集においては、県内だけでなく、隣県の静岡県のうち、浜松市、磐田市、掛川市のハローワークに対しても募集パンフレットを送り、受講生募集の協力を依頼している。
【委員】
そういった物理的な話でいえば、オンラインで行えば、貴重な時間を通学で削られることもなくなるので、非常に有効だと考える。
令和4年2月定例議会の議案質疑の議事録において、労働局長から「例えば、本県に住んでいる人が他の都道府県が実施する遠隔地でのオンライン訓練を受講した場合、現地の民間教育訓練機関が実施する訓練期間中及び修了後のキャリアコンサルティングなどの就職支援が、行き届かないのではないかといった課題があると考えている、また、オンライン訓練の実施に当たっては、国が通所による訓練を20パーセント以上確保することを定めており、実技等があるので、そういった部分についても一定程度保証しなければいけないと考えている」という答弁をされている。
その上で、より弾力的な運営を可能とするよう、国に今後働きかけていく考えを示していたが、そうした考えを踏まえて、現状のオンライン訓練の運用について伺う。
【理事者】
国の実施要領では、オンライン訓練について、令和3年度の時点で通所による訓練の時間を総訓練設定時間の20パーセント以上確保することを原則とし、集合訓練、個別指導、面接指導等を実施することと定められていた。
本県では、令和4年度にオンラインによる訓練を行う場合の通所による訓練の時間数について、弾力的な運用が可能となるよう検討もらいたいと国に対して要望を行ったところ、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に開講する訓練コースについては、通所による訓練の時間が総訓練設定時間の20パーセントを下回る訓練コースの設定も可能とするとの改正が行われた。
そこで本県においては、通所による訓練時間が総訓練設定時間の20パーセントを下回ることも可としているが、設定時間は事業者からの提案としている。
なお、令和5年度以降に開講したオンライン訓練は、受託事業者からの提案に基づいて、いずれも20パーセントを上回って実施している。
【委員】
国に働きかけるなど、いろいろ対応していることを認識した。ただ、事業者からの提案はないということであるが、いろいろやっていかないといけないと感じている。もちろん国の制度などで難しいことは承知の上ではあるが、より弾力的な運用を可能とするため、例えば通所とオンラインを状況に応じて使い分ける受講ができるような、いわゆるハイブリッド形式のものがあると、受講生にとってより勝手がよくなると思う。
いずれにしても、委託訓練を受講するために選択肢を広げている点については評価して、その上で、より多くの方にこの制度を利用して再就職、スキルアップを目指してもらうために、幅広く周知していくことが必要であると考える。何ならそのための予算を取ってくるくらいの気概を持って、取り組んでもらいたい。
【委員】
私からは観光振興について伺う。
11月29日に観光庁から、宿泊旅行統計調査の2024年10月の第1次速報値が発表された。それによると、2024年10月の全国の宿泊施設における延べ宿泊数は、2019年同月比で20.1パーセント増の6,011万人泊であった。そして、19年同月比では17か月連続で増加している。内訳においては、日本人が19年比で12.6パーセント増の4,481万人泊、外国人が19年比49パーセント増の1,529万人泊で、単月として過去最高、初の1,500万人泊超えとなった。
そうした中で、客室の稼働率であるが、全体では66.1パーセント、19年比で2.5パーセント増であり、宿泊施設タイプ別の客室稼働率においては、旅館が40.9パーセント、リゾートホテルが61.0パーセント、ビジネスホテルが80.0パーセント、シティホテルが77.5パーセント、簡易宿所が34.1パーセントで、観光需要の増加が見受けられる状況である。
そうした中で、本県においては、10年前の2014年12月22日に、2015年をあいち観光元年とすると宣言して10年となる。これまでの自動車産業、航空宇宙産業、ロボット産業に加え、観光集客を愛知の新たな戦略産業として位置づけ、そのための方向づくりと具体的なプロジェクトに取り組んでいくとして、これまでに3次にわたり観光振興基本計画を策定し、観光振興に努めてきた。
そして、本年2月には、第4次観光振興基本計画を策定し、ジブリパークの全エリア開園後の本年度、2024年度から第20回アジア競技大会、第5回アジアパラ競技大会が開催される2026年度までの3か年を、本県の観光を大きく飛躍させる大変重要な期間として位置づけ、観光振興に資する施策、事業をまさに展開しているものと理解している。
そうした中で、今年10月に、2024年度版あいち観光戦略に基づく観光振興施策の実施状況(2023年度年次報告書)が公表された。この年次報告書を基にしながら、これまでの数値目標の達成状況とともに、本年度、新規事業として取り組んでいる事業の進捗等について質問する。
まず初めに、数値目標の達成状況について伺う。2021年度から2023年度の目標に対する達成状況についてであるが、この期間においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド需要は蒸発し、観光宿泊業は非常に厳しい状況であったと理解している。新型コロナ感染症が5類へと引き下げられた昨年度は、外国人の観光消費額や、日本人や外国人の観光入込客数等、目標値には至らなかったものの、観光消費額単価は、日本人も外国人も目標を超える結果となり、抑制されていた観光需要の反動といった一面もあったと思う。
一方で、愛知の観光の満足度、推奨意向の数値の低さが大変気になる。中でも推奨意向の数値では、県外在住者は、目標の50.0パーセントに対して25.7パーセント、県民は目標の25.0パーセントに対して17.4パーセントとなっており、特に県民の間で、人に紹介したい観光地としての愛知の魅力が弱いのではないかと受け取れるものである。
そこで、この県民の推奨意向の調査結果については、どのように分析、評価しているのか伺う。
【理事者】
県民の推奨意向の調査結果であるが、推奨意向の調査は、愛知県内を旅行した人が、今後、愛知の観光を友人などにお勧めする可能性を0から10、10点満点で回答するものである。そのうち、愛知県民で9から10点と回答した割合が17.4パーセントにとどまった。
これについて、確かに愛知県には、北海道や京都府などのように、誰もが知っているような有名な観光地は決して多くはないかもしれないが、歴史、産業、自然など、地域に根差した魅力的な観光スポットは多くあると認識している。今回の調査結果、県民による推奨度が目標値に達していないことは、県内の観光スポットの魅力が十分に県民の皆様に伝わっておらず、そのため友人などに推奨する意向が低くなっているのではないか、そういった可能性があると分析、評価している。
【委員】
観光は、その町、その地域の総合力といわれており、そこに住む人々が、そこにおける観光のすばらしさというものを自負することが、また一つ大変重要な発信につながっていく要素だと思っている。
そうした中で、今年度作成した、あいち観光戦略2024-2026の中で、訪日外国人旅行者が役に立った旅行情報源として、一番は日本在住の親族・知人で22.8パーセント、次いでSNSが21.9パーセント、その次に動画サイト等が21.4パーセントとなっている。
日本政府観光局のホームページ、あるいは航空会社のホームページ、宿泊施設のホームページが12パーセントから15パーセント程度になっており、知っている人、またこうしたSNSの情報の発信力、またそれを情報源としている人が非常に多いことを改めて感じるが、そうした中で、また、計画の中にも、県民による県内観光の促進が非常に重要であると記載されている。
そこで、どのように県民による推奨を進めていくのか伺う。
【理事者】
県民の人たちが友人などに愛知の観光を薦めてもらうためには、まずは県民の人たち自身が実際に愛知県内の観光地に出かけ、その魅力に触れ、その体験を発信してもらうことが重要と考えている。
そこで今年度、実際に県内の観光地に出かけもらう機会として、あいちウィーク期間中に、あいち魅力発見ガイドツアーと称して、主に県民の人たちを対象に、本県の歴史、産業、自然などを紹介するイベントを計30か所で実施した。
一例を紹介すると、東浦町では、家康の母、於大の方のふるさと緒川を巡る歴史ガイド、岡崎市では、江戸時代から続く八丁味噌蔵の見学ガイド、西尾市では、アートの島、佐久島の自然を感じる謎解きツアーなどを開催した。参加者からは、ふだんなかなか行かない地域に行くきっかけとなったとか、地元のことを知るきっかけになってよかったといった声が寄せられた。
また、主に県民の人たちを対象として、インスタグラムで、ジブリパークのある愛知ハッシュタグキャンペーンを開催している。これは、ジブリパークの来園者や、ジブリパークに関心の高い人に向けて、来園前後にお勧めする愛知の観光スポット、体験、グルメなどを撮影し、インスタグラムに投稿してもらうものであり、県民自身が、愛知の魅力の発信者となってもらうものである。
今後も県民の人たちが、愛知の魅力的な観光スポットに触れられる機会や、発信する機会を設定することなどにより、愛知の観光を薦めてもらえる機運を醸成したい。
【委員】
こうした県民の人たちから、愛知県のよさを発信してもらうために、愛知県が県として積極的に取り組んでいく部分もあるし、また一方で、観光を推進している自治体、観光協会をサポートするというやり方もあると思う。ぜひともそうした支援の在り方を積極的に考えながら、県民の人たちから発信できる、そういう環境、状況をぜひともつくってもらいたいので、よろしくお願いする。
続いて、今年度の新規事業の進捗状況等について伺う。
まず初めに、観光関連産業における生産性向上支援事業についてである。宿泊業は比較的多くの雇用を要する業界ではあるが、観光需要の繁閑差が大きくて、労働生産性も低く、業界全体としては人手不足の課題に直面している。こうした課題に対し、今年度の新規事業として、観光関連産業における生産性向上支援事業に取り組んでいるが、具体的にどのような取組をしているのか。
【理事者】
観光関連産業を代表する宿泊業では、時期によって需要の繁閑差が大きいなどにより、労働生産性を高めにくい産業構造になっている。また、コロナ禍が明けて以降は、ほかの産業と比べても、人手不足感が高くなっている。こうした課題への対策として、観光需要の平準化の促進と併せて、人手不足を補うような業務の効率化が重要と考えている。
そこで、今年度は、宿泊施設において、フロント業務や清掃業務など、オペレーション面での業務改善を通じて労働生産性の向上を図る取組を実施している。具体的には、愛知が誇るモノづくり産業の改善の手法に通じたコンサルタントを、県内3地域、名古屋市中区、蒲郡温泉、三谷温泉に派遣して、実際に宿泊施設において、現地、現物を確認しながら業務改善の提案を行っている。
これまで各地域、それぞれ10回程度の視察、打合せを行っており、より少ない時間、より少ない人数で業務を効率的に行えるよう、各施設と改善策を話し合った。
【委員】
この事業の効果、また成果をどのように見込んでいるのか。
【理事者】
これまで各施設の現場視察やヒアリングを通じて、例えば客室の清掃、消耗品の発注、在庫管理、あと勤務シフトの見直しなどの業務で改善策を提案している。例えば、客室清掃においては、一つ一つの作業工程を見える化し、作業時間を計測するような提案を行ったことで、担当者ごとに異なっていた作業手順や所要時間、客室の清掃度合の差が明らかとなった。このことを受けて、標準的な作業手順を動画マニュアルにまとめ、作業の効率化や仕上がりの均質化が図られることになった。
【委員】
私も今回の事業に携わっている事業者と話した。特に旅館業は、アナログチックなものが非常に大きくて、属人的にマンパワーに頼らざるを得ない今までの流れがあったようである。そうしたときに、今回の事業に関わらせてもらい、棚卸しから、業務をずっと見直していく中で、オペレーションが非常にスムーズにいくようになったと話を聞いた。
ただ、今回はあくまでも清掃業務に関わっただけであったので、旅館業務全般において、まだまだいろいろと改善していかなければならない、また生産性の向上に資する業務内容はまだまだあるという話であった。この事業が単年度で終わることで、大変心細いともいわれており、できる限りこの事業を継続してほしいという声を聴いた。
次年度以降、この事業をどのように考えているのか。
【理事者】
まずは今年度、改善に向けた取組状況について、10月に中間報告会を開催し、今週にも最終報告会の開催を予定している。この業務改善の内容は、他の宿泊事業者に共通するものも多いと考えられるので、年度末までに事例集としてまとめて、ウェブサイトを通じて幅広く周知したい。さらに、最終報告会では、出席者にアンケートを実施して、今回の事業に対する評価や、今後期待することを聞きたい。
これに加えて、業界団体にも今年度の結果を説明し、それらの声を踏まえて、次年度以降の事業について検討したい。
【委員】
今後、今回取り組んだ事業者の人々のものをまとめながら、また、それらを好事例として横展開できるような形になればと思っている。引き続き、この事業に取り組んでもらいたい思っているので、これも要望しお願いする。
続いて、ワーケーションの促進事業について伺う。国は、ワーケーションやブレジャー等の仕事と余暇を組み合わせた滞在型旅行を、働き方改革などとも合致した新たな旅のスタイルとして、その普及促進に努めている。本県においても、こうした取組を推進するものとし、本年度、新規事業として取り組んでいる、このワーケーション促進事業の進捗状況について伺う。
【理事者】
今年度、県では、宿泊施設を活用した福利厚生・合宿型と、地域課題解決型の2種類のワーケーションの促進に取り組んでいる。福利厚生・合宿型ワーケーションは、有給休暇を活用して観光地等でテレワークを行ったり、業務として観光地等で職場のメンバーと議論を交わしたりするものである。地域課題解決型ワーケーションは、企業が観光地等に一定期間滞在し、その地域の自治体や企業などの関係者と共に、地域課題の解決策を編み出すものである。
これらのワーケーション促進に向けて、三つの取組を行っている。一つ目は、視察イベントの開催で、企業や自治体、観光協会を対象として、蒲郡市内の旅館に整備されたワーケーション施設を実際に見て、その取組内容を学んでもらうもので、7月から9月にかけて開催し、県内の4自治体、県内外の21社が参加した。
二つ目として、モデル事業を行っている。まず福利厚生・合宿型のモデル事業として、9月から11月にかけて、企業の関係者に、同じ蒲郡市内のワーケーション施設を実際に体験利用してもらう取組を行い、こちらは県内外の5社が利用した。地域課題解決型ワーケーションのモデル事業についても、今月以降実施する予定である。
三つ目は、市町村のワーケーション促進プランの策定支援である。県内の宿泊施設を活用したワーケーションの受入れに関心を持っている三つの市町村を対象に、地域の宿泊施設や観光資源、あるいは地域が抱えている課題を洗い出して、当該地域でのワーケーション促進に向けた取組の方向性を示すプランを、年度末までに策定する予定である。
【委員】
これまでに福利厚生・合宿型のモデル事業として取組を実施し、今後、地域課題解決型のワーケーションへの取組、三つ目の事業として、こうしたものをまとめていくことを考えているとのことである。
これから取り組む地域課題解決型のワーケーションは、どのような内容となる予定か。
【理事者】
地域課題解決型ワーケーションは、企業が一定期間滞在し、地元の自治体や企業などの関係者との交流を通じて地域課題の解決を図るものである。今回の事業については、蒲郡市内の宿泊施設に整備されたワーケーション施設を会場として、県や市役所、市内の事業者が自ら抱える課題を発表し、それらの課題に対して、解決策を持っている企業、あるいはスタートアップとの交流を通じて、一緒になって地域課題の解決を図っていく取組を実施する予定である。
うまくマッチングが成立すると、地域課題の解決が図られるとともに、企業、スタートアップの進出につながることが期待される。
【委員】
このワーケーションは、まだまだ十分認知されて取組が広がっているわけではないため、こうしたモデル事業を踏まえて、課題等を明確にしながら、今後、進めてもらうようにお願いする。
これまで取り組んできて、成果や課題、そしてまた、今後取り組んでいく中で、このワーケーションの可能性をどのように感じているのか。
【理事者】
これまでの成果であるが、7月から9月の視察イベントに参加した21社、26人に、ワーケーションのイメージができたかを5点満点で尋ねたところ、約9割の人から4点以上の回答があり、また、ワーケーションを導入したい、導入を検討したいという回答も約8割あった。参加者から、ふだんの職場とは異なる観光地でのワーケーションについて、社員のリフレッシュや働き方改革につながるものとして、導入に前向きな意見も聴かれ、一定程度、ワーケーションの機運醸成が図られたものと考えている。
また、福利厚生・合宿型ワーケーションを体験利用した5社のうち2社から、今後のワーケーション施設の利用を検討中と聞いており、これも成果と考えている。
一方、県内各地でワーケーションが広まるには、企業がそこで働く理由、あるいは仕事、この地域に魅力があるか、テレワークに対応した宿泊施設があるかといったことが課題となっている。そこで、今後は、市町村と一緒になって、地域の現状や課題を踏まえて策定するワーケーション促進プランが実践されるように、県としても何らかの形で後押しできないか検討したい。
【委員】
これまでの事業取組、またこれから取り組んでもらう事業を併せながら、プランに向けた取組をしてもらえるとあるので、大変期待したいと思っている。先ほど冒頭の観光庁の宿泊旅行統計調査は10月の第1次速報であるが、同日に発表された、9月の第2次速報の中の宿泊施設タイプ別について話したいと思う。全体としては62パーセントの稼働率がある中で、愛知県は65.8パーセントで、全国平均以上の客室稼働率があった。
そうした中で、宿泊施設タイプ別として見たときに、愛知県の場合では、県内の旅館においては、26.6パーセントの稼働率があり、これは全国で45番目である。また、リゾートホテルでは45.9パーセントの稼働率で33位、ビジネスホテルでは74.6パーセントの稼働率で21位、シティホテルでは67.4パーセントの稼働率で31位である。旅館は特に厳しく、まだまだ稼働率が十分ではない状況がある。そうした中で、今回ワーケーションとして旅館、ホテルを使ってのモデル事業に取り組んでいるが、旅館の人々も非常に苦戦し、国や県の方向性を見ながら、このワーケーションというものを積極的に取り組もうとしている。
ぜひともこの事業の成果を次につなげていきたいし、また一方で、このたびSTATION Aiが開設し、新たなイノベーションが大きく進展することを期待するが、都会、町なかに開設されたこのSTATION Aiの企業が、海際の旅館で、温泉があり、また、くつろげるそうした空間の中で、新たなアイデアが生み出される、そういうワーケーションとしての施設の利用にも非常によいのではないかと思う。
豊田章一郎氏が昔、蒲郡市に釣りに来た。それは魚釣りをしに来たのではなくて、海に来ながらアイデアを、解決を求めるために釣りに来たという逸話がある。そうした自然の中にあることで、いろんな知恵やアイデアが浮かぶものだと思う。
この旅館を使ったワーケーションをより一層推進してもらうために、一つこのワーケーションの在り方として、サテライト型オフィスも形式としてあるので、ぜひともSTATION Aiもそうした施設として、取り扱ってもらえると大変ありがたいと思う。また関係者の人々も切望する思いである。
県がというわけにはいかないと思うが、ぜひともSTATION Aiとの連携の中で、海側の旅館を使った、また山側の山の中の旅館も含めて、旅館業に対してのワーケーションという在り方も積極的に考えてもらえるよう要望する。
【委員】
中小企業のサイバーセキュリティについて伺う。
中小企業の労働人口が大きく減少していく中で、競争力を高めるために、デジタル化やDXによって生産性の向上、省力化、省人化を進めている。それと同時に、昨今では大企業だけでなく、中小企業に対しても厳重な情報セキュリティ、サイバーセキュリティ対策が求められている。サイバー攻撃によって中小企業が被る被害額が非常に大きく、安定した企業経営する上で、そうしたセキュリティ対策は欠かせない時代となっている。
このサイバーセキュリティで対策する必要のあるサイバー攻撃は、不正アクセスや、DDoS攻撃、脆弱性を狙った攻撃など、様々なものがある。近年、企業のサーバーに侵入して、データを暗号化する、いわゆるランサムウェア攻撃も増加してきており、今年の6月にも大手出版社が大規模な攻撃を受けたとされている。
本年9月に警察庁が発表した令和6年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、によると、世界各地でサイバー攻撃が相次いで発生しており、我が国でも政府機関等におけるDDoS攻撃と見られる被害が発生しており、令和6年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は114件となっている。流出した情報はダークウェブ上のリークサイトに掲載されるなど、生成AIを悪用した事案も発生しているようである。
令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、によると、2023年、昨年はランサムウェアの被害が197件発生しており、うち中小企業は102件と半数以上であった。このランサムウェアの被害のうち、約半数が中小企業であり、企業規模を問わずにサイバー攻撃の被害が発生しているのが現状である。
しかしながら、中堅中小企業は、大手企業のように十分に情報セキュリティ、サイバーセキュリティ対策に取り組めているとは現状なかなかいえない状況で、その理由については、大体次の三つに集約されると思う。
まず予算を確保できない、資金が足らない。人材が足らない、手が回らないというようなことである。あと、ノウハウがなくて何をしたらいいのか、何をすべきかがよく分かっていないというこの三つに集約していると思う。
このセキュリティ対策は、企業活動の中で、直接価値を生んだり、利益を生んだりする取組ではないので、ほかのことを優先してしまいがちなのは理解できるが、ただ結果的に十分な対策を取らないままで放置すると、もしサイバー攻撃を受けたときに、その被害が拡大して、損失はもちろん、会社や企業の信用を失うことにもなりかねないし、今言ったように、金銭的にも大きな損失、被害を出すことにもつながる。
そこで、県内中堅・中小企業における情報セキュリティ、サイバーセキュリティ対策の現状と課題について伺うが、現状、県内の中小企業で、ランサムウェア攻撃を受けて被害を受けた企業はどの程度あるのか。被害件数、被害額及び詳細についても伺う。
【理事者】
愛知県警察によれば、警察庁のサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、において公表された、令和6年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数、114件のうち、県内企業・団体の被害報告件数は10件である。また、令和5年の197件に対しては15件となっている。なお、いずれも中小企業の内数については公表されていない。
また、被害額については、同じく警察庁のサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、において、復旧に要した費用として、被害企業・団体へのアンケート結果が公表されている。こちらも全国の数値となるが、令和5年のランサムウェアの被害報告件数197件に対し、118件の有効回答があり、1,000万円以上の費用を要したものが44件で37パーセントを占めている。
【委員】
県内企業でいうと、大企業か中小企業かよく分からないが、令和5年だと県内で15件の企業が被害に遭い、令和6年度の上半期については10件あり、被害額は分からない。復旧に要した費用は、1,000万円以上かかったのが大多数で37パーセントにも上っており、被害を受けると、復旧だけを考えてみても結構な金額、コストがかかってくると思う。
先ほども言ったとおり、中小企業、中堅企業も、サイバーセキュリティ対策を講じる必要があるが、大企業や官公庁に比べると、どうしてもその事業規模も小さいせいか、資金的にも人的にもなかなか余裕がないのが現実である。そこにコストをかけても、売上げや利益のアップに直接なかなかつながるものではないので、中小企業の経営者の人も、セキュリティ対策の必要性は分かりつつも、なかなか手が出せない、進んでいかないというのが現状だと思う。
ただ、昨今のサイバー攻撃では、中小企業も直接標的になってくることもあり、増えてきている。また、大企業のサプライチェーンに入っていると、その中小企業を踏み台にして、大企業を攻撃する事例も発生していると聞いている。その被害は自社のリスクだけではなく、取引先企業まで大きな影響を与えかねないわけであるので、セキュリティ対策を中小、中堅企業もしっかりと、今まで以上に取り組んでいく必要がある。
そのような中、本県では、県警察を中心にして、様々な対策を取っているのも承知している。経済産業局としても、情報セキュリティ対策支援事業として、情報セキュリティ診断事業を行っているので、その利用実績がどのようになっているのか、併せてそこから見えてきた現状、また課題など、どのようなものがあるか伺う。
【理事者】
経済産業局では、デジタル化、DXを促進する事業において、昨年度から新たにサイバーセキュリティ対策のメニューを追加して実施している。具体的には、中小企業に対して、最新の攻撃事例を踏まえた啓発セミナーの開催、デジタル化相談窓口において、相談等に応じるほか、昨年度は、情報セキュリティ診断事業として、書面を中心としたセキュリティ対策の現状把握と改善対策についてのアドバイスを行い、県内中小企業88社が利用した。
その診断結果で見えてきた現状と課題は、約4割の企業において、情報セキュリティ対策が十分に実施できていなかったという結果から、さらなる啓発が必要であること、また、技術的な対策として、情報セキュリティ対策ツールを導入していても、最新のバージョンにアップデートしていない、保有する情報資産や情報端末を十分に把握できていないといった課題が明らかになった。
さらに、調査の中で、サイバー攻撃訓練を実施したいと考えていても自社のみでは実施が難しいという課題を挙げる企業もあった。このため今年度は、サイバー攻撃を実際に受けた状況を想定した、より実践的な机上演習形式でセミナーを実施することで啓発効果を高める工夫をした。本セミナーは県内2か所で実施し、計76人が参加した。
また、技術的な課題への対策としては、今年度は、希望する企業10社に対して、実際にそれぞれの企業のサーバーへ疑似攻撃を実施する脆弱性診断を実施し、診断結果に基づくセキュリティ対策について各社の伴走支援を行っている。
【委員】
昨年度の実績として情報セキュリティ診断事業を県内中小企業88社が利用し、より実践的な机上演習形式でのセミナーだと76人が参加していた。県内の中小企業の数を考えるとまだまだ少ない気がする。
何度もいうが、こうした対策にコストをかけてもセキュリティ対策はなかなか利益につながらない、価値を生み出すものでもないので、そこに投資、コストをかけていくまで至らないのが現状であるように思うが、昨今、地震災害や大雨災害の災害発生時にBCPなどをつくって、対策を考える取組も進んでいると思うが、こうしたサイバーセキュリティにも、今そこにある危機と認識したほうがよいようなリスクだと思うので、企業経営上の危機管理、リスク管理の一つとして経営者の人々にもぜひ取り組んでもらいたい。
その中で必要性は分かりつつも二の足を踏んでしまうところがまだまだあると思うので、本県として、そうした意識醸成に向けた必要性や啓発活動、支援事業の拡充をぜひ検討して、本県としての対策、また取組を進めていくことを要望する。
【委員】
愛知県の周遊観光、ジブリパーク周辺周遊観光について伺う。
愛知県では、ジブリパークのある愛知と題して、ディスティネーションブランドとして本県の魅力を発信することで、国内外から誘客を図る取組を進めている。ジブリパークをきっかけとした本県への誘客や周遊観光促進のために、今も人気声優さんによる音声ガイドつきデジタルスタンプラリーなどを実施しているが、これは第2弾で、12月1日から来年2月28日までである。この後、3月から、愛・地球博20祭が始まり、3月25日~9月25日までの185日間開催される。またその後、国際芸術祭が来年9月の13日~11月30日まで開催される予定でいる。
イベント続きの愛知県だが、残念なことに、これがどれも分断されて期間が重なっていないために、周遊といったときに、こっちもあっちも行きたいということができない状況になっている。
ジブリパーク来園者の県内周遊を促すためには、そこに行きたくなるような仕掛けが必要と思うが、今はどんな仕掛けを行っているのか。
【理事者】
ジブリパーク来園者の県内各地への周遊を促すためには、まずは県内各地の観光スポットなどの魅力をしっかりとPRすることが重要だと考えている。そこで、県では、例えば、スタジオジブリ制作の観光動画の放映、周遊モデルコースを掲載したパンフレットの作成、配布、ジブリパークのチケット購入者に対して、旬の観光情報を来園の前の月に2回メールマガジンで配信するなどの取組を行っている。
また、今年度、ジブリファン層向けに、県内周遊を促す新たな仕掛けとして、スタジオジブリ作品に出演する人気声優による音声ガイド付きスタンプラリーを、第1弾は、佐久島、犬山、有松、第2弾は、半田、常滑、伊良湖、県内合計6地区で開催している。スタンプ数に応じて県内宿泊施設の宿泊券が抽せんにより当たる取組となっており、こうした取組などを通じて周遊観光を促しているところである。
【委員】
ジブリパークなどの施設や、愛・地球博20祭、あいち国際芸術祭2025など、イベントを通じて、効果的に各地域を結びつけたり、施設同士を結びつけたりすることで、県内周遊観光のさらなる促進を図るべきと思うが、観光コンベンション局としては、今後、愛知県の施設やイベントをどうやってつないで、周遊観光に取り組んでいこうと考えているのか。
【理事者】
周遊観光の促進には、ついでにそこに行ってみたいと思わせる動機づけが有効と考えている。そのためにも、イベントやスポットのPRに加えて、それぞれのイベントやスポットを連携させるような仕掛けも効果的であると認識している。例えば、ジブリが好きな人は、アートとも親和性が高いと考えられるので、ジブリファン向けに、アートをテーマとして国際芸術祭の会場にもなる陶磁美術館、あるいは瀬戸の街並みなどを巡ってもらうような取組を今後検討したいと考えている。さらに、県内の観光施設などを巡るスタンプラリーに、愛・地球博20祭の会場であるモリコロパークや、国際芸術祭の会場も新たに加えるなど、イベントやスポットを効果的に生かして、県内周遊を促進する取組も考えていきたい。
また、今年度、県・市町村等で構成する愛知・名古屋観光誘客協議会の事業の中に、あいち国際女性映画祭と観光スポットを組み込んだ旅行商品を、「旅ろっ!愛知」というブランド名で造成している。今後も国際芸術祭など、イベントを活用した周遊旅行商品の造成等も検討したいと考えている。ほかにも、イベントや施設を所管する局など、関係者と連携を密にして、県内周遊観光のさらなる促進に向けて取り組みたいと考えている。
【委員】
答弁の中でも、アートでつないでと話があったが、これから独立行政法人化を考えている愛知県美術館や陶磁美術館についても、国際映画祭の期間中には、どちらの会場にも足を運んでもらえるような工夫が必要だし、またその機会を利用して、周遊してもらうきっかけにもなると思うが、この両館の来場者が、年間どのぐらいあるのか、また、その人たちの周遊の工夫がどのようにされているのか教えてほしい。
【理事者】
愛知県美術館の直近の2023年度の入館者数は約33万人、愛知県陶磁美術館は現在改修工事で休館しているが、直近の2022年度の入館者数は約7万7,000人と県民文化局から聞いている。
また、国際芸術祭の会場と、その他の県内観光スポットなどとの周遊の工夫については、県内の観光施設などを巡るスタンプラリーに、こういった陶磁美術館などを入れる、あるいはジブリファン向けにアートをテーマとして国際芸術祭の会場などを巡ってもらうような取組などを検討したい。
【委員】
観光する人たちに対し、観光に選んでもらえるような材料を愛知県は提供しないといけないと思う。陶磁美術館はジブリパークの近くにある、愛知県美術館は栄の近くにある、また、そこから先に行けば、鶴舞のSTATION Aiがある。県の施設で様々に点在しているところをつないで、愛知県を楽しんでもらう工夫も必要かと思う。そういった県の施設、またイベントが常に楽しめるような、そんなコンテンツをぜひ考えてもらいたい。
ジブリパークに県外から来るには、名古屋駅を経由してとか、セントレアを経由してとか様々であり、海外からの人もいると思う。そこからいろんなところに行ってもらうための呼び込める材料、楽しめる材料を、しっかり周遊するという感覚の中で考えてもらいたい。ぽつんぽつんと点在するところに、飛び石のように行くのではなく、つながって一周できることをぜひ考えてもらいたい。愛知の魅力については幾つかあると思うので、外の人が愛知県の魅力をどう考えているかを分析した上で、周遊をぜひ考えてもらいたい。
次は、現在の水素ステーションの利用状況と、今後の水素ステーションの整備の方向性について伺う。
まず、現在、水素ステーションが33か所あると思うが、この水素ステーションに来る車の1日当たりの平均利用台数はどれぐらいか。
【理事者】
1日当たりの平均利用台数は、今年度の第2四半期時点で、1日当たり5.5台程度である。
【委員】
1日当たり5.5台とは継続が心配になってしまうが、ステーションを維持するにはどれぐらいの維持費がかかるのか、また、1日何台利用すれば採算が取れるのか。
【理事者】
ステーションの規模や供給方式が多様であるので、いろいろ聞くところによると、運営費として平均約1億円程度と聞いている。
それから、1日利用台数の採算ラインは、水素ステーションの業界団体が当初の想定、2018年度に試算していた数字があり、それを基に計算したところ、MIRAIなどの乗用車とした場合、黒字には1日に80台程度の利用が必要となっており、現状、水素だけを販売しているステーション事業者は赤字という厳しい経営状況になっている。
【委員】
結構な維持費がかかるのと、利用台数を1日80台にするには、とても追いつかないような数字だと痛切に感じる。
燃料電池自動車(FCV)は航続距離が長いので、1か月の燃料充塡回数も少なくて済むが、購入補助や設置補助をしていても、水素自動車自体の保有台数がなかなか増えてこない状況の中でステーションを増やすには、現状では限界があると思う。ステーションが近くになければ利便性が悪いので、なかなか高額なFCV、MIRAIでも800万円近くかかるわけで、その購入を促進することにはつながっていかないと思う。
また、今タクシーやバス、トラックなど、ドライバー不足といわれている中で、今あるステーションは、乗用車の充塡スポットだと思うが、大型のトラックなどの水素燃料の需要が、今後、見込まれるのではないかと想定されるが、これについてはどのように考えているのか。現在は乗用車対応のステーションがほとんどだが、今後トラックなどのステーションの設置予定はどのようになっているのか。
【理事者】
トラックには小型と大型があり、小型トラックなら、今でも県内の半分ほどのステーションで充塡することは可能である。ただし、充塡に時間がかかり、FCVトラックの水素のタンク量が、小型トラックであれば乗用車の2倍、大型トラックであれば乗用車の10倍となっている。現状の水素ステーションのスペックのままでは、なかなか円滑に充塡できないため、新たに商用FCV対応の水素ステーションを整備していくか、もしくは既存のステーションを能力アップしていく、増強、改修していくことが必要である。
そこで、県では、ステーションの運営事業者や運輸事業者、荷主などと共に、国の支援策や燃料電池トラックの需要の見込みなどを注視しながら、今後の商用FCV対応の水素ステーションの整備計画を検討している。
【委員】
今年度FCトラックの購入補助が新設されたと思うが、利用状況の実績があったら教えてほしい。
【理事者】
FCトラックの導入補助は今年度から開始されたが、こちらは環境局の事業であり、今年度は申込みがないという状況を聞いている。
【委員】
環境局で購入補助はされているとのことだが、FCトラック用の水素ステーションの設置整備補助はどうか。先ほどの答弁で新設か既存のものを改修するかとのことであったが、それについては補助の対象になるのか。
【理事者】
県の補助制度は、国の補助に追加補助することになっており、現状、国は小型トラック対応の新規整備について、現在の補助メニューで支援を得ることができる。ただし、大型トラック対応の新規整備や、既存の水素ステーションを能力アップして改修、こういったものは現状の補助メニューにない。
そこで、県としては、事業者の意向を踏まえて、国に補助メニューの追加を働きかけており、引き続きステーションの整備、健全な運営に向けた支援を行っていきたい。
【委員】
現状の補助制度では、大型トラックに充塡するスポットとしては難しいと理解した。FCVの購入を考えるときに、充塡スポットがどこにあるかが重要な鍵となってくる。これまでのガソリンスタンドの感覚で、どこに行ってもすぐに見つかることにはならないが、利便性の向上と、コストやタイムパフォーマンスのよいものにすることがステーションの設置拡大には不可欠と思うので、設置場所も含めて、現状の補助制度拡充をこれからも進めていってもらいたい。
最後に、労働局の関係で伺う。中小企業で働く男性が育休を取得した企業に対して、中小企業男性育児休業取得促進事業として、県は奨励金を出している。
また、先日、決算特別委員会で昨年度のこの制度を利用した企業へのアンケートの内容等を伺ったが、取得した企業と、取得した男性従業員の人からのみのアンケート結果だったので、その配偶者やパートナーからの声を、ぜひアンケートに反映してもらうことが必要と強く思った。
そこで伺う。男女平等とよくいわれるが、男性従業員であっても、女性従業員であっても、分け隔てなく平等に扱うのであれば、どの従業員の家族でも全ての従業員の一部として考えて、少子化を改善しようということであれば、女性にしかできない出産を除いては、育児も労働も平等にしないと、本当の意味での平等にならないと思う。
これは、女性の立場から、出産した女性の視点から言うが、女性は出産したら24時間365日、育児しても、仕事しても、家事しても当たり前となっている。ところが、男性は育休を休みと勘違いしている人が少なからずいるように思う。男性従業員が育児休業を取得しやすい職場環境づくりを支援するために、奨励金を支給しているが、休業取得するのが目的ではなくて、その先の育児が、その男性の従業員の責務であることをしっかりと認識してもらうことも重要ではないかと思う。
実例を言うと、これは中小企業ではないが、ある男性の行政の職員が2か月間の育休を取った。その人は2人目の子で、2か月間育休を取ったので、いかがでしたかと尋ねたところ、こんな回答が返ってきた。全然休めませんでしたと。その職員は、職場で育休を取ったら、休めると思っていたのではないかと読み取れる言葉だったので、多分おおよその男性従業員の人も、育児休業を取得すれば、家で休めると若干想像しているのではないか。
育児は休む暇もなく働くことで成り立っていることをぜひ理解してほしい。職場の仕事は休めるが、育児は代わりがいなければ休めない。でもそれは、女性従業員であっても男性従業員であっても当然やらなければいけないことなので、その辺の感覚をぜひ企業の風土として培っていってもらいたい。従業員の男性が、家庭の中で子供を育てるために休業して、出産した配偶者が休む時間が取れるようにする、もしくは一緒に育児をするための育休であってほしいと考える。
そこで、労働者と事業者の相互理解を促進し、子育て中の労働者が男女問わず仕事と育児を両立しながら働き続けるためには、企業において育児休業等の両立支援制度を整備するとともに、女性だけでなく、男性も主体的に育児を行えるよう、職場風土を醸成することが必要と考える。そこで企業に対して、男女が共に仕事と育児を両立しやすい職場環境づくりを促すために、県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
子育て期にある労働者が安心して働き続けられるようにするには、企業の経営者が育児休業制度等の内容や、両立支援の必要性について正しく理解した上で、環境整備を進めることが重要である。
特に男性については、職場の雰囲気や仕事の忙しさなどを理由に、育児休業の取得が進まない状況にあるため、休業を取得しやすい職場づくりに向けて、企業の取組を支援する必要がある。
育児・介護休業法では、育児休業の対象となる従業員に対し、育休制度等を個別に周知し、利用の意向を確認することなどが企業に義務づけられている。このため、県では経営者等に対し、育児・介護休業法の解説や、企業が取り組む意義、ポイントなどについてのセミナーを開催し、理解を深めてもらうとともに、企業に専門家を派遣し、職場の理解促進や業務の属人化の解消を図る方法、男性従業員に対して育休の取得目的を明示する必要性や方法など、個々の企業の実情に応じた助言を行っている。
このほか、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む企業を、愛知県ファミリー・フレンドリー企業として登録しており、特に優れた取組を行っている企業を知事が表彰している。表彰企業の中には、面談や研修等の機会を通して、男性従業員に育児参画の意義や目的、社内支援制度を伝え、育児休業の取得を促すなど、仕事と育児の両立支援に向けた取組を積極的に進めている企業もある。
こうした企業の取組を専用サイトで紹介するなど、広く発信することにより、働きやすい職場づくりを企業に働きかけている。引き続き、誰もが安心して仕事と育児を両立しながら働くことのできる職場環境づくりを促進していく。
【委員】
それでは、今後、育休取得で奨励金を支給した企業、また、その育休を取得した男性従業員のアンケートに、育休中の従業員の配偶者からの感想も入れてもらいたい。その配偶者やパートナーからのフィードバックについて、どのように考えているのか。
【理事者】
中小企業男性育児休業取得促進奨励金は、男性が積極的に育児を行い、仕事と育児を両立できるよう、中小企業の職場環境づくりを支援し、男性の育児休業取得を促進することを目的としており、従業員の配偶者に対して、夫の育休取得に対する意見や希望を聴取することは想定していなかった。
しかしながら、委員がいうように、男性育児休業取得促進については、産休を取得した従業員の配偶者からの声も参考になると思うので、本奨励金のアンケートを活用するなど、どのような形で配偶者の人から声をもらうことが可能か検討していきたい。
【委員】
育児休業とは、育児するために休むことなので、男性従業員であっても、育児は子供の両親のどちらか一方だけが負担するものではなくて、両親とも平等に責務を果たしてもらうことが重要かと思う。子育てを手伝うとか、参加するとか、多分アンケートの中にあったと思うが、その言葉自体にそもそも違和感がある。子供は育てるのが当たり前、親が育てるという行為を、奥さんの育児を手伝う感覚ではなくて、男性が育児を率先してやる、それも主体的にやることもありだと思う。
だから、そもそもの考え方を変えてもらわないと、なかなか少子化は止まらないし、女性が出産して、育児して、そして働き続けることが実現しないので、育児は男性もするものだという感覚を従業員の人に持ってもらえるような職場風土改革をお願いして質問を終わる。
【委員】
今年5月に設立された、愛知「発酵食文化」振興協議会について伺う。
まず、半年たったところで、ここまでどのように進めたのか。
【理事者】
今年度は事業の初年度であるので、まずは愛知の発酵食文化を多くの人に知ってもらうため、協議会の特設ウェブサイトを制作して、10月から、日本語、英語の2言語で情報発信している。ウェブサイトでは、愛知の発酵食についての情報だけでなく、県内地域での見学受入れや、食事やお土産が買える施設などの紹介を行っており、今後掲載内容をさらに充実していきたい。
そのほかの主な事業としては、同じく10月に構成員の機運醸成のためのシンポジウムや、食品業界向けの商談展示会へのブース出展を実施して、協議会の取組や愛知県の豊富な発酵食文化について、広くPRを行った。また、次年度以降、3か年の事業の方向性を定めるため、必要な調査を行っている。
【委員】
ウェブサイトや見学、お土産、肝腎なのは恐らく構成員の人々の機運醸成かと思うが、そもそもこの発酵食文化を、観光コンベンション局の国際観光コンベンション課が所管している理由を教えてほしい。
【理事者】
今、外国からのインバウンドが戻ってきているが、まだまだこの地域に多くのインバウンドを呼び込む必要がある。インバウンドを呼び込む際に食というものが非常に大きな要素を持つ。
そのため、この5月に愛知「発酵食文化」振興協議会を立ち上げた。国内外に愛知の発酵食文化の魅力を発信して、海外から多くのインバウンドを呼び込むことが最終的な目的となっているので、私ども国際観光コンベンション課で所管している。
【委員】
要するに外国の人をとにかく呼んできましょうということで取り組んでおり、今の話にあったように、食になると日本食が今は世界中で大変評判で、タイムリーな内容だと思う。
先頃、日本酒の関係で、酒造り文化がユネスコの無形文化遺産に登録されたが、この協議会との関連は何かあるのか。
【理事者】
ここ愛知は、日本酒の販売量が全国6位、また現在40を超える酒蔵がある酒どころである。愛知「発酵食文化」振興協議会にも、愛知県酒造組合が参加しており、一緒に愛知の発酵食文化を盛り上げてもらっている。今回、伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、いかにこの地域の魅力発信と誘客に生かしていくか、業界関係者や酒蔵のある地域の皆様とも検討し、今後の取組につなげていきたい。
協議会設立初年度の今年、ユネスコ登録がされたことは、本協議会がこれから活動していく上でも、大きな弾みになると思っている。しっかりPR、プロモーションを行い、認知度向上に一層努めたい。
【委員】
伝統的酒造りのユネスコ無形文化遺産登録が、愛知県内幅広にいろいろ連携ができると理解したが、そういう内容でいくと、例えば、山車文化についても、観光コンベンション局と関係あるのか。
【理事者】
山車文化に関しては、県民文化局の文化財室の所管だと認識している。
【委員】
愛知県の中のいろいろな伝統文化、あるいは様々な地元でやっているようなお祭り的なこと、そういう内容がいわゆる外国人からすると、興味が湧くような内容だと思ったので、結局そういったところを全部結びつけて、県でネットワーク化していくといいものができると思い質問した。
最初に委員が質問した観光振興課担当課長の答弁の中で、有名な観光地は残念ながらないというような話があった。それはもう以前の話で、今の食文化も含め、今は愛知県にも呼び込むべきコンテンツというか、材料は相当あると思う。愛知「発酵食文化」振興協議会は観光のプラットフォームだろうと思っていたが、先ほど委員も言った、あいち観光戦略に基づく観光振興施策の実施状況の中にある、あいち観光プラットフォーム推進事業については、そういったイメージとは違うように聞き取れたが、その確認をしたい。この観光プラットフォーム推進事業とはどういう内容か。
【理事者】
あいち観光プラットフォームは、県と県内の市町村、愛知県観光協会で構成する愛知・名古屋観光誘客協議会と、交通事業者、旅行会社、その他観光関係事業者で構成する全体ネットワークである。例えば、そのプラットフォームの中心となる愛知・名古屋観光誘客協議会では、主に地域資源の観光プログラム化や、あるいは県外に向けたPR、プロモーションを行っている。
この地域資源の観光プログラム化については、先ほどの発酵食もそうであるが、各地域の食文化などの地域資源を、地元の地域の人々の意向を踏まえながら、県として助言・提案を行いながら、旅行商品化して、それを情報発信する、販売支援を行う、といった取組をこの協議会等を中心に行っている。
【委員】
協議会で助言・提案に取り組み、その取りまとめを県のほうで行うと理解をしたが、私がこの資料を読んで、どちらかというと、旅行業者などを取りまとめるように思っていたが、そうではないと今理解したので、そういう方向でぜひ活動してもらいたい。
先ほどの話、有名な観光地がないという話だったが、特に今はジブリパークで、相当数の客を引っ張っていると思う。私が確認した内容では、ジブリパークの開園前の2021年11月から2022年の10月までの来園者、いわゆる愛・地球博公園のモリコロパークへの来場者が117万人であり、ジブリパークが開園して1年たった後の人数が261万人だったので、144万人増えている。
そして、さらに開園から2年目、これは全て開園したことも含んでいるが、2023年の11月から2024年の10月まで、これが何と283万人で、ジブリパーク開園の1年目から、2回目のカウントで22万人増えている。開園前から今現在、正確にいうと、2024年の10月までの間で166万人増えている。もちろんほかのイベントもやっているが、例えば新たな野球の大会をやったとかはあまりないと思うし、あっても若干のことだと思うので、推計であるがジブリパークに来たのが、ほぼ実数で166万人となる。
しかも来園者の中身でいうと、今はいわゆるスマートフォンのアプリで、どこの国から来たとか、性別や、また、年代もある程度分かるので、そういった内容からすると、細かいことはさておき、ジブリパークの開園から1年目で、その開園前の状態と比べると、愛知県の来場者が87パーセントだったのが、開園後は67パーセントで、逆にいうと、県外から相当増えている。さらには海外からも相当来ている。当時の話でいうと、アジアの人はこれまでも来ていたが、欧米の人が相当増えたというデータになっている。
このアプリのデータはお金がかかるらしく、直近の推計は出してないが、いずれにしてもこういう人々が愛知県に来られて、いわゆる周遊してもらえることになると、先ほどの食文化も含めて、いろいろ回ることも可能として十分あると思う。
ただ、ジブリパークができる前は連泊しないとこの会場は見られないと思っていたが、実は、チケットが全部取れてしまえば、上手に回れば1日で回れてしまうので、リピーターに頼るほうが恐らくほかのところへ行くことになるんだろうと思っている。
そういったことを想定した場合に、どうやってほかのところへ誘引するかを、いろんな資料、案内を渡すとかあったが、もっとよいやり方はいろいろあると思う。結局のところ、何もないのではなくて、もう既にジブリパークがある。それから来年できるIGアリーナへも相当海外から来ると思う。STATION Aiも予定では外国から結構な人たちが来ると思う。こういう常設会場、常設というのは県がある程度コントロールできるところに客が来る状態がもうできているので、ここをしっかりと、どうやってそこに来る人たちを引っ張るかをやってもらいたい。
ジブリパークの話でいうと、ジブリパーク株式会社が、いわゆる発券、チケットの販売の仕方を、平日を海外向け、土日は国内というふうに平準化している。そういったターゲットに向けて、ほかのところへの周遊が可能である。
IGアリーナやSTATION Aiがそこまでできるか分からないが、愛知県が管理する施設の運営なので、やりようがあるのではないか。だから、観光コンベンション局としては、できればスポーツ局とか、経済産業局と連携し、内容をしっかり把握して、その前提でどういった手を打つと広げられるだろうと検討してもらいたいがどうか。
【理事者】
観光コンベンション局だけで考えるのでなくて、庁内の関係局、あるいは庁外、市町村等と、いろんな関係者としっかり連携し、より効果的な周遊促進、そういったところに取り組んでいければと思っている。
【委員】
県内の人にしても、逆輸入というか、海外の人が行くのなら私も行ってみようという日本人のそういう行動はあると思う。そういったことも加味してもらえればと思う。
さらには、Aichi Sky Expo、国際展示場の運営もコロナ禍が明けて随分いろんなイベントができている。前回も言ったが、ロボット関係の展示会はびっくりするくらいの人が入っていたので、そういったことをしっかりとやることが、国際展示場関連の周遊にもつながるんじゃないかと思う。
改めてAichi Sky Expoの活用について考えていることがあれば教えてほしい。
国際展示場については、コロナ禍の影響があり、昨年度の5月までは、なかなかフルスペックでの開催ができない状況が続いていた。しかし、今年に入り、コロナ禍も明けて、ようやく新しい産業展示会である、AXIA EXPOという次世代エネルギーをはじめとしたスマートシティをテーマとした展示会を6月に開催した。また、国際的な大会で、自動車産業の振興に資するような学生たちを招いて行う学生フォーミュラという大会を9月に開催した。国際的な催事についても開催できるようになってきた。
今後は、産業展示会であったり、国際的な催事、また音楽イベントであったり、そういった各種、人が集まることができる展示会や催事の誘致、営業を進めていきたい。
【委員】
期待しているのでしっかりお願いしたい。改めて、県がコントロールできるイベント会場、イベントも含めて、ジブリパーク、IGアリーナ、STATION Ai、それからAichi Sky Expoと、この四つがある。いわゆる常設であるから、年間のスケジュールもある程度把握しながら、2026年のアジア・アジアパラ競技大会、それから、今回の議会で答弁があった、第60回のアジア開発銀行年次総会も手を挙げるので、単発の大きなイベントも努力して引っ張ってもらう。そういったものの組み合わせで、切れ目のない観光をいろいろやってもらいたい。それによって、先ほどの発酵食文化の協議会や、県内にある蔵元、また自治体との連携も深まっていく。
これは経済産業局に頑張ってもらいたいが、愛知県も観光スポットが増えているが距離があるので、何とかうまく早く運ぶことをやってもらいたい。
先般、北米の調査に行き、シリコンバレーでASKAという空飛ぶクルマを開発中の企業、スタートアップに行ってきた。ほかのいわゆる空飛ぶクルマはEV、電気、モーターでやるが、そこはハイブリッドだと。だから距離も出せるという説明を受け、例えば品川から金沢までの450キロを飛べる。例えば、愛知県であれば、名古屋城を観光した後にジブリパークに行くと、そうすると空飛ぶクルマだったら15分ぐらいで行けるのでやってみてはどうかという話も実はさせてもらった。そんな夢みたいなことも含めて、ぜひ頑張ってもらいたい。
それからもう一つ、昨日、経済産業局で実証実験している自動運転、STATION Aiから名駅までの車に乗ったが、サンフランシスコでは自動運転タクシーが完全に実用化で走っている。そういった移動手段も含めた形で観光をやればいいし、あるいはほかの県に先んじて自動運転走行を優先してやる、要するにそれも観光資源にしてしまう。そのようなこともいろいろな形で考えながら、愛知県の発展に努めてもらえるように要望して質問を終わる。
【委員】
ふるさと納税について伺う。ふるさと納税というと、総務局ではないか、総務局の中でも、財政課であったり市町村課だったり、もっといえば、返礼品のことを含めると農業水産局なのかもしれないが、少子化対策のように、全庁横断的に考えていかなければ、愛知県から流出する分は防げないという意味で、あえて経済産業局に質問する。
昨年度、4年連続でふるさと納税額が過去最高額にたっした。1兆1,175億円、初めて1兆円を超えた。住民税を納税している6,000万人の中で、6人に1人はふるさと納税をしているような状況である。
例えば能登半島の震災で54億円ぐらいふるさと納税があり、前年度に比べて41億アップしたのは非常に美しい話であるが、基礎自治体や47都道府県に関しては、流出するほうが多い県もある。本来、住民税や所得税は、地域のために使うもので、それが流出してしまっている。どう確保していくのかを考えなければいけない中で、愛知の市町村を全額トータルで見ると、入ってきたのが329億8,300万円、流出額が547億6,400万円で赤字である。
基礎自治体で見ると、よく新聞やテレビで出ているが、横浜市が304億円流出している。名古屋市は176億円流出しているが、入ってくる分もあるので、名古屋市は59億円ほど最終的にはマイナスになっている。愛知県は、入ってくる分が3億7,000万円、出ていくものが175億円ぐらいあり、トータルすると171億円が毎年出ていってしまっている。たしか9月議会の補正予算額が170億円だったので、それだけのお金が丸々出てしまっている現状がある。
また、制度の不備とは言わないが、制度がおかしいなと思うのは、変な話だが、2,000円払うと、所得税と住民税、市県民税の控除があるが、市県民税の中には、当然だが、基本分と特例分があり、市民税が6割、県民税が4割で、市町村へ寄附をすると、市町村から6割抜けるが、あわせて県からも4割が同時に抜けていってしまう。
でも市町村の場合は、頑張ってふるさと納税の額を増やせば、ある程度差引きとしてはマイナスになる。県もふるさと納税をやればいいという議論もあるのかもしれないが、県がもしふるさと納税をすると、市町村と業者がかぶってしまい、市町村のふるさと納税を県が邪魔しているような形になってしまうので、県はある意味ひたすら取られていかなければならない。
市町村が、何とかプラスマイナス収支ができるように、経済産業局の力を借りながらお願いしたいなという意味も含めて、本県の税収増に向けて、県内各地域で商工業者支援を所管する経済産業局の所見を伺いたい。
【理事者】
近年、ふるさと納税に対する認知度の向上により、その利用者は1,000万人を超え、またその利用目的では、魅力的な返礼品が高い割合を占めている。地域の商工業者側の視点では、地元の市町村において、自社の商品をふるさと納税の返礼品として登録することは、新たな販路開拓や売上げの増加につながる可能性がある。そのために、制度の利用者が魅力的だと感じる新商品、新サービスを事業者が開発しようとする意欲が向上する効果もあると想定される。
現在、本県では、関係団体と連携して商工業者を支援しているが、その中でも各商工会・商工会議所が大きな役割を担っており、地域の事業者に対して、税務や金融、労務などの経営指導に加え、新商品開発や販路開拓を含めた経営支援を実施している。
ふるさと納税の返礼品への登録についても、事業者の事業拡大につながる手段の一つとして、各商工会・商工会議所が事業者へ行う経営支援に含まれており、特に経営基盤の弱い小規模事業者に対して、商品開発や販路開拓を支援することは重要であると認識している。
【委員】
ふるさと納税の納税者のモチベーションは魅力的な返礼品にフォーカスされており、各市町村がふるさと納税の税収額を増やすには、返礼品の充実を行っていかないと駄目だという中で、返礼品は事業者が各市町村に登録する必要があり、市町村を含めた積極的な商品開発を行っていかなければ、税収流出を防げないところがある。
愛知県の市町村でどこがトップかというと、名古屋市を除くと、例えば、碧南市だと24億円、西尾市だと22億円、幸田町だと28億円などがプラスになっている。その中で、ふるさと納税の収入額の大きい幸田町、碧南市等において、商工会・商工会議所と事業者とを連携して活動するなど、税収増に向けた取組として、具体的に県としてどのようなことをやっているか、もしくはどのような情報を把握しているか伺う。
【理事者】
ふるさと納税の収入額は、自治体による取組方法と、魅力的な返礼品の有無によって左右されるのではないかと推察している。商工会・商工会議所では、返礼品に登録できそうな商品を扱っている事業者に対して、制度について紹介し、希望があれば、自治体の担当者につなぐ取組を経営支援の一環として行っている。また、自治体から返礼品の登録協力について依頼があり、事業者を紹介した事例もある。
商工会と自治体、事業者等が連携して取り組んでいる商品事例としては、豊根村のキャビアがある。これは豊根村が地方創生事業補助金を活用して、2012年から村内にチョウザメの養殖池を整備し、大学と事業者が共同研究の一環として、キャビアの生産に取り組んだものである。10年が経過して、ようやくキャビアが獲れるほどチョウザメが大きくなり、2022年から返礼品として登録されている。この取組について商工会は、経営支援機関として伴走支援を実施している。
ほかには、商工会が開発した商品が返礼品に採用された事例もあり、西尾みなみ商工会が開発した茶うどん、かぶせ茶ジェラート、幸田町商工会が商品開発に関与した幸田町消防カレーなどが返礼品として登録されている。
【委員】
西尾市も幸田町も増えれば、もっと頑張らなければいけないというプラスのモチベーションになって、増えるところはどんどん増えていくが、減っていくところはどんどん減っていくような気もする。そういう意味では、先ほど委員が言った観光振興は、ふるさと納税だけではなくて、キャビアも含めて観光振興になるので、観光で人も来てくれるし、ふるさと納税でもしっかりと対応ができるところで、積極的に県が支援していかなければいけない分野なのかなと思う。
それとは逆に減っているところ、例えば、豊田市はマイナス15億円、岡崎市はマイナス13億円、一宮市もマイナス13億円、私の長久手市も約4億円マイナスである。これも国の制度としてどうなのかなと思うのは、例えば、地方交付税の交付団体はマイナスが10億円でも、交付税措置で75パーセント戻ってくるが、地方交付税の不交付団体は10億円マイナスになると、行ったきりになり戻ってこないので、長久手市みたいな小さな町だと、産業も商業もなかなか少ない中で、行ったきりのお金が4億円というのは相当大きなお金になってしまう。そういうところも県が積極的に商工会にいろんな成功事例を紹介してもらいたい。
碧南市は6万円ぐらいのふるさと納税を市の職員たちが頑張って2億円、10億円にして、今は20億円ぐらいになって、最終的には副市長とその職員が市役所を辞めてまちづくり会社を確かつくった。それぐらい市役所の中で勢いよくやっている人たちがいる。そういうところは、ふるさと納税額がぐっと伸びている。もともと地元の産業があったわけではなくて、彼らに聞くと、最終的なキラーコンテンツは何かというと、日常に使うものがふるさと納税額としては一番シェアを広くでき、ある意味、お米だということを言っていた。その発想に基づくのであれば、市町村が少し工夫するだけで、いろんなことができるのではないかと思うので、ぜひとも県の指導をお願いしたい。
三つ目の質問だが、県から商工会・商工会議所へ、小規模事業者経営支援事業費補助金による補助を行っているが、税収を増やす返礼品となる商品開発を個々の事業者は積極的に実施していくため、具体的にどのようなメニューで商工会・商工会議所へ補助を行っているのか伺う。
【理事者】
商工会・商工会議所においては、経営支援業務として、税務や金融などの指導と併せて、新商品開発や販路開拓などに関する支援も行っている。これに対して県からは、小規模事業者経営支援事業費補助金として、事業者を支援する経営指導員等の人件費や、専門家派遣等の事業費を補助している。加えて、個別の支援メニューとして、商工会等に設置されている青年部の活動等に補助する若手後継者等育成事業においては、新事業展開や商品開発、販路開拓等に関する取組を支援している。
また、商工会連合会が行っている広域振興等地域活性化事業においては、商工会地域の特産品を共同販売するアンテナショップを設置し、開発した商品を販売する場を設けるとともに、商品開発や販路開拓に関する助言指導も実施している。
県では、このような小規模事業者経営支援事業費補助金の様々なメニューにより、商工会・商工会議所等への補助を行うことで、事業者が行う新商品開発等を支援している。
【委員】
商工会・商工会議所の支援以外に、事業者が行う商品開発の支援を経済産業局として直接事業者へ行っているものがあれば伺う。
【理事者】
本県では、中小企業者や小規模企業者が地域資源を活用して行う新事業展開について、あいち中小企業応援ファンド助成金事業によって支援を行っている。
具体的には、本県の主要地場産業である繊維、窯業、食品、家具、伝統的工芸品産業を対象とする地場産業枠、その他の産業分野を対象とする一般枠のほか、県内地域資源のうち、農林水産物を活用して、あいち産業科学技術総合センター等と連携して行う農商工連携枠を対象分野として、新商品、新製品の開発、販路拡大、人材育成などの事業を支援対象に助成を行っている。
この中で新商品開発については、既存の技術を活用した新製品の開発や、新たな事業へ挑戦するための新商品の開発を行う場合等が対象であり、これに係る原材料費や製造、改良、加工料、試験分析費等について支援している。
【委員】
県に、商工会・商工会議所を中心に目をしっかりと向けてもらいたいため、自民党がつくる商工会議員連盟で、私も愛知県内の商工会の半分ぐらいを回った。抱える課題としては、人口減少のあおりをもろに受けていて、新しく入ってくる人もおらず、商工会の分母としての部員数も減っている。その中でふるさと納税は一つの契機、産業活性化の契機になり、あわせて観光振興の契機になると思うので、経済産業局としては、実態をしっかりと把握し、現地に足を運ぶ中で、その地場に合った指導と補助メニューを提示してもらいたい。地元にはいろんなものがあり、あり過ぎて逆にどれが適合なのか分からないという声も聴いたので、分かりやすく、また寄り添いながら支援してもらいたい。
何度もいうが、愛知県は、東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府に続いて5番目の流出県である。この175億円という流出額が、今後減らせる手段がない以上、少なくとも各市町村がしっかりとお金もうけというか、ふるさと納税を入れてもらい、税収につなげていく施策を愛知県が先頭を切って行っていかなければならない。
また我々議員も、この制度のある意味不備ではないが、県は何もしないのにお金を取られてしまう、何もしようがない愛知県から4割の税収が、ふるさと納税で抜けていってしまう。この制度設計について、国に対してしっかりとものを言っていかなければならない。我々も頑張るので、経済産業局にも大いなる期待して質問を終了する。
【委員】
建設業で働く人について伺う。
昨年度だったと思うが、昭和区での工事のところに、働き方改革のため、今後、土日の工事はしませんという立て看板が立てられていた。工事の進捗の関係で、働き方改革を広げる工夫をしていたと思うが、今年度4月から、建設業、自動車運転業、医師等についても、原則月45時間、年360時間、臨時的な、特別な事情がある場合でも、年720時間以内、単月100時間未満とする時間外労働上限規制が適用されている。
そこで建設業などの働き方改革を進めるに当たり、県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
労働者が健康で充実した生活を送るためには、建設業をはじめとした県内企業に、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方の実現を目指す働き方改革を推進してもらうことが重要である。このため、県では、中小企業が働き方改革に関する社内研修を実施する際、講師派遣を行うサポートセミナーのテーマの一つとして、自動車運転業、建設業、医師等の働き方改革の進め方を設けている。
このほか、労働講座や冊子、労働法ガイドブックで、2024年度から建設業の時間外労働の上限規制について取り上げ、労使双方に周知啓発を行っている。また、働き方改革を推進するに当たり、休暇を取得しやすい職場環境づくりの観点も重要であるため、年次有給休暇の取得及び多様な特別休暇の導入等を積極的に推進する中小企業を後押しする、愛知県休み方改革マイスター企業認定制度を昨年7月から運用している。
11月末時点の認定件数は534件であり、そのうち建設業は218件、40.8パーセントとなっている。建設業の認定企業からは、会社全体で有給休暇取得率を上げようという意識が高くなったといった声もある。このような取組を通じて、建設業などの働き方改革の促進に努めていく。
【委員】
働き方のマイスター企業が、建設業は40.8パーセントで割合として高いが、今回、建設業について伺いたいと思ったのは、近年のこの大変な暑さ、今年も11月の半ばまで暑く、ようやく寒くなった感じだが、建設業で働いている人が、直接的にこの暑さの影響を受けているのではないかと思っている。
今年7月9日の熱中症の事故でネットの記事を紹介すると、午後5時頃、名古屋市中区平和のマンションの建設現場で、63歳の作業員の男性があおむけで倒れているのが見つかり、工事現場の責任者が消防に通報した。男性は病院に搬送されたが、およそ3時間後に死亡した。警察によると、男性は当時1人で内装工事をしていて、室内にエアコンは設置されておらず、熱中症と見られ、警察は当時の状況を詳しく調べている。
この7月9日は、愛知県、岐阜県、三重県の3県であわせて69人の熱中症や、その疑いで救急搬送があり、ほかにも死亡した人がいた。この日の天気予報は、35度以上の猛暑日のところが続出するであろう、熱中症に厳重な警戒が必要であると警戒も発せられており、このような状況の中で事故が起こっている。
また紹介だが、建設業を応援する情報サイト、建設魂というものがあり、そこで熱中症について記載されていた。建設業は、過去5年間の熱中症による死傷者が最も多い業界で、最新データである2023年の建設業の熱中症死傷者は209人、うち死亡者は12人である。国内の熱中症死傷者は、建設業と製造業が飛び抜けて多く、次点で運送業、警備業、商業が続いている。そして、建設業の過去5年間の死傷者は、熱中症に関して866人、うち死亡者は54人で、死亡率は6.1パーセントである。比較的建設業に近い製造業の過去5年間の死傷者は846人、うち死亡者は18人で、死亡率は2.1パーセントであることから、建設業は製造業と比較しても熱中症による死亡率が3倍近く高いことになるという記載があった。ほかにも、熱中症の発生件数が最も多いのは15時台で、先ほど紹介した中区の事故ともある程度重なるのではないかと思う。私も熱中症っぽくなったことがあり、本当にずっと変だなという感じが続いて、結構この後遺症というのも侮れない状況だと思う。
車を運転していると、本当に暑い日に外で作業している人を見るが、道路工事の現場で、車の誘導をしている人は比較的高齢の人が多い。生活上、この暑さの中でも仕事せざるを得ないと思うが、この車の誘導の仕事は適切にされないと事故にもつながるので、暑さと気を抜けない緊張感の中で、若い人にとってもだが、本当に大変な仕事だと思っている。
そこで、熱中症対策を含めて労働安全衛生対策について、どう取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
労働者の安全と健康を確保し、快適で働きやすい職場環境を整備するためには、労働安全衛生対策を推進することが重要である。熱中症対策については、国が毎年5月から9月までの間、STOP!熱中症クールワークキャンペーンを実施している。このキャンペーンでは、事業者や作業者が熱中症の予防に向け、取り組むべき事項を紹介するパンフレットや、企業が実施する項目をチェックリストで示したリーフレットなどを作成している。県では、熱中症対策に係るこの取組をホームページで紹介している。
また、県の取組としては、中小企業の経営者等に、労働災害の発生状況や、労働者の心身の健康の確保などをテーマにした労働講座を実施している。さらに、労働者の労働安全衛生に関する意識を高めるため、研修会を開催するとともに、リーフレットを作成し、労災防止に向けた取組事項を周知している。
【委員】
次に、労働新聞社のホームページに記載されていたものを紹介する。このホームページは、会員でないと詳しく見られないのでタイトルだけになるが、労働災害事例シートの中の熱中症関係である。1件目、処置が遅れ、新入作業者が熱中症で死亡。チーム員が適切な処置をしなかった。2件目、体調不良で出張作業中、熱中症で倒れる。共同作業者も熱中症の知識がなかった。3件目、熱中症への認識がなく、病院搬送時に死亡。とび工38歳。4件目、休憩なしに作業を続けていて体が動かなくなる。内装工61歳というような事例が挙げられていた。
先ほど、いろいろと熱中症についても啓発しているという答弁があったが、この記事で目についたのは、実はこの認識がないとか、共同作業者も知識がなかったとか、チーム員が適切な処理をしなかったとか、というようなことが挙げられている。啓発し、知ってもらいたい人に知ってもらうのは難しいことだと思うが、県もしっかりと、経営者だけではなく、働く人々にどう知識として知ってもらうのか考え、これだけ建設業の人が熱中症のリスクが高いことを考えて、もう一歩対応を進めてもらいたい。
そして、気候変動適応法が2024年4月1日に一部改正され、新たに熱中症特別警戒アラート、これまでは警戒アラートだったが、特別の警戒アラートが創設されたので、ここで質問する。この熱中症特別警戒アラートが出た場合、働く人々への対応として、どのようなことを求めるのか。
【理事者】
熱中症特別警戒アラートは、広域的に、過去に例のない危険な暑さ等により、熱中症救急搬送者数の大量発生を招き、医療の提供に支障が生じるようなおそれがある場合に、環境省、気象庁から発表されている。アラート発表時の対応方法も環境省が示しており、全ての国民において、熱中症予防行動の徹底を必要としている。
具体的には、エアコンを適切に使用する、こまめに水分、塩分を補給するなど、自分自身で身を守る、家族や周囲の人々による見守りや声がけなどを行う、経営者、イベント主催者等の管理者に、外出、イベント等の中止、延期等の検討を推奨している。
建設業をはじめとした全ての働く人々の命を守るため、経営者等には暑さ指数計などにより、職場の状況を随時把握し、測定した数値に応じて、作業時間の短縮を行うなどの対策を徹底してもらいたいと考えている。
引き続き、国と連携しながら、労使双方に熱中症を含めた労働災害の防止対策を啓発することで、安全かつ衛生的な職場環境づくりに取り組んでいく。
【委員】
仕事も中止してくださいと推奨できるということである。
学校でも、例えば部活は、アラートが出たらやめなさいねとか、そういうこともあると思うので、本当に厳しい暑さのときに、どう対応すべきなのかがもっと社会全体として、個々の判断プラスアルファでの判断になっていかないと、今後の暑さ次第ではあるが、熱中症で苦しむ人が出てしまうと危惧するので、国と連携しながら、よりよい指示の出し方とか、そうしたことも検討してもらいたい。
今年、愛知県熱中症警戒アラートの発令状況は、8月12日から9月15日までの35日間、延べ13日あった。また、今年、知事からの熱中症予防のメッセージが6月に出されており、特に子供や高齢者のことが多く取り上げられている。今後は、この建設現場の実情も踏まえながら、必要になった場合には、働く人々へのアピールを県として検討してもらいたい。これは要望である。ぜひ労働の立場から、必要に応じて検討願いたい。
【委員】
最近、特に労働者不足が言われている。学校の先生、保育士、看護師、医師、それから先ほど委員が言った建設業、土木業、またバス、トラックなどの運転手である。しんどい仕事は若者がそこへ行かないような傾向になっていると思う。
厚生労働省が定めている職業分類によると、日本にある職種の数は何と約1万8,000種類ある。大まかに分けると12部門になるそうで、管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者、販売従事者、サービス職業従事者、保安職業従事者、農林漁業従事者、生産工程従事者、輸送・機械運転従事者、建設・採掘従事者、運搬・清掃・包装等従事者、それ以外は分類不能の職業従事者となる。就業者数は6,476万人、一番多いのが事務従事者で1,406万人、次に専門的・技術的職業1,286万人と続いて、我々議員は管理的職業の分類に入る。
ある調査機関の来年、2025年卒、大学生就職意識調査によると、楽しく働きたいが最多である。増加幅が最も大きかったのは、個人の生活と仕事を両立させたいというもので、働きやすい環境を希望し、先ほど委員がいったが、育児休業を取得して子育てしたいという割合が男女ともに高い傾向にあり、学生のワーク・ライフ・バランス志向が反映された数字になっていると推測されている。
さらに、就職先として選ぶのは、大手企業志向が53.7パーセント、前年比4.8ポイント増加して、3年ぶりに5割を超えたそうである。これは物価上昇だとか、実質賃金の低下、また大手企業を中心とした賃上げ、初任給引上げなどに関する報道がなされる中、経済的な不安を軽減させたい思いから大手志向が増加したと考えられている。
でも、条件がよい企業は人気が高いし、競争率も高くて、全ての希望者、学生たちが望みどおりの企業に就職できるわけではない。たとえ第一希望でなかったとしても、その就職先で、楽しく働きたいという思いがかなえられるような就職先が見つかれば、そこに定着して仕事すると思う。
そこで尋ねるが、大学生を含む若者への就職支援として、県はどのような取組を行っているのか。
【理事者】
本県では、就職活動前の大学3年生等を対象に、中小企業の魅力を伝え、理解を深めてもらうことを目的とした中小企業経営者と学生の交流会を開催し、学生が企業経営者と直接語り合える機会を提供している。今年度は7校で実施し、企業34社、学生329人に参加してもらった。
企業については、本県で認定している愛知県ファミリー・フレンドリー企業、愛知県休み方改革マイスター企業、あいち女性輝きカンパニー認証企業など、ワーク・ライフ・バランスの取組を実践している企業の経営者を中心に参加してもらい、自社の強みや求める人材像、働きやすい環境づくりのために意識している点などについて語ってもらった。
また、愛知労働局と共同で運営する若者の総合支援施設である、ヤング・ジョブ・あいちに、あいち若者職業支援センターを設置し、大学生を含む若者を対象に、継続的なキャリアコンサルティングや臨床心理士による個別相談、職業適性診断、面接対策などのセミナーを開催するとともに、就職活動に役立つ情報をSNSで発信している。
これらの取組を通じて、若者一人一人の希望に応じたきめ細かな就職支援を行っている。
【委員】
様々な支援が行われていることは分かった。私も、ネット上であるが、就職したい人たちがどういうところから始めていくのかを調べたら、その就職準備の始め方から、自分に何が向いているか、その自己分析のやり方から、大手企業の選考情報や、戦略的就活テクニックなど、ありとあらゆる情報が出てきて、今の学生は本当に恵まれていると感じた。また逆に、情報があり過ぎてどこから手をつけたらいいのか、人の情報に振り回されて自分の意志はどこにあるのかとも思った。
その就職活動の情報が解禁となって、本格的に始まるのが大学3年生の3月からといわれているので、既に27年、28年卒業の人は、就職活動が実際に始まっている。早期の就職活動に対する学生の考えや感想のコメントの中には、早期選考が主流になり過ぎて、学業に支障が出る、また、最初早期化していることはうれしいと考えていたが、実際は思っていたより長期戦で大変だった。多分なかなか決まらないというところもあると思う。
その一方で、早期で終わらせることができて、余裕を持ててよかったとか、長く就活していたら卒業研究に響いていたので、早く終わってよかったなどの声もあった。
そこで、現在の大学生の就職内定率、今の状況だとかなりもう決まっている人も多くなっていると思うが、その状況はどのようになっているか伺う。
【理事者】
本県では、県内大学の53校及び短期大学17校のうち、調査の協力を得られた大学及び短期大学を対象に、例年10月から翌3月までの年6回、就職内定率の調査を行っている。最近の調査結果となる2025年3月卒業予定の10月末時点の就職内定率は、78.6パーセントとなっている。前年の10月末時点の結果は、1994年の調査開始以降、最も高い78.4パーセントだったが、今年はその昨年を0.2パーセント上回っている。
この結果から、就職活動開始時期が早まってきている中で、企業の採用活動も早期化している傾向が見受けられる。
【委員】
インターンシップやキャリアの位置づけが変わり、企業の採用スケジュールも多様化する中で、いつから動いたらいいのだろうとか、何から準備すればいいのか分からないという、そういう疑問を持っている人も非常に多いと思う。コロナ禍が明けて、就職率が随分伸びてきたことも分かったし、今日現在、就職内定率が10月末で78.6パーセントという数字も分かった。
そこで、この採用活動の早期化の動きに対して、県としてはどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
就職活動を始める学生を対象に、インターンシップや就職活動への心構え、理解を深めるとともに、企業研究の一環として、愛知県ファミリー・フレンドリー企業など、本県で認定している企業を紹介する就職に向けたガイドブックを作成し、県内の大学、短大や就職に関するイベントでの配布や、県のホームページにも掲載して広く周知に努めている。
また、採用活動の早期化の影響により、内定から実際に入社するまでの期間が長くなる傾向にあるため、学生側においては企業とコミュニケーションが取れない状況が続くことで、企業に対する疑問や不安が生じることがあると言われている。一方、企業側、特に中小企業においては、入社前の内定者フォローが難しいことや、採用数が少ないため同期との横のつながりをつくりにくい状況であることが、内定辞退や早期離職の一因となっていると言われている。
そこで、今年度は新たに県内中小企業の就職内定者を対象に、ビジネスマナーの習得やグループワークを盛り込んだ新社会人準備講座を、来週16日にウインクあいちで開催する。この講座の申込みに際しては、内定者本人からだけではなく、中小企業が内定者研修として申し込むことも可能としたところ、企業側から多くの申込みがあった。今後もこれらの取組を通じて、採用活動の早期の動きに対応していきたいと考えている。
たまたまテレビの放映で、忘年会を今、どの世代が一番やりたいか統計を取ったら、20代の若い人たちが一番忘年会に参加したいとなっていた。昔は、それは嫌だといっていた世代が、人とのコミュニケーションを取りたいという、一番若い人たちが今そのように思っているのかと思った。
就職が決まっているところはいいが、なかなか来てくれないところは非常に大変だと思う。私も幼児教育の現場にいるので、保育士不足、幼稚園の先生不足は実感している。
実はこの間の土曜日か日曜日にウインクあいちで、福祉関係の人たちが企業説明会をしたら、3時間でたったの4人しか来てもらえなかったそうである。それも2人ぐらいは何となく冷やかしで、1人は聞いているのか聞いていないのか分からない状況であったが、1人はすごく熱心に聞いていて、この人は多分就職してくれるという希望があったといっていた。
情報を出すことによって、人のために自分もこういう職業に就こうと、いい人材が来るので、SNSで情報を出し、行政が間に入り、困っている職場や若者とか、そういう人たちをもっとマッチングできるような形でどんどん進めてもらいたい。
先ほど委員が言ったように、職場の働き方改革ではないが、日本人はあまりにも今までずっと真面目にやり過ぎたところがあったので、もう少しゆとりを持ちながら、仕事も休みも楽しめるような、そういう働き方に我々の意識も変えていかなければいけないし、そういう職場になっていけば、人材もいろいろなところに割り振られていくと思うので、行政にはぜひその間をマッチングさせる、そういう間のクッションになってもらうよう要望して終わる。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年12月10日(火) 午後0時58分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
経済産業局長、同技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第216号 事業契約の変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第216号
○ 請 願
第 60 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第60号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(1件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時36分)
7 再 開(午後2時49分)
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業、いわゆるSTATION Aiについて、第216号議案で、この事業契約の変更について議案が提出されている。先ほど産業部長から変更内容及び理由について説明があったが、STATION Aiがグランドオープンを迎えた後、このタイミングで建設費の変更契約の議案を提出することになった経緯を教えてほしい。
【理事者】
今回の議案については、まず9月定例議会の補正予算の議決を受けて提出しており、その経緯からいうと、事業者であるSTATION Ai株式会社から、契約締結後の建設物価等の高騰を背景として、2024年2月時点と5月時点を基準月とした増額の請求があったため、契約額を増額することとしたものである。
変更額の算定に当たり、国土交通省の建設工事費デフレーターという指標を用いているが、このデフレーターは、基準月の2か月後に数値が公表される。先ほどの例でいうと、2月時点の数値は4月に公表され、5月時点の数値は7月に公表されている。この公表された数値を基に、県の方で変動額の算出を行い、その直後の9月の議会に補正予算として提出して、議決したという流れである。
次に、12月定例議会に今回の契約変更議案を提案した理由としては、地方自治法の規定により、予算議案を議決した後に、契約変更議案を提案することとなっているためである。
【委員】
既に増額補正しており、今回再度増額した理由についても教えてほしい。
【理事者】
以前の増額については、令和5年5月臨時議会において補正予算、そして同6月定例議会において契約変更議案を提出している。これも賃金及び物価の変動に伴い、愛知県スタートアップ支援拠点整備等事業契約書の規定に基づいて、契約金額の変更を行ったものである。しかしその後も、建設工事費が上昇基調であったため、事業者の請求に基づいて対応するとしたものである。
なお、事業者は、契約書に基づき、年に1度、施設整備費の増額を請求することが可能となっている。
STATION Ai 外観
STATION Ai コワーキングスペース
なし
《一般質問》
【委員】
愛知県雇用セーフティネット対策訓練、委託訓練について伺う。
愛知県雇用セーフティネット対策訓練、委託訓練は、愛知県が離職者や若年就職者などの再就職を支援するために実施している職業訓練で、民間の教育訓練機関に委託して行われ、知識や技術、技能を習得することで早期就職につなげることを目的としている。
令和6年度愛知県雇用対策協定に基づく事業計画の概要によると、この委託訓練における就職率の目標は75パーセント以上とされているが、現状の就職率について伺う。
【理事者】
雇用セーフティネット対策訓練は、国から示されている委託訓練実施要領に基づいて実施する訓練であり、本県では、名古屋高等技術専門校、岡崎高等技術専門校、東三河高等技術専門校の各高等技術専門校において公募した事業者に委託して実施している。
雇用セーフティネット対策訓練の就職率は、訓練修了3か月後における就職率としており、受託事業者である訓練実施機関が、訓練修了から3か月後に受講生の就職状況を確認したものを各高等技術専門校で取りまとめている。令和4年4月から6月までに訓練が修了した46コースでの訓練修了3か月後の就職率は、就職のため中退した人及び修了生473人中、388人が就職し、就職率は82パーセントとなっている(後刻訂正)。
なお、令和5年度の就職率は79.6パーセントである。
2024年度愛知県雇用セーフティネット対策訓練 公共職業訓練
先日、その訓練の委託を受けている事業者に話を聞いたところ、受講生を集めることが大変であり、その要因は、周知不足にあるのではないかといっていた。今の答弁では、目標を上回る結果を出していることから、この離職者や若年就職者への再就職支援として有益な制度であると認識するが、それにもかかわらず、知らないがために活用されていない、選択肢になっていないのであれば、非常にもったいないと思う。
その上で、周知のために県としてどのような取組をしているか伺う。
【理事者】
先ほどの質問について、一点修正する。最後に、令和4年と言ったが、令和6年4月から6月までに訓練が修了した46コースでの訓練修了3か月後の就職率は、就職のため中退した人及び修了生473人中388人が就職し、就職率は82パーセントとなっている。
続いて、周知のための取組について、雇用セーフティネット対策訓練は、求職者を対象に実施するものであり、訓練の受講に当たっては、ハローワークを通じて申込みする必要がある。したがって、ハローワーク及び求職者に対して、必要な情報を届けることが重要である。そのため、受講生の募集に当たっては、ハローワークに対して受講生募集パンフレットを配布するほか、ハローワークが主催する雇用保険説明会や職業訓練セミナーに出席し説明を行うなど、ハローワークとの連携を密にしながら周知活動を実施している。
また、図書館などの市町村の公共施設をはじめ、県民が訪れる機会の多い場所へ、受講生募集パンフレットを配布するほか、県ウェブサイトやSNSを活用したPRも積極的に行うなど、広く周知を図っている。今後も訓練を必要とする求職者に対して必要な情報が届くよう、様々な機会を捉えた周知活動にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
この訓練先に関しては、名古屋市内が圧倒的に多い状況である。私の地元にも、訓練先の事業所があるがコースが限られている。受けたいコースがあっても、名古屋まで通わないといけないとなると、尻込みしてしまう人もいるかと思う。
東三河でいえば、地域によっては名古屋へ出るよりも、浜松方面へ出るほうが物理的に近い、アクセスしやすいこともある。例えば、静岡県が行っている浜松市内の委託訓練先に行きたいコースがあった場合、豊橋市からでも通うことができるのか伺う。
【理事者】
職業訓練の受講に当たっては、住まいの地域を管轄するハローワークから受講指示等を受ける必要がある。そのため、ハローワークが県外の訓練施設での受講指示等をした場合は、県外の訓練を受講することが可能である。
本県においては、受講生募集に当たっては、県内県外に関係なく、受講後に県内企業に就職した場合に、通勤が可能と考えられる地域を対象として募集活動している。例えば東三河高等技術専門校で行う募集においては、県内だけでなく、隣県の静岡県のうち、浜松市、磐田市、掛川市のハローワークに対しても募集パンフレットを送り、受講生募集の協力を依頼している。
【委員】
そういった物理的な話でいえば、オンラインで行えば、貴重な時間を通学で削られることもなくなるので、非常に有効だと考える。
令和4年2月定例議会の議案質疑の議事録において、労働局長から「例えば、本県に住んでいる人が他の都道府県が実施する遠隔地でのオンライン訓練を受講した場合、現地の民間教育訓練機関が実施する訓練期間中及び修了後のキャリアコンサルティングなどの就職支援が、行き届かないのではないかといった課題があると考えている、また、オンライン訓練の実施に当たっては、国が通所による訓練を20パーセント以上確保することを定めており、実技等があるので、そういった部分についても一定程度保証しなければいけないと考えている」という答弁をされている。
その上で、より弾力的な運営を可能とするよう、国に今後働きかけていく考えを示していたが、そうした考えを踏まえて、現状のオンライン訓練の運用について伺う。
【理事者】
国の実施要領では、オンライン訓練について、令和3年度の時点で通所による訓練の時間を総訓練設定時間の20パーセント以上確保することを原則とし、集合訓練、個別指導、面接指導等を実施することと定められていた。
本県では、令和4年度にオンラインによる訓練を行う場合の通所による訓練の時間数について、弾力的な運用が可能となるよう検討もらいたいと国に対して要望を行ったところ、令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間に開講する訓練コースについては、通所による訓練の時間が総訓練設定時間の20パーセントを下回る訓練コースの設定も可能とするとの改正が行われた。
そこで本県においては、通所による訓練時間が総訓練設定時間の20パーセントを下回ることも可としているが、設定時間は事業者からの提案としている。
なお、令和5年度以降に開講したオンライン訓練は、受託事業者からの提案に基づいて、いずれも20パーセントを上回って実施している。
【委員】
国に働きかけるなど、いろいろ対応していることを認識した。ただ、事業者からの提案はないということであるが、いろいろやっていかないといけないと感じている。もちろん国の制度などで難しいことは承知の上ではあるが、より弾力的な運用を可能とするため、例えば通所とオンラインを状況に応じて使い分ける受講ができるような、いわゆるハイブリッド形式のものがあると、受講生にとってより勝手がよくなると思う。
いずれにしても、委託訓練を受講するために選択肢を広げている点については評価して、その上で、より多くの方にこの制度を利用して再就職、スキルアップを目指してもらうために、幅広く周知していくことが必要であると考える。何ならそのための予算を取ってくるくらいの気概を持って、取り組んでもらいたい。
【委員】
私からは観光振興について伺う。
11月29日に観光庁から、宿泊旅行統計調査の2024年10月の第1次速報値が発表された。それによると、2024年10月の全国の宿泊施設における延べ宿泊数は、2019年同月比で20.1パーセント増の6,011万人泊であった。そして、19年同月比では17か月連続で増加している。内訳においては、日本人が19年比で12.6パーセント増の4,481万人泊、外国人が19年比49パーセント増の1,529万人泊で、単月として過去最高、初の1,500万人泊超えとなった。
そうした中で、客室の稼働率であるが、全体では66.1パーセント、19年比で2.5パーセント増であり、宿泊施設タイプ別の客室稼働率においては、旅館が40.9パーセント、リゾートホテルが61.0パーセント、ビジネスホテルが80.0パーセント、シティホテルが77.5パーセント、簡易宿所が34.1パーセントで、観光需要の増加が見受けられる状況である。
そうした中で、本県においては、10年前の2014年12月22日に、2015年をあいち観光元年とすると宣言して10年となる。これまでの自動車産業、航空宇宙産業、ロボット産業に加え、観光集客を愛知の新たな戦略産業として位置づけ、そのための方向づくりと具体的なプロジェクトに取り組んでいくとして、これまでに3次にわたり観光振興基本計画を策定し、観光振興に努めてきた。
そして、本年2月には、第4次観光振興基本計画を策定し、ジブリパークの全エリア開園後の本年度、2024年度から第20回アジア競技大会、第5回アジアパラ競技大会が開催される2026年度までの3か年を、本県の観光を大きく飛躍させる大変重要な期間として位置づけ、観光振興に資する施策、事業をまさに展開しているものと理解している。
そうした中で、今年10月に、2024年度版あいち観光戦略に基づく観光振興施策の実施状況(2023年度年次報告書)が公表された。この年次報告書を基にしながら、これまでの数値目標の達成状況とともに、本年度、新規事業として取り組んでいる事業の進捗等について質問する。
まず初めに、数値目標の達成状況について伺う。2021年度から2023年度の目標に対する達成状況についてであるが、この期間においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、インバウンド需要は蒸発し、観光宿泊業は非常に厳しい状況であったと理解している。新型コロナ感染症が5類へと引き下げられた昨年度は、外国人の観光消費額や、日本人や外国人の観光入込客数等、目標値には至らなかったものの、観光消費額単価は、日本人も外国人も目標を超える結果となり、抑制されていた観光需要の反動といった一面もあったと思う。
一方で、愛知の観光の満足度、推奨意向の数値の低さが大変気になる。中でも推奨意向の数値では、県外在住者は、目標の50.0パーセントに対して25.7パーセント、県民は目標の25.0パーセントに対して17.4パーセントとなっており、特に県民の間で、人に紹介したい観光地としての愛知の魅力が弱いのではないかと受け取れるものである。
そこで、この県民の推奨意向の調査結果については、どのように分析、評価しているのか伺う。
【理事者】
県民の推奨意向の調査結果であるが、推奨意向の調査は、愛知県内を旅行した人が、今後、愛知の観光を友人などにお勧めする可能性を0から10、10点満点で回答するものである。そのうち、愛知県民で9から10点と回答した割合が17.4パーセントにとどまった。
これについて、確かに愛知県には、北海道や京都府などのように、誰もが知っているような有名な観光地は決して多くはないかもしれないが、歴史、産業、自然など、地域に根差した魅力的な観光スポットは多くあると認識している。今回の調査結果、県民による推奨度が目標値に達していないことは、県内の観光スポットの魅力が十分に県民の皆様に伝わっておらず、そのため友人などに推奨する意向が低くなっているのではないか、そういった可能性があると分析、評価している。
【委員】
観光は、その町、その地域の総合力といわれており、そこに住む人々が、そこにおける観光のすばらしさというものを自負することが、また一つ大変重要な発信につながっていく要素だと思っている。
そうした中で、今年度作成した、あいち観光戦略2024-2026の中で、訪日外国人旅行者が役に立った旅行情報源として、一番は日本在住の親族・知人で22.8パーセント、次いでSNSが21.9パーセント、その次に動画サイト等が21.4パーセントとなっている。
日本政府観光局のホームページ、あるいは航空会社のホームページ、宿泊施設のホームページが12パーセントから15パーセント程度になっており、知っている人、またこうしたSNSの情報の発信力、またそれを情報源としている人が非常に多いことを改めて感じるが、そうした中で、また、計画の中にも、県民による県内観光の促進が非常に重要であると記載されている。
そこで、どのように県民による推奨を進めていくのか伺う。
【理事者】
県民の人たちが友人などに愛知の観光を薦めてもらうためには、まずは県民の人たち自身が実際に愛知県内の観光地に出かけ、その魅力に触れ、その体験を発信してもらうことが重要と考えている。
そこで今年度、実際に県内の観光地に出かけもらう機会として、あいちウィーク期間中に、あいち魅力発見ガイドツアーと称して、主に県民の人たちを対象に、本県の歴史、産業、自然などを紹介するイベントを計30か所で実施した。
一例を紹介すると、東浦町では、家康の母、於大の方のふるさと緒川を巡る歴史ガイド、岡崎市では、江戸時代から続く八丁味噌蔵の見学ガイド、西尾市では、アートの島、佐久島の自然を感じる謎解きツアーなどを開催した。参加者からは、ふだんなかなか行かない地域に行くきっかけとなったとか、地元のことを知るきっかけになってよかったといった声が寄せられた。
また、主に県民の人たちを対象として、インスタグラムで、ジブリパークのある愛知ハッシュタグキャンペーンを開催している。これは、ジブリパークの来園者や、ジブリパークに関心の高い人に向けて、来園前後にお勧めする愛知の観光スポット、体験、グルメなどを撮影し、インスタグラムに投稿してもらうものであり、県民自身が、愛知の魅力の発信者となってもらうものである。
今後も県民の人たちが、愛知の魅力的な観光スポットに触れられる機会や、発信する機会を設定することなどにより、愛知の観光を薦めてもらえる機運を醸成したい。
【委員】
こうした県民の人たちから、愛知県のよさを発信してもらうために、愛知県が県として積極的に取り組んでいく部分もあるし、また一方で、観光を推進している自治体、観光協会をサポートするというやり方もあると思う。ぜひともそうした支援の在り方を積極的に考えながら、県民の人たちから発信できる、そういう環境、状況をぜひともつくってもらいたいので、よろしくお願いする。
続いて、今年度の新規事業の進捗状況等について伺う。
まず初めに、観光関連産業における生産性向上支援事業についてである。宿泊業は比較的多くの雇用を要する業界ではあるが、観光需要の繁閑差が大きくて、労働生産性も低く、業界全体としては人手不足の課題に直面している。こうした課題に対し、今年度の新規事業として、観光関連産業における生産性向上支援事業に取り組んでいるが、具体的にどのような取組をしているのか。
【理事者】
観光関連産業を代表する宿泊業では、時期によって需要の繁閑差が大きいなどにより、労働生産性を高めにくい産業構造になっている。また、コロナ禍が明けて以降は、ほかの産業と比べても、人手不足感が高くなっている。こうした課題への対策として、観光需要の平準化の促進と併せて、人手不足を補うような業務の効率化が重要と考えている。
そこで、今年度は、宿泊施設において、フロント業務や清掃業務など、オペレーション面での業務改善を通じて労働生産性の向上を図る取組を実施している。具体的には、愛知が誇るモノづくり産業の改善の手法に通じたコンサルタントを、県内3地域、名古屋市中区、蒲郡温泉、三谷温泉に派遣して、実際に宿泊施設において、現地、現物を確認しながら業務改善の提案を行っている。
これまで各地域、それぞれ10回程度の視察、打合せを行っており、より少ない時間、より少ない人数で業務を効率的に行えるよう、各施設と改善策を話し合った。
【委員】
この事業の効果、また成果をどのように見込んでいるのか。
【理事者】
これまで各施設の現場視察やヒアリングを通じて、例えば客室の清掃、消耗品の発注、在庫管理、あと勤務シフトの見直しなどの業務で改善策を提案している。例えば、客室清掃においては、一つ一つの作業工程を見える化し、作業時間を計測するような提案を行ったことで、担当者ごとに異なっていた作業手順や所要時間、客室の清掃度合の差が明らかとなった。このことを受けて、標準的な作業手順を動画マニュアルにまとめ、作業の効率化や仕上がりの均質化が図られることになった。
【委員】
私も今回の事業に携わっている事業者と話した。特に旅館業は、アナログチックなものが非常に大きくて、属人的にマンパワーに頼らざるを得ない今までの流れがあったようである。そうしたときに、今回の事業に関わらせてもらい、棚卸しから、業務をずっと見直していく中で、オペレーションが非常にスムーズにいくようになったと話を聞いた。
ただ、今回はあくまでも清掃業務に関わっただけであったので、旅館業務全般において、まだまだいろいろと改善していかなければならない、また生産性の向上に資する業務内容はまだまだあるという話であった。この事業が単年度で終わることで、大変心細いともいわれており、できる限りこの事業を継続してほしいという声を聴いた。
次年度以降、この事業をどのように考えているのか。
【理事者】
まずは今年度、改善に向けた取組状況について、10月に中間報告会を開催し、今週にも最終報告会の開催を予定している。この業務改善の内容は、他の宿泊事業者に共通するものも多いと考えられるので、年度末までに事例集としてまとめて、ウェブサイトを通じて幅広く周知したい。さらに、最終報告会では、出席者にアンケートを実施して、今回の事業に対する評価や、今後期待することを聞きたい。
これに加えて、業界団体にも今年度の結果を説明し、それらの声を踏まえて、次年度以降の事業について検討したい。
【委員】
今後、今回取り組んだ事業者の人々のものをまとめながら、また、それらを好事例として横展開できるような形になればと思っている。引き続き、この事業に取り組んでもらいたい思っているので、これも要望しお願いする。
続いて、ワーケーションの促進事業について伺う。国は、ワーケーションやブレジャー等の仕事と余暇を組み合わせた滞在型旅行を、働き方改革などとも合致した新たな旅のスタイルとして、その普及促進に努めている。本県においても、こうした取組を推進するものとし、本年度、新規事業として取り組んでいる、このワーケーション促進事業の進捗状況について伺う。
【理事者】
今年度、県では、宿泊施設を活用した福利厚生・合宿型と、地域課題解決型の2種類のワーケーションの促進に取り組んでいる。福利厚生・合宿型ワーケーションは、有給休暇を活用して観光地等でテレワークを行ったり、業務として観光地等で職場のメンバーと議論を交わしたりするものである。地域課題解決型ワーケーションは、企業が観光地等に一定期間滞在し、その地域の自治体や企業などの関係者と共に、地域課題の解決策を編み出すものである。
これらのワーケーション促進に向けて、三つの取組を行っている。一つ目は、視察イベントの開催で、企業や自治体、観光協会を対象として、蒲郡市内の旅館に整備されたワーケーション施設を実際に見て、その取組内容を学んでもらうもので、7月から9月にかけて開催し、県内の4自治体、県内外の21社が参加した。
二つ目として、モデル事業を行っている。まず福利厚生・合宿型のモデル事業として、9月から11月にかけて、企業の関係者に、同じ蒲郡市内のワーケーション施設を実際に体験利用してもらう取組を行い、こちらは県内外の5社が利用した。地域課題解決型ワーケーションのモデル事業についても、今月以降実施する予定である。
三つ目は、市町村のワーケーション促進プランの策定支援である。県内の宿泊施設を活用したワーケーションの受入れに関心を持っている三つの市町村を対象に、地域の宿泊施設や観光資源、あるいは地域が抱えている課題を洗い出して、当該地域でのワーケーション促進に向けた取組の方向性を示すプランを、年度末までに策定する予定である。
【委員】
これまでに福利厚生・合宿型のモデル事業として取組を実施し、今後、地域課題解決型のワーケーションへの取組、三つ目の事業として、こうしたものをまとめていくことを考えているとのことである。
これから取り組む地域課題解決型のワーケーションは、どのような内容となる予定か。
【理事者】
地域課題解決型ワーケーションは、企業が一定期間滞在し、地元の自治体や企業などの関係者との交流を通じて地域課題の解決を図るものである。今回の事業については、蒲郡市内の宿泊施設に整備されたワーケーション施設を会場として、県や市役所、市内の事業者が自ら抱える課題を発表し、それらの課題に対して、解決策を持っている企業、あるいはスタートアップとの交流を通じて、一緒になって地域課題の解決を図っていく取組を実施する予定である。
うまくマッチングが成立すると、地域課題の解決が図られるとともに、企業、スタートアップの進出につながることが期待される。
【委員】
このワーケーションは、まだまだ十分認知されて取組が広がっているわけではないため、こうしたモデル事業を踏まえて、課題等を明確にしながら、今後、進めてもらうようにお願いする。
これまで取り組んできて、成果や課題、そしてまた、今後取り組んでいく中で、このワーケーションの可能性をどのように感じているのか。
【理事者】
これまでの成果であるが、7月から9月の視察イベントに参加した21社、26人に、ワーケーションのイメージができたかを5点満点で尋ねたところ、約9割の人から4点以上の回答があり、また、ワーケーションを導入したい、導入を検討したいという回答も約8割あった。参加者から、ふだんの職場とは異なる観光地でのワーケーションについて、社員のリフレッシュや働き方改革につながるものとして、導入に前向きな意見も聴かれ、一定程度、ワーケーションの機運醸成が図られたものと考えている。
また、福利厚生・合宿型ワーケーションを体験利用した5社のうち2社から、今後のワーケーション施設の利用を検討中と聞いており、これも成果と考えている。
一方、県内各地でワーケーションが広まるには、企業がそこで働く理由、あるいは仕事、この地域に魅力があるか、テレワークに対応した宿泊施設があるかといったことが課題となっている。そこで、今後は、市町村と一緒になって、地域の現状や課題を踏まえて策定するワーケーション促進プランが実践されるように、県としても何らかの形で後押しできないか検討したい。
【委員】
これまでの事業取組、またこれから取り組んでもらう事業を併せながら、プランに向けた取組をしてもらえるとあるので、大変期待したいと思っている。先ほど冒頭の観光庁の宿泊旅行統計調査は10月の第1次速報であるが、同日に発表された、9月の第2次速報の中の宿泊施設タイプ別について話したいと思う。全体としては62パーセントの稼働率がある中で、愛知県は65.8パーセントで、全国平均以上の客室稼働率があった。
そうした中で、宿泊施設タイプ別として見たときに、愛知県の場合では、県内の旅館においては、26.6パーセントの稼働率があり、これは全国で45番目である。また、リゾートホテルでは45.9パーセントの稼働率で33位、ビジネスホテルでは74.6パーセントの稼働率で21位、シティホテルでは67.4パーセントの稼働率で31位である。旅館は特に厳しく、まだまだ稼働率が十分ではない状況がある。そうした中で、今回ワーケーションとして旅館、ホテルを使ってのモデル事業に取り組んでいるが、旅館の人々も非常に苦戦し、国や県の方向性を見ながら、このワーケーションというものを積極的に取り組もうとしている。
ぜひともこの事業の成果を次につなげていきたいし、また一方で、このたびSTATION Aiが開設し、新たなイノベーションが大きく進展することを期待するが、都会、町なかに開設されたこのSTATION Aiの企業が、海際の旅館で、温泉があり、また、くつろげるそうした空間の中で、新たなアイデアが生み出される、そういうワーケーションとしての施設の利用にも非常によいのではないかと思う。
豊田章一郎氏が昔、蒲郡市に釣りに来た。それは魚釣りをしに来たのではなくて、海に来ながらアイデアを、解決を求めるために釣りに来たという逸話がある。そうした自然の中にあることで、いろんな知恵やアイデアが浮かぶものだと思う。
この旅館を使ったワーケーションをより一層推進してもらうために、一つこのワーケーションの在り方として、サテライト型オフィスも形式としてあるので、ぜひともSTATION Aiもそうした施設として、取り扱ってもらえると大変ありがたいと思う。また関係者の人々も切望する思いである。
県がというわけにはいかないと思うが、ぜひともSTATION Aiとの連携の中で、海側の旅館を使った、また山側の山の中の旅館も含めて、旅館業に対してのワーケーションという在り方も積極的に考えてもらえるよう要望する。
【委員】
中小企業のサイバーセキュリティについて伺う。
中小企業の労働人口が大きく減少していく中で、競争力を高めるために、デジタル化やDXによって生産性の向上、省力化、省人化を進めている。それと同時に、昨今では大企業だけでなく、中小企業に対しても厳重な情報セキュリティ、サイバーセキュリティ対策が求められている。サイバー攻撃によって中小企業が被る被害額が非常に大きく、安定した企業経営する上で、そうしたセキュリティ対策は欠かせない時代となっている。
このサイバーセキュリティで対策する必要のあるサイバー攻撃は、不正アクセスや、DDoS攻撃、脆弱性を狙った攻撃など、様々なものがある。近年、企業のサーバーに侵入して、データを暗号化する、いわゆるランサムウェア攻撃も増加してきており、今年の6月にも大手出版社が大規模な攻撃を受けたとされている。
本年9月に警察庁が発表した令和6年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、によると、世界各地でサイバー攻撃が相次いで発生しており、我が国でも政府機関等におけるDDoS攻撃と見られる被害が発生しており、令和6年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は114件となっている。流出した情報はダークウェブ上のリークサイトに掲載されるなど、生成AIを悪用した事案も発生しているようである。
令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、によると、2023年、昨年はランサムウェアの被害が197件発生しており、うち中小企業は102件と半数以上であった。このランサムウェアの被害のうち、約半数が中小企業であり、企業規模を問わずにサイバー攻撃の被害が発生しているのが現状である。
しかしながら、中堅中小企業は、大手企業のように十分に情報セキュリティ、サイバーセキュリティ対策に取り組めているとは現状なかなかいえない状況で、その理由については、大体次の三つに集約されると思う。
まず予算を確保できない、資金が足らない。人材が足らない、手が回らないというようなことである。あと、ノウハウがなくて何をしたらいいのか、何をすべきかがよく分かっていないというこの三つに集約していると思う。
このセキュリティ対策は、企業活動の中で、直接価値を生んだり、利益を生んだりする取組ではないので、ほかのことを優先してしまいがちなのは理解できるが、ただ結果的に十分な対策を取らないままで放置すると、もしサイバー攻撃を受けたときに、その被害が拡大して、損失はもちろん、会社や企業の信用を失うことにもなりかねないし、今言ったように、金銭的にも大きな損失、被害を出すことにもつながる。
そこで、県内中堅・中小企業における情報セキュリティ、サイバーセキュリティ対策の現状と課題について伺うが、現状、県内の中小企業で、ランサムウェア攻撃を受けて被害を受けた企業はどの程度あるのか。被害件数、被害額及び詳細についても伺う。
【理事者】
愛知県警察によれば、警察庁のサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、において公表された、令和6年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数、114件のうち、県内企業・団体の被害報告件数は10件である。また、令和5年の197件に対しては15件となっている。なお、いずれも中小企業の内数については公表されていない。
また、被害額については、同じく警察庁のサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について、において、復旧に要した費用として、被害企業・団体へのアンケート結果が公表されている。こちらも全国の数値となるが、令和5年のランサムウェアの被害報告件数197件に対し、118件の有効回答があり、1,000万円以上の費用を要したものが44件で37パーセントを占めている。
【委員】
県内企業でいうと、大企業か中小企業かよく分からないが、令和5年だと県内で15件の企業が被害に遭い、令和6年度の上半期については10件あり、被害額は分からない。復旧に要した費用は、1,000万円以上かかったのが大多数で37パーセントにも上っており、被害を受けると、復旧だけを考えてみても結構な金額、コストがかかってくると思う。
先ほども言ったとおり、中小企業、中堅企業も、サイバーセキュリティ対策を講じる必要があるが、大企業や官公庁に比べると、どうしてもその事業規模も小さいせいか、資金的にも人的にもなかなか余裕がないのが現実である。そこにコストをかけても、売上げや利益のアップに直接なかなかつながるものではないので、中小企業の経営者の人も、セキュリティ対策の必要性は分かりつつも、なかなか手が出せない、進んでいかないというのが現状だと思う。
ただ、昨今のサイバー攻撃では、中小企業も直接標的になってくることもあり、増えてきている。また、大企業のサプライチェーンに入っていると、その中小企業を踏み台にして、大企業を攻撃する事例も発生していると聞いている。その被害は自社のリスクだけではなく、取引先企業まで大きな影響を与えかねないわけであるので、セキュリティ対策を中小、中堅企業もしっかりと、今まで以上に取り組んでいく必要がある。
そのような中、本県では、県警察を中心にして、様々な対策を取っているのも承知している。経済産業局としても、情報セキュリティ対策支援事業として、情報セキュリティ診断事業を行っているので、その利用実績がどのようになっているのか、併せてそこから見えてきた現状、また課題など、どのようなものがあるか伺う。
【理事者】
経済産業局では、デジタル化、DXを促進する事業において、昨年度から新たにサイバーセキュリティ対策のメニューを追加して実施している。具体的には、中小企業に対して、最新の攻撃事例を踏まえた啓発セミナーの開催、デジタル化相談窓口において、相談等に応じるほか、昨年度は、情報セキュリティ診断事業として、書面を中心としたセキュリティ対策の現状把握と改善対策についてのアドバイスを行い、県内中小企業88社が利用した。
その診断結果で見えてきた現状と課題は、約4割の企業において、情報セキュリティ対策が十分に実施できていなかったという結果から、さらなる啓発が必要であること、また、技術的な対策として、情報セキュリティ対策ツールを導入していても、最新のバージョンにアップデートしていない、保有する情報資産や情報端末を十分に把握できていないといった課題が明らかになった。
さらに、調査の中で、サイバー攻撃訓練を実施したいと考えていても自社のみでは実施が難しいという課題を挙げる企業もあった。このため今年度は、サイバー攻撃を実際に受けた状況を想定した、より実践的な机上演習形式でセミナーを実施することで啓発効果を高める工夫をした。本セミナーは県内2か所で実施し、計76人が参加した。
また、技術的な課題への対策としては、今年度は、希望する企業10社に対して、実際にそれぞれの企業のサーバーへ疑似攻撃を実施する脆弱性診断を実施し、診断結果に基づくセキュリティ対策について各社の伴走支援を行っている。
【委員】
昨年度の実績として情報セキュリティ診断事業を県内中小企業88社が利用し、より実践的な机上演習形式でのセミナーだと76人が参加していた。県内の中小企業の数を考えるとまだまだ少ない気がする。
何度もいうが、こうした対策にコストをかけてもセキュリティ対策はなかなか利益につながらない、価値を生み出すものでもないので、そこに投資、コストをかけていくまで至らないのが現状であるように思うが、昨今、地震災害や大雨災害の災害発生時にBCPなどをつくって、対策を考える取組も進んでいると思うが、こうしたサイバーセキュリティにも、今そこにある危機と認識したほうがよいようなリスクだと思うので、企業経営上の危機管理、リスク管理の一つとして経営者の人々にもぜひ取り組んでもらいたい。
その中で必要性は分かりつつも二の足を踏んでしまうところがまだまだあると思うので、本県として、そうした意識醸成に向けた必要性や啓発活動、支援事業の拡充をぜひ検討して、本県としての対策、また取組を進めていくことを要望する。
【委員】
愛知県の周遊観光、ジブリパーク周辺周遊観光について伺う。
愛知県では、ジブリパークのある愛知と題して、ディスティネーションブランドとして本県の魅力を発信することで、国内外から誘客を図る取組を進めている。ジブリパークをきっかけとした本県への誘客や周遊観光促進のために、今も人気声優さんによる音声ガイドつきデジタルスタンプラリーなどを実施しているが、これは第2弾で、12月1日から来年2月28日までである。この後、3月から、愛・地球博20祭が始まり、3月25日~9月25日までの185日間開催される。またその後、国際芸術祭が来年9月の13日~11月30日まで開催される予定でいる。
イベント続きの愛知県だが、残念なことに、これがどれも分断されて期間が重なっていないために、周遊といったときに、こっちもあっちも行きたいということができない状況になっている。
ジブリパーク来園者の県内周遊を促すためには、そこに行きたくなるような仕掛けが必要と思うが、今はどんな仕掛けを行っているのか。
【理事者】
ジブリパーク来園者の県内各地への周遊を促すためには、まずは県内各地の観光スポットなどの魅力をしっかりとPRすることが重要だと考えている。そこで、県では、例えば、スタジオジブリ制作の観光動画の放映、周遊モデルコースを掲載したパンフレットの作成、配布、ジブリパークのチケット購入者に対して、旬の観光情報を来園の前の月に2回メールマガジンで配信するなどの取組を行っている。
また、今年度、ジブリファン層向けに、県内周遊を促す新たな仕掛けとして、スタジオジブリ作品に出演する人気声優による音声ガイド付きスタンプラリーを、第1弾は、佐久島、犬山、有松、第2弾は、半田、常滑、伊良湖、県内合計6地区で開催している。スタンプ数に応じて県内宿泊施設の宿泊券が抽せんにより当たる取組となっており、こうした取組などを通じて周遊観光を促しているところである。
【委員】
ジブリパークなどの施設や、愛・地球博20祭、あいち国際芸術祭2025など、イベントを通じて、効果的に各地域を結びつけたり、施設同士を結びつけたりすることで、県内周遊観光のさらなる促進を図るべきと思うが、観光コンベンション局としては、今後、愛知県の施設やイベントをどうやってつないで、周遊観光に取り組んでいこうと考えているのか。
【理事者】
周遊観光の促進には、ついでにそこに行ってみたいと思わせる動機づけが有効と考えている。そのためにも、イベントやスポットのPRに加えて、それぞれのイベントやスポットを連携させるような仕掛けも効果的であると認識している。例えば、ジブリが好きな人は、アートとも親和性が高いと考えられるので、ジブリファン向けに、アートをテーマとして国際芸術祭の会場にもなる陶磁美術館、あるいは瀬戸の街並みなどを巡ってもらうような取組を今後検討したいと考えている。さらに、県内の観光施設などを巡るスタンプラリーに、愛・地球博20祭の会場であるモリコロパークや、国際芸術祭の会場も新たに加えるなど、イベントやスポットを効果的に生かして、県内周遊を促進する取組も考えていきたい。
また、今年度、県・市町村等で構成する愛知・名古屋観光誘客協議会の事業の中に、あいち国際女性映画祭と観光スポットを組み込んだ旅行商品を、「旅ろっ!愛知」というブランド名で造成している。今後も国際芸術祭など、イベントを活用した周遊旅行商品の造成等も検討したいと考えている。ほかにも、イベントや施設を所管する局など、関係者と連携を密にして、県内周遊観光のさらなる促進に向けて取り組みたいと考えている。
【委員】
答弁の中でも、アートでつないでと話があったが、これから独立行政法人化を考えている愛知県美術館や陶磁美術館についても、国際映画祭の期間中には、どちらの会場にも足を運んでもらえるような工夫が必要だし、またその機会を利用して、周遊してもらうきっかけにもなると思うが、この両館の来場者が、年間どのぐらいあるのか、また、その人たちの周遊の工夫がどのようにされているのか教えてほしい。
【理事者】
愛知県美術館の直近の2023年度の入館者数は約33万人、愛知県陶磁美術館は現在改修工事で休館しているが、直近の2022年度の入館者数は約7万7,000人と県民文化局から聞いている。
また、国際芸術祭の会場と、その他の県内観光スポットなどとの周遊の工夫については、県内の観光施設などを巡るスタンプラリーに、こういった陶磁美術館などを入れる、あるいはジブリファン向けにアートをテーマとして国際芸術祭の会場などを巡ってもらうような取組などを検討したい。
【委員】
観光する人たちに対し、観光に選んでもらえるような材料を愛知県は提供しないといけないと思う。陶磁美術館はジブリパークの近くにある、愛知県美術館は栄の近くにある、また、そこから先に行けば、鶴舞のSTATION Aiがある。県の施設で様々に点在しているところをつないで、愛知県を楽しんでもらう工夫も必要かと思う。そういった県の施設、またイベントが常に楽しめるような、そんなコンテンツをぜひ考えてもらいたい。
ジブリパークに県外から来るには、名古屋駅を経由してとか、セントレアを経由してとか様々であり、海外からの人もいると思う。そこからいろんなところに行ってもらうための呼び込める材料、楽しめる材料を、しっかり周遊するという感覚の中で考えてもらいたい。ぽつんぽつんと点在するところに、飛び石のように行くのではなく、つながって一周できることをぜひ考えてもらいたい。愛知の魅力については幾つかあると思うので、外の人が愛知県の魅力をどう考えているかを分析した上で、周遊をぜひ考えてもらいたい。
次は、現在の水素ステーションの利用状況と、今後の水素ステーションの整備の方向性について伺う。
まず、現在、水素ステーションが33か所あると思うが、この水素ステーションに来る車の1日当たりの平均利用台数はどれぐらいか。
【理事者】
1日当たりの平均利用台数は、今年度の第2四半期時点で、1日当たり5.5台程度である。
【委員】
1日当たり5.5台とは継続が心配になってしまうが、ステーションを維持するにはどれぐらいの維持費がかかるのか、また、1日何台利用すれば採算が取れるのか。
【理事者】
ステーションの規模や供給方式が多様であるので、いろいろ聞くところによると、運営費として平均約1億円程度と聞いている。
それから、1日利用台数の採算ラインは、水素ステーションの業界団体が当初の想定、2018年度に試算していた数字があり、それを基に計算したところ、MIRAIなどの乗用車とした場合、黒字には1日に80台程度の利用が必要となっており、現状、水素だけを販売しているステーション事業者は赤字という厳しい経営状況になっている。
【委員】
結構な維持費がかかるのと、利用台数を1日80台にするには、とても追いつかないような数字だと痛切に感じる。
燃料電池自動車(FCV)は航続距離が長いので、1か月の燃料充塡回数も少なくて済むが、購入補助や設置補助をしていても、水素自動車自体の保有台数がなかなか増えてこない状況の中でステーションを増やすには、現状では限界があると思う。ステーションが近くになければ利便性が悪いので、なかなか高額なFCV、MIRAIでも800万円近くかかるわけで、その購入を促進することにはつながっていかないと思う。
また、今タクシーやバス、トラックなど、ドライバー不足といわれている中で、今あるステーションは、乗用車の充塡スポットだと思うが、大型のトラックなどの水素燃料の需要が、今後、見込まれるのではないかと想定されるが、これについてはどのように考えているのか。現在は乗用車対応のステーションがほとんどだが、今後トラックなどのステーションの設置予定はどのようになっているのか。
【理事者】
トラックには小型と大型があり、小型トラックなら、今でも県内の半分ほどのステーションで充塡することは可能である。ただし、充塡に時間がかかり、FCVトラックの水素のタンク量が、小型トラックであれば乗用車の2倍、大型トラックであれば乗用車の10倍となっている。現状の水素ステーションのスペックのままでは、なかなか円滑に充塡できないため、新たに商用FCV対応の水素ステーションを整備していくか、もしくは既存のステーションを能力アップしていく、増強、改修していくことが必要である。
そこで、県では、ステーションの運営事業者や運輸事業者、荷主などと共に、国の支援策や燃料電池トラックの需要の見込みなどを注視しながら、今後の商用FCV対応の水素ステーションの整備計画を検討している。
【委員】
今年度FCトラックの購入補助が新設されたと思うが、利用状況の実績があったら教えてほしい。
【理事者】
FCトラックの導入補助は今年度から開始されたが、こちらは環境局の事業であり、今年度は申込みがないという状況を聞いている。
【委員】
環境局で購入補助はされているとのことだが、FCトラック用の水素ステーションの設置整備補助はどうか。先ほどの答弁で新設か既存のものを改修するかとのことであったが、それについては補助の対象になるのか。
【理事者】
県の補助制度は、国の補助に追加補助することになっており、現状、国は小型トラック対応の新規整備について、現在の補助メニューで支援を得ることができる。ただし、大型トラック対応の新規整備や、既存の水素ステーションを能力アップして改修、こういったものは現状の補助メニューにない。
そこで、県としては、事業者の意向を踏まえて、国に補助メニューの追加を働きかけており、引き続きステーションの整備、健全な運営に向けた支援を行っていきたい。
【委員】
現状の補助制度では、大型トラックに充塡するスポットとしては難しいと理解した。FCVの購入を考えるときに、充塡スポットがどこにあるかが重要な鍵となってくる。これまでのガソリンスタンドの感覚で、どこに行ってもすぐに見つかることにはならないが、利便性の向上と、コストやタイムパフォーマンスのよいものにすることがステーションの設置拡大には不可欠と思うので、設置場所も含めて、現状の補助制度拡充をこれからも進めていってもらいたい。
最後に、労働局の関係で伺う。中小企業で働く男性が育休を取得した企業に対して、中小企業男性育児休業取得促進事業として、県は奨励金を出している。
また、先日、決算特別委員会で昨年度のこの制度を利用した企業へのアンケートの内容等を伺ったが、取得した企業と、取得した男性従業員の人からのみのアンケート結果だったので、その配偶者やパートナーからの声を、ぜひアンケートに反映してもらうことが必要と強く思った。
そこで伺う。男女平等とよくいわれるが、男性従業員であっても、女性従業員であっても、分け隔てなく平等に扱うのであれば、どの従業員の家族でも全ての従業員の一部として考えて、少子化を改善しようということであれば、女性にしかできない出産を除いては、育児も労働も平等にしないと、本当の意味での平等にならないと思う。
これは、女性の立場から、出産した女性の視点から言うが、女性は出産したら24時間365日、育児しても、仕事しても、家事しても当たり前となっている。ところが、男性は育休を休みと勘違いしている人が少なからずいるように思う。男性従業員が育児休業を取得しやすい職場環境づくりを支援するために、奨励金を支給しているが、休業取得するのが目的ではなくて、その先の育児が、その男性の従業員の責務であることをしっかりと認識してもらうことも重要ではないかと思う。
実例を言うと、これは中小企業ではないが、ある男性の行政の職員が2か月間の育休を取った。その人は2人目の子で、2か月間育休を取ったので、いかがでしたかと尋ねたところ、こんな回答が返ってきた。全然休めませんでしたと。その職員は、職場で育休を取ったら、休めると思っていたのではないかと読み取れる言葉だったので、多分おおよその男性従業員の人も、育児休業を取得すれば、家で休めると若干想像しているのではないか。
育児は休む暇もなく働くことで成り立っていることをぜひ理解してほしい。職場の仕事は休めるが、育児は代わりがいなければ休めない。でもそれは、女性従業員であっても男性従業員であっても当然やらなければいけないことなので、その辺の感覚をぜひ企業の風土として培っていってもらいたい。従業員の男性が、家庭の中で子供を育てるために休業して、出産した配偶者が休む時間が取れるようにする、もしくは一緒に育児をするための育休であってほしいと考える。
そこで、労働者と事業者の相互理解を促進し、子育て中の労働者が男女問わず仕事と育児を両立しながら働き続けるためには、企業において育児休業等の両立支援制度を整備するとともに、女性だけでなく、男性も主体的に育児を行えるよう、職場風土を醸成することが必要と考える。そこで企業に対して、男女が共に仕事と育児を両立しやすい職場環境づくりを促すために、県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
子育て期にある労働者が安心して働き続けられるようにするには、企業の経営者が育児休業制度等の内容や、両立支援の必要性について正しく理解した上で、環境整備を進めることが重要である。
特に男性については、職場の雰囲気や仕事の忙しさなどを理由に、育児休業の取得が進まない状況にあるため、休業を取得しやすい職場づくりに向けて、企業の取組を支援する必要がある。
育児・介護休業法では、育児休業の対象となる従業員に対し、育休制度等を個別に周知し、利用の意向を確認することなどが企業に義務づけられている。このため、県では経営者等に対し、育児・介護休業法の解説や、企業が取り組む意義、ポイントなどについてのセミナーを開催し、理解を深めてもらうとともに、企業に専門家を派遣し、職場の理解促進や業務の属人化の解消を図る方法、男性従業員に対して育休の取得目的を明示する必要性や方法など、個々の企業の実情に応じた助言を行っている。
このほか、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む企業を、愛知県ファミリー・フレンドリー企業として登録しており、特に優れた取組を行っている企業を知事が表彰している。表彰企業の中には、面談や研修等の機会を通して、男性従業員に育児参画の意義や目的、社内支援制度を伝え、育児休業の取得を促すなど、仕事と育児の両立支援に向けた取組を積極的に進めている企業もある。
こうした企業の取組を専用サイトで紹介するなど、広く発信することにより、働きやすい職場づくりを企業に働きかけている。引き続き、誰もが安心して仕事と育児を両立しながら働くことのできる職場環境づくりを促進していく。
【委員】
それでは、今後、育休取得で奨励金を支給した企業、また、その育休を取得した男性従業員のアンケートに、育休中の従業員の配偶者からの感想も入れてもらいたい。その配偶者やパートナーからのフィードバックについて、どのように考えているのか。
【理事者】
中小企業男性育児休業取得促進奨励金は、男性が積極的に育児を行い、仕事と育児を両立できるよう、中小企業の職場環境づくりを支援し、男性の育児休業取得を促進することを目的としており、従業員の配偶者に対して、夫の育休取得に対する意見や希望を聴取することは想定していなかった。
しかしながら、委員がいうように、男性育児休業取得促進については、産休を取得した従業員の配偶者からの声も参考になると思うので、本奨励金のアンケートを活用するなど、どのような形で配偶者の人から声をもらうことが可能か検討していきたい。
【委員】
育児休業とは、育児するために休むことなので、男性従業員であっても、育児は子供の両親のどちらか一方だけが負担するものではなくて、両親とも平等に責務を果たしてもらうことが重要かと思う。子育てを手伝うとか、参加するとか、多分アンケートの中にあったと思うが、その言葉自体にそもそも違和感がある。子供は育てるのが当たり前、親が育てるという行為を、奥さんの育児を手伝う感覚ではなくて、男性が育児を率先してやる、それも主体的にやることもありだと思う。
だから、そもそもの考え方を変えてもらわないと、なかなか少子化は止まらないし、女性が出産して、育児して、そして働き続けることが実現しないので、育児は男性もするものだという感覚を従業員の人に持ってもらえるような職場風土改革をお願いして質問を終わる。
【委員】
今年5月に設立された、愛知「発酵食文化」振興協議会について伺う。
まず、半年たったところで、ここまでどのように進めたのか。
【理事者】
今年度は事業の初年度であるので、まずは愛知の発酵食文化を多くの人に知ってもらうため、協議会の特設ウェブサイトを制作して、10月から、日本語、英語の2言語で情報発信している。ウェブサイトでは、愛知の発酵食についての情報だけでなく、県内地域での見学受入れや、食事やお土産が買える施設などの紹介を行っており、今後掲載内容をさらに充実していきたい。
そのほかの主な事業としては、同じく10月に構成員の機運醸成のためのシンポジウムや、食品業界向けの商談展示会へのブース出展を実施して、協議会の取組や愛知県の豊富な発酵食文化について、広くPRを行った。また、次年度以降、3か年の事業の方向性を定めるため、必要な調査を行っている。
【委員】
ウェブサイトや見学、お土産、肝腎なのは恐らく構成員の人々の機運醸成かと思うが、そもそもこの発酵食文化を、観光コンベンション局の国際観光コンベンション課が所管している理由を教えてほしい。
【理事者】
今、外国からのインバウンドが戻ってきているが、まだまだこの地域に多くのインバウンドを呼び込む必要がある。インバウンドを呼び込む際に食というものが非常に大きな要素を持つ。
そのため、この5月に愛知「発酵食文化」振興協議会を立ち上げた。国内外に愛知の発酵食文化の魅力を発信して、海外から多くのインバウンドを呼び込むことが最終的な目的となっているので、私ども国際観光コンベンション課で所管している。
【委員】
要するに外国の人をとにかく呼んできましょうということで取り組んでおり、今の話にあったように、食になると日本食が今は世界中で大変評判で、タイムリーな内容だと思う。
先頃、日本酒の関係で、酒造り文化がユネスコの無形文化遺産に登録されたが、この協議会との関連は何かあるのか。
【理事者】
ここ愛知は、日本酒の販売量が全国6位、また現在40を超える酒蔵がある酒どころである。愛知「発酵食文化」振興協議会にも、愛知県酒造組合が参加しており、一緒に愛知の発酵食文化を盛り上げてもらっている。今回、伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されたことを受け、いかにこの地域の魅力発信と誘客に生かしていくか、業界関係者や酒蔵のある地域の皆様とも検討し、今後の取組につなげていきたい。
協議会設立初年度の今年、ユネスコ登録がされたことは、本協議会がこれから活動していく上でも、大きな弾みになると思っている。しっかりPR、プロモーションを行い、認知度向上に一層努めたい。
【委員】
伝統的酒造りのユネスコ無形文化遺産登録が、愛知県内幅広にいろいろ連携ができると理解したが、そういう内容でいくと、例えば、山車文化についても、観光コンベンション局と関係あるのか。
【理事者】
山車文化に関しては、県民文化局の文化財室の所管だと認識している。
【委員】
愛知県の中のいろいろな伝統文化、あるいは様々な地元でやっているようなお祭り的なこと、そういう内容がいわゆる外国人からすると、興味が湧くような内容だと思ったので、結局そういったところを全部結びつけて、県でネットワーク化していくといいものができると思い質問した。
最初に委員が質問した観光振興課担当課長の答弁の中で、有名な観光地は残念ながらないというような話があった。それはもう以前の話で、今の食文化も含め、今は愛知県にも呼び込むべきコンテンツというか、材料は相当あると思う。愛知「発酵食文化」振興協議会は観光のプラットフォームだろうと思っていたが、先ほど委員も言った、あいち観光戦略に基づく観光振興施策の実施状況の中にある、あいち観光プラットフォーム推進事業については、そういったイメージとは違うように聞き取れたが、その確認をしたい。この観光プラットフォーム推進事業とはどういう内容か。
【理事者】
あいち観光プラットフォームは、県と県内の市町村、愛知県観光協会で構成する愛知・名古屋観光誘客協議会と、交通事業者、旅行会社、その他観光関係事業者で構成する全体ネットワークである。例えば、そのプラットフォームの中心となる愛知・名古屋観光誘客協議会では、主に地域資源の観光プログラム化や、あるいは県外に向けたPR、プロモーションを行っている。
この地域資源の観光プログラム化については、先ほどの発酵食もそうであるが、各地域の食文化などの地域資源を、地元の地域の人々の意向を踏まえながら、県として助言・提案を行いながら、旅行商品化して、それを情報発信する、販売支援を行う、といった取組をこの協議会等を中心に行っている。
【委員】
協議会で助言・提案に取り組み、その取りまとめを県のほうで行うと理解をしたが、私がこの資料を読んで、どちらかというと、旅行業者などを取りまとめるように思っていたが、そうではないと今理解したので、そういう方向でぜひ活動してもらいたい。
先ほどの話、有名な観光地がないという話だったが、特に今はジブリパークで、相当数の客を引っ張っていると思う。私が確認した内容では、ジブリパークの開園前の2021年11月から2022年の10月までの来園者、いわゆる愛・地球博公園のモリコロパークへの来場者が117万人であり、ジブリパークが開園して1年たった後の人数が261万人だったので、144万人増えている。
そして、さらに開園から2年目、これは全て開園したことも含んでいるが、2023年の11月から2024年の10月まで、これが何と283万人で、ジブリパーク開園の1年目から、2回目のカウントで22万人増えている。開園前から今現在、正確にいうと、2024年の10月までの間で166万人増えている。もちろんほかのイベントもやっているが、例えば新たな野球の大会をやったとかはあまりないと思うし、あっても若干のことだと思うので、推計であるがジブリパークに来たのが、ほぼ実数で166万人となる。
しかも来園者の中身でいうと、今はいわゆるスマートフォンのアプリで、どこの国から来たとか、性別や、また、年代もある程度分かるので、そういった内容からすると、細かいことはさておき、ジブリパークの開園から1年目で、その開園前の状態と比べると、愛知県の来場者が87パーセントだったのが、開園後は67パーセントで、逆にいうと、県外から相当増えている。さらには海外からも相当来ている。当時の話でいうと、アジアの人はこれまでも来ていたが、欧米の人が相当増えたというデータになっている。
このアプリのデータはお金がかかるらしく、直近の推計は出してないが、いずれにしてもこういう人々が愛知県に来られて、いわゆる周遊してもらえることになると、先ほどの食文化も含めて、いろいろ回ることも可能として十分あると思う。
ただ、ジブリパークができる前は連泊しないとこの会場は見られないと思っていたが、実は、チケットが全部取れてしまえば、上手に回れば1日で回れてしまうので、リピーターに頼るほうが恐らくほかのところへ行くことになるんだろうと思っている。
そういったことを想定した場合に、どうやってほかのところへ誘引するかを、いろんな資料、案内を渡すとかあったが、もっとよいやり方はいろいろあると思う。結局のところ、何もないのではなくて、もう既にジブリパークがある。それから来年できるIGアリーナへも相当海外から来ると思う。STATION Aiも予定では外国から結構な人たちが来ると思う。こういう常設会場、常設というのは県がある程度コントロールできるところに客が来る状態がもうできているので、ここをしっかりと、どうやってそこに来る人たちを引っ張るかをやってもらいたい。
ジブリパークの話でいうと、ジブリパーク株式会社が、いわゆる発券、チケットの販売の仕方を、平日を海外向け、土日は国内というふうに平準化している。そういったターゲットに向けて、ほかのところへの周遊が可能である。
IGアリーナやSTATION Aiがそこまでできるか分からないが、愛知県が管理する施設の運営なので、やりようがあるのではないか。だから、観光コンベンション局としては、できればスポーツ局とか、経済産業局と連携し、内容をしっかり把握して、その前提でどういった手を打つと広げられるだろうと検討してもらいたいがどうか。
【理事者】
観光コンベンション局だけで考えるのでなくて、庁内の関係局、あるいは庁外、市町村等と、いろんな関係者としっかり連携し、より効果的な周遊促進、そういったところに取り組んでいければと思っている。
【委員】
県内の人にしても、逆輸入というか、海外の人が行くのなら私も行ってみようという日本人のそういう行動はあると思う。そういったことも加味してもらえればと思う。
さらには、Aichi Sky Expo、国際展示場の運営もコロナ禍が明けて随分いろんなイベントができている。前回も言ったが、ロボット関係の展示会はびっくりするくらいの人が入っていたので、そういったことをしっかりとやることが、国際展示場関連の周遊にもつながるんじゃないかと思う。
改めてAichi Sky Expoの活用について考えていることがあれば教えてほしい。
Aichi Sky Expo
国際展示場については、コロナ禍の影響があり、昨年度の5月までは、なかなかフルスペックでの開催ができない状況が続いていた。しかし、今年に入り、コロナ禍も明けて、ようやく新しい産業展示会である、AXIA EXPOという次世代エネルギーをはじめとしたスマートシティをテーマとした展示会を6月に開催した。また、国際的な大会で、自動車産業の振興に資するような学生たちを招いて行う学生フォーミュラという大会を9月に開催した。国際的な催事についても開催できるようになってきた。
今後は、産業展示会であったり、国際的な催事、また音楽イベントであったり、そういった各種、人が集まることができる展示会や催事の誘致、営業を進めていきたい。
【委員】
期待しているのでしっかりお願いしたい。改めて、県がコントロールできるイベント会場、イベントも含めて、ジブリパーク、IGアリーナ、STATION Ai、それからAichi Sky Expoと、この四つがある。いわゆる常設であるから、年間のスケジュールもある程度把握しながら、2026年のアジア・アジアパラ競技大会、それから、今回の議会で答弁があった、第60回のアジア開発銀行年次総会も手を挙げるので、単発の大きなイベントも努力して引っ張ってもらう。そういったものの組み合わせで、切れ目のない観光をいろいろやってもらいたい。それによって、先ほどの発酵食文化の協議会や、県内にある蔵元、また自治体との連携も深まっていく。
これは経済産業局に頑張ってもらいたいが、愛知県も観光スポットが増えているが距離があるので、何とかうまく早く運ぶことをやってもらいたい。
先般、北米の調査に行き、シリコンバレーでASKAという空飛ぶクルマを開発中の企業、スタートアップに行ってきた。ほかのいわゆる空飛ぶクルマはEV、電気、モーターでやるが、そこはハイブリッドだと。だから距離も出せるという説明を受け、例えば品川から金沢までの450キロを飛べる。例えば、愛知県であれば、名古屋城を観光した後にジブリパークに行くと、そうすると空飛ぶクルマだったら15分ぐらいで行けるのでやってみてはどうかという話も実はさせてもらった。そんな夢みたいなことも含めて、ぜひ頑張ってもらいたい。
それからもう一つ、昨日、経済産業局で実証実験している自動運転、STATION Aiから名駅までの車に乗ったが、サンフランシスコでは自動運転タクシーが完全に実用化で走っている。そういった移動手段も含めた形で観光をやればいいし、あるいはほかの県に先んじて自動運転走行を優先してやる、要するにそれも観光資源にしてしまう。そのようなこともいろいろな形で考えながら、愛知県の発展に努めてもらえるように要望して質問を終わる。
【委員】
ふるさと納税について伺う。ふるさと納税というと、総務局ではないか、総務局の中でも、財政課であったり市町村課だったり、もっといえば、返礼品のことを含めると農業水産局なのかもしれないが、少子化対策のように、全庁横断的に考えていかなければ、愛知県から流出する分は防げないという意味で、あえて経済産業局に質問する。
昨年度、4年連続でふるさと納税額が過去最高額にたっした。1兆1,175億円、初めて1兆円を超えた。住民税を納税している6,000万人の中で、6人に1人はふるさと納税をしているような状況である。
例えば能登半島の震災で54億円ぐらいふるさと納税があり、前年度に比べて41億アップしたのは非常に美しい話であるが、基礎自治体や47都道府県に関しては、流出するほうが多い県もある。本来、住民税や所得税は、地域のために使うもので、それが流出してしまっている。どう確保していくのかを考えなければいけない中で、愛知の市町村を全額トータルで見ると、入ってきたのが329億8,300万円、流出額が547億6,400万円で赤字である。
基礎自治体で見ると、よく新聞やテレビで出ているが、横浜市が304億円流出している。名古屋市は176億円流出しているが、入ってくる分もあるので、名古屋市は59億円ほど最終的にはマイナスになっている。愛知県は、入ってくる分が3億7,000万円、出ていくものが175億円ぐらいあり、トータルすると171億円が毎年出ていってしまっている。たしか9月議会の補正予算額が170億円だったので、それだけのお金が丸々出てしまっている現状がある。
また、制度の不備とは言わないが、制度がおかしいなと思うのは、変な話だが、2,000円払うと、所得税と住民税、市県民税の控除があるが、市県民税の中には、当然だが、基本分と特例分があり、市民税が6割、県民税が4割で、市町村へ寄附をすると、市町村から6割抜けるが、あわせて県からも4割が同時に抜けていってしまう。
でも市町村の場合は、頑張ってふるさと納税の額を増やせば、ある程度差引きとしてはマイナスになる。県もふるさと納税をやればいいという議論もあるのかもしれないが、県がもしふるさと納税をすると、市町村と業者がかぶってしまい、市町村のふるさと納税を県が邪魔しているような形になってしまうので、県はある意味ひたすら取られていかなければならない。
市町村が、何とかプラスマイナス収支ができるように、経済産業局の力を借りながらお願いしたいなという意味も含めて、本県の税収増に向けて、県内各地域で商工業者支援を所管する経済産業局の所見を伺いたい。
【理事者】
近年、ふるさと納税に対する認知度の向上により、その利用者は1,000万人を超え、またその利用目的では、魅力的な返礼品が高い割合を占めている。地域の商工業者側の視点では、地元の市町村において、自社の商品をふるさと納税の返礼品として登録することは、新たな販路開拓や売上げの増加につながる可能性がある。そのために、制度の利用者が魅力的だと感じる新商品、新サービスを事業者が開発しようとする意欲が向上する効果もあると想定される。
現在、本県では、関係団体と連携して商工業者を支援しているが、その中でも各商工会・商工会議所が大きな役割を担っており、地域の事業者に対して、税務や金融、労務などの経営指導に加え、新商品開発や販路開拓を含めた経営支援を実施している。
ふるさと納税の返礼品への登録についても、事業者の事業拡大につながる手段の一つとして、各商工会・商工会議所が事業者へ行う経営支援に含まれており、特に経営基盤の弱い小規模事業者に対して、商品開発や販路開拓を支援することは重要であると認識している。
【委員】
ふるさと納税の納税者のモチベーションは魅力的な返礼品にフォーカスされており、各市町村がふるさと納税の税収額を増やすには、返礼品の充実を行っていかないと駄目だという中で、返礼品は事業者が各市町村に登録する必要があり、市町村を含めた積極的な商品開発を行っていかなければ、税収流出を防げないところがある。
愛知県の市町村でどこがトップかというと、名古屋市を除くと、例えば、碧南市だと24億円、西尾市だと22億円、幸田町だと28億円などがプラスになっている。その中で、ふるさと納税の収入額の大きい幸田町、碧南市等において、商工会・商工会議所と事業者とを連携して活動するなど、税収増に向けた取組として、具体的に県としてどのようなことをやっているか、もしくはどのような情報を把握しているか伺う。
【理事者】
ふるさと納税の収入額は、自治体による取組方法と、魅力的な返礼品の有無によって左右されるのではないかと推察している。商工会・商工会議所では、返礼品に登録できそうな商品を扱っている事業者に対して、制度について紹介し、希望があれば、自治体の担当者につなぐ取組を経営支援の一環として行っている。また、自治体から返礼品の登録協力について依頼があり、事業者を紹介した事例もある。
商工会と自治体、事業者等が連携して取り組んでいる商品事例としては、豊根村のキャビアがある。これは豊根村が地方創生事業補助金を活用して、2012年から村内にチョウザメの養殖池を整備し、大学と事業者が共同研究の一環として、キャビアの生産に取り組んだものである。10年が経過して、ようやくキャビアが獲れるほどチョウザメが大きくなり、2022年から返礼品として登録されている。この取組について商工会は、経営支援機関として伴走支援を実施している。
ほかには、商工会が開発した商品が返礼品に採用された事例もあり、西尾みなみ商工会が開発した茶うどん、かぶせ茶ジェラート、幸田町商工会が商品開発に関与した幸田町消防カレーなどが返礼品として登録されている。
【委員】
西尾市も幸田町も増えれば、もっと頑張らなければいけないというプラスのモチベーションになって、増えるところはどんどん増えていくが、減っていくところはどんどん減っていくような気もする。そういう意味では、先ほど委員が言った観光振興は、ふるさと納税だけではなくて、キャビアも含めて観光振興になるので、観光で人も来てくれるし、ふるさと納税でもしっかりと対応ができるところで、積極的に県が支援していかなければいけない分野なのかなと思う。
それとは逆に減っているところ、例えば、豊田市はマイナス15億円、岡崎市はマイナス13億円、一宮市もマイナス13億円、私の長久手市も約4億円マイナスである。これも国の制度としてどうなのかなと思うのは、例えば、地方交付税の交付団体はマイナスが10億円でも、交付税措置で75パーセント戻ってくるが、地方交付税の不交付団体は10億円マイナスになると、行ったきりになり戻ってこないので、長久手市みたいな小さな町だと、産業も商業もなかなか少ない中で、行ったきりのお金が4億円というのは相当大きなお金になってしまう。そういうところも県が積極的に商工会にいろんな成功事例を紹介してもらいたい。
碧南市は6万円ぐらいのふるさと納税を市の職員たちが頑張って2億円、10億円にして、今は20億円ぐらいになって、最終的には副市長とその職員が市役所を辞めてまちづくり会社を確かつくった。それぐらい市役所の中で勢いよくやっている人たちがいる。そういうところは、ふるさと納税額がぐっと伸びている。もともと地元の産業があったわけではなくて、彼らに聞くと、最終的なキラーコンテンツは何かというと、日常に使うものがふるさと納税額としては一番シェアを広くでき、ある意味、お米だということを言っていた。その発想に基づくのであれば、市町村が少し工夫するだけで、いろんなことができるのではないかと思うので、ぜひとも県の指導をお願いしたい。
三つ目の質問だが、県から商工会・商工会議所へ、小規模事業者経営支援事業費補助金による補助を行っているが、税収を増やす返礼品となる商品開発を個々の事業者は積極的に実施していくため、具体的にどのようなメニューで商工会・商工会議所へ補助を行っているのか伺う。
【理事者】
商工会・商工会議所においては、経営支援業務として、税務や金融などの指導と併せて、新商品開発や販路開拓などに関する支援も行っている。これに対して県からは、小規模事業者経営支援事業費補助金として、事業者を支援する経営指導員等の人件費や、専門家派遣等の事業費を補助している。加えて、個別の支援メニューとして、商工会等に設置されている青年部の活動等に補助する若手後継者等育成事業においては、新事業展開や商品開発、販路開拓等に関する取組を支援している。
また、商工会連合会が行っている広域振興等地域活性化事業においては、商工会地域の特産品を共同販売するアンテナショップを設置し、開発した商品を販売する場を設けるとともに、商品開発や販路開拓に関する助言指導も実施している。
県では、このような小規模事業者経営支援事業費補助金の様々なメニューにより、商工会・商工会議所等への補助を行うことで、事業者が行う新商品開発等を支援している。
【委員】
商工会・商工会議所の支援以外に、事業者が行う商品開発の支援を経済産業局として直接事業者へ行っているものがあれば伺う。
【理事者】
本県では、中小企業者や小規模企業者が地域資源を活用して行う新事業展開について、あいち中小企業応援ファンド助成金事業によって支援を行っている。
具体的には、本県の主要地場産業である繊維、窯業、食品、家具、伝統的工芸品産業を対象とする地場産業枠、その他の産業分野を対象とする一般枠のほか、県内地域資源のうち、農林水産物を活用して、あいち産業科学技術総合センター等と連携して行う農商工連携枠を対象分野として、新商品、新製品の開発、販路拡大、人材育成などの事業を支援対象に助成を行っている。
この中で新商品開発については、既存の技術を活用した新製品の開発や、新たな事業へ挑戦するための新商品の開発を行う場合等が対象であり、これに係る原材料費や製造、改良、加工料、試験分析費等について支援している。
【委員】
県に、商工会・商工会議所を中心に目をしっかりと向けてもらいたいため、自民党がつくる商工会議員連盟で、私も愛知県内の商工会の半分ぐらいを回った。抱える課題としては、人口減少のあおりをもろに受けていて、新しく入ってくる人もおらず、商工会の分母としての部員数も減っている。その中でふるさと納税は一つの契機、産業活性化の契機になり、あわせて観光振興の契機になると思うので、経済産業局としては、実態をしっかりと把握し、現地に足を運ぶ中で、その地場に合った指導と補助メニューを提示してもらいたい。地元にはいろんなものがあり、あり過ぎて逆にどれが適合なのか分からないという声も聴いたので、分かりやすく、また寄り添いながら支援してもらいたい。
何度もいうが、愛知県は、東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府に続いて5番目の流出県である。この175億円という流出額が、今後減らせる手段がない以上、少なくとも各市町村がしっかりとお金もうけというか、ふるさと納税を入れてもらい、税収につなげていく施策を愛知県が先頭を切って行っていかなければならない。
また我々議員も、この制度のある意味不備ではないが、県は何もしないのにお金を取られてしまう、何もしようがない愛知県から4割の税収が、ふるさと納税で抜けていってしまう。この制度設計について、国に対してしっかりとものを言っていかなければならない。我々も頑張るので、経済産業局にも大いなる期待して質問を終了する。
【委員】
建設業で働く人について伺う。
昨年度だったと思うが、昭和区での工事のところに、働き方改革のため、今後、土日の工事はしませんという立て看板が立てられていた。工事の進捗の関係で、働き方改革を広げる工夫をしていたと思うが、今年度4月から、建設業、自動車運転業、医師等についても、原則月45時間、年360時間、臨時的な、特別な事情がある場合でも、年720時間以内、単月100時間未満とする時間外労働上限規制が適用されている。
そこで建設業などの働き方改革を進めるに当たり、県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
労働者が健康で充実した生活を送るためには、建設業をはじめとした県内企業に、長時間労働の是正や、多様で柔軟な働き方の実現を目指す働き方改革を推進してもらうことが重要である。このため、県では、中小企業が働き方改革に関する社内研修を実施する際、講師派遣を行うサポートセミナーのテーマの一つとして、自動車運転業、建設業、医師等の働き方改革の進め方を設けている。
このほか、労働講座や冊子、労働法ガイドブックで、2024年度から建設業の時間外労働の上限規制について取り上げ、労使双方に周知啓発を行っている。また、働き方改革を推進するに当たり、休暇を取得しやすい職場環境づくりの観点も重要であるため、年次有給休暇の取得及び多様な特別休暇の導入等を積極的に推進する中小企業を後押しする、愛知県休み方改革マイスター企業認定制度を昨年7月から運用している。
11月末時点の認定件数は534件であり、そのうち建設業は218件、40.8パーセントとなっている。建設業の認定企業からは、会社全体で有給休暇取得率を上げようという意識が高くなったといった声もある。このような取組を通じて、建設業などの働き方改革の促進に努めていく。
働き方改革サポートセミナー
休み方マイスター企業認証制度
(裏面)
働き方のマイスター企業が、建設業は40.8パーセントで割合として高いが、今回、建設業について伺いたいと思ったのは、近年のこの大変な暑さ、今年も11月の半ばまで暑く、ようやく寒くなった感じだが、建設業で働いている人が、直接的にこの暑さの影響を受けているのではないかと思っている。
今年7月9日の熱中症の事故でネットの記事を紹介すると、午後5時頃、名古屋市中区平和のマンションの建設現場で、63歳の作業員の男性があおむけで倒れているのが見つかり、工事現場の責任者が消防に通報した。男性は病院に搬送されたが、およそ3時間後に死亡した。警察によると、男性は当時1人で内装工事をしていて、室内にエアコンは設置されておらず、熱中症と見られ、警察は当時の状況を詳しく調べている。
この7月9日は、愛知県、岐阜県、三重県の3県であわせて69人の熱中症や、その疑いで救急搬送があり、ほかにも死亡した人がいた。この日の天気予報は、35度以上の猛暑日のところが続出するであろう、熱中症に厳重な警戒が必要であると警戒も発せられており、このような状況の中で事故が起こっている。
また紹介だが、建設業を応援する情報サイト、建設魂というものがあり、そこで熱中症について記載されていた。建設業は、過去5年間の熱中症による死傷者が最も多い業界で、最新データである2023年の建設業の熱中症死傷者は209人、うち死亡者は12人である。国内の熱中症死傷者は、建設業と製造業が飛び抜けて多く、次点で運送業、警備業、商業が続いている。そして、建設業の過去5年間の死傷者は、熱中症に関して866人、うち死亡者は54人で、死亡率は6.1パーセントである。比較的建設業に近い製造業の過去5年間の死傷者は846人、うち死亡者は18人で、死亡率は2.1パーセントであることから、建設業は製造業と比較しても熱中症による死亡率が3倍近く高いことになるという記載があった。ほかにも、熱中症の発生件数が最も多いのは15時台で、先ほど紹介した中区の事故ともある程度重なるのではないかと思う。私も熱中症っぽくなったことがあり、本当にずっと変だなという感じが続いて、結構この後遺症というのも侮れない状況だと思う。
車を運転していると、本当に暑い日に外で作業している人を見るが、道路工事の現場で、車の誘導をしている人は比較的高齢の人が多い。生活上、この暑さの中でも仕事せざるを得ないと思うが、この車の誘導の仕事は適切にされないと事故にもつながるので、暑さと気を抜けない緊張感の中で、若い人にとってもだが、本当に大変な仕事だと思っている。
そこで、熱中症対策を含めて労働安全衛生対策について、どう取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
労働者の安全と健康を確保し、快適で働きやすい職場環境を整備するためには、労働安全衛生対策を推進することが重要である。熱中症対策については、国が毎年5月から9月までの間、STOP!熱中症クールワークキャンペーンを実施している。このキャンペーンでは、事業者や作業者が熱中症の予防に向け、取り組むべき事項を紹介するパンフレットや、企業が実施する項目をチェックリストで示したリーフレットなどを作成している。県では、熱中症対策に係るこの取組をホームページで紹介している。
また、県の取組としては、中小企業の経営者等に、労働災害の発生状況や、労働者の心身の健康の確保などをテーマにした労働講座を実施している。さらに、労働者の労働安全衛生に関する意識を高めるため、研修会を開催するとともに、リーフレットを作成し、労災防止に向けた取組事項を周知している。
労働安全衛生委託事業リーフレット
(裏面)
次に、労働新聞社のホームページに記載されていたものを紹介する。このホームページは、会員でないと詳しく見られないのでタイトルだけになるが、労働災害事例シートの中の熱中症関係である。1件目、処置が遅れ、新入作業者が熱中症で死亡。チーム員が適切な処置をしなかった。2件目、体調不良で出張作業中、熱中症で倒れる。共同作業者も熱中症の知識がなかった。3件目、熱中症への認識がなく、病院搬送時に死亡。とび工38歳。4件目、休憩なしに作業を続けていて体が動かなくなる。内装工61歳というような事例が挙げられていた。
先ほど、いろいろと熱中症についても啓発しているという答弁があったが、この記事で目についたのは、実はこの認識がないとか、共同作業者も知識がなかったとか、チーム員が適切な処理をしなかったとか、というようなことが挙げられている。啓発し、知ってもらいたい人に知ってもらうのは難しいことだと思うが、県もしっかりと、経営者だけではなく、働く人々にどう知識として知ってもらうのか考え、これだけ建設業の人が熱中症のリスクが高いことを考えて、もう一歩対応を進めてもらいたい。
そして、気候変動適応法が2024年4月1日に一部改正され、新たに熱中症特別警戒アラート、これまでは警戒アラートだったが、特別の警戒アラートが創設されたので、ここで質問する。この熱中症特別警戒アラートが出た場合、働く人々への対応として、どのようなことを求めるのか。
【理事者】
熱中症特別警戒アラートは、広域的に、過去に例のない危険な暑さ等により、熱中症救急搬送者数の大量発生を招き、医療の提供に支障が生じるようなおそれがある場合に、環境省、気象庁から発表されている。アラート発表時の対応方法も環境省が示しており、全ての国民において、熱中症予防行動の徹底を必要としている。
具体的には、エアコンを適切に使用する、こまめに水分、塩分を補給するなど、自分自身で身を守る、家族や周囲の人々による見守りや声がけなどを行う、経営者、イベント主催者等の管理者に、外出、イベント等の中止、延期等の検討を推奨している。
建設業をはじめとした全ての働く人々の命を守るため、経営者等には暑さ指数計などにより、職場の状況を随時把握し、測定した数値に応じて、作業時間の短縮を行うなどの対策を徹底してもらいたいと考えている。
引き続き、国と連携しながら、労使双方に熱中症を含めた労働災害の防止対策を啓発することで、安全かつ衛生的な職場環境づくりに取り組んでいく。
【委員】
仕事も中止してくださいと推奨できるということである。
学校でも、例えば部活は、アラートが出たらやめなさいねとか、そういうこともあると思うので、本当に厳しい暑さのときに、どう対応すべきなのかがもっと社会全体として、個々の判断プラスアルファでの判断になっていかないと、今後の暑さ次第ではあるが、熱中症で苦しむ人が出てしまうと危惧するので、国と連携しながら、よりよい指示の出し方とか、そうしたことも検討してもらいたい。
今年、愛知県熱中症警戒アラートの発令状況は、8月12日から9月15日までの35日間、延べ13日あった。また、今年、知事からの熱中症予防のメッセージが6月に出されており、特に子供や高齢者のことが多く取り上げられている。今後は、この建設現場の実情も踏まえながら、必要になった場合には、働く人々へのアピールを県として検討してもらいたい。これは要望である。ぜひ労働の立場から、必要に応じて検討願いたい。
【委員】
最近、特に労働者不足が言われている。学校の先生、保育士、看護師、医師、それから先ほど委員が言った建設業、土木業、またバス、トラックなどの運転手である。しんどい仕事は若者がそこへ行かないような傾向になっていると思う。
厚生労働省が定めている職業分類によると、日本にある職種の数は何と約1万8,000種類ある。大まかに分けると12部門になるそうで、管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者、販売従事者、サービス職業従事者、保安職業従事者、農林漁業従事者、生産工程従事者、輸送・機械運転従事者、建設・採掘従事者、運搬・清掃・包装等従事者、それ以外は分類不能の職業従事者となる。就業者数は6,476万人、一番多いのが事務従事者で1,406万人、次に専門的・技術的職業1,286万人と続いて、我々議員は管理的職業の分類に入る。
ある調査機関の来年、2025年卒、大学生就職意識調査によると、楽しく働きたいが最多である。増加幅が最も大きかったのは、個人の生活と仕事を両立させたいというもので、働きやすい環境を希望し、先ほど委員がいったが、育児休業を取得して子育てしたいという割合が男女ともに高い傾向にあり、学生のワーク・ライフ・バランス志向が反映された数字になっていると推測されている。
さらに、就職先として選ぶのは、大手企業志向が53.7パーセント、前年比4.8ポイント増加して、3年ぶりに5割を超えたそうである。これは物価上昇だとか、実質賃金の低下、また大手企業を中心とした賃上げ、初任給引上げなどに関する報道がなされる中、経済的な不安を軽減させたい思いから大手志向が増加したと考えられている。
でも、条件がよい企業は人気が高いし、競争率も高くて、全ての希望者、学生たちが望みどおりの企業に就職できるわけではない。たとえ第一希望でなかったとしても、その就職先で、楽しく働きたいという思いがかなえられるような就職先が見つかれば、そこに定着して仕事すると思う。
そこで尋ねるが、大学生を含む若者への就職支援として、県はどのような取組を行っているのか。
【理事者】
本県では、就職活動前の大学3年生等を対象に、中小企業の魅力を伝え、理解を深めてもらうことを目的とした中小企業経営者と学生の交流会を開催し、学生が企業経営者と直接語り合える機会を提供している。今年度は7校で実施し、企業34社、学生329人に参加してもらった。
企業については、本県で認定している愛知県ファミリー・フレンドリー企業、愛知県休み方改革マイスター企業、あいち女性輝きカンパニー認証企業など、ワーク・ライフ・バランスの取組を実践している企業の経営者を中心に参加してもらい、自社の強みや求める人材像、働きやすい環境づくりのために意識している点などについて語ってもらった。
また、愛知労働局と共同で運営する若者の総合支援施設である、ヤング・ジョブ・あいちに、あいち若者職業支援センターを設置し、大学生を含む若者を対象に、継続的なキャリアコンサルティングや臨床心理士による個別相談、職業適性診断、面接対策などのセミナーを開催するとともに、就職活動に役立つ情報をSNSで発信している。
これらの取組を通じて、若者一人一人の希望に応じたきめ細かな就職支援を行っている。
【委員】
様々な支援が行われていることは分かった。私も、ネット上であるが、就職したい人たちがどういうところから始めていくのかを調べたら、その就職準備の始め方から、自分に何が向いているか、その自己分析のやり方から、大手企業の選考情報や、戦略的就活テクニックなど、ありとあらゆる情報が出てきて、今の学生は本当に恵まれていると感じた。また逆に、情報があり過ぎてどこから手をつけたらいいのか、人の情報に振り回されて自分の意志はどこにあるのかとも思った。
その就職活動の情報が解禁となって、本格的に始まるのが大学3年生の3月からといわれているので、既に27年、28年卒業の人は、就職活動が実際に始まっている。早期の就職活動に対する学生の考えや感想のコメントの中には、早期選考が主流になり過ぎて、学業に支障が出る、また、最初早期化していることはうれしいと考えていたが、実際は思っていたより長期戦で大変だった。多分なかなか決まらないというところもあると思う。
その一方で、早期で終わらせることができて、余裕を持ててよかったとか、長く就活していたら卒業研究に響いていたので、早く終わってよかったなどの声もあった。
そこで、現在の大学生の就職内定率、今の状況だとかなりもう決まっている人も多くなっていると思うが、その状況はどのようになっているか伺う。
【理事者】
本県では、県内大学の53校及び短期大学17校のうち、調査の協力を得られた大学及び短期大学を対象に、例年10月から翌3月までの年6回、就職内定率の調査を行っている。最近の調査結果となる2025年3月卒業予定の10月末時点の就職内定率は、78.6パーセントとなっている。前年の10月末時点の結果は、1994年の調査開始以降、最も高い78.4パーセントだったが、今年はその昨年を0.2パーセント上回っている。
この結果から、就職活動開始時期が早まってきている中で、企業の採用活動も早期化している傾向が見受けられる。
【委員】
インターンシップやキャリアの位置づけが変わり、企業の採用スケジュールも多様化する中で、いつから動いたらいいのだろうとか、何から準備すればいいのか分からないという、そういう疑問を持っている人も非常に多いと思う。コロナ禍が明けて、就職率が随分伸びてきたことも分かったし、今日現在、就職内定率が10月末で78.6パーセントという数字も分かった。
そこで、この採用活動の早期化の動きに対して、県としてはどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
就職活動を始める学生を対象に、インターンシップや就職活動への心構え、理解を深めるとともに、企業研究の一環として、愛知県ファミリー・フレンドリー企業など、本県で認定している企業を紹介する就職に向けたガイドブックを作成し、県内の大学、短大や就職に関するイベントでの配布や、県のホームページにも掲載して広く周知に努めている。
また、採用活動の早期化の影響により、内定から実際に入社するまでの期間が長くなる傾向にあるため、学生側においては企業とコミュニケーションが取れない状況が続くことで、企業に対する疑問や不安が生じることがあると言われている。一方、企業側、特に中小企業においては、入社前の内定者フォローが難しいことや、採用数が少ないため同期との横のつながりをつくりにくい状況であることが、内定辞退や早期離職の一因となっていると言われている。
そこで、今年度は新たに県内中小企業の就職内定者を対象に、ビジネスマナーの習得やグループワークを盛り込んだ新社会人準備講座を、来週16日にウインクあいちで開催する。この講座の申込みに際しては、内定者本人からだけではなく、中小企業が内定者研修として申し込むことも可能としたところ、企業側から多くの申込みがあった。今後もこれらの取組を通じて、採用活動の早期の動きに対応していきたいと考えている。
新社会人講座準備チラシ
たまたまテレビの放映で、忘年会を今、どの世代が一番やりたいか統計を取ったら、20代の若い人たちが一番忘年会に参加したいとなっていた。昔は、それは嫌だといっていた世代が、人とのコミュニケーションを取りたいという、一番若い人たちが今そのように思っているのかと思った。
就職が決まっているところはいいが、なかなか来てくれないところは非常に大変だと思う。私も幼児教育の現場にいるので、保育士不足、幼稚園の先生不足は実感している。
実はこの間の土曜日か日曜日にウインクあいちで、福祉関係の人たちが企業説明会をしたら、3時間でたったの4人しか来てもらえなかったそうである。それも2人ぐらいは何となく冷やかしで、1人は聞いているのか聞いていないのか分からない状況であったが、1人はすごく熱心に聞いていて、この人は多分就職してくれるという希望があったといっていた。
情報を出すことによって、人のために自分もこういう職業に就こうと、いい人材が来るので、SNSで情報を出し、行政が間に入り、困っている職場や若者とか、そういう人たちをもっとマッチングできるような形でどんどん進めてもらいたい。
先ほど委員が言ったように、職場の働き方改革ではないが、日本人はあまりにも今までずっと真面目にやり過ぎたところがあったので、もう少しゆとりを持ちながら、仕事も休みも楽しめるような、そういう働き方に我々の意識も変えていかなければいけないし、そういう職場になっていけば、人材もいろいろなところに割り振られていくと思うので、行政にはぜひその間をマッチングさせる、そういう間のクッションになってもらうよう要望して終わる。