委員会情報
委員会審査状況
総務企画委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月4日(金) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
今井隆喜、日高 章 正副委員長
水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等
<付託案件等>
〇 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第2款 総務企画費
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
3 休 憩(午後2時35分)
4 再 開(午後3時30分)
5 一般質問
6 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業費について伺う。
令和6年6月定例議会総務企画委員会において、消防学校エリアの補正予算について、私と委員から質問した。その際、委員の質問に対して、防災公園について、事業者ヒアリングを継続して迅速に作業を進めるという答弁があったが、その答弁を受けて、今定例議会へ補正予算案の提出があったものだと考えている。事業者ヒアリングの結果、どうであったか。
【理事者】
民間事業者に幅広くヒアリングしたところ、市場については、鉄骨や鋼材の価格は緩やかな上昇、または横ばい、生コン等資材運搬費が上昇傾向にあること、2024年問題の影響により人手が不足、人件費が上昇といった状況が確認された。
また、公園については、設計段階から運営会社が参加しないと後からの調整が難しい、開業前の研修など開業準備期間が必要との意見や、事業単位が分かれたことで参入のハードルが下がったとの意見があった。
【委員】
大体予想できたヒアリングでもあったと思う。
ここで得られたものというと、公園については、設計段階から運営会社が参加しないと後からの調整が非常に難しいことや、事業単位が分かれたことで参入のハードルが下がったという意見は、これから進めていくに当たって、実のあるヒアリングになったと思うが、ヒアリングを踏まえて、今回のBTO方式及び一部工事を県発注としたのはなぜか、理由を教えてほしい。
【理事者】
現在の市場では、収益性や市場の動向が先行き不透明である中、従来考えてきたコンセッション方式では参加が難しいという経営判断が働きやすい状況にある。そのような中、防災公園の事業方式としては、運営、維持管理までを見据えた民間ノウハウを設計段階から反映することができ、安定的な運営や事業コストの削減が期待できるBTO方式を基幹としつつ、造園土木工事については県が直接発注することとした。これにより、運営維持管理に関する創意工夫を設計に生かすことができるとともに、工種が整理されることにより、より多くの事業者の参入を容易にすることができるものと考えている。
【委員】
市場の不透明性を理由に、事業方式を変更したとのことだが、これは、計画の甘さを示しているともいえる。当初からリスクを適切に評価し、柔軟な事業方式を検討すべきだったと指摘する。
先ほどの説明では、工種を整理するとのことであるが、防災公園の整備にはどのような工種があるのか。
【理事者】
防災公園の整備には、屋内運動施設と公園管理事務所の建築工事、多目的広場や駐車場等の造園土木工事という複数の工種にわたる。
【委員】
簡単に言うと、建築工事と造園土木工事に分かれており、その中でも複数に分かれるのだと思うが、工種を整理するとどういった効果が期待できるのか。
【理事者】
工種を整理し、造園土木工事を県が直接発注することで、設計建築工事、運営維持管理を受注できる事業者であれば入札することができるようになり、複数の工種を一括して発注するよりも参入が容易になる。
防災公園全体の設計と運営維持管理は同じ事業者が行うため、運営維持管理を見据えた事業コストの削減や、運営維持管理に関する創意工夫を設計に活かすことができるといったBTO方式のメリットは維持することができる。
【委員】
工種を分離することで参入障壁を下げる狙いは理解できるが、同時に、全体的な一貫性や効率性が損なわれる可能性がある。
建築工事と造園土木工事のうち、県が造園と土木工事を直接発注する理由を教えてほしい。
【理事者】
設計完了後、県が工事を直接発注する際には、入札等の手続におおむね半年の期間が必要となる。この期間を踏まえると、造園土木工事を直接発注した場合は、設計完了から工事完了まで入札手続で約半年、工事期間約1年半で約2年かかるのに対して、建築工事を直接発注した場合は、入札手続約半年と工事期間約2年で約2年半必要になると見込まれている。そうしたことから、拠点の早期整備のためにも、設計完了から工事完了までの期間がより短い造園土木工事を県の直接発注としたい。
【委員】
基本的には、工期短縮が一つの理由かと思う。ただ、直接発注によるコスト増や管理の複雑化も十分に考えていかなくてはならないと思う。
県が直接発注する造園土木工事の受注事業者と、建築を担当するPFI事業者が同時期に工事を進めることになるため、現場が錯綜することが非常に懸念されるが、工程管理はどのように行っているのか。
【理事者】
拠点全体の設計、工事監理はPFI事業者が行うことを想定している。PFI事業者は、設計時から同時期に複数の工事が実施されることを踏まえ、県や関係機関と協議、確認及び連絡調整を行い、工事着手前には実施体制や工事工程等の内容を含んだ施工計画書を作成し、工事の進捗を管理していく。
県としても、内容を確認し承諾を与えるとともに、定期的に工事管理状況を県に報告するなど、適切に工事が実施されるよう監視していく。さらには、定期的に連絡会議を開催するなど、工事が円滑に進むよう積極的に調整を行う。
【委員】
様々な役割分担を説明してもらったが、実際の現場は混乱が生じ、責任の所在が不明確になると思う。リスク対策は具体的にあらかじめ考えておくべきだと思うため、しっかり行ってほしい。
続いて防災公園は、今回、BTO方式で整備していくとのことであり、BTOは、ビルド、トランスファー、そしてオペレートだが、Oのオペレートは何をするのか。
【理事者】
BTOのOのオペレートでは、長期にわたる契約による安定的な運営の下で、主に公園施設の利用受付や予約管理、利用料金の収受、保守管理や保安警備を行うほか、憩いとにぎわいの場としてふさわしいスポーツ等の各種イベントの企画運営や、それらの広報等を包括した業務内容を予定している。
【委員】
平時の利用になると思うが、施設利用料の収受、予約管理や利用料金の収受を行うとあるが、単に徴収代行していくと、業者があまり努力しなくなる可能性もある。
豊橋市でも、こういった形で料金徴収だけPFI方式の中で行った場合に、PFI業者が全く努力しなかった施設の事例を自分も経験してきた。このため、事業者が努力するよう、施設利用料の取扱いは大事になってくると思うが、どのように考えているか。
【理事者】
従来のBTコンセッション方式においては、事業の運営維持管理による利益は、一定額を超過しない限り事業者の収益とすることで、事業者の企業努力を促すこととしていた。今回、BTO方式に事業手法を変更することに伴い、この手法に相当する事業者の企業努力を促す仕組みや方策についてアドバイザリー業務の中で検討し、要求水準書に盛り込んでいきたい。
【委員】
次に、消防学校について伺うが、消防学校の日常業務はある程度決まっていると思う。逆に運動施設は自由度が高い。消防学校と運動施設、いわゆる公園は、平時はそれぞれの管理者が運営していると思う。消防学校の管理業者と公園の管理業者は、平時においてどのように対応し、双方がどのような連携を取っていくのか。
【理事者】
令和6年6月補正予算により、第1期として整備を進めることとした消防学校の平常業務においては、電気工作物の保安監視業務、清掃業務、リネン交換業務、食堂業務や建物等の保守管理や保安警備業務などを包括した業務を消防学校のBTOの部分で実施することを想定している。
消防学校の施設管理の総括は県が行うことを想定しているため、平常時における公園管理事業者との調整は、消防学校に常駐する県職員を介して行うことを考えている。
【委員】
説明のあった平時は、基本的に大きな過失や大きな事件につながることはあまり無いと思う。しかし、その中でもやはり、しっかりと連携を取りながら運営することは大事だと思うが、一番大事なのは、災害時の役割分担をしっかりと行うことである。
そこで、災害時にはどのような役割分担を果たすのか、また、事業単位が分かれたことで、学校と公園の指揮系統も分かれてしまうが、災害時にはどのように対応するのか。
【理事者】
災害が発生した場合、公園事業者は、公園利用者の避難誘導や安全確保、施設整備の被害状況の確認及び応急処理などを行い、県に公園施設を引き継ぐことを考えている。その後は、県が自ら消防学校を中核に一体的に拠点を運営していくため、事業単位が分かれたことで指揮命令系統が分かれることはない。
なお、災害時において防災拠点を迅速に立ち上げ、機能させていくために、県と事業者との間で被害状況の把握や拠点の立ち上げ訓練などの定期的な実施を想定している。
【委員】
事業者との間で被害状況の把握、拠点の立ち上げ訓練を定期的に行うとのことだが、指揮系統の複雑化や情報伝達の遅延が訓練の中でも出ると思う。そうした中で、リスクへの対応、対策をしっかり検討してほしい。
次に、アドバイザリー契約の内容について確認する。まず、前提として、令和6年6月補正予算に計上した消防学校のアドバイザリー契約について、現在の進捗状況を伺う。
【理事者】
消防学校のアドバイザリー契約は、7月11日に契約した後、構造が類似している建築実績の調査や設備系の見積りを徴収するなど事業費の検証を行っているほか、事業内容の見直し案を基に複数の事業者との意見交換を行うなど、マーケットサウンディングを実施している。加えて、要求水準書などの公募手続に必要な書類の見直し等を現在実施している。
【委員】
では、今回の令和6年9月補正予算に計上されている防災公園のアドバイザリー契約の業務内容について、何を予定しているのか伺う。
【理事者】
PFI事業者の選定手続を進めるに当たり、事業費の検証やマーケットサウンディングの実施、公募手続に必要となる資料作成についての支援を委託するものである。
【委員】
事業費の検証を行うとのことだが、例えば、資材や人件費は高騰していくのだろうという状況は分かり、防災公園や消防学校は共通のものだと思う。消防学校のアドバイザリー契約は先ほど確認したが、その辺りから得られた情報は、防災公園にも活かせると思うが、その点についてはどうか。
【理事者】
人件費に関する指標など、消防学校と防災公園に共通するものについては、さきのアドバイザリー業務で得られる積算を生かしたいと思う。
そのほか、消防学校と構造等が異なる公園施設は、これまでの業務で得られた積算を基礎として活用しながら、その後の物価動向を分析するなど、厳しい市場環境における価格動向を検証していく。
【委員】
共通するものは、しっかりと生かしてもらいたいと思うし、異なる公園施設は、さらに検証を進めてもらいたいと思うが、日常利用の多目的広場や屋内運動施設は、今まで実施したマーケットサウンディングにおいてしっかりと調査し、整理されてきたと思うが、施設の配置や内容は変わらないと思う。
その上で、さらなるマーケットサウンディングが必要なのかと思うが、見解を教えてほしい。
【理事者】
これまで考えてきた施設の内容や配置を前提としてマーケットサウンディングを行っていく。アドバイザリー業務で蓄積した事業者のノウハウに関する知見を生かしながら、事業単位や事業手法の変更を踏まえて意見交換を行い、参入が可能かどうか、あるいは手法を見直したことによる新たな納付の提示がないかを調査していく。
【委員】
今の答弁内容だと、今回の委託事業で事業費検証、あるいはマーケットサウンディングの部分のウエイトは小さいと思う。今回実施するアドバイザリー契約において、これまでのアドバイザリー契約や、さきの消防学校のアドバイザリー契約に加えて、行わなければならない業務は何か。
【理事者】
公募手続に必要な資料作成を予定している。事業単位を分け、事業手法を変更したことにより、これまでのアドバイザリー業務で作成した要求水準書等の関係部分を切り分け、今回の事業手法であるBTO方式、一部工事兼直接発注に向け、より詳細で具体的な要求水準書として新たに整備していくものである。
その際には、県の防災公園と並行して整備が進むことが見込まれる、豊山町の事業と連携できるように整備を進め、町と協議しながら、可能な限り要求水準書に盛り込んでいく。
【委員】
全体的に話を聞くと、事業も様々に分かれている。特に平時は連携といっても緩やかなものであると思うが、災害時にどのように対応していくのかは、非常に重要であるため、訓練の中で出てくる問題点を拾い上げて、この場合はどうしたらいいかを個別にやってほしい。
これから豊山町の事業とも連携していくとのことであるため、本当に連携が続くことになる。連携の中でそごが生じないように対応されるよう、期待する。
【委員】
私からも愛知県基幹的広域防災拠点の整備について質問する。
令和6年6月定例議会では、消防学校の部分が議題となり、早期に第1期目として整備することについて議決されたが、今回は防災公園とのことで、拠点の整備、第2期の工事となる。今年は元旦から巨大地震が発生した災害の年であると思っている。防災安全局長の発言にもあったが、大雨の被害もあり、8月8日には宮崎県日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、日本で初めて南海トラフ地震臨時情報が出された。本県にも知多半島、渥美半島という半島がある。地形や大きさ、成り立ちなどは違うが、海沿いに住む人からすると、南海トラフが起きたときは確実に津波が来て、巨大な被害、相当な被害が及ぶだろうと思う。そういう人からすると、内陸部の被害が少ないであろうと思われる、基幹的広域防災拠点の大切さを身に染みて感じる。
それを踏まえて、今の委員の質問のやり取りを聞いても、まだ少し不安を払拭できない。
防災拠点は、県が責任を持って公設公営でやるのが本来の姿ではないかという思いが私の中にもまだ残っている。ただ、現在、民間の資金力を使って良いものを整備していくという、全国的な流れであるため、受け入れてきたが、今年の初めから災害の大きさを感じ、先日も災害時に命懸けで被災地を助けようと現場に赴いた自衛隊の施設を見学するとともに、以前、総務企画委員会に所属した際には、東京湾臨海部基幹的広域防災拠点の視察を行った。拙い知見だが、そういったところの話を聞くにつれ、心配が募るのだが、防災拠点をPFI方式で整備した事業で、災害時に防災上の拠点として運用していくような場所が、日本にあるのか。
【理事者】
神奈川県横浜市の横浜文化体育館再整備事業では、BTO方式により、同施設を帰宅困難者の一時待機施設や救援物資の集配拠点として活用するよう整備し、本年4月から供用を開始した。同じくBTO方式を採用した、兵庫県西宮市の西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業では、当該施設を自衛隊等の応援部隊の活動拠点や避難所として活用することを想定して、整備が現在進められている。
【委員】
神奈川県と兵庫県に一つずつとのことだが、これは神奈川県も本年4月から供用開始で、本当の大災害で使われた施設ではないものの、2拠点あるとのことである。
災害時は行政が占有して防災拠点として使用するのだと思う。先ほど、災害時のための訓練を行うという話もあったが、防災公園という災害時にシビアなやり取りを行う場所を、PFI方式で運営したいという民間事業者がそもそも出てくるのか。
【理事者】
災害時には拠点として運用するため、一定期間、収益事業ができなくなるという特殊性がある。これまで考えてきた収益性を前提として運営するBTコンセッション方式では、厳しい環境も相まってハードルが高まる。
一方、従来型のBTO方式であれば、ヒアリングの状況から特殊性を織り込んだ上で参入意欲が見込めるものと判断した。
【委員】
以前のBTコンセッション方式では厳しいが、今のBTO方式であれば見込めるのではないかとのことであるが、前提として考えてほしいのは、これは防災拠点の整備であって、本来運動公園とか屋内運動施設は、比重がどちらも重く、メインは防災拠点の整備である点をしっかりと打ち出すという、見極めが本当は欲しい。
先ほどの委員の質問にもあったが、工事に関して今回、県発注の部分とPFIが整備する部分が混在することになるが、こうした事例は今まであるか。
【理事者】
施設を整備する場合、状況に応じてPFI事業と直接発注を組み合わせて実施する手法もある。群馬県前橋市の前橋市新設道の駅整備運営事業では、カフェ、コンビニエンスストア、温浴施設をBTOの独立採算型で整備するとともに、観光案内所や駐車場、芝生広場などは、PFI事業者が作成した基本計画に基づいて市が直接発注し、運営をPFI事業者に委託している。
本県でも、スタートアップ支援拠点整備等事業において、建物はBTコンセッション事業者が建築し、建物内の展示スペースの展示物は、県が別途発注して工事を実施した。
【委員】
今、事例を答弁してもらったが、そもそも、整備するのは基幹的広域防災拠点である。通常時に普通に運営できる施設とは違うものを整備する中で、例があるのかを知りたかった。また、県発注とPFI事業者が整備するものが混在すると、工事の中で意思疎通がうまくいかず、様々なトラブルが起こると思う。県発注の部分を請け負う事業者からは、PFI事業者と比べて、下請ではないという意識が出てきて、無理なことを言われても、反発しかねないことを考えると、不安であるため、事業者にも、県民の命を守るための防災拠点の整備であることを意識してもらえるよう、前面に打ち出してほしい。
また、この方式でよいのかという不安を拭えず、建設材料とかや物価上昇の先行きがどうなるか分からず、見通せないのが現状だと思う。内閣総理大臣の一言で株価も変わり、円高、円安も、現在、相当振れている。この先どういった経済状態になるか分からない局面で、県が発注する方が、積算から工事まで確実に短く済み、事業費の乖離も少なくなるのではないかと思うが、どうか。
【理事者】
設計後に発注する直接発注方式と、設計前に発注するPFI方式を比較すると、発注から着工までの期間が短い直接発注のほうが事業費の乖離は少なくなると思う。
一方で、直接発注でもPFI発注でも、物価の変動に対してはスライド条項を設けていくため、もともとの事業費の設定やスライド条項の発動の基準日が適切に設定されていれば、最終的に事業者に支払われる契約金には差がない。
【委員】
当初のスケジュールから遅れているのが大前提であるため、これ以上不落等が原因で遅れることがないよう、しっかり進めてほしい。
改めてスケジュールについて、防災公園のスケジュールそのものはどのようになっているか。
【理事者】
今回の補正予算が議決された後に、本年10月から来年1月にかけて事業費の検証、マーケットサウンディングを行い、4月に実施方針の公表、7月に入札公告を行う予定である。その後に落札者の決定、特定事業契約の締結及び手続を進め、設計、建設、開業準備で3年を確保し、2029年度上半期の完成を目指している。
【委員】
これ以上遅れることがないよう、しっかりと進めてほしい。
委員の質問にもあったが、防災公園の南側に整備が予定されている豊山町事業の進捗状況はどのようになっているか。
【理事者】
豊山町は、防災公園の南側に、アリーナ及びにぎわい施設からなる、臨空第2公園の整備を予定している。整備内容は、基本計画案として取りまとめられ、先月パブリックコメントが実施された。
【委員】
豊山町事業の進捗状況を踏まえて、豊山町事業とどのように連携して事業を進めていくのか。
【理事者】
県は、豊山町事業の検討と並行して、今後、第2期の防災公園の整備に向け要求水準書の内容を整理していくため、豊山町事業との間でどのように相乗効果を高めていくか、そして、平常時においても災害時においても、どのような連携ができるかをしっかりと検討していきたい。また、その内容については、豊山町議会や、地域住民にも適宜丁寧に説明を行い、理解を得ながら進めていきたい。
【委員】
地元の豊山町と連携して丁寧な説明を行い、うまく事を運んでほしい。豊山町と連携していく中で、先月、県の発表で、基幹的広域防災拠点の用地の取得に関して、用地調査や物件調査の委託事業者が管理するサーバーに対して不正アクセスがあり、個人情報漏えいの恐れがあったことが発表された。これはシビアなことだと思う。用地調査、物件調査したところの情報がもしもということになれば、豊山町との関係に少しひびが入らないか、影を落とさないかが、非常に心配であるが、どのような状況か。
【理事者】
この事案については、本年9月12日に、県の公共事業に関わる用地や物件の調査を受託している柴山コンサルタント株式会社が管理するデータサーバーに第三者から不正アクセスがあり、個人情報が漏えいした恐れがある旨を愛知県建設局が取りまとめて記者発表したものである。同社の委託元の一つとして、基幹的広域防災拠点の用地取得に係る事業も含まれていた。
この事案は、同社がデータを管理するサーバーの一つに対して第三者からの不正アクセスがあったもので、愛知県警察で被害届を提出した上で、同社が調査を進めていた。調査の結果、県の公共事業に関わる用地や物件の調査対象などの名前や電話番号、住所などのデータを保管するサーバーには直接不正アクセスはなかったが、被害を受けたサーバーと同一のネットワーク上に接続されていたことから、県としても対象者に注意喚起するために記者発表を行った。
【委員】
記者発表後、現時点で個人情報漏えいは確認されたのか。
【理事者】
現時点では、個人情報が漏えいした事実は確認されていない。
【委員】
現時点で確認されていないと安心したが、こうした問題は非常にシビアで、信頼関係が壊れるのは、こうしたことが始まりになるかと思う。今後、豊山町の事業と連携を図っていく上で、しっかりと再度信頼関係を築き、民間業者任せにせずに、責任を持って事業に取り組まれることを要望する。
【委員】
第128号議案、令和6年度愛知県一般会計補正予算のうち、愛知県基幹的広域防災拠点整備事業について伺う。
事業内容について、第2期工事として、災害時には自衛隊等、これは消防、警察になると思うが、ベースキャンプ用地や支援物資の受入れ・供給に必要な物資ターミナルの役割を果たす防災公園の整備及び運営を行うためのアドバイザリー契約を締結し、事業者の選定を行うものであるかと思う。
もともと防災公園、消防学校の整備を設計・施工・運営を民間の知見を期待して一括発注する計画であったものが、入札の不調、不落となって事業単位や手法を見直し、今回、防災公園部分について、より参入がしやすいように建築工事と造園土木工事を分離発注するとのことであり、屋内運動施設など建築工事を含め、県が直接発注すれば、より工期が短縮できると理解した。このことについて、なぜ一部県が分離発注することに変更したのか。
【理事者】
防災公園の事業方式としては、運営維持管理に関する創意工夫など民間ノウハウを設計段階から反映することができ、安定的な運営や事業コストの削減が期待できることからBTO方式を基幹とした。
建築工事については、工事着工から完了まで約2年の期間を想定しており、BTO方式の対象とした場合、県が直接発注する場合と比較して入札手続に必要な約半年の期間が不要となるため、その分短縮できるものと見込んでいる。そのため、建築工事についてはBTO方式の対象とした。
【委員】
では、造園土木工事を県が直接発注するのはなぜか。
【理事者】
防災公園の整備は、屋内運動施設と公園管理事務所の建築工事、多目的広場や駐車場等の造園土木工事と複数の工種にわたる。工種を整理し、造園土木工事を県が直接発注することで、設計・建築工事の運営管理をできる事業者であれば手を挙げることができるようになり、複数の工種を一括して発注するよりも参入が容易になるものと考えている。
なお、設計については、防災公園全体の設計をPFI事業者が行う。そのことにより、運営維持管理を見据えた事業コストの削減や、運営維持管理に関する創意工夫を設計に生かすことができるといったBTO方式のメリットは維持することができる。
【委員】
全体を設計させて、その一部、造園土木だけを県が直接発注することで、その分だけでも期間が短くなると思う。
今回の事業計画では、建築工事をPFI請負事業者、造園土木工事を県が直接発注して実施するとのことだが、現場では既に、元の平面図を見ると、大山川の洪水調整池、これが地下埋設型であるため、この工事が既に昨年8月から始まっている。さらに今回の工事エリアの中でも、開発行為に伴うものだと思うが、地下埋設型の調整池工事も本年2月から行われている。そして造成工事は、用地買収が終わったところからの造成工事であり、既に三つの工事が重なってスタートしているところに、今後行う建築工事、造園土木工事が上乗せされる。
これらをどのように整理していくのか。一つの元請で全部整理していれば調整できるが、既に三つも工事が発注されており、その上にさらに工事を発注するとなると、大変複雑な工事管理が要求されると思うが、どのように工程管理を行うのか。
【理事者】
現在、用地を取得した箇所から順次、盛土や排水路、調整池の整備など、事業用地としての造成工事を進めている。これらは今後、公園の設計が終わるまでに完了する予定である。建築工事と造園土木工事については、その後に着手するので、今行っている造成工事と錯綜することはない。
建築工事と造園土木工事は、事業時期にかかわらず同時期に並行して行われることとなるが、PFI事業者が工事着手前までに、工事が錯綜することのないよう県と調整の上、実施体制や工事工程の内容を組んだ施工計画書を作成し、着手後は当該施工計画書に基づき工事の進捗を管理していく。
【委員】
地下の工事があったり平面工事があったりと、最終的に建築であれば、基礎工事も行うため、かなりの客土が出てくると思う。その客土を利用して埋め立てるのが一般的な手法だと思うが、無駄がないよう、最大限の努力をしてもらうように要望する。
次に基幹的広域防災拠点における、災害時の拠点指揮運用機能について伺う。
本県では、災害発生時には、災害対策本部を県庁の中に設置し、知事を本部長として被害情報の収集や市町村への支援が行われるが、愛知県基幹的広域防災拠点の拠点指揮運用機能はどのようなものであるか。
【理事者】
基幹的広域防災拠点では、自衛隊、警察、消防などの全国からの応援部隊や、国からのプッシュ型の支援をはじめとする支援物資を受入れ、被災地に送り出すという機能や、広域搬送拠点臨時医療施設(SCU)を設置する機能などを有する。
これらの機能を十分に発揮していくには、発災後24時間体制で部隊や物資を受け入れるスペースの割当てや調整、入退場の許可など、人や物の流れのコントロールや拠点運用に必要となるインフラ、ライフラインの維持などを拠点において自律的に実行していくことが必要となる。そうした拠点運用上の機能を指して指揮運用機能と表現している。
【委員】
校舎の中の一部は、おそらく指揮運用機能になる部屋があると思うため、アドバイザリー契約の中でしっかり取り組んでほしい。
愛知県基幹的広域防災拠点において平常時に行う、イベント、防災ビジネスについて、ここはあくまで防災目的のための公園ではあるが、どのようなものを行うのか。いろいろあると思うが、県として想定しているイベントや防災ビジネスを伺う。
【理事者】
イベントは、防災フェスタや総合防災訓練をはじめ、県民参加型の防災イベントの定期的な実施や、小中学生などを対象とした防災普及啓発や近隣大型施設と連携した合同イベント等の実施を想定している。
防災ビジネスとしては、防災企業展、防災スタートアップ、産業振興、新産業創出の場の提供を想定している。
【委員】
最終的には防災に関わるものであると理解したが、民間事業者は、それ以外にも収益を考えながら検討すると思う。
ここはそもそも、防災目的、消防学校目的であり、行政財産になる。それで、今後設置条例が制定されなければ、県の行政財産になり得ないため、防災から極端に外れるような場所にならないようにしてほしい。県民の安心・安全の拠点であるため、条例制定も十分に検討し、いち早い開業と運営がされるよう要望する。
【委員】
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業について伺う。
先ほど委員から、今後のスケジュールについて質問があった。当初の構想段階では、2026年度中に完成させるという話だったと思うが、早期整備を図ることは非常に重要だと思っている。本会議でも述べたが、災害はいつ起こるか分からないこと、また、このお盆に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)があり、南海トラフ地震も切迫した状況に本県はあることを県民の多くが改めて認識する中で、県民の命を守っていく施設をいかに早く整備を進めていくかが非常に重要になると思う。委員の質問では、この2期の公園事業に関するスケジュールを聞いたが、1期工事と併せて基幹的広域防災拠点になるため、1期工事、2期工事がそれぞれいつ完成し、当初の予定からどのくらい遅れるが、ここまでにはしっかりと完成させるという県の考え方を示してほしい。
【理事者】
消防学校と防災公園をいつまでに整備するのかだが、本県の防災拠点は、県民の生命、財産にとって大変重要な施設であるため、できるだけ早期に整備したい。
まず消防学校は、2028年度中の完成を目指している。防災公園は、それから約半年遅れて2029年の上半期を完成時期として目指していく。
【委員】
当初の構想から何年、どのくらい遅れるのか。
【理事者】
一番最初の構想から考えると、消防学校は3年、防災公園は3年半となる。
【委員】
県民の命を守っていく拠点が3年以上遅れることは、議会としても本当に重く受け止めなければならない。今考えているスケジュールをきちんとこなしてもらわないといけない。これから民間とアドバイザリー契約を結び、民間の提案募集を求めていくとのことだが、また民間の提案募集が不調に終わることがあれば、どうなるのか想定はあるか。
【理事者】
現在、考えている手法は最適な手法と考え、今議会へ上程している。
【委員】
これから整備を進めていく上で最適な手法とのことだが、1度目の不調、2度目の不落、次は3度目の正直になるが、これ以上の遅れがあってはいけない中で、やはり県による努力が必要だと思っているが、アドバイザリー契約を結んで民間提案募集を進めていく上で、これ以上遅らせないために何が必要なのか、そのためにどういう努力を図っていくのか、しっかりと答えてほしい。
【理事者】
不落を受けて、現在、民間事業者に幅広くヒアリングを行っており、その中で、事業者の幅広い参画を促して競争性を確保できる事業単位、手法を検討した。ついては、今回BTO方式に変えたが、そこについては、県がしっかりと要求水準書に思いを書いて、それを民間事業者にしっかりと示し、県が主体性を持って取り組んでいきたい。
【委員】
アドバイザリー契約を結び、民間の提案募集に至るまでの間が非常に重要だと思っているため、県が主体性を持って、考えを反映させていき、これ以上事業に遅れがでないような対応を求めていく中で、先ほどの委員からの質問にもあったように、アドバイザリー契約を結んで、新たな事業を行っていく上で、要求水準書などの見直しにも着手するという話があった。
これについて、大変気にかかる部分がある。昨年の総務企画委員会でも、県外調査等の結果を踏まえて、例えば今回の公園事業の部分は、物資輸送拠点となる屋内運動施設について、岩手県で‟ツガワ未来館アピオ„ 岩手産業文化センターを視察し、応援物資を搬入する入口及び出口と、搬入経路がしっかりと2か所確保されなければいけないことや、屋内運動施設の1階フロア部分に物資をため込み、それが巨大に積み上がっていく中で、物資管理に当たって、1階部分から同じ目線で見ると積み上がってる部分しか見えず、全体の把握ができないため、上部フロアから、物資の全体管理ができるような視点を持てる施設にしてほしいなど、様々な調査を踏まえた、議会、委員会としての意見を県に伝え、県もこれまでの要求水準書の中には、議会の意見もしっかりと踏まえて要求水準書を策定し、民間提案を求めてきたと認識している。
このため、単に要求水準書の見直しを行っていくと簡単に言われると、非常に懸念がある。これまでの議会の意見、調査を踏まえた意見や県が主体性を持って行うべき部分を、今後もアドバイザリー契約を結ぶ中において、どのように考えを反映させていき、堅持していくのか、その考え方を伺う。
【理事者】
これまで議会から様々な意見をもらったが、それらは重く受け止めて、しっかりと要求水準書に明記したい。
【委員】
今話した公園施設の屋内運動施設について、入口、出口と搬入口を2か所確保する考え方や、応援物資を上部フロアから全体管理していくという考え方については堅持していくのか、それとも民間提案募集により、より効率的な方法があれば変えるのか、この2点について事前に伺いたい。
【理事者】
屋内運動施設については、議会から指摘されたことを反映し、出入口を複数設置することや床の耐荷重等についてプランを練った。それについて、今回要求水準書を見直すに当たり、その考え方を変えることはないため、PFIの中のコンセッション方式からBTO方式に切り替わる、方式を変えることで、これまで民間事業者の自由度に任せていた部分をしっかりと書き込むことでそごがないようにしたい。
【委員】
今、防災部長から、これまでの議会の提案はしっかりと反映させていくという考えを聞いた。
先ほどの委員からの質問の中で、県の直接発注とPFI事業者が整備するものが混在するような事例が何かあるのかという問いに対して、群馬県の前橋市の前橋市新設道の駅整備運営事業という話があったが、これは防災拠点とは別のもので方式のことだけであり、これまで議論してきた中での愛知県基幹的広域防災拠点に、今までの概念になかった道の駅ができたりするという考え方はないことだけ確認したい。
【理事者】
あくまで今回整備するものは防災拠点である。先ほどは手法の中での質問であったため、道の駅という形で答えた。
【委員】
先ほどの道の駅は、整備手法の他の事例であり、道の駅というキーワードがあったわけだが、これは別のものだと理解した。
最後になるが、やはりこの事業に対しては、県民の信頼が非常に大事だと思っている。これまで当初予定していたスケジュールよりも3年以上遅れてしまうことに対して、県民は信頼を損ねている部分もあり、先ほどの委員からの最後の質問で、情報漏えいの恐れがあるという懸念についても、県民側からすると不信。特に今回情報漏えいの恐れがあるという部分については、事業地のこれまで連携してきた豊山町に関連する内容でもあるため、この事業に対する信頼を回復しながら、取り戻しながら事業を進めていかなければならないと思っているが、今後の整備の進め方について、県民の信頼を得ながら、また、豊山町との連携を深めることで、地元に対する信頼もしっかり得ながら、県は今後どういう努力を図りながらこの事業を進めていくのか。
【理事者】
これまでの経緯、また、今回の不正アクセスも踏まえて、今後どのように事業を進めていくかについて、私どもも、厳しい市場環境の中とはいえ、事業の完成が当初から3年、昨年度の状況からも消防学校で2年遅れる形に延びていることについて、大変重く受け止めており、そういったことに対してしっかりと事業環境をヒアリングし、最善の手法として本年6月、そして今回議案を提出している。
防災拠点としての効果をできるだけ早期に発揮できるようにしていくことが我々の使命だと思っているため、それができるようにしっかりと、今後、市場環境等の変化も的確につかみながら事業を進め、一つ一つ提案して、議論を進めていきたい。
また、そうした形で事業をしっかりと進めて、防災目的としての効果を十全に発揮させることが、今回貴重な土地を提供してもらった地元の方、また、豊山町関係者に対しても、信頼を回復していく最大の取組だ。
豊山町当局とは、豊山町事業も並行して進むこととなったため、事業の進捗を共有しながら、一体的に効果が発揮できるような事業整備の方法に向けて、定期的な意見交換の場を持っており、また、日常的にも担当者が相互に意見交換しながら、あるいは一緒に作業しながら事業を進めているため、組織を挙げて意思疎通を図りながら、同じ場所での事業も成功させていけるよう、しっかりと取り組んでいきたい。
【委員】
いろいろと説明があったが、一番残念なのは、1回目の不調、2回目の不落の原因について何も説明がない。また、昨年の総務企画委員会の中で図面を出してほしいと言ったが、今回、変更があったのか。建築工事を二種類取り上げるとのことだが、どの図面が変わったのか説明がない。
【理事者】
これまで、総務企画委員会の場で何度か資料を提出した。土地の仕様に関しては一切変えておらず、工期について消防学校部分を第1工期、それ以外の防災公園部分を第2工期と分けたという点が図面上変わっている。
【委員】
その辺りの説明も何も無かった。またスライド方式があると、3割金額を上げてもよいような説明があったが、これも今まで説明がなかった。なぜ、今回スライド方式の話を出したのか。これまでの不調の際にも、3割までは金額を積み上げられたにもかかわらず、手続上、なぜ行ってこなかったのか。契約上は、金額が足りない場合は3割までは許可なく積み上げられるが、なぜこうした安易な発言がすぐに出るのか。この辺りが不信感を持つ一番の原因である。きちんと説明して理解した上で行うのであればよいが、突然降って湧いたようなやり方である。
図面上は、防災部長の発言のとおり最初の図面から何も変わらないということでよいか。
【理事者】
平面計画については変わらない。
【委員】
PFIを含んだ新方式をどこに入れるのかの説明がないが、どうなっているのか。
昨年の総務企画委員会では、図面も出さずに説明がなされ、図面を出したら説明ができなかった。本当に内部で詰めてコンサルタントのように提出するのか、今回も方式が見えない。新しい方式というが、説明を聞いても分からない。やったこともないし聞いたこともない。本当に誠実に取り組むなら、やり方をきちんと説明できないのか。説明ができないのに採決してほしいといわれても、どのようにやるのか。これまで、2年間不調・不落にしてきて、また不調になった場合、議会の責任になる。もう少し真剣になって真心を込めた説明、誰もが理解できるような説明をしてほしい。委員の質問でも、うやむやな答弁であった。人の命を預かる施設を造るにもかかわらず、あやふやな説明でよいのか。
また、災害時の司令塔についてだが、なぜ防災拠点に持っていかないのか。京都府では今の消防学校の中に、司令塔をはじめとした全ての機能が集まる組織となっており、道路状況をはじめとした全てが把握できる。局長は京都府の消防学校を見たことがあるか。
【理事者】
京都府の消防学校は見ていない。
【委員】
愛知県は、基幹的広域防災拠点に災害対策本部が無く、自治センターにどういった機能がつくのかも分からない。道路形態はどうなるのか、また司令塔はどちらになるのか。現在、行おうとしているのは二股である。
【理事者】
災害時の物流における司令塔の機能をどこに置くかという質問について、現在、防災物流に関する司令塔機能として、全体の物資の受入れ計画、配送計画、それから配車等も含めた全体の計画があり、災害対策本部の中に災害物流のチーム、プロジェクトチームを、本部チームを置く。そこに物流の専門家なども派遣し、計画をつくっていく。
この場合、移送経路等の問題も出てくるため、災害対策本部の中にある、その他の関係機関、地整や自衛隊といったリエゾン、派遣職員などとも情報交換しながら最適なルートをつくり、運ぶという、全体の統括は災害対策本部で行うことを想定している。
一方、現在5か所ある物資拠点について、今後、豊山町の拠点に、県域全体が被災した場合には一任化することを想定して準備しているが、そこでは広域物資輸送拠点の運用をしていくチームをそのときに編成・派遣して、司令塔役には、受入れ、集積、払出しといった実務の指揮ができる専門家の派遣を求めて、その人の助言の下でオペレーションを行うことを考えている。
また、もしも自治センターの災害情報センター本部が被災して、使えなくなったときのために、愛知県基幹的広域防災拠点においても、バックアップ機能を持たせる形で計画をしており、要求水準書等にも明記している。
【委員】
機能が二つあっていいのか、委員の質問にもあったように、司令塔についてもどの部分を県が主導するのかが分からない。体育館なのか。防災拠点の仕様に係る問題も聞いたことがない。昨年、詳しい話は一度もなかった。
恐らく、昨年の説明と比較してずれがある。どの時点から変わったのか、説明されず分からないまま、急きょ降って湧いたような説明をしている。
執行部側も同じであると思う。これまで主体で取り組んでいた職員が今はいない。防災部長も下支えしておらず、主体で行っていた職員が誰もいない。本年3月まで、愛知県基幹的広域防災拠点事業を主体で取り組んでいた職員はいるのか、手を挙げてほしい。
【理事者】
防災拠点推進室計画グループの班長である。
【委員】
自分はこの職員を知らない。職員を全て入れ替えた結果、昨年度までの説明からかなりずれている。最初から防災拠点が完成するまで同じメンバーで突き進んでほしいが、一番大事なときに人が変わった。
では、‟ツガワ未来館アピオ„ 岩手産業文化センター及び宮城県消防学校の調査についてはどのように聞いているか。
【理事者】
昨年度の総務企画委員会県外調査の結果について、施設等のコントロールについてはPFI事業者と食い違う点があること、また資機材等についてもなかなか更新がされないとことから、消防学校として苦慮している点があると聞いている。
【委員】
宮城県消防学校で一番困っていたことは、PFIにして、自分たちが緊急の場合に意見が通らないことである。また、指揮者も、日本通運株式会社のOBが仕切ったとのことである。道路に物資輸送トラックを並べるという話もあったが、体育館の運営については誰も知らない。宮城県でさえ苦労しているにもかかわらず、愛知県基幹的広域防災拠点が完成した後、発災時に愛知県トラック協会が本県全体の物資管理を本当に仕切れるのか。
【理事者】
緊急物資の運用について、全体の統括は本県災害情報センターの中にできるプロジェクトチームで対応するが、そこにも愛知県トラック協会から物流専門家の派遣を求める。
広域物資輸送拠点についても、県の職員が責任を持って対応するが、愛知県トラック協会及び東海倉庫協会の協定に基づき、物流専門家、作業指揮者を派遣することになっている。
そうした職員は、トラック協会の会員事業所に勤務している物流に携わっている人の中で、専門研修を受けた人をリスト化してあるため、その人に協力を仰ぐという方法を考えている。
【委員】
理解ができないため、採決できない。以前の総務企画委員会でも図面がなく、持ってきても説明ができない状況であった。もう一度確認するが、そのときの図面から何も変わらないということでよいか。
【理事者】
令和6年2月定例議会総務企画委員会において、複数枚にわたる資料を提出し、平時、災害時、それぞれのレイアウトで愛知県基幹的広域防災拠点の平面計画を示した。その際に示した土地の用途、使い方については一切変えていない。
【委員】
昨年3月の説明までは室長が行い、なぜ突然防災部長及び防災安全局長が急遽答弁するのか。プロである防災拠点推進室長が責任を持って答弁すればよいのではないか。
また、スライド方式という発言が気になる。契約金額の3割の上積みが当たり前だという方式だが、安易に発言したことが一番心配である。腹を割って事業者と話ができていない証拠だと思う。不信感があり採決ができない。
【委員長】
先ほどの委員からの質問に、答弁することはできるか。答弁に検討を要するように伺えるため、暫時委員会を休憩したいと思うが、異議はないか。
(異議なし)
【委員長】
異議なしと認める。
理事会の開催についても検討をしたいため、この後、理事の方は集まってほしい。委員長が理事者の答弁の検討状況を確認でき次第、委員会の再開時刻を委員各位に知らせる。
(休 憩)
【委員長】
委員会を再開する。まず、理事会にて協議した結果、昨年度からの変更等について、資料に基づき説明を求めることとして、異議はないか。
(異議なし)
【委員長】
異議なしと認める。
それでは質疑に戻るため、答弁願いたい。
【理事者】
配布資料は、本年3月15日の総務企画委員会で配布した資料と同一のものである。
2ページ、災害時のコンセプトとして、右側に支援部隊エリア、左側に支援物資エリアと記載しているが、これについて図面の変更はない。
4ページ、平常時のコンセプトの図面を示しているが、右側の上の方に多目的広場1、多目的広場2がある。これは平常時のスポーツ施設として使われ、BTコンセッション方式の場合は、自由な収益事業を展開できるという点があるが、今回のBTO方式では、県で仕様あるいは料金設定をするという部分が変更となった。
また、2回の不調、不落の原因だが、1回目の入札では、参加者が全て辞退したため不調となった。2回目の不落は、予定価格の範囲内に至らなかった。その背景となった現在の市場価格を調査し、愛知県基幹的広域防災拠点の早期整備に向けて事業者に幅広い参画を促し、競争性を確保できる事業手法や単位を検討するために、幅広く民間事業者にヒアリングを行った。その結果、建築資材が高止まりしていることに加えて、電気、通信、空調を担う事業者の不足、あるいは2024年問題に起因する慢性的な人手不足が生じて、さらなる価格上昇や建築工事に影響が生じていることが分かった。今回の入札では、そうした要因が働いたものと考えている。このため、3回目の入札に向けて競争性が確保できる事業手法、事業単位を検討し、本年6月及び9月定例議会の提案に至った。
【委員】
先ほども質問したが、2回の不落、不調の原因についての答弁があったが、スケジュールをこれ以上遅らせるわけにはいかないため、今回、どういった調査を行い、どのように反映すれば、次の3回目は確実に成功するのか。これからが大事な勝負であり、前回、前々回の反省を踏まえて、どう生かしていくのか、もう少し具体的に、間違いないと納得できる形で、改めて説明してほしい。
【理事者】
厳しい市場環境を踏まえて、昨年度までをベースとしながら、変更部分をしっかりと事業費検証あるいはマーケットサウンディングをして、事業者からしっかりと聞き取りを行い、反映することで3回目に臨んでいきたい。
【委員】
端的な答弁であったが、しっかりと検証して、民間公募を行う前までに固めていくことが、遅れを生じさせない最大のポイントになると思うため、2回の失敗を踏まえて、3回目は必ず成功して事業を着実に進め、取り組むよう要望する。
【委員】
詳しい図面の提示があったため、再度確認したい。
PFI事業者による工事と県発注の工事が混在するという答弁があったが、図面の中で、県発注の工事は造園土木工事となっているが、エリアとして想定される部分はどの辺りか。
【理事者】
4ページの平常時のコンセプトで説明する。道路を挟んで左側に屋内運動施設がある。ここと北の方の道路に管理事務所、更衣室等があるが、この駐車場の横にある建物を建築工事として考えている。それ以外の平場の部分、左から人工芝広場、舗装広場及び駐車場、右の方では多目的広場1、2、芝生広場を造園土木工事として考えている。
《一般質問》
【委員】
災害対応力の向上について伺う。
8月8日に宮崎県で発生した地震では、気象庁が南海トラフ地震臨時情報を発表するなど、改めて巨大地震発生への不安が強まっている状況であるほか、近年、毎年のように日本各地で局地的な大雨被害が発生している。今後も大雨等による浸水や土砂災害の発生に大変不安を感じる状況が続くと思うが、改めて自然災害の怖さや、自然災害から人命や財産をしっかりと守る取組の重要性を再認識している。
そうした中、先日、総務企画委員会県内調査で、能登半島地震において、災害現場の第一線で活躍した自衛隊や、緊急消防救助隊として活躍した名古屋市消防局中村消防署から、様々な写真を交えて説明してもらった。災害現場では、車両や重機が使えない状況が多く、人海戦術となっていることや、通信システムを確保することが改めて課題であることが、自分なりに整理できた調査であった。そこで、今後の災害対策について、二点伺う。
まず一点目に、現在、輸入車や自動車用の用品販売をしている株式会社ホワイトハウスが、本年7月29日に総務省消防庁の緊急消防援助隊車両の小型救助車として、ポラリス・レンジャーを全国の消防本部に納入したことを発表した記事を見た。このポラリス・レンジャーは、タイヤ交換の要領でクローラーに換装することが可能であり、雪道やぬかるみ、瓦礫の上などタイヤでは進入困難な場所でも自走が可能である。また、このポラリス・レンジャーは実績として令和3年7月静岡県熱海市土石流災害で唯一動ける車両として活躍し、その実績が国に認められたことから、今回、全国配備に向けて、自治体への緊急消防援助隊車両としての導入が決定されたとのことである。既に山形県や和歌山県、広島県の消防本部に納入済みであると聞く。
消防本部へのポラリス・レンジャーなどの緊急消防援助隊車両の配備について、どのような制度として配備され、どのように管理されているのか。
【理事者】
緊急消防援助隊の車両の配備の制度について、山形県等に配備された小型救助車は、令和4年度補正予算により国が購入し、消防組織法第50条の規定による国有財産等の無償使用制度を活用して当該消防本部に配備されたと聞いている。
国の無償使用制度により配備された車両は、配備先の消防本部が災害時に的確に運用できるよう、配備された車両を使用して日々の訓練を行うとともに、当該消防本部の負担で維持管理を行うこととなっている。
なお、国が無償使用車両を配備するに当たっては、配備する車両の仕様や必要となる維持管理費等を示した上で、各都道府県を通じて各消防本部に対して配備意向の調査を行っており、国は、配備を希望する消防本部の中から、これまでの配備の状況、各地域の災害リスク、地域バランスを考慮して配備先を決定している。
【委員】
国の無償使用の制度による車両という説明だったかと思うが、本県にも無限軌道災害対応車(レッドサラマンダー)など活躍している車両もあると思うが、実際、本県には現在どのような車両が配備されているのか。
【理事者】
国の無償使用制度により、本県の消防本部に対して15台の車両が配備されている。具体的には、豊田市消防本部に配備されている、機動力や登坂能力に優れた小型の救助車、岡崎市消防本部に配備されている大型水陸両用車、通称レッドサラマンダー、それから尾三消防本部に配備されている重機及びその搬送車などがある。
【委員】
先ほど触れたポラリス・レンジャーは、災害対策として非常に有効な車両であると感じているが、国の無償制度による本県への導入に向けて、どのように考えているか。
【理事者】
令和7年度消防庁予算概算要求においては、人員の搬送や資機材搬送が可能で機動性の高い小型車両を配備する旨の記載がされており、今後、小型救助車が追加で配備される可能性がある。
本県としては、国の動向を注視するとともに、国から無償使用車両の配備希望の照会があった際には、県内消防本部へ照会し、必要な車両が配備されるよう国に働きかけていく。
【委員】
次に、災害現場での通信システムについて伺う。災害現場での通信システムは、支援活動に必須となるが、最近は特に有効な情報手段としてスターリンクがかなり注目されていると思う。アメリカ合衆国の民間企業、スペースXが運用している衛星インターネットアクセスサービスと、これを実現する衛星コンステレーションという通信手段として実績がかなり広く活躍していると聞いている。本県としても早期に導入して、備えていくことが必要であると考えるが、スターリンクの導入に向けての考えを伺う。
【理事者】
政府の能登半島地震の対応に係る検証では、多くの孤立集落が発生し、十分な被害状況の把握が困難な中、スターリンクなどの新技術が効果を発揮したと報告されている。このため、本年6月及び7月に通信事業者の協力を得て、スターリンクなどの災害対策用通信機器のデモンストレーションを実施し、市町村へ紹介するなど、情報収集と市町村との情報共有を進めている。
今後は、本年11月に愛西市で実施する津波・地震防災訓練において、スターリンクを活用した通信訓練を検討しており、実地にその有効性を検証していく。
【委員】
最後に要望する。日本は国土の約75パーセントを山地が占めている。年間降水量も世界的に平均を大きく超えており、災害大国と言われている。改めて、大規模自然災害に備える取組の加速化、進化が必要であり、事前対策や発生後の処置について、最低限必要な対策のめどをしっかりと明確にしながら、日々の生活での備えを行うことが重要だ。
また、そうした中、今後の防災対策の強化という視点でも、特に地域の人が生活している生活環境の状況を理解しながら、警戒情報や災害のアンテナを高くしながら素早く避難するという意識づけや訓練を行うことも大切なソフト対策であると感じている。防災安全局だけでなく、横のつながりを太くして、地域での防災に向けた意識づけをしてほしい。
【委員】
愛知県防災ヘリコプターについて伺う。
愛知県防災ヘリコプターは、令和4年度から名古屋市に運航委託して、本県では名古屋市の保有する消防用ヘリコプター2機と、愛知県防災ヘリコプターの3機運用となっている。当初はベル412EPIのパイロットについて、機体の耐空検査などの期間に養成して、昨年度からダブルパイロット体制を確保して対応していると聞いている。
そこで、先月9月に発生した能登豪雨における愛知県防災ヘリコプターの出動及び活動状況を伺う。
【理事者】
令和6年9月20日からの能登半島における大雨において、消防庁の求めにより、運航委託先の名古屋市消防航空隊の運用の下、9月22日から23日まで、愛知県防災ヘリコプターが輪島市及び珠洲市において孤立集落における救助活動を実施した。
【委員】
あまり報道がなかったため、改めて質問したが、出動したということで理解した。
次に、本県が民間航空会社に委託して運航した場合と、名古屋市へ委託した場合の対費用効果はどのようであったかを伺う。民間航空会社へ委託していた時期は、耐空検査等の期間は代替機で運航していたため、単純比較にならないと思うが、予算・決算ベースでよいので説明してほしい。
【理事者】
まず、名古屋市への運航委託による効果についてだが、2人操縦士体制の確保について、委託開始時点から順次パイロットの採用を進め、わかしゃちの運航資格の取得もスムーズに進んだことから、現時点でほぼ全ての消防ミッションに2人操縦士体制で対応できるまでになっている。
次に、夜間運航について、夜間対応可能なヘリポートでの夜間離着陸訓練を重ねることにより、県内で夜間運航を行うエリアを順次拡大している。また、日没前に出動した複数の事案において、日没後も継続して活動し、実際に日没後の三河山間地域での山岳救助等に大きな効果が表れた。
また、長期運航休止について、名古屋市への委託前、2021年度の運航休止は84日間であったが、県と名古屋市の計3機のヘリコプターを用いて一体的に運用する体制を整えたことで、2023年度の運航休止は7日間であった。
費用については、2021年度の民間航空会社との運航委託契約額が1億7,552万7,000円であったが、事務委託に伴う初期費用がおおむね平準化した2024年度の名古屋市への運航委託費予算額は1億6,717万円と、ほぼ同額程度となっている。
2人操縦士体制の強化、確保、夜間運航の再開、長期運用休止期間の減少といった効果が得られていることから、名古屋市の運航事務委託は対費用効果としても成果が上がっていると考える。
【委員】
改めて安全運航に万全を期して展開してほしい。
最後に要望する。本年元旦に発生した能登半島地震、また能登豪雨の愛知県防災ヘリコプターの活動状況が報道されていない。例えば、緊急消防援助隊愛知県大隊として出動した場合、本県として包括的に報道対応を行い、県内各消防本部の出動状況や活動状況を県民に広く周知し、また各消防本部にも写真や活動状況を共有して、個別の報道対応の参考とされるような取組を行ってほしい。
今後も緊急消防援助隊としての愛知県大隊の出動が予想されるため、スターリンクなど通信手段の確保と現地との連携を高めるよう要望する。
【委員】
本県の災害時応援物資の物流体制の見直しについて伺う。
昨年度の本委員会における県外調査において、いわゆる岩手方式の調査を行い、それを踏まえて昨年10月12日の本委員会において委員から災害時物流体制について質問があったが、その際、より一層効率的な輸送体制を構築するため、現行の広域物資輸送拠点や地域の拠点の活用も含めた県全体の物流体制の全面的な見直しを行うという答弁があった。
そこで、今後の見直しについて県の考え方を伺う。まず、災害物流を考えていく上で最も大きな要素となるのは、国からのプッシュ型で届く物資をいかに滞りなく被災地、被災者に届けるかである。そこで、現在の本県の災害物流の基本的な流れを確認する。
【理事者】
災害物流の基本的な流れは、南海トラフ地震における愛知県広域受援計画に定めている。国からプッシュ型で届く支援物資は、まず県の広域物資輸送拠点に届けられ、そこから各市町村の地域内輸送拠点に配送し、さらにそれぞれの避難所に配送するというのが基本的な流れとなっている。
【委員】
この体制の中で、国、県、市町村が連携して、それぞれの役割をしっかり果たしていくことが重要になるが、災害物流における県の具体的な役割を説明してほしい。
【理事者】
県では、広域物資輸送拠点において国から配送される支援物資を受入れ、それを市町村の地域内輸送拠点へ配送している。また、プッシュ型のほかにも、県の備蓄物資や災害協定に基づいて調達した物資を市町村へ配送する。
【委員】
広域物資輸送拠点がキーワードになってくると思う。これまでも委員会で説明してもらっているが、現在の広域物資輸送拠点はどこに開設するのか、改めて確認する。
【理事者】
現在、県内の5か所に広域物資輸送拠点を位置づけている。長久手市の愛・地球博記念公園、豊橋市総合体育館、みよし市の中部トラック総合研修センター、名古屋市の中小企業振興会館、それから愛知県一宮総合運動場の5か所である。
それぞれ、どの市町村に物資を配送するかをあらかじめ決めており、愛・地球博記念公園、中小企業振興会館、一宮総合運動場の3か所からは名古屋市とあま・知多を含む尾張地域へ、中部トラック総合研修センターからは西三河地域へ、豊橋市総合体育館からは東三河地域へ、それぞれ配送する計画となっている。
また、この5か所が被災するなどして利用できない場合に備えて、代替拠点として、現在の愛知県体育館、名古屋市国際展示場、金城ふ頭の5号、6号、12号上屋、岡崎中央総合公園、大高緑地の5か所を定めている。
【委員】
今、応援物資をどの市町村に配送するかをあらかじめ決めているとのことであったが、広域物資輸送拠点では、どういった種類の応援物資を取り扱うのか。
【理事者】
国が定めた南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画に基づき、避難者への支援に不可欠と考えられる物資8品目が広域物資輸送拠点に対してプッシュ型で国から送られることになっている。食料、毛布、乳児用の粉ミルク・液体ミルク、乳児・小児用のおむつ、大人用のおむつ、携帯トイレ・簡易トイレ、トイレットペーパー及び生理用品の8品目となっている。
【委員】
いわゆる国からのプッシュ型支援における応援物資8品目の説明があったが、災害の状況によって被災地、被災者のニーズは大きく変化が生じると思う。
そこで、国からのプッシュ型支援だけではなく、こちらの災害時のニーズに応じた、いわゆるプル型の支援も求められると思うが、プッシュ型支援以外の応援物資はどうなるのか。
【理事者】
プッシュ型支援物資以外についても、応援協定に基づいて協定事業者から調達する物資、あるいはプル型で国から届けられる物資も扱うことを想定している。また、企業などから義援物資として送られるものも、受入れを希望するもの、しないものを選定しながら受け入れていく。
【委員】
県が備蓄している物資や民間からの義援物資も含めた、物資の配分、輸送の手段といった手配等は誰が行うのか。
【理事者】
県災害対策本部のプロジェクトチームとして設置する緊急物資本部チームにおいて、市町村の需要を把握し、物流専門家の協力の下で物資の配分計画、配送計画を立案していく。
【委員】
災害対策本部のプロジェクトチームが対応するとのことだが、広域物資輸送拠点の実務は誰が行うのか。
【理事者】
5か所の広域物資輸送拠点には、物資搬送チームとしてあらかじめ登録をした県職員が参集する。ここには愛知県トラック協会及び東海倉庫協会から、協定に基づいて全体の運用や入荷、出荷などについて助言を行う作業指揮者が派遣される。さらに、フォークリフトや資機材のオペレーター、技能者についても併せて派遣され、緊急物資本部チームによる配分計画、配送計画に基づき、物資の入荷、出荷、在庫管理を現場で行うこととなる。また、物資搬送チームには作業指揮者の助言を得て現場指揮に当たる拠点のリーダー、拠点長の下に、総務班、管理調整班、入荷管理班、出荷管理班、警備班の五つの班を配置しており、1か所の拠点当たり90人から160人程度の体制で実務を行う予定である。
【委員】
昨年度行った、いわゆる岩手方式の調査状況を踏まえると、県職員のみでオペレーションをしっかりと機能させることは困難であると思う。物流事業者には、具体的に何を担ってもらうのか。特に岩手方式の調査で一番大事だと感じたのは、議案質疑でも指摘があったように、司令塔である。司令塔の役割を担う人の派遣について、どのように取り決めているのか。
【理事者】
本県では、2014年に東海倉庫協会と災害発生時等の物資の保管等に関する協定を締結し、2016年には愛知県トラック協会との災害時等における物資等の緊急輸送等に関する協定の見直しをしており、災害時の連携の実効性を確保している。災害時には、この協定に基づいて緊急物資本部チームに物流専門家を派遣し、物資の配分・配送計画の立案に協力してもらう。
また、広域物資輸送拠点には司令塔となる作業指揮者を派遣してもらい、入荷、出荷の現場指揮について助言をもらい、フォークリフトをはじめ資機材の提供や、オペレーターなどの技能者を派遣してもらう。
先ほどの答弁とも重なるが、司令塔となる作業指揮者は、愛知県トラック協会において専門研修を受講した、トラック協会会員をあらかじめリスト化しており、そのリストを中心に、被災状況などを考慮した上で人選して、現場に派遣してもらうことを考えている。
【委員】
岩手方式の調査では、岩手県トラック協会の当時の常務、現在の専務から話を聞き、司令塔の役割が非常に重要であることがよく分かった。県職員が担っている業務を全て‟ツガワ未来館アピオ„ 岩手産業文化センターに集めて指揮を取ってもらったから、うまくオペレーションが回ったことを認識することができた。先ほど、現在リスト化をしていて、リストを中心に被災状況などを考慮して人選して派遣するとのことであったが、昨年度の状況と比べると、司令塔となる人材確保及び育成が非常に重要であるという認識をしていると思う。
例えば、現在災害が起きたとして、五つの広域物資輸送拠点に迅速に司令塔を置き、指揮にしっかりと入ってもらい、実務的な機能を果たしてもらうことが非常に重要であるが、例えば今、どのようなリストからアプローチをかけて人選を行い、派遣していくのか。手続の流れに関して実際のシミュレーションがしっかりとできてるのか教えてほしい。
【理事者】
リスト化された人に対する発災時のアプローチは、愛知県トラック協会と日頃から意見交換をして、発災時に効率的、実効的に派遣できる体制を構築している段階である。
【委員】
まだしっかりと固まっていないのだと思う。これを迅速に実効的に行うことが、災害物流体制の大きなポイントになるため、全体的な見直しは今年度取り組むと思うが、その中でも重要な位置付けとして、愛知県トラック協会からの派遣体制を構築してほしい。岩手方式は東日本大震災の教訓である。本会議においても令和6年能登半島地震の教訓を踏まえた本県の地震防災対策について質問したが、教訓については、本県から被災地に派遣した職員からのヒアリングなどに基づく独自の検証を行って取りまとめをしている、という答弁であった。令和6年能登半島地震の教訓を、今後の見直しに反映させてほしいが、令和6年能登半島地震での災害物流ではどういった課題があったのか、県の認識を伺う。
【理事者】
令和6年能登半島地震では、災害物流に関しても様々な課題が指摘されている。いくつか取り上げると、輸送の実務は自治体の職員だけでは、配送手段の確保や物資拠点の管理が困難であったこと、作業の現場でパレット積みでない物資が送られ、人力での荷下ろしに労力を費やしたこと、また出荷後のレンタルパレットの行き先の特定に労力を費やしたとのことである。
また、配分計画や配送計画に関しては、国のシステムが活用されておらず、紙やメールといったアナログな方式に頼らざるを得ず、ニーズの把握や物資の内容、輸送手段、到着時刻などの整理に混乱があったと聞いている。
さらに、支援の規模や期間については、発災翌日の第1便の到着から、最終的に82日間という、これまでにない規模のプッシュ型支援が行われたこと、そして、プッシュ型支援に加えて、自治体、企業等から事前に十分な調整なく物資が搬入されたことで現場が混乱した。このような課題が政府の自主点検レポートにおいても挙げられている。
【委員】
教訓として、自治体職員だけでは配送手段の確保が困難であったことや、パレット積みでない物資が送られてきて、人力による荷下ろしに労力を要したなど、様々な教訓、課題を教えてもらったが、こうした課題に本県はどのように対応していくのか。
【理事者】
今年度、愛知県災害物流円滑化検討会を設け、物流関係者、有識者、名古屋市、地域ブロックの代表市町の参画を得て、基幹的広域防災拠点の整備も見据えて、5か所の広域物資輸送拠点の役割、市町村の地域内輸送拠点を含めた災害物流体制の見直しを進めている。
まずは能登半島地震の課題に速やかに対応するため、今年度中に愛知県広域受援計画と災害物流マニュアルの見直しを行いたい。今月8日、来週になるが、豊橋市総合体育館を中心に東三河地区で実施する災害物流訓練においては、令和6年能登半島地震で課題となったパレットの活用、管理などの課題に対応するための取組も試行して、結果を検証する予定としている。
【委員】
今年度中に愛知県広域受援計画と災害物流マニュアルの見直しを行うとのことだが、災害はいつ起こるか分からないため、できるだけ速やかに、迅速に、対応してほしい。先ほど、豊橋市総合体育館に言及があったが、本年6月の総務企画委員会では、IGアリーナも災害時物流拠点として活用できないかという質問があった。その際に十分な回答を得られなかったと認識している。来年、IGアリーナが開業を迎えるが、IGアリーナを災害時にどのように活用していく考えか、しっかりと答弁してほしい。
【理事者】
IGアリーナは、事業者への要求水準書において、南海トラフ地震における愛知県広域受援計画の広域物資輸送拠点に位置づける予定があると明記している。現在の愛知県体育館は、広域物資輸送拠点の代替拠点として位置づけている。これに代わるIGアリーナの位置付けは、今回の災害物流体制の見直しの中で、愛知県トラック協会をはじめ物流専門家の助言も得ながら検討し、IGアリーナの開業までに結論を出していく。
【委員】
現在の愛知県体育館は、広域物資輸送拠点の代替拠点として位置づけられているが、IGアリーナが開設された際には、現体育館と同様に広域物資輸送拠点の代替拠点として考えていくのが基本なのか、それとも、現在五つある災害物資輸送拠点に加えた六つ目の拠点にしていくのか、まだ決まっていないと思うが、今後の県の考え方があれば教えてほしい。
【理事者】
IGアリーナの位置付けだが、愛知県災害物流円滑化検討会の中で検討を進めており、来年7月のIGアリーナ開業までに、アリーナが災害物流の上で果たす役割、活用方法について関係機関と十分に協議した上で、愛知県広域受援計画に反映していきたい。
【委員】
関係機関と協議した上でしっかり位置づけるとのことであるが、IGアリーナが名古屋市名城公園に所在することから、名古屋市との連携、名古屋市の考え方を、しっかりと取り入れていくことも重要であると思う。災害時におけるIGアリーナの活用について、今後名古屋市とどのような連携を図り、名古屋市の意見をどのように反映していくのか、県の考え方を伺う。
【理事者】
現在、名古屋市では、IGアリーナが所在する名城公園全体を消防、自衛隊、警察などの部隊が応援活動に備える場所である広域防災拠点に位置づけている。また、地震火災が延焼拡大した場合等に安全を確保するため、一時的に身を寄せる指定緊急避難場所にも位置づけている。
今後、IGアリーナを物流拠点としての機能を検討していくに当たって、名古屋市とも十分に意見交換しながら調整していく。
【委員】
名古屋市は、IGアリーナが所在する名城公園全体を指定緊急避難場所にも位置づけているため、名古屋市と連携を進めながら、今後の災害物流体制の見直しを行う上で、IGアリーナの開業を見据えて、具体的な見直しを行ってほしいが、これに取り組む県の考え方を伺う。
【理事者】
今年1月の能登半島地震においても様々な物流の課題が指摘されている。南海トラフ地震がいつ起きるか分からないという状況の中、県においても昨年度から災害物流の全面的な見直しを進めている。
今後も、現在進めている災害物流円滑化検討会を中心に、関係機関と十分に意見交換しながら、来年7月のIGアリーナの開業を見据えて、関係機関と意見交換しながら物流体制を見直し、愛知県広域受援計画などに反映して、実効性のある物流体制を構築していきたい。
【委員】
南海トラフ地震臨時情報について伺う。
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として、過去に大きな被害をもたらしてきた大規模地震である。過去の事例を見ると、これまで100年から150年の周期で大規模な地震が発生しており、1707年の宝永地震のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8プラスの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりするなど、その発生過程に多様性があることが分かる。
地震調査研究推進本部の長期評価によると、マグニチュード8から9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70パーセントから80パーセントとされている。
本年8月8日、宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震において、気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして、2019年の運用開始以来、初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表された。
そこで、南海トラフ地震臨時情報とはどのような情報で、どのような発表内容があるのか伺う。
【理事者】
南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうかを調査開始した場合などに発表される。
臨時情報には、発表時に付記されるキーワードが四種類あり、それぞれ条件が定められている。監視領域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生した場合などにおいて、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会が開催された場合には調査中が発表される。震源想定域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価される場合には、巨大地震警戒が発表される。監視領域内においてモーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生したと評価される場合などには巨大地震注意が発表される。いずれにも当てはまらない現象と評価された場合には、調査終了が発表される。
【委員】
今回、巨大地震注意が発表されたが、その後、県民に対してどのような周知啓発を行ったのか。
【理事者】
臨時記者会見やX、旧ツイッターやウェブサイトなどにより、県民に向けて、日頃からの地震の備えの再確認と、地震が発生したらすぐに避難できる準備をしてもらうよう知事メッセージを発信した。また、災害対策本部会議を開催し、県民に冷静で落ち着いた行動を呼びかけるとともに、避難所への経路確認や非常持ち出し品の用意など、地震への備えとして特に再確認してほしい事項を具体的に周知した。
こうした内容については、県各局から関係機関に対して周知するとともに、県内市町村に対してはオンラインでの説明会を開催して、臨時情報に関する正確な情報の伝達を徹底した。その間、外国人県民に対する易しい日本語や多言語での情報発信、外国人旅行者に対するウェブサイトを通じた注意喚起にも取り組んだ。また、県公式ウェブサイトのトップページに地震への備えを分かりやすく解説したパンフレットも掲載した。
【委員】
次に、巨大地震警戒が発表された場合には、県民はどのような行動を取ることになるのか。また、取るべき行動をどのように周知啓発していくのか伺う。
【理事者】
国が作成した、南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドラインによると、巨大地震警戒の発表時には、国から避難等が呼びかけられることとなっている。現行のガイドラインでイメージとして示される対応としては、まず国から地方公共団体へ、後発地震に対して警戒する措置を1週間取るように指示が出される。また、国から国民に対して、地方公共団体の避難情報等に注意すること、家具の固定など日頃からの地震の備えを再確認することが呼びかけられる。さらに、津波の到達までに避難が間に合わないおそれがある地域の人などには、1週間避難を継続することが呼びかけられる。
本県では、そうした地域が事前避難対象地域として13市町村で指定されている。県民が南海トラフ地震臨時情報発表時に防災対応や事前避難行動などに関する正しい知識を持ち、日頃から地震への備えに取り組んでもらえるよう、県政お届け講座やウェブサイト、啓発チラシの配布、地震体験車による模擬地震体験などによる周知啓発に努めていく。
【委員】
今回の南海トラフ地震臨時情報の発表により、臨時情報に関しての認知度が深まったと思うが、事前避難などの認知度はまだ十分ではないと思う。今定例議会の一般質問でもあったが、南海トラフ地震臨時情報の発表に関して国の検証があるため、動向を踏まえて、分かりやすく県民に周知するよう要望する。
次に、災害時におけるトイレカーの活用について伺う。災害時のトイレの問題について、令和6年能登半島地震では、断水が長期化し、トイレが利用できない状況が続いたことが、避難生活で不便なことのうちの一つであった。発災直後に必要となるものを改めて考えると、食料や飲料水は、命をつなぐために欠かせないものとして必要性が広く理解され、家庭でもそれなりに備蓄が進められている。
それでは、トイレはどうか。熊本地震の被災者を対象に実施された調査によると、地震発生から3時間以内にトイレに行きたくなった人の割合は39パーセント、6時間以内では73パーセントに上ったとされている。人は、食事したり水を飲んだりするため、併せて排せつについても考えなければならない。災害時とはいえ生理現象を抑えることはできないため、切実な問題である。
私は、能登半島地震発災直後の2月2日から4日まで、穴水町の避難所にてボランティア活動した。避難所で支援物資の説明を受けた際に、担当者から、食料品の支援物資は届くがトイレはすぐに届かない。食事と排せつのどちらが我慢できないかというと、食事より排せつのほうが我慢できない。そこで、食料品とトイレカーはセットで支援してほしいと話していた。
能登半島の多くの避難所では、備蓄されていた携帯トイレや、建設業者から供給された仮設トイレ等を使うことでしのいでいたが、加えて移動式のトイレ、いわゆるトイレカーの活躍を報じるニュースが頻繁に見られた。移動式トイレとは、トラックと携帯トイレ部分が一体化した自走式の車両や、コンテナ式トイレを車で牽引するトイレトレーラーなどがあり、ここではこれらをまとめてトイレカーと呼ぶが、今回の地震では、高速道路会社や各地の自治体からトイレカーが派遣され、避難所などで被災者支援に役立てられた。
本年6月定例議会総務企画委員会で質問したが、本県では3市町村がトイレカーを配備しており、能登半島にトイレカーを派遣した市町村もあったと聞いている。
そこで、能登半島の被災地でのトイレカーの利用状況について、県では調査しているのか。
【理事者】
避難所の良好な生活環境のために、トイレが利用できる環境は極めて重要である。能登半島地震では、県内から刈谷市と阿久比町の2市町が保有しているトイレカーを被災地に派遣した。このうち刈谷市は、本年1月11日から石川県能登町の小学校にトイレカーを設置し、その後、4月2日からは能登広域勤労青少年ホームに移動し、合わせて約5か月の間、避難者の利用に供された。また、阿久比町でも本年1月26日から5か月余り、輪島市内の避難所にトイレカーを設置していた。このうち2か所で支援を行った刈谷市によると、冬の寒い時期には水が凍結してしまい、温めてからでないと流せないという不便はあったものの、洋式トイレが使える、またソーラー充電器によって電気も利用できる、そしてタンクから水を流すことができると、避難者には非常に好評であったと聞いている。
ライフラインが復旧していない状況の中でも、トイレカーを設置することで安心して清潔な環境で用を足すことができるため、避難所の良好な生活環境の確保につながるものと考えている。
【委員】
5か月もの期間にわたって被災地で支援活動を行うことは、そう多くはないと思う。今回のトイレカーの派遣は、とても貴重な支援の実績となったと思う。トイレカーを有している市町村はまだ少ないが、能登半島地震の被災地の様子を見て、今後整備を考える市町村も増加すると思う。トイレカーを整備する自治体が増えれば、大規模地震が発生したときに被災地外の自治体が被災地にトイレカーを派遣する相互応援も、さらに効果的に実施ができるようになる。
そこで、県として市町村のトイレカー整備の支援についてどのように取り組むのか伺う。
【理事者】
市町村のトイレカー整備を促すためには、トイレカーの機能や有用性について十分に認識してもらうことが必要である。このため、今月下旬に開催する市町村防災担当課長会議において、能登半島にトイレカーを派遣した自治体から、被災地での支援活動や平常時のトイレカーの維持管理などについて報告してもらい、市町村と共有していく。
また、県の南海トラフ地震等対策事業費補助金では、市町村のトイレカー購入に要する費用を補助対象としており、地方債などの財政措置と併せて市町村に情報提供していく。
今後も、トイレカーに関する動向や災害時の活用事例を市町村に情報提供するなど、トイレカー整備に向けた検討が進むよう支援していく。
【委員】
先日、地元の土木業者の社長とトイレカーについて話をする機会があった。社長からは、土木業者はもともと工事現場でトイレカーを設置するため、今後、民間事業者がトイレカーを災害にも派遣できるようになるために、行政による支援や、例えば総合評価落札方式でインセンティブになるなど前向きに考えるのであれば、官民でのトイレカーの普及ができるとのことであった。これも一つのアイデアだと思った。
いずれにしても、能登半島地震でトイレカーの支援が大きな被災地の支援になることが分かった。今回の答弁を元に、県内のトイレカーの普及が推進されるよう要望する。
最後に、被災地支援の経験、職員の経験や知見をどうフィードバックしていくかについて伺う。
熊本地震の際に九州地方の知事会が中心となり、被災市町村ごとに支援を担当する県を決める、いわゆる対口支援方式を採用し、応援職員の迅速な派遣で行政機能が持ち直したことから、総務省が支援に先立って現地に入る災害マネジメント総括支援員制度を2018年に立ち上げた。これまで国内六つの災害で派遣されたと聞いている。
総括支援員の登録は、応急対策職員派遣制度に関する要綱で、都道府県と政令指定都市の職員を基本としている。現在、47都道府県と20の政令指定都市全てに配置されているものの、登録者数は十分とはいえない状況だと承知している。
本年1月1日に発生した能登半島地震において、本県は、総務省からの応急対策職員派遣制度に基づき、1月3日から6月16日までの間、羽咋郡志賀町に対して災害マネジメント業務の支援を実施した。町長への助言や被害状況、応援職員のニーズ把握、関係機関や総務省との調整を行う総括支援チームとして県職員延べ104人を派遣した。また、避難所運営、住家の被害認定業務、罹災証明関係業務などを支援する対口支援チームとして、県職員及び県内市町村職員、合わせて1,035人を派遣した。被災地に派遣され、業務に当たった人に心から敬意を表する。
被災地支援での経験は、南海トラフ地震などの大規模災害が想定される、本県が被災した際の災害対応に非常に有効なものであり、生かしていくべきだと考える。
そこで、被災地支援の経験や知見を本県の災害対応にどのようにフィードバックしていくのか。
【理事者】
被災地支援に派遣された職員一人一人が得た経験や知見は、本県の災害対策にとって貴重な教訓となる。このため、本県から被災地に派遣した職員からのヒアリング等に基づく独自の検証を行い、教訓として取りまとめている。
今後は、こうした教訓を踏まえた具体的な対策を立案し、本年11月に取りまとめる予定の愛知県地域強靱化計画及び次期アクションプランの素案に可能な限り反映させていく。また、各種マニュアルへの反映など、本県の災害対応にフィードバックしていく。
さらに、今月弥富市で実施する被災自治体支援活動訓練においても、災害マネジメント総括支援員として被災地支援を経験した職員を派遣するなど、経験を本県の防災力の向上に生かしていく。
【委員】
委員からも、南海トラフ地震臨時情報の話が出ており、少し機運が高まっている中、国が被害想定の見直しを行う動きがあるようだが、それを受けて本県も見直しを行うと聞いている。今回見直しを行うのはなぜか。
【理事者】
国は、南海トラフ沿いで想定すべき最大クラスの地震・津波に対する被害想定を、2012年8月に1次報告として建物被害、人的被害を公表し、2013年3月に2次報告として施設被害、経済被害などを公表した。その被害想定に基づいて、2014年3月に南海トラフ地震防災対策推進基本計画を定め、計画期間を10年として地震防災対策を推進してきた。今年度、この計画期間の終期を迎えることから、防災対策の進捗を確認するためのフォローアップと、次の目標を定めるために、昨年から新たに被害想定の見直しが始められているものである。
【委員】
見直しをしながらも計画をつくるためかと思うが、今回の被害予測調査に関して、国のガイドラインは示されているか。
【理事者】
今回の調査に当たり、国からガイドライン等は示されていない。国の被害予測調査の見直しの検討は、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ及び南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会で行われている。本県としては、これらの検討状況などを注視し、参考にしながら被害予測調査を実施していく。
【委員】
ガイドラインが示されない中、県独自で被害予測調査を行うとのことだが、その意義はどこにあるのか。また、他県の状況はどうか。
【理事者】
国の被害予測調査の手法を基に、ゼロメートル地帯での浸水被害など、本県の地域特性を踏まえた被害想定を行う必要がある。また、国の被害予測調査結果は市町村単位での被害量を公表していない。市町村単位の詳細な被害量は、具体的な対策を実施するために必要であることから、県においても調査を実施する必要がある。また、他県の状況としては、静岡県や三重県、和歌山県などの南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村を有する県では、本県と同様に県で被害予測調査を実施していくとのことである。
【委員】
その調査の内容だが、具体的に10年前と同じようなことをやるのか、何か違うのか。
【理事者】
被害想定としては、南海トラフで実際に発生した過去の地震規模を重ね合わせた過去地震最大モデルと、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの理論上最大想定モデルの二つのモデルについて、振動や液状化、崖崩れ、津波などを予測する。この地震動や津波などに伴って発生する人的被害や建物被害、ライフライン被害、火災発生、避難者数などの調査項目を市町村単位で予測する。
10年前の被害予測調査との違いは、前回の調査以降に公共工事などで新たに得られたボーリングデータなどを用いて、全県域で新しい地盤モデルを構築する。その地盤モデルを活用して、より精度の高い被害予測を行う。さらに、この10年間の建築物や堤防の耐震化などハード対策の進展状況や、最新の人口分布などを用いて、より実態に即した被害予測を行う。また、前回の調査からの変更点は、新たに平成28年熊本地震や令和6年能登半島地震において課題となった災害関連死についての被害予測を実施する。
さらに、前回の調査地震モデルは、南海トラフを震源とする巨大地震が一度に発生するという想定となっていた。しかし、過去の事例では1854年の安政東海地震、安政南海地震が約32時間の間隔をおいて発生したこと、1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震が約2年間の間隔をおいて発生したことなど、南海トラフの東側と西側において時間差で地震が発生した事象があることから、時間差発生地震についても被害予測調査を実施する。
【委員】
調査結果はいつ発表されるのか。
【理事者】
今年度と来年度の2年にわたって調査を実施し、2026年6月頃に開催予定の防災会議での公表を予定している。
【委員】
2年もかかるのか。
【理事者】
今年度は地震動などの計算をするために、公共事業などにおいて実施しているボーリングデータを収集し、新たな地盤モデルの構築を行う。また、人的被害や建物被害、ライフライン被害、火災発生、避難者数などの予測を行うために、建物に関するデータや人口データなどを収集し、250メートルメッシュごとにデータを整理するなど、被害予測に当たっての準備作業を行う。来年度は、今年度の調査結果及び収集したデータを基に、人的被害や建物被害、ライフライン被害、火災発生などの要素を予測し、被害を算出する作業に1年を要することから、2年の調査期間が必要となる。
【委員】
時間がかかることはよく分かった。では、調査結果の活用方法を伺う。
【理事者】
今回実施する被害予測調査の結果から得られた課題や対策は、本県の地震防災対策に反映し、充実強化を図っていく。また、地域特性を踏まえた市町村ごとの詳細な調査結果を示すことにより、市町村及び防災関係機関の地震対策に広く活用してもらい、県全体の地震対策の推進につなげていく。さらに、県民自らが防災対策を進めるための参考資料として活用することができるよう、ウェブサイトなどにおいて調査結果を公表する。
【委員】
時間をかけて相当な労力で人を集めたスタッフが調査することになるが、被害予測調査を作って終わりではないため、あくまでデータを集めることによって被害想定し、少しでも減災させることが大事である。いかに防災計画につなげていくかを、今から考えて計画をつくってほしい。2年の調査をしてる間に大地震が起きるかもしれないので、悠長なことを言ってられないが、南海トラフ地震の場合は相当大きな被害が出ると言われているため、どう未然に防ぐか、しっかりと対策を組み、どう県民に周知するのか、市町村とどう連携して対策を打つのか、今から検討することを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月4日(金) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
今井隆喜、日高 章 正副委員長
水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
〇 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第2款 総務企画費
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
3 休 憩(午後2時35分)
4 再 開(午後3時30分)
5 一般質問
6 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業費について伺う。
令和6年6月定例議会総務企画委員会において、消防学校エリアの補正予算について、私と委員から質問した。その際、委員の質問に対して、防災公園について、事業者ヒアリングを継続して迅速に作業を進めるという答弁があったが、その答弁を受けて、今定例議会へ補正予算案の提出があったものだと考えている。事業者ヒアリングの結果、どうであったか。
【理事者】
民間事業者に幅広くヒアリングしたところ、市場については、鉄骨や鋼材の価格は緩やかな上昇、または横ばい、生コン等資材運搬費が上昇傾向にあること、2024年問題の影響により人手が不足、人件費が上昇といった状況が確認された。
また、公園については、設計段階から運営会社が参加しないと後からの調整が難しい、開業前の研修など開業準備期間が必要との意見や、事業単位が分かれたことで参入のハードルが下がったとの意見があった。
【委員】
大体予想できたヒアリングでもあったと思う。
ここで得られたものというと、公園については、設計段階から運営会社が参加しないと後からの調整が非常に難しいことや、事業単位が分かれたことで参入のハードルが下がったという意見は、これから進めていくに当たって、実のあるヒアリングになったと思うが、ヒアリングを踏まえて、今回のBTO方式及び一部工事を県発注としたのはなぜか、理由を教えてほしい。
【理事者】
現在の市場では、収益性や市場の動向が先行き不透明である中、従来考えてきたコンセッション方式では参加が難しいという経営判断が働きやすい状況にある。そのような中、防災公園の事業方式としては、運営、維持管理までを見据えた民間ノウハウを設計段階から反映することができ、安定的な運営や事業コストの削減が期待できるBTO方式を基幹としつつ、造園土木工事については県が直接発注することとした。これにより、運営維持管理に関する創意工夫を設計に生かすことができるとともに、工種が整理されることにより、より多くの事業者の参入を容易にすることができるものと考えている。
【委員】
市場の不透明性を理由に、事業方式を変更したとのことだが、これは、計画の甘さを示しているともいえる。当初からリスクを適切に評価し、柔軟な事業方式を検討すべきだったと指摘する。
先ほどの説明では、工種を整理するとのことであるが、防災公園の整備にはどのような工種があるのか。
【理事者】
防災公園の整備には、屋内運動施設と公園管理事務所の建築工事、多目的広場や駐車場等の造園土木工事という複数の工種にわたる。
【委員】
簡単に言うと、建築工事と造園土木工事に分かれており、その中でも複数に分かれるのだと思うが、工種を整理するとどういった効果が期待できるのか。
【理事者】
工種を整理し、造園土木工事を県が直接発注することで、設計建築工事、運営維持管理を受注できる事業者であれば入札することができるようになり、複数の工種を一括して発注するよりも参入が容易になる。
防災公園全体の設計と運営維持管理は同じ事業者が行うため、運営維持管理を見据えた事業コストの削減や、運営維持管理に関する創意工夫を設計に活かすことができるといったBTO方式のメリットは維持することができる。
【委員】
工種を分離することで参入障壁を下げる狙いは理解できるが、同時に、全体的な一貫性や効率性が損なわれる可能性がある。
建築工事と造園土木工事のうち、県が造園と土木工事を直接発注する理由を教えてほしい。
【理事者】
設計完了後、県が工事を直接発注する際には、入札等の手続におおむね半年の期間が必要となる。この期間を踏まえると、造園土木工事を直接発注した場合は、設計完了から工事完了まで入札手続で約半年、工事期間約1年半で約2年かかるのに対して、建築工事を直接発注した場合は、入札手続約半年と工事期間約2年で約2年半必要になると見込まれている。そうしたことから、拠点の早期整備のためにも、設計完了から工事完了までの期間がより短い造園土木工事を県の直接発注としたい。
【委員】
基本的には、工期短縮が一つの理由かと思う。ただ、直接発注によるコスト増や管理の複雑化も十分に考えていかなくてはならないと思う。
県が直接発注する造園土木工事の受注事業者と、建築を担当するPFI事業者が同時期に工事を進めることになるため、現場が錯綜することが非常に懸念されるが、工程管理はどのように行っているのか。
【理事者】
拠点全体の設計、工事監理はPFI事業者が行うことを想定している。PFI事業者は、設計時から同時期に複数の工事が実施されることを踏まえ、県や関係機関と協議、確認及び連絡調整を行い、工事着手前には実施体制や工事工程等の内容を含んだ施工計画書を作成し、工事の進捗を管理していく。
県としても、内容を確認し承諾を与えるとともに、定期的に工事管理状況を県に報告するなど、適切に工事が実施されるよう監視していく。さらには、定期的に連絡会議を開催するなど、工事が円滑に進むよう積極的に調整を行う。
【委員】
様々な役割分担を説明してもらったが、実際の現場は混乱が生じ、責任の所在が不明確になると思う。リスク対策は具体的にあらかじめ考えておくべきだと思うため、しっかり行ってほしい。
続いて防災公園は、今回、BTO方式で整備していくとのことであり、BTOは、ビルド、トランスファー、そしてオペレートだが、Oのオペレートは何をするのか。
【理事者】
BTOのOのオペレートでは、長期にわたる契約による安定的な運営の下で、主に公園施設の利用受付や予約管理、利用料金の収受、保守管理や保安警備を行うほか、憩いとにぎわいの場としてふさわしいスポーツ等の各種イベントの企画運営や、それらの広報等を包括した業務内容を予定している。
【委員】
平時の利用になると思うが、施設利用料の収受、予約管理や利用料金の収受を行うとあるが、単に徴収代行していくと、業者があまり努力しなくなる可能性もある。
豊橋市でも、こういった形で料金徴収だけPFI方式の中で行った場合に、PFI業者が全く努力しなかった施設の事例を自分も経験してきた。このため、事業者が努力するよう、施設利用料の取扱いは大事になってくると思うが、どのように考えているか。
【理事者】
従来のBTコンセッション方式においては、事業の運営維持管理による利益は、一定額を超過しない限り事業者の収益とすることで、事業者の企業努力を促すこととしていた。今回、BTO方式に事業手法を変更することに伴い、この手法に相当する事業者の企業努力を促す仕組みや方策についてアドバイザリー業務の中で検討し、要求水準書に盛り込んでいきたい。
【委員】
次に、消防学校について伺うが、消防学校の日常業務はある程度決まっていると思う。逆に運動施設は自由度が高い。消防学校と運動施設、いわゆる公園は、平時はそれぞれの管理者が運営していると思う。消防学校の管理業者と公園の管理業者は、平時においてどのように対応し、双方がどのような連携を取っていくのか。
【理事者】
令和6年6月補正予算により、第1期として整備を進めることとした消防学校の平常業務においては、電気工作物の保安監視業務、清掃業務、リネン交換業務、食堂業務や建物等の保守管理や保安警備業務などを包括した業務を消防学校のBTOの部分で実施することを想定している。
消防学校の施設管理の総括は県が行うことを想定しているため、平常時における公園管理事業者との調整は、消防学校に常駐する県職員を介して行うことを考えている。
【委員】
説明のあった平時は、基本的に大きな過失や大きな事件につながることはあまり無いと思う。しかし、その中でもやはり、しっかりと連携を取りながら運営することは大事だと思うが、一番大事なのは、災害時の役割分担をしっかりと行うことである。
そこで、災害時にはどのような役割分担を果たすのか、また、事業単位が分かれたことで、学校と公園の指揮系統も分かれてしまうが、災害時にはどのように対応するのか。
【理事者】
災害が発生した場合、公園事業者は、公園利用者の避難誘導や安全確保、施設整備の被害状況の確認及び応急処理などを行い、県に公園施設を引き継ぐことを考えている。その後は、県が自ら消防学校を中核に一体的に拠点を運営していくため、事業単位が分かれたことで指揮命令系統が分かれることはない。
なお、災害時において防災拠点を迅速に立ち上げ、機能させていくために、県と事業者との間で被害状況の把握や拠点の立ち上げ訓練などの定期的な実施を想定している。
【委員】
事業者との間で被害状況の把握、拠点の立ち上げ訓練を定期的に行うとのことだが、指揮系統の複雑化や情報伝達の遅延が訓練の中でも出ると思う。そうした中で、リスクへの対応、対策をしっかり検討してほしい。
次に、アドバイザリー契約の内容について確認する。まず、前提として、令和6年6月補正予算に計上した消防学校のアドバイザリー契約について、現在の進捗状況を伺う。
【理事者】
消防学校のアドバイザリー契約は、7月11日に契約した後、構造が類似している建築実績の調査や設備系の見積りを徴収するなど事業費の検証を行っているほか、事業内容の見直し案を基に複数の事業者との意見交換を行うなど、マーケットサウンディングを実施している。加えて、要求水準書などの公募手続に必要な書類の見直し等を現在実施している。
【委員】
では、今回の令和6年9月補正予算に計上されている防災公園のアドバイザリー契約の業務内容について、何を予定しているのか伺う。
【理事者】
PFI事業者の選定手続を進めるに当たり、事業費の検証やマーケットサウンディングの実施、公募手続に必要となる資料作成についての支援を委託するものである。
【委員】
事業費の検証を行うとのことだが、例えば、資材や人件費は高騰していくのだろうという状況は分かり、防災公園や消防学校は共通のものだと思う。消防学校のアドバイザリー契約は先ほど確認したが、その辺りから得られた情報は、防災公園にも活かせると思うが、その点についてはどうか。
【理事者】
人件費に関する指標など、消防学校と防災公園に共通するものについては、さきのアドバイザリー業務で得られる積算を生かしたいと思う。
そのほか、消防学校と構造等が異なる公園施設は、これまでの業務で得られた積算を基礎として活用しながら、その後の物価動向を分析するなど、厳しい市場環境における価格動向を検証していく。
【委員】
共通するものは、しっかりと生かしてもらいたいと思うし、異なる公園施設は、さらに検証を進めてもらいたいと思うが、日常利用の多目的広場や屋内運動施設は、今まで実施したマーケットサウンディングにおいてしっかりと調査し、整理されてきたと思うが、施設の配置や内容は変わらないと思う。
その上で、さらなるマーケットサウンディングが必要なのかと思うが、見解を教えてほしい。
【理事者】
これまで考えてきた施設の内容や配置を前提としてマーケットサウンディングを行っていく。アドバイザリー業務で蓄積した事業者のノウハウに関する知見を生かしながら、事業単位や事業手法の変更を踏まえて意見交換を行い、参入が可能かどうか、あるいは手法を見直したことによる新たな納付の提示がないかを調査していく。
【委員】
今の答弁内容だと、今回の委託事業で事業費検証、あるいはマーケットサウンディングの部分のウエイトは小さいと思う。今回実施するアドバイザリー契約において、これまでのアドバイザリー契約や、さきの消防学校のアドバイザリー契約に加えて、行わなければならない業務は何か。
【理事者】
公募手続に必要な資料作成を予定している。事業単位を分け、事業手法を変更したことにより、これまでのアドバイザリー業務で作成した要求水準書等の関係部分を切り分け、今回の事業手法であるBTO方式、一部工事兼直接発注に向け、より詳細で具体的な要求水準書として新たに整備していくものである。
その際には、県の防災公園と並行して整備が進むことが見込まれる、豊山町の事業と連携できるように整備を進め、町と協議しながら、可能な限り要求水準書に盛り込んでいく。
【委員】
全体的に話を聞くと、事業も様々に分かれている。特に平時は連携といっても緩やかなものであると思うが、災害時にどのように対応していくのかは、非常に重要であるため、訓練の中で出てくる問題点を拾い上げて、この場合はどうしたらいいかを個別にやってほしい。
これから豊山町の事業とも連携していくとのことであるため、本当に連携が続くことになる。連携の中でそごが生じないように対応されるよう、期待する。
【委員】
私からも愛知県基幹的広域防災拠点の整備について質問する。
令和6年6月定例議会では、消防学校の部分が議題となり、早期に第1期目として整備することについて議決されたが、今回は防災公園とのことで、拠点の整備、第2期の工事となる。今年は元旦から巨大地震が発生した災害の年であると思っている。防災安全局長の発言にもあったが、大雨の被害もあり、8月8日には宮崎県日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、日本で初めて南海トラフ地震臨時情報が出された。本県にも知多半島、渥美半島という半島がある。地形や大きさ、成り立ちなどは違うが、海沿いに住む人からすると、南海トラフが起きたときは確実に津波が来て、巨大な被害、相当な被害が及ぶだろうと思う。そういう人からすると、内陸部の被害が少ないであろうと思われる、基幹的広域防災拠点の大切さを身に染みて感じる。
それを踏まえて、今の委員の質問のやり取りを聞いても、まだ少し不安を払拭できない。
防災拠点は、県が責任を持って公設公営でやるのが本来の姿ではないかという思いが私の中にもまだ残っている。ただ、現在、民間の資金力を使って良いものを整備していくという、全国的な流れであるため、受け入れてきたが、今年の初めから災害の大きさを感じ、先日も災害時に命懸けで被災地を助けようと現場に赴いた自衛隊の施設を見学するとともに、以前、総務企画委員会に所属した際には、東京湾臨海部基幹的広域防災拠点の視察を行った。拙い知見だが、そういったところの話を聞くにつれ、心配が募るのだが、防災拠点をPFI方式で整備した事業で、災害時に防災上の拠点として運用していくような場所が、日本にあるのか。
【理事者】
神奈川県横浜市の横浜文化体育館再整備事業では、BTO方式により、同施設を帰宅困難者の一時待機施設や救援物資の集配拠点として活用するよう整備し、本年4月から供用を開始した。同じくBTO方式を採用した、兵庫県西宮市の西宮中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業では、当該施設を自衛隊等の応援部隊の活動拠点や避難所として活用することを想定して、整備が現在進められている。
【委員】
神奈川県と兵庫県に一つずつとのことだが、これは神奈川県も本年4月から供用開始で、本当の大災害で使われた施設ではないものの、2拠点あるとのことである。
災害時は行政が占有して防災拠点として使用するのだと思う。先ほど、災害時のための訓練を行うという話もあったが、防災公園という災害時にシビアなやり取りを行う場所を、PFI方式で運営したいという民間事業者がそもそも出てくるのか。
【理事者】
災害時には拠点として運用するため、一定期間、収益事業ができなくなるという特殊性がある。これまで考えてきた収益性を前提として運営するBTコンセッション方式では、厳しい環境も相まってハードルが高まる。
一方、従来型のBTO方式であれば、ヒアリングの状況から特殊性を織り込んだ上で参入意欲が見込めるものと判断した。
【委員】
以前のBTコンセッション方式では厳しいが、今のBTO方式であれば見込めるのではないかとのことであるが、前提として考えてほしいのは、これは防災拠点の整備であって、本来運動公園とか屋内運動施設は、比重がどちらも重く、メインは防災拠点の整備である点をしっかりと打ち出すという、見極めが本当は欲しい。
先ほどの委員の質問にもあったが、工事に関して今回、県発注の部分とPFIが整備する部分が混在することになるが、こうした事例は今まであるか。
【理事者】
施設を整備する場合、状況に応じてPFI事業と直接発注を組み合わせて実施する手法もある。群馬県前橋市の前橋市新設道の駅整備運営事業では、カフェ、コンビニエンスストア、温浴施設をBTOの独立採算型で整備するとともに、観光案内所や駐車場、芝生広場などは、PFI事業者が作成した基本計画に基づいて市が直接発注し、運営をPFI事業者に委託している。
本県でも、スタートアップ支援拠点整備等事業において、建物はBTコンセッション事業者が建築し、建物内の展示スペースの展示物は、県が別途発注して工事を実施した。
【委員】
今、事例を答弁してもらったが、そもそも、整備するのは基幹的広域防災拠点である。通常時に普通に運営できる施設とは違うものを整備する中で、例があるのかを知りたかった。また、県発注とPFI事業者が整備するものが混在すると、工事の中で意思疎通がうまくいかず、様々なトラブルが起こると思う。県発注の部分を請け負う事業者からは、PFI事業者と比べて、下請ではないという意識が出てきて、無理なことを言われても、反発しかねないことを考えると、不安であるため、事業者にも、県民の命を守るための防災拠点の整備であることを意識してもらえるよう、前面に打ち出してほしい。
また、この方式でよいのかという不安を拭えず、建設材料とかや物価上昇の先行きがどうなるか分からず、見通せないのが現状だと思う。内閣総理大臣の一言で株価も変わり、円高、円安も、現在、相当振れている。この先どういった経済状態になるか分からない局面で、県が発注する方が、積算から工事まで確実に短く済み、事業費の乖離も少なくなるのではないかと思うが、どうか。
【理事者】
設計後に発注する直接発注方式と、設計前に発注するPFI方式を比較すると、発注から着工までの期間が短い直接発注のほうが事業費の乖離は少なくなると思う。
一方で、直接発注でもPFI発注でも、物価の変動に対してはスライド条項を設けていくため、もともとの事業費の設定やスライド条項の発動の基準日が適切に設定されていれば、最終的に事業者に支払われる契約金には差がない。
【委員】
当初のスケジュールから遅れているのが大前提であるため、これ以上不落等が原因で遅れることがないよう、しっかり進めてほしい。
改めてスケジュールについて、防災公園のスケジュールそのものはどのようになっているか。
【理事者】
今回の補正予算が議決された後に、本年10月から来年1月にかけて事業費の検証、マーケットサウンディングを行い、4月に実施方針の公表、7月に入札公告を行う予定である。その後に落札者の決定、特定事業契約の締結及び手続を進め、設計、建設、開業準備で3年を確保し、2029年度上半期の完成を目指している。
【委員】
これ以上遅れることがないよう、しっかりと進めてほしい。
委員の質問にもあったが、防災公園の南側に整備が予定されている豊山町事業の進捗状況はどのようになっているか。
【理事者】
豊山町は、防災公園の南側に、アリーナ及びにぎわい施設からなる、臨空第2公園の整備を予定している。整備内容は、基本計画案として取りまとめられ、先月パブリックコメントが実施された。
【委員】
豊山町事業の進捗状況を踏まえて、豊山町事業とどのように連携して事業を進めていくのか。
【理事者】
県は、豊山町事業の検討と並行して、今後、第2期の防災公園の整備に向け要求水準書の内容を整理していくため、豊山町事業との間でどのように相乗効果を高めていくか、そして、平常時においても災害時においても、どのような連携ができるかをしっかりと検討していきたい。また、その内容については、豊山町議会や、地域住民にも適宜丁寧に説明を行い、理解を得ながら進めていきたい。
【委員】
地元の豊山町と連携して丁寧な説明を行い、うまく事を運んでほしい。豊山町と連携していく中で、先月、県の発表で、基幹的広域防災拠点の用地の取得に関して、用地調査や物件調査の委託事業者が管理するサーバーに対して不正アクセスがあり、個人情報漏えいの恐れがあったことが発表された。これはシビアなことだと思う。用地調査、物件調査したところの情報がもしもということになれば、豊山町との関係に少しひびが入らないか、影を落とさないかが、非常に心配であるが、どのような状況か。
【理事者】
この事案については、本年9月12日に、県の公共事業に関わる用地や物件の調査を受託している柴山コンサルタント株式会社が管理するデータサーバーに第三者から不正アクセスがあり、個人情報が漏えいした恐れがある旨を愛知県建設局が取りまとめて記者発表したものである。同社の委託元の一つとして、基幹的広域防災拠点の用地取得に係る事業も含まれていた。
この事案は、同社がデータを管理するサーバーの一つに対して第三者からの不正アクセスがあったもので、愛知県警察で被害届を提出した上で、同社が調査を進めていた。調査の結果、県の公共事業に関わる用地や物件の調査対象などの名前や電話番号、住所などのデータを保管するサーバーには直接不正アクセスはなかったが、被害を受けたサーバーと同一のネットワーク上に接続されていたことから、県としても対象者に注意喚起するために記者発表を行った。
【委員】
記者発表後、現時点で個人情報漏えいは確認されたのか。
【理事者】
現時点では、個人情報が漏えいした事実は確認されていない。
【委員】
現時点で確認されていないと安心したが、こうした問題は非常にシビアで、信頼関係が壊れるのは、こうしたことが始まりになるかと思う。今後、豊山町の事業と連携を図っていく上で、しっかりと再度信頼関係を築き、民間業者任せにせずに、責任を持って事業に取り組まれることを要望する。
【委員】
第128号議案、令和6年度愛知県一般会計補正予算のうち、愛知県基幹的広域防災拠点整備事業について伺う。
事業内容について、第2期工事として、災害時には自衛隊等、これは消防、警察になると思うが、ベースキャンプ用地や支援物資の受入れ・供給に必要な物資ターミナルの役割を果たす防災公園の整備及び運営を行うためのアドバイザリー契約を締結し、事業者の選定を行うものであるかと思う。
もともと防災公園、消防学校の整備を設計・施工・運営を民間の知見を期待して一括発注する計画であったものが、入札の不調、不落となって事業単位や手法を見直し、今回、防災公園部分について、より参入がしやすいように建築工事と造園土木工事を分離発注するとのことであり、屋内運動施設など建築工事を含め、県が直接発注すれば、より工期が短縮できると理解した。このことについて、なぜ一部県が分離発注することに変更したのか。
【理事者】
防災公園の事業方式としては、運営維持管理に関する創意工夫など民間ノウハウを設計段階から反映することができ、安定的な運営や事業コストの削減が期待できることからBTO方式を基幹とした。
建築工事については、工事着工から完了まで約2年の期間を想定しており、BTO方式の対象とした場合、県が直接発注する場合と比較して入札手続に必要な約半年の期間が不要となるため、その分短縮できるものと見込んでいる。そのため、建築工事についてはBTO方式の対象とした。
【委員】
では、造園土木工事を県が直接発注するのはなぜか。
【理事者】
防災公園の整備は、屋内運動施設と公園管理事務所の建築工事、多目的広場や駐車場等の造園土木工事と複数の工種にわたる。工種を整理し、造園土木工事を県が直接発注することで、設計・建築工事の運営管理をできる事業者であれば手を挙げることができるようになり、複数の工種を一括して発注するよりも参入が容易になるものと考えている。
なお、設計については、防災公園全体の設計をPFI事業者が行う。そのことにより、運営維持管理を見据えた事業コストの削減や、運営維持管理に関する創意工夫を設計に生かすことができるといったBTO方式のメリットは維持することができる。
【委員】
全体を設計させて、その一部、造園土木だけを県が直接発注することで、その分だけでも期間が短くなると思う。
今回の事業計画では、建築工事をPFI請負事業者、造園土木工事を県が直接発注して実施するとのことだが、現場では既に、元の平面図を見ると、大山川の洪水調整池、これが地下埋設型であるため、この工事が既に昨年8月から始まっている。さらに今回の工事エリアの中でも、開発行為に伴うものだと思うが、地下埋設型の調整池工事も本年2月から行われている。そして造成工事は、用地買収が終わったところからの造成工事であり、既に三つの工事が重なってスタートしているところに、今後行う建築工事、造園土木工事が上乗せされる。
これらをどのように整理していくのか。一つの元請で全部整理していれば調整できるが、既に三つも工事が発注されており、その上にさらに工事を発注するとなると、大変複雑な工事管理が要求されると思うが、どのように工程管理を行うのか。
【理事者】
現在、用地を取得した箇所から順次、盛土や排水路、調整池の整備など、事業用地としての造成工事を進めている。これらは今後、公園の設計が終わるまでに完了する予定である。建築工事と造園土木工事については、その後に着手するので、今行っている造成工事と錯綜することはない。
建築工事と造園土木工事は、事業時期にかかわらず同時期に並行して行われることとなるが、PFI事業者が工事着手前までに、工事が錯綜することのないよう県と調整の上、実施体制や工事工程の内容を組んだ施工計画書を作成し、着手後は当該施工計画書に基づき工事の進捗を管理していく。
【委員】
地下の工事があったり平面工事があったりと、最終的に建築であれば、基礎工事も行うため、かなりの客土が出てくると思う。その客土を利用して埋め立てるのが一般的な手法だと思うが、無駄がないよう、最大限の努力をしてもらうように要望する。
次に基幹的広域防災拠点における、災害時の拠点指揮運用機能について伺う。
本県では、災害発生時には、災害対策本部を県庁の中に設置し、知事を本部長として被害情報の収集や市町村への支援が行われるが、愛知県基幹的広域防災拠点の拠点指揮運用機能はどのようなものであるか。
【理事者】
基幹的広域防災拠点では、自衛隊、警察、消防などの全国からの応援部隊や、国からのプッシュ型の支援をはじめとする支援物資を受入れ、被災地に送り出すという機能や、広域搬送拠点臨時医療施設(SCU)を設置する機能などを有する。
これらの機能を十分に発揮していくには、発災後24時間体制で部隊や物資を受け入れるスペースの割当てや調整、入退場の許可など、人や物の流れのコントロールや拠点運用に必要となるインフラ、ライフラインの維持などを拠点において自律的に実行していくことが必要となる。そうした拠点運用上の機能を指して指揮運用機能と表現している。
【委員】
校舎の中の一部は、おそらく指揮運用機能になる部屋があると思うため、アドバイザリー契約の中でしっかり取り組んでほしい。
愛知県基幹的広域防災拠点において平常時に行う、イベント、防災ビジネスについて、ここはあくまで防災目的のための公園ではあるが、どのようなものを行うのか。いろいろあると思うが、県として想定しているイベントや防災ビジネスを伺う。
【理事者】
イベントは、防災フェスタや総合防災訓練をはじめ、県民参加型の防災イベントの定期的な実施や、小中学生などを対象とした防災普及啓発や近隣大型施設と連携した合同イベント等の実施を想定している。
防災ビジネスとしては、防災企業展、防災スタートアップ、産業振興、新産業創出の場の提供を想定している。
【委員】
最終的には防災に関わるものであると理解したが、民間事業者は、それ以外にも収益を考えながら検討すると思う。
ここはそもそも、防災目的、消防学校目的であり、行政財産になる。それで、今後設置条例が制定されなければ、県の行政財産になり得ないため、防災から極端に外れるような場所にならないようにしてほしい。県民の安心・安全の拠点であるため、条例制定も十分に検討し、いち早い開業と運営がされるよう要望する。
【委員】
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業について伺う。
先ほど委員から、今後のスケジュールについて質問があった。当初の構想段階では、2026年度中に完成させるという話だったと思うが、早期整備を図ることは非常に重要だと思っている。本会議でも述べたが、災害はいつ起こるか分からないこと、また、このお盆に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)があり、南海トラフ地震も切迫した状況に本県はあることを県民の多くが改めて認識する中で、県民の命を守っていく施設をいかに早く整備を進めていくかが非常に重要になると思う。委員の質問では、この2期の公園事業に関するスケジュールを聞いたが、1期工事と併せて基幹的広域防災拠点になるため、1期工事、2期工事がそれぞれいつ完成し、当初の予定からどのくらい遅れるが、ここまでにはしっかりと完成させるという県の考え方を示してほしい。
【理事者】
消防学校と防災公園をいつまでに整備するのかだが、本県の防災拠点は、県民の生命、財産にとって大変重要な施設であるため、できるだけ早期に整備したい。
まず消防学校は、2028年度中の完成を目指している。防災公園は、それから約半年遅れて2029年の上半期を完成時期として目指していく。
【委員】
当初の構想から何年、どのくらい遅れるのか。
【理事者】
一番最初の構想から考えると、消防学校は3年、防災公園は3年半となる。
【委員】
県民の命を守っていく拠点が3年以上遅れることは、議会としても本当に重く受け止めなければならない。今考えているスケジュールをきちんとこなしてもらわないといけない。これから民間とアドバイザリー契約を結び、民間の提案募集を求めていくとのことだが、また民間の提案募集が不調に終わることがあれば、どうなるのか想定はあるか。
【理事者】
現在、考えている手法は最適な手法と考え、今議会へ上程している。
【委員】
これから整備を進めていく上で最適な手法とのことだが、1度目の不調、2度目の不落、次は3度目の正直になるが、これ以上の遅れがあってはいけない中で、やはり県による努力が必要だと思っているが、アドバイザリー契約を結んで民間提案募集を進めていく上で、これ以上遅らせないために何が必要なのか、そのためにどういう努力を図っていくのか、しっかりと答えてほしい。
【理事者】
不落を受けて、現在、民間事業者に幅広くヒアリングを行っており、その中で、事業者の幅広い参画を促して競争性を確保できる事業単位、手法を検討した。ついては、今回BTO方式に変えたが、そこについては、県がしっかりと要求水準書に思いを書いて、それを民間事業者にしっかりと示し、県が主体性を持って取り組んでいきたい。
【委員】
アドバイザリー契約を結び、民間の提案募集に至るまでの間が非常に重要だと思っているため、県が主体性を持って、考えを反映させていき、これ以上事業に遅れがでないような対応を求めていく中で、先ほどの委員からの質問にもあったように、アドバイザリー契約を結んで、新たな事業を行っていく上で、要求水準書などの見直しにも着手するという話があった。
これについて、大変気にかかる部分がある。昨年の総務企画委員会でも、県外調査等の結果を踏まえて、例えば今回の公園事業の部分は、物資輸送拠点となる屋内運動施設について、岩手県で‟ツガワ未来館アピオ„ 岩手産業文化センターを視察し、応援物資を搬入する入口及び出口と、搬入経路がしっかりと2か所確保されなければいけないことや、屋内運動施設の1階フロア部分に物資をため込み、それが巨大に積み上がっていく中で、物資管理に当たって、1階部分から同じ目線で見ると積み上がってる部分しか見えず、全体の把握ができないため、上部フロアから、物資の全体管理ができるような視点を持てる施設にしてほしいなど、様々な調査を踏まえた、議会、委員会としての意見を県に伝え、県もこれまでの要求水準書の中には、議会の意見もしっかりと踏まえて要求水準書を策定し、民間提案を求めてきたと認識している。
このため、単に要求水準書の見直しを行っていくと簡単に言われると、非常に懸念がある。これまでの議会の意見、調査を踏まえた意見や県が主体性を持って行うべき部分を、今後もアドバイザリー契約を結ぶ中において、どのように考えを反映させていき、堅持していくのか、その考え方を伺う。
【理事者】
これまで議会から様々な意見をもらったが、それらは重く受け止めて、しっかりと要求水準書に明記したい。
【委員】
今話した公園施設の屋内運動施設について、入口、出口と搬入口を2か所確保する考え方や、応援物資を上部フロアから全体管理していくという考え方については堅持していくのか、それとも民間提案募集により、より効率的な方法があれば変えるのか、この2点について事前に伺いたい。
【理事者】
屋内運動施設については、議会から指摘されたことを反映し、出入口を複数設置することや床の耐荷重等についてプランを練った。それについて、今回要求水準書を見直すに当たり、その考え方を変えることはないため、PFIの中のコンセッション方式からBTO方式に切り替わる、方式を変えることで、これまで民間事業者の自由度に任せていた部分をしっかりと書き込むことでそごがないようにしたい。
【委員】
今、防災部長から、これまでの議会の提案はしっかりと反映させていくという考えを聞いた。
先ほどの委員からの質問の中で、県の直接発注とPFI事業者が整備するものが混在するような事例が何かあるのかという問いに対して、群馬県の前橋市の前橋市新設道の駅整備運営事業という話があったが、これは防災拠点とは別のもので方式のことだけであり、これまで議論してきた中での愛知県基幹的広域防災拠点に、今までの概念になかった道の駅ができたりするという考え方はないことだけ確認したい。
【理事者】
あくまで今回整備するものは防災拠点である。先ほどは手法の中での質問であったため、道の駅という形で答えた。
【委員】
先ほどの道の駅は、整備手法の他の事例であり、道の駅というキーワードがあったわけだが、これは別のものだと理解した。
最後になるが、やはりこの事業に対しては、県民の信頼が非常に大事だと思っている。これまで当初予定していたスケジュールよりも3年以上遅れてしまうことに対して、県民は信頼を損ねている部分もあり、先ほどの委員からの最後の質問で、情報漏えいの恐れがあるという懸念についても、県民側からすると不信。特に今回情報漏えいの恐れがあるという部分については、事業地のこれまで連携してきた豊山町に関連する内容でもあるため、この事業に対する信頼を回復しながら、取り戻しながら事業を進めていかなければならないと思っているが、今後の整備の進め方について、県民の信頼を得ながら、また、豊山町との連携を深めることで、地元に対する信頼もしっかり得ながら、県は今後どういう努力を図りながらこの事業を進めていくのか。
【理事者】
これまでの経緯、また、今回の不正アクセスも踏まえて、今後どのように事業を進めていくかについて、私どもも、厳しい市場環境の中とはいえ、事業の完成が当初から3年、昨年度の状況からも消防学校で2年遅れる形に延びていることについて、大変重く受け止めており、そういったことに対してしっかりと事業環境をヒアリングし、最善の手法として本年6月、そして今回議案を提出している。
防災拠点としての効果をできるだけ早期に発揮できるようにしていくことが我々の使命だと思っているため、それができるようにしっかりと、今後、市場環境等の変化も的確につかみながら事業を進め、一つ一つ提案して、議論を進めていきたい。
また、そうした形で事業をしっかりと進めて、防災目的としての効果を十全に発揮させることが、今回貴重な土地を提供してもらった地元の方、また、豊山町関係者に対しても、信頼を回復していく最大の取組だ。
豊山町当局とは、豊山町事業も並行して進むこととなったため、事業の進捗を共有しながら、一体的に効果が発揮できるような事業整備の方法に向けて、定期的な意見交換の場を持っており、また、日常的にも担当者が相互に意見交換しながら、あるいは一緒に作業しながら事業を進めているため、組織を挙げて意思疎通を図りながら、同じ場所での事業も成功させていけるよう、しっかりと取り組んでいきたい。
【委員】
いろいろと説明があったが、一番残念なのは、1回目の不調、2回目の不落の原因について何も説明がない。また、昨年の総務企画委員会の中で図面を出してほしいと言ったが、今回、変更があったのか。建築工事を二種類取り上げるとのことだが、どの図面が変わったのか説明がない。
【理事者】
これまで、総務企画委員会の場で何度か資料を提出した。土地の仕様に関しては一切変えておらず、工期について消防学校部分を第1工期、それ以外の防災公園部分を第2工期と分けたという点が図面上変わっている。
【委員】
その辺りの説明も何も無かった。またスライド方式があると、3割金額を上げてもよいような説明があったが、これも今まで説明がなかった。なぜ、今回スライド方式の話を出したのか。これまでの不調の際にも、3割までは金額を積み上げられたにもかかわらず、手続上、なぜ行ってこなかったのか。契約上は、金額が足りない場合は3割までは許可なく積み上げられるが、なぜこうした安易な発言がすぐに出るのか。この辺りが不信感を持つ一番の原因である。きちんと説明して理解した上で行うのであればよいが、突然降って湧いたようなやり方である。
図面上は、防災部長の発言のとおり最初の図面から何も変わらないということでよいか。
【理事者】
平面計画については変わらない。
【委員】
PFIを含んだ新方式をどこに入れるのかの説明がないが、どうなっているのか。
昨年の総務企画委員会では、図面も出さずに説明がなされ、図面を出したら説明ができなかった。本当に内部で詰めてコンサルタントのように提出するのか、今回も方式が見えない。新しい方式というが、説明を聞いても分からない。やったこともないし聞いたこともない。本当に誠実に取り組むなら、やり方をきちんと説明できないのか。説明ができないのに採決してほしいといわれても、どのようにやるのか。これまで、2年間不調・不落にしてきて、また不調になった場合、議会の責任になる。もう少し真剣になって真心を込めた説明、誰もが理解できるような説明をしてほしい。委員の質問でも、うやむやな答弁であった。人の命を預かる施設を造るにもかかわらず、あやふやな説明でよいのか。
また、災害時の司令塔についてだが、なぜ防災拠点に持っていかないのか。京都府では今の消防学校の中に、司令塔をはじめとした全ての機能が集まる組織となっており、道路状況をはじめとした全てが把握できる。局長は京都府の消防学校を見たことがあるか。
【理事者】
京都府の消防学校は見ていない。
【委員】
愛知県は、基幹的広域防災拠点に災害対策本部が無く、自治センターにどういった機能がつくのかも分からない。道路形態はどうなるのか、また司令塔はどちらになるのか。現在、行おうとしているのは二股である。
【理事者】
災害時の物流における司令塔の機能をどこに置くかという質問について、現在、防災物流に関する司令塔機能として、全体の物資の受入れ計画、配送計画、それから配車等も含めた全体の計画があり、災害対策本部の中に災害物流のチーム、プロジェクトチームを、本部チームを置く。そこに物流の専門家なども派遣し、計画をつくっていく。
この場合、移送経路等の問題も出てくるため、災害対策本部の中にある、その他の関係機関、地整や自衛隊といったリエゾン、派遣職員などとも情報交換しながら最適なルートをつくり、運ぶという、全体の統括は災害対策本部で行うことを想定している。
一方、現在5か所ある物資拠点について、今後、豊山町の拠点に、県域全体が被災した場合には一任化することを想定して準備しているが、そこでは広域物資輸送拠点の運用をしていくチームをそのときに編成・派遣して、司令塔役には、受入れ、集積、払出しといった実務の指揮ができる専門家の派遣を求めて、その人の助言の下でオペレーションを行うことを考えている。
また、もしも自治センターの災害情報センター本部が被災して、使えなくなったときのために、愛知県基幹的広域防災拠点においても、バックアップ機能を持たせる形で計画をしており、要求水準書等にも明記している。
【委員】
機能が二つあっていいのか、委員の質問にもあったように、司令塔についてもどの部分を県が主導するのかが分からない。体育館なのか。防災拠点の仕様に係る問題も聞いたことがない。昨年、詳しい話は一度もなかった。
恐らく、昨年の説明と比較してずれがある。どの時点から変わったのか、説明されず分からないまま、急きょ降って湧いたような説明をしている。
執行部側も同じであると思う。これまで主体で取り組んでいた職員が今はいない。防災部長も下支えしておらず、主体で行っていた職員が誰もいない。本年3月まで、愛知県基幹的広域防災拠点事業を主体で取り組んでいた職員はいるのか、手を挙げてほしい。
【理事者】
防災拠点推進室計画グループの班長である。
【委員】
自分はこの職員を知らない。職員を全て入れ替えた結果、昨年度までの説明からかなりずれている。最初から防災拠点が完成するまで同じメンバーで突き進んでほしいが、一番大事なときに人が変わった。
では、‟ツガワ未来館アピオ„ 岩手産業文化センター及び宮城県消防学校の調査についてはどのように聞いているか。
【理事者】
昨年度の総務企画委員会県外調査の結果について、施設等のコントロールについてはPFI事業者と食い違う点があること、また資機材等についてもなかなか更新がされないとことから、消防学校として苦慮している点があると聞いている。
【委員】
宮城県消防学校で一番困っていたことは、PFIにして、自分たちが緊急の場合に意見が通らないことである。また、指揮者も、日本通運株式会社のOBが仕切ったとのことである。道路に物資輸送トラックを並べるという話もあったが、体育館の運営については誰も知らない。宮城県でさえ苦労しているにもかかわらず、愛知県基幹的広域防災拠点が完成した後、発災時に愛知県トラック協会が本県全体の物資管理を本当に仕切れるのか。
【理事者】
緊急物資の運用について、全体の統括は本県災害情報センターの中にできるプロジェクトチームで対応するが、そこにも愛知県トラック協会から物流専門家の派遣を求める。
広域物資輸送拠点についても、県の職員が責任を持って対応するが、愛知県トラック協会及び東海倉庫協会の協定に基づき、物流専門家、作業指揮者を派遣することになっている。
そうした職員は、トラック協会の会員事業所に勤務している物流に携わっている人の中で、専門研修を受けた人をリスト化してあるため、その人に協力を仰ぐという方法を考えている。
【委員】
理解ができないため、採決できない。以前の総務企画委員会でも図面がなく、持ってきても説明ができない状況であった。もう一度確認するが、そのときの図面から何も変わらないということでよいか。
【理事者】
令和6年2月定例議会総務企画委員会において、複数枚にわたる資料を提出し、平時、災害時、それぞれのレイアウトで愛知県基幹的広域防災拠点の平面計画を示した。その際に示した土地の用途、使い方については一切変えていない。
【委員】
昨年3月の説明までは室長が行い、なぜ突然防災部長及び防災安全局長が急遽答弁するのか。プロである防災拠点推進室長が責任を持って答弁すればよいのではないか。
また、スライド方式という発言が気になる。契約金額の3割の上積みが当たり前だという方式だが、安易に発言したことが一番心配である。腹を割って事業者と話ができていない証拠だと思う。不信感があり採決ができない。
【委員長】
先ほどの委員からの質問に、答弁することはできるか。答弁に検討を要するように伺えるため、暫時委員会を休憩したいと思うが、異議はないか。
(異議なし)
【委員長】
異議なしと認める。
理事会の開催についても検討をしたいため、この後、理事の方は集まってほしい。委員長が理事者の答弁の検討状況を確認でき次第、委員会の再開時刻を委員各位に知らせる。
(休 憩)
【委員長】
委員会を再開する。まず、理事会にて協議した結果、昨年度からの変更等について、資料に基づき説明を求めることとして、異議はないか。
(異議なし)
【委員長】
異議なしと認める。
それでは質疑に戻るため、答弁願いたい。
【理事者】
配布資料は、本年3月15日の総務企画委員会で配布した資料と同一のものである。
2ページ、災害時のコンセプトとして、右側に支援部隊エリア、左側に支援物資エリアと記載しているが、これについて図面の変更はない。
4ページ、平常時のコンセプトの図面を示しているが、右側の上の方に多目的広場1、多目的広場2がある。これは平常時のスポーツ施設として使われ、BTコンセッション方式の場合は、自由な収益事業を展開できるという点があるが、今回のBTO方式では、県で仕様あるいは料金設定をするという部分が変更となった。
また、2回の不調、不落の原因だが、1回目の入札では、参加者が全て辞退したため不調となった。2回目の不落は、予定価格の範囲内に至らなかった。その背景となった現在の市場価格を調査し、愛知県基幹的広域防災拠点の早期整備に向けて事業者に幅広い参画を促し、競争性を確保できる事業手法や単位を検討するために、幅広く民間事業者にヒアリングを行った。その結果、建築資材が高止まりしていることに加えて、電気、通信、空調を担う事業者の不足、あるいは2024年問題に起因する慢性的な人手不足が生じて、さらなる価格上昇や建築工事に影響が生じていることが分かった。今回の入札では、そうした要因が働いたものと考えている。このため、3回目の入札に向けて競争性が確保できる事業手法、事業単位を検討し、本年6月及び9月定例議会の提案に至った。
【委員】
先ほども質問したが、2回の不落、不調の原因についての答弁があったが、スケジュールをこれ以上遅らせるわけにはいかないため、今回、どういった調査を行い、どのように反映すれば、次の3回目は確実に成功するのか。これからが大事な勝負であり、前回、前々回の反省を踏まえて、どう生かしていくのか、もう少し具体的に、間違いないと納得できる形で、改めて説明してほしい。
【理事者】
厳しい市場環境を踏まえて、昨年度までをベースとしながら、変更部分をしっかりと事業費検証あるいはマーケットサウンディングをして、事業者からしっかりと聞き取りを行い、反映することで3回目に臨んでいきたい。
【委員】
端的な答弁であったが、しっかりと検証して、民間公募を行う前までに固めていくことが、遅れを生じさせない最大のポイントになると思うため、2回の失敗を踏まえて、3回目は必ず成功して事業を着実に進め、取り組むよう要望する。
【委員】
詳しい図面の提示があったため、再度確認したい。
PFI事業者による工事と県発注の工事が混在するという答弁があったが、図面の中で、県発注の工事は造園土木工事となっているが、エリアとして想定される部分はどの辺りか。
【理事者】
4ページの平常時のコンセプトで説明する。道路を挟んで左側に屋内運動施設がある。ここと北の方の道路に管理事務所、更衣室等があるが、この駐車場の横にある建物を建築工事として考えている。それ以外の平場の部分、左から人工芝広場、舗装広場及び駐車場、右の方では多目的広場1、2、芝生広場を造園土木工事として考えている。
《一般質問》
【委員】
災害対応力の向上について伺う。
8月8日に宮崎県で発生した地震では、気象庁が南海トラフ地震臨時情報を発表するなど、改めて巨大地震発生への不安が強まっている状況であるほか、近年、毎年のように日本各地で局地的な大雨被害が発生している。今後も大雨等による浸水や土砂災害の発生に大変不安を感じる状況が続くと思うが、改めて自然災害の怖さや、自然災害から人命や財産をしっかりと守る取組の重要性を再認識している。
そうした中、先日、総務企画委員会県内調査で、能登半島地震において、災害現場の第一線で活躍した自衛隊や、緊急消防救助隊として活躍した名古屋市消防局中村消防署から、様々な写真を交えて説明してもらった。災害現場では、車両や重機が使えない状況が多く、人海戦術となっていることや、通信システムを確保することが改めて課題であることが、自分なりに整理できた調査であった。そこで、今後の災害対策について、二点伺う。
まず一点目に、現在、輸入車や自動車用の用品販売をしている株式会社ホワイトハウスが、本年7月29日に総務省消防庁の緊急消防援助隊車両の小型救助車として、ポラリス・レンジャーを全国の消防本部に納入したことを発表した記事を見た。このポラリス・レンジャーは、タイヤ交換の要領でクローラーに換装することが可能であり、雪道やぬかるみ、瓦礫の上などタイヤでは進入困難な場所でも自走が可能である。また、このポラリス・レンジャーは実績として令和3年7月静岡県熱海市土石流災害で唯一動ける車両として活躍し、その実績が国に認められたことから、今回、全国配備に向けて、自治体への緊急消防援助隊車両としての導入が決定されたとのことである。既に山形県や和歌山県、広島県の消防本部に納入済みであると聞く。
消防本部へのポラリス・レンジャーなどの緊急消防援助隊車両の配備について、どのような制度として配備され、どのように管理されているのか。
【理事者】
緊急消防援助隊の車両の配備の制度について、山形県等に配備された小型救助車は、令和4年度補正予算により国が購入し、消防組織法第50条の規定による国有財産等の無償使用制度を活用して当該消防本部に配備されたと聞いている。
国の無償使用制度により配備された車両は、配備先の消防本部が災害時に的確に運用できるよう、配備された車両を使用して日々の訓練を行うとともに、当該消防本部の負担で維持管理を行うこととなっている。
なお、国が無償使用車両を配備するに当たっては、配備する車両の仕様や必要となる維持管理費等を示した上で、各都道府県を通じて各消防本部に対して配備意向の調査を行っており、国は、配備を希望する消防本部の中から、これまでの配備の状況、各地域の災害リスク、地域バランスを考慮して配備先を決定している。
【委員】
国の無償使用の制度による車両という説明だったかと思うが、本県にも無限軌道災害対応車(レッドサラマンダー)など活躍している車両もあると思うが、実際、本県には現在どのような車両が配備されているのか。
【理事者】
国の無償使用制度により、本県の消防本部に対して15台の車両が配備されている。具体的には、豊田市消防本部に配備されている、機動力や登坂能力に優れた小型の救助車、岡崎市消防本部に配備されている大型水陸両用車、通称レッドサラマンダー、それから尾三消防本部に配備されている重機及びその搬送車などがある。
【委員】
先ほど触れたポラリス・レンジャーは、災害対策として非常に有効な車両であると感じているが、国の無償制度による本県への導入に向けて、どのように考えているか。
【理事者】
令和7年度消防庁予算概算要求においては、人員の搬送や資機材搬送が可能で機動性の高い小型車両を配備する旨の記載がされており、今後、小型救助車が追加で配備される可能性がある。
本県としては、国の動向を注視するとともに、国から無償使用車両の配備希望の照会があった際には、県内消防本部へ照会し、必要な車両が配備されるよう国に働きかけていく。
【委員】
次に、災害現場での通信システムについて伺う。災害現場での通信システムは、支援活動に必須となるが、最近は特に有効な情報手段としてスターリンクがかなり注目されていると思う。アメリカ合衆国の民間企業、スペースXが運用している衛星インターネットアクセスサービスと、これを実現する衛星コンステレーションという通信手段として実績がかなり広く活躍していると聞いている。本県としても早期に導入して、備えていくことが必要であると考えるが、スターリンクの導入に向けての考えを伺う。
【理事者】
政府の能登半島地震の対応に係る検証では、多くの孤立集落が発生し、十分な被害状況の把握が困難な中、スターリンクなどの新技術が効果を発揮したと報告されている。このため、本年6月及び7月に通信事業者の協力を得て、スターリンクなどの災害対策用通信機器のデモンストレーションを実施し、市町村へ紹介するなど、情報収集と市町村との情報共有を進めている。
今後は、本年11月に愛西市で実施する津波・地震防災訓練において、スターリンクを活用した通信訓練を検討しており、実地にその有効性を検証していく。
【委員】
最後に要望する。日本は国土の約75パーセントを山地が占めている。年間降水量も世界的に平均を大きく超えており、災害大国と言われている。改めて、大規模自然災害に備える取組の加速化、進化が必要であり、事前対策や発生後の処置について、最低限必要な対策のめどをしっかりと明確にしながら、日々の生活での備えを行うことが重要だ。
また、そうした中、今後の防災対策の強化という視点でも、特に地域の人が生活している生活環境の状況を理解しながら、警戒情報や災害のアンテナを高くしながら素早く避難するという意識づけや訓練を行うことも大切なソフト対策であると感じている。防災安全局だけでなく、横のつながりを太くして、地域での防災に向けた意識づけをしてほしい。
【委員】
愛知県防災ヘリコプターについて伺う。
愛知県防災ヘリコプターは、令和4年度から名古屋市に運航委託して、本県では名古屋市の保有する消防用ヘリコプター2機と、愛知県防災ヘリコプターの3機運用となっている。当初はベル412EPIのパイロットについて、機体の耐空検査などの期間に養成して、昨年度からダブルパイロット体制を確保して対応していると聞いている。
そこで、先月9月に発生した能登豪雨における愛知県防災ヘリコプターの出動及び活動状況を伺う。
【理事者】
令和6年9月20日からの能登半島における大雨において、消防庁の求めにより、運航委託先の名古屋市消防航空隊の運用の下、9月22日から23日まで、愛知県防災ヘリコプターが輪島市及び珠洲市において孤立集落における救助活動を実施した。
【委員】
あまり報道がなかったため、改めて質問したが、出動したということで理解した。
次に、本県が民間航空会社に委託して運航した場合と、名古屋市へ委託した場合の対費用効果はどのようであったかを伺う。民間航空会社へ委託していた時期は、耐空検査等の期間は代替機で運航していたため、単純比較にならないと思うが、予算・決算ベースでよいので説明してほしい。
【理事者】
まず、名古屋市への運航委託による効果についてだが、2人操縦士体制の確保について、委託開始時点から順次パイロットの採用を進め、わかしゃちの運航資格の取得もスムーズに進んだことから、現時点でほぼ全ての消防ミッションに2人操縦士体制で対応できるまでになっている。
次に、夜間運航について、夜間対応可能なヘリポートでの夜間離着陸訓練を重ねることにより、県内で夜間運航を行うエリアを順次拡大している。また、日没前に出動した複数の事案において、日没後も継続して活動し、実際に日没後の三河山間地域での山岳救助等に大きな効果が表れた。
また、長期運航休止について、名古屋市への委託前、2021年度の運航休止は84日間であったが、県と名古屋市の計3機のヘリコプターを用いて一体的に運用する体制を整えたことで、2023年度の運航休止は7日間であった。
費用については、2021年度の民間航空会社との運航委託契約額が1億7,552万7,000円であったが、事務委託に伴う初期費用がおおむね平準化した2024年度の名古屋市への運航委託費予算額は1億6,717万円と、ほぼ同額程度となっている。
2人操縦士体制の強化、確保、夜間運航の再開、長期運用休止期間の減少といった効果が得られていることから、名古屋市の運航事務委託は対費用効果としても成果が上がっていると考える。
【委員】
改めて安全運航に万全を期して展開してほしい。
最後に要望する。本年元旦に発生した能登半島地震、また能登豪雨の愛知県防災ヘリコプターの活動状況が報道されていない。例えば、緊急消防援助隊愛知県大隊として出動した場合、本県として包括的に報道対応を行い、県内各消防本部の出動状況や活動状況を県民に広く周知し、また各消防本部にも写真や活動状況を共有して、個別の報道対応の参考とされるような取組を行ってほしい。
今後も緊急消防援助隊としての愛知県大隊の出動が予想されるため、スターリンクなど通信手段の確保と現地との連携を高めるよう要望する。
【委員】
本県の災害時応援物資の物流体制の見直しについて伺う。
昨年度の本委員会における県外調査において、いわゆる岩手方式の調査を行い、それを踏まえて昨年10月12日の本委員会において委員から災害時物流体制について質問があったが、その際、より一層効率的な輸送体制を構築するため、現行の広域物資輸送拠点や地域の拠点の活用も含めた県全体の物流体制の全面的な見直しを行うという答弁があった。
そこで、今後の見直しについて県の考え方を伺う。まず、災害物流を考えていく上で最も大きな要素となるのは、国からのプッシュ型で届く物資をいかに滞りなく被災地、被災者に届けるかである。そこで、現在の本県の災害物流の基本的な流れを確認する。
【理事者】
災害物流の基本的な流れは、南海トラフ地震における愛知県広域受援計画に定めている。国からプッシュ型で届く支援物資は、まず県の広域物資輸送拠点に届けられ、そこから各市町村の地域内輸送拠点に配送し、さらにそれぞれの避難所に配送するというのが基本的な流れとなっている。
【委員】
この体制の中で、国、県、市町村が連携して、それぞれの役割をしっかり果たしていくことが重要になるが、災害物流における県の具体的な役割を説明してほしい。
【理事者】
県では、広域物資輸送拠点において国から配送される支援物資を受入れ、それを市町村の地域内輸送拠点へ配送している。また、プッシュ型のほかにも、県の備蓄物資や災害協定に基づいて調達した物資を市町村へ配送する。
【委員】
広域物資輸送拠点がキーワードになってくると思う。これまでも委員会で説明してもらっているが、現在の広域物資輸送拠点はどこに開設するのか、改めて確認する。
【理事者】
現在、県内の5か所に広域物資輸送拠点を位置づけている。長久手市の愛・地球博記念公園、豊橋市総合体育館、みよし市の中部トラック総合研修センター、名古屋市の中小企業振興会館、それから愛知県一宮総合運動場の5か所である。
それぞれ、どの市町村に物資を配送するかをあらかじめ決めており、愛・地球博記念公園、中小企業振興会館、一宮総合運動場の3か所からは名古屋市とあま・知多を含む尾張地域へ、中部トラック総合研修センターからは西三河地域へ、豊橋市総合体育館からは東三河地域へ、それぞれ配送する計画となっている。
また、この5か所が被災するなどして利用できない場合に備えて、代替拠点として、現在の愛知県体育館、名古屋市国際展示場、金城ふ頭の5号、6号、12号上屋、岡崎中央総合公園、大高緑地の5か所を定めている。
【委員】
今、応援物資をどの市町村に配送するかをあらかじめ決めているとのことであったが、広域物資輸送拠点では、どういった種類の応援物資を取り扱うのか。
【理事者】
国が定めた南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画に基づき、避難者への支援に不可欠と考えられる物資8品目が広域物資輸送拠点に対してプッシュ型で国から送られることになっている。食料、毛布、乳児用の粉ミルク・液体ミルク、乳児・小児用のおむつ、大人用のおむつ、携帯トイレ・簡易トイレ、トイレットペーパー及び生理用品の8品目となっている。
【委員】
いわゆる国からのプッシュ型支援における応援物資8品目の説明があったが、災害の状況によって被災地、被災者のニーズは大きく変化が生じると思う。
そこで、国からのプッシュ型支援だけではなく、こちらの災害時のニーズに応じた、いわゆるプル型の支援も求められると思うが、プッシュ型支援以外の応援物資はどうなるのか。
【理事者】
プッシュ型支援物資以外についても、応援協定に基づいて協定事業者から調達する物資、あるいはプル型で国から届けられる物資も扱うことを想定している。また、企業などから義援物資として送られるものも、受入れを希望するもの、しないものを選定しながら受け入れていく。
【委員】
県が備蓄している物資や民間からの義援物資も含めた、物資の配分、輸送の手段といった手配等は誰が行うのか。
【理事者】
県災害対策本部のプロジェクトチームとして設置する緊急物資本部チームにおいて、市町村の需要を把握し、物流専門家の協力の下で物資の配分計画、配送計画を立案していく。
【委員】
災害対策本部のプロジェクトチームが対応するとのことだが、広域物資輸送拠点の実務は誰が行うのか。
【理事者】
5か所の広域物資輸送拠点には、物資搬送チームとしてあらかじめ登録をした県職員が参集する。ここには愛知県トラック協会及び東海倉庫協会から、協定に基づいて全体の運用や入荷、出荷などについて助言を行う作業指揮者が派遣される。さらに、フォークリフトや資機材のオペレーター、技能者についても併せて派遣され、緊急物資本部チームによる配分計画、配送計画に基づき、物資の入荷、出荷、在庫管理を現場で行うこととなる。また、物資搬送チームには作業指揮者の助言を得て現場指揮に当たる拠点のリーダー、拠点長の下に、総務班、管理調整班、入荷管理班、出荷管理班、警備班の五つの班を配置しており、1か所の拠点当たり90人から160人程度の体制で実務を行う予定である。
【委員】
昨年度行った、いわゆる岩手方式の調査状況を踏まえると、県職員のみでオペレーションをしっかりと機能させることは困難であると思う。物流事業者には、具体的に何を担ってもらうのか。特に岩手方式の調査で一番大事だと感じたのは、議案質疑でも指摘があったように、司令塔である。司令塔の役割を担う人の派遣について、どのように取り決めているのか。
【理事者】
本県では、2014年に東海倉庫協会と災害発生時等の物資の保管等に関する協定を締結し、2016年には愛知県トラック協会との災害時等における物資等の緊急輸送等に関する協定の見直しをしており、災害時の連携の実効性を確保している。災害時には、この協定に基づいて緊急物資本部チームに物流専門家を派遣し、物資の配分・配送計画の立案に協力してもらう。
また、広域物資輸送拠点には司令塔となる作業指揮者を派遣してもらい、入荷、出荷の現場指揮について助言をもらい、フォークリフトをはじめ資機材の提供や、オペレーターなどの技能者を派遣してもらう。
先ほどの答弁とも重なるが、司令塔となる作業指揮者は、愛知県トラック協会において専門研修を受講した、トラック協会会員をあらかじめリスト化しており、そのリストを中心に、被災状況などを考慮した上で人選して、現場に派遣してもらうことを考えている。
【委員】
岩手方式の調査では、岩手県トラック協会の当時の常務、現在の専務から話を聞き、司令塔の役割が非常に重要であることがよく分かった。県職員が担っている業務を全て‟ツガワ未来館アピオ„ 岩手産業文化センターに集めて指揮を取ってもらったから、うまくオペレーションが回ったことを認識することができた。先ほど、現在リスト化をしていて、リストを中心に被災状況などを考慮して人選して派遣するとのことであったが、昨年度の状況と比べると、司令塔となる人材確保及び育成が非常に重要であるという認識をしていると思う。
例えば、現在災害が起きたとして、五つの広域物資輸送拠点に迅速に司令塔を置き、指揮にしっかりと入ってもらい、実務的な機能を果たしてもらうことが非常に重要であるが、例えば今、どのようなリストからアプローチをかけて人選を行い、派遣していくのか。手続の流れに関して実際のシミュレーションがしっかりとできてるのか教えてほしい。
【理事者】
リスト化された人に対する発災時のアプローチは、愛知県トラック協会と日頃から意見交換をして、発災時に効率的、実効的に派遣できる体制を構築している段階である。
【委員】
まだしっかりと固まっていないのだと思う。これを迅速に実効的に行うことが、災害物流体制の大きなポイントになるため、全体的な見直しは今年度取り組むと思うが、その中でも重要な位置付けとして、愛知県トラック協会からの派遣体制を構築してほしい。岩手方式は東日本大震災の教訓である。本会議においても令和6年能登半島地震の教訓を踏まえた本県の地震防災対策について質問したが、教訓については、本県から被災地に派遣した職員からのヒアリングなどに基づく独自の検証を行って取りまとめをしている、という答弁であった。令和6年能登半島地震の教訓を、今後の見直しに反映させてほしいが、令和6年能登半島地震での災害物流ではどういった課題があったのか、県の認識を伺う。
【理事者】
令和6年能登半島地震では、災害物流に関しても様々な課題が指摘されている。いくつか取り上げると、輸送の実務は自治体の職員だけでは、配送手段の確保や物資拠点の管理が困難であったこと、作業の現場でパレット積みでない物資が送られ、人力での荷下ろしに労力を費やしたこと、また出荷後のレンタルパレットの行き先の特定に労力を費やしたとのことである。
また、配分計画や配送計画に関しては、国のシステムが活用されておらず、紙やメールといったアナログな方式に頼らざるを得ず、ニーズの把握や物資の内容、輸送手段、到着時刻などの整理に混乱があったと聞いている。
さらに、支援の規模や期間については、発災翌日の第1便の到着から、最終的に82日間という、これまでにない規模のプッシュ型支援が行われたこと、そして、プッシュ型支援に加えて、自治体、企業等から事前に十分な調整なく物資が搬入されたことで現場が混乱した。このような課題が政府の自主点検レポートにおいても挙げられている。
【委員】
教訓として、自治体職員だけでは配送手段の確保が困難であったことや、パレット積みでない物資が送られてきて、人力による荷下ろしに労力を要したなど、様々な教訓、課題を教えてもらったが、こうした課題に本県はどのように対応していくのか。
【理事者】
今年度、愛知県災害物流円滑化検討会を設け、物流関係者、有識者、名古屋市、地域ブロックの代表市町の参画を得て、基幹的広域防災拠点の整備も見据えて、5か所の広域物資輸送拠点の役割、市町村の地域内輸送拠点を含めた災害物流体制の見直しを進めている。
まずは能登半島地震の課題に速やかに対応するため、今年度中に愛知県広域受援計画と災害物流マニュアルの見直しを行いたい。今月8日、来週になるが、豊橋市総合体育館を中心に東三河地区で実施する災害物流訓練においては、令和6年能登半島地震で課題となったパレットの活用、管理などの課題に対応するための取組も試行して、結果を検証する予定としている。
【委員】
今年度中に愛知県広域受援計画と災害物流マニュアルの見直しを行うとのことだが、災害はいつ起こるか分からないため、できるだけ速やかに、迅速に、対応してほしい。先ほど、豊橋市総合体育館に言及があったが、本年6月の総務企画委員会では、IGアリーナも災害時物流拠点として活用できないかという質問があった。その際に十分な回答を得られなかったと認識している。来年、IGアリーナが開業を迎えるが、IGアリーナを災害時にどのように活用していく考えか、しっかりと答弁してほしい。
【理事者】
IGアリーナは、事業者への要求水準書において、南海トラフ地震における愛知県広域受援計画の広域物資輸送拠点に位置づける予定があると明記している。現在の愛知県体育館は、広域物資輸送拠点の代替拠点として位置づけている。これに代わるIGアリーナの位置付けは、今回の災害物流体制の見直しの中で、愛知県トラック協会をはじめ物流専門家の助言も得ながら検討し、IGアリーナの開業までに結論を出していく。
【委員】
現在の愛知県体育館は、広域物資輸送拠点の代替拠点として位置づけられているが、IGアリーナが開設された際には、現体育館と同様に広域物資輸送拠点の代替拠点として考えていくのが基本なのか、それとも、現在五つある災害物資輸送拠点に加えた六つ目の拠点にしていくのか、まだ決まっていないと思うが、今後の県の考え方があれば教えてほしい。
【理事者】
IGアリーナの位置付けだが、愛知県災害物流円滑化検討会の中で検討を進めており、来年7月のIGアリーナ開業までに、アリーナが災害物流の上で果たす役割、活用方法について関係機関と十分に協議した上で、愛知県広域受援計画に反映していきたい。
【委員】
関係機関と協議した上でしっかり位置づけるとのことであるが、IGアリーナが名古屋市名城公園に所在することから、名古屋市との連携、名古屋市の考え方を、しっかりと取り入れていくことも重要であると思う。災害時におけるIGアリーナの活用について、今後名古屋市とどのような連携を図り、名古屋市の意見をどのように反映していくのか、県の考え方を伺う。
【理事者】
現在、名古屋市では、IGアリーナが所在する名城公園全体を消防、自衛隊、警察などの部隊が応援活動に備える場所である広域防災拠点に位置づけている。また、地震火災が延焼拡大した場合等に安全を確保するため、一時的に身を寄せる指定緊急避難場所にも位置づけている。
今後、IGアリーナを物流拠点としての機能を検討していくに当たって、名古屋市とも十分に意見交換しながら調整していく。
【委員】
名古屋市は、IGアリーナが所在する名城公園全体を指定緊急避難場所にも位置づけているため、名古屋市と連携を進めながら、今後の災害物流体制の見直しを行う上で、IGアリーナの開業を見据えて、具体的な見直しを行ってほしいが、これに取り組む県の考え方を伺う。
【理事者】
今年1月の能登半島地震においても様々な物流の課題が指摘されている。南海トラフ地震がいつ起きるか分からないという状況の中、県においても昨年度から災害物流の全面的な見直しを進めている。
今後も、現在進めている災害物流円滑化検討会を中心に、関係機関と十分に意見交換しながら、来年7月のIGアリーナの開業を見据えて、関係機関と意見交換しながら物流体制を見直し、愛知県広域受援計画などに反映して、実効性のある物流体制を構築していきたい。
【委員】
南海トラフ地震臨時情報について伺う。
南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域として、過去に大きな被害をもたらしてきた大規模地震である。過去の事例を見ると、これまで100年から150年の周期で大規模な地震が発生しており、1707年の宝永地震のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、マグニチュード8プラスの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりするなど、その発生過程に多様性があることが分かる。
地震調査研究推進本部の長期評価によると、マグニチュード8から9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70パーセントから80パーセントとされている。
本年8月8日、宮崎県で震度6弱の揺れを観測したマグニチュード7.1の地震において、気象庁は、南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして、2019年の運用開始以来、初めて南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表された。
そこで、南海トラフ地震臨時情報とはどのような情報で、どのような発表内容があるのか伺う。
【理事者】
南海トラフ地震臨時情報は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうかを調査開始した場合などに発表される。
臨時情報には、発表時に付記されるキーワードが四種類あり、それぞれ条件が定められている。監視領域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生した場合などにおいて、南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会が開催された場合には調査中が発表される。震源想定域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード8.0以上の地震が発生したと評価される場合には、巨大地震警戒が発表される。監視領域内においてモーメントマグニチュード7.0以上の地震が発生したと評価される場合などには巨大地震注意が発表される。いずれにも当てはまらない現象と評価された場合には、調査終了が発表される。
【委員】
今回、巨大地震注意が発表されたが、その後、県民に対してどのような周知啓発を行ったのか。
【理事者】
臨時記者会見やX、旧ツイッターやウェブサイトなどにより、県民に向けて、日頃からの地震の備えの再確認と、地震が発生したらすぐに避難できる準備をしてもらうよう知事メッセージを発信した。また、災害対策本部会議を開催し、県民に冷静で落ち着いた行動を呼びかけるとともに、避難所への経路確認や非常持ち出し品の用意など、地震への備えとして特に再確認してほしい事項を具体的に周知した。
こうした内容については、県各局から関係機関に対して周知するとともに、県内市町村に対してはオンラインでの説明会を開催して、臨時情報に関する正確な情報の伝達を徹底した。その間、外国人県民に対する易しい日本語や多言語での情報発信、外国人旅行者に対するウェブサイトを通じた注意喚起にも取り組んだ。また、県公式ウェブサイトのトップページに地震への備えを分かりやすく解説したパンフレットも掲載した。
【委員】
次に、巨大地震警戒が発表された場合には、県民はどのような行動を取ることになるのか。また、取るべき行動をどのように周知啓発していくのか伺う。
【理事者】
国が作成した、南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドラインによると、巨大地震警戒の発表時には、国から避難等が呼びかけられることとなっている。現行のガイドラインでイメージとして示される対応としては、まず国から地方公共団体へ、後発地震に対して警戒する措置を1週間取るように指示が出される。また、国から国民に対して、地方公共団体の避難情報等に注意すること、家具の固定など日頃からの地震の備えを再確認することが呼びかけられる。さらに、津波の到達までに避難が間に合わないおそれがある地域の人などには、1週間避難を継続することが呼びかけられる。
本県では、そうした地域が事前避難対象地域として13市町村で指定されている。県民が南海トラフ地震臨時情報発表時に防災対応や事前避難行動などに関する正しい知識を持ち、日頃から地震への備えに取り組んでもらえるよう、県政お届け講座やウェブサイト、啓発チラシの配布、地震体験車による模擬地震体験などによる周知啓発に努めていく。
【委員】
今回の南海トラフ地震臨時情報の発表により、臨時情報に関しての認知度が深まったと思うが、事前避難などの認知度はまだ十分ではないと思う。今定例議会の一般質問でもあったが、南海トラフ地震臨時情報の発表に関して国の検証があるため、動向を踏まえて、分かりやすく県民に周知するよう要望する。
次に、災害時におけるトイレカーの活用について伺う。災害時のトイレの問題について、令和6年能登半島地震では、断水が長期化し、トイレが利用できない状況が続いたことが、避難生活で不便なことのうちの一つであった。発災直後に必要となるものを改めて考えると、食料や飲料水は、命をつなぐために欠かせないものとして必要性が広く理解され、家庭でもそれなりに備蓄が進められている。
それでは、トイレはどうか。熊本地震の被災者を対象に実施された調査によると、地震発生から3時間以内にトイレに行きたくなった人の割合は39パーセント、6時間以内では73パーセントに上ったとされている。人は、食事したり水を飲んだりするため、併せて排せつについても考えなければならない。災害時とはいえ生理現象を抑えることはできないため、切実な問題である。
私は、能登半島地震発災直後の2月2日から4日まで、穴水町の避難所にてボランティア活動した。避難所で支援物資の説明を受けた際に、担当者から、食料品の支援物資は届くがトイレはすぐに届かない。食事と排せつのどちらが我慢できないかというと、食事より排せつのほうが我慢できない。そこで、食料品とトイレカーはセットで支援してほしいと話していた。
能登半島の多くの避難所では、備蓄されていた携帯トイレや、建設業者から供給された仮設トイレ等を使うことでしのいでいたが、加えて移動式のトイレ、いわゆるトイレカーの活躍を報じるニュースが頻繁に見られた。移動式トイレとは、トラックと携帯トイレ部分が一体化した自走式の車両や、コンテナ式トイレを車で牽引するトイレトレーラーなどがあり、ここではこれらをまとめてトイレカーと呼ぶが、今回の地震では、高速道路会社や各地の自治体からトイレカーが派遣され、避難所などで被災者支援に役立てられた。
本年6月定例議会総務企画委員会で質問したが、本県では3市町村がトイレカーを配備しており、能登半島にトイレカーを派遣した市町村もあったと聞いている。
そこで、能登半島の被災地でのトイレカーの利用状況について、県では調査しているのか。
【理事者】
避難所の良好な生活環境のために、トイレが利用できる環境は極めて重要である。能登半島地震では、県内から刈谷市と阿久比町の2市町が保有しているトイレカーを被災地に派遣した。このうち刈谷市は、本年1月11日から石川県能登町の小学校にトイレカーを設置し、その後、4月2日からは能登広域勤労青少年ホームに移動し、合わせて約5か月の間、避難者の利用に供された。また、阿久比町でも本年1月26日から5か月余り、輪島市内の避難所にトイレカーを設置していた。このうち2か所で支援を行った刈谷市によると、冬の寒い時期には水が凍結してしまい、温めてからでないと流せないという不便はあったものの、洋式トイレが使える、またソーラー充電器によって電気も利用できる、そしてタンクから水を流すことができると、避難者には非常に好評であったと聞いている。
ライフラインが復旧していない状況の中でも、トイレカーを設置することで安心して清潔な環境で用を足すことができるため、避難所の良好な生活環境の確保につながるものと考えている。
【委員】
5か月もの期間にわたって被災地で支援活動を行うことは、そう多くはないと思う。今回のトイレカーの派遣は、とても貴重な支援の実績となったと思う。トイレカーを有している市町村はまだ少ないが、能登半島地震の被災地の様子を見て、今後整備を考える市町村も増加すると思う。トイレカーを整備する自治体が増えれば、大規模地震が発生したときに被災地外の自治体が被災地にトイレカーを派遣する相互応援も、さらに効果的に実施ができるようになる。
そこで、県として市町村のトイレカー整備の支援についてどのように取り組むのか伺う。
【理事者】
市町村のトイレカー整備を促すためには、トイレカーの機能や有用性について十分に認識してもらうことが必要である。このため、今月下旬に開催する市町村防災担当課長会議において、能登半島にトイレカーを派遣した自治体から、被災地での支援活動や平常時のトイレカーの維持管理などについて報告してもらい、市町村と共有していく。
また、県の南海トラフ地震等対策事業費補助金では、市町村のトイレカー購入に要する費用を補助対象としており、地方債などの財政措置と併せて市町村に情報提供していく。
今後も、トイレカーに関する動向や災害時の活用事例を市町村に情報提供するなど、トイレカー整備に向けた検討が進むよう支援していく。
【委員】
先日、地元の土木業者の社長とトイレカーについて話をする機会があった。社長からは、土木業者はもともと工事現場でトイレカーを設置するため、今後、民間事業者がトイレカーを災害にも派遣できるようになるために、行政による支援や、例えば総合評価落札方式でインセンティブになるなど前向きに考えるのであれば、官民でのトイレカーの普及ができるとのことであった。これも一つのアイデアだと思った。
いずれにしても、能登半島地震でトイレカーの支援が大きな被災地の支援になることが分かった。今回の答弁を元に、県内のトイレカーの普及が推進されるよう要望する。
最後に、被災地支援の経験、職員の経験や知見をどうフィードバックしていくかについて伺う。
熊本地震の際に九州地方の知事会が中心となり、被災市町村ごとに支援を担当する県を決める、いわゆる対口支援方式を採用し、応援職員の迅速な派遣で行政機能が持ち直したことから、総務省が支援に先立って現地に入る災害マネジメント総括支援員制度を2018年に立ち上げた。これまで国内六つの災害で派遣されたと聞いている。
総括支援員の登録は、応急対策職員派遣制度に関する要綱で、都道府県と政令指定都市の職員を基本としている。現在、47都道府県と20の政令指定都市全てに配置されているものの、登録者数は十分とはいえない状況だと承知している。
本年1月1日に発生した能登半島地震において、本県は、総務省からの応急対策職員派遣制度に基づき、1月3日から6月16日までの間、羽咋郡志賀町に対して災害マネジメント業務の支援を実施した。町長への助言や被害状況、応援職員のニーズ把握、関係機関や総務省との調整を行う総括支援チームとして県職員延べ104人を派遣した。また、避難所運営、住家の被害認定業務、罹災証明関係業務などを支援する対口支援チームとして、県職員及び県内市町村職員、合わせて1,035人を派遣した。被災地に派遣され、業務に当たった人に心から敬意を表する。
被災地支援での経験は、南海トラフ地震などの大規模災害が想定される、本県が被災した際の災害対応に非常に有効なものであり、生かしていくべきだと考える。
そこで、被災地支援の経験や知見を本県の災害対応にどのようにフィードバックしていくのか。
【理事者】
被災地支援に派遣された職員一人一人が得た経験や知見は、本県の災害対策にとって貴重な教訓となる。このため、本県から被災地に派遣した職員からのヒアリング等に基づく独自の検証を行い、教訓として取りまとめている。
今後は、こうした教訓を踏まえた具体的な対策を立案し、本年11月に取りまとめる予定の愛知県地域強靱化計画及び次期アクションプランの素案に可能な限り反映させていく。また、各種マニュアルへの反映など、本県の災害対応にフィードバックしていく。
さらに、今月弥富市で実施する被災自治体支援活動訓練においても、災害マネジメント総括支援員として被災地支援を経験した職員を派遣するなど、経験を本県の防災力の向上に生かしていく。
【委員】
委員からも、南海トラフ地震臨時情報の話が出ており、少し機運が高まっている中、国が被害想定の見直しを行う動きがあるようだが、それを受けて本県も見直しを行うと聞いている。今回見直しを行うのはなぜか。
【理事者】
国は、南海トラフ沿いで想定すべき最大クラスの地震・津波に対する被害想定を、2012年8月に1次報告として建物被害、人的被害を公表し、2013年3月に2次報告として施設被害、経済被害などを公表した。その被害想定に基づいて、2014年3月に南海トラフ地震防災対策推進基本計画を定め、計画期間を10年として地震防災対策を推進してきた。今年度、この計画期間の終期を迎えることから、防災対策の進捗を確認するためのフォローアップと、次の目標を定めるために、昨年から新たに被害想定の見直しが始められているものである。
【委員】
見直しをしながらも計画をつくるためかと思うが、今回の被害予測調査に関して、国のガイドラインは示されているか。
【理事者】
今回の調査に当たり、国からガイドライン等は示されていない。国の被害予測調査の見直しの検討は、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ及び南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会で行われている。本県としては、これらの検討状況などを注視し、参考にしながら被害予測調査を実施していく。
【委員】
ガイドラインが示されない中、県独自で被害予測調査を行うとのことだが、その意義はどこにあるのか。また、他県の状況はどうか。
【理事者】
国の被害予測調査の手法を基に、ゼロメートル地帯での浸水被害など、本県の地域特性を踏まえた被害想定を行う必要がある。また、国の被害予測調査結果は市町村単位での被害量を公表していない。市町村単位の詳細な被害量は、具体的な対策を実施するために必要であることから、県においても調査を実施する必要がある。また、他県の状況としては、静岡県や三重県、和歌山県などの南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村を有する県では、本県と同様に県で被害予測調査を実施していくとのことである。
【委員】
その調査の内容だが、具体的に10年前と同じようなことをやるのか、何か違うのか。
【理事者】
被害想定としては、南海トラフで実際に発生した過去の地震規模を重ね合わせた過去地震最大モデルと、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの理論上最大想定モデルの二つのモデルについて、振動や液状化、崖崩れ、津波などを予測する。この地震動や津波などに伴って発生する人的被害や建物被害、ライフライン被害、火災発生、避難者数などの調査項目を市町村単位で予測する。
10年前の被害予測調査との違いは、前回の調査以降に公共工事などで新たに得られたボーリングデータなどを用いて、全県域で新しい地盤モデルを構築する。その地盤モデルを活用して、より精度の高い被害予測を行う。さらに、この10年間の建築物や堤防の耐震化などハード対策の進展状況や、最新の人口分布などを用いて、より実態に即した被害予測を行う。また、前回の調査からの変更点は、新たに平成28年熊本地震や令和6年能登半島地震において課題となった災害関連死についての被害予測を実施する。
さらに、前回の調査地震モデルは、南海トラフを震源とする巨大地震が一度に発生するという想定となっていた。しかし、過去の事例では1854年の安政東海地震、安政南海地震が約32時間の間隔をおいて発生したこと、1944年の昭和東南海地震、1946年の昭和南海地震が約2年間の間隔をおいて発生したことなど、南海トラフの東側と西側において時間差で地震が発生した事象があることから、時間差発生地震についても被害予測調査を実施する。
【委員】
調査結果はいつ発表されるのか。
【理事者】
今年度と来年度の2年にわたって調査を実施し、2026年6月頃に開催予定の防災会議での公表を予定している。
【委員】
2年もかかるのか。
【理事者】
今年度は地震動などの計算をするために、公共事業などにおいて実施しているボーリングデータを収集し、新たな地盤モデルの構築を行う。また、人的被害や建物被害、ライフライン被害、火災発生、避難者数などの予測を行うために、建物に関するデータや人口データなどを収集し、250メートルメッシュごとにデータを整理するなど、被害予測に当たっての準備作業を行う。来年度は、今年度の調査結果及び収集したデータを基に、人的被害や建物被害、ライフライン被害、火災発生などの要素を予測し、被害を算出する作業に1年を要することから、2年の調査期間が必要となる。
【委員】
時間がかかることはよく分かった。では、調査結果の活用方法を伺う。
【理事者】
今回実施する被害予測調査の結果から得られた課題や対策は、本県の地震防災対策に反映し、充実強化を図っていく。また、地域特性を踏まえた市町村ごとの詳細な調査結果を示すことにより、市町村及び防災関係機関の地震対策に広く活用してもらい、県全体の地震対策の推進につなげていく。さらに、県民自らが防災対策を進めるための参考資料として活用することができるよう、ウェブサイトなどにおいて調査結果を公表する。
【委員】
時間をかけて相当な労力で人を集めたスタッフが調査することになるが、被害予測調査を作って終わりではないため、あくまでデータを集めることによって被害想定し、少しでも減災させることが大事である。いかに防災計画につなげていくかを、今から考えて計画をつくってほしい。2年の調査をしてる間に大地震が起きるかもしれないので、悠長なことを言ってられないが、南海トラフ地震の場合は相当大きな被害が出ると言われているため、どう未然に防ぐか、しっかりと対策を組み、どう県民に周知するのか、市町村とどう連携して対策を打つのか、今から検討することを要望する。