委員会情報
委員会審査状況
総務企画委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月29日(木) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
辻 秀樹、おおたけりえ 正副委員長
水野富夫、伊藤辰夫、島倉 誠、石塚吾歩路、中根義高、藤原ひろき、
朝日将貴、天野正基、安井伸治、朝倉浩一、犬飼明佳 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第2条(債務負担行為の補正)の内
愛知県基幹的広域防災拠点整備・運営等事業契約
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号
<会議の概要>
1 開 会
2 報 告
6月2日大雨による被害情報について
3 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 一般質問
5 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
愛知県基幹的広域防災拠点の整備について質問する。
結果的に入札不調になっており、この完成形が1年延びるとあるが、防災という性格上、一刻も早い整備が望まれる。
今後、これ以上遅れることのないようにどのように対応していくのか、全体的な話を伺う。
【理事者】
再入札により完成が1年延期となるが、防災拠点の性格上、いつ起こるか分からない南海トラフ地震等から県民の生命と財産を守るため、一日でも早く供用する必要がある。このため、公園部分については、部分的な先行使用を目標に整備を進めていく。
したがって、用地買収や造成工事等については、当初の予定どおり進めていく。
用地買収は、今年度末までに残りの全ての地権者との契約締結を目指していく。造成工事等については、既に一部を発注しており、事業用地の引渡しの終わった箇所から順次進めている。
今後も、進捗管理をしっかりと行っていく。
【委員】
1年延びることに伴って事業条件を見直ししていく流れの中で、当然ながら、これ以上遅れてはいけないという観点から、もう少し掘り下げて、具体的な運用をイメージした質問をする。
愛知県基幹的広域防災拠点は、南北に主要の道路である名古屋高速道路が通っており、そこを利用することが想定されていると思うが、ひとたび災害が起きると、当然、大量の物資や応援部隊が入り、それらを輸送することになる。
トレーラーなどの大きい輸送車両が入ってくることが考えられると思うが、大きい車はアクセスができるのか伺う。
名古屋高速道路を通行できる車両の大きさや重量はどれだけか。また、応援部隊が使用する車両の大きさや重量はどういうものになるのか。
【理事者】
車両の長さ、車長は12メートル以下、車両総重量は25トン以下、軸重、左右のタイヤをつないでいる車軸にかかる重量は10トン以下、高さが4.1メートル以下、車幅が2.5メートル以下となっている。
なお、これを一つでも超える場合は、特殊車両としての通行許可が必要となる。その場合、車長がセミトレーラーの17.5メートルまで、重量は、軸重10トン以下は変わりないが、総重量は44トン以下であれば許可される見込みである。
また、料金所、ETCゲートについては、通行レーンの幅員が3メートルのため、車幅は2.5メートルを超える車両は通行不可となる。
次に、支援物資に使用される車両についてである。
物資の種類によって使用される車両は異なるが、多くは車両総重量20トントラック、または25トントラックとなる。
25トントラックの大きさは、ワイドボディーで長さが11.985メートル、高さは3.795メートル、幅は2.495メートル、車両総重量が24.975トンとなる。
したがって、名古屋高速道路の一般制限内に収まっているため、通行可能である。
続いて、支援部隊が使用する車両についてである。
自衛隊や消防など、支援部隊が使用する車両については、支援の種類により装備などの違いがあるものの、支援物資に使用される車両と同様に一般制限内に収まっており、通行は可能である。
なお、一般制限値を超える特殊車両については、道路法、車両制限令で特例措置があり、この場合、通行許可ではなく、道路の構造の保全のための必要な措置を講じれば通行できる。
【委員】
一つ一つ、拠点という本来の目的を達成するための具体的なイメージ、シミュレーションをしながら、この辺が整備されていかなければならないのは当然のことである。ひとたび大規模災害が発生して、拠点が開設されると、全国から支援物資や支援部隊が集まるが、今度はここから県内の防災拠点に配分されていくような流れが考えられる。その関係車両の輸送ルートがきちんと通行できなければ、拠点の機能が十分発揮されない。
冒頭、6月2日の大雨の被害状況について、防災安全局長から説明があったが、やはり道路が使えないと、緊急輸送道路のような要素で、名古屋高速道路などは比較的早い段階で、いわゆる通行できる仕掛けや仕組みを施されるイメージはするが、災害が起きたときなので、道路が破壊されている可能性も大いにある。そういった意味では、拠点の近くだと、物資や部隊はそれぞれルートを分けて動くイメージがあるが、もう少し広く全体的な再配分するとき、それぞれの各地域のところに配分するときなども含めて、代替ルートをどのように考えているのか。
【理事者】
輸送ルート被災時の通行について、遠方からの長距離輸送には、高速道路が有効である。拠点直近の、名古屋高速道路の利用を一番に考えているが、この道路が通行不能の場合、その高架下にある国道41号の利用を考えている。どちらも第一次緊急輸送道路に指定されており、万が一被災しても、災害対応活動のため、いち早く道路啓開作業が行われる。
また、国道41号と拠点等を直接結ぶアクセス道路、拠点から出ていく道路、入ってくる道路、これが重要であると考えている。拠点の北側に接する小牧市道と南側に接する豊山町道、この2路線を県道として拡幅整備していくこととしており、まずはこの整備を着実に進めていきたい。
このアクセス道路は、物資輸送車両や支援部隊車両が渋滞しないよう路肩を広く確保し、待機できるように計画している。また、電柱が倒壊して道路が塞がれないように、無電柱化も予定している。さらに、停電も考慮し、交差点は信号のないラウンドアバウトを採用している。
なお、代替ルートを確保していくことは、指摘のように、緊急支援物資の輸送や救出救助活動を円滑に実施する上で、大変重要であると認識している。このため、名古屋高速道路や国道41号、南北の道路等が、通行不能になった場合を想定し、防災安全局と建設局が連携して、活動に携わる関係機関や地元市町と相談しながら、課題整理など検討を進めていきたい。
【委員】
繰り返しになるが、災害がどういう状況になるか、イメージしにくいものであり、道路においては、愛知県基幹的広域防災拠点にとって非常に大切になってくるので、特に様々な代替ルート及びそれ以外の様々な道路のアクセス等を考えていくと、より有効的に目的が達成できると思う。
この供用が1年、結果的には延びたため、その間に対応を検討していくことの課題があれば伺う。
【理事者】
既に拠点の整備を見据えて、様々な運営、運用等について考えている。まずは、名古屋市と共同設置する消防学校において、最前線で災害対応に当たる消防職員の人材育成の強化に取り組むことが重要である。
このため、カリキュラムについて名古屋市をはじめ県内消防本部とも意見交換を行い、教育、訓練の質をより一層高め、消防力のさらなるレベルアップが図られるよう検討するとともに、県内消防本部の持続的な連携強化にもつながるよう、局内一丸となって取り組んでいきたい。
また、拠点の開設をはじめ、支援物資のターミナル機能、支援部隊の受入れ調整及び広域医療搬送の運用、並びに燃料調達、ライフラインの確保など、様々な課題がある。拠点全体の運用に関する基本的な方針について、既に関係機関とも調整や検討を進めているので、今後も活動計画やマニュアルづくりを進めて、拠点の完成までにより一層実効性を高めていきたい。
【委員】
まず、今回の補正額が27億円とあるが、本当に愛知県基幹的広域防災拠点をこれから整備、運営するための予算額として計上されているのか。その積算の根拠、これがどのような形で積み上がってきたのか伺う。
【理事者】
今回、入札不調となったのは、現下の建設資材価格やエネルギー価格の急激な高騰により、事業者側で予定価格内の入札ができないと判断されたためである。
国では、全国的に建設資材等の高騰が続いている中、公共発注者に対し、発注段階で市場における原材料費等の最新の取引価格を適切に反映するよう通知している。
このため、最新の取引価格の実情を把握するため、複数の事業者にヒアリングを実施するとともに、辞退した全ての事業者から見積りの内訳を示してもらい、各事業者間の価格を比較分析している。
これに加え、建設資材物価や賃金の高騰について、最新の物価指標等を踏まえ精査し、施設ごとに価格を見直し、積み上げて算出している。
具体的には、工事費は建設物価調査会の建築費工事価格の名古屋市版を、備品は日本銀行の企業物価指数、人件費は厚生労働省の最低賃金愛知県版を、修繕費は国土交通省の建設工事費デフレーター、建築補修などを参照して、再積算した結果であり、適正な価格だと思っている。
【委員】
ただ、様々な建設資材の高騰で入札不調になり、その原因もしっかりと調査した上で積算をしたということであるが、物価高騰や人件費の高騰というのは、恐らくこれからも続いていくと思う。
最新の調査とは、現時点の価格の動向の反映と理解している。今後の資材高騰や人件費の高騰なども視野に入れながら行っていく必要もあると思っている。
このため、今回、再入札に向けて、そのようなことも含めてどういった対応をしているのか。
【理事者】
辞退した事業者を中心に、これまでヒアリングを延べ10回以上、実施してきた。
目的としては、予定価格と乖離した要因を詳細に把握するとともに、再入札に向けてスケジュールなど、事業条件の見直しの要否を判断するためである。
その結果、建設資材等の物価高騰や賃金の上昇が大きな要因であるとともに、要求水準の内容から、事業者側がリスクとして過大に積算している部分があることが分かった。
物価高騰については、直近の建設資材物価の指標等を踏まえて再積算を行った。
また、事業者がリスクとして過大に考えていた部分については、県と事業者の役割分担を明確にしたり、県が想定している規模感が事業者により具体的に伝わるように、要求水準書の記載をより明確にするなどの対応を検討してきた。
さらに、再入札に当たって、新たな参入企業も募集したいため、実施方針から再度公表し、提案期間を4か月から6か月に延長し、入札参加表明者を対象に実施する個別対話を1回から2回に増やすことなどをしてきた。
【委員】
次に、整備に当たり、国費や県債などを活用していく必要があると思うが、財源についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
財源については、できる限り国費を活用し、集中的な整備を図っていきたいと考えている。
このうち、公園部分については、施設整備と用地取得が国土交通省の都市局が所管する国庫補助金である防災・安全交付金の対象となる。
また、国庫補助金のほかにも県債の活用も想定しており、消防学校部分に係る整備の財源としては緊急防災・減災事業債を、また、公園部分に係る整備の財源としては防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債を活用していく。
こうした地方交付税措置付の有利な県債も可能な限り活用しながら、整備を進めていく。
【委員】
なるべく利用できるものはしっかりと利用しながら、負担も抑えていってほしい。
愛知県基幹的広域防災拠点内には、県と名古屋市が共同設置する消防学校が建設される予定になっていると聞いているが、この消防学校の整備に当たって、当然、名古屋市にも負担してもらうことになると思うが、今回の補正によって名古屋市の負担はどうなっているのか。
【理事者】
共同設置する消防学校については、名古屋市にも応分の負担をもらうことで合意している。
負担の考え方としては、施設ごとに県と名古屋市の受入れ定員の割合や消防職員の割合により算出することとしており、今回の増額分についても、応分の負担をしてもらう。
【理事者】
本事業については、本年3月に入札不調となったことで、全面開業の時期が当初の予定より1年延期となる。
しかし、愛知県基幹的広域防災拠点の性格上、いつ起きるか分からない南海トラフ地震などの大規模災害に備えて、県民の生命と財産を守る重要な拠点として一日も早い供用が必要であることを認識している。
一日も早い供用を目指すため、公園の平場部分については、用地の引渡しが終了したところから県の直接発注によって造成工事を進めている。全面開業前の先行使用を目指して、用地取得や造成工事など、遅らせることなく、これまでどおりのスケジュールで進めていく。
合わせて、災害時における物資や部隊の輸送などの開業後の運用、もしくは、消防学校の共同設置、そして消防人材の育成といったものについても、しっかりと真摯に検討していきたい。
また、地元の豊山町や小牧市と一体となり、防災関係機関からもしっかりと意見をもらいながら、精力的に事業を進めていく。
《一般質問》
【委員】
防災のICT化について伺う。
ICT化の質問を考えているときに、6月18日の中日新聞における、東三河豪雨の記事を目にした。
その記事によると、豊川流域の霞堤地区において、あえて堤防に造った切れ目から水を流して、下流域を洪水から守るという、治水技術を使っている。ただし、大水のたびに被害を強いられたことから、住民の対策を求める声が上がったという内容であった。
詳しく読むと、ある疑問が浮かんだ。この霞堤地区が水につかっても交通規制はなく、あちこちで車が立ち往生している。それらは偶然、道路の浸水時に居合わせたということである。霞堤地区には早い段階から避難指示が出されていたが、この人々に対して避難指示の情報が届いていたのか疑問である。
そこで、この避難情報の住民への伝達は、どのように行われていたのか伺う。
【理事者】
避難情報は市町村の判断において発令され、地域の実情に応じ、登録制メール、同報無線、SNSなど、様々な媒体を活用して地域住民に伝達される。
そのほか、市町村が県の防災情報システムに避難情報を入力することにより、その情報が報道機関に伝達され、テレビのテロップなどを通じて住民にも伝達されている。
さらに加えて、県においても昨年6月に愛知県防災Webというサイトを立ち上げており、県内の市町村の避難情報などをリアルタイムで県民に発信している。
【委員】
そこまでやってもなお、今回、こうした被害、死者が出てしまったことは、通りすがっていく地域住民でない人々にも、こうした情報をどう伝えるかというのが、災害の被害を少なくするために有効手段として考えられる。
そのようなICT技術を活用することで、自ら情報を取りに行けない、例えば運転中だから取りに行けない人たちに対して、ナビゲーション、スマートフォン及びGPSなどを駆使してどう伝えて、被害をなくすことが大事だと思う。
そういった情報を取りに行けない人に対する情報伝達網、防げる方法があると思うがどうか。
【理事者】
より多くの人々に避難情報を届ける手段として、利用者が能動的な操作や行動を行わずとも、提供する側から自動的に情報提供が行われるプッシュ型と言われる仕組みも有効であると考えている。
その一例として、ヤフーのアプリでは、インストールしたスマートフォンに事前登録した地域や現在地を対象に出された避難情報や気象警報等をプッシュ型で通知する機能が備わっている。
本県では、ヤフー株式会社と協定を締結しており、災害時にはヤフーサービス上に県民に周知すべき情報の掲載を協議できることになっているので、利用者の適時的確な避難行動につながる、より分かりやすい情報が発信されるよう、協定事業者とも連携して対応していきたい。
【委員】
私もヤフーアプリをインストールしており、確かにプッシュ型で情報はくる。そういったプッシュ型のツールがいよいよ災害が起きたときに、いかにして信頼度を持たせて避難行動に移すかが課題だと思う。
そうした課題を、ただプッシュすればいいわけではなく、本当に被害が出ないような行動に結びつける努力、周知や啓発などをやっていかなくてはいけない。
今後、様々な防災対策をしていく上で、ICTの技術を掛け合わせ、今まで手の届かなかったこともできるようになる場面が出てくると思うが、その辺りの考えはどうか。
【理事者】
防災分野においても、課題の解決や業務の効率化などにICTの活用が有効な場面も多いと考えており、必要な取組を進めている。
具体的な例としては、市町村から被害情報を集約する防災情報システムとSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)との連携を進めている。
SIP4Dとは、国や他県など他の機関が保有する多様な災害情報を取り込み、本県の情報システムで表示し、活用することができる仕組みとなっている。現時点で、本県で表示できる他機関の情報は、国土交通省の所有する道路情報など五つの情報に限られているが、順次拡大に取り組んでいる。
また、災害時に県と市町村、防災関係機関との通信を担う高度情報通信ネットワークの更新に取り組んでいるが、新しいネットワークでは、被災現場の映像情報などの収集や共有が防災関係機関間で円滑に共有できるよう、検討を進めている。
今後とも、様々な施策を実施するに当たっては、ICT技術の進展や他県の活用事例なども検討しながら、事業を実施していきたい。
【委員】
こうした防災、災害対策はいつ起こるか分からないので、大量の情報を取得する、また、伝えなくてはいけない場面がICT技術を活用するメリットだと思う。
そういった中で、例えば、広域避難をこれから考えていってもらおうと、我々も要求しているが、具体的に広域避難を考えていくと、本当にいろいろな課題が現れてくる。
そうしたときに、ICT技術を活用することで負担を減らして、安全力を向上することも考えられる。そうしたことを考慮の上、防災対策を順次進めてもらいたい。
【委員】
国土交通省では、都道府県の地域防災計画等で指定された道の駅について、防災道の駅として選定し、防災拠点としての役割をハード、ソフトの面から支援していくという制度が2020年に創設されている。この制度に基づいて、2021年に国内各地の道の駅が指定されたが、本県において、豊橋市の道の駅とよはしも、防災道の駅に選定されている。
県内各地に道の駅があると思うが、県地域防災計画において防災活動拠点として位置付けられているものは幾つあるか。
【理事者】
県内には、4か所の道の駅が防災活動拠点に位置付けられている。
具体的には、豊橋市の道の駅とよはし、豊田市のどんぐりの里いなぶ、西尾市のにしお岡ノ山、幸田町の筆柿の里・幸田である。
このうち、道の駅とよはしは、県内で唯一、防災道の駅に選定されている。
【委員】
防災道の駅の整備では、国土交通省中部地方整備局が中心となって国、県、市と調整し、また、その運営業者との検討を行いながら、手続を進めたと聞いているが、これは、どのように調整を行ったのか。
【理事者】
道の駅とよはしを災害時に活用するため、防災道の駅の要件である、県地域防災計画に基づく広域的な防災活動拠点として位置付けられるよう、施設の整備段階から国土交通省中部地方整備局及び豊橋市と調整を進めてきた。
2019年4月に国土交通省中部地方整備局、豊橋市及び県の3者で、道の駅とよはしの防災活動拠点としての活用に関する協定を締結し、2020年度には県と豊橋市双方の地域防災計画を修正して、道の駅とよはしを防災活動拠点として位置付けた。
この結果、道の駅とよはしは防災道の駅の選定要件を満たした施設となり、2021年度に全国で初めて選定された39の防災道の駅の一つに選ばれている。
【委員】
道の駅とよはしに関しては、選定前の整備段階から、選定されることを視野に入れて進められたということだが、この選定条件として広域的な防災拠点が位置付けられていることは、防災道の駅で選定されることを視野に置いているため、建物の耐震化や無停電化、また、活動拠点となる広いスペースを備えており、これは条件を満たしている。一方で、ソフト面、BCPの策定というのはどのようになっているのか伺う。
【理事者】
国土交通省中部地方整備局名古屋国道事務所が中心となり、県、市、道の駅とよはしの関係者を構成員とする道の駅「とよはし」防災機能強化方策検討会を設置し、昨年度末に発災後1時間の初動対応に係るBCPを作成した。
この検討会は本年度も引き続き開催されるため、発災後1時間以降の行動内容の明確化など、BCPの内容の充実を図っていくため、本県としても積極的に参加していきたいと思っている。
【委員】
今年の1月に開催された重点事業等調査研究会において、令和5年度の重点事業として、東三河南部のゼロメートル地帯広域防災活動拠点として、国道23号の豊川橋料金所跡地というのが候補として決定され、料金所の跡地に関する手続を進めて防災倉庫を整備していくという説明を受けている。
道の駅とよはしにおいても国道23号沿いに整備されていることから、災害時における、道の駅とよはしとゼロメートル地帯広域防災拠点の防災倉庫、その連携についてどのように考えているのか。
【理事者】
道の駅「とよはし」防災機能強化方策検討会において、ゼロメートル地帯広域防災活動拠点との連携についても今後の検討課題として取り上げ、国、県、市がしっかり連携できるよう、調整していきたい。
【委員】
それでは、最後に要望する。
一つは、今聞いたゼロメートル地帯防災活動拠点と、道の駅の連携をしっかりとつくってもらうこと、距離は少し離れていると思うが、せっかく国道23号沿いに防災倉庫と防災道の駅があるので、しっかりと連携を取ってもらうよう、BCPの策定等、連携をつくってもらいたい。
もう一つは、ゼロメートル地帯広域防災拠点というのが、さきの重点事業の説明で4か所ということで、そのうちの一つが豊川橋の料金所跡地であり、あとの二つが愛知県の西部、弥富市等にあるが、豊川橋、そして豊橋の道の駅がモデルケースとなって、今回は39か所、ほぼ全国1か所ずつ策定をされている。国土交通省が採択しているという形にはなっているが、今後、それが半分や3分の1指定となったときに、道の駅とよはしをモデルケースとして、今度は愛知県の西部にぜひともこういった拠点をつくってもらいたいので、これをモデルケースにしてしっかりと選定できるように、国や市と連携をつくってほしい。
【委員】
まず、災害時のペット同行避難対策について伺う。
環境省の調査によると、2011年の東日本大震災では、津波によって人命のみならず、多くのペットも被災し、福島県では約2,500頭の犬が犠牲になった。命は助かっても飼い主と離れ離れとなり、放浪状態となった犬も多数いたということである。
また、2016年の熊本地震に関しては、ペットを連れて避難してきたものの、屋内への受入れが拒否されたために、ペットだけを家に置いて飼い主が避難所に戻ったり、ペットと共に車中泊した被災者もいたとする調査がある。
これらのことから、大規模災害時に飼い主が安心してペットと共に避難生活を送ることができる環境はとても大切であると考えている。
昨年度、ペット同行避難の環境づくりに向けて検討するとのことであったが、どのような検討を行ったのか。
【理事者】
県では昨年度、ペット同行避難に関して、他の団体が実施している先進的な取組事例等を調査し、ペット避難専用施設に求められる要素等について検討した。
市町村レベルの先進的な取組として、福島県福島市において、既存の公共施設である勤労青少年ホームの体育館を、飼い主とペットが同じ空間で避難生活を送ることができるペット同伴者専用の避難所として活用する事例、また、熊本県熊本市では、動物関連の専門学校を運営する学校法人と協定を締結し、ペット同伴者専用の避難所として活用する事例などがあった。また、本県の犬山市においても、昨年12月から市内3か所の避難所を、ペット同伴者専用の避難所に位置付けている。
これらの事例からは、ペット専用の避難所にとって重要な要素として、住民から広く認知されている公共施設等の活用、広い駐車場の確保、水道をはじめとしたライフライン確保の容易性などが挙げられること、また、民間事業者と協力する取組については、平時から施設の利活用を含めた検討が必要であることなどが分かった。
これらのことを踏まえて、さらに調査、分析を重ねて、今後のペット同行避難対策を検討していく。
【委員】
この専用施設に対して、新しい取組になることで、ペットの飼い主の人々からも非常に期待の声を聞いているので、進めてほしい。
ただ、その一方で、目の前の災害に対して、やはり不安を抱える声も聞いている。特に6月2日の大雨で、東三河を中心に最大488避難所が開設され、479世帯1,095人が今回避難した。
ペットがどうであったのか、避難所に来たのか、また、来なかった場合の飼い主がどのような避難行動等をしたか、少し落ち着いた段階で、また調査してほしいと思う。
災害時に避難者がペットを連れて速やかに避難するためには、ペットと共に避難できる場所が自分たちの住む地域のどこにあるのか、また、飼い主だけではなくて、運営する地域の自主防災会、そしてその指定をする市町村が、その情報やルールを把握し、共有する必要があると思う。
5月28日には私の地元の中川区の水防訓練があった。動物愛護推進員によるペットの災害対策の啓発活動も行われていた。そこで参加者から話題になっていたのが、指定緊急避難場所と指定避難所におけるペットの受入れについてである。
特に、指定緊急避難場所は、命を守るために災害の危険からまずは逃げるための場所と位置付けられている。いざというときは、ペットと共に指定緊急避難場所へ本当に逃げてもいいのか、行ったときに拒否されることがないのか等々、混乱ができるだけないよう、受入れ側にも、そして飼い主側にも、こうしたことを事前に伝えていく必要があると大きな話題となっていた。
そこで、県として、指定緊急避難場所におけるペット同行避難について、どのように考えているのか伺う。
【理事者】
大規模災害時における住民の避難行動については、まず、発災直後に危険から逃れて身を守るため、指定緊急避難場所に一時的に避難し、その後、危険が収まってから、自宅で生活ができない被災者は、指定避難所において避難生活を送ることになる。
昨年度実施した調査の中で、東日本大震災では、避難の際に飼い主とペットが離れ離れになったことで放浪ペットが発生したり、自宅にペットを留置したまま、飼い主のみが避難したなどの事例があり、こうしたペットは後に行政が保護活動を行うことになることから、避難の過程で飼い主が責任を持って、ペットを連れて避難することが重要である。
このため、日頃からペットの避難について啓発することが重要であり、緊急避難場所についても、避難所と同様、ペット同行の避難について住民に周知するよう、市町村に働きかけていく。
【委員】
ペット避難が可能な避難所については、その運営に携わる町内会の役員や自主防災組織がペットを受け入れることを十分に認識する必要があると思うが、それが十分ではなかったり、また、その必要な知識を身につけていないというケースもある。
京都市のケースを紹介する。
京都市では、ペットの受入れ体制整備のための検討シートというものを作成している。ここでは、各地域のペットの避難頭数や避難所の広さに基づいて、受入れ可能なペットの頭数を推計できるようになっている。
例えば、避難対象世帯数に対し、犬猫の飼育率は20パーセントと推計されている。そのうち、避難割合は10パーセント、つまり、対象世帯の2パーセントがペット避難頭数ということが、過去の災害等の調査で推計されている。
そして、犬猫のキャリーケースはおよそ1平方メートルのスペースに二つほど置くことができるということから、避難所の屋外の駐輪場や倉庫、建物の軒下、テントなどの専用スペースをどれだけ設けることができるか、それによって受入れ可能頭数を割り出すことができ、足りないものや準備が必要なことが見える化するというシートとなっている。
これを基に、関係者が話合って避難所運営のルールを決め、避難所運営マニュアルに反映していこうとするものである。
ちなみに、これを私が住んでいる地域に当てはめると、私が住んでいる地域は学区の中でおよそ6,000世帯ある。6,000世帯の2パーセント、およそ120頭がペットの避難頭数ということが推計される。ただし、現状の私の地元の小学校の避難所、この中のペットの指定場所が屋外で指定されているが、とても120頭受け入れることはできないと思う。
こうしたことを推計する中で、スペースを拡充したり、そのためにテントの備えを増やす必要があり、また、こうしたことも事前に飼い主に知らせていくことで、実際、120頭分の避難の体制を整える、また、飼い主も必要なものを準備していくという、工夫にもつながっていくと思う。
このように見ていくと、ペットの飼い主と避難所を運営する住民の双方がペットの避難について問題意識を持って、常日頃から考えておくことが大切であることが分かる。
そこで、ペットの同行避難に関して、住民に対する日頃からの周知についてどのように考えるか伺う。
【理事者】
大規模災害時に飼い主が安心してペットと共に避難するためには、飼い主と避難所運営に携わる人が、ともに平時からペット避難についてしっかりと意識を持ち、備えておくことが重要である。
県が昨年11月に常滑市で実施した、地震・津波防災訓練、また、12月に豊川市で実施した総合防災訓練において、公益社団法人愛知県獣医師会に協力してもらい、ペットの避難に必要となる資機材の展示や啓発を行った。
また、名古屋市でも各区単位で実施する防災訓練において、ペットショップやペット関連団体の協力の下、ペット同行避難者の受入れ訓練等を行っているほか、ペット同行避難についての日頃の備えや心構えについて、リーフレット等を活用して飼い主への周知を図っている。
県では、愛知県地域防災計画において、避難所におけるペットの取扱いの基本的事項を定め、また、愛知県避難所運営マニュアルでは、避難所のペットの受入れについて示し、市町村に対策を促している。
ペットの避難が可能な避難所については、運営に当たる町内会の役員や自主防災組織が、ペットの受入れをはじめとした避難所運営について適切に認識して、日頃から備えができるよう、防災訓練等のあらゆる機会を捉えて、また、動物愛護関係部局とも連携して周知啓発に努めるよう、市町村に働きかけていく。
【委員】
市町村では、被災者がそこで一定期間避難生活を送る避難所をそれぞれ指定している。南海トラフ地震のような大規模災害が発生すると、多数のペット、飼育世帯が被災し、ペットを受け入れる避難所が必要となる。このため、ペット同行避難が可能な避難所の指定をはじめ、様々な観点からペットの避難環境を整えていく必要があると考える。
そこで、県として、今後どのようにペット同行避難の取組を進めていくのか伺う。
【理事者】
今年度、県の南海トラフ地震等対策事業費補助金において、避難所でのペットの受入れに当たり必要となるテント、間仕切り、ケージなどの整備を新たに補助対象としたので、積極的に補助金を活用して資機材を整備するよう市町村に促していく。
また、今月開催した市町村防災担当課長会議においても、他の自治体における先進的なペット避難対策、県の補助金の補助対象拡大等について紹介した。
今後も、会議や研修会など様々な機会を捉え、市町村に情報提供し、ペット同行避難の取組が進むよう促していきたい。災害時に飼い主が安心してペットと共に避難できる環境づくりに向け、市町村、関連団体と連携して、避難所の環境整備、住民への啓発に取り組んでいく。
【委員】
補助制度の拡充というものがまた一つの広がりのきっかけになると思う。
事前にいざというときに逃げる場所が分かっている、ペットと共に避難生活ができる場所を知っていることが、大きな安心感につながると思う。
市町村の既存の避難所の一部をペット同伴者の専用に特化することや、官民協働で専用避難施設を造っていく取組については、大いに期待している。
一方で、より地域に近い場所で避難できる場所も、並行して準備を進めていく必要があると思う。
そこで、2点要望するが、まずは、京都市で取り組んでいるペットの受入れ体制整備のための検討シートを紹介した。こうしたものもぜひ参考にしてもらい、本県としてもペットの受入れに対してシミュレーションができるようなツールを作成し、各市町村へ展開してもらうようにお願いする。
また、指定避難所におけるペット避難場所の指定も、市町村の施設が当然多いと思う。ただし、指定避難所の中には、県有施設もある。特に私が現場でいろいろ聞いている中では、県立高校も多くの市町にあって、指定避難所に指定しているところもある。
こうしたところもペット避難場所として活用ができるように、防災局からも市町村と連携し、積極的に教育委員会に働きかけてもらい、一か所でも多くペットの受入れをしてもらえる避難場所を増やしてもらうように要望する。
次に、家具固定の推進について伺う。
6月16日に閣議決定された令和5年版の防災白書において、家具等の固定について、全国調査では2022年は35.9パーセントとなり、2017年の前回調査時の40.6パーセントと比べて4.7パーセントの減少となった。
これを踏まえて、まず、愛知県の家具の固定率はどのような状況になっているのか。
【理事者】
本県では、2年に1度実施する防災に関する意識調査において、家具の固定率の状況を把握している。
2021年7月に実施した直近の意識調査の結果は、家具の大部分または一部を固定していると回答した割合は55.6パーセントとなっており、前回の2019年の意識調査時の61.7パーセントと比べて6.1パーセントの減少となっている。
【委員】
本県の家具の固定率は、55.6パーセントとあるので、国の調査結果よりも高い固定率となっている。これは県民の意識が高く、長く啓発をしてきた一つの証しだと思う。
しかし、本県でもこれが減少傾向となっていることは、今報告があったとおりである。
第3次あいち地震対策アクションプランにおいて、家具の固定の促進を重点的に取り組む項目の一つに定めていたと認識しているが、第3次あいち地震対策アクションプランの目標値はどのようであったのか。
【理事者】
第3次あいち地震対策アクションプランの計画期間は、2015年度から2023年度の9年間であり、家具固定の促進を重点テーマの一つに位置付けており、家具の固定率を2023年度までに65パーセントとすることを目標としている。
【委員】
私は平成30年6月の委員会などにおいて、一層の家具固定の取組を求めてきたが、今年度までに家具固定率65パーセントの目標達成については、2021年度の調査結果からすると、大変厳しい状況であると思う。
そこで、今年度は家具の固定を推進するためにどのようなことに取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
これまで本県の家具固定推進の取組としては、家具固定相談窓口の設置、家具固定推進員の派遣、家具固定ボランティアの養成、民間企業と連携したイベントでの啓発、防災教育センターにおける体験講習会の開催などを実施してきた。
しかしながら、2020年度から2022年度にかけて、コロナ感染症の影響により十分に啓発活動を実施することができず、効果を上げることができていなかった。
今年度はコロナ感染症が5類に移行したことにより、イベント等の制限がなくなったので、これまでの取組内容をコロナ前の水準まで戻すことを目指して啓発活動を行っていく。
【委員】
以前から、公営住宅が賃貸住宅であったとしても、長く住む方が多いことから、公営住宅を対象に家具固定のキャンペーンを実施したらどうか、実施してほしいと要望してきた。そうした質問に対し、当時、今後検討していくと答弁があった。
そこで、公営住宅、県営住宅における家具固定推進の取組については、どのように進めてきたのか伺う。
【理事者】
県営住宅への啓発については、2019年度から毎年、防災安全局が作成した家具固定の啓発チラシを、県住宅供給公社を通じて、県営住宅の入居者を対象に、各住宅の連絡員にお願いして各戸へ配布しており、今年度も引き続き実施していく。
【委員】
コロナ禍によってイベントの取りやめなどで思うような啓発ができなかったことは理解している。
しかし、これから5類移行により、元に戻すのではなく、これまでのブランクを埋める取組が今後は必要であると考える。
そこで、家具の固定をさらに推進するため、今後の取組について伺う。
【理事者】
家具の固定については、命を守る取組として各家庭で身近に取り組むことができ、かつ、費用対効果が高く、大変有効な防災対策である。
しかし、県民意識調査を見ると、家具固定を行わない最も多い理由は、手間がかかる、面倒だからとなっており、家具の固定に対する県民の意識を変えていくことが重要であると考える。
このことから、家具の固定のさらなる推進を図るため、現在、国において検討されている南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直し等の動向も踏まえて、個人の意識高揚や行動変革につながる取組について検討していく。
【委員】
最後、要望するが、今、家具の固定が55パーセント以上、最大で61パーセントまで行ったことがあるということである。
さらに、現状から10パーセント増を目指していくとあるが、つける意識があり、家具の固定をするという人は、ほぼしている。ここから先は、手間がかかるとか面倒だという人々をどう設置してもらうのかになると思う。
そういう観点で考えると、実効性を高めていくためには、アウトリーチ型の啓発というものも必要であると思う。
名古屋市は、消防や区役所の職員による全戸訪問を目指す取組を始めている。コロナ禍で途中、中断されていたが、今月から再開した。今回、地元中川区の野田学区がモデル地域となっている。私の家でも職員が家庭訪問に来た。
そこでは防災力調査として、寝室の家具等の転倒防止、消火器等の設置、感震ブレーカーの設置、住宅用火災報知機の設置、火災報知機の定期的な動作確認、この5項目の調査を行うということである。そして、この調査に答えると、家具転倒防止器具や、消火スプレー、感震ブレーカー等の防災用品がもらえる。
その場で家具留めの設置の具体的な相談や補助制度等の話になって、そのまま設置へ直結する家庭も多いと聴いている。また、家具留めができなくても、寝室については、倒れてくる家具を置かないなど、一番無防備となる寝る場所の安全性の確保を周知している。このように、啓発の効果は目に見えてある。
その一方で、人海戦術のため、どの地域でもできるわけではない。
そこで、要望であるが、こうした訪問型の周知・啓発について、県営住宅は効率がよく訪問ができると思う。
今、県営住宅にチラシを配布してもらっているが、このチラシ配布だけではなくて、地元自治体と連携して、訪問型で補助制度や設置支援等、モデル的に実施してもらえるように検討してもらいたい。
【委員】
6月2日に起きた大雨に関連して、災害救助法の適用について伺う。
豊川市でも、全壊家屋の倒壊箇所において土砂災害の危険性があるということで、災害対策本部、豊川市、そして愛知県にも設置をしてもらいながら、人的な支援を行っていることに感謝する。
今回の6月2日の大雨の特徴として、本県では、24時間の降水量が豊橋市では419ミリメートル、蒲郡市では343.5ミリメートルに達して、観測史上最多となる記録的な大雨になった。
東三河地域は東西に大きな道路が3本通っている。新東名高速道路、東名高速道路、そして国道1号というこの3本の道路網が通っている中で、2日の大雨は、東名高速道路及び新東名の高速道路も通行止めになり、車に乗っている人が途中で下りたと聞く。
西から東に向かって行くときに、例えば、岡崎インターで東名高速道路を下りた人は、国道1号で東に向かって行くが、国道1号も豊川市内白鳥地域、また、宮下地域で通行止めになっている中で、2日の夕刻、2回目の降水、線状降水帯が来たとき、本当に豊川市内の道路網がパンクしていた。
国道1号も通行止めになっており、側道に逃げていくわけである。側道へ逃げていく状況下でも、県の管理河川ということで、越水等の影響で冠水しているところもありながら、特徴的なのは、県外の車の人も冠水して、地域の市民館に避難したことであったり、ふだん夕方、帰路に就くときに、10分から20分で家に着く帰路の人が、4時間から5時間かけて家に着いた、また、豊川市の中心の市民病院のところから隣の豊橋市に帰ろうとしたときには、途中、帰ることができずに中学校の体育館で避難し、次の日の朝まで避難の時間を経過したと話があった。
2日の夜という状況下で、被害状況を確認することは、大変困難な状況であったと思う。避難を確認するのも、車で移動もすることができなかった。また、避難に行く人にとっても生命に関わることであるので、本当にそこに確認しに行くことがいいことなのかということも、課題の一つと感じた。
この被害状況も、次の週のときには床上浸水の数字も、豊川市は1週目より2週目のほうが増えながら、現在は250件以上が豊川市は床上浸水であり、また、愛知県全体の農業被害額も、第1週目で報告を受けたときには、約13億円であったと思うが、翌週には3倍にまで膨れ上がり約39億円になり、今回、68億5,000万円という数字になった。
こうした大きな被害を受けた6月2日の大雨であるが、このような中で、災害救助法の考え方について伺う。
災害が発生し、又は発生するおそれがあるときに必要な救助を行って、住民の保護を図るため、災害救助法という法律があると聞く。
記憶に新しいところでは、平成12年東海豪雨、平成20年の8月末豪雨で被害の大きかった市町村に適用された。
今回、結果的には、6月2日の大雨には適用されなかった。
災害救助法の適用については、災害救助法施行令の第1条に基準が定められており、まず、第1号の基準として、各市町村の人口規模に応じた数の住家の滅失があった場合に適用され、この住家の消失の数を床上浸水の数に換算すると、被害が大きかった豊橋市や岡崎市では450世帯以上、豊川市では300世帯以上の床上浸水があった場合に、災害救助法が適用される。
また、第4号基準があり、多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合で、内閣府令に定める多数の者が避難して、継続的に救助が必要とするという基準に該当するときに適用される。
今回、県東部において、2度にわたり線状降水帯が発生するなどして記録的な大雨となったが、県や市町村、特に豊川市及び豊橋市では、災害救助法の観点からどのような状況にあったのか伺う。
【理事者】
今回、愛知県では、6月2日の朝から災害の発生に備え、愛知県災害対策本部を設置して、被害情報の収集に当たっていた。
2日の夕方から3日にかけては、線状降水帯が発生するなど、東三河地域を中心に雨が強くなる中、県では豊橋市及び豊川市と連携して、被害状況の把握に努めていた。
3日朝に内閣府から県内の被害状況について問合せを受けた時点では、豊橋市及び豊川市ともに、夜の時間帯には、住民への避難広報や、河川の巡視等の応急対策に優先して従事していたことから、災害救助法の適用に先立って国との事前協議に必要となる定量的な被害把握ができない状態であり、内閣府にもその旨を報告していた。
【委員】
2日の夜というのは、なかなか状況確認することが難しい状況であり、その後、日が明けて、雨も収まりながらという中で、まだ国道1号等は麻痺した状況であったが、宮下のところも冠水した状況であり、車がそちらに入ってしまったところは、道路の真ん中や歩道にも乗り上げたような状況で車両がところどころに止まっている状況が豊川市内の雰囲気であった。
その中で、時間とともに被害状況を確認できるような状況になりつつある中で、上空からの映像などからも、広い範囲にわたって道路や民家の周りが浸水している状況や、車両の状況も確認できたと思う。
そのような状況の中で、なぜ豊橋市や豊川市に災害救助法が今回適用されなかったのか。
【理事者】
災害救助法の4号基準が適用されるのは、内閣府令にある多数の者が継続的な救助を必要とする場合である。
豊橋市では、夜が明けると徐々に避難所から自宅に帰る方が増え、3日午前7時30分の時点では、最大で182人いた避難者が40人となり、その後も減少が見込まれた。
また、豊川市では、3日午前6時19分に避難指示が解除され、同時に、避難所も2か所を除き閉鎖されるなど、最大で351人いた避難者は40人にまで減少し、こちらも同様に、その後、減少する見込みであった。
以上のことから、豊橋市、豊川市のいずれについても、継続的な救助を必要としない状況と認識しており、4号基準による法適用は見込めないと判断したため、災害救助法を適用しなかった。
なお、1号基準を満たす住家被害が発生しているかどうかを確認するための定量的な被害は、その時点では判明していなかった。
【委員】
今回の災害対応に当たって県と市町村でしっかり連携できていたのかをまず聞きながら、災害救助法を適用する前提となる被害情報の収集について課題はなかったのか伺う。
【理事者】
今回の大雨では、東三河方面本部から豊橋市及び豊川市に、また、西三河方面本部からは岡崎市に職員を派遣し、県と市で一体となって災害対応に当たり、連携できたと認識している。
一方で、災害救助法の適用に際しては、応急的に必要な救助を行うという法の精神に基づき、内閣府令において多数の者が継続的に救助を必要とするという指標が定められていることから、概数でもよいので速やかに、おおよその被害状況を把握することが必要である。
被害情報の収集は、国に災害救助法適用のための事前協議を行う上で必要となる発災直後の定量的な被害を把握し、国、県、市の間で共有することが、今後の災害対応を進める上で大変重要であるとの教訓が得られた。
【委員】
今回の水害により被災された人々、僅かこの1日の間に降った大雨によって大切な生命、財産を失い、それまでの当たり前の日常生活を失ってしまった。
被災地では今、関係機関はもちろん、ボランティアの協力も得ながら、復旧に向けた取組が進められている最中である。被災者が元どおりの生活を取り戻すための道のりは平たんなものではない。
本県は、今後、南海トラフによる大きな地震を予測している中、大規模災害時には国、県、市町村はもとより、関係機関が一体となって対応に当たる必要があると考える。広域の地方公共団体である我が県として、市町村とよく連携、調整してもらい、市町村の防災活動の実施を助けてほしいと思っている。
そこで、今回の災害における教訓を踏まえて、今後、県としてどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
被災者に対して応急的に必要な救助を行うため、タイミングを逃さず、的確に災害救助法の適用を判断することは極めて重要である。今回の教訓を踏まえて、応急対策を迅速、的確に進めるため、国との間で災害救助法の適用に関して、既に意見交換を行っている。
この意見交換の結果については、市町村に伝達し、情報を共有して今後の対応に生かしていきたい。また、市町村の意見を聴きながら、法適用を判断するきっかけとなる情報について整理し、共有していくことも必要と考えている。
大規模な風水害が見込まれるときなど、市町村に対して法適用を視野に入れた被害情報の報告について事前周知して注意を促すとともに、切迫性が高まった場合には、あらかじめ市町村の責任ある立場の職員と直接協議ができるよう、役割の明確化に努めていきたい。
さらに、今後、災害救助法の適用も加味した訓練の実施についても、検討していきたい。
【理事者】
先ほどの大雨に関する説明と重なるが、一般社団法人日本自動車連盟中部本部・愛知支部、そして全日本高速道路レッカー事業協同組合が協定に基づいて放置車両のレッカー移動を実施してもらったことにより、災害応急対策、これがより一層迅速に実施できた。
こうして迅速化が図られたこの取組に関しては、本県では2事業者に加えて、愛知レッカー事業協同組合とも協定を結んでおり、三つのレッカーの関係の協定を実際に組ませてもらっているが、平時からレッカー事業者の協力をもらい、具体的には、東三河、知立、一宮の各建設事務所において、昨年度だけでも3回、道路啓開に係る放置車両のレッカー移動訓練を実施してもらっており、この訓練を通じて県と団体が災害に備える意識、あるいはお互いの役割というものを共有していたからこそ、発災後の速やかな連携、あるいは対応につながったと考えており、改めて感謝するが、こうした事例からも、やはり災害に備えて平時からお互いに顔の見える関係を構築し、さらに、お互いの役割を共有していくことの重要性、これが改めて認識させられた。
今回の災害救助法の適用については、特に、災害救助法の適用も加味した訓練、先ほどのレッカー訓練と同様に、加味した訓練の実施についてしっかりと検討して、平時から、日頃からより一層、県と市町村が連携を深めて、顔の見える関係を構築し、災害に備え、お互いの役割を共有していきたいと考えている。
これから本格的な台風シーズンを迎えるに当たり、県民の生命や財産をしっかりと守るために、県としても引き続き市町村としっかり連携して、取り組んでいきたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月29日(木) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
辻 秀樹、おおたけりえ 正副委員長
水野富夫、伊藤辰夫、島倉 誠、石塚吾歩路、中根義高、藤原ひろき、
朝日将貴、天野正基、安井伸治、朝倉浩一、犬飼明佳 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第2条(債務負担行為の補正)の内
愛知県基幹的広域防災拠点整備・運営等事業契約
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号
<会議の概要>
1 開 会
2 報 告
6月2日大雨による被害情報について
3 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 一般質問
5 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
愛知県基幹的広域防災拠点の整備について質問する。
結果的に入札不調になっており、この完成形が1年延びるとあるが、防災という性格上、一刻も早い整備が望まれる。
今後、これ以上遅れることのないようにどのように対応していくのか、全体的な話を伺う。
【理事者】
再入札により完成が1年延期となるが、防災拠点の性格上、いつ起こるか分からない南海トラフ地震等から県民の生命と財産を守るため、一日でも早く供用する必要がある。このため、公園部分については、部分的な先行使用を目標に整備を進めていく。
したがって、用地買収や造成工事等については、当初の予定どおり進めていく。
用地買収は、今年度末までに残りの全ての地権者との契約締結を目指していく。造成工事等については、既に一部を発注しており、事業用地の引渡しの終わった箇所から順次進めている。
今後も、進捗管理をしっかりと行っていく。
【委員】
1年延びることに伴って事業条件を見直ししていく流れの中で、当然ながら、これ以上遅れてはいけないという観点から、もう少し掘り下げて、具体的な運用をイメージした質問をする。
愛知県基幹的広域防災拠点は、南北に主要の道路である名古屋高速道路が通っており、そこを利用することが想定されていると思うが、ひとたび災害が起きると、当然、大量の物資や応援部隊が入り、それらを輸送することになる。
トレーラーなどの大きい輸送車両が入ってくることが考えられると思うが、大きい車はアクセスができるのか伺う。
名古屋高速道路を通行できる車両の大きさや重量はどれだけか。また、応援部隊が使用する車両の大きさや重量はどういうものになるのか。
【理事者】
車両の長さ、車長は12メートル以下、車両総重量は25トン以下、軸重、左右のタイヤをつないでいる車軸にかかる重量は10トン以下、高さが4.1メートル以下、車幅が2.5メートル以下となっている。
なお、これを一つでも超える場合は、特殊車両としての通行許可が必要となる。その場合、車長がセミトレーラーの17.5メートルまで、重量は、軸重10トン以下は変わりないが、総重量は44トン以下であれば許可される見込みである。
また、料金所、ETCゲートについては、通行レーンの幅員が3メートルのため、車幅は2.5メートルを超える車両は通行不可となる。
次に、支援物資に使用される車両についてである。
物資の種類によって使用される車両は異なるが、多くは車両総重量20トントラック、または25トントラックとなる。
25トントラックの大きさは、ワイドボディーで長さが11.985メートル、高さは3.795メートル、幅は2.495メートル、車両総重量が24.975トンとなる。
したがって、名古屋高速道路の一般制限内に収まっているため、通行可能である。
続いて、支援部隊が使用する車両についてである。
自衛隊や消防など、支援部隊が使用する車両については、支援の種類により装備などの違いがあるものの、支援物資に使用される車両と同様に一般制限内に収まっており、通行は可能である。
なお、一般制限値を超える特殊車両については、道路法、車両制限令で特例措置があり、この場合、通行許可ではなく、道路の構造の保全のための必要な措置を講じれば通行できる。
【委員】
一つ一つ、拠点という本来の目的を達成するための具体的なイメージ、シミュレーションをしながら、この辺が整備されていかなければならないのは当然のことである。ひとたび大規模災害が発生して、拠点が開設されると、全国から支援物資や支援部隊が集まるが、今度はここから県内の防災拠点に配分されていくような流れが考えられる。その関係車両の輸送ルートがきちんと通行できなければ、拠点の機能が十分発揮されない。
冒頭、6月2日の大雨の被害状況について、防災安全局長から説明があったが、やはり道路が使えないと、緊急輸送道路のような要素で、名古屋高速道路などは比較的早い段階で、いわゆる通行できる仕掛けや仕組みを施されるイメージはするが、災害が起きたときなので、道路が破壊されている可能性も大いにある。そういった意味では、拠点の近くだと、物資や部隊はそれぞれルートを分けて動くイメージがあるが、もう少し広く全体的な再配分するとき、それぞれの各地域のところに配分するときなども含めて、代替ルートをどのように考えているのか。
【理事者】
輸送ルート被災時の通行について、遠方からの長距離輸送には、高速道路が有効である。拠点直近の、名古屋高速道路の利用を一番に考えているが、この道路が通行不能の場合、その高架下にある国道41号の利用を考えている。どちらも第一次緊急輸送道路に指定されており、万が一被災しても、災害対応活動のため、いち早く道路啓開作業が行われる。
また、国道41号と拠点等を直接結ぶアクセス道路、拠点から出ていく道路、入ってくる道路、これが重要であると考えている。拠点の北側に接する小牧市道と南側に接する豊山町道、この2路線を県道として拡幅整備していくこととしており、まずはこの整備を着実に進めていきたい。
このアクセス道路は、物資輸送車両や支援部隊車両が渋滞しないよう路肩を広く確保し、待機できるように計画している。また、電柱が倒壊して道路が塞がれないように、無電柱化も予定している。さらに、停電も考慮し、交差点は信号のないラウンドアバウトを採用している。
なお、代替ルートを確保していくことは、指摘のように、緊急支援物資の輸送や救出救助活動を円滑に実施する上で、大変重要であると認識している。このため、名古屋高速道路や国道41号、南北の道路等が、通行不能になった場合を想定し、防災安全局と建設局が連携して、活動に携わる関係機関や地元市町と相談しながら、課題整理など検討を進めていきたい。
【委員】
繰り返しになるが、災害がどういう状況になるか、イメージしにくいものであり、道路においては、愛知県基幹的広域防災拠点にとって非常に大切になってくるので、特に様々な代替ルート及びそれ以外の様々な道路のアクセス等を考えていくと、より有効的に目的が達成できると思う。
この供用が1年、結果的には延びたため、その間に対応を検討していくことの課題があれば伺う。
【理事者】
既に拠点の整備を見据えて、様々な運営、運用等について考えている。まずは、名古屋市と共同設置する消防学校において、最前線で災害対応に当たる消防職員の人材育成の強化に取り組むことが重要である。
このため、カリキュラムについて名古屋市をはじめ県内消防本部とも意見交換を行い、教育、訓練の質をより一層高め、消防力のさらなるレベルアップが図られるよう検討するとともに、県内消防本部の持続的な連携強化にもつながるよう、局内一丸となって取り組んでいきたい。
また、拠点の開設をはじめ、支援物資のターミナル機能、支援部隊の受入れ調整及び広域医療搬送の運用、並びに燃料調達、ライフラインの確保など、様々な課題がある。拠点全体の運用に関する基本的な方針について、既に関係機関とも調整や検討を進めているので、今後も活動計画やマニュアルづくりを進めて、拠点の完成までにより一層実効性を高めていきたい。
【委員】
まず、今回の補正額が27億円とあるが、本当に愛知県基幹的広域防災拠点をこれから整備、運営するための予算額として計上されているのか。その積算の根拠、これがどのような形で積み上がってきたのか伺う。
【理事者】
今回、入札不調となったのは、現下の建設資材価格やエネルギー価格の急激な高騰により、事業者側で予定価格内の入札ができないと判断されたためである。
国では、全国的に建設資材等の高騰が続いている中、公共発注者に対し、発注段階で市場における原材料費等の最新の取引価格を適切に反映するよう通知している。
このため、最新の取引価格の実情を把握するため、複数の事業者にヒアリングを実施するとともに、辞退した全ての事業者から見積りの内訳を示してもらい、各事業者間の価格を比較分析している。
これに加え、建設資材物価や賃金の高騰について、最新の物価指標等を踏まえ精査し、施設ごとに価格を見直し、積み上げて算出している。
具体的には、工事費は建設物価調査会の建築費工事価格の名古屋市版を、備品は日本銀行の企業物価指数、人件費は厚生労働省の最低賃金愛知県版を、修繕費は国土交通省の建設工事費デフレーター、建築補修などを参照して、再積算した結果であり、適正な価格だと思っている。
【委員】
ただ、様々な建設資材の高騰で入札不調になり、その原因もしっかりと調査した上で積算をしたということであるが、物価高騰や人件費の高騰というのは、恐らくこれからも続いていくと思う。
最新の調査とは、現時点の価格の動向の反映と理解している。今後の資材高騰や人件費の高騰なども視野に入れながら行っていく必要もあると思っている。
このため、今回、再入札に向けて、そのようなことも含めてどういった対応をしているのか。
【理事者】
辞退した事業者を中心に、これまでヒアリングを延べ10回以上、実施してきた。
目的としては、予定価格と乖離した要因を詳細に把握するとともに、再入札に向けてスケジュールなど、事業条件の見直しの要否を判断するためである。
その結果、建設資材等の物価高騰や賃金の上昇が大きな要因であるとともに、要求水準の内容から、事業者側がリスクとして過大に積算している部分があることが分かった。
物価高騰については、直近の建設資材物価の指標等を踏まえて再積算を行った。
また、事業者がリスクとして過大に考えていた部分については、県と事業者の役割分担を明確にしたり、県が想定している規模感が事業者により具体的に伝わるように、要求水準書の記載をより明確にするなどの対応を検討してきた。
さらに、再入札に当たって、新たな参入企業も募集したいため、実施方針から再度公表し、提案期間を4か月から6か月に延長し、入札参加表明者を対象に実施する個別対話を1回から2回に増やすことなどをしてきた。
【委員】
次に、整備に当たり、国費や県債などを活用していく必要があると思うが、財源についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
財源については、できる限り国費を活用し、集中的な整備を図っていきたいと考えている。
このうち、公園部分については、施設整備と用地取得が国土交通省の都市局が所管する国庫補助金である防災・安全交付金の対象となる。
また、国庫補助金のほかにも県債の活用も想定しており、消防学校部分に係る整備の財源としては緊急防災・減災事業債を、また、公園部分に係る整備の財源としては防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債を活用していく。
こうした地方交付税措置付の有利な県債も可能な限り活用しながら、整備を進めていく。
【委員】
なるべく利用できるものはしっかりと利用しながら、負担も抑えていってほしい。
愛知県基幹的広域防災拠点内には、県と名古屋市が共同設置する消防学校が建設される予定になっていると聞いているが、この消防学校の整備に当たって、当然、名古屋市にも負担してもらうことになると思うが、今回の補正によって名古屋市の負担はどうなっているのか。
【理事者】
共同設置する消防学校については、名古屋市にも応分の負担をもらうことで合意している。
負担の考え方としては、施設ごとに県と名古屋市の受入れ定員の割合や消防職員の割合により算出することとしており、今回の増額分についても、応分の負担をしてもらう。
【理事者】
本事業については、本年3月に入札不調となったことで、全面開業の時期が当初の予定より1年延期となる。
しかし、愛知県基幹的広域防災拠点の性格上、いつ起きるか分からない南海トラフ地震などの大規模災害に備えて、県民の生命と財産を守る重要な拠点として一日も早い供用が必要であることを認識している。
一日も早い供用を目指すため、公園の平場部分については、用地の引渡しが終了したところから県の直接発注によって造成工事を進めている。全面開業前の先行使用を目指して、用地取得や造成工事など、遅らせることなく、これまでどおりのスケジュールで進めていく。
合わせて、災害時における物資や部隊の輸送などの開業後の運用、もしくは、消防学校の共同設置、そして消防人材の育成といったものについても、しっかりと真摯に検討していきたい。
また、地元の豊山町や小牧市と一体となり、防災関係機関からもしっかりと意見をもらいながら、精力的に事業を進めていく。
《一般質問》
【委員】
防災のICT化について伺う。
ICT化の質問を考えているときに、6月18日の中日新聞における、東三河豪雨の記事を目にした。
その記事によると、豊川流域の霞堤地区において、あえて堤防に造った切れ目から水を流して、下流域を洪水から守るという、治水技術を使っている。ただし、大水のたびに被害を強いられたことから、住民の対策を求める声が上がったという内容であった。
詳しく読むと、ある疑問が浮かんだ。この霞堤地区が水につかっても交通規制はなく、あちこちで車が立ち往生している。それらは偶然、道路の浸水時に居合わせたということである。霞堤地区には早い段階から避難指示が出されていたが、この人々に対して避難指示の情報が届いていたのか疑問である。
そこで、この避難情報の住民への伝達は、どのように行われていたのか伺う。
【理事者】
避難情報は市町村の判断において発令され、地域の実情に応じ、登録制メール、同報無線、SNSなど、様々な媒体を活用して地域住民に伝達される。
そのほか、市町村が県の防災情報システムに避難情報を入力することにより、その情報が報道機関に伝達され、テレビのテロップなどを通じて住民にも伝達されている。
さらに加えて、県においても昨年6月に愛知県防災Webというサイトを立ち上げており、県内の市町村の避難情報などをリアルタイムで県民に発信している。
【委員】
そこまでやってもなお、今回、こうした被害、死者が出てしまったことは、通りすがっていく地域住民でない人々にも、こうした情報をどう伝えるかというのが、災害の被害を少なくするために有効手段として考えられる。
そのようなICT技術を活用することで、自ら情報を取りに行けない、例えば運転中だから取りに行けない人たちに対して、ナビゲーション、スマートフォン及びGPSなどを駆使してどう伝えて、被害をなくすことが大事だと思う。
そういった情報を取りに行けない人に対する情報伝達網、防げる方法があると思うがどうか。
【理事者】
より多くの人々に避難情報を届ける手段として、利用者が能動的な操作や行動を行わずとも、提供する側から自動的に情報提供が行われるプッシュ型と言われる仕組みも有効であると考えている。
その一例として、ヤフーのアプリでは、インストールしたスマートフォンに事前登録した地域や現在地を対象に出された避難情報や気象警報等をプッシュ型で通知する機能が備わっている。
本県では、ヤフー株式会社と協定を締結しており、災害時にはヤフーサービス上に県民に周知すべき情報の掲載を協議できることになっているので、利用者の適時的確な避難行動につながる、より分かりやすい情報が発信されるよう、協定事業者とも連携して対応していきたい。
【委員】
私もヤフーアプリをインストールしており、確かにプッシュ型で情報はくる。そういったプッシュ型のツールがいよいよ災害が起きたときに、いかにして信頼度を持たせて避難行動に移すかが課題だと思う。
そうした課題を、ただプッシュすればいいわけではなく、本当に被害が出ないような行動に結びつける努力、周知や啓発などをやっていかなくてはいけない。
今後、様々な防災対策をしていく上で、ICTの技術を掛け合わせ、今まで手の届かなかったこともできるようになる場面が出てくると思うが、その辺りの考えはどうか。
【理事者】
防災分野においても、課題の解決や業務の効率化などにICTの活用が有効な場面も多いと考えており、必要な取組を進めている。
具体的な例としては、市町村から被害情報を集約する防災情報システムとSIP4D(基盤的防災情報流通ネットワーク)との連携を進めている。
SIP4Dとは、国や他県など他の機関が保有する多様な災害情報を取り込み、本県の情報システムで表示し、活用することができる仕組みとなっている。現時点で、本県で表示できる他機関の情報は、国土交通省の所有する道路情報など五つの情報に限られているが、順次拡大に取り組んでいる。
また、災害時に県と市町村、防災関係機関との通信を担う高度情報通信ネットワークの更新に取り組んでいるが、新しいネットワークでは、被災現場の映像情報などの収集や共有が防災関係機関間で円滑に共有できるよう、検討を進めている。
今後とも、様々な施策を実施するに当たっては、ICT技術の進展や他県の活用事例なども検討しながら、事業を実施していきたい。
【委員】
こうした防災、災害対策はいつ起こるか分からないので、大量の情報を取得する、また、伝えなくてはいけない場面がICT技術を活用するメリットだと思う。
そういった中で、例えば、広域避難をこれから考えていってもらおうと、我々も要求しているが、具体的に広域避難を考えていくと、本当にいろいろな課題が現れてくる。
そうしたときに、ICT技術を活用することで負担を減らして、安全力を向上することも考えられる。そうしたことを考慮の上、防災対策を順次進めてもらいたい。
【委員】
国土交通省では、都道府県の地域防災計画等で指定された道の駅について、防災道の駅として選定し、防災拠点としての役割をハード、ソフトの面から支援していくという制度が2020年に創設されている。この制度に基づいて、2021年に国内各地の道の駅が指定されたが、本県において、豊橋市の道の駅とよはしも、防災道の駅に選定されている。
県内各地に道の駅があると思うが、県地域防災計画において防災活動拠点として位置付けられているものは幾つあるか。
【理事者】
県内には、4か所の道の駅が防災活動拠点に位置付けられている。
具体的には、豊橋市の道の駅とよはし、豊田市のどんぐりの里いなぶ、西尾市のにしお岡ノ山、幸田町の筆柿の里・幸田である。
このうち、道の駅とよはしは、県内で唯一、防災道の駅に選定されている。
【委員】
防災道の駅の整備では、国土交通省中部地方整備局が中心となって国、県、市と調整し、また、その運営業者との検討を行いながら、手続を進めたと聞いているが、これは、どのように調整を行ったのか。
【理事者】
道の駅とよはしを災害時に活用するため、防災道の駅の要件である、県地域防災計画に基づく広域的な防災活動拠点として位置付けられるよう、施設の整備段階から国土交通省中部地方整備局及び豊橋市と調整を進めてきた。
2019年4月に国土交通省中部地方整備局、豊橋市及び県の3者で、道の駅とよはしの防災活動拠点としての活用に関する協定を締結し、2020年度には県と豊橋市双方の地域防災計画を修正して、道の駅とよはしを防災活動拠点として位置付けた。
この結果、道の駅とよはしは防災道の駅の選定要件を満たした施設となり、2021年度に全国で初めて選定された39の防災道の駅の一つに選ばれている。
【委員】
道の駅とよはしに関しては、選定前の整備段階から、選定されることを視野に入れて進められたということだが、この選定条件として広域的な防災拠点が位置付けられていることは、防災道の駅で選定されることを視野に置いているため、建物の耐震化や無停電化、また、活動拠点となる広いスペースを備えており、これは条件を満たしている。一方で、ソフト面、BCPの策定というのはどのようになっているのか伺う。
【理事者】
国土交通省中部地方整備局名古屋国道事務所が中心となり、県、市、道の駅とよはしの関係者を構成員とする道の駅「とよはし」防災機能強化方策検討会を設置し、昨年度末に発災後1時間の初動対応に係るBCPを作成した。
この検討会は本年度も引き続き開催されるため、発災後1時間以降の行動内容の明確化など、BCPの内容の充実を図っていくため、本県としても積極的に参加していきたいと思っている。
【委員】
今年の1月に開催された重点事業等調査研究会において、令和5年度の重点事業として、東三河南部のゼロメートル地帯広域防災活動拠点として、国道23号の豊川橋料金所跡地というのが候補として決定され、料金所の跡地に関する手続を進めて防災倉庫を整備していくという説明を受けている。
道の駅とよはしにおいても国道23号沿いに整備されていることから、災害時における、道の駅とよはしとゼロメートル地帯広域防災拠点の防災倉庫、その連携についてどのように考えているのか。
【理事者】
道の駅「とよはし」防災機能強化方策検討会において、ゼロメートル地帯広域防災活動拠点との連携についても今後の検討課題として取り上げ、国、県、市がしっかり連携できるよう、調整していきたい。
【委員】
それでは、最後に要望する。
一つは、今聞いたゼロメートル地帯防災活動拠点と、道の駅の連携をしっかりとつくってもらうこと、距離は少し離れていると思うが、せっかく国道23号沿いに防災倉庫と防災道の駅があるので、しっかりと連携を取ってもらうよう、BCPの策定等、連携をつくってもらいたい。
もう一つは、ゼロメートル地帯広域防災拠点というのが、さきの重点事業の説明で4か所ということで、そのうちの一つが豊川橋の料金所跡地であり、あとの二つが愛知県の西部、弥富市等にあるが、豊川橋、そして豊橋の道の駅がモデルケースとなって、今回は39か所、ほぼ全国1か所ずつ策定をされている。国土交通省が採択しているという形にはなっているが、今後、それが半分や3分の1指定となったときに、道の駅とよはしをモデルケースとして、今度は愛知県の西部にぜひともこういった拠点をつくってもらいたいので、これをモデルケースにしてしっかりと選定できるように、国や市と連携をつくってほしい。
【委員】
まず、災害時のペット同行避難対策について伺う。
環境省の調査によると、2011年の東日本大震災では、津波によって人命のみならず、多くのペットも被災し、福島県では約2,500頭の犬が犠牲になった。命は助かっても飼い主と離れ離れとなり、放浪状態となった犬も多数いたということである。
また、2016年の熊本地震に関しては、ペットを連れて避難してきたものの、屋内への受入れが拒否されたために、ペットだけを家に置いて飼い主が避難所に戻ったり、ペットと共に車中泊した被災者もいたとする調査がある。
これらのことから、大規模災害時に飼い主が安心してペットと共に避難生活を送ることができる環境はとても大切であると考えている。
昨年度、ペット同行避難の環境づくりに向けて検討するとのことであったが、どのような検討を行ったのか。
【理事者】
県では昨年度、ペット同行避難に関して、他の団体が実施している先進的な取組事例等を調査し、ペット避難専用施設に求められる要素等について検討した。
市町村レベルの先進的な取組として、福島県福島市において、既存の公共施設である勤労青少年ホームの体育館を、飼い主とペットが同じ空間で避難生活を送ることができるペット同伴者専用の避難所として活用する事例、また、熊本県熊本市では、動物関連の専門学校を運営する学校法人と協定を締結し、ペット同伴者専用の避難所として活用する事例などがあった。また、本県の犬山市においても、昨年12月から市内3か所の避難所を、ペット同伴者専用の避難所に位置付けている。
これらの事例からは、ペット専用の避難所にとって重要な要素として、住民から広く認知されている公共施設等の活用、広い駐車場の確保、水道をはじめとしたライフライン確保の容易性などが挙げられること、また、民間事業者と協力する取組については、平時から施設の利活用を含めた検討が必要であることなどが分かった。
これらのことを踏まえて、さらに調査、分析を重ねて、今後のペット同行避難対策を検討していく。
【委員】
この専用施設に対して、新しい取組になることで、ペットの飼い主の人々からも非常に期待の声を聞いているので、進めてほしい。
ただ、その一方で、目の前の災害に対して、やはり不安を抱える声も聞いている。特に6月2日の大雨で、東三河を中心に最大488避難所が開設され、479世帯1,095人が今回避難した。
ペットがどうであったのか、避難所に来たのか、また、来なかった場合の飼い主がどのような避難行動等をしたか、少し落ち着いた段階で、また調査してほしいと思う。
災害時に避難者がペットを連れて速やかに避難するためには、ペットと共に避難できる場所が自分たちの住む地域のどこにあるのか、また、飼い主だけではなくて、運営する地域の自主防災会、そしてその指定をする市町村が、その情報やルールを把握し、共有する必要があると思う。
5月28日には私の地元の中川区の水防訓練があった。動物愛護推進員によるペットの災害対策の啓発活動も行われていた。そこで参加者から話題になっていたのが、指定緊急避難場所と指定避難所におけるペットの受入れについてである。
特に、指定緊急避難場所は、命を守るために災害の危険からまずは逃げるための場所と位置付けられている。いざというときは、ペットと共に指定緊急避難場所へ本当に逃げてもいいのか、行ったときに拒否されることがないのか等々、混乱ができるだけないよう、受入れ側にも、そして飼い主側にも、こうしたことを事前に伝えていく必要があると大きな話題となっていた。
そこで、県として、指定緊急避難場所におけるペット同行避難について、どのように考えているのか伺う。
【理事者】
大規模災害時における住民の避難行動については、まず、発災直後に危険から逃れて身を守るため、指定緊急避難場所に一時的に避難し、その後、危険が収まってから、自宅で生活ができない被災者は、指定避難所において避難生活を送ることになる。
昨年度実施した調査の中で、東日本大震災では、避難の際に飼い主とペットが離れ離れになったことで放浪ペットが発生したり、自宅にペットを留置したまま、飼い主のみが避難したなどの事例があり、こうしたペットは後に行政が保護活動を行うことになることから、避難の過程で飼い主が責任を持って、ペットを連れて避難することが重要である。
このため、日頃からペットの避難について啓発することが重要であり、緊急避難場所についても、避難所と同様、ペット同行の避難について住民に周知するよう、市町村に働きかけていく。
【委員】
ペット避難が可能な避難所については、その運営に携わる町内会の役員や自主防災組織がペットを受け入れることを十分に認識する必要があると思うが、それが十分ではなかったり、また、その必要な知識を身につけていないというケースもある。
京都市のケースを紹介する。
京都市では、ペットの受入れ体制整備のための検討シートというものを作成している。ここでは、各地域のペットの避難頭数や避難所の広さに基づいて、受入れ可能なペットの頭数を推計できるようになっている。
例えば、避難対象世帯数に対し、犬猫の飼育率は20パーセントと推計されている。そのうち、避難割合は10パーセント、つまり、対象世帯の2パーセントがペット避難頭数ということが、過去の災害等の調査で推計されている。
そして、犬猫のキャリーケースはおよそ1平方メートルのスペースに二つほど置くことができるということから、避難所の屋外の駐輪場や倉庫、建物の軒下、テントなどの専用スペースをどれだけ設けることができるか、それによって受入れ可能頭数を割り出すことができ、足りないものや準備が必要なことが見える化するというシートとなっている。
これを基に、関係者が話合って避難所運営のルールを決め、避難所運営マニュアルに反映していこうとするものである。
ちなみに、これを私が住んでいる地域に当てはめると、私が住んでいる地域は学区の中でおよそ6,000世帯ある。6,000世帯の2パーセント、およそ120頭がペットの避難頭数ということが推計される。ただし、現状の私の地元の小学校の避難所、この中のペットの指定場所が屋外で指定されているが、とても120頭受け入れることはできないと思う。
こうしたことを推計する中で、スペースを拡充したり、そのためにテントの備えを増やす必要があり、また、こうしたことも事前に飼い主に知らせていくことで、実際、120頭分の避難の体制を整える、また、飼い主も必要なものを準備していくという、工夫にもつながっていくと思う。
このように見ていくと、ペットの飼い主と避難所を運営する住民の双方がペットの避難について問題意識を持って、常日頃から考えておくことが大切であることが分かる。
そこで、ペットの同行避難に関して、住民に対する日頃からの周知についてどのように考えるか伺う。
【理事者】
大規模災害時に飼い主が安心してペットと共に避難するためには、飼い主と避難所運営に携わる人が、ともに平時からペット避難についてしっかりと意識を持ち、備えておくことが重要である。
県が昨年11月に常滑市で実施した、地震・津波防災訓練、また、12月に豊川市で実施した総合防災訓練において、公益社団法人愛知県獣医師会に協力してもらい、ペットの避難に必要となる資機材の展示や啓発を行った。
また、名古屋市でも各区単位で実施する防災訓練において、ペットショップやペット関連団体の協力の下、ペット同行避難者の受入れ訓練等を行っているほか、ペット同行避難についての日頃の備えや心構えについて、リーフレット等を活用して飼い主への周知を図っている。
県では、愛知県地域防災計画において、避難所におけるペットの取扱いの基本的事項を定め、また、愛知県避難所運営マニュアルでは、避難所のペットの受入れについて示し、市町村に対策を促している。
ペットの避難が可能な避難所については、運営に当たる町内会の役員や自主防災組織が、ペットの受入れをはじめとした避難所運営について適切に認識して、日頃から備えができるよう、防災訓練等のあらゆる機会を捉えて、また、動物愛護関係部局とも連携して周知啓発に努めるよう、市町村に働きかけていく。
【委員】
市町村では、被災者がそこで一定期間避難生活を送る避難所をそれぞれ指定している。南海トラフ地震のような大規模災害が発生すると、多数のペット、飼育世帯が被災し、ペットを受け入れる避難所が必要となる。このため、ペット同行避難が可能な避難所の指定をはじめ、様々な観点からペットの避難環境を整えていく必要があると考える。
そこで、県として、今後どのようにペット同行避難の取組を進めていくのか伺う。
【理事者】
今年度、県の南海トラフ地震等対策事業費補助金において、避難所でのペットの受入れに当たり必要となるテント、間仕切り、ケージなどの整備を新たに補助対象としたので、積極的に補助金を活用して資機材を整備するよう市町村に促していく。
また、今月開催した市町村防災担当課長会議においても、他の自治体における先進的なペット避難対策、県の補助金の補助対象拡大等について紹介した。
今後も、会議や研修会など様々な機会を捉え、市町村に情報提供し、ペット同行避難の取組が進むよう促していきたい。災害時に飼い主が安心してペットと共に避難できる環境づくりに向け、市町村、関連団体と連携して、避難所の環境整備、住民への啓発に取り組んでいく。
【委員】
補助制度の拡充というものがまた一つの広がりのきっかけになると思う。
事前にいざというときに逃げる場所が分かっている、ペットと共に避難生活ができる場所を知っていることが、大きな安心感につながると思う。
市町村の既存の避難所の一部をペット同伴者の専用に特化することや、官民協働で専用避難施設を造っていく取組については、大いに期待している。
一方で、より地域に近い場所で避難できる場所も、並行して準備を進めていく必要があると思う。
そこで、2点要望するが、まずは、京都市で取り組んでいるペットの受入れ体制整備のための検討シートを紹介した。こうしたものもぜひ参考にしてもらい、本県としてもペットの受入れに対してシミュレーションができるようなツールを作成し、各市町村へ展開してもらうようにお願いする。
また、指定避難所におけるペット避難場所の指定も、市町村の施設が当然多いと思う。ただし、指定避難所の中には、県有施設もある。特に私が現場でいろいろ聞いている中では、県立高校も多くの市町にあって、指定避難所に指定しているところもある。
こうしたところもペット避難場所として活用ができるように、防災局からも市町村と連携し、積極的に教育委員会に働きかけてもらい、一か所でも多くペットの受入れをしてもらえる避難場所を増やしてもらうように要望する。
次に、家具固定の推進について伺う。
6月16日に閣議決定された令和5年版の防災白書において、家具等の固定について、全国調査では2022年は35.9パーセントとなり、2017年の前回調査時の40.6パーセントと比べて4.7パーセントの減少となった。
これを踏まえて、まず、愛知県の家具の固定率はどのような状況になっているのか。
【理事者】
本県では、2年に1度実施する防災に関する意識調査において、家具の固定率の状況を把握している。
2021年7月に実施した直近の意識調査の結果は、家具の大部分または一部を固定していると回答した割合は55.6パーセントとなっており、前回の2019年の意識調査時の61.7パーセントと比べて6.1パーセントの減少となっている。
【委員】
本県の家具の固定率は、55.6パーセントとあるので、国の調査結果よりも高い固定率となっている。これは県民の意識が高く、長く啓発をしてきた一つの証しだと思う。
しかし、本県でもこれが減少傾向となっていることは、今報告があったとおりである。
第3次あいち地震対策アクションプランにおいて、家具の固定の促進を重点的に取り組む項目の一つに定めていたと認識しているが、第3次あいち地震対策アクションプランの目標値はどのようであったのか。
【理事者】
第3次あいち地震対策アクションプランの計画期間は、2015年度から2023年度の9年間であり、家具固定の促進を重点テーマの一つに位置付けており、家具の固定率を2023年度までに65パーセントとすることを目標としている。
【委員】
私は平成30年6月の委員会などにおいて、一層の家具固定の取組を求めてきたが、今年度までに家具固定率65パーセントの目標達成については、2021年度の調査結果からすると、大変厳しい状況であると思う。
そこで、今年度は家具の固定を推進するためにどのようなことに取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
これまで本県の家具固定推進の取組としては、家具固定相談窓口の設置、家具固定推進員の派遣、家具固定ボランティアの養成、民間企業と連携したイベントでの啓発、防災教育センターにおける体験講習会の開催などを実施してきた。
しかしながら、2020年度から2022年度にかけて、コロナ感染症の影響により十分に啓発活動を実施することができず、効果を上げることができていなかった。
今年度はコロナ感染症が5類に移行したことにより、イベント等の制限がなくなったので、これまでの取組内容をコロナ前の水準まで戻すことを目指して啓発活動を行っていく。
【委員】
以前から、公営住宅が賃貸住宅であったとしても、長く住む方が多いことから、公営住宅を対象に家具固定のキャンペーンを実施したらどうか、実施してほしいと要望してきた。そうした質問に対し、当時、今後検討していくと答弁があった。
そこで、公営住宅、県営住宅における家具固定推進の取組については、どのように進めてきたのか伺う。
【理事者】
県営住宅への啓発については、2019年度から毎年、防災安全局が作成した家具固定の啓発チラシを、県住宅供給公社を通じて、県営住宅の入居者を対象に、各住宅の連絡員にお願いして各戸へ配布しており、今年度も引き続き実施していく。
【委員】
コロナ禍によってイベントの取りやめなどで思うような啓発ができなかったことは理解している。
しかし、これから5類移行により、元に戻すのではなく、これまでのブランクを埋める取組が今後は必要であると考える。
そこで、家具の固定をさらに推進するため、今後の取組について伺う。
【理事者】
家具の固定については、命を守る取組として各家庭で身近に取り組むことができ、かつ、費用対効果が高く、大変有効な防災対策である。
しかし、県民意識調査を見ると、家具固定を行わない最も多い理由は、手間がかかる、面倒だからとなっており、家具の固定に対する県民の意識を変えていくことが重要であると考える。
このことから、家具の固定のさらなる推進を図るため、現在、国において検討されている南海トラフ地震防災対策推進基本計画の見直し等の動向も踏まえて、個人の意識高揚や行動変革につながる取組について検討していく。
【委員】
最後、要望するが、今、家具の固定が55パーセント以上、最大で61パーセントまで行ったことがあるということである。
さらに、現状から10パーセント増を目指していくとあるが、つける意識があり、家具の固定をするという人は、ほぼしている。ここから先は、手間がかかるとか面倒だという人々をどう設置してもらうのかになると思う。
そういう観点で考えると、実効性を高めていくためには、アウトリーチ型の啓発というものも必要であると思う。
名古屋市は、消防や区役所の職員による全戸訪問を目指す取組を始めている。コロナ禍で途中、中断されていたが、今月から再開した。今回、地元中川区の野田学区がモデル地域となっている。私の家でも職員が家庭訪問に来た。
そこでは防災力調査として、寝室の家具等の転倒防止、消火器等の設置、感震ブレーカーの設置、住宅用火災報知機の設置、火災報知機の定期的な動作確認、この5項目の調査を行うということである。そして、この調査に答えると、家具転倒防止器具や、消火スプレー、感震ブレーカー等の防災用品がもらえる。
その場で家具留めの設置の具体的な相談や補助制度等の話になって、そのまま設置へ直結する家庭も多いと聴いている。また、家具留めができなくても、寝室については、倒れてくる家具を置かないなど、一番無防備となる寝る場所の安全性の確保を周知している。このように、啓発の効果は目に見えてある。
その一方で、人海戦術のため、どの地域でもできるわけではない。
そこで、要望であるが、こうした訪問型の周知・啓発について、県営住宅は効率がよく訪問ができると思う。
今、県営住宅にチラシを配布してもらっているが、このチラシ配布だけではなくて、地元自治体と連携して、訪問型で補助制度や設置支援等、モデル的に実施してもらえるように検討してもらいたい。
【委員】
6月2日に起きた大雨に関連して、災害救助法の適用について伺う。
豊川市でも、全壊家屋の倒壊箇所において土砂災害の危険性があるということで、災害対策本部、豊川市、そして愛知県にも設置をしてもらいながら、人的な支援を行っていることに感謝する。
今回の6月2日の大雨の特徴として、本県では、24時間の降水量が豊橋市では419ミリメートル、蒲郡市では343.5ミリメートルに達して、観測史上最多となる記録的な大雨になった。
東三河地域は東西に大きな道路が3本通っている。新東名高速道路、東名高速道路、そして国道1号というこの3本の道路網が通っている中で、2日の大雨は、東名高速道路及び新東名の高速道路も通行止めになり、車に乗っている人が途中で下りたと聞く。
西から東に向かって行くときに、例えば、岡崎インターで東名高速道路を下りた人は、国道1号で東に向かって行くが、国道1号も豊川市内白鳥地域、また、宮下地域で通行止めになっている中で、2日の夕刻、2回目の降水、線状降水帯が来たとき、本当に豊川市内の道路網がパンクしていた。
国道1号も通行止めになっており、側道に逃げていくわけである。側道へ逃げていく状況下でも、県の管理河川ということで、越水等の影響で冠水しているところもありながら、特徴的なのは、県外の車の人も冠水して、地域の市民館に避難したことであったり、ふだん夕方、帰路に就くときに、10分から20分で家に着く帰路の人が、4時間から5時間かけて家に着いた、また、豊川市の中心の市民病院のところから隣の豊橋市に帰ろうとしたときには、途中、帰ることができずに中学校の体育館で避難し、次の日の朝まで避難の時間を経過したと話があった。
2日の夜という状況下で、被害状況を確認することは、大変困難な状況であったと思う。避難を確認するのも、車で移動もすることができなかった。また、避難に行く人にとっても生命に関わることであるので、本当にそこに確認しに行くことがいいことなのかということも、課題の一つと感じた。
この被害状況も、次の週のときには床上浸水の数字も、豊川市は1週目より2週目のほうが増えながら、現在は250件以上が豊川市は床上浸水であり、また、愛知県全体の農業被害額も、第1週目で報告を受けたときには、約13億円であったと思うが、翌週には3倍にまで膨れ上がり約39億円になり、今回、68億5,000万円という数字になった。
こうした大きな被害を受けた6月2日の大雨であるが、このような中で、災害救助法の考え方について伺う。
災害が発生し、又は発生するおそれがあるときに必要な救助を行って、住民の保護を図るため、災害救助法という法律があると聞く。
記憶に新しいところでは、平成12年東海豪雨、平成20年の8月末豪雨で被害の大きかった市町村に適用された。
今回、結果的には、6月2日の大雨には適用されなかった。
災害救助法の適用については、災害救助法施行令の第1条に基準が定められており、まず、第1号の基準として、各市町村の人口規模に応じた数の住家の滅失があった場合に適用され、この住家の消失の数を床上浸水の数に換算すると、被害が大きかった豊橋市や岡崎市では450世帯以上、豊川市では300世帯以上の床上浸水があった場合に、災害救助法が適用される。
また、第4号基準があり、多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合で、内閣府令に定める多数の者が避難して、継続的に救助が必要とするという基準に該当するときに適用される。
今回、県東部において、2度にわたり線状降水帯が発生するなどして記録的な大雨となったが、県や市町村、特に豊川市及び豊橋市では、災害救助法の観点からどのような状況にあったのか伺う。
【理事者】
今回、愛知県では、6月2日の朝から災害の発生に備え、愛知県災害対策本部を設置して、被害情報の収集に当たっていた。
2日の夕方から3日にかけては、線状降水帯が発生するなど、東三河地域を中心に雨が強くなる中、県では豊橋市及び豊川市と連携して、被害状況の把握に努めていた。
3日朝に内閣府から県内の被害状況について問合せを受けた時点では、豊橋市及び豊川市ともに、夜の時間帯には、住民への避難広報や、河川の巡視等の応急対策に優先して従事していたことから、災害救助法の適用に先立って国との事前協議に必要となる定量的な被害把握ができない状態であり、内閣府にもその旨を報告していた。
【委員】
2日の夜というのは、なかなか状況確認することが難しい状況であり、その後、日が明けて、雨も収まりながらという中で、まだ国道1号等は麻痺した状況であったが、宮下のところも冠水した状況であり、車がそちらに入ってしまったところは、道路の真ん中や歩道にも乗り上げたような状況で車両がところどころに止まっている状況が豊川市内の雰囲気であった。
その中で、時間とともに被害状況を確認できるような状況になりつつある中で、上空からの映像などからも、広い範囲にわたって道路や民家の周りが浸水している状況や、車両の状況も確認できたと思う。
そのような状況の中で、なぜ豊橋市や豊川市に災害救助法が今回適用されなかったのか。
【理事者】
災害救助法の4号基準が適用されるのは、内閣府令にある多数の者が継続的な救助を必要とする場合である。
豊橋市では、夜が明けると徐々に避難所から自宅に帰る方が増え、3日午前7時30分の時点では、最大で182人いた避難者が40人となり、その後も減少が見込まれた。
また、豊川市では、3日午前6時19分に避難指示が解除され、同時に、避難所も2か所を除き閉鎖されるなど、最大で351人いた避難者は40人にまで減少し、こちらも同様に、その後、減少する見込みであった。
以上のことから、豊橋市、豊川市のいずれについても、継続的な救助を必要としない状況と認識しており、4号基準による法適用は見込めないと判断したため、災害救助法を適用しなかった。
なお、1号基準を満たす住家被害が発生しているかどうかを確認するための定量的な被害は、その時点では判明していなかった。
【委員】
今回の災害対応に当たって県と市町村でしっかり連携できていたのかをまず聞きながら、災害救助法を適用する前提となる被害情報の収集について課題はなかったのか伺う。
【理事者】
今回の大雨では、東三河方面本部から豊橋市及び豊川市に、また、西三河方面本部からは岡崎市に職員を派遣し、県と市で一体となって災害対応に当たり、連携できたと認識している。
一方で、災害救助法の適用に際しては、応急的に必要な救助を行うという法の精神に基づき、内閣府令において多数の者が継続的に救助を必要とするという指標が定められていることから、概数でもよいので速やかに、おおよその被害状況を把握することが必要である。
被害情報の収集は、国に災害救助法適用のための事前協議を行う上で必要となる発災直後の定量的な被害を把握し、国、県、市の間で共有することが、今後の災害対応を進める上で大変重要であるとの教訓が得られた。
【委員】
今回の水害により被災された人々、僅かこの1日の間に降った大雨によって大切な生命、財産を失い、それまでの当たり前の日常生活を失ってしまった。
被災地では今、関係機関はもちろん、ボランティアの協力も得ながら、復旧に向けた取組が進められている最中である。被災者が元どおりの生活を取り戻すための道のりは平たんなものではない。
本県は、今後、南海トラフによる大きな地震を予測している中、大規模災害時には国、県、市町村はもとより、関係機関が一体となって対応に当たる必要があると考える。広域の地方公共団体である我が県として、市町村とよく連携、調整してもらい、市町村の防災活動の実施を助けてほしいと思っている。
そこで、今回の災害における教訓を踏まえて、今後、県としてどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
被災者に対して応急的に必要な救助を行うため、タイミングを逃さず、的確に災害救助法の適用を判断することは極めて重要である。今回の教訓を踏まえて、応急対策を迅速、的確に進めるため、国との間で災害救助法の適用に関して、既に意見交換を行っている。
この意見交換の結果については、市町村に伝達し、情報を共有して今後の対応に生かしていきたい。また、市町村の意見を聴きながら、法適用を判断するきっかけとなる情報について整理し、共有していくことも必要と考えている。
大規模な風水害が見込まれるときなど、市町村に対して法適用を視野に入れた被害情報の報告について事前周知して注意を促すとともに、切迫性が高まった場合には、あらかじめ市町村の責任ある立場の職員と直接協議ができるよう、役割の明確化に努めていきたい。
さらに、今後、災害救助法の適用も加味した訓練の実施についても、検討していきたい。
【理事者】
先ほどの大雨に関する説明と重なるが、一般社団法人日本自動車連盟中部本部・愛知支部、そして全日本高速道路レッカー事業協同組合が協定に基づいて放置車両のレッカー移動を実施してもらったことにより、災害応急対策、これがより一層迅速に実施できた。
こうして迅速化が図られたこの取組に関しては、本県では2事業者に加えて、愛知レッカー事業協同組合とも協定を結んでおり、三つのレッカーの関係の協定を実際に組ませてもらっているが、平時からレッカー事業者の協力をもらい、具体的には、東三河、知立、一宮の各建設事務所において、昨年度だけでも3回、道路啓開に係る放置車両のレッカー移動訓練を実施してもらっており、この訓練を通じて県と団体が災害に備える意識、あるいはお互いの役割というものを共有していたからこそ、発災後の速やかな連携、あるいは対応につながったと考えており、改めて感謝するが、こうした事例からも、やはり災害に備えて平時からお互いに顔の見える関係を構築し、さらに、お互いの役割を共有していくことの重要性、これが改めて認識させられた。
今回の災害救助法の適用については、特に、災害救助法の適用も加味した訓練、先ほどのレッカー訓練と同様に、加味した訓練の実施についてしっかりと検討して、平時から、日頃からより一層、県と市町村が連携を深めて、顔の見える関係を構築し、災害に備え、お互いの役割を共有していきたいと考えている。
これから本格的な台風シーズンを迎えるに当たり、県民の生命や財産をしっかりと守るために、県としても引き続き市町村としっかり連携して、取り組んでいきたい。