委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和7年3月13日(木) 午後0時56分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和7年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第5款 経済労働費の内
第7項 工業用水道費
第7款 建設費の内
第10項 上水道費
第 14 号 令和7年度愛知県水道事業会計予算
第 15 号 令和7年度愛知県工業用水道事業会計予算
第 16 号 令和7年度愛知県用地造成事業会計予算
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号及び第14号から第16号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算の参考資料によれば、豊橋浄水場再整備等事業の来年度予算が6,478万9,000円、債務負担行為が399億3,542万9,000円であるとのことで、これについて伺う。昨年末に入札公告があり、今年に入ってから入札説明会を開催、そして、2月25日の締切りで参加表明書の受付がされたと思う。 そこで、答えられる範囲で伺うが、このPFIの手続の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
豊橋浄水場再整備等事業は、昨年12月27日に入札公告を愛知県公報に登載し、民間事業者の募集を行った。締切日の2月25日までに民間事業者から参加表明書が提出され、提出者の参加資格の審査を行い、3月7日にその結果を通知した。今後は、8月に民間事業者からの事業提案書の提出を受け、11月に最適な事業者の選定を行い、12月には事業者との契約が締結できるよう手続を進める予定としている。
【委員】
年内には事業者が決まっていくよう進められているわけである。 二点目は、現状いろいろなものの値段、物価等が上がってきているが、事業費の見通しを現状ではどのように考えているのか。
【理事者】
本事業は本年12月に契約し、再整備工事の期間が10年程度、その後、20年を維持管理等の運営期間としており長期間にわたる。このため、通常の建設工事において物価スライドを考慮することと同様に、本事業においても国内における賃金水準や物価水準に一定の変動があった場合にはサービス購入料を変更することができることとしており、入札説明書にその旨記載している。具体的には国土交通省が公表する建設分野の物価指標などを用いることとしている。なお、近年この物価指標は上昇傾向で推移していることから、契約期間中に物価上昇の影響は生じると考えている。
【委員】
恐らく物価はまだ上がるであろうと想定できるので、適宜、適切に対応してもらいたい。
最後に、今回この事業を進めるに当たって、豊川総合用水土地改良区などの理解を得なければならない関係団体がある。そうしたところとの水利用の調整や、水道を利用する住民への周知などを今後どのように進めていこうと考えているのか伺う。
【理事者】
本事業は浄水場からの給水を継続しながら全体的にリニューアルする大規模な事業である。豊川を利用するほかの関係利水者に対しては、本事業に係る情報を適宜情報提供するなど利水者間での相互理解に努め、丁寧に対応していきたい。
また、関係利水者はもとより受水団体や水道を利用する地域住民にも広く周知を図りながら、水道に関する理解増進に努めていきたい。
【委員】
調整が必要な団体と調整を丁寧に進めてもらいたい。また、水道の民営化と少し違うことが理解できていない人も見受けられるので、そこも周知、説明をしっかりしてもらいたい。
【委員】
予算に関する説明書の571ページ、愛知県用地造成事業会計予算実施計画の営業収益の2宅地貸付収益について伺う。企業庁で行う開発の土地について、基本は売却を行うことになっていた気がしたが、今回のこの貸付けの中身について教えてもらいたい。
【理事者】
リース制度については、早期の分譲を目的に導入しており、平成14年度から導入している。その当時、景気があまりよくなかったので、できるだけ分譲を促進する意味でリース制度を導入した。その当時は内陸臨海も併せてやっていたが、現在は内陸については分譲が進んでいるので、新規としては主に臨海を対象にしている。
今回の売却収益については、今まで平成14年、15年から今までに契約したものを20年間のリース期間としているので、その年間の分として令和7年度分を収益計上したものである。
【委員】
以前のリースの収益がこのまま残っているという理解でよいか。
【理事者】
そのとおりである。
【委員】
できるだけリースから売却に切り替える働きかけをしたと承知しているが、まあまあ残っているわけである。この後も同じように売却していく予定なのか。
【理事者】
今リースとしては29件ある。随時、満了を迎える前に企業に訪問し、分譲に促す形で進めていく。
《一般質問》
【委員】
水道事業における管路の更新について伺う。
本年1月に発生した埼玉県八潮市での道路陥没事故は社会に非常に大きな衝撃を与えた。都市圏の主要道路でこのように大規模な陥没事故が発生したことは、都市インフラの老朽化と脆弱性に対して非常に国民の不安を高めた。それに対し埼玉県は、下水管の破損が原因である可能性が高いということで、今もなお調査、復旧作業を進めている。また、今月には北海道の下川町でも水道管の漏水が原因で約1,500世帯が断水状態となり、また本県においても小牧市で雨水管の損傷が原因で起きた道路陥没と、各地で水道管の劣化などによる事故が相次いでいる。
県営水道において管路の法定耐用年数は40年と決められているが、2021年度の国土交通省のデータによると、全国の水道管路で法定耐用年数を超えているものは22.1パーセントで、その更新率は年間で僅か0.64パーセントである。
その理由は人口減少や節水機器の普及などによる水の使用量の減少、それによって水道事業の収入も減少して管路の更新に必要な予算の確保が難しくなっていると聞いている。そうした状況を踏まえて、県営水道における現状を危惧するところである。
一つ目の質問は、今年度、県営水道事業において管路の老朽化などによる事故の発生件数、また被害状況について伺う。
【理事者】
県営水道は1962年1月に給水を開始して以降、県内各地域で給水を開始し、最も古い施設では給水開始後既に63年が経過しており、漏水事故については近年増加傾向にある。県営水道管の総延長は約817キロあり、漏水事故の発生状況は今年度までの至近10年間で77件、年平均で8件程度発生しており、今年度は現時点までで8件の漏水事故が発生しているが、一般家庭への影響はない。
【委員】
生活のライフラインとなる県営水道であるので、安心、安全な供給は言うまでもない。今年度も生活の影響はないにしても8件、そうした事故があった。そうしたものに対して管路の点検が、定期的に行われていると思うが、その点検方法も様々ある。より効果的、効率的に自治体によっては非常に進んだデジタルの技術なども活用して点検している話も聞く。
県営水道の管路の点検がどの程度の頻度で行われているのか、また、どのような方法で行われているのか伺う。
【理事者】
県営水道では、従前から毎月管路施設の巡視点検を行い、マンホールなどの構造物については年1回の点検を実施し、異常があれば速やかに修繕等を行っている。また、管路施設の中には河川等を横断する水管橋が200橋あり、目視点検が困難な箇所の点検には、2023年度からドローンを活用して計画的に毎年度点検を実施しているほか、2024年度からは水中ドローンと呼ばれる小型水中カメラを水道管内に挿入することにより、水道管の内側から劣化状況を確認する点検を実施するなど、新技術を用いて従前では確認できない箇所についても点検を進めている。
さらに、近年の技術革新を踏まえ、過去の漏水事故結果に加え、交通量や人口密集度など水道管路の劣化に関連する物理化学的な1,000以上の環境変数を用いて、2022年度からAIを活用した管路の劣化度診断を実施しており、今後の漏水発生の予測調査を実施している。
また、同じく2022年度から実際に埋設されている管路を掘り起こして水道管の劣化状況を調査しており、AIによる予測調査結果を検証しながら、より実態に即した老朽度の把握に努めている。
【委員】
いろいろな技術を活用して点検している。その上で、生活に影響はないにしてもそうした事故が発生する。持続可能な水道事業を実現していくのは難しい。中長期的な視点に立って、効率的、効果的な計画を立て、管路更新していくことがやはり重要になってくる。
様々な技術的な知見に基づいて現有管路の老朽化を把握して、健全度の優先順位をつけた上で、点検、調査、修繕、更新を実施し、管路全体を最適化していくことが重要であると考えるが、これからの更新計画について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
県営水道では、現在、2018年度から2030年度までを計画期間とする老朽化施設更新計画に基づき管路更新を進めている。この計画では文献等を参考に、管路の使用年数の限度を80年程度とし、水需要動向を踏まえたダウンサイジングを図りながら、管路の老朽度に加え耐震性や緊急輸送路への埋設等を考慮した優先順位に基づき、計画期間内に約70キロを更新する。管路更新工事の実施に当たっては従前の設計・施工分離発注方式に加え、工期短縮が可能な設計・施工一括発注方式を2023年度に導入しており、更新延長が増加する計画後半に向けて着実に管路更新を進めている。
また、2031年度以降の管路更新については、現在実施しているAIによる劣化度診断の結果や水道管劣化状況の現場調査の結果なども反映した更新となるように努めていく。
【委員】
AIを活用して管路の劣化診断を行い、短期間で膨大な管路全体の傾向状態が可視化されることで、破損の確率の高い管路から優先的に更新も行い、破損、漏水事故を最小限に抑えることを理解した。冒頭にも述べたように、水道インフラに対する県民の不安は高まっている。愛知県では2030年度を目標に、県営水道の老朽化施設更新計画を進めている。
県民の不安を払拭するためにも管路更新を着実に実施すること、また、AIを活用した管路の劣化度、診断などによる成果を踏まえて、より効果的、効率的な、また2030年度以降の更新計画を策定するよう要望する。
【委員】
私も委員と重複するところがあり、後でもう一回質問する。
まず、総論を質問する。水道管路に関して、2021年和歌山県では、紀の川にかかる六十谷水管橋が崩壊し6万戸が断水した。月1回の目視点検と6年前には耐震工事をしていたのにもかかわらず、これだけ大きな事故が起こった事例として新聞やテレビ等で大きく報道された。
自治体水道事業は、地方公営企業法によると独立採算制を採用している。すなわち、かかる費用は水道料金の収入で賄わなければならないので、水道使用量の減少は収入の減少につながり、事業継続に直接的な影響を与えていく。今後、人口が減少していく社会にあって、人口減少による水の使用量の減少はすなわち浄水場であったり、管路であったり、先ほどの和歌山県の水管橋も含めた修繕の遅れはもとより、経営難にもつながっていく。
その中、昨年10月より県営水道の料金改定を行った。私が住む地域の愛知用水も、愛知中部水道企業団が2025年、今年6月より24年ぶりに平均20.4パーセントの料金改定を行う予定である。すなわち人口が減って水の使用量が減ってくれば、それを維持していくには使った者の受益者負担を増やしていかなければいけないということで、料金の値上げを行っていく。
そこで、県全体の県営水道としての経営の見通しをまずは伺う。
【理事者】
県営水道の料金改定は電気料金や物価上昇などに伴い、2024年10月、2026年4月の二段階で平均改定率5.6パーセントの改定を行う。この料金改定により収益面では、給水収益の増加を見込んでいるものの、将来的には人口の減少に伴い徐々に収益は減少すると見込んでいる。一方、費用面については、耐震化や老朽化した施設の更新などの実施に伴う減価償却費などの増加や物価上昇による維持費の増加により費用の増加が見込まれる。
したがって、今後の経営の見通しは、当面、水道料金の改定により経営改善され、その後は徐々に厳しくなると見込んでいる。こうしたことから、デジタル化やAIを活用した新技術の採用による業務の効率化、設計・施工一括発注方式やPFI手法を活用した官民連携を進めるとともに、受水団体との広域化などの取組を推進し、持続可能な事業運営に努めていく。
なお、今後の経営の見通しや事業の取組については、意見交換会などを通じて受水団体とも情報共有を図っており、今後も適切に対応していく。
【委員】
分かれば具体的な数字が欲しい。
先ほど採決した来年度の水道量、総量の水の使用量が載っているが、つい7年、8年ぐらい前は人口が100万人を切ると大騒ぎし、気づいてみればもう70万人を切っている。当然水の使用量も減っていくので、水の使用量が総量として向こう10年ぐらいでどれぐらい減っていくのか。
先ほどの予算書を見ると、一般会計からの繰入れが37億円あるが、水道料金を上げなければ、結局、一般会計から不足分は補塡していかなければならないので、その額がどれぐらい今後膨らんでいくのか、もし分かれば教えてもらいたい。
【理事者】
今後の人口推移について具体的な数字を、今持っていないため後ほど説明に行く。
【委員】
分かった。次は人の問題、特に技術職員である。
幾らドローン、AIがあろうが、それを使いこなせる人がいなければ何ともならない。水道以外、例えば、県の港湾や河川管理もやはり昔は技術職の人たちが代々と伝承して、その技術を受け継いでいきながら安心、安全につながっていたが、昨今いろいろなところに人を回さなければならず、各部署で人が削減されている中で、水道事業に関しても技術職員の育成がすごく難しいのではないか。
また、併せて民間から採れるかというと今どこも人の取り合いで、初任給を30万円と上げている。そんな中で、水道事業に技術職の人が来てくれるか当然不安もあるし、先ほど言った出生率が70万人を割れている中で良質な人、しっかりとした人を確保し、また、伝承していくというのは非常に作業として難しいのではないかと思う。
県営水道における技術職員の確保状況や見通しについて伺う。
【理事者】
企業庁における技術職員については、人事委員会事務局が実施する職員採用試験の合格者から採用しており、本庁の水道計画課及び水道事業課、出先機関の4水道事務所及び水質試験場に約300人を配置している。2024年4月における技術職員の確保状況は、若干名の欠員が生じたので臨時的任用職員を採用することで事業運営に支障がないように努めている。
今後の見通しについては、厳しい状況が続くものと認識している。そのため、愛知県職員ガイダンスに企業庁の職員を派遣するとともに、浄水場や水道管埋設工事現場など実際の現場で職員が働いている姿を見学してもらう愛知県職場見学会の開催、また大学生等を対象としたインターンシップの実施などにより実際の職務内容について理解を深めてもらうとともに、ライフラインとしての水道事業を支える重要性、意義、やりがいなどを伝えることで、県職員として働く魅力についてアピールしている。
さらに、近年、建設局とも連携して、土木系の高等学校や大学に直接訪問し、学生の就職先として案内するなど、職員採用試験の受験者を増やすよう取り組んでいる。
【委員】
再度伺う。若干名の欠員とは、その欠員の状況が常態化しているのか。また、なぜ欠員になっているのか。給与なのか、待遇面なのか、本質的な部分のところでどこなのかを伺いたい。
【理事者】
若干名とは、2022年度が3人、2023年度が5人、2024年度は3人という状況を若干として答えている。
欠員の状況は、それが個人的な理由なのか、民間のほうがいいのかははっきり承知していないが、そういったことも理由にあるかと考えている。
【委員】
これは知恵を絞って技術職員を何とか確保していかないといけない。どれだけ管路を点検しようが、きちんとした人がいないとやはり分からないわけである。また、何か事故が起こったときに、やはり技術系がいないと修復も当然遅くなると思うので、由々しき問題である。何か打開策も含めて我々ができることがあれば言ってもらいたい。
次は各論で、私の住む地域の愛知用水に関してである。
先ほど、県営水道は1962年からと言ったがこれはまさに愛知用水である。私の住んでいるところがある意味一番古い管路と浄水施設になっており、県内の給水対象を増やしていき今日に至ると聞いている。愛知用水は再来年で通水多分65年になると記憶している。すなわち管路の耐用年数は40年、水管橋も耐用年数は同じと聞いている中で、歴史のある分、どの県営水道よりも老朽化問題は避けられない問題である。
そこで伺う。先ほど委員の質問の中にもあったが、愛知用水の中で、浄水施設、管路、水管橋等含めて水道施設の老朽化等により愛知用水のエリアで毎年どの程度事故が発生しているのか伺う。
【理事者】
県営水道では、県内に四つの水道事務所があるが、愛知用水水道事務所が管轄する地域が、県営水道が一番初めに給水を開始した地域である。
今年度までの直近10年間では、この愛知用水水道事務所管内で起こった漏水事故が一番多くてトータルで29件となっている。
【委員】
1年で29件か。
【理事者】
直近10年、今年度までの10年間での発生件数が29件である。
【委員】
先ほど77件だったので29件、40パーセントぐらいがほぼ愛知用水ということは、今後、加速度的に倍々ゲームではないが、古い分、事故が起こる可能性が高いと思う。
委員が質問した回答の関連で、ドローン、水中ドローンで点検すると、本来行わなければいけない管路に対して、毎年点検が何パーセントできているのか。
【理事者】
基本的に毎月行う管路施設の巡視、点検については全管路を対象として行っている。
また、マンホールなどの構造物については、それが空気弁であったり制水弁であったり、管路の工事上必要であった人孔、県営水道の管路の多くは鋼管を使っており、口径の大きいものは内面から溶接を行うこともあり、管路の途中に、管路の内面に入れるように、人孔という開口部が設けてある。そこは空気弁を設置することなく蓋をするだけのところもあるので、そういった構造物については毎年点検するのではなく2年に1回とか3年に1回と頻度を減らしているが、空気弁といった管路の維持管理上必要な構造物については毎年度点検を行っている。
【委員】
基本はきちんとすべき点検はできているという理解でよいのか。
併せて、委員に対する答弁の中で毎年70キロメートル修繕を行っているとあったが、先ほど冒頭で817キロメートルあるうちの70キロメートルなので10パーセント未満という中で、愛知用水は布設して63年ぐらいがたっている。そうすると、もう40年以上過ぎた中でそのペースで、全体、四つの県営水道が間に合うのか。2030年までである。まだ今から5年はこの計画で行くが、そもそも5年でよいのか。さらにはそこから含めて先はそれでよいのか。10パーセント未満ずつで修復計画が大丈夫なのか伺う。
【理事者】
現在の老朽化施設更新計画のうち管路更新については、2018年度から2030年度までの13年間で70キロメートルを更新する計画としている。この計画では、管路の使用年数の限度を文献や、企業庁の水道管の漏水事故実績などを加味して管路の使用年数の限度を80年程度としている。
したがって、水道管の総延長が817キロメートルあるので、それを80年で更新するとなると、年間10キロメートルを更新していかなければならない計算になっている。ただ、この80年について、この設定がよいかどうかについてはAIを活用した管路の劣化度診断だとか、実際に埋設されている管路を掘り起こして、埋設した管路の外面の塗覆装の状況などを目視等で確認して劣化状況の把握に努めているので、そういったことを活用しながら、今後更新のペースをどうしていくかを考えていきたい。現状の計画については2030年度までに70キロメートルを更新していくことで、ペースアップを図っていくことも考えながら、2030年度までに現在の計画延長がきちんと更新できるように取組を進めている。
【委員】
戦後からいろいろと管を変えながら入れていく中で、今までは増やす作業しかしてこなくて、今からは修復する作業と減らす作業をしていかなければいけないのは、多分、誰もが初めての経験なので、試行錯誤しながら徐々にやっていくしかないとは思うが、本来、管路の耐用年数40年というのが基本の中で、80年にしてしまったのは、よく分からない部分である。絶対壊れなければいいが、今でもそこそこの事故件数がある中で、それで大丈夫か。その辺は、では早急にやろうとなると受益者負担になるので、使用者の料金が上がるか、もしくは一般会計から入れていかなければならないという痛しかゆしの問題も当然出てくる。そこはまずしっかりと点検した上で進めていってもらいたい。
もう一つ、能登半島地震があったので地震に関して質問する。
能登半島地震の際には水道施設等の復旧に当たり、図面等が散逸し復旧の妨げになったと報告されている。県営水道において水道施設の台帳類をどのように管理しているのか。また、散逸防止等としてどのような取組を考えているのか。
【理事者】
県営水道においても図面等の電子化は完了しているものの、浄水場等における各設備機器の点検記録や修繕記録などはいまだ紙媒体で管理している。このため、2023年度から、浄水場設備の点検記録や修繕記録など台帳情報のクラウド化による資料の散逸防止を図るほか、事故、災害時に現場で速やかに点検記録等へアクセス可能な体制等の構築を進めており、2025年度中のシステム稼働に向けて作業を進めている。
また、台帳システムのデジタル化のほか、水道管路の点検記録等や管路情報システム、浄水場や給水量を管理している広域送水管理システムなどの基幹システムについても、クラウド化やDXを推進することにより、業務の効率化と災害対応力の向上を図っていきたい。
【委員】
人も限られている中で早急なデジタル化はなかなか大変だと思うが頑張ってもらいたい。
また併せて、耐震管、耐震用に強くした水道管である。例えば、能登半島地震では水道施設の被害は、新潟県、石川県、富山県、福井県、岐阜県、長野県の6県で14万戸に及んで断水して、水道管路は能登で6市町、また、新潟県、石川県でも78件が発生している中で、耐震管の被害が少なかったというデータがある中で、耐震性が確保されていない水道管での被害は非常に大きかったという報告がある。
その中で全国の水道施設の耐震化率は基本的な水道管で、令和4年で45.3パーセントと聞いている。愛知県に関する管路の耐震化率、そして、今後どのように進めていくのかを質問する。
【理事者】
県営水道の水道管の約8割が鋼管を使用しており、鋼管については耐震性があるとなっている。したがって、県営水道管の耐震管率については2023年度末で82パーセントとなっている。現在、老朽化施設更新計画のうち管路更新において、耐震性の低い管路や緊急輸送路に埋設されている管路の更新を優先的に進めており、それらの更新によって耐震管に取り換えているので、今後、県営水道管の耐震管率は上昇していくと考えている。
先ほどの答弁の補足である。管路の使用年数の限度を80年としているが、これが妥当かどうかについては先ほど言ったように、AIを活用した劣化度診断や、現地調査の結果を踏まえて検証していきたいと思っている。これまでの現地調査の結果の中では管路の使用年数が60年程度のものもあった。この60年ぐらいの管路の状況については、経年的に外面の状況は劣化しているということだったが、水道管の機能そのものはそれほど低下していないという結果となっている。
【委員】
分かった。最後に、周辺環境の取組について伺う。
少し前の議会で有機フッ素化合物(PFAS)等の問題を取り上げた記憶があるが、土地利用の形態も変化している。浄水場等の近隣に、例えば、産業廃棄物の中間処理施設やいろいろなものが基本的にはできるという中で、飲み水に対する不安要素となりかねない部分もあるかもしれない。きちんとしているとは思うが、いろいろな土地利用の形態もあったり、不法投棄もあったり、様々なことがあったりすると思う。その中で先ほど言ったPFAS等の水道水の混入で非常に皆が不安なところもある。
愛知用水でも愛知池があり、やはり水環境の周辺をしっかり整えてもらいたいという意見もたくさんある中で、水道水の安全をしっかり確保していく意味で県営水道としての考え方はどうか。
【理事者】
県営水道の上流域には、ゴルフ場、産業廃棄物処理場、集落排水や事業所など水道水に影響を及ぼす施設や事業所が存在しているので、水道維持管理上留意すべき施設の所在地や排出物質、放流場所などの情報を視覚的に地図上で把握できるように整理している。このように水源から給水先に至るまでの過程で様々なリスクが存在している状況である。
このため、県営水道では水源であるダムから取水口、そして、浄水場での浄水処理、さらには各市町村へ送水する各段階においてリスク評価とリスク管理を行い、安全な水供給を行うため、国が策定を推奨している水安全計画を浄水場ごとに策定し、また、毎年度見直している。そして、水道利用者が安心しておいしく飲める水道水の安全性向上に努めている。
また、委員から指摘があったように、昨今では、水道中のペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等に対する報道等が数多くなっているが、県営水道の原水や浄水ではPFOS等はほぼ検出されておらず、国が定める暫定目標値を十分に下回っている状況である。このような状況ではあるが、県営水道では2020年度からPFOS等の水質検査を年2回行ってきたが、今年度からは毎月水質検査を実施し、その結果については県のウェブページで公表している。
見えないところの管も大変だが、見える部分の自然環境もしっかりと維持していかないと何が起こるか分からない。全ての人がきちんとやっているとは限らない中で、我々の飲み水はまさに命の源であるので、見えないところも見えるところもしっかりと守ってもらいながら、また併せて人口が減っていく中で、水使用量が減る中でもやはり守らなければならないというのが皆の務めであり、なかなか大変な業務だとは思うが頑張ってもらいたいという激励の言葉を添えて質問を終わる。
( 委 員 会 )
日 時 令和7年3月13日(木) 午後0時56分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和7年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第5款 経済労働費の内
第7項 工業用水道費
第7款 建設費の内
第10項 上水道費
第 14 号 令和7年度愛知県水道事業会計予算
第 15 号 令和7年度愛知県工業用水道事業会計予算
第 16 号 令和7年度愛知県用地造成事業会計予算
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号及び第14号から第16号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算の参考資料によれば、豊橋浄水場再整備等事業の来年度予算が6,478万9,000円、債務負担行為が399億3,542万9,000円であるとのことで、これについて伺う。昨年末に入札公告があり、今年に入ってから入札説明会を開催、そして、2月25日の締切りで参加表明書の受付がされたと思う。 そこで、答えられる範囲で伺うが、このPFIの手続の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
豊橋浄水場再整備等事業は、昨年12月27日に入札公告を愛知県公報に登載し、民間事業者の募集を行った。締切日の2月25日までに民間事業者から参加表明書が提出され、提出者の参加資格の審査を行い、3月7日にその結果を通知した。今後は、8月に民間事業者からの事業提案書の提出を受け、11月に最適な事業者の選定を行い、12月には事業者との契約が締結できるよう手続を進める予定としている。
【委員】
年内には事業者が決まっていくよう進められているわけである。 二点目は、現状いろいろなものの値段、物価等が上がってきているが、事業費の見通しを現状ではどのように考えているのか。
【理事者】
本事業は本年12月に契約し、再整備工事の期間が10年程度、その後、20年を維持管理等の運営期間としており長期間にわたる。このため、通常の建設工事において物価スライドを考慮することと同様に、本事業においても国内における賃金水準や物価水準に一定の変動があった場合にはサービス購入料を変更することができることとしており、入札説明書にその旨記載している。具体的には国土交通省が公表する建設分野の物価指標などを用いることとしている。なお、近年この物価指標は上昇傾向で推移していることから、契約期間中に物価上昇の影響は生じると考えている。
【委員】
恐らく物価はまだ上がるであろうと想定できるので、適宜、適切に対応してもらいたい。
最後に、今回この事業を進めるに当たって、豊川総合用水土地改良区などの理解を得なければならない関係団体がある。そうしたところとの水利用の調整や、水道を利用する住民への周知などを今後どのように進めていこうと考えているのか伺う。
【理事者】
本事業は浄水場からの給水を継続しながら全体的にリニューアルする大規模な事業である。豊川を利用するほかの関係利水者に対しては、本事業に係る情報を適宜情報提供するなど利水者間での相互理解に努め、丁寧に対応していきたい。
また、関係利水者はもとより受水団体や水道を利用する地域住民にも広く周知を図りながら、水道に関する理解増進に努めていきたい。
【委員】
調整が必要な団体と調整を丁寧に進めてもらいたい。また、水道の民営化と少し違うことが理解できていない人も見受けられるので、そこも周知、説明をしっかりしてもらいたい。
【委員】
予算に関する説明書の571ページ、愛知県用地造成事業会計予算実施計画の営業収益の2宅地貸付収益について伺う。企業庁で行う開発の土地について、基本は売却を行うことになっていた気がしたが、今回のこの貸付けの中身について教えてもらいたい。
【理事者】
リース制度については、早期の分譲を目的に導入しており、平成14年度から導入している。その当時、景気があまりよくなかったので、できるだけ分譲を促進する意味でリース制度を導入した。その当時は内陸臨海も併せてやっていたが、現在は内陸については分譲が進んでいるので、新規としては主に臨海を対象にしている。
今回の売却収益については、今まで平成14年、15年から今までに契約したものを20年間のリース期間としているので、その年間の分として令和7年度分を収益計上したものである。
【委員】
以前のリースの収益がこのまま残っているという理解でよいか。
【理事者】
そのとおりである。
【委員】
できるだけリースから売却に切り替える働きかけをしたと承知しているが、まあまあ残っているわけである。この後も同じように売却していく予定なのか。
【理事者】
今リースとしては29件ある。随時、満了を迎える前に企業に訪問し、分譲に促す形で進めていく。
《一般質問》
【委員】
水道事業における管路の更新について伺う。
本年1月に発生した埼玉県八潮市での道路陥没事故は社会に非常に大きな衝撃を与えた。都市圏の主要道路でこのように大規模な陥没事故が発生したことは、都市インフラの老朽化と脆弱性に対して非常に国民の不安を高めた。それに対し埼玉県は、下水管の破損が原因である可能性が高いということで、今もなお調査、復旧作業を進めている。また、今月には北海道の下川町でも水道管の漏水が原因で約1,500世帯が断水状態となり、また本県においても小牧市で雨水管の損傷が原因で起きた道路陥没と、各地で水道管の劣化などによる事故が相次いでいる。
県営水道において管路の法定耐用年数は40年と決められているが、2021年度の国土交通省のデータによると、全国の水道管路で法定耐用年数を超えているものは22.1パーセントで、その更新率は年間で僅か0.64パーセントである。
その理由は人口減少や節水機器の普及などによる水の使用量の減少、それによって水道事業の収入も減少して管路の更新に必要な予算の確保が難しくなっていると聞いている。そうした状況を踏まえて、県営水道における現状を危惧するところである。
一つ目の質問は、今年度、県営水道事業において管路の老朽化などによる事故の発生件数、また被害状況について伺う。
【理事者】
県営水道は1962年1月に給水を開始して以降、県内各地域で給水を開始し、最も古い施設では給水開始後既に63年が経過しており、漏水事故については近年増加傾向にある。県営水道管の総延長は約817キロあり、漏水事故の発生状況は今年度までの至近10年間で77件、年平均で8件程度発生しており、今年度は現時点までで8件の漏水事故が発生しているが、一般家庭への影響はない。
【委員】
生活のライフラインとなる県営水道であるので、安心、安全な供給は言うまでもない。今年度も生活の影響はないにしても8件、そうした事故があった。そうしたものに対して管路の点検が、定期的に行われていると思うが、その点検方法も様々ある。より効果的、効率的に自治体によっては非常に進んだデジタルの技術なども活用して点検している話も聞く。
県営水道の管路の点検がどの程度の頻度で行われているのか、また、どのような方法で行われているのか伺う。
【理事者】
県営水道では、従前から毎月管路施設の巡視点検を行い、マンホールなどの構造物については年1回の点検を実施し、異常があれば速やかに修繕等を行っている。また、管路施設の中には河川等を横断する水管橋が200橋あり、目視点検が困難な箇所の点検には、2023年度からドローンを活用して計画的に毎年度点検を実施しているほか、2024年度からは水中ドローンと呼ばれる小型水中カメラを水道管内に挿入することにより、水道管の内側から劣化状況を確認する点検を実施するなど、新技術を用いて従前では確認できない箇所についても点検を進めている。
さらに、近年の技術革新を踏まえ、過去の漏水事故結果に加え、交通量や人口密集度など水道管路の劣化に関連する物理化学的な1,000以上の環境変数を用いて、2022年度からAIを活用した管路の劣化度診断を実施しており、今後の漏水発生の予測調査を実施している。
また、同じく2022年度から実際に埋設されている管路を掘り起こして水道管の劣化状況を調査しており、AIによる予測調査結果を検証しながら、より実態に即した老朽度の把握に努めている。
【委員】
いろいろな技術を活用して点検している。その上で、生活に影響はないにしてもそうした事故が発生する。持続可能な水道事業を実現していくのは難しい。中長期的な視点に立って、効率的、効果的な計画を立て、管路更新していくことがやはり重要になってくる。
様々な技術的な知見に基づいて現有管路の老朽化を把握して、健全度の優先順位をつけた上で、点検、調査、修繕、更新を実施し、管路全体を最適化していくことが重要であると考えるが、これからの更新計画について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
県営水道では、現在、2018年度から2030年度までを計画期間とする老朽化施設更新計画に基づき管路更新を進めている。この計画では文献等を参考に、管路の使用年数の限度を80年程度とし、水需要動向を踏まえたダウンサイジングを図りながら、管路の老朽度に加え耐震性や緊急輸送路への埋設等を考慮した優先順位に基づき、計画期間内に約70キロを更新する。管路更新工事の実施に当たっては従前の設計・施工分離発注方式に加え、工期短縮が可能な設計・施工一括発注方式を2023年度に導入しており、更新延長が増加する計画後半に向けて着実に管路更新を進めている。
また、2031年度以降の管路更新については、現在実施しているAIによる劣化度診断の結果や水道管劣化状況の現場調査の結果なども反映した更新となるように努めていく。
【委員】
AIを活用して管路の劣化診断を行い、短期間で膨大な管路全体の傾向状態が可視化されることで、破損の確率の高い管路から優先的に更新も行い、破損、漏水事故を最小限に抑えることを理解した。冒頭にも述べたように、水道インフラに対する県民の不安は高まっている。愛知県では2030年度を目標に、県営水道の老朽化施設更新計画を進めている。
県民の不安を払拭するためにも管路更新を着実に実施すること、また、AIを活用した管路の劣化度、診断などによる成果を踏まえて、より効果的、効率的な、また2030年度以降の更新計画を策定するよう要望する。
【委員】
私も委員と重複するところがあり、後でもう一回質問する。
まず、総論を質問する。水道管路に関して、2021年和歌山県では、紀の川にかかる六十谷水管橋が崩壊し6万戸が断水した。月1回の目視点検と6年前には耐震工事をしていたのにもかかわらず、これだけ大きな事故が起こった事例として新聞やテレビ等で大きく報道された。
自治体水道事業は、地方公営企業法によると独立採算制を採用している。すなわち、かかる費用は水道料金の収入で賄わなければならないので、水道使用量の減少は収入の減少につながり、事業継続に直接的な影響を与えていく。今後、人口が減少していく社会にあって、人口減少による水の使用量の減少はすなわち浄水場であったり、管路であったり、先ほどの和歌山県の水管橋も含めた修繕の遅れはもとより、経営難にもつながっていく。
その中、昨年10月より県営水道の料金改定を行った。私が住む地域の愛知用水も、愛知中部水道企業団が2025年、今年6月より24年ぶりに平均20.4パーセントの料金改定を行う予定である。すなわち人口が減って水の使用量が減ってくれば、それを維持していくには使った者の受益者負担を増やしていかなければいけないということで、料金の値上げを行っていく。
そこで、県全体の県営水道としての経営の見通しをまずは伺う。
【理事者】
県営水道の料金改定は電気料金や物価上昇などに伴い、2024年10月、2026年4月の二段階で平均改定率5.6パーセントの改定を行う。この料金改定により収益面では、給水収益の増加を見込んでいるものの、将来的には人口の減少に伴い徐々に収益は減少すると見込んでいる。一方、費用面については、耐震化や老朽化した施設の更新などの実施に伴う減価償却費などの増加や物価上昇による維持費の増加により費用の増加が見込まれる。
したがって、今後の経営の見通しは、当面、水道料金の改定により経営改善され、その後は徐々に厳しくなると見込んでいる。こうしたことから、デジタル化やAIを活用した新技術の採用による業務の効率化、設計・施工一括発注方式やPFI手法を活用した官民連携を進めるとともに、受水団体との広域化などの取組を推進し、持続可能な事業運営に努めていく。
なお、今後の経営の見通しや事業の取組については、意見交換会などを通じて受水団体とも情報共有を図っており、今後も適切に対応していく。
【委員】
分かれば具体的な数字が欲しい。
先ほど採決した来年度の水道量、総量の水の使用量が載っているが、つい7年、8年ぐらい前は人口が100万人を切ると大騒ぎし、気づいてみればもう70万人を切っている。当然水の使用量も減っていくので、水の使用量が総量として向こう10年ぐらいでどれぐらい減っていくのか。
先ほどの予算書を見ると、一般会計からの繰入れが37億円あるが、水道料金を上げなければ、結局、一般会計から不足分は補塡していかなければならないので、その額がどれぐらい今後膨らんでいくのか、もし分かれば教えてもらいたい。
【理事者】
今後の人口推移について具体的な数字を、今持っていないため後ほど説明に行く。
【委員】
分かった。次は人の問題、特に技術職員である。
幾らドローン、AIがあろうが、それを使いこなせる人がいなければ何ともならない。水道以外、例えば、県の港湾や河川管理もやはり昔は技術職の人たちが代々と伝承して、その技術を受け継いでいきながら安心、安全につながっていたが、昨今いろいろなところに人を回さなければならず、各部署で人が削減されている中で、水道事業に関しても技術職員の育成がすごく難しいのではないか。
また、併せて民間から採れるかというと今どこも人の取り合いで、初任給を30万円と上げている。そんな中で、水道事業に技術職の人が来てくれるか当然不安もあるし、先ほど言った出生率が70万人を割れている中で良質な人、しっかりとした人を確保し、また、伝承していくというのは非常に作業として難しいのではないかと思う。
県営水道における技術職員の確保状況や見通しについて伺う。
【理事者】
企業庁における技術職員については、人事委員会事務局が実施する職員採用試験の合格者から採用しており、本庁の水道計画課及び水道事業課、出先機関の4水道事務所及び水質試験場に約300人を配置している。2024年4月における技術職員の確保状況は、若干名の欠員が生じたので臨時的任用職員を採用することで事業運営に支障がないように努めている。
今後の見通しについては、厳しい状況が続くものと認識している。そのため、愛知県職員ガイダンスに企業庁の職員を派遣するとともに、浄水場や水道管埋設工事現場など実際の現場で職員が働いている姿を見学してもらう愛知県職場見学会の開催、また大学生等を対象としたインターンシップの実施などにより実際の職務内容について理解を深めてもらうとともに、ライフラインとしての水道事業を支える重要性、意義、やりがいなどを伝えることで、県職員として働く魅力についてアピールしている。
さらに、近年、建設局とも連携して、土木系の高等学校や大学に直接訪問し、学生の就職先として案内するなど、職員採用試験の受験者を増やすよう取り組んでいる。
【委員】
再度伺う。若干名の欠員とは、その欠員の状況が常態化しているのか。また、なぜ欠員になっているのか。給与なのか、待遇面なのか、本質的な部分のところでどこなのかを伺いたい。
【理事者】
若干名とは、2022年度が3人、2023年度が5人、2024年度は3人という状況を若干として答えている。
欠員の状況は、それが個人的な理由なのか、民間のほうがいいのかははっきり承知していないが、そういったことも理由にあるかと考えている。
【委員】
これは知恵を絞って技術職員を何とか確保していかないといけない。どれだけ管路を点検しようが、きちんとした人がいないとやはり分からないわけである。また、何か事故が起こったときに、やはり技術系がいないと修復も当然遅くなると思うので、由々しき問題である。何か打開策も含めて我々ができることがあれば言ってもらいたい。
次は各論で、私の住む地域の愛知用水に関してである。
先ほど、県営水道は1962年からと言ったがこれはまさに愛知用水である。私の住んでいるところがある意味一番古い管路と浄水施設になっており、県内の給水対象を増やしていき今日に至ると聞いている。愛知用水は再来年で通水多分65年になると記憶している。すなわち管路の耐用年数は40年、水管橋も耐用年数は同じと聞いている中で、歴史のある分、どの県営水道よりも老朽化問題は避けられない問題である。
そこで伺う。先ほど委員の質問の中にもあったが、愛知用水の中で、浄水施設、管路、水管橋等含めて水道施設の老朽化等により愛知用水のエリアで毎年どの程度事故が発生しているのか伺う。
【理事者】
県営水道では、県内に四つの水道事務所があるが、愛知用水水道事務所が管轄する地域が、県営水道が一番初めに給水を開始した地域である。
今年度までの直近10年間では、この愛知用水水道事務所管内で起こった漏水事故が一番多くてトータルで29件となっている。
【委員】
1年で29件か。
【理事者】
直近10年、今年度までの10年間での発生件数が29件である。
【委員】
先ほど77件だったので29件、40パーセントぐらいがほぼ愛知用水ということは、今後、加速度的に倍々ゲームではないが、古い分、事故が起こる可能性が高いと思う。
委員が質問した回答の関連で、ドローン、水中ドローンで点検すると、本来行わなければいけない管路に対して、毎年点検が何パーセントできているのか。
【理事者】
基本的に毎月行う管路施設の巡視、点検については全管路を対象として行っている。
また、マンホールなどの構造物については、それが空気弁であったり制水弁であったり、管路の工事上必要であった人孔、県営水道の管路の多くは鋼管を使っており、口径の大きいものは内面から溶接を行うこともあり、管路の途中に、管路の内面に入れるように、人孔という開口部が設けてある。そこは空気弁を設置することなく蓋をするだけのところもあるので、そういった構造物については毎年点検するのではなく2年に1回とか3年に1回と頻度を減らしているが、空気弁といった管路の維持管理上必要な構造物については毎年度点検を行っている。
【委員】
基本はきちんとすべき点検はできているという理解でよいのか。
併せて、委員に対する答弁の中で毎年70キロメートル修繕を行っているとあったが、先ほど冒頭で817キロメートルあるうちの70キロメートルなので10パーセント未満という中で、愛知用水は布設して63年ぐらいがたっている。そうすると、もう40年以上過ぎた中でそのペースで、全体、四つの県営水道が間に合うのか。2030年までである。まだ今から5年はこの計画で行くが、そもそも5年でよいのか。さらにはそこから含めて先はそれでよいのか。10パーセント未満ずつで修復計画が大丈夫なのか伺う。
【理事者】
現在の老朽化施設更新計画のうち管路更新については、2018年度から2030年度までの13年間で70キロメートルを更新する計画としている。この計画では、管路の使用年数の限度を文献や、企業庁の水道管の漏水事故実績などを加味して管路の使用年数の限度を80年程度としている。
したがって、水道管の総延長が817キロメートルあるので、それを80年で更新するとなると、年間10キロメートルを更新していかなければならない計算になっている。ただ、この80年について、この設定がよいかどうかについてはAIを活用した管路の劣化度診断だとか、実際に埋設されている管路を掘り起こして、埋設した管路の外面の塗覆装の状況などを目視等で確認して劣化状況の把握に努めているので、そういったことを活用しながら、今後更新のペースをどうしていくかを考えていきたい。現状の計画については2030年度までに70キロメートルを更新していくことで、ペースアップを図っていくことも考えながら、2030年度までに現在の計画延長がきちんと更新できるように取組を進めている。
第2津島幹線(1)
第2津島幹線(2)
戦後からいろいろと管を変えながら入れていく中で、今までは増やす作業しかしてこなくて、今からは修復する作業と減らす作業をしていかなければいけないのは、多分、誰もが初めての経験なので、試行錯誤しながら徐々にやっていくしかないとは思うが、本来、管路の耐用年数40年というのが基本の中で、80年にしてしまったのは、よく分からない部分である。絶対壊れなければいいが、今でもそこそこの事故件数がある中で、それで大丈夫か。その辺は、では早急にやろうとなると受益者負担になるので、使用者の料金が上がるか、もしくは一般会計から入れていかなければならないという痛しかゆしの問題も当然出てくる。そこはまずしっかりと点検した上で進めていってもらいたい。
もう一つ、能登半島地震があったので地震に関して質問する。
能登半島地震の際には水道施設等の復旧に当たり、図面等が散逸し復旧の妨げになったと報告されている。県営水道において水道施設の台帳類をどのように管理しているのか。また、散逸防止等としてどのような取組を考えているのか。
【理事者】
県営水道においても図面等の電子化は完了しているものの、浄水場等における各設備機器の点検記録や修繕記録などはいまだ紙媒体で管理している。このため、2023年度から、浄水場設備の点検記録や修繕記録など台帳情報のクラウド化による資料の散逸防止を図るほか、事故、災害時に現場で速やかに点検記録等へアクセス可能な体制等の構築を進めており、2025年度中のシステム稼働に向けて作業を進めている。
また、台帳システムのデジタル化のほか、水道管路の点検記録等や管路情報システム、浄水場や給水量を管理している広域送水管理システムなどの基幹システムについても、クラウド化やDXを推進することにより、業務の効率化と災害対応力の向上を図っていきたい。
【委員】
人も限られている中で早急なデジタル化はなかなか大変だと思うが頑張ってもらいたい。
また併せて、耐震管、耐震用に強くした水道管である。例えば、能登半島地震では水道施設の被害は、新潟県、石川県、富山県、福井県、岐阜県、長野県の6県で14万戸に及んで断水して、水道管路は能登で6市町、また、新潟県、石川県でも78件が発生している中で、耐震管の被害が少なかったというデータがある中で、耐震性が確保されていない水道管での被害は非常に大きかったという報告がある。
その中で全国の水道施設の耐震化率は基本的な水道管で、令和4年で45.3パーセントと聞いている。愛知県に関する管路の耐震化率、そして、今後どのように進めていくのかを質問する。
【理事者】
県営水道の水道管の約8割が鋼管を使用しており、鋼管については耐震性があるとなっている。したがって、県営水道管の耐震管率については2023年度末で82パーセントとなっている。現在、老朽化施設更新計画のうち管路更新において、耐震性の低い管路や緊急輸送路に埋設されている管路の更新を優先的に進めており、それらの更新によって耐震管に取り換えているので、今後、県営水道管の耐震管率は上昇していくと考えている。
先ほどの答弁の補足である。管路の使用年数の限度を80年としているが、これが妥当かどうかについては先ほど言ったように、AIを活用した劣化度診断や、現地調査の結果を踏まえて検証していきたいと思っている。これまでの現地調査の結果の中では管路の使用年数が60年程度のものもあった。この60年ぐらいの管路の状況については、経年的に外面の状況は劣化しているということだったが、水道管の機能そのものはそれほど低下していないという結果となっている。
【委員】
分かった。最後に、周辺環境の取組について伺う。
少し前の議会で有機フッ素化合物(PFAS)等の問題を取り上げた記憶があるが、土地利用の形態も変化している。浄水場等の近隣に、例えば、産業廃棄物の中間処理施設やいろいろなものが基本的にはできるという中で、飲み水に対する不安要素となりかねない部分もあるかもしれない。きちんとしているとは思うが、いろいろな土地利用の形態もあったり、不法投棄もあったり、様々なことがあったりすると思う。その中で先ほど言ったPFAS等の水道水の混入で非常に皆が不安なところもある。
愛知用水でも愛知池があり、やはり水環境の周辺をしっかり整えてもらいたいという意見もたくさんある中で、水道水の安全をしっかり確保していく意味で県営水道としての考え方はどうか。
【理事者】
県営水道の上流域には、ゴルフ場、産業廃棄物処理場、集落排水や事業所など水道水に影響を及ぼす施設や事業所が存在しているので、水道維持管理上留意すべき施設の所在地や排出物質、放流場所などの情報を視覚的に地図上で把握できるように整理している。このように水源から給水先に至るまでの過程で様々なリスクが存在している状況である。
このため、県営水道では水源であるダムから取水口、そして、浄水場での浄水処理、さらには各市町村へ送水する各段階においてリスク評価とリスク管理を行い、安全な水供給を行うため、国が策定を推奨している水安全計画を浄水場ごとに策定し、また、毎年度見直している。そして、水道利用者が安心しておいしく飲める水道水の安全性向上に努めている。
また、委員から指摘があったように、昨今では、水道中のペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等に対する報道等が数多くなっているが、県営水道の原水や浄水ではPFOS等はほぼ検出されておらず、国が定める暫定目標値を十分に下回っている状況である。このような状況ではあるが、県営水道では2020年度からPFOS等の水質検査を年2回行ってきたが、今年度からは毎月水質検査を実施し、その結果については県のウェブページで公表している。
尾張東部浄水場と愛知池
見えないところの管も大変だが、見える部分の自然環境もしっかりと維持していかないと何が起こるか分からない。全ての人がきちんとやっているとは限らない中で、我々の飲み水はまさに命の源であるので、見えないところも見えるところもしっかりと守ってもらいながら、また併せて人口が減っていく中で、水使用量が減る中でもやはり守らなければならないというのが皆の務めであり、なかなか大変な業務だとは思うが頑張ってもらいたいという激励の言葉を添えて質問を終わる。