委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和7年3月12日(水) 午後1時10分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
経済産業局長、同技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和7年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第5款 経済労働費の内
第1項 経済産業総務費
第2項 商工業費
第3項 労政費
第4項 職業能力開発費
第5項 観光費
第6項 労働委員会費
第3条(債務負担行為)の内
21世紀高度先端産業立地補助
新あいち創造産業立地補助
一般事業資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経営強化資金(短期資金)融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経営強化資金(短期資金)融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
一般事業資金(短期資金)融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
あいち産業振興機構設備貸与事業損失補償
あいち産業科学技術総合センター施設設備改修工事
あいち産業科学技術総合センター施設設備改修基本設計
雇用セーフティネット対策訓練業務委託契約
障害者職業訓練業務委託契約
三河高等技術専門校東三河校・愛知障害者職業能力開発校建物取壊等工事実施設計
高級ホテル立地促進事業費補助
第 6 号 令和7年度愛知県中小企業設備導入資金特別会計予算
第 40 号 産業空洞化対策減税基金条例の一部改正について
第 41 号 産業立地の促進のための不動産取得税の減額等に関する条例の一部改正について
第 42 号 愛知県労働者福祉施設条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第6号及び第40号から第42号まで
○ 請 願
第 96 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第96号
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第127号関係)
3 議案審査(5件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
4 休 憩(午後2時52分)
5 再 開(午後3時3分)
6 採 決
7 請願審査(1件)
8 一般質問
9 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
歳出第5款、経済労働費第2項第1目、商工業振興費のうち革新事業創造戦略事業費、戦略推進費について伺う。
まず二点伺う。2022年12月に県当局において、革新事業創造戦略が策定された。愛知発のイノベーションを絶え間なく創出していくための新たな仕組みとして、企業や大学、研究機関等幅広い主体から提案を受け、社会課題の解決と地域の活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指すものである。
プロジェクト創設の仕掛けとして、革新事業創造提案プラットフォームとしてのA-IDEAを運営するとともに、革新事業創造事業費補助金により民間主導で行われるイノベーション創出プロジェクトを推進しているものと理解している。
そこでまず一つ目として、これまでの同事業の実績と成果、課題について伺う。
予算の概要、参考資料によると、新年度に4年目を迎える同事業において、新たにSTATION Aiへの事務局設置や市町村におけるイノベーション創出支援とイノベーションエコシステムの形成強化を図るとしている。
昨年、2024年3月に中小企業庁が地域の包摂的な成長を実現するには、その地域の特性に合った多様な主体や産業がそれぞれの強みを生かして連携し、多様性と連携による地域づくりに取り組むことが重要であるとして、特にビジネスの手法で地域課題の解決にポジティブに取り組み、社会的インパクトを創出するローカルゼブラ企業の育成を推進するとして、地域課題解決事業推進に向けた基本指針が策定されている。
新年度新規の取組として、市町村の地域課題に地域のリソースを活用し、あるいはA-IDEAによる事業マッチングを通じて、イノベーション創出につなげようとする取組は、国の示しているこうした基本指針に合致するものだろうと考える。
そこで二点目として、新年度新たに取り組もうとしている市町村におけるイノベーション創出支援について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
まず一点目、革新事業創造戦略に関する事業の実績、成果、あるいは課題について、この事業は2022年から事業化しており、これで丸3年ほど取り組んだという形になっている。
成果としては、ウェブ上にプラットフォーム、A―IDEAを設けているが、現在会員数が約730人、そしてアイディアの登録数が約140件、技術研究のシーズが約260件と着実に増加している。
そして、具体的な官民協働のイノベーションのプロジェクトとしても、農業、デジタルヘルス、環境、モビリティ、スポーツと5件が今、部局横断的に進められている。
これに加え、民間にも補助金を2023年度から出しており、2023年度には9件、そして2024年度には7件を採択した。その実績としては、まだ去年始まったばかりなものであるため、十分調べ切れていない面があるが、昨年度分について、今年の年明けからいろいろ調べたところ、具体的な成果を紹介すると、自動車メーカーの大豊工業株式会社から提案があって採択したメッキ加工の排水を低コストかつ大幅な環境負荷が図れるようなシステムについては、大分研究開発が進み、先月、今年の2月から有償契約を結んでの実証が開始されたようである。
そして、STATION Aiにも入居している農業系のスタートアップ企業である株式会社ミライ菜園が開発した病害虫を防除するDXアプリは、JA豊橋において有償での導入が進んでいるほか、県内外で七つのJAで実証が進んでおり、幾つかは進捗がある状況である。
そして、課題としては、県の行政だけではなく、市町村において官民連携が生まれる環境整備がこれから必要であると考えている。実際に先行して取り組んでいる市町村もあるが、54の市町村にアンケートを取ったところ、官民連携をどのように進めてよいのか分からない、あるいは地域課題をどのように抽出し、提示してよいのか分からないとの課題があったほか、それ以外の課題として、様々なイノベーションプロジェクトが立ち上がってはいるものの、社会実装に至るまでのサポートについては、まだ我々も手探りの状況である。
二点目として、市町村におけるイノベーションの創出支援に、どのように取り組むかについては、今市町村のアンケート結果を紹介したように、市町村が抱えている社会課題を見える化、言語化する取組の実施を考えている。具体的には、市町村の職員を対象としたワークショップ、研修や、あるいは民間企業が地域課題に関心を持ってもらえるようなセミナー等の開催を考えており、可能であれば年度内には行政側から企業に対して解決したい課題を提示するガバメントピッチを実施しようと考えている。
【委員】
既に会員が約730人で、大変多くの人が登録している。また、シーズ、あるいはアイディアにおいて、それぞれ260件、140件と、順調に登録してもらっていると思う。
私もこのプラットフォーム、個人として会員登録して、様子を見させてもらった。非常に多士済々、様々なジャンルの人々が登録しており、ここがまさに県のプラットフォームとして登録した人がそれぞれ自発的に、相互に連携を取り合いながら、情報を取り合って、そこから新たな事業が展開していくことができれば大変すばらしいなと、期待している。
そうした中で、補助金の関係について、民間の補助金の採択件数が令和5年度は9件、そして令和6年度は7件で、事前に聞いた申請件数がそれぞれ令和5年度は42件、令和6年度には55件あった。
そうすると、この事業自体は採択か不採択かが問題ではなく、いかにイノベーションを起こしていく、事業化を進めていくことができるかが大変大事なものであると思う。
そういう意味において、令和5年度は、42件の申請があった中で、9件が採択であるほか、令和6年度も、55件の申請があり、うち7件が採択されたが、この採択に漏れた人々をいかに事業化に持っていくのか、そのフォローアップが大変大事になってくると思う。
特に採択するに当たっては、幾つかの視点で指標をもって審査しているとのことであるので、むしろ不採択であった事業者の人々に、このような視点がまだ足りていないというようなアドバイスをすることで、また次につながっていくのではないかと思う。その点について、どのように事業者に対してフォローアップの取組をしているのか伺う。
二点目として、現在、新年度の同事業の業務委託先事業者の選定も進めているかと思う。委託業務の内容を見てみると、STATION Aiの内にA―IDEAの事務局の設置、運営をはじめとして、提案の具体化に向けた支援や、プラットフォームの活性化に向けたイベント、また運営管理など、一定の経験とノウハウを蓄積していくことが重要になると思われる業務がある。
このような事業を担う事業者が早々に変わっていくことは、必ずしも安定的に運営が委託できるかというとそうではないと思う。現在、委託業者の業務期間は1年ごとの契約となっているが、安定的に業務を委託していくことにおいては、複数年で委託しながら取り組んだほうがより効果が発揮できるのではないかと考えるが、その点について伺う。
【理事者】
まず、不採択となっている案件のフォローについては、提案前の事前相談において、コミュニケーションを取っている中で、例えば革新性があるか、あるいは社会課題を解決する必要性があるかなどの審査の着眼点について対話しながら、アイディアをもう少し練ってもらうことや、あるいはブラッシュアップを促す取組もしていることに加え、提案内容にマッチする他の支援制度もあることを紹介するなどの、様々な形でイノベーション創出、事業化に結びつけるサポートを行っている。
また、それ以外にもウェブ上のプラットフォームについては、補助金を使うか否かにかかわらず、自立的なオープンイノベーションを促す場としてつくっており、上手に組み合わせると物になりそうなアイディアやシーズ、支援施策などを登録している人にフィードバックする機能も備えているため、そのようなものも使ってブラッシュアップを図れるとよいと考えている。
また、委員から言及があったように、STATION Aiの中に実際に事務局を置く取組を新年度から行っていく。そのようなリアルな拠点も生かしながら、提案の磨き上げを行っていく。
そして、来年度の委託の公募について、議会で議決されればという条件の下で今公募をかけている。なぜ単年度での委託かについて、イノベーションの創出という取組は、正直試行錯誤で中身を考えながら進めている。冒頭で2022年からこの取組を始めていると申し上げたが、最初の年は戦略の策定、そして今話したプラットフォームをつくる仕事、次の年は補助金を創設した。それから、プラットフォームを普及するためのイベントを立ち上げた。そして、2024年は、今までのフォローアップと、プラットフォームのコンテンツの充実に取り組んでいき、来年はいよいよリアルな拠点づくりと、業務内容を毎年毎年様々に考えながら進めている状況で、毎年見直しも図っているため、それに応じて最適な事業者を選定していきたいという考えの下で、単年度契約としている。
【委員】
今まで事業については単年度として、手探りの状態の中でということも理解するが、先ほど申し上げたように、この事業をきちんと進めようとすると、一定の経験値を踏まえた上でどのようなアドバイスをするのか、またどのようなところとのマッチングを進めたらいいのかが大変重要になってくると考える。今一度複数年についての考え方を伺う。
【理事者】
プラットフォームが基本的に固定のもので、同じような形で運営していく形のシステム運用であれば、いわゆる長期継続契約が可能となるとは思うが、実際のこことここがマッチングできるという話について、人手を介して行っている部分もあるほか、毎年イノベーションが起こる環境も変わる。また、STATION Aiというリアルな拠点が新たにできるなど、安定的にできる状況ではないので、今後の検討課題としていきたい。
【委員】
歴史観光推進事業費のうち、大河ドラマ豊臣兄弟!を活用した観光PRについて、先日の本会議で中村貴文議員の議案質疑に対して観光コンベンション局長から答弁があったが、私も中村区に生まれ、中村区で生活し、これからも生活する住民の一人として質問する。また質問の途中で尊敬する偉人を呼び捨てにするところもあるが、許してもらえればと思う。
これまで豊臣秀長公が登場するテレビドラマは、1965年の太閤記、1989年の春日局、おととしのどうする家康など幾つかあったが、主人公となるのは初めてであり、地元中村区の区民は、本当に盛り上がっている。
天下人である太閤豊臣秀吉、そして秀長公の生誕の地は、今の中村公園内、豊國神社となっており、私も自宅がそこから徒歩5分ということもあり、幼少期から何度も訪れた中村公園の中に大河ドラマ館が建設されるというニュースを見て大変うれしく思ったほか、最寄りの名古屋市営地下鉄中村公園駅周辺を色華やかにのぼり旗等で盛り上げ、そして、町のシンボルの赤い大鳥居から豊國神社に続く参道も整備し、バリアフリー化も進めていくということである。我々の地域は駅裏や柄が悪いという暗いイメージが根強くあるが、名古屋駅の西側の魅力向上につながると大変期待している。
名古屋市は、大河ドラマ館の整備事業などに4億円の予算づけを行った。尾張三英傑はじめ、名古屋ゆかりの地とも連携した観光PRに取り組むことで、市内、県内の地域経済の活性化を図るとしているが、他県との連携については、やはり県に期待するところが大きいと聞いた。
そこで、県は豊臣兄弟!を活用した歴史観光の推進に当たり、名古屋市とどのように連携して取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
まず、県は、名古屋市を含む県内各市町村と連携し、あいちの歴史観光推進協議会として、県内各地と豊臣兄弟!ゆかりの地の県内外への情報発信、来県した観光客の県内各地への周遊促進、滋賀県や奈良県との県域を越えた広域周遊キャンペーンなど、様々な取組を実施していく。
その中でとりわけ名古屋市との関係としては、JR名古屋駅の中央コンコースにインフォメーションセンターを設ける予定である。インフォメーションセンターで豊臣兄弟!ゆかりの地をはじめとした情報を提供する予定であり、そのセンターの運営も名古屋市と共同で運営していくことを考えている。
また、NHKとタイアップしたイベントも名古屋市と連携して実施することを考えており、現在具体的な検討を進めている。
今後も歴史ファンはじめ多くの人々に愛知、名古屋に来てもらえるよう、名古屋市とも一緒になって、名古屋市の大河ドラマ館や名古屋市内の歴史スポットのプロモーションなどにも取り組んでいく。
【委員】
名古屋駅コンコースのインフォメーションセンターにも期待するほか、滋賀県、奈良県との連携についても頑張って取り組んでほしい。
豊臣秀長公は、我々の地元では超有名人であるが、秀吉と比べると知らない人もいるので、少し人物について触れる。今回主役となる豊臣秀長は、史上最強のナンバー2といわれていて、実力がありながらも決して出しゃばることはなく、秀吉を陰で支えた名補佐役として知られている。また、籠城戦に非常に強く、守備の名手としても高い評価を受け、後に大和大納言と尊称されるまでに至った。その性格は温厚で、真面目一筋であったと豊國神社の宮司から言われたことを強く覚えている。
また、史実に残るエピソードも、秀長については、褒められることはあっても、悪く言われることは一切なかったなど、目指すべき人物像でもある。秀吉は、政治について、外交は千利休に聞け、そして内政は秀長に聞けと誰よりも大事に思い、信頼していたが、残念ながら52歳という若さで亡くなった。歴史にもしもはないが、秀長が長生きしていたら、豊臣家の天下が長く継続できていただろうと多くの歴史評論家が語っている。
秀長が秀吉に代わり城代を務めた長浜城、また大いに存在感を発揮した賤ヶ岳の戦いの古戦場がある滋賀県長浜市、秀長が城主を努めた郡山城のある奈良県大和郡山市も大河ドラマ館を設置するように準備しているとのことである。
大和郡山市は、市役所に大河ドラマ担当窓口を新設するなど、熱量や、力の入れ方がすごいと感じている。残念ながら滋賀県を訪れた際に彦根城は行くけど長浜城には行かないとか、奈良県でも、法隆寺や東大寺、奈良公園には行くけど、大和郡山市まで足を伸ばすことはないといった声も多く聞く。
秀長役で今回大河ドラマの主演を務める仲野太賀さんは、郡山城の印象を大阪城に比べると地味、ただ名補佐役である秀長の性格や役割に合った城であるとの絶妙な表現をしている。中村区でも、アジア競技大会で使用されるBMXのコースを中村公園に隣接する名古屋競輪場の中に設置するほか、大河ドラマ館の設置で非常に盛り上がっているが、まだ温度差を感じており、地元議員としてしっかり努力しなければならないと感じた。
先ほど答弁した担当課長は、多忙の中プライベートで長浜城、大納言塚の現地調査を行ったと聞いた。
私が大納言塚を訪れた際、誰もおらず、大和郡山市でも中村区と全く同じ雰囲気を感じた。担当課長も同じように感じたと思う。このようになかなか日の当たらない地味な同じ境遇の三つの地区がしっかり連携する取組に対して、県としてもサポートしてほしい。
また、滋賀県や奈良県と連携した広域周遊キャンペーンも大変重要であるが、大阪府や京都府のような多くの観光客を取り込んでいる自治体に対しても、周知、誘客活動を行っていく必要があると考える。
実際に豊臣家といえば大阪とイメージする人は大変多く、全50話の平均視聴率16.6パーセントと高視聴率を記録し、歴代最高傑作ともいわれている大河ドラマ真田丸でも、大坂の陣など大阪中心の描写が多く放映された。昨年秋に私も大阪城を訪れた際、国内外から多くの人が訪れているのを見て、中村区にも来てもらいたいと、少し悔しいというか寂しい気持ちになったことを覚えている。
このように大阪で豊臣家に興味を持った観光客にもぜひ本県に訪れてほしいと思うし、豊臣家に親しみのある大阪府民も、豊臣兄弟!に対しての関心は非常に高いと思う。
その大阪で愛知の歴史観光をPRすることは、本県の観光誘客に効果的であると考える。間もなく大阪・関西万博が始まり、県は、8月に名古屋市と連携して万博会場内に自治体ブースを出展すると聞いている。
万博会場の県と名古屋市ブースや万博会場以外の大阪の地において、豊臣兄弟!を活用した愛知のPRを実施する予定があるか。
【理事者】
大阪・関西万博の会場や、その他大阪府でのPRについて答弁する。
まず、現在、大阪府において、歴史観光推進事業とは別の事業になるが、二つ考えている。一つは、大阪・関西万博の会場において、8月22日から24日までの3日間、愛知県と名古屋市が共同で出展する際、愛知県の観光PRを実施する中に、豊臣ゆかりの地も含めた歴史観光の魅力も発信していきたいと考えている。
もう一つは、毎年、県では関西圏でも愛知の観光物産展を開催しており、今年度は、11月30日と12月1日に大阪府の梅田で開催した。来年度は時期、場所も未定であるが、できれば万博期間中に合わせて開催したいと考えており、その中で愛知の歴史観光の魅力も発信していきたい。
なお、歴史観光推進事業費に関して、豊臣兄弟!放送開始後に、先ほども少し触れたが、滋賀県、奈良県と広域周遊キャンペーンを実施することとしている。そのキャンペーンについて、大阪府でも、鉄道交通広告などを活用した広告展開を考えていきたい。
【委員】
大阪府でのPRは、万博の期間、もう半年を切った状況で絶好のタイミングと思うので、ぜひ豊臣兄弟!をPRしてほしい。
秀長公の説明が少し長くなってしまったが、最後に要望して、質問を終わる。
制作統括プロデューサーが物語の始まりが中村になることは確実と明言しており、豊臣兄弟!のルーツは大阪府ではなく尾張、中村と多くの人に知ってもらえることは大変うれしく思っているが、豊國神社の神事、催事で地元の人と話をすると、放映が始まっても初回とか2回、3回ぐらいで中村を離れてしまい、近畿方面に舞台が変わってしまうのではないかと非常に心配する声が多くある。
このようなネガティブな意見が多い背景には、豊臣家は公共放送で扱いづらいと言われ続けてきた背景がある。また、豊臣家と親戚関係にあり、人気武将ランキングでは大体10位前後を行ったり来たりしている加藤清正公も中村区出身で我々の尊敬する偉人であるが、この加藤清正を大河へという有志が集まった会議を立ち上げて、署名活動などを必死に行った。
私もその一員として活動したが、その際、後に清正が肥後守として着任した地である熊本県民も立ち上がって2015年から2016年辺りにかけて連携しながら活動を行ったが、NHK側から豊臣秀吉が行った朝鮮出兵、文禄の役、慶長の役で主力として戦った加藤清正、というイメージが定着しており、近隣諸国からの反発が予想されることを理由にハードルが高く実現できなかった。
そうした有志の活動は中止しているが、豊臣秀長という新たな観点から久しぶりに豊臣家、尾張中村が注目されることに大変期待しており、地元の期待も大変膨らんでいる。
地元も知恵を振り絞って頑張るので、県としても名古屋駅に設置されるインフォメーションセンターや広域周遊キャンペーンを通じて力強くサポートしてほしい。
【委員】
大きく三点伺う。
まず、予算に関する説明書の185ページ、雇用対策事業費の(2)中小企業人材確保事業費の中で、イ奨学金返還支援事業費について伺う。
これは、この間の一般質問でも取り上げられていたし、おとといの経済労働委員会でも減額補正を議決したばかりである。新年度に当たって予算額を減らして計上されているが、令和6年度の新規事業であり、実は県がこの事業を行う前に、県内の市で同じように、市の場合は市内に住んでいる人が市内の企業に勤めた場合に、奨学金返還の支援をするという施策を取っていた市がある。
私の地元豊橋市も、委員長のみよし市も同様であったかと思う。また、一宮市や、ほかにもあったかと思うが、この事業はそれぞれ目的や効果が、市と県では少しずつ異なっている。去年委員会では言っていないが、この事業を先行的に進めた市と、後から出てきた県が、足の引っ張り合いをするのではなく、相乗効果が出ればなおよいことを伝えたと思う。今年度この事業を執行するに当たり、既に事業を開始していた市に対して、何らかの影響があったのかなかったのか。よい影響であればよいが、少しそうではない影響があったのであれば、その辺りをどのように調整して、新年度この事業を行っていこうと考えているのか。
二点目は、同じく予算に関する説明書の177ページで、地域産業振興事業費の中の(1)地場産業振興対策費の中で、まずウについて伺う。あいちの酒需要拡大促進事業費として567万7,000円を計上している。これは新規事業ではないと思うが、今まで事業を行ってきた中でどのような事業効果があり、新年度はどの辺りを改善した上でこの予算を計上して執行しようとしているのか。
三点目も、同じく予算に関する説明書の177ページ地域産業振興事業費の(1)地場産業振興対策費、イの伝統工芸産業振興事業費について伺う。愛知県内には法律に基づいて経済産業大臣が指定した伝統的工芸品が15品目ある。
例えば私の地元の豊橋市では、豊橋筆が指定されている。ただ、その豊橋筆も筆を利用する人が年々少しずつ減少していることもあり、なかなか厳しい状況にもある。筆を作る事業所の数も減少してきている。
市場、マーケットが小さくなってきていることもあるが、豊橋筆を例にすると、原材料を調達することもなかなか難しくなってきたとのことである。筆であるので、動物の毛を使っているほか、軸の竹も細いもの、太いもの様々あるが、そのような材料が手に入らなくなってきている。輸入に頼ってきたものの輸入が止まってしまっているところもあるようである。そのため、筆の毛を作ろうとしても今ストックしてあるもので何とかつないでいるほか、国内で手に入るものも本当に限られてきていることから、厳しい状況であるということを、職人たちからも聞いている。
別に筆に限ったことでもなく、このような伝統的工芸品は、職人が使う独特の道具があり、筆でも様々な道具があるが、そのような道具を作る職人がいなくなってきているようである。それはマーケットが小さくなってきた分、伝統的工芸品が売れなくなると、道具を作る人々も減ってしまっている状況であるため、職人が使っている道具も少しでも長持ちするように大事に使っている話も聞く。
伝統的工芸品と一口に言っても様々なものがあり、それぞれ事情や置かれている状況が異なると思うが、将来を見据えたときに明るい未来が開ければいいものの、開いていくまでにも様々な事情で山あり谷ありになっていくと思う。
そこで、県内15の伝統的工芸品産地について、それぞれ困り事や悩み、改善策など様々なことを考えていると思うが、愛知県としてこのような課題を現在どのように調査し、把握して予算にしたのか。
県の奨学金返還支援制度の市に対する影響について、愛知県内の市町村では、12の市町村で奨学金返還支援制度を設けている。その中で愛知県が後から支援することになったが、豊橋市やみよし市は県が行った後に続いて市が支援する形になったと聞いているので、企業や支援を受ける若者は、支援期間が長くなるメリットがある。
まず、日本酒の事業についてである。本県産業振興課では、あいちの酒需要拡大促進事業費として、予算を567万円組んでいる。その中には、日本酒の販路拡大を含めた形で、まずは東京都での試飲会への蔵元の出展、また愛知県内での出展、その他酒造組合との連携の下、各情報交換等を行いながら進めている。特に最近では発酵食文化が注目されているので、日本酒についても同様の形で進めている。
東京都等では3回、名古屋市では3回の試飲会を進めて日本酒の需要促進を進めている。
また、産地の人々が一堂に会し、対面で意見交換を行う愛知県伝統的工芸品産業振興対策会議において、各産地の出席者から聞き取りを行っており、直近の会議では後継者の育成の難しさ、原材料の価格高騰による調達の難しさ、知名度の低さ、日本人の生活スタイルの変化によるニーズの変容などが課題として挙げられている。
こうした機会を捉え、引き続き課題の調査を始め支援を進めていくが、来年度の事業としては、あいち伝統的工芸品産業持続強化支援事業として、産地企業にマーケティング等の専門家を派遣して新商品開発やPR等のアドバイスを行う事業や、海外バイヤーとのオンライン商談会を実施するなどの国内外への販路拡大に向けた取組を進めていく。
また、伝統的工芸品産業後継者確保支援事業として、喫緊の課題である人手不足については、後継者のインターンシップ事業を実施して進めていく。
【委員】
まず、奨学金返還支援事業費である。先行的に行っていた市が県の施策とどういうふうに整合性を取っていくかを去年考えたと思う。それが良いとか悪いとかではなく、相乗効果を生む形で、奨学金返済について少しでも新しく社会に出た人々の力になれるものであればよいという思いで今回質問した。細かい話し合いになるかもしれないが、市と県は別々ではなく、足らないところを補うとか、必要なところを探りながら、改善できるところは改善していくことを要望する。
次に、日本酒に関する部分である。新年度も試飲会を開催するということであり、それによってトータルで日本酒の消費量が増えていくのであればよいと思うが、残念ながら、私の住む東三河でも、何年か前に、設楽町にある県民であれば多くの人が知っている酒蔵よりも歴史のある酒蔵が閉じたほか、豊橋市でも昨年度に酒を作るのをやめ、作った酒が全部売れたら蔵を閉じるところが出てきている。
消費量が拡大すれば続けていくことができるかは一概にはいえないが、設備が老朽化し、設備投資をして、投資額に見合った販売量で投資が回収できるかどうかで悩んだ結果閉じることとなった。
それぞれ事情はあると思うが、消費を拡大していくことは大事である。試飲会だと日本酒好きな人が飲んで、この酒がおいしいだとかというものだと、拡大にはなかなかなっていかないため、観光と一緒になって、例えばペアリングではないが、ワインのように、この和食に対してこの日本酒が合うというような、もう一工夫二工夫があると、何か新しい糸口がつかめていくのではないかと思ったため、質問している。酒蔵も今厳しい状況にあるのは間違いないため、消費拡大だけではなく、様々な面から支援してもらうよう要望する。
最後に、工芸品についてである。本当に県として応援していることも承知しているが、もう一点伺う。時代が変わり、生活環境も変わった。例えば仏壇も大きな仏壇は要らなくなり、着物ももう着なくなるなど、工芸品によっても取り巻く環境、背景は違っていると思うが、県として様々な課題を抱えている工芸品産地に対して、新年度、何か今までと違った支援策を具体的に考えているのか。
【理事者】
来年度、先ほど触れたあいち伝統的工芸品産業持続強化支援事業を行う。指摘のような、時代の流れにより大きな仏壇が要るのかなどの課題がある。その中で伝統的工芸品産業の企業の人々がグループをつくり、新たな商品開発などに取り組むことを支援する事業を考えている。
先ほど言ったように新しい製品や、後継者の問題もあるため、そのような部分も含めてトータル的な支援を行っていきたい。特に新商品開発には力を入れてやっていきたい。
【委員】
伝統工芸品は、時代が変わって、ニーズが減ってきている部分もあるほか、市場を拡大すればまだ使えるものもあると思う。私もよく言っているが、技術に対しての価値ができなくなってきているのではないか。例えば家では、細かい造作について、昔は良い職人が作っている、これは良い木を使っているとか、着物だと良い技術で作られているとか、筆であれば筆を使う機会が多くあれば筆も使ってくれると思う。できたものの価値が分からないと、もしかしたら値段もつかないかもしれない。値段からしかその価値が判断できない人が大分増えてしまっていることも一つの理由ではないかと考えると、子供の頃からそうしたものに少しでも触れる機会があるといいと思う。
豊橋筆では戦後、子供たちが筆を使う機会を増やしたいと、動いた先人がいた。子供たちがいかにいろんなものに触れていく機会があるのかが後の消費につながっていく部分もあると思う。こういった機会もこれは他の部局になってしまうのかもしれないが、つくってほしい。
【委員】
予算に関する説明書の184ページの中小企業男性育児休業取得促進事業費の普及推進費について伺う。今年度も中小企業の男性育休の取得事業として実施していたが、まず来年度の普及推進費の内訳について伺う。
【理事者】
普及推進費の事業費の内訳は、育児休業取得を企業へ普及推進するため、県内企業に専門家を派遣するアドバイザーの派遣を25社、1社当たり3回で計75回、あと法改正のポイントなどを解説する普及啓発セミナーを2回、各回50人で実施する。
そのほか普及啓発リーフレットの作成やウェブ広告などにより、本事業のPRを行う。
【委員】
セミナー2回、各50人ずつで実施ということであるが、令和6年度も委託事業を実施し、ウインクあいちにおいて、参加者が19人とか7人で、オンラインの参加も十数人と聞いた。これについては実際どのような人数であったのか、また、それを踏まえての来年度の予算組みであると思うので、令和7年度の見通しについて伺う。
【理事者】
普及啓発セミナーの令和6年度の実績は、計3回開催しており、1回目が8月22日に開催し、参加者が合計19人で、内訳は会場が7人でオンラインが12人であった。2回目は9月24日に開催し、参加者が合計25人で、会場が7人、オンラインが18人であった。3回目は10月28日に開催し、参加者が合計19人、内訳は会場が7人、オンラインが12人であった。
今年度は参加者が少なかったため、来年度は開催回数を2回、各回50人という形で開催する方向で考えている。
なお、参加者を募集するに当たり、中小企業や商工会議所、ハローワークなどへのチラシ配布や、グーグルやヤフーでのリスティング広告の活用、あいち働くパパ応援サイトでのPRを積極的に実施し、人数を確保していきたい。
【委員】
男性育休を取得してもらうためのセミナーなので、この事業を普及推進するに当たり、子育て中の人、もしくはこれから子供を持とうと思っている人が対象になると思うが、当然子育て中の人が会場まで出向くことは少し考えにくい。子育てをしているので、できるだけ子供に接する時間をたくさん持つことを考えると、オンライン参加がメインになってくるのではないか。そうすると、実際に想定どおり2回の開催で、各回50人の参加人数が達成できるのかを考えると、なかなか厳しいのではないか。
今後、開催の仕方などをもう一度違う視点で考える必要があるのではないか。企業側からすると、環境づくりをするためにワークショップに参加することもあると思うが、現実的に考えると令和6年度に開催された3回のセミナーの人数からすると、その倍以上の参加者を来年度に集めることはかなり厳しいと思うので、育児休業を取得促進するためのという言葉からすると、もう少し実態に合った募集の仕方をするように要望する。
次に、外国人材確保支援事業について伺う。本県の産業の担い手としてより一層期待されている外国人材の確保を支援するため、今年度新規として掲げられている予算7,795万5,000円の内訳について伺う。
【理事者】
外国人材確保支援事業費の内訳は、相談窓口となる外国人材受入サポートセンターの設置経費として約3,300万円、それから企業対象に専門家による伴走型支援を行う経費で約950万円、このほか、受入れ段階に応じた企業向けセミナー開催経費が約600万円、また働いている外国人従業員を対象にした日本語研修にかかる経費が約440万円、そして、既に日本にいる外国人材を対象とした合同企業説明会にかかる経費が約640万円である。
また、海外のオンライン合同企業説明会や、インターンシップをモデル的に受け入れる事業の経費が約1,860万円である。
【委員】
そうなると、外国人材の就業支援や生活の相談はもちろんのこと、就業に当たっては厚生年金や雇用保険などの説明も必要となると思うが、就業だけでなく生活についても一括で相談できるワンストップの窓口はどこに設置するのか。
【理事者】
来年度新たに設置しようとしている外国人材の生活支援などのワンストップの相談窓口は、日本語や英語だけではなく、多言語、7か国語で様々な相談に対応する。
また、相談対応だけではなく、新しくポータルサイトを立ち上げ、その中で保険や医療、年金などの生活に関する支援を分かりやすく一元的に情報発信していく。
【委員】
県内中小企業の生活環境はそれぞれ異なり、細かいことだとごみ出しについてなど、生活支援の説明をどこで、誰が教えてくれるのかも含め、外国人材の確保時はそのようなアナウンスもしつつ、日本に定着してもらうことを考えると、様々なサポートが必要かと思うので、そういった点も、市町村や企業と一緒になって考えてほしい。
【理事者】
先ほどの委員の質問のうち、ワンストップでのサポートセンターの設置場所については、現在事業者の募集をしており、場所としては名古屋市内の交通の便がよい場所に設置することを想定している。
【委員】
第2項商工業費のうち、海外スタートアップ支援機関連携推進事業費について伺う。
STATION Aiがオープンし、スタートアップの大規模イベントとして、2月4日から6日の3日間、テックガラジャパンが開催された。今年度開催されたテックガラジャパンの取組を確認しつつ、来年度に向けて伺う。
まず、5,000人規模のイベントを目指すということであったが、ホームページを見ると、登録者数は5,000人を超え、多くの人が名古屋に集った。私自身は、2日目のナディアパークと、3日目のSTATION Aiのイベントに参加したが、スタートアップのコンテストであるピッチイベントの会場は、立ち見の人であふれるほどの参観者がおり、他のセミナーなども盛況だったと感じた。
大規模なスタートアップのイベントについては、以前から質問や要望をしてきた経緯もあり、昨年東京都で開催されたスシテック東京のイベントやオンラインピッチイベント、それから東京都のスタートアップの支援拠点である東京イノベーションベース、TIBも見てきた経験を踏まえて質問する。
まず、テックガラジャパンは1日目と2日目は会場が分散していたが、3日目はSTATION Aiで一つの会場に集結してイベントを見ることができた。
それから、セッションにも幾つか参加し、これまでのものも含め、STATION Aiでの出会い、いろいろなマッチングのイベントが開催されていて、つながりの実際の様子なども聞くことができた。
また、アフターパーティーにも参加し、初対面の人と話ができて楽しかったほか、実際にアフターパーティーだけではなく、STATION Aiのテックガラジャパンに参加した人からも、愛知県で開催されているイベントについて聞いたが、規模的にも、また明確に目的を持った参加者が集まっているため、よいイベントであると、おおむね好評であった。
まだ様々な課題は見えていないと思うが、初めての開催について、現状として県としてどのような評価をしているのか。
【理事者】
テックガラジャパンは、愛知県、名古屋市、一般社団法人中部経済連合会、そして名古屋大学が中心となって組織しているセントラル・ジャパン・スタートアップ・エコシステム・コンソーシアムが主催し、2月4日から6日までの3日間で、未来を開くテクノロジーの祭典というテーマで開催した。
1日目と2日目が中日ビルやナディアパークを中心とする栄地区、最終日がSTATION Aiのある鶴舞地区をメイン会場に開催し、103の基調講演やパネルディスカッション、それから142社の展示、9か国16社が参加したピッチコンテスト、さらには90のサイドイベント等々、様々なプログラムにて開催した。
会期中は、国内外のスタートアップや事業会社、投資家など5,000人を超える数多くの人々が来場し、多くの交流が生まれ、イベントを成功裏に終えることができた。
その一つの裏づけとして、来場者へのアンケート結果を紹介すると、満足度について5段階で評価する項目があり、上から二つ、非常に満足と満足、この二つを足した数字が90パーセントを超えており、大半の来場者には満足してもらうことができたと考えている。
今回プロデューサーを務めたグローバルカンファレンスの経験豊かな奥田浩美氏からも、初回からこの規模で開催し、多くの地域の事業会社やスタートアップが関わり、日本を代表するグローバルイベントとしての一歩を踏み出すことができたと前向きな評価をもらった。
【委員】
ピッチコンテストについて伺う。ピッチコンテストとしては、テックガラ・グローバル・スタートアップ・ショーケースと、県主催のアイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグの二つであったと認識している。
県主催のアイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグについては、ファイナリスト10社のうち化学品を取り扱うプラットフォームの構築をプレゼンしたソータス株式会社が最優秀賞に選ばれて1,000万円の賞金を獲得した。
愛知県のプロモーションの目的は、県内産業の成長促進に寄与することと示されていることもあり、その中で次世代産業の振興が大きな目的だと思う。これまでもアイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグは何回か行われており、参加企業、また入賞した国内外のスタートアップの企業があるが、今後、ただ賞金を出すだけではなく、県が中心になって開催するイベントであるので、県としてどのように今後もピッチコンテストに参加した企業に関わり続けてもらうのか。
【理事者】
アイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグについては、愛知県から次世代のユニコーンの創出を目指す創業初期のスタートアップを対象として、年に3回開催するピッチのイベントであり、今年度3回目のコンテストについて、テックガラとの連携イベントとして実施した。
このコンテストは、審査基準の一つとして、愛知の活性化に貢献できる事業という視点があり、特に入賞者には、STATION Aiのオフィス会員になってもらうこととしている。
先ほど紹介があった今回入賞したスタートアップ企業は、愛知のものづくりを支える化学品のeコマース事業を行っており、顧客の約2割が愛知県の企業で、この地域とも親和性があり、かつグローバルに展開する可能性のあるビジネスモデルが評価された。
これまでにも入賞したスタートアップには、STATION Aiを拠点の一つとし、会員である多くの事業会社と交流を深め、事業を成長させ、将来的には愛知発のユニコーンとしてグローバルに展開してもらうことを期待している。
【委員】
ファイナリストや入賞者を選考する際に、愛知県についての評価基準があるのか。
【理事者】
審査基準の一つとして、愛知の活性化に貢献できる事業かを視点の一つとしている。
【委員】
私がネクスト・ユニコーン・リーグで話を聞いて興味深かったものが、タイヤを黒から白へというプレゼンテーションである。タイヤの補強材として使われているカーボンブラックが黒色のもので、それが実は石油由来で、タイヤが摩耗することでマイクロプラスチックを発生させてしまうため、カーボンブラックをナノテクの自然素材を使って白いタイヤにして、環境への影響を低減していこうと提言していた。
最優秀賞にはならなかったが、ファイナリストでそのプレゼンテーションをしていたことで、今後もいろいろと活躍していくと思うが、ほかのプレゼンテーションについても、今の時代の人の捉え方、描き方を聞いて、新しい価値観を得ることができ、実際に参加して、刺激的で大変興味深く、面白い体験であった。
ただ、様々な理由があって出向くことができない人もいると思うと、もったいないなとも感じる。スシテックイベントHPはオンラインでも発信しており、当日のオンライン配信やイベント終了後のウェブサイトを活用した情報提供があれば、これからの挑戦者である若い人たちにも情報提供できるのではないか。
テックガラジャパンのイベントについて、今後当日のオンライン配信やイベント終了後に情報発信していく考えはあるのか。
【理事者】
テックガラジャパンでは、全国から愛知、名古屋に多くの人に訪れてもらい、偶然の出会いが数多く生まれるところを期待して、今回あえてオフライン中心の設計とした。
今回、今後のビジネスにつながるような商談が800件を超えるなど、オフラインであったからこその効果があったと考えている。今後もオフライン中心の運営を考えている一方で、委員の指摘にもあったとおり、都合によりどうしても会場に来られない人がいたことは承知している。
次回の開催に向け、一部のコンテンツにオンラインの併用を検討するほか、今年度の写真や動画を組み合わせた情報発信を行うことで、より多くの人に見てもらい、巻き込んでいける工夫をしていきたい。
【委員】
偶然の出会いは、わくわく感が増し、チャンスをつくる点で今、動画の配信とかも検討されるとのことなので、またしっかりとよりよいものにしてほしい。
次に、今回は、ネットで見ていても情報を得づらかった。多くの登壇者がいて、多くのセッションがあり、展示物、またサイドイベントもたくさんあって、慣れていないと情報が得にくかったと思っている。
そして、スシテックのような一般人や子供向けのイベントの展開は、私が見る限りあまりなかったと思う。また、最終イベントで地元昭和区の鶴舞公園でドローンショーが開催され、それはニュースにもなっていた。
実は、周りの人にはショーの開催のお知らせがあったが、ほかの昭和区民に聞くと、知らなかった、あるなら見に行きたかったという声も聞いた。スタートアップの裾野を広げる意味では、そのような情報提供や、先ほどアンケートで90パーセントの人が満足、ほぼ満足ということであったが、残りの10パーセントの人がどのような思いだったのかも今後精査してほしいと思う。
情報提供だけではなく、スタートアップ支援そのものに関する取組について、今後また課題が出てくるのではないかと思う。最後の質問であるが、テックガラジャパンは来年度も開催するということで予算計上されており、今後、どのように準備を進めていくのか。
【理事者】
来場者のアンケート結果を見ると、例えば地域課題の解決やグローバル展開に関する知見を得られた、多様なバックグラウンドを持つスピーカーによる異なる視点が刺激的だったといった様々な声があり、パネルディスカッションの内容や質、あるいは登壇者の熱意や視点、それから参加者同士の交流機会の多さに対して高い評価をもらった。
一方で、委員の指摘のとおり、同じく参加者からウェブサイトとかタイムテーブルの見にくさ、それから情報の探しづらさの指摘や、学生や若者らの参加者層の拡大を要望する声もあり、今後に向けて参考になる意見を多数もらったと認識している。
今回、実は公式ガイドブックを作成し、イベント参加に必要な情報を網羅的にまとめ、情報発信をしていたが、情報公開が開幕直前となり、課題も残っていると考えている。そのため、来年度に向け、評価の高かったコンテンツは当然担保しつつ、情報を整理し、視覚的に分かりやすいウェブサイト作成や、SNSを活用し、効果的に、また早めに情報発信していきたい。
それから、参加者層の拡大について、今回も学生に会場のボランティアやサイドイベントの主催としてイベントに携わってもらったが、このような取組を引き続き行いながら、テックガラジャパンの参加者の裾野を広げていきたい。
当地域のスタートアップ・エコシステムをグローバルに発信することができる貴重なイベントであるので、関係者の声をよく聞き、今回の総括をしっかりと行い、次回の準備を進めていく。
【委員】
様々な人が参加しているすごいイベントであり、見せ方や若い人たちに関して、工夫するということなので、期待していきたいと思っているが、例えばテキサスのサウス・バイ・サウスウエストのようにみんなが知っているイベントにしていってほしい。スタートアップはハードルも高いと思うので、みんなが参加できる話ではないかもしれないが、みんながここでこのようなことが行われていると誰もが知っているイベントになると、より地域としての底上げにもなっていくと思うので、情報を出し惜しみすることなく、うまく提供して、盛り上がっていくことを期待する。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
三河高等技術専門校に新設されるロボットシステム科について伺う。
近年、産業界では人手不足や生産性向上などの課題を背景に、産業用ロボットの導入が進んでいる。ロボットを導入するに当たっては、ロボット本体、周辺機器、制御システムなどを組み合わせ、システムを設計、構築し、構築したロボットシステムを顧客の工場などに導入、設置して、その動作確認や調整を行う。
さらに、導入後にロボットシステムの保守やメンテナンスを行い、安定稼働をサポートするなど、多岐にわたっての専門的な役割を担うというロボットシステムインテグレータ、いわゆるロボットSIerの力が非常に重要である中で、ロボットSIerが、ロボットに関する幅広い知識と技術を持って、顧客の課題解決に貢献するために重要な役割を担っており、需要も増加していて、様々な分野で活躍していると認識している。
ただ、ロボットSIerにはロボットの知識だけではなく、機械設計や電気制御、ソフトウェア開発、プロジェクトの管理など、非常に幅広い知識とスキルが求められる。また、近年ではAIやIoTなど先端技術の活用も進んでいる状況の中で、さらに高度なスキルが必要となり、そうしたスキルを習得するには、非常に人材育成に時間がかかるという課題もある。
令和7年度4月から現岡崎高等技術専門校が建物を全面建て替え、校名も三河高等技術専門校と変更して、新たにスタートする。訓練課程にロボットシステム科を新設するということであるが、ロボットシステム科はこれまでの県内どこの職業訓練校にもない訓練課程である。
三河高等技術専門校にロボットシステム科を新設した経緯について伺う。
【理事者】
これまで高等技術専門校は、第10次及び第11次愛知県職業能力開発計画に基づき、2025年度を目標に、モノづくり人材の育成機能を強化し、中小企業の支援の充実を図ることを目的として、企業ニーズ等を考慮した訓練科の見直しを行うとともに、名古屋高等技術専門校と三河高等技術専門校の2拠点に集約する再編整備を進めてきた。
訓練科の見直しに当たっては、県内企業へのヒアリングを通じた意見等を踏まえ検討を行った。県内企業からは、ロボット等の産業機械の設計、製作ができる知識、技術が必要である、IoT分野等の成長産業の人材育成に取り組むべきなど、新たな技術に関する訓練を求める声があった。
本県は、製造業の事業所数が多く、今後ロボットを活用した生産設備の導入が見込まれ、ロボットシステムの導入を支援する人材の育成の必要性が高まっていることから、ロボットシステム科を新設することとした。
【委員】
長期的に計画を立て、また企業にも様々なヒアリングを行った中で、今回新設したと認識した。経済産業省などの関係機関は、ロボットSIerの人材育成支援や認知度の向上に取り組んでおり、またロボットSIer協会も人材育成のための研修プログラムや資格制度の整備を進めている。
また、愛知県では2022年度から全国の高校生を対象とした高校生ロボットシステムインテグレーション競技会が毎年実施されている。参加校は、4月から約8か月間かけてロボットシステムインテグレーションの知識や技術を学びながら、ロボットや周辺機器を活用し、課題やテーマに沿った独自のロボットシステムを組み上げる。
そして、12月に開催される競技会に参加し、ロボットシステムの実演やプレゼンテーションで8か月間の成果を会場で披露する。この競技会を通して、高校生がロボットシステムインテグレーションの知識、技術を習得し、重要性を学ぶことができる貴重な機会となっていて、ロボットSIer人材の創出を目指し、本年も第4回大会が12月13、14日と愛知県国際展示場で行われることが発表されており、私も大会を楽しみにしている。
ロボットSIerの育成は、愛知県の産業基盤をより強固なものとするために重要なテーマの一つである。三河高等技術専門校で1年間の訓練を通して習得した技術を実社会で十分に発揮していくことが、モノづくりを中心とした本県産業における人手不足や生産性向上などの課題解消につながる。
また、ロボットSIerの人材育成の支援、認知度の向上にもつながり、開校前ではあるが、ロボットシステム科に対して今から期待している。そうした意味から、訓練を修了した訓練生がどのような企業に就職するのかが人材育成の支援、認知度の向上につながる意味で重要になる。
三河高等技術専門校のロボットシステム科では、どのような内容の訓練を行うのか、また修了した訓練生はどのような企業への就職を目指していくのか。
【理事者】
ロボットシステム科では、産業用ロボットの制御手法、カメラを活用した画像処理、産業用ロボットとその周辺機器を連動させるために必要なネットワーク技術など、産業用ロボットの基本的な知識、技能を習得する訓練を行う。
同科は、定員30人で、1年間の訓練を通じて、工場の生産ラインの自動化などを希望する企業に対して、産業用ロボットの導入を支援できる人材を育成していく。
訓練修了後は、産業用ロボットの導入支援を行う企業にロボットシステムインテグレータとして就職することや、生産ラインに産業用ロボットを導入している企業にロボットのメンテナンス技術者や各種作業工程を自動化する技術者として就職することなどを目指していく。
訓練内容として、基本的な技術を習得していくということである。ただ、産業用ロボットの技術は、日々進化している。また、ロボットSIerは高度な技術や専門的な知識が必要となり、技術の進化に対応するスキルを身につけていく訓練を行う必要がある。
三河高等技術専門校のロボットシステム科は、新設されたばかりであるので、現状最新の技術に対応したスキルを身につけるための基本的な技術を学べ、訓練できる環境が整っていると思うが、本当に5年先、10年先には、十分とはいえない環境になっているかもしれない。
訓練生がその訓練結果をしっかりと生かした職場へ就職できるように、そのためにも業界の技術の進化を注視し、訓練生が基本的な技術といえども、時代に対応できるスキルを身につけられる環境整備に努めていくよう要望する。
【委員】
アジア大会を見据えての県内誘客と周遊について伺う。
アジア大会は、国内外からの入り口は中部国際空港、県内外からの入り口は名古屋駅となることが考えられるが、そこから移動して県内を周遊することについて、例えば県有施設を含めた周遊観光の考え方について伺う。
【理事者】
アジア大会を見据え、まずアジア大会の前にモリコロパークでの愛・地球博20祭や、国際芸術祭もある。そのほかにもIGアリーナもでき、STATION Aiも完成している中で、まずは各局と連携し、それぞれの施設、イベントをPRし、例えばスタンプラリー等々もあるが、来年度、県内の施設と併せて、どこかもう一か所行ってもらえるような周遊の仕掛けをし、イベントを活用した県内周遊を盛り上げて、その後の2026年度につなげていきたい。
【委員】
県内周遊を考えたときに、どのようにその施設まで行くのか、何を利用して移動するのかは課題となるが、その中で愛知県の施設と名古屋市の施設とアジア大会では既存の施設を使っていくことが決まっている。例えば名古屋市内で周遊する際は、当然地下鉄やバスがあるが、令和7年に名古屋市は、回遊性向上やにぎわいの拡大を図るためのまちづくりと一体となった新たな公共交通システムのSRTの導入を検討している。これは名古屋駅から伏見、栄、オアシス21、愛知県芸術文化センターがつながるいい機会である。県施設である愛知県芸術文化センターとの連携についての考えを伺う。
【理事者】
SRTが来年度、名古屋駅から、広小路通を通って、栄まで運行が始まることは承知している。栄の周辺ではオアシス21や、愛知県芸術文化センター周辺を通るかと思う。
SRT自体は交通手段でもあると同時に、デザインも格好よく、観光資源としてもなり得る。そのような中で、また、今後詳細が分かり次第、SRTを観光面でどのように活用し、PRしていくか、検討していきたい。
【委員】
周遊を考えたときに、愛知県は全国に先駆けて自動運転の実証実験を2016年度から行い、現在、名古屋駅と鶴舞のSTATION Aiを結んで、自動運転車両を定期運転しているが、これは緊急メンテナンスのための急遽の運休などもあり、周遊の足にはならないということもあるので、今後定期運行の増便や、一般の人に活用しやすくするなど、今後の定期運行の予定について伺う。
【理事者】
現在、STATION Aiと名古屋駅前をつないでいる定期運行については、来年度はもう少し面的に広げることを考えており、現在は2点間で運行しているが、もう一か所新たに発着地を設け、いわゆる面的な運行ができないか考えている。
【委員】
面的な運行ということであるが、もう一か所は大体どの辺りを想定しているのか。
【理事者】
事業者を今後公募し、実施する形になるため、その提案を見てからになるが、候補としては例えば利用が見込まれる地域として、栄などの地域を今事務的に考えている段階である。
【委員】
聞いた経緯としては、先日、STATION Aiがどのような人に、どのような活用をされているのかを見に行ったところ、1階フロアがオープンスペースということもあり、高校生が数人で一緒に勉強していた。どこの高校生なのかと声をかけたところ、中京大学附属中京高校の生徒で、地下鉄だと10分ぐらいで来られるため、時々利用しているということであった。10人ぐらいの生徒が一堂にテーブルで勉強しており、このような活用方法もありだなと思っている。図書館ではグループで話し合いながら学習することができないので、とてもよいコミュニケーションの場所になっていると思う。
高校生、中学生、小学生のように移動手段を持たない人たちに、様々な県の施設やSTATION Aiを使ってもらうことを考えると、例えばベビーカーを利用している家族連れにもSTATION Aiを利用してもらっている現状からすると、県の施設に行きやすい環境を整えることも、周遊し、またその施設を活用してもらう際に重要になる。
ぜひ一般の若年層にもSTATION Aiを使ってもらうことを考えると、使いやすい環境を整え、そこでスタートアップがどんなものかを見て、感じてもらうことで、今後のスタートアップイノベーションを起こす人材づくりにもマッチしてくると考えるので、スタートアップが一般の人にも感じ取れる仕組みづくりも併せて行ってほしい。今後、例えば県の施設としてのSTATION Aiを活用してもらうことへの考えを伺う。
【理事者】
STATION Aiは7階建ての建物であり、1階、2階、M3階及び7階が一般の人にも利用できるゾーンになっている。委員の話にもあったとおり、1階やM3階では、高校生が勉強している姿を見かけることがある。
特にM3階まで来ると、その斜め上の3階でイベントをやれば、スタートアップの雰囲気が感じられるのではないかと思い、そういう意味で今の利用状況は、よい方向だと思っている。
今後、どのように多くの人を巻き込んでいくのかは、まだ現時点で何かということはないが、今後の課題として考えていきたい。
【委員】
せっかくのスタートアップの拠点なので、STATION Aiを様々な層の人、様々な年齢層の人に活用してほしいので、そのようなアナウンスもできるだけ分かりやすく発信してほしい。
【委員】
インドとの経済連携について伺う。
今年の1月に、国の出先機関、中部経済産業局のGNI協議会、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブという名称で随分前から活動している、これは、三重県と岐阜県も巻き込んだ形の協議会で、そこの視察団に参加した。視察団は、ニューデリーからベンガルール、ハイデラバードを巡る行程だったが、私は途中から参加したため、ニューデリーには寄らず、ベンガルール、ハイデラバードを訪問した。昨年の秋の聞き取りによると、愛知県とインドの関係は、製造業を中心に92社136拠点の企業が進出していると聞いている。
ここまで伸びてきたのは、大村秀章知事が、当時のグジャラート州の首相で、現インドの首相であるモディ首相が、来県した際に友好関係を結び、2015年に改めて面談した際に、ニューデリーにインド愛知デスクをつくるという運びになり、これまで関係が深まってきた。私は残念ながらニューデリーの事務所には訪問していないが、途中からインド愛知デスクの職員も同行した。
現状、県内企業のインドへの進出の支援について、県がどのように取り組んでいるのか、その内容を確認したい。
【理事者】
県では、県内企業の海外展開を支援するため、ウインクあいちにあいち国際ビジネス支援センターを設置し、海外ビジネスに関する相談対応やセミナー等による情報提供、専門家による伴走型支援などを公益財団法人あいち産業振興機構やジェトロ名古屋と連携して実施している。
インドへの進出支援に関する取組としては、これらの支援のほか、今年度はインドの最新の経済動向等を紹介するセミナーの開催や今年1月にベンガルールで開催されたインド最大級の工作機械展示会への県内企業の出展支援を行った。
また、インド商工省内に設置しているインド愛知デスクにおいては、現地進出企業からの相談対応やニュースレターの配信による情報提供を行うとともに、進出企業を対象とした意見交換会の開催により、ビジネス上の課題の把握や進出企業間のネットワーク形成の促進を図っている。
さらに、冒頭、委員から説明があったとおり、今年1月20日から29日にかけ、本県も参加しているグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会の事業として、インドへの事業展開を検討している中堅・中小企業の9社を、この協議会の構成機関担当者と共に、インドのデリー、ベンガルール、ハイデラバードに派遣し、現地の展示会出展や企業視察等の支援を行った。
【委員】
私は以前からインドとの関係を何とか深めてほしいと思い、本会議でも何回も質問している。
また、インドのスタートアップと県内企業が連携すべきであると議場で質問したところ、当時の経済産業局長から、検討に値するとの趣旨の答弁があった経緯がある。
インドとのスタートアップの連携について、今どのような取組をしているのか。
【理事者】
県では、STATION Aiを中核としたグローバルコミュニティーの形成に取り組んでおり、その一環として海外スタートアップを対象とした県内企業とのマッチング事業を実施している。今年度は、その事業に世界各国から92社、そのうちインドから8社の応募があり、その中から選定したスタートアップに対して、県内企業との具体的な協業を支援している。そして、このような取組を通じ、現在、インドのスタートアップ2社がSTATION Aiの会員になっている。
一方で、本県のスタートアップでSTATION Aiの会員となっている2社がインドに事業展開している。
県としては、今後もさらにインドを含めた世界の最先端のスタートアップと県内企業との協業や県内スタートアップの海外展開を促進しながら、グローバルなネットワークを強化していく。
【委員】
産業立地通商課と海外連携推進課のそれぞれから答弁があった。正直言ってインドは大国であるが、どこと連携するのかがまだ明確ではない。大国と連携する場合、例えば中国でもアメリカでもどこの州か、どこの省かというふうにもっていかないとなかなか関係が深まらない。少し古い資料であるが、2013年頃には和歌山県とマハーラーシュトラ州、それから2016年に兵庫県とグジャラート州が経済連携や包括連携、最近では静岡県が昨年末にグジャラート州と包括連携を締結した。また、愛媛県も最近タミルナドゥ州と経済協力に関する覚書を締結した。
そしてまた、我が県ではトヨタ自動車株式会社もインドに進出しており、今回視察してきた。ベンガルールに工場を建設した際の記事が2023年11月に掲載されているが、カルナータカ州で三か所目の新工場を建設することになっており、今回視察時に話を聞いたところ、海岸沿いにムンバイがあるマハーラーシュトラ州の内陸のオーランガバードに第4工場を造るために、用地を取得するとのことであった。
当然のことながら、トヨタ自動車株式会社が進出することになれば、県内のサプライヤー企業も進出することになると思うが、いずれにしても愛知県としてもどこかインドと連携を取るべきである。今回触れたベンガルールは、既にトヨタ自動車株式会社が進出しているほか、先ほど説明のあったスタートアップも既に随分な企業が愛知県の関係でも出ていると聞いている。
ベンガルールやハイデラバードと連携を深めていくことで、これからの愛知県の将来が見えてくるのではないかということで質問する。今回先ほどグレーター・ナゴヤ・イニシアティブの関係で県関係職員も参加したということであるが、ハイデラバードへは来ていなかったので説明すると、ハイデラバードは、テランガナ州に所属しており、州の人口は3,772万人、愛知県は750万人弱であるが、州都のハイデラバードだけで人口が750万人あり、要するに人口規模が全然違う。
そのため、どこの都市と協定を結んでもそれなりの規模感になるが、州都ハイデラバードは、IT、製薬、繊維といった産業が中心で、特にITはマイクロソフトやアップル、グーグルやアマゾンのようなグローバル企業が既に進出しており、とても近代的な都市である。
また、医薬品の原薬は、インド全体の生産高の40パーセントを占めており、ITとファーマシーを持っている都市である。そのハイデラバードには、まさに愛知県でいうところのSTATION Aiに類する支援拠点として、T-Hubがある。
ここも視察したところ、規模感ではSTATION Aiよりもやや小ぶりという感覚はあったが、相当な企業が入居しており、そして、日系企業も入居していた。愛知県からは、株式会社デンソーや株式会社アイシンの関係企業が、大手企業では株式会社東芝も入居しており、既に日本との関係も深まっている。また、STATION Aiでも1階に工作機械を置き、そこで試作品を作ることの支援もしているが、それと同じようにT-Hubは隣にT-Hubと同規模のT-worksというもう少し大きな一つの機関として試作品を作ることができる機能を持った施設も造っている。
また、残念ながら私は視察できなかったが、インドの国立大学であるインド工科大学は、全部とは言わないが、各州にあり、そこのハイデラバード校がスタートアップに注力しており、本会議でも説明したとおり、既に日本との連携も始まっている。このようなスタートアップで相当な実績がある機関とぜひ提携をしたらどうかと思い、前回も本会議で質問し、可能性はあるとの答弁があった。今日は結論までは求めないが、今後の連携についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
テランガナ州ハイデラバードには、委員の説明のとおり、T-Hubやインド工科大学ハイデラバード校のほか、グローバルIT企業の開発拠点が立地しており、本県の連携先として期待できる地域であると認識している。
一方で、世界有数のスタートアップ大国として著しく成長しているインドには、ほかにもスタートアップ・エコシステムが発展している地域が多くある。例えばカルナータカ州のベンガルールは、インドのシリコンバレーとも呼ばれ、多くのスタートアップやインキュベーターが集積するインド最大のスタートアップ拠点となっている。また、マハーラーシュトラ州のムンバイはインドの金融の中心地であり、フィンテックをはじめとして多くのスタートアップや企業、スタートアップ支援に力を入れているインド工科大学ボンベイ校などが集積する都市となっている。
このようにインドには連携先として可能性のある地域、機関が幾つもあると認識している。そのため、県内事業会社及びスタートアップのニーズやインド各州の特性などを踏まえて研究していく必要がある。
また、県内企業のインドへの進出支援やインドからの人材確保など、併せて県としてどの地域と関係を深めるかを総合的に考えていく必要があると認識している。
【委員】
何が何でもハイデラバード、テランガナ州というつもりもないので、しっかりと研究してほしい。ベンガルールは、今スタートアップ・エコシステムが一番優れているという評価だとの話もあった。
ぜひ、アメリカやシンガポールなどと同様に、スピード感は必要だと思う。いわゆるIT産業という言葉自体が既に古いとずっと言われているが、DXと言われる流れが進展している中で、手を出さなかったら、イノベーションも何も起きないため、早く連携してほしい。
先ほどインド工科大学ハイデラバード校に行けなかったと話したが、実は前日に、テランガナ州の首相と会う予定があったが、急遽キャンセルになり、翌日のハイデラバード校に行くタイミングで、ほかの担当大臣に会えるということだったので、会ってきた。
その担当大臣はIT担当大臣、そして産業大臣であった。知事の親書を持って訪問し、こちらのジブリパークやSTATION Ai、観光のことも含めて説明したほか、2026年のアジア競技大会、アジアパラ競技大会も紹介した。その中で、アジア競技大会、アジアパラ競技大会には招待したつもりである。
それに先んじて、来月から開幕する大阪・関西万博に州関係者が来るので、愛知県にもぜひ行きたいとの話もあった。その詳細について聞きたいが、当委員会が所管する局だけでなく、政策企画局国際課などとも連携することになるかと思う。ぜひそのようなチャンスも生かしながら、先ほどのベンガルールも同様に、チャネルが一つでも多いほうが愛知県の発展につながると思うので、逃さずものにしてほしい。
最後に、インドとの関係は、これは企業進出と併せて、優秀な人材が行き来できることも必要だと思う。優秀ではないとは言わないが、人材が今、日本はどこも足らない状況である。
スタートアップの関係で、先ほどSTATION Aiにおけるインド関係2社について触れていたが、そのうち1社にいわゆる国のトップに指定されたアイティップス株式会社がある。インドのベンガルールにある会社で、日本に建設業向けの人材を送り出す事業を行っており、まさに先ほど委員も触れた、アイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグで優勝した会社であるが、そこに行った。
まだ規模自体は小さく、これからの会社であるが、人がとても多いことがインドの一番の魅力である。今アジアで様々な国から技能実習生として来日して活躍しているが、そのような部分においてもこれから随分関わりが深くなると思う。
今申し上げたスタートアップのアイティップス株式会社のほか、既にインド政府機関から認定を受けた人材送り出し機関として刈谷市のアームス株式会社がある。ここにも、昨日に早速視察に行き話を聞いた。インドだけではなく、各国から人材を集め、日本語教育、そして日本文化に慣れてもらった上で、特に今は製造業に向けて人材を育成して送り込んでいるとのことである。
昨日は60人ほどの生徒がおり、そのうちインド人が10人ぐらいで、全員この4月から就職が決まっているとのことであったが、これからは多くの外国人の協力ももらいながら、愛知県も発展させていかなければいけないと思うので、県職員はそれぞれの立場で一生懸命活動、仕事してもらっているが、このような大きな前向きな仕事もぜひとも取り入れてほしい。
【委員】
中小企業に対する資金繰りの支援について伺う。
最初に、全世界を震撼させたといわれる新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行されてから間もなく丸2年となる。コロナ禍において、多くの人々が影響を受ける中で、感染症対策のみならず、経済対策も同時に進める必要があった。
特に本県産業を支える中小企業が倒れないように、資金繰りを支援する必要があった。私も知事と県議会一丸となって県内の業界団体、そして各種団体を巻き込んで県と国に対して強く働きかけをし、対応を求めてきた。
その結果、国や県にはコロナの影響を受けた中小企業への資金繰り支援をはじめ、様々な中小企業支援を強力にしてもらい、コロナ初期の企業倒産は低水準に抑えられ、中小企業の景況感も短期間で改善したと思っている。
帝国データバンク全国企業倒産集計表によると、年別倒産件数推移ではコロナの初期、2020年と2021年は特に少なかった。愛知県内の中小企業景況調査によると、全業種の業況判断、売上げ、採算の各DI、ディフュージョン・インデックス、景気動向指数の推移で、2020年4月から6月期を底に、約1年で急激にコロナ禍以前の水準まで回復している。
そこでまず、県はコロナの影響を受けた中小企業に対して、コロナ禍以降、これまでどのような資金繰り支援を行ってきたのか。
【理事者】
コロナ禍においては、実質無利子、無担保、保証料ゼロとする新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資をはじめとした様々な資金繰り支援を実施した結果、2020年度の融資実績は、県制度融資全体で従来最大であった2008年度の6,322億円を大幅に上回る1兆6,562億円にも上り、多くの中小企業の経営の安定、倒産の抑止に大きな効果を発揮したものと認識している。
また、ゼロゼロ融資等のコロナ関連融資が終了した2021年度以降は、コロナ禍からの経営の立て直しを支援するため、同年4月にサポート資金(経営改善等支援)及び再生資金(感染症対応型)を、10月にはコロナ関連融資の借換えに対応したサポート資金(新型コロナ借換)を創設した。
さらに、エネルギーや原材料価格の高騰が顕在化した12月には、サポート資金(経済対策特別)に保証料負担が2分の1となる原油・原材料高緊急対応枠を設けるなど、様々な資金繰り支援をきめ細かく行ってきた。
こうした取組の結果、2021年度の融資実績は、ゼロゼロ融資の反動により2,626億円と一旦は落ち着いたものの、2022年度は2,688億円、2023年度は3,838億円、今年度の見込みは3,000億円程度と、依然としてコロナ禍前よりも多くの利用があり、コロナ禍以降も引き続き中小企業の資金繰りの円滑化に寄与しているものと認識している。
【委員】
これまで県として様々な資金繰り支援によってコロナの影響を受けた中小企業の下支えをしてきたことがよく分かった。
一方で、コロナ禍以降、倒産件数が増え、2014年以降で最多を記録したという調査結果がある。これも帝国データバンク全国企業倒産集計によると、年間件数は3年連続で大幅増、1万件に迫る倒産、2014年以降で最多とのことである。その中で、業種別ではサービス業が2000年以降で最多となっている。
私の周りでも最近、ラーメン店や美容室が多く倒産しているという話を聞いているが、個別の調査結果からも読み取れる。これも帝国データバンクによると、ラーメン店の倒産が前年比3割強超えの急増、過去最多を更新した。美容室の倒産も急増、過去最多を大幅更新へということである。
このように人手不足、賃上げ、原材料高騰といった新たな課題が中小企業にのしかかってきている。最初の経済産業局長の挨拶にもあったように、これからはトランプ大統領の関税政策、それに伴う円高株安などの影響、中小企業にどのような影響を与えるかも大変不安視される。
こうした中、中小企業の資金繰り支援についても、経営改善、再生はもちろん、成長促進も含めて多岐にわたる経営課題にも対応できるようにしていく必要があるのではないかと考える。
県は引き続き厳しい状況にある中小企業に対して、今後どのような資金繰り支援を行っていくのか。
【理事者】
原材料価格の上昇等による物価高は、幅広い業種の中小企業に依然として大きな影響を与えていることから、サポート資金(経済対策特別)原油・原材料高対応枠を2月18日から再開し、6月末まで実施する。
また、2025年度より新たな資金メニューとして、コロナ禍により過剰債務に陥り、いまだにその返済に苦しむ中小企業に対し、借換えによる返済負担の軽減を図るため、借換え元の対象を全ての保証付融資に拡大したサポート資金(経営改善借換)を創設する。
加えて、物価高や人手不足の影響を受け、業況が悪化している中小企業の経営改善や事業再生に向けた取組を資金面から支援する再生資金(経営改善・再生支援強化型)を創設する。本資金は、金融機関に対して定期的なモニタリングと計画の実行に係る指導、助言等の経営支援の実施を義務づけており、より着実な計画の実行が期待できる。
このほか全国的に業況が悪化している業種を営む中小企業の経営の安定を支援するサポート資金(セーフティネット)や設備投資などの前向きな取組を支援するパワーアップ資金など、様々な資金メニューを引き続き実施することで、中小企業の資金繰りをしっかりと支援していく。
また、中小企業が複雑かつ多様化する経営課題に対応するためには、資金面のみならず経営面からの支援も重要である。県の関係団体であり、中小企業の経営支援を担っている公益財団法人あいち産業振興機構では、様々な分野の専門家を配置した無料相談窓口や専門家を最大10回まで現地に派遣する専門家派遣事業等を実施しており、これらを活用して事業環境の変化に対応した中小企業の事業継続、経営力強化に向けた取組を支援していく。
【委員】
国の動きを注視して、引き続き支援していってほしい。
【委員】
女性起業家育成・促進事業について伺う。
日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位で、教育は72位、健康は58位で比較的高いが、経済参画は120位、政治参画は113位と低くなっている。なお、1位はアイスランドで、15年間トップである。
また、3月8日は国際女性デーであったが、それに合わせて地域からジェンダー平等研究会が都道府県版ジェンダーギャップ指数を公表した。それによると、愛知県は政治の順位は23位から16位に上がり、行政も20位から18位に僅かだが上がった。ところが、経済では29位から34位に後退し、フルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差は、前年比で7,000円強広がって9万4,000円となり、47都道府県で43位という結果だった。
日本は賃金が平等ではなく、女性が低く、管理職、経営者も女性の比率が低いという現状の中で、その比率を上げるため女性の起業家を増やすことも重要だと考える。2023年版中小企業白書によると、起業家に占める女性の割合は、2018年の28.7パーセントから2022年には34.2パーセントまで上がり、特に30代から40代の女性起業家が顕著に伸びているそうである。
女性起業家の増加は、経済や社会に多大なメリットをもたらし、多様性に富む視点や柔軟な発想がイノベーションを促進し、地域や業界の活性化につながることが期待される。一方で、経済産業省では、スタートアップの起業家に占める女性の割合が少なく、また女性起業家特有の課題も存在するとして、女性起業家支援パッケージを推進している。
そこで、スタートアップ支援拠点であるSTATION Aiにおける女性起業家の状況は現在どのようになっているのか。
【理事者】
STATION Aiの会員のうち代表者が女性であるスタートアップの割合は、1月末時点で11.0パーセントである。この状況に対し、県としては女性起業家の割合を増やしていかなければならないと考えている。
参考として、国には、経済産業省が推進しているJ-Startupというプログラムがある。これは、グローバルに活躍するスタートアップを支援するプログラムであるが、J-Startupに選定されている企業の9.2パーセントが女性経営者である。
先ほど委員が触れた女性起業家支援パッケージにおいて、国はJ-Startupにおける女性経営者の比率を2033年までに20パーセント以上とする目標を掲げているので、県としてもこの数字を視野に入れて取り組んでいきたい。
【委員】
STATION Aiで11パーセント、J-Startupで9.2パーセント、いずれも1割ぐらいしかない。2033年には2割まで目指すとあった。スタートアップの起業家に占める女性の割合が少ないという現状において、昨年オープンしたSTATION Aiをもっとアピールして利用してもらうことで女性起業家の背中を押すことになり、また女性の活躍する機会が増え、愛知県のジェンダーギャップ指数を上げることにつながると思う。
県のスタートアップ支援の一環として、女性起業家を育成する事業を新たに始めると2月20日の新聞に掲載されていた。この事業の目的について伺う。
【理事者】
県では、STATION Aiを中核とし、愛知県独自のスタートアップ・エコシステムの形成を目指している。エコシステムの形成には、より多くの、そしてより多様なスタートアップ関係者が集まり、絶え間なく交流し、相互に刺激し合うことで新たなビジネスを生んで成長していくことが必要不可欠である。
このため、女性をはじめとしたエコシステムに欠くことのできないプレイヤー、この裾野を拡大することが重要であり、多様なプレイヤーが参画することで、STATION Aiを活性化させ、次々にイノベーションが生まれる環境を整えていきたいと考えており、これがまさに女性起業家育成・促進事業の目的である。
【委員】
独自のエコシステムでプレイヤーを拡大し、多様なプレイヤーが多く参画するとのことであった。女性が起業する際、非常にたくさんの困難がある。金融庁のスタートアップ・エコシステムのジェンダーダイバーシティ課題解決に向けた提案によると、立ちはだかる第一の壁は、資金調達における格差となっている。これは、女性が起業する際に、BtoB、ビジネス・トゥ・ビジネスで企業が企業に対して物やサービスを提供する事業を選択するケースが少なく、スケール面で投資家から評価されにくいとの課題があると指摘をされている。
第二に、ネットワーク構築の壁である。男性中心のビジネスコミュニティーに参入することの難しさ、またロールモデルの不足やノウハウの獲得が困難となっている。プレイヤーをたくさん拡大することが刺激になるとよいと思う。
第三はワーク・ライフ・バランスで、家庭との両立の難しさである。45パーセントの女性起業家が仕事と家庭の両立に困難を感じているというデータもある。いまだに女性が家事、育児の負担が大きい部分が残っているので、その中で女性起業家を育成していくためには、乗り越えるべき壁が本当にたくさんある。途中で気持ちが萎えてしまう、へこたれてしまう女性も多い。
経済産業省は、先ほどの答弁にもあったように、J-Startupにおける女性起業家の割合を2033年までに20パーセント以上を目指すということであった。ロールモデルの創出や女性起業家支援ネットワークの構築、マッチングの場の提供、金融支援を含む女性起業家支援パッケージを推進している。このような支援策の整備だけでなく、社会全体の理解や環境整備が進むことで、より多くの女性が起業にチャレンジできると思う。
新たに始める女性起業家育成・促進事業はどのような内容を考えているのか。
【理事者】
女性起業家育成・促進事業の内容は、女性起業家への投資に積極的に取り組んでいる投資家によるワークショップや、起業経験や起業に関する知見を持った専門家によるメンタリングなど、女性起業家に特化した起業支援プログラムや、女性が起業に関する悩みや課題を気軽に相談できるコミュニティーの形成を想定しており、今後しっかりと内容を詰めていきたい。
そして、この事業によって支援した女性起業家には、STATION Aiの会員になってもらい、切れ目のない支援を受けて、ビジネスを成長させていってほしい。
繰り返しになるが、多くの女性起業家がSTATION Aiの中で活躍してもらうことで、STATION Aiが活性化され、イノベーションの推進につなげていきたい。
【委員】
投資家のワークショップや女性に特化した様々な内容で、ぜひ会員を増やしてほしい。裾野が広がらないとなかなか優秀な人材も出てこないと思うので、ぜひ力を入れてほしい。
このように取り上げていかないと、全体もそうだが、本当に女性について、なかなか上がっていかない。今回、先ほども取り上げたが、地元で起業した女性に話を聞いた。その女性は就労支援や地域活動を支援する事業所を立ち上げており、どのようなことが大変だったかと聞いたら、資金の調達が一番大変だったとのことである。
その後、起業後の3年間、従業員の採用と定着に苦労し、今度は顧客確保も大変だったということで、自分たちがやろうとしている起業の内容が必要な人になかなか伝わらなかった。ノウハウがよく分からず、支援が必要な人が市役所の窓口などで説明を受けるが、それを上手に理解できず、相談に行った人も頭の中がクエスチョンマークのまま聞いていたとのことであった。
その結びつきがなかなかできなかったこともあり、大変であったが、それでも利用者の皆さんのために役立つ、私が仕事を進めることで役立つ人生があるんだという、今の仕事をすることが自分が生きている意味であるから頑張っていると言っていた。
この人もそうだが、女性起業家は利益よりも人のためにという部分に行ってしまう。世の中のために、自分の生きがいとしての事業であるという人が熱い思いを優先する。しかし、収入がない。もうからないことには事業が継続しないため、そこで辞めてしまうと意味がない。先ほど答弁があった育成事業をはじめとした支援策が整備され、社会全体の理解や環境整備が進むことで、より多くの女性が起業にチャレンジできると思うので、ぜひそこに力を入れてほしい。
大村秀章知事は、女性起業家を育てることがSTATION Aiの大きな目標の一つと言っており、記事にも書いてあった。ぜひSTATION Aiを活用して、女性起業家の活躍を後押ししてほしい。
( 委 員 会 )
日 時 令和7年3月12日(水) 午後1時10分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
経済産業局長、同技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和7年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第5款 経済労働費の内
第1項 経済産業総務費
第2項 商工業費
第3項 労政費
第4項 職業能力開発費
第5項 観光費
第6項 労働委員会費
第3条(債務負担行為)の内
21世紀高度先端産業立地補助
新あいち創造産業立地補助
一般事業資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経営強化資金(短期資金)融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経営強化資金(短期資金)融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
一般事業資金(短期資金)融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
経済環境適応資金融資に係る愛知県信用保証協会損失補償
あいち産業振興機構設備貸与事業損失補償
あいち産業科学技術総合センター施設設備改修工事
あいち産業科学技術総合センター施設設備改修基本設計
雇用セーフティネット対策訓練業務委託契約
障害者職業訓練業務委託契約
三河高等技術専門校東三河校・愛知障害者職業能力開発校建物取壊等工事実施設計
高級ホテル立地促進事業費補助
第 6 号 令和7年度愛知県中小企業設備導入資金特別会計予算
第 40 号 産業空洞化対策減税基金条例の一部改正について
第 41 号 産業立地の促進のための不動産取得税の減額等に関する条例の一部改正について
第 42 号 愛知県労働者福祉施設条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第6号及び第40号から第42号まで
○ 請 願
第 96 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事の周知を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第96号
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第127号関係)
3 議案審査(5件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
4 休 憩(午後2時52分)
5 再 開(午後3時3分)
6 採 決
7 請願審査(1件)
8 一般質問
9 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
歳出第5款、経済労働費第2項第1目、商工業振興費のうち革新事業創造戦略事業費、戦略推進費について伺う。
まず二点伺う。2022年12月に県当局において、革新事業創造戦略が策定された。愛知発のイノベーションを絶え間なく創出していくための新たな仕組みとして、企業や大学、研究機関等幅広い主体から提案を受け、社会課題の解決と地域の活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指すものである。
プロジェクト創設の仕掛けとして、革新事業創造提案プラットフォームとしてのA-IDEAを運営するとともに、革新事業創造事業費補助金により民間主導で行われるイノベーション創出プロジェクトを推進しているものと理解している。
そこでまず一つ目として、これまでの同事業の実績と成果、課題について伺う。
予算の概要、参考資料によると、新年度に4年目を迎える同事業において、新たにSTATION Aiへの事務局設置や市町村におけるイノベーション創出支援とイノベーションエコシステムの形成強化を図るとしている。
昨年、2024年3月に中小企業庁が地域の包摂的な成長を実現するには、その地域の特性に合った多様な主体や産業がそれぞれの強みを生かして連携し、多様性と連携による地域づくりに取り組むことが重要であるとして、特にビジネスの手法で地域課題の解決にポジティブに取り組み、社会的インパクトを創出するローカルゼブラ企業の育成を推進するとして、地域課題解決事業推進に向けた基本指針が策定されている。
新年度新規の取組として、市町村の地域課題に地域のリソースを活用し、あるいはA-IDEAによる事業マッチングを通じて、イノベーション創出につなげようとする取組は、国の示しているこうした基本指針に合致するものだろうと考える。
そこで二点目として、新年度新たに取り組もうとしている市町村におけるイノベーション創出支援について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
まず一点目、革新事業創造戦略に関する事業の実績、成果、あるいは課題について、この事業は2022年から事業化しており、これで丸3年ほど取り組んだという形になっている。
成果としては、ウェブ上にプラットフォーム、A―IDEAを設けているが、現在会員数が約730人、そしてアイディアの登録数が約140件、技術研究のシーズが約260件と着実に増加している。
そして、具体的な官民協働のイノベーションのプロジェクトとしても、農業、デジタルヘルス、環境、モビリティ、スポーツと5件が今、部局横断的に進められている。
これに加え、民間にも補助金を2023年度から出しており、2023年度には9件、そして2024年度には7件を採択した。その実績としては、まだ去年始まったばかりなものであるため、十分調べ切れていない面があるが、昨年度分について、今年の年明けからいろいろ調べたところ、具体的な成果を紹介すると、自動車メーカーの大豊工業株式会社から提案があって採択したメッキ加工の排水を低コストかつ大幅な環境負荷が図れるようなシステムについては、大分研究開発が進み、先月、今年の2月から有償契約を結んでの実証が開始されたようである。
そして、STATION Aiにも入居している農業系のスタートアップ企業である株式会社ミライ菜園が開発した病害虫を防除するDXアプリは、JA豊橋において有償での導入が進んでいるほか、県内外で七つのJAで実証が進んでおり、幾つかは進捗がある状況である。
そして、課題としては、県の行政だけではなく、市町村において官民連携が生まれる環境整備がこれから必要であると考えている。実際に先行して取り組んでいる市町村もあるが、54の市町村にアンケートを取ったところ、官民連携をどのように進めてよいのか分からない、あるいは地域課題をどのように抽出し、提示してよいのか分からないとの課題があったほか、それ以外の課題として、様々なイノベーションプロジェクトが立ち上がってはいるものの、社会実装に至るまでのサポートについては、まだ我々も手探りの状況である。
二点目として、市町村におけるイノベーションの創出支援に、どのように取り組むかについては、今市町村のアンケート結果を紹介したように、市町村が抱えている社会課題を見える化、言語化する取組の実施を考えている。具体的には、市町村の職員を対象としたワークショップ、研修や、あるいは民間企業が地域課題に関心を持ってもらえるようなセミナー等の開催を考えており、可能であれば年度内には行政側から企業に対して解決したい課題を提示するガバメントピッチを実施しようと考えている。
【委員】
既に会員が約730人で、大変多くの人が登録している。また、シーズ、あるいはアイディアにおいて、それぞれ260件、140件と、順調に登録してもらっていると思う。
私もこのプラットフォーム、個人として会員登録して、様子を見させてもらった。非常に多士済々、様々なジャンルの人々が登録しており、ここがまさに県のプラットフォームとして登録した人がそれぞれ自発的に、相互に連携を取り合いながら、情報を取り合って、そこから新たな事業が展開していくことができれば大変すばらしいなと、期待している。
そうした中で、補助金の関係について、民間の補助金の採択件数が令和5年度は9件、そして令和6年度は7件で、事前に聞いた申請件数がそれぞれ令和5年度は42件、令和6年度には55件あった。
そうすると、この事業自体は採択か不採択かが問題ではなく、いかにイノベーションを起こしていく、事業化を進めていくことができるかが大変大事なものであると思う。
そういう意味において、令和5年度は、42件の申請があった中で、9件が採択であるほか、令和6年度も、55件の申請があり、うち7件が採択されたが、この採択に漏れた人々をいかに事業化に持っていくのか、そのフォローアップが大変大事になってくると思う。
特に採択するに当たっては、幾つかの視点で指標をもって審査しているとのことであるので、むしろ不採択であった事業者の人々に、このような視点がまだ足りていないというようなアドバイスをすることで、また次につながっていくのではないかと思う。その点について、どのように事業者に対してフォローアップの取組をしているのか伺う。
二点目として、現在、新年度の同事業の業務委託先事業者の選定も進めているかと思う。委託業務の内容を見てみると、STATION Aiの内にA―IDEAの事務局の設置、運営をはじめとして、提案の具体化に向けた支援や、プラットフォームの活性化に向けたイベント、また運営管理など、一定の経験とノウハウを蓄積していくことが重要になると思われる業務がある。
このような事業を担う事業者が早々に変わっていくことは、必ずしも安定的に運営が委託できるかというとそうではないと思う。現在、委託業者の業務期間は1年ごとの契約となっているが、安定的に業務を委託していくことにおいては、複数年で委託しながら取り組んだほうがより効果が発揮できるのではないかと考えるが、その点について伺う。
【理事者】
まず、不採択となっている案件のフォローについては、提案前の事前相談において、コミュニケーションを取っている中で、例えば革新性があるか、あるいは社会課題を解決する必要性があるかなどの審査の着眼点について対話しながら、アイディアをもう少し練ってもらうことや、あるいはブラッシュアップを促す取組もしていることに加え、提案内容にマッチする他の支援制度もあることを紹介するなどの、様々な形でイノベーション創出、事業化に結びつけるサポートを行っている。
また、それ以外にもウェブ上のプラットフォームについては、補助金を使うか否かにかかわらず、自立的なオープンイノベーションを促す場としてつくっており、上手に組み合わせると物になりそうなアイディアやシーズ、支援施策などを登録している人にフィードバックする機能も備えているため、そのようなものも使ってブラッシュアップを図れるとよいと考えている。
また、委員から言及があったように、STATION Aiの中に実際に事務局を置く取組を新年度から行っていく。そのようなリアルな拠点も生かしながら、提案の磨き上げを行っていく。
そして、来年度の委託の公募について、議会で議決されればという条件の下で今公募をかけている。なぜ単年度での委託かについて、イノベーションの創出という取組は、正直試行錯誤で中身を考えながら進めている。冒頭で2022年からこの取組を始めていると申し上げたが、最初の年は戦略の策定、そして今話したプラットフォームをつくる仕事、次の年は補助金を創設した。それから、プラットフォームを普及するためのイベントを立ち上げた。そして、2024年は、今までのフォローアップと、プラットフォームのコンテンツの充実に取り組んでいき、来年はいよいよリアルな拠点づくりと、業務内容を毎年毎年様々に考えながら進めている状況で、毎年見直しも図っているため、それに応じて最適な事業者を選定していきたいという考えの下で、単年度契約としている。
【委員】
今まで事業については単年度として、手探りの状態の中でということも理解するが、先ほど申し上げたように、この事業をきちんと進めようとすると、一定の経験値を踏まえた上でどのようなアドバイスをするのか、またどのようなところとのマッチングを進めたらいいのかが大変重要になってくると考える。今一度複数年についての考え方を伺う。
【理事者】
プラットフォームが基本的に固定のもので、同じような形で運営していく形のシステム運用であれば、いわゆる長期継続契約が可能となるとは思うが、実際のこことここがマッチングできるという話について、人手を介して行っている部分もあるほか、毎年イノベーションが起こる環境も変わる。また、STATION Aiというリアルな拠点が新たにできるなど、安定的にできる状況ではないので、今後の検討課題としていきたい。
【委員】
歴史観光推進事業費のうち、大河ドラマ豊臣兄弟!を活用した観光PRについて、先日の本会議で中村貴文議員の議案質疑に対して観光コンベンション局長から答弁があったが、私も中村区に生まれ、中村区で生活し、これからも生活する住民の一人として質問する。また質問の途中で尊敬する偉人を呼び捨てにするところもあるが、許してもらえればと思う。
これまで豊臣秀長公が登場するテレビドラマは、1965年の太閤記、1989年の春日局、おととしのどうする家康など幾つかあったが、主人公となるのは初めてであり、地元中村区の区民は、本当に盛り上がっている。
天下人である太閤豊臣秀吉、そして秀長公の生誕の地は、今の中村公園内、豊國神社となっており、私も自宅がそこから徒歩5分ということもあり、幼少期から何度も訪れた中村公園の中に大河ドラマ館が建設されるというニュースを見て大変うれしく思ったほか、最寄りの名古屋市営地下鉄中村公園駅周辺を色華やかにのぼり旗等で盛り上げ、そして、町のシンボルの赤い大鳥居から豊國神社に続く参道も整備し、バリアフリー化も進めていくということである。我々の地域は駅裏や柄が悪いという暗いイメージが根強くあるが、名古屋駅の西側の魅力向上につながると大変期待している。
名古屋市は、大河ドラマ館の整備事業などに4億円の予算づけを行った。尾張三英傑はじめ、名古屋ゆかりの地とも連携した観光PRに取り組むことで、市内、県内の地域経済の活性化を図るとしているが、他県との連携については、やはり県に期待するところが大きいと聞いた。
そこで、県は豊臣兄弟!を活用した歴史観光の推進に当たり、名古屋市とどのように連携して取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
まず、県は、名古屋市を含む県内各市町村と連携し、あいちの歴史観光推進協議会として、県内各地と豊臣兄弟!ゆかりの地の県内外への情報発信、来県した観光客の県内各地への周遊促進、滋賀県や奈良県との県域を越えた広域周遊キャンペーンなど、様々な取組を実施していく。
その中でとりわけ名古屋市との関係としては、JR名古屋駅の中央コンコースにインフォメーションセンターを設ける予定である。インフォメーションセンターで豊臣兄弟!ゆかりの地をはじめとした情報を提供する予定であり、そのセンターの運営も名古屋市と共同で運営していくことを考えている。
また、NHKとタイアップしたイベントも名古屋市と連携して実施することを考えており、現在具体的な検討を進めている。
今後も歴史ファンはじめ多くの人々に愛知、名古屋に来てもらえるよう、名古屋市とも一緒になって、名古屋市の大河ドラマ館や名古屋市内の歴史スポットのプロモーションなどにも取り組んでいく。
【委員】
名古屋駅コンコースのインフォメーションセンターにも期待するほか、滋賀県、奈良県との連携についても頑張って取り組んでほしい。
豊臣秀長公は、我々の地元では超有名人であるが、秀吉と比べると知らない人もいるので、少し人物について触れる。今回主役となる豊臣秀長は、史上最強のナンバー2といわれていて、実力がありながらも決して出しゃばることはなく、秀吉を陰で支えた名補佐役として知られている。また、籠城戦に非常に強く、守備の名手としても高い評価を受け、後に大和大納言と尊称されるまでに至った。その性格は温厚で、真面目一筋であったと豊國神社の宮司から言われたことを強く覚えている。
また、史実に残るエピソードも、秀長については、褒められることはあっても、悪く言われることは一切なかったなど、目指すべき人物像でもある。秀吉は、政治について、外交は千利休に聞け、そして内政は秀長に聞けと誰よりも大事に思い、信頼していたが、残念ながら52歳という若さで亡くなった。歴史にもしもはないが、秀長が長生きしていたら、豊臣家の天下が長く継続できていただろうと多くの歴史評論家が語っている。
秀長が秀吉に代わり城代を務めた長浜城、また大いに存在感を発揮した賤ヶ岳の戦いの古戦場がある滋賀県長浜市、秀長が城主を努めた郡山城のある奈良県大和郡山市も大河ドラマ館を設置するように準備しているとのことである。
大和郡山市は、市役所に大河ドラマ担当窓口を新設するなど、熱量や、力の入れ方がすごいと感じている。残念ながら滋賀県を訪れた際に彦根城は行くけど長浜城には行かないとか、奈良県でも、法隆寺や東大寺、奈良公園には行くけど、大和郡山市まで足を伸ばすことはないといった声も多く聞く。
秀長役で今回大河ドラマの主演を務める仲野太賀さんは、郡山城の印象を大阪城に比べると地味、ただ名補佐役である秀長の性格や役割に合った城であるとの絶妙な表現をしている。中村区でも、アジア競技大会で使用されるBMXのコースを中村公園に隣接する名古屋競輪場の中に設置するほか、大河ドラマ館の設置で非常に盛り上がっているが、まだ温度差を感じており、地元議員としてしっかり努力しなければならないと感じた。
先ほど答弁した担当課長は、多忙の中プライベートで長浜城、大納言塚の現地調査を行ったと聞いた。
私が大納言塚を訪れた際、誰もおらず、大和郡山市でも中村区と全く同じ雰囲気を感じた。担当課長も同じように感じたと思う。このようになかなか日の当たらない地味な同じ境遇の三つの地区がしっかり連携する取組に対して、県としてもサポートしてほしい。
また、滋賀県や奈良県と連携した広域周遊キャンペーンも大変重要であるが、大阪府や京都府のような多くの観光客を取り込んでいる自治体に対しても、周知、誘客活動を行っていく必要があると考える。
実際に豊臣家といえば大阪とイメージする人は大変多く、全50話の平均視聴率16.6パーセントと高視聴率を記録し、歴代最高傑作ともいわれている大河ドラマ真田丸でも、大坂の陣など大阪中心の描写が多く放映された。昨年秋に私も大阪城を訪れた際、国内外から多くの人が訪れているのを見て、中村区にも来てもらいたいと、少し悔しいというか寂しい気持ちになったことを覚えている。
このように大阪で豊臣家に興味を持った観光客にもぜひ本県に訪れてほしいと思うし、豊臣家に親しみのある大阪府民も、豊臣兄弟!に対しての関心は非常に高いと思う。
その大阪で愛知の歴史観光をPRすることは、本県の観光誘客に効果的であると考える。間もなく大阪・関西万博が始まり、県は、8月に名古屋市と連携して万博会場内に自治体ブースを出展すると聞いている。
万博会場の県と名古屋市ブースや万博会場以外の大阪の地において、豊臣兄弟!を活用した愛知のPRを実施する予定があるか。
【理事者】
大阪・関西万博の会場や、その他大阪府でのPRについて答弁する。
まず、現在、大阪府において、歴史観光推進事業とは別の事業になるが、二つ考えている。一つは、大阪・関西万博の会場において、8月22日から24日までの3日間、愛知県と名古屋市が共同で出展する際、愛知県の観光PRを実施する中に、豊臣ゆかりの地も含めた歴史観光の魅力も発信していきたいと考えている。
もう一つは、毎年、県では関西圏でも愛知の観光物産展を開催しており、今年度は、11月30日と12月1日に大阪府の梅田で開催した。来年度は時期、場所も未定であるが、できれば万博期間中に合わせて開催したいと考えており、その中で愛知の歴史観光の魅力も発信していきたい。
なお、歴史観光推進事業費に関して、豊臣兄弟!放送開始後に、先ほども少し触れたが、滋賀県、奈良県と広域周遊キャンペーンを実施することとしている。そのキャンペーンについて、大阪府でも、鉄道交通広告などを活用した広告展開を考えていきたい。
【委員】
大阪府でのPRは、万博の期間、もう半年を切った状況で絶好のタイミングと思うので、ぜひ豊臣兄弟!をPRしてほしい。
秀長公の説明が少し長くなってしまったが、最後に要望して、質問を終わる。
制作統括プロデューサーが物語の始まりが中村になることは確実と明言しており、豊臣兄弟!のルーツは大阪府ではなく尾張、中村と多くの人に知ってもらえることは大変うれしく思っているが、豊國神社の神事、催事で地元の人と話をすると、放映が始まっても初回とか2回、3回ぐらいで中村を離れてしまい、近畿方面に舞台が変わってしまうのではないかと非常に心配する声が多くある。
このようなネガティブな意見が多い背景には、豊臣家は公共放送で扱いづらいと言われ続けてきた背景がある。また、豊臣家と親戚関係にあり、人気武将ランキングでは大体10位前後を行ったり来たりしている加藤清正公も中村区出身で我々の尊敬する偉人であるが、この加藤清正を大河へという有志が集まった会議を立ち上げて、署名活動などを必死に行った。
私もその一員として活動したが、その際、後に清正が肥後守として着任した地である熊本県民も立ち上がって2015年から2016年辺りにかけて連携しながら活動を行ったが、NHK側から豊臣秀吉が行った朝鮮出兵、文禄の役、慶長の役で主力として戦った加藤清正、というイメージが定着しており、近隣諸国からの反発が予想されることを理由にハードルが高く実現できなかった。
そうした有志の活動は中止しているが、豊臣秀長という新たな観点から久しぶりに豊臣家、尾張中村が注目されることに大変期待しており、地元の期待も大変膨らんでいる。
地元も知恵を振り絞って頑張るので、県としても名古屋駅に設置されるインフォメーションセンターや広域周遊キャンペーンを通じて力強くサポートしてほしい。
【委員】
大きく三点伺う。
まず、予算に関する説明書の185ページ、雇用対策事業費の(2)中小企業人材確保事業費の中で、イ奨学金返還支援事業費について伺う。
これは、この間の一般質問でも取り上げられていたし、おとといの経済労働委員会でも減額補正を議決したばかりである。新年度に当たって予算額を減らして計上されているが、令和6年度の新規事業であり、実は県がこの事業を行う前に、県内の市で同じように、市の場合は市内に住んでいる人が市内の企業に勤めた場合に、奨学金返還の支援をするという施策を取っていた市がある。
私の地元豊橋市も、委員長のみよし市も同様であったかと思う。また、一宮市や、ほかにもあったかと思うが、この事業はそれぞれ目的や効果が、市と県では少しずつ異なっている。去年委員会では言っていないが、この事業を先行的に進めた市と、後から出てきた県が、足の引っ張り合いをするのではなく、相乗効果が出ればなおよいことを伝えたと思う。今年度この事業を執行するに当たり、既に事業を開始していた市に対して、何らかの影響があったのかなかったのか。よい影響であればよいが、少しそうではない影響があったのであれば、その辺りをどのように調整して、新年度この事業を行っていこうと考えているのか。
二点目は、同じく予算に関する説明書の177ページで、地域産業振興事業費の中の(1)地場産業振興対策費の中で、まずウについて伺う。あいちの酒需要拡大促進事業費として567万7,000円を計上している。これは新規事業ではないと思うが、今まで事業を行ってきた中でどのような事業効果があり、新年度はどの辺りを改善した上でこの予算を計上して執行しようとしているのか。
三点目も、同じく予算に関する説明書の177ページ地域産業振興事業費の(1)地場産業振興対策費、イの伝統工芸産業振興事業費について伺う。愛知県内には法律に基づいて経済産業大臣が指定した伝統的工芸品が15品目ある。
例えば私の地元の豊橋市では、豊橋筆が指定されている。ただ、その豊橋筆も筆を利用する人が年々少しずつ減少していることもあり、なかなか厳しい状況にもある。筆を作る事業所の数も減少してきている。
市場、マーケットが小さくなってきていることもあるが、豊橋筆を例にすると、原材料を調達することもなかなか難しくなってきたとのことである。筆であるので、動物の毛を使っているほか、軸の竹も細いもの、太いもの様々あるが、そのような材料が手に入らなくなってきている。輸入に頼ってきたものの輸入が止まってしまっているところもあるようである。そのため、筆の毛を作ろうとしても今ストックしてあるもので何とかつないでいるほか、国内で手に入るものも本当に限られてきていることから、厳しい状況であるということを、職人たちからも聞いている。
別に筆に限ったことでもなく、このような伝統的工芸品は、職人が使う独特の道具があり、筆でも様々な道具があるが、そのような道具を作る職人がいなくなってきているようである。それはマーケットが小さくなってきた分、伝統的工芸品が売れなくなると、道具を作る人々も減ってしまっている状況であるため、職人が使っている道具も少しでも長持ちするように大事に使っている話も聞く。
伝統的工芸品と一口に言っても様々なものがあり、それぞれ事情や置かれている状況が異なると思うが、将来を見据えたときに明るい未来が開ければいいものの、開いていくまでにも様々な事情で山あり谷ありになっていくと思う。
そこで、県内15の伝統的工芸品産地について、それぞれ困り事や悩み、改善策など様々なことを考えていると思うが、愛知県としてこのような課題を現在どのように調査し、把握して予算にしたのか。
豊橋筆
県の奨学金返還支援制度の市に対する影響について、愛知県内の市町村では、12の市町村で奨学金返還支援制度を設けている。その中で愛知県が後から支援することになったが、豊橋市やみよし市は県が行った後に続いて市が支援する形になったと聞いているので、企業や支援を受ける若者は、支援期間が長くなるメリットがある。
奨学金返還支援制度チラシ
まず、日本酒の事業についてである。本県産業振興課では、あいちの酒需要拡大促進事業費として、予算を567万円組んでいる。その中には、日本酒の販路拡大を含めた形で、まずは東京都での試飲会への蔵元の出展、また愛知県内での出展、その他酒造組合との連携の下、各情報交換等を行いながら進めている。特に最近では発酵食文化が注目されているので、日本酒についても同様の形で進めている。
東京都等では3回、名古屋市では3回の試飲会を進めて日本酒の需要促進を進めている。
日本酒 試飲販売会風景
また、産地の人々が一堂に会し、対面で意見交換を行う愛知県伝統的工芸品産業振興対策会議において、各産地の出席者から聞き取りを行っており、直近の会議では後継者の育成の難しさ、原材料の価格高騰による調達の難しさ、知名度の低さ、日本人の生活スタイルの変化によるニーズの変容などが課題として挙げられている。
こうした機会を捉え、引き続き課題の調査を始め支援を進めていくが、来年度の事業としては、あいち伝統的工芸品産業持続強化支援事業として、産地企業にマーケティング等の専門家を派遣して新商品開発やPR等のアドバイスを行う事業や、海外バイヤーとのオンライン商談会を実施するなどの国内外への販路拡大に向けた取組を進めていく。
また、伝統的工芸品産業後継者確保支援事業として、喫緊の課題である人手不足については、後継者のインターンシップ事業を実施して進めていく。
【委員】
まず、奨学金返還支援事業費である。先行的に行っていた市が県の施策とどういうふうに整合性を取っていくかを去年考えたと思う。それが良いとか悪いとかではなく、相乗効果を生む形で、奨学金返済について少しでも新しく社会に出た人々の力になれるものであればよいという思いで今回質問した。細かい話し合いになるかもしれないが、市と県は別々ではなく、足らないところを補うとか、必要なところを探りながら、改善できるところは改善していくことを要望する。
次に、日本酒に関する部分である。新年度も試飲会を開催するということであり、それによってトータルで日本酒の消費量が増えていくのであればよいと思うが、残念ながら、私の住む東三河でも、何年か前に、設楽町にある県民であれば多くの人が知っている酒蔵よりも歴史のある酒蔵が閉じたほか、豊橋市でも昨年度に酒を作るのをやめ、作った酒が全部売れたら蔵を閉じるところが出てきている。
消費量が拡大すれば続けていくことができるかは一概にはいえないが、設備が老朽化し、設備投資をして、投資額に見合った販売量で投資が回収できるかどうかで悩んだ結果閉じることとなった。
それぞれ事情はあると思うが、消費を拡大していくことは大事である。試飲会だと日本酒好きな人が飲んで、この酒がおいしいだとかというものだと、拡大にはなかなかなっていかないため、観光と一緒になって、例えばペアリングではないが、ワインのように、この和食に対してこの日本酒が合うというような、もう一工夫二工夫があると、何か新しい糸口がつかめていくのではないかと思ったため、質問している。酒蔵も今厳しい状況にあるのは間違いないため、消費拡大だけではなく、様々な面から支援してもらうよう要望する。
最後に、工芸品についてである。本当に県として応援していることも承知しているが、もう一点伺う。時代が変わり、生活環境も変わった。例えば仏壇も大きな仏壇は要らなくなり、着物ももう着なくなるなど、工芸品によっても取り巻く環境、背景は違っていると思うが、県として様々な課題を抱えている工芸品産地に対して、新年度、何か今までと違った支援策を具体的に考えているのか。
【理事者】
来年度、先ほど触れたあいち伝統的工芸品産業持続強化支援事業を行う。指摘のような、時代の流れにより大きな仏壇が要るのかなどの課題がある。その中で伝統的工芸品産業の企業の人々がグループをつくり、新たな商品開発などに取り組むことを支援する事業を考えている。
先ほど言ったように新しい製品や、後継者の問題もあるため、そのような部分も含めてトータル的な支援を行っていきたい。特に新商品開発には力を入れてやっていきたい。
【委員】
伝統工芸品は、時代が変わって、ニーズが減ってきている部分もあるほか、市場を拡大すればまだ使えるものもあると思う。私もよく言っているが、技術に対しての価値ができなくなってきているのではないか。例えば家では、細かい造作について、昔は良い職人が作っている、これは良い木を使っているとか、着物だと良い技術で作られているとか、筆であれば筆を使う機会が多くあれば筆も使ってくれると思う。できたものの価値が分からないと、もしかしたら値段もつかないかもしれない。値段からしかその価値が判断できない人が大分増えてしまっていることも一つの理由ではないかと考えると、子供の頃からそうしたものに少しでも触れる機会があるといいと思う。
豊橋筆では戦後、子供たちが筆を使う機会を増やしたいと、動いた先人がいた。子供たちがいかにいろんなものに触れていく機会があるのかが後の消費につながっていく部分もあると思う。こういった機会もこれは他の部局になってしまうのかもしれないが、つくってほしい。
【委員】
予算に関する説明書の184ページの中小企業男性育児休業取得促進事業費の普及推進費について伺う。今年度も中小企業の男性育休の取得事業として実施していたが、まず来年度の普及推進費の内訳について伺う。
【理事者】
普及推進費の事業費の内訳は、育児休業取得を企業へ普及推進するため、県内企業に専門家を派遣するアドバイザーの派遣を25社、1社当たり3回で計75回、あと法改正のポイントなどを解説する普及啓発セミナーを2回、各回50人で実施する。
そのほか普及啓発リーフレットの作成やウェブ広告などにより、本事業のPRを行う。
男性育休取得促進普及啓発セミナー チラシ(表面)
(裏面)
【委員】
セミナー2回、各50人ずつで実施ということであるが、令和6年度も委託事業を実施し、ウインクあいちにおいて、参加者が19人とか7人で、オンラインの参加も十数人と聞いた。これについては実際どのような人数であったのか、また、それを踏まえての来年度の予算組みであると思うので、令和7年度の見通しについて伺う。
【理事者】
普及啓発セミナーの令和6年度の実績は、計3回開催しており、1回目が8月22日に開催し、参加者が合計19人で、内訳は会場が7人でオンラインが12人であった。2回目は9月24日に開催し、参加者が合計25人で、会場が7人、オンラインが18人であった。3回目は10月28日に開催し、参加者が合計19人、内訳は会場が7人、オンラインが12人であった。
今年度は参加者が少なかったため、来年度は開催回数を2回、各回50人という形で開催する方向で考えている。
なお、参加者を募集するに当たり、中小企業や商工会議所、ハローワークなどへのチラシ配布や、グーグルやヤフーでのリスティング広告の活用、あいち働くパパ応援サイトでのPRを積極的に実施し、人数を確保していきたい。
【委員】
男性育休を取得してもらうためのセミナーなので、この事業を普及推進するに当たり、子育て中の人、もしくはこれから子供を持とうと思っている人が対象になると思うが、当然子育て中の人が会場まで出向くことは少し考えにくい。子育てをしているので、できるだけ子供に接する時間をたくさん持つことを考えると、オンライン参加がメインになってくるのではないか。そうすると、実際に想定どおり2回の開催で、各回50人の参加人数が達成できるのかを考えると、なかなか厳しいのではないか。
今後、開催の仕方などをもう一度違う視点で考える必要があるのではないか。企業側からすると、環境づくりをするためにワークショップに参加することもあると思うが、現実的に考えると令和6年度に開催された3回のセミナーの人数からすると、その倍以上の参加者を来年度に集めることはかなり厳しいと思うので、育児休業を取得促進するためのという言葉からすると、もう少し実態に合った募集の仕方をするように要望する。
次に、外国人材確保支援事業について伺う。本県の産業の担い手としてより一層期待されている外国人材の確保を支援するため、今年度新規として掲げられている予算7,795万5,000円の内訳について伺う。
【理事者】
外国人材確保支援事業費の内訳は、相談窓口となる外国人材受入サポートセンターの設置経費として約3,300万円、それから企業対象に専門家による伴走型支援を行う経費で約950万円、このほか、受入れ段階に応じた企業向けセミナー開催経費が約600万円、また働いている外国人従業員を対象にした日本語研修にかかる経費が約440万円、そして、既に日本にいる外国人材を対象とした合同企業説明会にかかる経費が約640万円である。
また、海外のオンライン合同企業説明会や、インターンシップをモデル的に受け入れる事業の経費が約1,860万円である。
【委員】
そうなると、外国人材の就業支援や生活の相談はもちろんのこと、就業に当たっては厚生年金や雇用保険などの説明も必要となると思うが、就業だけでなく生活についても一括で相談できるワンストップの窓口はどこに設置するのか。
【理事者】
来年度新たに設置しようとしている外国人材の生活支援などのワンストップの相談窓口は、日本語や英語だけではなく、多言語、7か国語で様々な相談に対応する。
また、相談対応だけではなく、新しくポータルサイトを立ち上げ、その中で保険や医療、年金などの生活に関する支援を分かりやすく一元的に情報発信していく。
【委員】
県内中小企業の生活環境はそれぞれ異なり、細かいことだとごみ出しについてなど、生活支援の説明をどこで、誰が教えてくれるのかも含め、外国人材の確保時はそのようなアナウンスもしつつ、日本に定着してもらうことを考えると、様々なサポートが必要かと思うので、そういった点も、市町村や企業と一緒になって考えてほしい。
【理事者】
先ほどの委員の質問のうち、ワンストップでのサポートセンターの設置場所については、現在事業者の募集をしており、場所としては名古屋市内の交通の便がよい場所に設置することを想定している。
【委員】
第2項商工業費のうち、海外スタートアップ支援機関連携推進事業費について伺う。
STATION Aiがオープンし、スタートアップの大規模イベントとして、2月4日から6日の3日間、テックガラジャパンが開催された。今年度開催されたテックガラジャパンの取組を確認しつつ、来年度に向けて伺う。
まず、5,000人規模のイベントを目指すということであったが、ホームページを見ると、登録者数は5,000人を超え、多くの人が名古屋に集った。私自身は、2日目のナディアパークと、3日目のSTATION Aiのイベントに参加したが、スタートアップのコンテストであるピッチイベントの会場は、立ち見の人であふれるほどの参観者がおり、他のセミナーなども盛況だったと感じた。
大規模なスタートアップのイベントについては、以前から質問や要望をしてきた経緯もあり、昨年東京都で開催されたスシテック東京のイベントやオンラインピッチイベント、それから東京都のスタートアップの支援拠点である東京イノベーションベース、TIBも見てきた経験を踏まえて質問する。
まず、テックガラジャパンは1日目と2日目は会場が分散していたが、3日目はSTATION Aiで一つの会場に集結してイベントを見ることができた。
それから、セッションにも幾つか参加し、これまでのものも含め、STATION Aiでの出会い、いろいろなマッチングのイベントが開催されていて、つながりの実際の様子なども聞くことができた。
また、アフターパーティーにも参加し、初対面の人と話ができて楽しかったほか、実際にアフターパーティーだけではなく、STATION Aiのテックガラジャパンに参加した人からも、愛知県で開催されているイベントについて聞いたが、規模的にも、また明確に目的を持った参加者が集まっているため、よいイベントであると、おおむね好評であった。
まだ様々な課題は見えていないと思うが、初めての開催について、現状として県としてどのような評価をしているのか。
【理事者】
テックガラジャパンは、愛知県、名古屋市、一般社団法人中部経済連合会、そして名古屋大学が中心となって組織しているセントラル・ジャパン・スタートアップ・エコシステム・コンソーシアムが主催し、2月4日から6日までの3日間で、未来を開くテクノロジーの祭典というテーマで開催した。
1日目と2日目が中日ビルやナディアパークを中心とする栄地区、最終日がSTATION Aiのある鶴舞地区をメイン会場に開催し、103の基調講演やパネルディスカッション、それから142社の展示、9か国16社が参加したピッチコンテスト、さらには90のサイドイベント等々、様々なプログラムにて開催した。
会期中は、国内外のスタートアップや事業会社、投資家など5,000人を超える数多くの人々が来場し、多くの交流が生まれ、イベントを成功裏に終えることができた。
その一つの裏づけとして、来場者へのアンケート結果を紹介すると、満足度について5段階で評価する項目があり、上から二つ、非常に満足と満足、この二つを足した数字が90パーセントを超えており、大半の来場者には満足してもらうことができたと考えている。
今回プロデューサーを務めたグローバルカンファレンスの経験豊かな奥田浩美氏からも、初回からこの規模で開催し、多くの地域の事業会社やスタートアップが関わり、日本を代表するグローバルイベントとしての一歩を踏み出すことができたと前向きな評価をもらった。
【委員】
ピッチコンテストについて伺う。ピッチコンテストとしては、テックガラ・グローバル・スタートアップ・ショーケースと、県主催のアイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグの二つであったと認識している。
県主催のアイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグについては、ファイナリスト10社のうち化学品を取り扱うプラットフォームの構築をプレゼンしたソータス株式会社が最優秀賞に選ばれて1,000万円の賞金を獲得した。
愛知県のプロモーションの目的は、県内産業の成長促進に寄与することと示されていることもあり、その中で次世代産業の振興が大きな目的だと思う。これまでもアイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグは何回か行われており、参加企業、また入賞した国内外のスタートアップの企業があるが、今後、ただ賞金を出すだけではなく、県が中心になって開催するイベントであるので、県としてどのように今後もピッチコンテストに参加した企業に関わり続けてもらうのか。
【理事者】
アイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグについては、愛知県から次世代のユニコーンの創出を目指す創業初期のスタートアップを対象として、年に3回開催するピッチのイベントであり、今年度3回目のコンテストについて、テックガラとの連携イベントとして実施した。
このコンテストは、審査基準の一つとして、愛知の活性化に貢献できる事業という視点があり、特に入賞者には、STATION Aiのオフィス会員になってもらうこととしている。
先ほど紹介があった今回入賞したスタートアップ企業は、愛知のものづくりを支える化学品のeコマース事業を行っており、顧客の約2割が愛知県の企業で、この地域とも親和性があり、かつグローバルに展開する可能性のあるビジネスモデルが評価された。
これまでにも入賞したスタートアップには、STATION Aiを拠点の一つとし、会員である多くの事業会社と交流を深め、事業を成長させ、将来的には愛知発のユニコーンとしてグローバルに展開してもらうことを期待している。
【委員】
ファイナリストや入賞者を選考する際に、愛知県についての評価基準があるのか。
【理事者】
審査基準の一つとして、愛知の活性化に貢献できる事業かを視点の一つとしている。
【委員】
私がネクスト・ユニコーン・リーグで話を聞いて興味深かったものが、タイヤを黒から白へというプレゼンテーションである。タイヤの補強材として使われているカーボンブラックが黒色のもので、それが実は石油由来で、タイヤが摩耗することでマイクロプラスチックを発生させてしまうため、カーボンブラックをナノテクの自然素材を使って白いタイヤにして、環境への影響を低減していこうと提言していた。
最優秀賞にはならなかったが、ファイナリストでそのプレゼンテーションをしていたことで、今後もいろいろと活躍していくと思うが、ほかのプレゼンテーションについても、今の時代の人の捉え方、描き方を聞いて、新しい価値観を得ることができ、実際に参加して、刺激的で大変興味深く、面白い体験であった。
ただ、様々な理由があって出向くことができない人もいると思うと、もったいないなとも感じる。スシテックイベントHPはオンラインでも発信しており、当日のオンライン配信やイベント終了後のウェブサイトを活用した情報提供があれば、これからの挑戦者である若い人たちにも情報提供できるのではないか。
テックガラジャパンのイベントについて、今後当日のオンライン配信やイベント終了後に情報発信していく考えはあるのか。
【理事者】
テックガラジャパンでは、全国から愛知、名古屋に多くの人に訪れてもらい、偶然の出会いが数多く生まれるところを期待して、今回あえてオフライン中心の設計とした。
今回、今後のビジネスにつながるような商談が800件を超えるなど、オフラインであったからこその効果があったと考えている。今後もオフライン中心の運営を考えている一方で、委員の指摘にもあったとおり、都合によりどうしても会場に来られない人がいたことは承知している。
次回の開催に向け、一部のコンテンツにオンラインの併用を検討するほか、今年度の写真や動画を組み合わせた情報発信を行うことで、より多くの人に見てもらい、巻き込んでいける工夫をしていきたい。
【委員】
偶然の出会いは、わくわく感が増し、チャンスをつくる点で今、動画の配信とかも検討されるとのことなので、またしっかりとよりよいものにしてほしい。
次に、今回は、ネットで見ていても情報を得づらかった。多くの登壇者がいて、多くのセッションがあり、展示物、またサイドイベントもたくさんあって、慣れていないと情報が得にくかったと思っている。
そして、スシテックのような一般人や子供向けのイベントの展開は、私が見る限りあまりなかったと思う。また、最終イベントで地元昭和区の鶴舞公園でドローンショーが開催され、それはニュースにもなっていた。
実は、周りの人にはショーの開催のお知らせがあったが、ほかの昭和区民に聞くと、知らなかった、あるなら見に行きたかったという声も聞いた。スタートアップの裾野を広げる意味では、そのような情報提供や、先ほどアンケートで90パーセントの人が満足、ほぼ満足ということであったが、残りの10パーセントの人がどのような思いだったのかも今後精査してほしいと思う。
情報提供だけではなく、スタートアップ支援そのものに関する取組について、今後また課題が出てくるのではないかと思う。最後の質問であるが、テックガラジャパンは来年度も開催するということで予算計上されており、今後、どのように準備を進めていくのか。
【理事者】
来場者のアンケート結果を見ると、例えば地域課題の解決やグローバル展開に関する知見を得られた、多様なバックグラウンドを持つスピーカーによる異なる視点が刺激的だったといった様々な声があり、パネルディスカッションの内容や質、あるいは登壇者の熱意や視点、それから参加者同士の交流機会の多さに対して高い評価をもらった。
一方で、委員の指摘のとおり、同じく参加者からウェブサイトとかタイムテーブルの見にくさ、それから情報の探しづらさの指摘や、学生や若者らの参加者層の拡大を要望する声もあり、今後に向けて参考になる意見を多数もらったと認識している。
今回、実は公式ガイドブックを作成し、イベント参加に必要な情報を網羅的にまとめ、情報発信をしていたが、情報公開が開幕直前となり、課題も残っていると考えている。そのため、来年度に向け、評価の高かったコンテンツは当然担保しつつ、情報を整理し、視覚的に分かりやすいウェブサイト作成や、SNSを活用し、効果的に、また早めに情報発信していきたい。
それから、参加者層の拡大について、今回も学生に会場のボランティアやサイドイベントの主催としてイベントに携わってもらったが、このような取組を引き続き行いながら、テックガラジャパンの参加者の裾野を広げていきたい。
当地域のスタートアップ・エコシステムをグローバルに発信することができる貴重なイベントであるので、関係者の声をよく聞き、今回の総括をしっかりと行い、次回の準備を進めていく。
【委員】
様々な人が参加しているすごいイベントであり、見せ方や若い人たちに関して、工夫するということなので、期待していきたいと思っているが、例えばテキサスのサウス・バイ・サウスウエストのようにみんなが知っているイベントにしていってほしい。スタートアップはハードルも高いと思うので、みんなが参加できる話ではないかもしれないが、みんながここでこのようなことが行われていると誰もが知っているイベントになると、より地域としての底上げにもなっていくと思うので、情報を出し惜しみすることなく、うまく提供して、盛り上がっていくことを期待する。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
三河高等技術専門校に新設されるロボットシステム科について伺う。
近年、産業界では人手不足や生産性向上などの課題を背景に、産業用ロボットの導入が進んでいる。ロボットを導入するに当たっては、ロボット本体、周辺機器、制御システムなどを組み合わせ、システムを設計、構築し、構築したロボットシステムを顧客の工場などに導入、設置して、その動作確認や調整を行う。
さらに、導入後にロボットシステムの保守やメンテナンスを行い、安定稼働をサポートするなど、多岐にわたっての専門的な役割を担うというロボットシステムインテグレータ、いわゆるロボットSIerの力が非常に重要である中で、ロボットSIerが、ロボットに関する幅広い知識と技術を持って、顧客の課題解決に貢献するために重要な役割を担っており、需要も増加していて、様々な分野で活躍していると認識している。
ただ、ロボットSIerにはロボットの知識だけではなく、機械設計や電気制御、ソフトウェア開発、プロジェクトの管理など、非常に幅広い知識とスキルが求められる。また、近年ではAIやIoTなど先端技術の活用も進んでいる状況の中で、さらに高度なスキルが必要となり、そうしたスキルを習得するには、非常に人材育成に時間がかかるという課題もある。
令和7年度4月から現岡崎高等技術専門校が建物を全面建て替え、校名も三河高等技術専門校と変更して、新たにスタートする。訓練課程にロボットシステム科を新設するということであるが、ロボットシステム科はこれまでの県内どこの職業訓練校にもない訓練課程である。
三河高等技術専門校にロボットシステム科を新設した経緯について伺う。
【理事者】
これまで高等技術専門校は、第10次及び第11次愛知県職業能力開発計画に基づき、2025年度を目標に、モノづくり人材の育成機能を強化し、中小企業の支援の充実を図ることを目的として、企業ニーズ等を考慮した訓練科の見直しを行うとともに、名古屋高等技術専門校と三河高等技術専門校の2拠点に集約する再編整備を進めてきた。
訓練科の見直しに当たっては、県内企業へのヒアリングを通じた意見等を踏まえ検討を行った。県内企業からは、ロボット等の産業機械の設計、製作ができる知識、技術が必要である、IoT分野等の成長産業の人材育成に取り組むべきなど、新たな技術に関する訓練を求める声があった。
本県は、製造業の事業所数が多く、今後ロボットを活用した生産設備の導入が見込まれ、ロボットシステムの導入を支援する人材の育成の必要性が高まっていることから、ロボットシステム科を新設することとした。
【委員】
長期的に計画を立て、また企業にも様々なヒアリングを行った中で、今回新設したと認識した。経済産業省などの関係機関は、ロボットSIerの人材育成支援や認知度の向上に取り組んでおり、またロボットSIer協会も人材育成のための研修プログラムや資格制度の整備を進めている。
また、愛知県では2022年度から全国の高校生を対象とした高校生ロボットシステムインテグレーション競技会が毎年実施されている。参加校は、4月から約8か月間かけてロボットシステムインテグレーションの知識や技術を学びながら、ロボットや周辺機器を活用し、課題やテーマに沿った独自のロボットシステムを組み上げる。
そして、12月に開催される競技会に参加し、ロボットシステムの実演やプレゼンテーションで8か月間の成果を会場で披露する。この競技会を通して、高校生がロボットシステムインテグレーションの知識、技術を習得し、重要性を学ぶことができる貴重な機会となっていて、ロボットSIer人材の創出を目指し、本年も第4回大会が12月13、14日と愛知県国際展示場で行われることが発表されており、私も大会を楽しみにしている。
ロボットSIerの育成は、愛知県の産業基盤をより強固なものとするために重要なテーマの一つである。三河高等技術専門校で1年間の訓練を通して習得した技術を実社会で十分に発揮していくことが、モノづくりを中心とした本県産業における人手不足や生産性向上などの課題解消につながる。
また、ロボットSIerの人材育成の支援、認知度の向上にもつながり、開校前ではあるが、ロボットシステム科に対して今から期待している。そうした意味から、訓練を修了した訓練生がどのような企業に就職するのかが人材育成の支援、認知度の向上につながる意味で重要になる。
三河高等技術専門校のロボットシステム科では、どのような内容の訓練を行うのか、また修了した訓練生はどのような企業への就職を目指していくのか。
【理事者】
ロボットシステム科では、産業用ロボットの制御手法、カメラを活用した画像処理、産業用ロボットとその周辺機器を連動させるために必要なネットワーク技術など、産業用ロボットの基本的な知識、技能を習得する訓練を行う。
同科は、定員30人で、1年間の訓練を通じて、工場の生産ラインの自動化などを希望する企業に対して、産業用ロボットの導入を支援できる人材を育成していく。
訓練修了後は、産業用ロボットの導入支援を行う企業にロボットシステムインテグレータとして就職することや、生産ラインに産業用ロボットを導入している企業にロボットのメンテナンス技術者や各種作業工程を自動化する技術者として就職することなどを目指していく。
産業用ロボットの操作実習(ロボットシステム科)
訓練内容として、基本的な技術を習得していくということである。ただ、産業用ロボットの技術は、日々進化している。また、ロボットSIerは高度な技術や専門的な知識が必要となり、技術の進化に対応するスキルを身につけていく訓練を行う必要がある。
三河高等技術専門校のロボットシステム科は、新設されたばかりであるので、現状最新の技術に対応したスキルを身につけるための基本的な技術を学べ、訓練できる環境が整っていると思うが、本当に5年先、10年先には、十分とはいえない環境になっているかもしれない。
訓練生がその訓練結果をしっかりと生かした職場へ就職できるように、そのためにも業界の技術の進化を注視し、訓練生が基本的な技術といえども、時代に対応できるスキルを身につけられる環境整備に努めていくよう要望する。
【委員】
アジア大会を見据えての県内誘客と周遊について伺う。
アジア大会は、国内外からの入り口は中部国際空港、県内外からの入り口は名古屋駅となることが考えられるが、そこから移動して県内を周遊することについて、例えば県有施設を含めた周遊観光の考え方について伺う。
【理事者】
アジア大会を見据え、まずアジア大会の前にモリコロパークでの愛・地球博20祭や、国際芸術祭もある。そのほかにもIGアリーナもでき、STATION Aiも完成している中で、まずは各局と連携し、それぞれの施設、イベントをPRし、例えばスタンプラリー等々もあるが、来年度、県内の施設と併せて、どこかもう一か所行ってもらえるような周遊の仕掛けをし、イベントを活用した県内周遊を盛り上げて、その後の2026年度につなげていきたい。
【委員】
県内周遊を考えたときに、どのようにその施設まで行くのか、何を利用して移動するのかは課題となるが、その中で愛知県の施設と名古屋市の施設とアジア大会では既存の施設を使っていくことが決まっている。例えば名古屋市内で周遊する際は、当然地下鉄やバスがあるが、令和7年に名古屋市は、回遊性向上やにぎわいの拡大を図るためのまちづくりと一体となった新たな公共交通システムのSRTの導入を検討している。これは名古屋駅から伏見、栄、オアシス21、愛知県芸術文化センターがつながるいい機会である。県施設である愛知県芸術文化センターとの連携についての考えを伺う。
【理事者】
SRTが来年度、名古屋駅から、広小路通を通って、栄まで運行が始まることは承知している。栄の周辺ではオアシス21や、愛知県芸術文化センター周辺を通るかと思う。
SRT自体は交通手段でもあると同時に、デザインも格好よく、観光資源としてもなり得る。そのような中で、また、今後詳細が分かり次第、SRTを観光面でどのように活用し、PRしていくか、検討していきたい。
【委員】
周遊を考えたときに、愛知県は全国に先駆けて自動運転の実証実験を2016年度から行い、現在、名古屋駅と鶴舞のSTATION Aiを結んで、自動運転車両を定期運転しているが、これは緊急メンテナンスのための急遽の運休などもあり、周遊の足にはならないということもあるので、今後定期運行の増便や、一般の人に活用しやすくするなど、今後の定期運行の予定について伺う。
【理事者】
現在、STATION Aiと名古屋駅前をつないでいる定期運行については、来年度はもう少し面的に広げることを考えており、現在は2点間で運行しているが、もう一か所新たに発着地を設け、いわゆる面的な運行ができないか考えている。
【委員】
面的な運行ということであるが、もう一か所は大体どの辺りを想定しているのか。
【理事者】
事業者を今後公募し、実施する形になるため、その提案を見てからになるが、候補としては例えば利用が見込まれる地域として、栄などの地域を今事務的に考えている段階である。
【委員】
聞いた経緯としては、先日、STATION Aiがどのような人に、どのような活用をされているのかを見に行ったところ、1階フロアがオープンスペースということもあり、高校生が数人で一緒に勉強していた。どこの高校生なのかと声をかけたところ、中京大学附属中京高校の生徒で、地下鉄だと10分ぐらいで来られるため、時々利用しているということであった。10人ぐらいの生徒が一堂にテーブルで勉強しており、このような活用方法もありだなと思っている。図書館ではグループで話し合いながら学習することができないので、とてもよいコミュニケーションの場所になっていると思う。
高校生、中学生、小学生のように移動手段を持たない人たちに、様々な県の施設やSTATION Aiを使ってもらうことを考えると、例えばベビーカーを利用している家族連れにもSTATION Aiを利用してもらっている現状からすると、県の施設に行きやすい環境を整えることも、周遊し、またその施設を活用してもらう際に重要になる。
ぜひ一般の若年層にもSTATION Aiを使ってもらうことを考えると、使いやすい環境を整え、そこでスタートアップがどんなものかを見て、感じてもらうことで、今後のスタートアップイノベーションを起こす人材づくりにもマッチしてくると考えるので、スタートアップが一般の人にも感じ取れる仕組みづくりも併せて行ってほしい。今後、例えば県の施設としてのSTATION Aiを活用してもらうことへの考えを伺う。
【理事者】
STATION Aiは7階建ての建物であり、1階、2階、M3階及び7階が一般の人にも利用できるゾーンになっている。委員の話にもあったとおり、1階やM3階では、高校生が勉強している姿を見かけることがある。
特にM3階まで来ると、その斜め上の3階でイベントをやれば、スタートアップの雰囲気が感じられるのではないかと思い、そういう意味で今の利用状況は、よい方向だと思っている。
今後、どのように多くの人を巻き込んでいくのかは、まだ現時点で何かということはないが、今後の課題として考えていきたい。
【委員】
せっかくのスタートアップの拠点なので、STATION Aiを様々な層の人、様々な年齢層の人に活用してほしいので、そのようなアナウンスもできるだけ分かりやすく発信してほしい。
【委員】
インドとの経済連携について伺う。
今年の1月に、国の出先機関、中部経済産業局のGNI協議会、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブという名称で随分前から活動している、これは、三重県と岐阜県も巻き込んだ形の協議会で、そこの視察団に参加した。視察団は、ニューデリーからベンガルール、ハイデラバードを巡る行程だったが、私は途中から参加したため、ニューデリーには寄らず、ベンガルール、ハイデラバードを訪問した。昨年の秋の聞き取りによると、愛知県とインドの関係は、製造業を中心に92社136拠点の企業が進出していると聞いている。
ここまで伸びてきたのは、大村秀章知事が、当時のグジャラート州の首相で、現インドの首相であるモディ首相が、来県した際に友好関係を結び、2015年に改めて面談した際に、ニューデリーにインド愛知デスクをつくるという運びになり、これまで関係が深まってきた。私は残念ながらニューデリーの事務所には訪問していないが、途中からインド愛知デスクの職員も同行した。
現状、県内企業のインドへの進出の支援について、県がどのように取り組んでいるのか、その内容を確認したい。
【理事者】
県では、県内企業の海外展開を支援するため、ウインクあいちにあいち国際ビジネス支援センターを設置し、海外ビジネスに関する相談対応やセミナー等による情報提供、専門家による伴走型支援などを公益財団法人あいち産業振興機構やジェトロ名古屋と連携して実施している。
インドへの進出支援に関する取組としては、これらの支援のほか、今年度はインドの最新の経済動向等を紹介するセミナーの開催や今年1月にベンガルールで開催されたインド最大級の工作機械展示会への県内企業の出展支援を行った。
また、インド商工省内に設置しているインド愛知デスクにおいては、現地進出企業からの相談対応やニュースレターの配信による情報提供を行うとともに、進出企業を対象とした意見交換会の開催により、ビジネス上の課題の把握や進出企業間のネットワーク形成の促進を図っている。
さらに、冒頭、委員から説明があったとおり、今年1月20日から29日にかけ、本県も参加しているグレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会の事業として、インドへの事業展開を検討している中堅・中小企業の9社を、この協議会の構成機関担当者と共に、インドのデリー、ベンガルール、ハイデラバードに派遣し、現地の展示会出展や企業視察等の支援を行った。
【委員】
私は以前からインドとの関係を何とか深めてほしいと思い、本会議でも何回も質問している。
また、インドのスタートアップと県内企業が連携すべきであると議場で質問したところ、当時の経済産業局長から、検討に値するとの趣旨の答弁があった経緯がある。
インドとのスタートアップの連携について、今どのような取組をしているのか。
【理事者】
県では、STATION Aiを中核としたグローバルコミュニティーの形成に取り組んでおり、その一環として海外スタートアップを対象とした県内企業とのマッチング事業を実施している。今年度は、その事業に世界各国から92社、そのうちインドから8社の応募があり、その中から選定したスタートアップに対して、県内企業との具体的な協業を支援している。そして、このような取組を通じ、現在、インドのスタートアップ2社がSTATION Aiの会員になっている。
一方で、本県のスタートアップでSTATION Aiの会員となっている2社がインドに事業展開している。
県としては、今後もさらにインドを含めた世界の最先端のスタートアップと県内企業との協業や県内スタートアップの海外展開を促進しながら、グローバルなネットワークを強化していく。
【委員】
産業立地通商課と海外連携推進課のそれぞれから答弁があった。正直言ってインドは大国であるが、どこと連携するのかがまだ明確ではない。大国と連携する場合、例えば中国でもアメリカでもどこの州か、どこの省かというふうにもっていかないとなかなか関係が深まらない。少し古い資料であるが、2013年頃には和歌山県とマハーラーシュトラ州、それから2016年に兵庫県とグジャラート州が経済連携や包括連携、最近では静岡県が昨年末にグジャラート州と包括連携を締結した。また、愛媛県も最近タミルナドゥ州と経済協力に関する覚書を締結した。
そしてまた、我が県ではトヨタ自動車株式会社もインドに進出しており、今回視察してきた。ベンガルールに工場を建設した際の記事が2023年11月に掲載されているが、カルナータカ州で三か所目の新工場を建設することになっており、今回視察時に話を聞いたところ、海岸沿いにムンバイがあるマハーラーシュトラ州の内陸のオーランガバードに第4工場を造るために、用地を取得するとのことであった。
当然のことながら、トヨタ自動車株式会社が進出することになれば、県内のサプライヤー企業も進出することになると思うが、いずれにしても愛知県としてもどこかインドと連携を取るべきである。今回触れたベンガルールは、既にトヨタ自動車株式会社が進出しているほか、先ほど説明のあったスタートアップも既に随分な企業が愛知県の関係でも出ていると聞いている。
ベンガルールやハイデラバードと連携を深めていくことで、これからの愛知県の将来が見えてくるのではないかということで質問する。今回先ほどグレーター・ナゴヤ・イニシアティブの関係で県関係職員も参加したということであるが、ハイデラバードへは来ていなかったので説明すると、ハイデラバードは、テランガナ州に所属しており、州の人口は3,772万人、愛知県は750万人弱であるが、州都のハイデラバードだけで人口が750万人あり、要するに人口規模が全然違う。
そのため、どこの都市と協定を結んでもそれなりの規模感になるが、州都ハイデラバードは、IT、製薬、繊維といった産業が中心で、特にITはマイクロソフトやアップル、グーグルやアマゾンのようなグローバル企業が既に進出しており、とても近代的な都市である。
また、医薬品の原薬は、インド全体の生産高の40パーセントを占めており、ITとファーマシーを持っている都市である。そのハイデラバードには、まさに愛知県でいうところのSTATION Aiに類する支援拠点として、T-Hubがある。
ここも視察したところ、規模感ではSTATION Aiよりもやや小ぶりという感覚はあったが、相当な企業が入居しており、そして、日系企業も入居していた。愛知県からは、株式会社デンソーや株式会社アイシンの関係企業が、大手企業では株式会社東芝も入居しており、既に日本との関係も深まっている。また、STATION Aiでも1階に工作機械を置き、そこで試作品を作ることの支援もしているが、それと同じようにT-Hubは隣にT-Hubと同規模のT-worksというもう少し大きな一つの機関として試作品を作ることができる機能を持った施設も造っている。
また、残念ながら私は視察できなかったが、インドの国立大学であるインド工科大学は、全部とは言わないが、各州にあり、そこのハイデラバード校がスタートアップに注力しており、本会議でも説明したとおり、既に日本との連携も始まっている。このようなスタートアップで相当な実績がある機関とぜひ提携をしたらどうかと思い、前回も本会議で質問し、可能性はあるとの答弁があった。今日は結論までは求めないが、今後の連携についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
テランガナ州ハイデラバードには、委員の説明のとおり、T-Hubやインド工科大学ハイデラバード校のほか、グローバルIT企業の開発拠点が立地しており、本県の連携先として期待できる地域であると認識している。
一方で、世界有数のスタートアップ大国として著しく成長しているインドには、ほかにもスタートアップ・エコシステムが発展している地域が多くある。例えばカルナータカ州のベンガルールは、インドのシリコンバレーとも呼ばれ、多くのスタートアップやインキュベーターが集積するインド最大のスタートアップ拠点となっている。また、マハーラーシュトラ州のムンバイはインドの金融の中心地であり、フィンテックをはじめとして多くのスタートアップや企業、スタートアップ支援に力を入れているインド工科大学ボンベイ校などが集積する都市となっている。
このようにインドには連携先として可能性のある地域、機関が幾つもあると認識している。そのため、県内事業会社及びスタートアップのニーズやインド各州の特性などを踏まえて研究していく必要がある。
また、県内企業のインドへの進出支援やインドからの人材確保など、併せて県としてどの地域と関係を深めるかを総合的に考えていく必要があると認識している。
【委員】
何が何でもハイデラバード、テランガナ州というつもりもないので、しっかりと研究してほしい。ベンガルールは、今スタートアップ・エコシステムが一番優れているという評価だとの話もあった。
ぜひ、アメリカやシンガポールなどと同様に、スピード感は必要だと思う。いわゆるIT産業という言葉自体が既に古いとずっと言われているが、DXと言われる流れが進展している中で、手を出さなかったら、イノベーションも何も起きないため、早く連携してほしい。
先ほどインド工科大学ハイデラバード校に行けなかったと話したが、実は前日に、テランガナ州の首相と会う予定があったが、急遽キャンセルになり、翌日のハイデラバード校に行くタイミングで、ほかの担当大臣に会えるということだったので、会ってきた。
その担当大臣はIT担当大臣、そして産業大臣であった。知事の親書を持って訪問し、こちらのジブリパークやSTATION Ai、観光のことも含めて説明したほか、2026年のアジア競技大会、アジアパラ競技大会も紹介した。その中で、アジア競技大会、アジアパラ競技大会には招待したつもりである。
それに先んじて、来月から開幕する大阪・関西万博に州関係者が来るので、愛知県にもぜひ行きたいとの話もあった。その詳細について聞きたいが、当委員会が所管する局だけでなく、政策企画局国際課などとも連携することになるかと思う。ぜひそのようなチャンスも生かしながら、先ほどのベンガルールも同様に、チャネルが一つでも多いほうが愛知県の発展につながると思うので、逃さずものにしてほしい。
最後に、インドとの関係は、これは企業進出と併せて、優秀な人材が行き来できることも必要だと思う。優秀ではないとは言わないが、人材が今、日本はどこも足らない状況である。
スタートアップの関係で、先ほどSTATION Aiにおけるインド関係2社について触れていたが、そのうち1社にいわゆる国のトップに指定されたアイティップス株式会社がある。インドのベンガルールにある会社で、日本に建設業向けの人材を送り出す事業を行っており、まさに先ほど委員も触れた、アイチ・ネクスト・ユニコーン・リーグで優勝した会社であるが、そこに行った。
まだ規模自体は小さく、これからの会社であるが、人がとても多いことがインドの一番の魅力である。今アジアで様々な国から技能実習生として来日して活躍しているが、そのような部分においてもこれから随分関わりが深くなると思う。
今申し上げたスタートアップのアイティップス株式会社のほか、既にインド政府機関から認定を受けた人材送り出し機関として刈谷市のアームス株式会社がある。ここにも、昨日に早速視察に行き話を聞いた。インドだけではなく、各国から人材を集め、日本語教育、そして日本文化に慣れてもらった上で、特に今は製造業に向けて人材を育成して送り込んでいるとのことである。
昨日は60人ほどの生徒がおり、そのうちインド人が10人ぐらいで、全員この4月から就職が決まっているとのことであったが、これからは多くの外国人の協力ももらいながら、愛知県も発展させていかなければいけないと思うので、県職員はそれぞれの立場で一生懸命活動、仕事してもらっているが、このような大きな前向きな仕事もぜひとも取り入れてほしい。
【委員】
中小企業に対する資金繰りの支援について伺う。
最初に、全世界を震撼させたといわれる新型コロナウイルス感染症が2類から5類に移行されてから間もなく丸2年となる。コロナ禍において、多くの人々が影響を受ける中で、感染症対策のみならず、経済対策も同時に進める必要があった。
特に本県産業を支える中小企業が倒れないように、資金繰りを支援する必要があった。私も知事と県議会一丸となって県内の業界団体、そして各種団体を巻き込んで県と国に対して強く働きかけをし、対応を求めてきた。
その結果、国や県にはコロナの影響を受けた中小企業への資金繰り支援をはじめ、様々な中小企業支援を強力にしてもらい、コロナ初期の企業倒産は低水準に抑えられ、中小企業の景況感も短期間で改善したと思っている。
帝国データバンク全国企業倒産集計表によると、年別倒産件数推移ではコロナの初期、2020年と2021年は特に少なかった。愛知県内の中小企業景況調査によると、全業種の業況判断、売上げ、採算の各DI、ディフュージョン・インデックス、景気動向指数の推移で、2020年4月から6月期を底に、約1年で急激にコロナ禍以前の水準まで回復している。
そこでまず、県はコロナの影響を受けた中小企業に対して、コロナ禍以降、これまでどのような資金繰り支援を行ってきたのか。
【理事者】
コロナ禍においては、実質無利子、無担保、保証料ゼロとする新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資をはじめとした様々な資金繰り支援を実施した結果、2020年度の融資実績は、県制度融資全体で従来最大であった2008年度の6,322億円を大幅に上回る1兆6,562億円にも上り、多くの中小企業の経営の安定、倒産の抑止に大きな効果を発揮したものと認識している。
また、ゼロゼロ融資等のコロナ関連融資が終了した2021年度以降は、コロナ禍からの経営の立て直しを支援するため、同年4月にサポート資金(経営改善等支援)及び再生資金(感染症対応型)を、10月にはコロナ関連融資の借換えに対応したサポート資金(新型コロナ借換)を創設した。
さらに、エネルギーや原材料価格の高騰が顕在化した12月には、サポート資金(経済対策特別)に保証料負担が2分の1となる原油・原材料高緊急対応枠を設けるなど、様々な資金繰り支援をきめ細かく行ってきた。
こうした取組の結果、2021年度の融資実績は、ゼロゼロ融資の反動により2,626億円と一旦は落ち着いたものの、2022年度は2,688億円、2023年度は3,838億円、今年度の見込みは3,000億円程度と、依然としてコロナ禍前よりも多くの利用があり、コロナ禍以降も引き続き中小企業の資金繰りの円滑化に寄与しているものと認識している。
【委員】
これまで県として様々な資金繰り支援によってコロナの影響を受けた中小企業の下支えをしてきたことがよく分かった。
一方で、コロナ禍以降、倒産件数が増え、2014年以降で最多を記録したという調査結果がある。これも帝国データバンク全国企業倒産集計によると、年間件数は3年連続で大幅増、1万件に迫る倒産、2014年以降で最多とのことである。その中で、業種別ではサービス業が2000年以降で最多となっている。
私の周りでも最近、ラーメン店や美容室が多く倒産しているという話を聞いているが、個別の調査結果からも読み取れる。これも帝国データバンクによると、ラーメン店の倒産が前年比3割強超えの急増、過去最多を更新した。美容室の倒産も急増、過去最多を大幅更新へということである。
このように人手不足、賃上げ、原材料高騰といった新たな課題が中小企業にのしかかってきている。最初の経済産業局長の挨拶にもあったように、これからはトランプ大統領の関税政策、それに伴う円高株安などの影響、中小企業にどのような影響を与えるかも大変不安視される。
こうした中、中小企業の資金繰り支援についても、経営改善、再生はもちろん、成長促進も含めて多岐にわたる経営課題にも対応できるようにしていく必要があるのではないかと考える。
県は引き続き厳しい状況にある中小企業に対して、今後どのような資金繰り支援を行っていくのか。
【理事者】
原材料価格の上昇等による物価高は、幅広い業種の中小企業に依然として大きな影響を与えていることから、サポート資金(経済対策特別)原油・原材料高対応枠を2月18日から再開し、6月末まで実施する。
また、2025年度より新たな資金メニューとして、コロナ禍により過剰債務に陥り、いまだにその返済に苦しむ中小企業に対し、借換えによる返済負担の軽減を図るため、借換え元の対象を全ての保証付融資に拡大したサポート資金(経営改善借換)を創設する。
加えて、物価高や人手不足の影響を受け、業況が悪化している中小企業の経営改善や事業再生に向けた取組を資金面から支援する再生資金(経営改善・再生支援強化型)を創設する。本資金は、金融機関に対して定期的なモニタリングと計画の実行に係る指導、助言等の経営支援の実施を義務づけており、より着実な計画の実行が期待できる。
このほか全国的に業況が悪化している業種を営む中小企業の経営の安定を支援するサポート資金(セーフティネット)や設備投資などの前向きな取組を支援するパワーアップ資金など、様々な資金メニューを引き続き実施することで、中小企業の資金繰りをしっかりと支援していく。
また、中小企業が複雑かつ多様化する経営課題に対応するためには、資金面のみならず経営面からの支援も重要である。県の関係団体であり、中小企業の経営支援を担っている公益財団法人あいち産業振興機構では、様々な分野の専門家を配置した無料相談窓口や専門家を最大10回まで現地に派遣する専門家派遣事業等を実施しており、これらを活用して事業環境の変化に対応した中小企業の事業継続、経営力強化に向けた取組を支援していく。
【委員】
国の動きを注視して、引き続き支援していってほしい。
【委員】
女性起業家育成・促進事業について伺う。
日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位で、教育は72位、健康は58位で比較的高いが、経済参画は120位、政治参画は113位と低くなっている。なお、1位はアイスランドで、15年間トップである。
また、3月8日は国際女性デーであったが、それに合わせて地域からジェンダー平等研究会が都道府県版ジェンダーギャップ指数を公表した。それによると、愛知県は政治の順位は23位から16位に上がり、行政も20位から18位に僅かだが上がった。ところが、経済では29位から34位に後退し、フルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差は、前年比で7,000円強広がって9万4,000円となり、47都道府県で43位という結果だった。
日本は賃金が平等ではなく、女性が低く、管理職、経営者も女性の比率が低いという現状の中で、その比率を上げるため女性の起業家を増やすことも重要だと考える。2023年版中小企業白書によると、起業家に占める女性の割合は、2018年の28.7パーセントから2022年には34.2パーセントまで上がり、特に30代から40代の女性起業家が顕著に伸びているそうである。
女性起業家の増加は、経済や社会に多大なメリットをもたらし、多様性に富む視点や柔軟な発想がイノベーションを促進し、地域や業界の活性化につながることが期待される。一方で、経済産業省では、スタートアップの起業家に占める女性の割合が少なく、また女性起業家特有の課題も存在するとして、女性起業家支援パッケージを推進している。
そこで、スタートアップ支援拠点であるSTATION Aiにおける女性起業家の状況は現在どのようになっているのか。
【理事者】
STATION Aiの会員のうち代表者が女性であるスタートアップの割合は、1月末時点で11.0パーセントである。この状況に対し、県としては女性起業家の割合を増やしていかなければならないと考えている。
参考として、国には、経済産業省が推進しているJ-Startupというプログラムがある。これは、グローバルに活躍するスタートアップを支援するプログラムであるが、J-Startupに選定されている企業の9.2パーセントが女性経営者である。
先ほど委員が触れた女性起業家支援パッケージにおいて、国はJ-Startupにおける女性経営者の比率を2033年までに20パーセント以上とする目標を掲げているので、県としてもこの数字を視野に入れて取り組んでいきたい。
【委員】
STATION Aiで11パーセント、J-Startupで9.2パーセント、いずれも1割ぐらいしかない。2033年には2割まで目指すとあった。スタートアップの起業家に占める女性の割合が少ないという現状において、昨年オープンしたSTATION Aiをもっとアピールして利用してもらうことで女性起業家の背中を押すことになり、また女性の活躍する機会が増え、愛知県のジェンダーギャップ指数を上げることにつながると思う。
県のスタートアップ支援の一環として、女性起業家を育成する事業を新たに始めると2月20日の新聞に掲載されていた。この事業の目的について伺う。
【理事者】
県では、STATION Aiを中核とし、愛知県独自のスタートアップ・エコシステムの形成を目指している。エコシステムの形成には、より多くの、そしてより多様なスタートアップ関係者が集まり、絶え間なく交流し、相互に刺激し合うことで新たなビジネスを生んで成長していくことが必要不可欠である。
このため、女性をはじめとしたエコシステムに欠くことのできないプレイヤー、この裾野を拡大することが重要であり、多様なプレイヤーが参画することで、STATION Aiを活性化させ、次々にイノベーションが生まれる環境を整えていきたいと考えており、これがまさに女性起業家育成・促進事業の目的である。
【委員】
独自のエコシステムでプレイヤーを拡大し、多様なプレイヤーが多く参画するとのことであった。女性が起業する際、非常にたくさんの困難がある。金融庁のスタートアップ・エコシステムのジェンダーダイバーシティ課題解決に向けた提案によると、立ちはだかる第一の壁は、資金調達における格差となっている。これは、女性が起業する際に、BtoB、ビジネス・トゥ・ビジネスで企業が企業に対して物やサービスを提供する事業を選択するケースが少なく、スケール面で投資家から評価されにくいとの課題があると指摘をされている。
第二に、ネットワーク構築の壁である。男性中心のビジネスコミュニティーに参入することの難しさ、またロールモデルの不足やノウハウの獲得が困難となっている。プレイヤーをたくさん拡大することが刺激になるとよいと思う。
第三はワーク・ライフ・バランスで、家庭との両立の難しさである。45パーセントの女性起業家が仕事と家庭の両立に困難を感じているというデータもある。いまだに女性が家事、育児の負担が大きい部分が残っているので、その中で女性起業家を育成していくためには、乗り越えるべき壁が本当にたくさんある。途中で気持ちが萎えてしまう、へこたれてしまう女性も多い。
経済産業省は、先ほどの答弁にもあったように、J-Startupにおける女性起業家の割合を2033年までに20パーセント以上を目指すということであった。ロールモデルの創出や女性起業家支援ネットワークの構築、マッチングの場の提供、金融支援を含む女性起業家支援パッケージを推進している。このような支援策の整備だけでなく、社会全体の理解や環境整備が進むことで、より多くの女性が起業にチャレンジできると思う。
新たに始める女性起業家育成・促進事業はどのような内容を考えているのか。
【理事者】
女性起業家育成・促進事業の内容は、女性起業家への投資に積極的に取り組んでいる投資家によるワークショップや、起業経験や起業に関する知見を持った専門家によるメンタリングなど、女性起業家に特化した起業支援プログラムや、女性が起業に関する悩みや課題を気軽に相談できるコミュニティーの形成を想定しており、今後しっかりと内容を詰めていきたい。
そして、この事業によって支援した女性起業家には、STATION Aiの会員になってもらい、切れ目のない支援を受けて、ビジネスを成長させていってほしい。
繰り返しになるが、多くの女性起業家がSTATION Aiの中で活躍してもらうことで、STATION Aiが活性化され、イノベーションの推進につなげていきたい。
【委員】
投資家のワークショップや女性に特化した様々な内容で、ぜひ会員を増やしてほしい。裾野が広がらないとなかなか優秀な人材も出てこないと思うので、ぜひ力を入れてほしい。
このように取り上げていかないと、全体もそうだが、本当に女性について、なかなか上がっていかない。今回、先ほども取り上げたが、地元で起業した女性に話を聞いた。その女性は就労支援や地域活動を支援する事業所を立ち上げており、どのようなことが大変だったかと聞いたら、資金の調達が一番大変だったとのことである。
その後、起業後の3年間、従業員の採用と定着に苦労し、今度は顧客確保も大変だったということで、自分たちがやろうとしている起業の内容が必要な人になかなか伝わらなかった。ノウハウがよく分からず、支援が必要な人が市役所の窓口などで説明を受けるが、それを上手に理解できず、相談に行った人も頭の中がクエスチョンマークのまま聞いていたとのことであった。
その結びつきがなかなかできなかったこともあり、大変であったが、それでも利用者の皆さんのために役立つ、私が仕事を進めることで役立つ人生があるんだという、今の仕事をすることが自分が生きている意味であるから頑張っていると言っていた。
この人もそうだが、女性起業家は利益よりも人のためにという部分に行ってしまう。世の中のために、自分の生きがいとしての事業であるという人が熱い思いを優先する。しかし、収入がない。もうからないことには事業が継続しないため、そこで辞めてしまうと意味がない。先ほど答弁があった育成事業をはじめとした支援策が整備され、社会全体の理解や環境整備が進むことで、より多くの女性が起業にチャレンジできると思うので、ぜひそこに力を入れてほしい。
大村秀章知事は、女性起業家を育てることがSTATION Aiの大きな目標の一つと言っており、記事にも書いてあった。ぜひSTATION Aiを活用して、女性起業家の活躍を後押ししてほしい。