委員会情報
委員会審査状況
総務企画委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月7日(月) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
今井隆喜、日高 章 正副委員長
水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、デジタル戦略監、総務部長、財務部長兼財政課長、
人事局長、人事管理監兼人事課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、
人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、議会事務局長、同次長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 入
第4条(県債の補正)
第136号 財産の売払いについて
第155号 教育委員会の委員の選任について
第156号 監査委員の選任について
第157号 公害審査会の委員の選任について(二宮善彦)
第158号 公害審査会の委員の選任について(石川敦男)
第159号 公害審査会の委員の選任について(堀 礼子)
第160号 公害審査会の委員の選任について(長谷川ふき子)
第161号 公害審査会の委員の選任について(片山直美)
第162号 公害審査会の委員の選任について(石川恭久)
第163号 公害審査会の委員の選任について(小松義典)
第164号 公害審査会の委員の選任について(中野正樹)
第165号 公害審査会の委員の選任について(大門裕之)
第166号 公害審査会の委員の選任について(服部千鶴)
第167号 公害審査会の委員の選任について(平林拓也)
第168号 公害審査会の委員の選任について(工藤順子)
第169号 公害審査会の委員の選任について(久保美紀)
第170号 公害審査会の委員の選任について(柘植 覚)
第171号 公害審査会の委員の選任について(中村修一)
第172号 土地利用審査会の委員の選任について(青山 晃)
第173号 土地利用審査会の委員の選任について(山崎勝美)
第174号 土地利用審査会の委員の選任について(水野ひろみ)
第175号 土地利用審査会の委員の選任について(木村修二)
第176号 土地利用審査会の委員の選任について(柳原光芳)
第177号 土地利用審査会の委員の選任について(生田京子)
第178号 土地利用審査会の委員の選任について(中川弥智子)
第179号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 入
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号、第136号及び第179号
全員一致をもって同意すべきものと決した議案
第155号から第178号まで
○ 請 願
第 36 号 「『消費税5%引き下げを求める意見書』採択を求める」について
第 37 号 「『インボイス制度廃止を求める意見書』採択を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第36号及び第37号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 行財政について
2 国際交流の推進について
3 地域振興について
4 地域及び県行政の情報化の推進について
5 防災対策及び安全なまちづくりの推進について
6 政策企画局、総務局、人事局、防災安全局、会計局、選挙管理委員会、監査委員及び人事委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(27件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(2件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 閉会中継続調査申出案件の決定
7 閉会中の委員会活動について
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
来年度の予算編成に向け、今年度の当初予算で多額の取崩しを計上した基金残高の回復を図るため、本年度内の一層の財源確保に努めるとの発言が大村秀章知事からあった。起債してでもやらなくてはならない事業があり、その中で様々な形で県債が活用されていると認識している。
STATION Aiの財源に関する資料では、地域活性化事業債が活用されているとのことだが、どのような県債なのか。
【理事者】
地域活性化事業債は、ベンチャー支援、創業支援施設の整備等の地域の資源を活用する事業に充当可能な地方債である。充当率は90パーセント、普通交付税措置率が30パーセントと有利な地方債となっている。
【委員】
例えば、起債対象事業費が100万円の場合、充当率が90パーセントであるため、90万円を地域活性化事業債で起債し、その90万円に対して普通交付税措置率が30パーセントであるため、27万円が地方交付税として措置される。したがって、90万円の起債に対して63万円の実質的な借金で済むという理解でよいか。
【理事者】
そのとおりである。
【委員】
今回の補正予算では、国からの内示増に伴う公共事業の増額補正などが大きくなっており、歳入においては、その財源となる県債が89億円と最も多くなっている。県は従来から必要な公共投資に対し、交付税措置のある有利な県債を活用しながら対応すると説明しているが、地域活性化事業債以外に何か有利な県債を活用しているのか。
【理事者】
投資的経費に充てる通常の県債の中には、事業内容により、後年度における元利償還金に対し、国から交付税措置の財政支援を受けることができる有利な県債があることから、本県においては、必要な公共投資を進めるに当たり、可能な限りこの有利な県債を活用している。
今回の補正予算案においても、交付税措置のある有利な県債を活用することができる公共事業や県単独で実施する治山事業、信号灯器のLED化等に要する経費に充当する県債については、それらの県債を活用している。
【委員】
信号灯器のLED化に要する経費にも交付税措置のある県債を活用しているとのことだが、信号灯器のLED化については、視認性が高まることから交通事故の抑止が期待できるとともに、電気代の節約にもつながるものであり、有利な県債を活用して着実に進めてほしい。
そこで、信号灯器のLED化に要する経費に充当する県債に対する交付税措置は、どのような内容になっているのか。
【理事者】
信号灯器のLED化については、交付税措置のある脱炭素化推進事業債を活用して進めている。脱炭素化推進事業債については、地域活性化事業債と同様、信号灯器のLED化に要する経費の90パーセントに充当することができ、その30パーセントが交付税措置される。
【委員】
今後も有利な県債を活用し、県の財政負担を抑えながら、地域の資源を活用する事業や脱炭素化のほか、県民の安心安全な暮らしを確保するための防災・減災対策や公共事業などを積極的に進めてもらうよう要望する。
【委員】
第136号議案の財産の売払いについて、木曽岬干拓公共施設用地の一部の用途廃止に伴い生じた未利用地を売払いするという議案だが、木曽岬干拓地とはどのような土地か。
【理事者】
木曽岬干拓地は、愛知県弥富市と三重県木曽岬町及び桑名市にまたがる干拓地であり、全体の面積は約443.4ヘクタールである。そのうち、愛知県側が約80.9ヘクタール、三重県側が約362.5ヘクタールである。
この土地は、もともと農林水産省が農業の近代化及び経営の安定化を図るため干拓したものである。その後、名古屋市を中心とした経済圏が大きく広がり、都市化が急速に進んだことから、その時代変化に対応した干拓地の有効利用が求められ、2001年3月に本県と三重県がそれぞれ国から買い受けたものである。
【委員】
本県と三重県にまたがる、三重県側が相当広い面積を有している土地だと理解した。
今回売り払う木曽岬干拓地の土地の現状はどのようか。
【理事者】
木曽岬干拓地の今回売却する土地については、2014年度までに三重県と共同で5メートルの盛土を行い、更地となっている。その後、直近では土地の一部について、企業の資材置き場や駐車場として有償で使用許可していた。
【委員】
駐車場等で利用していたということだが、なぜ今回のタイミングで土地を売却するのか。
【理事者】
今回売却する土地については、三重県が民間へ分譲を進めている工業団地に隣接しており、愛知県有地について、駐車場や資材置き場として企業からの購入意欲が示されたため、この機会を捉え、売却しようとするものである。
【委員】
未利用地は県内にどれだけあるか理解できていないが、大切な財産であるため、今後もしっかりと管理してほしい。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
行革大綱は、行政改革を通じて効率的・効果的な行政運営を目指すものであり、AIやデジタル技術の活用がその一環として位置づけられている。
次期行革大綱では、AIやデジタル技術をどのような位置づけにして、どのような分野で活用する計画なのか。また、行政手続のデジタル化などのデータの活用環境をどう整備していくのか。
【理事者】
次期行革大綱については、本年9月13日に中間取りまとめを公表したが、社会全体でのDXの推進が求められていることなどを踏まえ、三つの改革の視点の一つにDXのさらなる推進を掲げ、デジタル技術を積極的に活用し、県の業務やサービスを変革することで、より効率的・効果的に実施し、県行政の質を向上させていく。
また、中間取りまとめにおいては、9本の主要取組事項の第1の柱にDX・業務効率化・行政サービスの向上を掲げ、取組内容としては、急速に進化する生成AIを活用した業務の高度化・合理化や、税務や県民生活、福祉、農林水産、建設、教育、警察などの県政の様々な分野におけるDXの推進などを位置づけ、デジタル化・DXの推進による業務効率化や行政サービスの向上に積極的に取り組んでいく。
取組の詳細や実施スケジュール等は、現在、庁内で検討中だが、今後、様々な方面からの意見を聴きながら、本年12月の行革大綱策定に向け、取組の具体化や充実を図っていく。
【理事者】
行政手続のデジタル化については、申請・届出のオンライン化、収納事務のキャッシュレス化、電子契約の導入など、県民の利便性向上に向けた取組はもとより、内部処理に関しても、画像や文字をデジタル化するAI-OCRや定型処理を自動化するRPA等を活用するなど、業務の効率化に取り組んできた。
また、各所属の抱える行政課題を解決するため、ICTを活用した解決策を有する企業等を募集・マッチングするAICHI X TECH事業においては、AIやメタバースなど新しい技術を活用した実証実験も進めている。
次に、データ活用環境の整備については、観光振興施策において、ビッグデータである携帯電話の位置情報を分析し、対象者に向けた効果的なPRやプロモーション活動に活用することや、県が保有するデータを公開して活用できるようにする取組として、愛知県オープンデータカタログサイトを構築し、機能の改善や公開データの拡大に取り組んできた。
引き続き、生成AIをはじめとするAIやデジタル技術を活用することで、行政手続のデジタル化を一層進めるとともに、データを効果的に活用できる仕組みの構築などに取り組んでいく。
【委員】
DXがどれぐらい進んでいるのかが重要である。それが、次期行革大綱がどういう位置づけで、どれぐらい進めるかに関係してくると思うが、現状のDX化、AIの活用状況はどのようか。
【理事者】
生成AIについては、今年度から各所属で活用できるよう環境整備し、これから活用していく段階である。
その他のデジタル技術についても、現計画では、まず音声認識システムによる議事録の省力化、2020年度にはRPAの導入、またその翌年度にはビジネスチャットの導入、昨年度からはノーコード・ローコードツールやAI-OCRで、順を踏んで取り組んできた。
取組の状況としては、例えばリードタイムでは、この4年間で約13万5,000時間削減し、現計画5年間での目標である15万時間に近づいており、徐々に整備し、活用している状況である。
【委員】
AIは、特定のタスクを効率的に処理する能力を持つ技術であるが、汎用人工知能(AGI)は、あらゆる知的タスクを人間と同等にこなすことができるAIを指し、現在は研究段階にある。さらに進化した人工超知能(ASI)は、一説には人類の知能の総和の1万倍ともいわれる非常に進んだ人工知能である。これらの進化は、技術の進歩だけでなく、社会全体に対しても大きな変化をもたらすと考えられている。
AI技術がこれからAGIやASIに進化していく中で、本県の行政サービスや業務にも影響が出ると考えられるが、その技術進化に対応するために、次期行革大綱では見直し期間をどのように設定するのか。
【理事者】
次期行革大綱の計画期間は2025年度から2029年度までの5年間と考えているが、今回公表した中間取りまとめでは、計画期間内においても適切に見直しを行うことを明記している。
現行の行革大綱であるあいち行革プラン2020においても、2019年のプラン策定後に生じた環境の変化に対応するため、ウィズコロナ・アフターコロナへの対応、DX推進の取組、新規施策、環境変化等への対応の三つの視点を切り口に、計画期間の中間年に当たる2022年度に見直しを行っている。
AIの進化がいつ到来するかの予測は難しいが、次期行革大綱において、そのような生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な進化など、県政を取り巻く環境変化を注視しながら、行財政改革の取組状況に応じ、計画期間内であっても時宜を得た見直しを実施していく。
【委員】
愛知県という、非常に大きな行政組織では、すぐに方向転換はできず、特に社会的インパクトがあるような技術革新に対してすぐに対応できるとは限らないため、できるだけその変化を早めに察知することが、非常に大事になると思う。その上で、柔軟に計画を見直してほしい。
AI導入による業務の効率化と職員への影響のバランスについて、特に経験の積み重ねが失われるリスクについて伺う。
定型業務の中にも手続や問題解決の過程で得られる知識やスキルが存在する。例えば、書類処理や単なる問合せ対応など、日々の業務の積み重ねで職員が得る経験というものは、より複雑な問題に対処するための土台となるものだと思う。
AIが業務の多くを自動化すると、職員が新しいスキルを学ぶ機会が減少することも考えられる。特に情報収集やデータ分析といった業務の一部をAIが行う場合、職員がこれらのスキルを習得する必要がなくなり、専門的な知識を高めるチャンスが減る可能性がある。
そこで、AIを導入し、業務効率化が進む中で、職員の経験や判断力が落ちないよう、職員に必要なスキルや知識を補うためにどのような対策を取るのか。
【理事者】
昨年度11月に策定した生成AIの利用に関するガイドラインでは、生成された回答を利用する際の注意事項として、生成AIは業務執行に当たっての補助的なツールであり、過度に依存することのないように定めている。
職員は、これまでも日々の業務における企画立案や意思決定の過程などを通じて、経験や判断力を養っているが、このガイドラインの趣旨に沿い、生成AIをアイデアの創出や情報収集、データ分析等に有効活用して業務の高度化・効率化を図ることにより、職員がこれまで以上に企画立案等に注力できるようにしていきたい。
また、生成AIから精度の高い回答を引き出して有効に活用するためには、プロンプトと呼ばれる生成AIへの適切な指示の出し方が必要であるため、これを習得する操作研修を実施するなど、生成AIを活用するスキルの向上にも取り組んでいく。
【委員】
職員がより高度な業務や専門的な分野、政策立案に集中できるよう、どのような環境整備を行うのか。
【理事者】
将来的な人口減少社会を見据えると、本県においても、少ない職員でも質の高い行政サービスを持続可能な形で提供できるようにする必要がある。このため、まずは、次期行革大綱の計画期間において、AI、RPA、ノーコード・ローコードツール等のさらなる活用を推進し、より多くの定型業務等の効率化に取り組むことで事務リスクの低減を図りながら、職員が企画立案などの創意工夫を要する業務へ注力できる体制づくりを推進していく。
あわせて、今年度より本格導入している生成AIをアイデア創出や詳細な分析等に活用することで、創意工夫を要する業務等の高度化・合理化を図っていく。
なお、現行の行革大綱であるあいち行革プラン2020の計画期間においては、新型コロナウイルス感染症関連用務への対応などのため、職員1人当たりの時間外勤務時間数が増加傾向にあった。職員の心身の健康を維持するためには、時間外勤務を縮減していく必要もあるため、こうした観点からも、デジタル技術を活用した業務効率化に積極的に取り組んでいく。
【委員】
生成AIの回答が適切か否かについては、難しい判断を要すると思う。AIの判断が正確であれば問題は少ないが、AIも現在の精度では誤りやバイアスを含む可能性は十分にある。職員がAIに過度に依存すると、誤った結果に対して疑問を持たずに従う可能性が高まり、最終的にAIの判断ミスが拡大するリスクがある。
AIが出した判断に対してどのように職員が責任を持ってチェックするのか。
【理事者】
生成AIについては、インターネット上の情報を基に学習していることが多いため、多数派の意見に影響されやすいことや、学習データにないことは回答できないなど、その回答に偏見や誤りなどが含まれることを念頭に置く必要があると認識している。生成AIの利用に関するガイドラインでは、生成された回答を利用する際の注意事項として、生成AIが出した回答の根拠や裏付けを確認することや、生成物が既存の著作物に類似していないかの調査を職員自らが行うように定めている。
今後も研修の機会などを利用し、生成AIはあくまで補助的なツールであり、業務における検討・判断の責任は各職員であることを周知徹底していく。
【委員】
ファクトチェックについて、その能力は経験則に基づく部分は非常に大きいと思う。ファクトチェックする職員がどれだけ様々な角度から物事を見てきたのか、どのような経験をしてきたのかが非常に大きな判断材料となるはずである。
また、どのように経験値を上げていくかに加え、そのプロセスを明確にしなければ、この行革大綱はうまくいかないと思う。さらに、時代が変化する中、その技術を取り入れるだけでなく、それに対し、本県職員がどのように変わり、適応していけるかが非常に重要になる。
そのため、今回の行革大綱は、特に人材という部分に関して非常に力を入れ、しっかりと取り扱ってほしい。今後、細かい取組について明記していくと思うが、その点を重視しながら取り組んでもらうことを期待する。
【委員】
県庁組織の持続的な発展を目指すためには、二つの大きな意識の向上が必要である。一つは、安全や健康に働くことができるよう、県庁組織や職員個々人ともに意識の向上を図ること、すなわち身体的・精神的・社会的に良好な状態を指すウェルビーイングの実践である。もう一つは、住民の福祉の増進を図るという地方公共団体としての責務を果たすため、県民に信頼される行政運営を行うこと、すなわちコンプライアンスの徹底である。
ウェルビーイングというと職員の働き方がイメージしやすいと思う。職員に対する健康チェック、心理的安全性やポジティブメンタルヘルスといった心の健康増進、さらには職場や職員の安全意識の徹底が大変重要である。
そこで、職員が心身ともに健康で安心・安全に働けるよう、県としてどのような取組を行っているのか。
【理事者】
職員の身体の健康について、全職員を対象にした定期健康診断、医師・保健師による保健指導・健康相談など、疾病の早期発見と未然防止に向けた取組を行っている。
心の健康については、ストレスチェックの実施や教育研修、医師・保健師による相談窓口の設置、休職者への職場復帰支援など、メンタルヘルス不調の未然防止・早期発見・再発防止に取り組んでいる。
また、職員が心理的安全性を確保しながら仕事に取り組めるよう、管理監督者向けの研修などを通じ、風通しのよくストレスの少ない職場づくりを進めている。これらの取組は職員のメンタルをネガティブな状態から本来の状態に戻す取組であるため、職員や職場の強みを把握して伸ばすポジティブメンタルヘルスという考え方を、今後の教育研修に取り入れていくことを検討していく。
最後に、職場の安全性の確保については、執務室の照明・温度・落下物の危険など、安全衛生環境について、所属や産業医が定期的に職場巡視を行い、それぞれの課題を把握し、速やかな改善に努めている。
こうした取組により、引き続き職員の心身の健康の保持増進と職場の安全性の確保にしっかり取り組んでいく。
【委員】
積極的にそうした取組を進めてもらいたい。
次に、コンプライアンスについて伺う。コンプライアンスを訳すと法令遵守だが、実際には法令という範囲にとどまらず、様々な規則、倫理規範を遵守することも含まれる。そこで、今回の質問では、情報漏えい、ハラスメント、内部不正についても触れていく。まず、コンプライアンス全般に関する意識の浸透を図るための研修体制はどのようになっているのか。
【理事者】
職員のコンプライアンス意識を浸透させるため、繰り返し粘り強く周知していくことが大切である。
このため、まず、新規採用者から幹部級職員まで昇任時などに実施する指名研修において、必ずコンプライアンスや公務員倫理に関する内容を取り扱っている。さらに所属長、各所属で職場研修を担当する班長、新任出納員を対象としたコンプライアンス研修を毎年度実施しているほか、所属単位でも職場研修に取り組んでいる。
また、6月及び12月の職員倫理週間においては、ハラスメント対策や最近の不祥事事例をまとめた職場研修資料を各所属へ送付するとともに、職場またはグループ単位でその資料を活用するなどして倫理研修を実施し、職員の意識醸成を図っている。
こうした取組を絶え間なく行い、職員のコンプライアンス意識を高められるよう努めている。
【委員】
先日の9月定例議会本会議において、県内企業に対する情報漏えい防止への取組について質問し、警察本部長から主に広報啓発に関する答弁を得た。また、10月4日の総務企画委員会では、先月公表された県の業務委託先における個人情報漏えいの恐れに関する質疑もあった。
仮に県の保有する情報が漏えいした場合は、県民の信用を大きく失うことにつながる。職員による情報漏えい防止やサイバーセキュリティに対する意識向上を図るため、どのような取組を行っているのか。
【理事者】
職員による情報漏えいを防ぐための取組として、USBメモリ等の外部記憶媒体の利用をシステム上制限するとともに、特別に許可を得た場合を除き、データの書き込みを禁止するなどの対策を講じている。
あわせて、職員一人一人の情報セキュリティ意識を高めるため、新規採用時、採用3年目・7年目、役職昇任時といった節目に研修を実施し、情報資産の適正な取扱いをはじめとした、セキュリティ上、遵守すべき事項の周知徹底を行っている。
また、サイバーセキュリティに対する職員の意識向上のための取組として、ウイルス感染や情報漏えい等の原因となる標的型攻撃と呼ばれるサイバー攻撃に備え、不審なメールに対し、職員が常に危機意識を持って適切に対応できるよう攻撃を模した偽メールを職員に送るメール訓練を実施するなどの取組を行っている。
【委員】
サイバー攻撃も高度化しているため、こうした取組を絶え間なく実施してほしい。また、情報漏えいは、退職時も非常にリスクが伴うため、そうした点も留意してほしい。
昨今、行政や政治に関連したハラスメントについても報道が多く見受けられ、県民からの信用を大きく失っているように感じ、大変残念である。
そこで、ハラスメントに関する研修はどのように行われているのか。また、疑いありを含む、ハラスメントに関する窓口や相談者を守る仕組みというものはどのようになっているのか。あわせて、実際の相談件数を伺う。
【理事者】
ハラスメントに関する研修について、コンプライアンス研修の中で取り扱っている。例えば、所属長向けには、ハラスメント相談を受けた際の対応方法や注意事項など、一般職員向けにはハラスメントの定義や相談窓口の周知などというように、対象者に合わせた内容となるよう工夫をしている。
相談窓口については、人事課監察室、職員厚生課、各局の主管課、所属長、人事委員会に設置しているほか、公益通報制度の外部窓口を委託している弁護士も相談を受け付けるなど、相談者が相談しやすいよう幅広く設置している。
次に、相談者を守る仕組みについて、各種ハラスメントの防止のため、職員や所属長の責務や相談への対応等を定めた要綱を制定している。その中で、プライバシーの保護や不利益取扱いの防止などの規定を設けている。また、実際に事実確認の調査を行う際には、相談者の意向をしっかり聞き取り、最大限配慮して慎重に行っている。
最後に、ハラスメントに関する相談件数は、昨年度、監察室で受け付けた件数は21件である。
【委員】
組織内の不正行為は、ないことが一番望ましく、そのためにコンプライアンス意識の強化に努めていると答弁で確認した。
一方で、万が一に不正行為が行われていた場合には早期に発見し、是正を図ることにより、県民からの信用の失墜を防ぐとともに、組織と職員を守ることにつながることから、こうした体制の整備は極めて重要である。
そこで、疑いありを含む内部不正を正す体制、窓口や通報者を守る仕組みはどのようになっているのか。また、実際の通報件数を伺う。
【理事者】
内部不正を正す体制としては、愛知県職員等公益通報要綱に基づき対応することになる。具体的に、職員等から法令違反行為などに関する内部通報があった場合、公益通報として受理し、事実確認の調査を行った上、その結果に基づく措置を執ることになる。
公益通報の窓口は、内部窓口として人事課監察室、外部窓口として委託した弁護士において設けている。制度上、通報者の情報を知り得ることができるのは、要綱で公益通報管理者となっている人事局長、公益通報調査員である人事管理監、人事課長、人事課監察室の職員、外部窓口の弁護士のみとなっている。
なお、外部窓口の弁護士が公益通報を受けた場合は、公益通報管理者及び公益通報調査員も通報者の情報を知り得ることはない。
通報があり、公益通報の要件に該当する場合は、公益通報者保護法において、通報者への不利益取扱いや通報者を特定する情報の漏えいなどが禁止されており、本県の要綱においても同様の規定を設けている。
最後に、通報件数については、昨年度は2件である。
【委員】
最後に要望だが、職場に集う全ての人の安全や健康を第一に考える組織、そして、職員一人一人の安全と健康に対し、常に高い意識を持つことが、持続的に発展する組織として最も大切である。
また、憲法第15条第2項に、すべて公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない、そして、地方自治法第1条の2第1項には、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとするとある。職員、そして、議員は、このコンプライアンスに対して、より高い意識を持たなければならないと思う。
様々な取組が行われていることは確認できたが、常に高い意識を持ち続けるためには、こうした問題について短時間でも頻繁に考える機会を設けることが必要である。例えば、朝礼の時間を活用した気づきの発表や短時間の複数回にわたる学習の実践など、これまで以上に高い意識づけができるような取組の強化を要望する。
【委員】
政府は昨年7月、今後10年を目安とした国土づくりの指針である国土形成計画を閣議決定した。国土形成計画は、国の社会資本整備に関する各種計画の基礎であり、2015年以来8年ぶりに見直した。本計画は、人口減少等の加速による地方の危機や巨大災害リスクの切迫、気候危機、国際情勢をはじめとした直面する課題に対する危機感を共有し、こうした難局を乗り越えるため、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を定めるものである。
計画の内容について、新たな国土の将来ビジョンの大きな項目の一つに、巨大地震、気候危機、緊迫化する国際情勢に対する安全安心な国土づくりがある。災害等に屈しないしなやかで強い国土づくりが目標とされている。この計画を基に、現在では国土交通省中部地方整備局が中心となり、新たな中部圏広域地方計画を策定中であると認識している。
能登半島地震や能登半島豪雨など、地震や激甚化する自然災害への備えが喫緊の課題となっており、昨年閣議決定された第三次計画の策定時には、本県にも意見照会があったと聞いているが、県として防災の観点から国に対してどのような内容を意見したのか。また、その意見は国土形成計画に反映されたのか。
【理事者】
国土形成計画に対する本県の意見について、国土形成計画法に基づく手続に則り、国に対して計画提案を提出するとともに、計画素案への意見聴取に対して意見提出を行っている。
そのうち、防災の視点から、南海トラフ地震対策等の推進の項目について、ゼロメートル地帯におけるハード・ソフト対策の一体的な推進や、大都市圏の基幹的広域防災拠点の整備など、これまでの国への要請事項やあいちビジョン2030に盛り込んでいる主要な政策を踏まえ、本県の意見として提出している。
国からは、本県からの提案について、その趣旨を計画に反映したとの回答を得ており、例えば、施設の整備等による防災・減災・国土強靭化対策の項目に最大クラスの津波に対して、施設整備に加え、ハザードマップの周知、地域や事業者における避難計画の策定や避難訓練の実施など、ハード・ソフトの施策を組み合わせた多重防御により、被害を最小化し、津波防災地域づくりを進めるという形で反映されている。
【委員】
次に、現在、国土形成計画の地方版である中部圏広域地方計画の中で、防災についての方向性はどのように示されているのか、また、今後、県の防災関係の政策をどのように計画に反映させていくのか。
【理事者】
中部圏広域地方計画について、国土交通省中部地方整備局から中間取りまとめ案が示されており、それに対する意見を関係者から聴取している。中間取りまとめ案では、生活の質が高く持続的に成長する強靭な中部圏を掲げ、それを実現するための目標の中に、国土の強靭化が示され、南海トラフ地震や激甚化する豪雨災害、感染症などのリスクなどから、地域を守ることを目標とし、南海トラフ地震に備えた強靭な国土の構築や、頻発化・激甚化する自然災害とあらゆるリスクへの対応、首都圏バックアップ体制の強化などの政策の方向性が示されている。
また、国土形成計画の策定時に本県が提案したゼロメートル地帯におけるハード・ソフト対策の一体的な推進や、大都市圏の基幹的広域防災拠点の整備といった政策も反映されている。
今後は、中間取りまとめ案が今年度の冬頃に公表され、その後、具体的な個別事業を位置づけることになるため、引き続き、関係各局とも連携し、国土交通省中部地方整備局に対して本県の意見を提出する。
【委員】
南海トラフ地震が起これば、人口の半分が被災するといわれている。本県も例外ではない。
東日本大震災が発生するまでは、高台への移転といったことは課題ではなかった。能登半島地震でも、長期間にわたる断水や、半島、沿岸部の初動体制に課題があることが明らかになった。
こうした10年の大きな計画を策定してもなお、想定外のことが起こるのが災害である。中部圏広域地方計画の協議会にも参画していると聞くが、10年間で状況が変化し、見直しを迫られることもあると思う。計画の策定後も計画の見直しは柔軟に対応してほしい。
【委員】
本庁舎へのコンビニエンスストアの導入は、当初導入に向けた工事を昨年度中に完了する予定であったが、資材調達に期間を要することなどとなったため、昨年12月定例議会において9,900万円の繰越明許費補正の議案が提出された。コンビニエンスストアは来庁者の利便性向上や職員の福利厚生の充実にもつながるよう取り組むとともに、近年非常に経営環境が厳しいといわれており、そうした中においても採算性の管理を行うなど、将来にわたり有効な投資となるように取り組んでほしいと要望し、この議案を議決した。
本年8月21日に、このコンビニエンスストアがオープンし、昼の時間帯に職員が昼食を購入する姿や、来庁者がコンビニエンスストアに設置された複合機を活用する姿を見て、おおむね順調に推移していると認識しているが、地下のため電波が届かず、スマートフォン決済ができないなど、様々な評価を聞いている。
そうした中、コンビニエンスストアが県職員や来庁者からどのような評価を得られているのか。
【理事者】
来客について、始業前の朝8時台や昼休みの12時台を中心に多くの来店があり、売上げについても、弁当、おにぎりなどの食事類やコーヒーサーバーなどが好調であり、客数、売上げともに順調に推移している状況である。
【委員】
最終的に繰越明許費補正で9,900万円、約1億円近い金額で改修工事に向けて議会が承認したわけだが、改修工事の最終的な費用額とコンビニエンスストア開業までの経緯とあわせて伺う。
【理事者】
昨年12月定例議会で議決された繰越明許費補正9,900万円の実績は、工事請負費として7,972万8,000円、工事監管理費としての1,100万円を合わせて、9,072万8,000円を執行した。この間の経過については、本年2月に改修工事の契約を締結し、6月まで県において受変電設備の改修や換気設備の敷設などの工事を実施した。その後、7月から8月中旬にかけて、看板や商品の陳列棚の設置など、コンビニエンスストア側が開業準備を行い、8月21日に開業した。
【委員】
改修に多額の費用が投じられているが、県民、県職員の利便性を向上させていくとともに、財産使用許可の中で、使用料を県の収入として回収していく必要がある。使用料が改修工事費に見合うものになっているのか。
【理事者】
コンビニエンスストアは愛知県職員生活協同組合の委託店舗として出店しており、県は店舗等の区画について、生協に対して行政財産の使用許可を行い、使用料を徴収している。使用料の額は、今年度は7月から翌年3月までの9か月間で70万5,474円であり、来年度からは1年間となり、94万632円の収入となる見込みである。また、使用料とは別に光熱水費について、実費として徴収する。
使用料については、行政財産の特別使用に係る使用料条例等に基づき、土地の価格及び使用用途により算定した上で、本庁舎等における店舗等と同様に、利用客が主に県職員となることや土日祝日などの閉庁日は営業できないことなどから一定の減免措置を講じている。
これに対し、改修工事費は、工事監管理費と合わせて9,072万8,000円だが、今回の改修は本庁舎の利活用用途を広げるだけでなく、防煙シャッターの設置などによる防火・防災性能の向上や、食品の調理販売に不可欠な給排水設備の地下階への設置による衛生面の向上を図るものであり、執行した工事費は、将来にわたる庁舎の有効活用と安全・安心の確保につながるものとして有意義な投資である。
【委員】
9,000万円超の投資に対し、使用料が年間で約90万円であれば、賃料と投資対価のみを比べると約100年かけて賃料で回収できる金額対価となる。通常のコンビニエンスストアとは異なり土日祝日の閉庁日の利用がないことや、開庁時間にも限りがあり、通常のコンビニエンスストアの24時間営業とは異なる営業形態をしなければいけないため、一定の減免措置は理解できるが、使用料の設定に当たり、投資額に対する回収費についての県の考えを伺う。
【理事者】
行政財産の使用料について、行政財産の特別使用に係る使用料条例では、基本的に入居する施設や設備の整備に要した費用の回収を前提とした算定方法となっていない。あくまで行政財産を使用することに対する使用料として算定するものであり、投資額にかかわらず、一定の面積、一定の部分を使用するのであれば、どのような場合でも基本的には同じ算定式のもとに算定されるものである。
【委員】
コンビニエンスストア開業時に、テープカットが行われたが、通常は、生協の店舗が開業してもテープカットは行われないと認識している。県として、テープカットにどのような意図、考えがあったのか。また、文化庁の出席もあったようだが、出店に当たり文化庁から支援があったのか、あるいは、本庁舎が国の文化財である関係で出席したのか。
【理事者】
今回のコンビニエンスストアの導入は、職員が働きやすい環境整備の推進とともに来庁者に対するサービス向上を目的としたものであることから、県としても効果的にオープンをPRすることが必要と考え、テープカットを企画したものである。
文化庁の出席については、今回の改修工事は国の補助金の交付を受けたものではないが、本庁舎は国の重要文化財であることから、工事内容について文化庁に事前に相談し、確認してもらうなど、理解を得ながら進めることが必要不可欠であった。
こうしたことに加え、文化庁が全国の文化財を所管する省庁であることを踏まえ、文化庁の職員の出席により、本庁舎が国の重要文化財であることや文化財の活用という点についてのPR効果が期待できるものと考え、出席してもらった。
【委員】
県のホームページでの周知など、様々なPR方法があるわけだが、テープカット以外のPR方法は検討したのか。
【理事者】
県ウェブサイトへの掲載や改修工事中の仮囲いへのポスター掲示などにより、開業前からPRを行うとともに記者発表を行った。コンビニエンスストア開業のPR効果を高めるためには、報道機関に取材してもらい、メディアで取り上げてもらうことが有効であると考え、今回のテープカットセレモニーを企画したものである。
【委員】
本来であれば、本県行政トップのPR力の強い大村秀章知事が出席の下、県民に幅広くPRしていくものであると思うが、なぜ副知事がテープカットを行ったのか。
【理事者】
コンビニエンスストアの開業日である8月21日は、知事は海外渡航中であったことから、テープカットに出席できず、代役として副知事が出席することとなった。なお、開業時期については、当初、9月頃の開業を予定していたが、コンビニエンスストア側の開業準備が予定よりも早く完了することとなり、営業の観点から早期に開業を希望するコンビニエンスストアの意向を踏まえ、開業日が8月21日となったものである。
【委員】
県は生協に行政財産使用許可を行っており、コンビニエンスストアは生協の委託店舗とのことだが、使用料などお金の流れが少し分かりづらい。
使用料がどのように県に入ってくるのか、お金の流れについて、またコンビニエンスストアと生協がどういう関係にあるのか伺う。
【理事者】
生協は職員の福利厚生を目的とした組織であり、県庁舎内の売店や食堂、時計店などの委託店舗の設置、食料品の共同購入、グループ生命保険など様々な職員のための事業を実施している。生協の委託店舗という形態は、生協の様々な事業の中で、自ら提供することが難しいサービス提供を行う場合に使用する手法である。
また、生協とコンビニエンスストアの関係について、県の行政財産使用許可を受けた生協が、その場所で店舗を運営する業務に関する委託契約をコンビニエンスストア本部と締結し、実際の店舗運営は、コンビニエンスストア本部とフランチャイズ契約を締結した加盟者、いわゆるフランチャイジーが行っている。
なお、お金の流れは、委託契約に基づき、売上げの一定割合を販売手数料として、行政財産使用料や光熱水費の実費に相当する金額を管理手数料として、コンビニエンスストア本部が生協に対して支払い、このうち行政財産使用料などの管理手数料は、生協から県に同額が支払われることとなる。
【委員】
コンビニエンスストア本部が生協に販売手数料と使用料を支払い、生協が県へ使用料を支払う、販売手数料は生協から県へは支払われないと理解したが、その認識で間違いないか。
【理事者】
そのとおりである。
【委員】
コンビニエンスストアの売上げに応じた販売手数料は生協に入り、県には入らないが、生協は売上げに応じた販売手数料を受け取り、それをどのように職員と県民に還元していくのか。
【理事者】
販売手数料については、生協では、委託店舗の運営に当たり、委託店舗に関する職員へのPRや利用案内、職員から様々な意見、要望の提供、行政財産使用許可の事務手続等も行っており、販売手数料その対価として支払われている。
そのため、生協は委託店舗が職員のための売店として役割を果たしていく上で、力を貸している形となる。
【委員】
近年、コンビニエンスストアの経営が非常に厳しいという報道も耳にする。仮にコンビニエンスストアが赤字の場合、県や生協からコンビニエンスストアに対して経営を支援することはあるのか。
【理事者】
契約上、県、生協ともにコンビニエンスストアに対し、赤字を補填する取決めはしていないが、生協を通じ、職員へのPRや利用案内などを積極的に行い、利用の促進に協力していく。
【委員】
来庁者の利便性向上と職員の福利厚生の向上、継続的なサービスの提供ができるよう、経営面も県として注視すべきであることに加え、今後の経営状況次第では、撤退も想定しなければならない。
それを防ぐため、職員や来庁者の利用が重要であり、コンビニエンスストアの利用が県庁舎における県民サービスの向上や職員の福利厚生の向上という最終的な目的達成につながる。
県としても多額の投資を行い、コンビニエンスストアを導入したものであり、この投資が無駄にならぬよう、生協やコンビニエンスストアに任せきりではなく、今後の運営が安定的に持続するよう、運営状況を把握し、可能な協力を行うよう要望する。
【委員】
コンビニエンスストアを経営し、本部との契約を終了する際に、何千万円という違約金を取られた。今回の契約書を見せてほしいと言いたいが、非常に細かい内容の契約書の中身を読めていないのではないか。
また、本県の新体育館のPFIの問題として、委託業者と入居希望者の社長同士で賃料の話をさせた結果、8,000万円以上賃料を払わないとあった。果たして新体育館で利益が出るのか。もう一つ、ジブリパークも契約書どおりに運営されているのかいないのか、この辺も不明確である。
道路公社でもPFIを導入し、コンビニエンスストアに貸しているところもある。しかし、最初の予定と異なり、コンビニエンスストアや蕎麦屋が入っただけであとは空いている状況では、今後の運営面に不安が残る。
教育委員会がPFIで学校を造ろうと思ったら、国の制度で引っかかるからその方式は難しいとあった。しかし、一番大事なことは、地域の方々が愛着を持ってもらうために、工事も受けて、いざ困ったときには修理ができるような体制の契約が本当にできるのかである。ここに国から派遣されている職員もいるが、国からの圧力が強すぎることにより、地方自治体が非常に苦しむことが多いことを国にも考えてもらわなければならない。
税の使い方も含め、国の制度により各局が困っている。一度この辺りのやり方を総務局長、政策企画局長を含め、各局認識をもって職員が即対応できるような組織にしてもらうことを要望する。
【委員】
愛知県・市町村人口問題対策検討会議の立上げの経緯や目的について伺う。
【理事者】
本県では、合併前の旧88市町村単位の人口が、2005年と2020年を比べて10パーセント以上減少している地区が20地区あり、これらの地区を含んだ11市町村、具体的には、岡崎市、豊田市、西尾市、新城市、田原市、愛西市、南知多町、美浜町、設楽町、東栄町、豊根村について、人口問題対策が特に必要である。
そこで、2023年度から、これら11市町村における人口問題の現状や課題の実態把握を進めてきた。その後、本年5月に、本県及びこれら市町村が、現状や課題を共有するとともに、連携・協力し、当該地区の実情に応じた人口問題対策を検討するため、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を新たに立ち上げ、現在、委員として11市町村のほか、オブザーバーとして参加を希望した34市町村が参画している。
本年5月に開催した第1回検討会議では、11市町村に対する個別ヒアリングの結果などを踏まえ、農林水産業の振興、地域交通の確保、空き家の活用の3つを当面の検討議題とし、これら検討議題ごとにワーキンググループを立ち上げ、県と市町村が一緒になって検討していくこととした。これらワーキンググループは、庁内関係局が事務局を担当し、現在までに各2回ずつ開催した。
また、本年6月に開催した第1回ワーキンググループでは、現状の課題の洗い出しを行うとともに、検討の方向性を共有した。8月から9月に開催した第2回ワーキンググループでは、県と市町村が連携して取り組む方策などについてアイデア出しを行った。
【委員】
愛知県・市町村人口問題対策検討会議の今後の進め方について伺う。
【理事者】
現在、ワーキンググループで3つの当面の検討議題を扱っている。今後も引き続き、この3つの検討議題に関し、ワーキンググループの事務局を担当する庁内関係局と協力し、県と市町村が連携して取り組む対応策などについて検討し、来年度の実施に向け、関係機関との調整などを進めていく。
その後、年度末までに3回目のワーキンググループ、2回目の検討会議をそれぞれ開催し、今年度の検討を振り返るとともに、来年度の取組について共有を図っていく。
【委員】
市職員、県職員も減少することになるが、市町村が進めるデジタル化、DX推進の取組について県はどのような支援を行っているのか。
【理事者】
人口減少の進行に対応し、質の高い行政サービスを持続可能な形で提供するためには、デジタル化・DXの推進に取り組む必要があり、最も住民に近い自治体である市町村においては最優先で取り組むべき課題の一つであると考えられる。
本県では、2022年度から、元気な愛知の市町村づくり補助金のメニューの一つにDX推進枠を設け、市町村のデジタル化・DXの取組に対する財政支援を実施している。支援内容は、市町村の新規事業を対象とし、システムやICT機器の調達に係る費用や、ICTを活用した実証実験に係る費用など1市町村当たり500万円を補助上限として支援している。
【委員】
元気な愛知の市町村づくり補助金に採択された市町村の取組にはどのようなものがあるか。
【理事者】
DX推進枠では、住民サービスの向上、地域課題の解決、庁内業務の改善などに関する取組として、2022年度から2024年度までの3年間で89事業を採択している。
例えば、住民サービスの向上では、ワンストップサービスを実現するためのタブレット端末を活用した申請書作成支援システムの導入や、24時間電話対応できるAI電話自動応答サービスの導入などがある。また、地域課題の解決では、コミュニティバスへの電子決済の導入、地下道への冠水を検知し、通知する機器の設置などがある。また、庁内業務の改善としては、AI議事録作成支援システムの導入など、業務効率化に資する取組を数多く採択している。
さらに、補助採択した事業の目的や概要、実施の効果などを取りまとめた成果報告書を翌年度の夏までに県から市町村に周知している。こうした取組を通じ、県内市町村全体のDXを推進していく。
【委員】
かなりのスピードで人口が減少することにより、行政職員も減少し、行政サービスの提供の仕方が変化すると思う。それを踏まえ、機械でやれることは機械でやればいいが、それ以外のことについては尽力し、どのように県民にサービスを提供していくかが一番重要であるため、様々な働き方を研究してほしい。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月7日(月) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
今井隆喜、日高 章 正副委員長
水野富夫、高桑敏直、辻 秀樹、杉江繁樹、杉浦正和、富田昭雄、
日比たけまさ、福田喜夫、島 孝則、木藤俊郎 各委員
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、デジタル戦略監、総務部長、財務部長兼財政課長、
人事局長、人事管理監兼人事課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、
人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、議会事務局長、同次長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 入
第4条(県債の補正)
第136号 財産の売払いについて
第155号 教育委員会の委員の選任について
第156号 監査委員の選任について
第157号 公害審査会の委員の選任について(二宮善彦)
第158号 公害審査会の委員の選任について(石川敦男)
第159号 公害審査会の委員の選任について(堀 礼子)
第160号 公害審査会の委員の選任について(長谷川ふき子)
第161号 公害審査会の委員の選任について(片山直美)
第162号 公害審査会の委員の選任について(石川恭久)
第163号 公害審査会の委員の選任について(小松義典)
第164号 公害審査会の委員の選任について(中野正樹)
第165号 公害審査会の委員の選任について(大門裕之)
第166号 公害審査会の委員の選任について(服部千鶴)
第167号 公害審査会の委員の選任について(平林拓也)
第168号 公害審査会の委員の選任について(工藤順子)
第169号 公害審査会の委員の選任について(久保美紀)
第170号 公害審査会の委員の選任について(柘植 覚)
第171号 公害審査会の委員の選任について(中村修一)
第172号 土地利用審査会の委員の選任について(青山 晃)
第173号 土地利用審査会の委員の選任について(山崎勝美)
第174号 土地利用審査会の委員の選任について(水野ひろみ)
第175号 土地利用審査会の委員の選任について(木村修二)
第176号 土地利用審査会の委員の選任について(柳原光芳)
第177号 土地利用審査会の委員の選任について(生田京子)
第178号 土地利用審査会の委員の選任について(中川弥智子)
第179号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 入
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号、第136号及び第179号
全員一致をもって同意すべきものと決した議案
第155号から第178号まで
○ 請 願
第 36 号 「『消費税5%引き下げを求める意見書』採択を求める」について
第 37 号 「『インボイス制度廃止を求める意見書』採択を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第36号及び第37号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 行財政について
2 国際交流の推進について
3 地域振興について
4 地域及び県行政の情報化の推進について
5 防災対策及び安全なまちづくりの推進について
6 政策企画局、総務局、人事局、防災安全局、会計局、選挙管理委員会、監査委員及び人事委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(27件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(2件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 閉会中継続調査申出案件の決定
7 閉会中の委員会活動について
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
来年度の予算編成に向け、今年度の当初予算で多額の取崩しを計上した基金残高の回復を図るため、本年度内の一層の財源確保に努めるとの発言が大村秀章知事からあった。起債してでもやらなくてはならない事業があり、その中で様々な形で県債が活用されていると認識している。
STATION Aiの財源に関する資料では、地域活性化事業債が活用されているとのことだが、どのような県債なのか。
【理事者】
地域活性化事業債は、ベンチャー支援、創業支援施設の整備等の地域の資源を活用する事業に充当可能な地方債である。充当率は90パーセント、普通交付税措置率が30パーセントと有利な地方債となっている。
【委員】
例えば、起債対象事業費が100万円の場合、充当率が90パーセントであるため、90万円を地域活性化事業債で起債し、その90万円に対して普通交付税措置率が30パーセントであるため、27万円が地方交付税として措置される。したがって、90万円の起債に対して63万円の実質的な借金で済むという理解でよいか。
【理事者】
そのとおりである。
【委員】
今回の補正予算では、国からの内示増に伴う公共事業の増額補正などが大きくなっており、歳入においては、その財源となる県債が89億円と最も多くなっている。県は従来から必要な公共投資に対し、交付税措置のある有利な県債を活用しながら対応すると説明しているが、地域活性化事業債以外に何か有利な県債を活用しているのか。
【理事者】
投資的経費に充てる通常の県債の中には、事業内容により、後年度における元利償還金に対し、国から交付税措置の財政支援を受けることができる有利な県債があることから、本県においては、必要な公共投資を進めるに当たり、可能な限りこの有利な県債を活用している。
今回の補正予算案においても、交付税措置のある有利な県債を活用することができる公共事業や県単独で実施する治山事業、信号灯器のLED化等に要する経費に充当する県債については、それらの県債を活用している。
【委員】
信号灯器のLED化に要する経費にも交付税措置のある県債を活用しているとのことだが、信号灯器のLED化については、視認性が高まることから交通事故の抑止が期待できるとともに、電気代の節約にもつながるものであり、有利な県債を活用して着実に進めてほしい。
そこで、信号灯器のLED化に要する経費に充当する県債に対する交付税措置は、どのような内容になっているのか。
【理事者】
信号灯器のLED化については、交付税措置のある脱炭素化推進事業債を活用して進めている。脱炭素化推進事業債については、地域活性化事業債と同様、信号灯器のLED化に要する経費の90パーセントに充当することができ、その30パーセントが交付税措置される。
【委員】
今後も有利な県債を活用し、県の財政負担を抑えながら、地域の資源を活用する事業や脱炭素化のほか、県民の安心安全な暮らしを確保するための防災・減災対策や公共事業などを積極的に進めてもらうよう要望する。
【委員】
第136号議案の財産の売払いについて、木曽岬干拓公共施設用地の一部の用途廃止に伴い生じた未利用地を売払いするという議案だが、木曽岬干拓地とはどのような土地か。
【理事者】
木曽岬干拓地は、愛知県弥富市と三重県木曽岬町及び桑名市にまたがる干拓地であり、全体の面積は約443.4ヘクタールである。そのうち、愛知県側が約80.9ヘクタール、三重県側が約362.5ヘクタールである。
この土地は、もともと農林水産省が農業の近代化及び経営の安定化を図るため干拓したものである。その後、名古屋市を中心とした経済圏が大きく広がり、都市化が急速に進んだことから、その時代変化に対応した干拓地の有効利用が求められ、2001年3月に本県と三重県がそれぞれ国から買い受けたものである。
【委員】
本県と三重県にまたがる、三重県側が相当広い面積を有している土地だと理解した。
今回売り払う木曽岬干拓地の土地の現状はどのようか。
【理事者】
木曽岬干拓地の今回売却する土地については、2014年度までに三重県と共同で5メートルの盛土を行い、更地となっている。その後、直近では土地の一部について、企業の資材置き場や駐車場として有償で使用許可していた。
【委員】
駐車場等で利用していたということだが、なぜ今回のタイミングで土地を売却するのか。
【理事者】
今回売却する土地については、三重県が民間へ分譲を進めている工業団地に隣接しており、愛知県有地について、駐車場や資材置き場として企業からの購入意欲が示されたため、この機会を捉え、売却しようとするものである。
【委員】
未利用地は県内にどれだけあるか理解できていないが、大切な財産であるため、今後もしっかりと管理してほしい。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
行革大綱は、行政改革を通じて効率的・効果的な行政運営を目指すものであり、AIやデジタル技術の活用がその一環として位置づけられている。
次期行革大綱では、AIやデジタル技術をどのような位置づけにして、どのような分野で活用する計画なのか。また、行政手続のデジタル化などのデータの活用環境をどう整備していくのか。
【理事者】
次期行革大綱については、本年9月13日に中間取りまとめを公表したが、社会全体でのDXの推進が求められていることなどを踏まえ、三つの改革の視点の一つにDXのさらなる推進を掲げ、デジタル技術を積極的に活用し、県の業務やサービスを変革することで、より効率的・効果的に実施し、県行政の質を向上させていく。
また、中間取りまとめにおいては、9本の主要取組事項の第1の柱にDX・業務効率化・行政サービスの向上を掲げ、取組内容としては、急速に進化する生成AIを活用した業務の高度化・合理化や、税務や県民生活、福祉、農林水産、建設、教育、警察などの県政の様々な分野におけるDXの推進などを位置づけ、デジタル化・DXの推進による業務効率化や行政サービスの向上に積極的に取り組んでいく。
取組の詳細や実施スケジュール等は、現在、庁内で検討中だが、今後、様々な方面からの意見を聴きながら、本年12月の行革大綱策定に向け、取組の具体化や充実を図っていく。
【理事者】
行政手続のデジタル化については、申請・届出のオンライン化、収納事務のキャッシュレス化、電子契約の導入など、県民の利便性向上に向けた取組はもとより、内部処理に関しても、画像や文字をデジタル化するAI-OCRや定型処理を自動化するRPA等を活用するなど、業務の効率化に取り組んできた。
また、各所属の抱える行政課題を解決するため、ICTを活用した解決策を有する企業等を募集・マッチングするAICHI X TECH事業においては、AIやメタバースなど新しい技術を活用した実証実験も進めている。
次に、データ活用環境の整備については、観光振興施策において、ビッグデータである携帯電話の位置情報を分析し、対象者に向けた効果的なPRやプロモーション活動に活用することや、県が保有するデータを公開して活用できるようにする取組として、愛知県オープンデータカタログサイトを構築し、機能の改善や公開データの拡大に取り組んできた。
引き続き、生成AIをはじめとするAIやデジタル技術を活用することで、行政手続のデジタル化を一層進めるとともに、データを効果的に活用できる仕組みの構築などに取り組んでいく。
【委員】
DXがどれぐらい進んでいるのかが重要である。それが、次期行革大綱がどういう位置づけで、どれぐらい進めるかに関係してくると思うが、現状のDX化、AIの活用状況はどのようか。
【理事者】
生成AIについては、今年度から各所属で活用できるよう環境整備し、これから活用していく段階である。
その他のデジタル技術についても、現計画では、まず音声認識システムによる議事録の省力化、2020年度にはRPAの導入、またその翌年度にはビジネスチャットの導入、昨年度からはノーコード・ローコードツールやAI-OCRで、順を踏んで取り組んできた。
取組の状況としては、例えばリードタイムでは、この4年間で約13万5,000時間削減し、現計画5年間での目標である15万時間に近づいており、徐々に整備し、活用している状況である。
【委員】
AIは、特定のタスクを効率的に処理する能力を持つ技術であるが、汎用人工知能(AGI)は、あらゆる知的タスクを人間と同等にこなすことができるAIを指し、現在は研究段階にある。さらに進化した人工超知能(ASI)は、一説には人類の知能の総和の1万倍ともいわれる非常に進んだ人工知能である。これらの進化は、技術の進歩だけでなく、社会全体に対しても大きな変化をもたらすと考えられている。
AI技術がこれからAGIやASIに進化していく中で、本県の行政サービスや業務にも影響が出ると考えられるが、その技術進化に対応するために、次期行革大綱では見直し期間をどのように設定するのか。
【理事者】
次期行革大綱の計画期間は2025年度から2029年度までの5年間と考えているが、今回公表した中間取りまとめでは、計画期間内においても適切に見直しを行うことを明記している。
現行の行革大綱であるあいち行革プラン2020においても、2019年のプラン策定後に生じた環境の変化に対応するため、ウィズコロナ・アフターコロナへの対応、DX推進の取組、新規施策、環境変化等への対応の三つの視点を切り口に、計画期間の中間年に当たる2022年度に見直しを行っている。
AIの進化がいつ到来するかの予測は難しいが、次期行革大綱において、そのような生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な進化など、県政を取り巻く環境変化を注視しながら、行財政改革の取組状況に応じ、計画期間内であっても時宜を得た見直しを実施していく。
【委員】
愛知県という、非常に大きな行政組織では、すぐに方向転換はできず、特に社会的インパクトがあるような技術革新に対してすぐに対応できるとは限らないため、できるだけその変化を早めに察知することが、非常に大事になると思う。その上で、柔軟に計画を見直してほしい。
AI導入による業務の効率化と職員への影響のバランスについて、特に経験の積み重ねが失われるリスクについて伺う。
定型業務の中にも手続や問題解決の過程で得られる知識やスキルが存在する。例えば、書類処理や単なる問合せ対応など、日々の業務の積み重ねで職員が得る経験というものは、より複雑な問題に対処するための土台となるものだと思う。
AIが業務の多くを自動化すると、職員が新しいスキルを学ぶ機会が減少することも考えられる。特に情報収集やデータ分析といった業務の一部をAIが行う場合、職員がこれらのスキルを習得する必要がなくなり、専門的な知識を高めるチャンスが減る可能性がある。
そこで、AIを導入し、業務効率化が進む中で、職員の経験や判断力が落ちないよう、職員に必要なスキルや知識を補うためにどのような対策を取るのか。
【理事者】
昨年度11月に策定した生成AIの利用に関するガイドラインでは、生成された回答を利用する際の注意事項として、生成AIは業務執行に当たっての補助的なツールであり、過度に依存することのないように定めている。
職員は、これまでも日々の業務における企画立案や意思決定の過程などを通じて、経験や判断力を養っているが、このガイドラインの趣旨に沿い、生成AIをアイデアの創出や情報収集、データ分析等に有効活用して業務の高度化・効率化を図ることにより、職員がこれまで以上に企画立案等に注力できるようにしていきたい。
また、生成AIから精度の高い回答を引き出して有効に活用するためには、プロンプトと呼ばれる生成AIへの適切な指示の出し方が必要であるため、これを習得する操作研修を実施するなど、生成AIを活用するスキルの向上にも取り組んでいく。
【委員】
職員がより高度な業務や専門的な分野、政策立案に集中できるよう、どのような環境整備を行うのか。
【理事者】
将来的な人口減少社会を見据えると、本県においても、少ない職員でも質の高い行政サービスを持続可能な形で提供できるようにする必要がある。このため、まずは、次期行革大綱の計画期間において、AI、RPA、ノーコード・ローコードツール等のさらなる活用を推進し、より多くの定型業務等の効率化に取り組むことで事務リスクの低減を図りながら、職員が企画立案などの創意工夫を要する業務へ注力できる体制づくりを推進していく。
あわせて、今年度より本格導入している生成AIをアイデア創出や詳細な分析等に活用することで、創意工夫を要する業務等の高度化・合理化を図っていく。
なお、現行の行革大綱であるあいち行革プラン2020の計画期間においては、新型コロナウイルス感染症関連用務への対応などのため、職員1人当たりの時間外勤務時間数が増加傾向にあった。職員の心身の健康を維持するためには、時間外勤務を縮減していく必要もあるため、こうした観点からも、デジタル技術を活用した業務効率化に積極的に取り組んでいく。
【委員】
生成AIの回答が適切か否かについては、難しい判断を要すると思う。AIの判断が正確であれば問題は少ないが、AIも現在の精度では誤りやバイアスを含む可能性は十分にある。職員がAIに過度に依存すると、誤った結果に対して疑問を持たずに従う可能性が高まり、最終的にAIの判断ミスが拡大するリスクがある。
AIが出した判断に対してどのように職員が責任を持ってチェックするのか。
【理事者】
生成AIについては、インターネット上の情報を基に学習していることが多いため、多数派の意見に影響されやすいことや、学習データにないことは回答できないなど、その回答に偏見や誤りなどが含まれることを念頭に置く必要があると認識している。生成AIの利用に関するガイドラインでは、生成された回答を利用する際の注意事項として、生成AIが出した回答の根拠や裏付けを確認することや、生成物が既存の著作物に類似していないかの調査を職員自らが行うように定めている。
今後も研修の機会などを利用し、生成AIはあくまで補助的なツールであり、業務における検討・判断の責任は各職員であることを周知徹底していく。
【委員】
ファクトチェックについて、その能力は経験則に基づく部分は非常に大きいと思う。ファクトチェックする職員がどれだけ様々な角度から物事を見てきたのか、どのような経験をしてきたのかが非常に大きな判断材料となるはずである。
また、どのように経験値を上げていくかに加え、そのプロセスを明確にしなければ、この行革大綱はうまくいかないと思う。さらに、時代が変化する中、その技術を取り入れるだけでなく、それに対し、本県職員がどのように変わり、適応していけるかが非常に重要になる。
そのため、今回の行革大綱は、特に人材という部分に関して非常に力を入れ、しっかりと取り扱ってほしい。今後、細かい取組について明記していくと思うが、その点を重視しながら取り組んでもらうことを期待する。
【委員】
県庁組織の持続的な発展を目指すためには、二つの大きな意識の向上が必要である。一つは、安全や健康に働くことができるよう、県庁組織や職員個々人ともに意識の向上を図ること、すなわち身体的・精神的・社会的に良好な状態を指すウェルビーイングの実践である。もう一つは、住民の福祉の増進を図るという地方公共団体としての責務を果たすため、県民に信頼される行政運営を行うこと、すなわちコンプライアンスの徹底である。
ウェルビーイングというと職員の働き方がイメージしやすいと思う。職員に対する健康チェック、心理的安全性やポジティブメンタルヘルスといった心の健康増進、さらには職場や職員の安全意識の徹底が大変重要である。
そこで、職員が心身ともに健康で安心・安全に働けるよう、県としてどのような取組を行っているのか。
【理事者】
職員の身体の健康について、全職員を対象にした定期健康診断、医師・保健師による保健指導・健康相談など、疾病の早期発見と未然防止に向けた取組を行っている。
心の健康については、ストレスチェックの実施や教育研修、医師・保健師による相談窓口の設置、休職者への職場復帰支援など、メンタルヘルス不調の未然防止・早期発見・再発防止に取り組んでいる。
また、職員が心理的安全性を確保しながら仕事に取り組めるよう、管理監督者向けの研修などを通じ、風通しのよくストレスの少ない職場づくりを進めている。これらの取組は職員のメンタルをネガティブな状態から本来の状態に戻す取組であるため、職員や職場の強みを把握して伸ばすポジティブメンタルヘルスという考え方を、今後の教育研修に取り入れていくことを検討していく。
最後に、職場の安全性の確保については、執務室の照明・温度・落下物の危険など、安全衛生環境について、所属や産業医が定期的に職場巡視を行い、それぞれの課題を把握し、速やかな改善に努めている。
こうした取組により、引き続き職員の心身の健康の保持増進と職場の安全性の確保にしっかり取り組んでいく。
【委員】
積極的にそうした取組を進めてもらいたい。
次に、コンプライアンスについて伺う。コンプライアンスを訳すと法令遵守だが、実際には法令という範囲にとどまらず、様々な規則、倫理規範を遵守することも含まれる。そこで、今回の質問では、情報漏えい、ハラスメント、内部不正についても触れていく。まず、コンプライアンス全般に関する意識の浸透を図るための研修体制はどのようになっているのか。
【理事者】
職員のコンプライアンス意識を浸透させるため、繰り返し粘り強く周知していくことが大切である。
このため、まず、新規採用者から幹部級職員まで昇任時などに実施する指名研修において、必ずコンプライアンスや公務員倫理に関する内容を取り扱っている。さらに所属長、各所属で職場研修を担当する班長、新任出納員を対象としたコンプライアンス研修を毎年度実施しているほか、所属単位でも職場研修に取り組んでいる。
また、6月及び12月の職員倫理週間においては、ハラスメント対策や最近の不祥事事例をまとめた職場研修資料を各所属へ送付するとともに、職場またはグループ単位でその資料を活用するなどして倫理研修を実施し、職員の意識醸成を図っている。
こうした取組を絶え間なく行い、職員のコンプライアンス意識を高められるよう努めている。
【委員】
先日の9月定例議会本会議において、県内企業に対する情報漏えい防止への取組について質問し、警察本部長から主に広報啓発に関する答弁を得た。また、10月4日の総務企画委員会では、先月公表された県の業務委託先における個人情報漏えいの恐れに関する質疑もあった。
仮に県の保有する情報が漏えいした場合は、県民の信用を大きく失うことにつながる。職員による情報漏えい防止やサイバーセキュリティに対する意識向上を図るため、どのような取組を行っているのか。
【理事者】
職員による情報漏えいを防ぐための取組として、USBメモリ等の外部記憶媒体の利用をシステム上制限するとともに、特別に許可を得た場合を除き、データの書き込みを禁止するなどの対策を講じている。
あわせて、職員一人一人の情報セキュリティ意識を高めるため、新規採用時、採用3年目・7年目、役職昇任時といった節目に研修を実施し、情報資産の適正な取扱いをはじめとした、セキュリティ上、遵守すべき事項の周知徹底を行っている。
また、サイバーセキュリティに対する職員の意識向上のための取組として、ウイルス感染や情報漏えい等の原因となる標的型攻撃と呼ばれるサイバー攻撃に備え、不審なメールに対し、職員が常に危機意識を持って適切に対応できるよう攻撃を模した偽メールを職員に送るメール訓練を実施するなどの取組を行っている。
【委員】
サイバー攻撃も高度化しているため、こうした取組を絶え間なく実施してほしい。また、情報漏えいは、退職時も非常にリスクが伴うため、そうした点も留意してほしい。
昨今、行政や政治に関連したハラスメントについても報道が多く見受けられ、県民からの信用を大きく失っているように感じ、大変残念である。
そこで、ハラスメントに関する研修はどのように行われているのか。また、疑いありを含む、ハラスメントに関する窓口や相談者を守る仕組みというものはどのようになっているのか。あわせて、実際の相談件数を伺う。
【理事者】
ハラスメントに関する研修について、コンプライアンス研修の中で取り扱っている。例えば、所属長向けには、ハラスメント相談を受けた際の対応方法や注意事項など、一般職員向けにはハラスメントの定義や相談窓口の周知などというように、対象者に合わせた内容となるよう工夫をしている。
相談窓口については、人事課監察室、職員厚生課、各局の主管課、所属長、人事委員会に設置しているほか、公益通報制度の外部窓口を委託している弁護士も相談を受け付けるなど、相談者が相談しやすいよう幅広く設置している。
次に、相談者を守る仕組みについて、各種ハラスメントの防止のため、職員や所属長の責務や相談への対応等を定めた要綱を制定している。その中で、プライバシーの保護や不利益取扱いの防止などの規定を設けている。また、実際に事実確認の調査を行う際には、相談者の意向をしっかり聞き取り、最大限配慮して慎重に行っている。
最後に、ハラスメントに関する相談件数は、昨年度、監察室で受け付けた件数は21件である。
【委員】
組織内の不正行為は、ないことが一番望ましく、そのためにコンプライアンス意識の強化に努めていると答弁で確認した。
一方で、万が一に不正行為が行われていた場合には早期に発見し、是正を図ることにより、県民からの信用の失墜を防ぐとともに、組織と職員を守ることにつながることから、こうした体制の整備は極めて重要である。
そこで、疑いありを含む内部不正を正す体制、窓口や通報者を守る仕組みはどのようになっているのか。また、実際の通報件数を伺う。
【理事者】
内部不正を正す体制としては、愛知県職員等公益通報要綱に基づき対応することになる。具体的に、職員等から法令違反行為などに関する内部通報があった場合、公益通報として受理し、事実確認の調査を行った上、その結果に基づく措置を執ることになる。
公益通報の窓口は、内部窓口として人事課監察室、外部窓口として委託した弁護士において設けている。制度上、通報者の情報を知り得ることができるのは、要綱で公益通報管理者となっている人事局長、公益通報調査員である人事管理監、人事課長、人事課監察室の職員、外部窓口の弁護士のみとなっている。
なお、外部窓口の弁護士が公益通報を受けた場合は、公益通報管理者及び公益通報調査員も通報者の情報を知り得ることはない。
通報があり、公益通報の要件に該当する場合は、公益通報者保護法において、通報者への不利益取扱いや通報者を特定する情報の漏えいなどが禁止されており、本県の要綱においても同様の規定を設けている。
最後に、通報件数については、昨年度は2件である。
【委員】
最後に要望だが、職場に集う全ての人の安全や健康を第一に考える組織、そして、職員一人一人の安全と健康に対し、常に高い意識を持つことが、持続的に発展する組織として最も大切である。
また、憲法第15条第2項に、すべて公務員は、全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない、そして、地方自治法第1条の2第1項には、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとするとある。職員、そして、議員は、このコンプライアンスに対して、より高い意識を持たなければならないと思う。
様々な取組が行われていることは確認できたが、常に高い意識を持ち続けるためには、こうした問題について短時間でも頻繁に考える機会を設けることが必要である。例えば、朝礼の時間を活用した気づきの発表や短時間の複数回にわたる学習の実践など、これまで以上に高い意識づけができるような取組の強化を要望する。
【委員】
政府は昨年7月、今後10年を目安とした国土づくりの指針である国土形成計画を閣議決定した。国土形成計画は、国の社会資本整備に関する各種計画の基礎であり、2015年以来8年ぶりに見直した。本計画は、人口減少等の加速による地方の危機や巨大災害リスクの切迫、気候危機、国際情勢をはじめとした直面する課題に対する危機感を共有し、こうした難局を乗り越えるため、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を定めるものである。
計画の内容について、新たな国土の将来ビジョンの大きな項目の一つに、巨大地震、気候危機、緊迫化する国際情勢に対する安全安心な国土づくりがある。災害等に屈しないしなやかで強い国土づくりが目標とされている。この計画を基に、現在では国土交通省中部地方整備局が中心となり、新たな中部圏広域地方計画を策定中であると認識している。
能登半島地震や能登半島豪雨など、地震や激甚化する自然災害への備えが喫緊の課題となっており、昨年閣議決定された第三次計画の策定時には、本県にも意見照会があったと聞いているが、県として防災の観点から国に対してどのような内容を意見したのか。また、その意見は国土形成計画に反映されたのか。
【理事者】
国土形成計画に対する本県の意見について、国土形成計画法に基づく手続に則り、国に対して計画提案を提出するとともに、計画素案への意見聴取に対して意見提出を行っている。
そのうち、防災の視点から、南海トラフ地震対策等の推進の項目について、ゼロメートル地帯におけるハード・ソフト対策の一体的な推進や、大都市圏の基幹的広域防災拠点の整備など、これまでの国への要請事項やあいちビジョン2030に盛り込んでいる主要な政策を踏まえ、本県の意見として提出している。
国からは、本県からの提案について、その趣旨を計画に反映したとの回答を得ており、例えば、施設の整備等による防災・減災・国土強靭化対策の項目に最大クラスの津波に対して、施設整備に加え、ハザードマップの周知、地域や事業者における避難計画の策定や避難訓練の実施など、ハード・ソフトの施策を組み合わせた多重防御により、被害を最小化し、津波防災地域づくりを進めるという形で反映されている。
【委員】
次に、現在、国土形成計画の地方版である中部圏広域地方計画の中で、防災についての方向性はどのように示されているのか、また、今後、県の防災関係の政策をどのように計画に反映させていくのか。
【理事者】
中部圏広域地方計画について、国土交通省中部地方整備局から中間取りまとめ案が示されており、それに対する意見を関係者から聴取している。中間取りまとめ案では、生活の質が高く持続的に成長する強靭な中部圏を掲げ、それを実現するための目標の中に、国土の強靭化が示され、南海トラフ地震や激甚化する豪雨災害、感染症などのリスクなどから、地域を守ることを目標とし、南海トラフ地震に備えた強靭な国土の構築や、頻発化・激甚化する自然災害とあらゆるリスクへの対応、首都圏バックアップ体制の強化などの政策の方向性が示されている。
また、国土形成計画の策定時に本県が提案したゼロメートル地帯におけるハード・ソフト対策の一体的な推進や、大都市圏の基幹的広域防災拠点の整備といった政策も反映されている。
今後は、中間取りまとめ案が今年度の冬頃に公表され、その後、具体的な個別事業を位置づけることになるため、引き続き、関係各局とも連携し、国土交通省中部地方整備局に対して本県の意見を提出する。
【委員】
南海トラフ地震が起これば、人口の半分が被災するといわれている。本県も例外ではない。
東日本大震災が発生するまでは、高台への移転といったことは課題ではなかった。能登半島地震でも、長期間にわたる断水や、半島、沿岸部の初動体制に課題があることが明らかになった。
こうした10年の大きな計画を策定してもなお、想定外のことが起こるのが災害である。中部圏広域地方計画の協議会にも参画していると聞くが、10年間で状況が変化し、見直しを迫られることもあると思う。計画の策定後も計画の見直しは柔軟に対応してほしい。
【委員】
本庁舎へのコンビニエンスストアの導入は、当初導入に向けた工事を昨年度中に完了する予定であったが、資材調達に期間を要することなどとなったため、昨年12月定例議会において9,900万円の繰越明許費補正の議案が提出された。コンビニエンスストアは来庁者の利便性向上や職員の福利厚生の充実にもつながるよう取り組むとともに、近年非常に経営環境が厳しいといわれており、そうした中においても採算性の管理を行うなど、将来にわたり有効な投資となるように取り組んでほしいと要望し、この議案を議決した。
本年8月21日に、このコンビニエンスストアがオープンし、昼の時間帯に職員が昼食を購入する姿や、来庁者がコンビニエンスストアに設置された複合機を活用する姿を見て、おおむね順調に推移していると認識しているが、地下のため電波が届かず、スマートフォン決済ができないなど、様々な評価を聞いている。
そうした中、コンビニエンスストアが県職員や来庁者からどのような評価を得られているのか。
【理事者】
来客について、始業前の朝8時台や昼休みの12時台を中心に多くの来店があり、売上げについても、弁当、おにぎりなどの食事類やコーヒーサーバーなどが好調であり、客数、売上げともに順調に推移している状況である。
【委員】
最終的に繰越明許費補正で9,900万円、約1億円近い金額で改修工事に向けて議会が承認したわけだが、改修工事の最終的な費用額とコンビニエンスストア開業までの経緯とあわせて伺う。
【理事者】
昨年12月定例議会で議決された繰越明許費補正9,900万円の実績は、工事請負費として7,972万8,000円、工事監管理費としての1,100万円を合わせて、9,072万8,000円を執行した。この間の経過については、本年2月に改修工事の契約を締結し、6月まで県において受変電設備の改修や換気設備の敷設などの工事を実施した。その後、7月から8月中旬にかけて、看板や商品の陳列棚の設置など、コンビニエンスストア側が開業準備を行い、8月21日に開業した。
【委員】
改修に多額の費用が投じられているが、県民、県職員の利便性を向上させていくとともに、財産使用許可の中で、使用料を県の収入として回収していく必要がある。使用料が改修工事費に見合うものになっているのか。
【理事者】
コンビニエンスストアは愛知県職員生活協同組合の委託店舗として出店しており、県は店舗等の区画について、生協に対して行政財産の使用許可を行い、使用料を徴収している。使用料の額は、今年度は7月から翌年3月までの9か月間で70万5,474円であり、来年度からは1年間となり、94万632円の収入となる見込みである。また、使用料とは別に光熱水費について、実費として徴収する。
使用料については、行政財産の特別使用に係る使用料条例等に基づき、土地の価格及び使用用途により算定した上で、本庁舎等における店舗等と同様に、利用客が主に県職員となることや土日祝日などの閉庁日は営業できないことなどから一定の減免措置を講じている。
これに対し、改修工事費は、工事監管理費と合わせて9,072万8,000円だが、今回の改修は本庁舎の利活用用途を広げるだけでなく、防煙シャッターの設置などによる防火・防災性能の向上や、食品の調理販売に不可欠な給排水設備の地下階への設置による衛生面の向上を図るものであり、執行した工事費は、将来にわたる庁舎の有効活用と安全・安心の確保につながるものとして有意義な投資である。
【委員】
9,000万円超の投資に対し、使用料が年間で約90万円であれば、賃料と投資対価のみを比べると約100年かけて賃料で回収できる金額対価となる。通常のコンビニエンスストアとは異なり土日祝日の閉庁日の利用がないことや、開庁時間にも限りがあり、通常のコンビニエンスストアの24時間営業とは異なる営業形態をしなければいけないため、一定の減免措置は理解できるが、使用料の設定に当たり、投資額に対する回収費についての県の考えを伺う。
【理事者】
行政財産の使用料について、行政財産の特別使用に係る使用料条例では、基本的に入居する施設や設備の整備に要した費用の回収を前提とした算定方法となっていない。あくまで行政財産を使用することに対する使用料として算定するものであり、投資額にかかわらず、一定の面積、一定の部分を使用するのであれば、どのような場合でも基本的には同じ算定式のもとに算定されるものである。
【委員】
コンビニエンスストア開業時に、テープカットが行われたが、通常は、生協の店舗が開業してもテープカットは行われないと認識している。県として、テープカットにどのような意図、考えがあったのか。また、文化庁の出席もあったようだが、出店に当たり文化庁から支援があったのか、あるいは、本庁舎が国の文化財である関係で出席したのか。
【理事者】
今回のコンビニエンスストアの導入は、職員が働きやすい環境整備の推進とともに来庁者に対するサービス向上を目的としたものであることから、県としても効果的にオープンをPRすることが必要と考え、テープカットを企画したものである。
文化庁の出席については、今回の改修工事は国の補助金の交付を受けたものではないが、本庁舎は国の重要文化財であることから、工事内容について文化庁に事前に相談し、確認してもらうなど、理解を得ながら進めることが必要不可欠であった。
こうしたことに加え、文化庁が全国の文化財を所管する省庁であることを踏まえ、文化庁の職員の出席により、本庁舎が国の重要文化財であることや文化財の活用という点についてのPR効果が期待できるものと考え、出席してもらった。
【委員】
県のホームページでの周知など、様々なPR方法があるわけだが、テープカット以外のPR方法は検討したのか。
【理事者】
県ウェブサイトへの掲載や改修工事中の仮囲いへのポスター掲示などにより、開業前からPRを行うとともに記者発表を行った。コンビニエンスストア開業のPR効果を高めるためには、報道機関に取材してもらい、メディアで取り上げてもらうことが有効であると考え、今回のテープカットセレモニーを企画したものである。
【委員】
本来であれば、本県行政トップのPR力の強い大村秀章知事が出席の下、県民に幅広くPRしていくものであると思うが、なぜ副知事がテープカットを行ったのか。
【理事者】
コンビニエンスストアの開業日である8月21日は、知事は海外渡航中であったことから、テープカットに出席できず、代役として副知事が出席することとなった。なお、開業時期については、当初、9月頃の開業を予定していたが、コンビニエンスストア側の開業準備が予定よりも早く完了することとなり、営業の観点から早期に開業を希望するコンビニエンスストアの意向を踏まえ、開業日が8月21日となったものである。
【委員】
県は生協に行政財産使用許可を行っており、コンビニエンスストアは生協の委託店舗とのことだが、使用料などお金の流れが少し分かりづらい。
使用料がどのように県に入ってくるのか、お金の流れについて、またコンビニエンスストアと生協がどういう関係にあるのか伺う。
【理事者】
生協は職員の福利厚生を目的とした組織であり、県庁舎内の売店や食堂、時計店などの委託店舗の設置、食料品の共同購入、グループ生命保険など様々な職員のための事業を実施している。生協の委託店舗という形態は、生協の様々な事業の中で、自ら提供することが難しいサービス提供を行う場合に使用する手法である。
また、生協とコンビニエンスストアの関係について、県の行政財産使用許可を受けた生協が、その場所で店舗を運営する業務に関する委託契約をコンビニエンスストア本部と締結し、実際の店舗運営は、コンビニエンスストア本部とフランチャイズ契約を締結した加盟者、いわゆるフランチャイジーが行っている。
なお、お金の流れは、委託契約に基づき、売上げの一定割合を販売手数料として、行政財産使用料や光熱水費の実費に相当する金額を管理手数料として、コンビニエンスストア本部が生協に対して支払い、このうち行政財産使用料などの管理手数料は、生協から県に同額が支払われることとなる。
【委員】
コンビニエンスストア本部が生協に販売手数料と使用料を支払い、生協が県へ使用料を支払う、販売手数料は生協から県へは支払われないと理解したが、その認識で間違いないか。
【理事者】
そのとおりである。
【委員】
コンビニエンスストアの売上げに応じた販売手数料は生協に入り、県には入らないが、生協は売上げに応じた販売手数料を受け取り、それをどのように職員と県民に還元していくのか。
【理事者】
販売手数料については、生協では、委託店舗の運営に当たり、委託店舗に関する職員へのPRや利用案内、職員から様々な意見、要望の提供、行政財産使用許可の事務手続等も行っており、販売手数料その対価として支払われている。
そのため、生協は委託店舗が職員のための売店として役割を果たしていく上で、力を貸している形となる。
【委員】
近年、コンビニエンスストアの経営が非常に厳しいという報道も耳にする。仮にコンビニエンスストアが赤字の場合、県や生協からコンビニエンスストアに対して経営を支援することはあるのか。
【理事者】
契約上、県、生協ともにコンビニエンスストアに対し、赤字を補填する取決めはしていないが、生協を通じ、職員へのPRや利用案内などを積極的に行い、利用の促進に協力していく。
【委員】
来庁者の利便性向上と職員の福利厚生の向上、継続的なサービスの提供ができるよう、経営面も県として注視すべきであることに加え、今後の経営状況次第では、撤退も想定しなければならない。
それを防ぐため、職員や来庁者の利用が重要であり、コンビニエンスストアの利用が県庁舎における県民サービスの向上や職員の福利厚生の向上という最終的な目的達成につながる。
県としても多額の投資を行い、コンビニエンスストアを導入したものであり、この投資が無駄にならぬよう、生協やコンビニエンスストアに任せきりではなく、今後の運営が安定的に持続するよう、運営状況を把握し、可能な協力を行うよう要望する。
【委員】
コンビニエンスストアを経営し、本部との契約を終了する際に、何千万円という違約金を取られた。今回の契約書を見せてほしいと言いたいが、非常に細かい内容の契約書の中身を読めていないのではないか。
また、本県の新体育館のPFIの問題として、委託業者と入居希望者の社長同士で賃料の話をさせた結果、8,000万円以上賃料を払わないとあった。果たして新体育館で利益が出るのか。もう一つ、ジブリパークも契約書どおりに運営されているのかいないのか、この辺も不明確である。
道路公社でもPFIを導入し、コンビニエンスストアに貸しているところもある。しかし、最初の予定と異なり、コンビニエンスストアや蕎麦屋が入っただけであとは空いている状況では、今後の運営面に不安が残る。
教育委員会がPFIで学校を造ろうと思ったら、国の制度で引っかかるからその方式は難しいとあった。しかし、一番大事なことは、地域の方々が愛着を持ってもらうために、工事も受けて、いざ困ったときには修理ができるような体制の契約が本当にできるのかである。ここに国から派遣されている職員もいるが、国からの圧力が強すぎることにより、地方自治体が非常に苦しむことが多いことを国にも考えてもらわなければならない。
税の使い方も含め、国の制度により各局が困っている。一度この辺りのやり方を総務局長、政策企画局長を含め、各局認識をもって職員が即対応できるような組織にしてもらうことを要望する。
【委員】
愛知県・市町村人口問題対策検討会議の立上げの経緯や目的について伺う。
【理事者】
本県では、合併前の旧88市町村単位の人口が、2005年と2020年を比べて10パーセント以上減少している地区が20地区あり、これらの地区を含んだ11市町村、具体的には、岡崎市、豊田市、西尾市、新城市、田原市、愛西市、南知多町、美浜町、設楽町、東栄町、豊根村について、人口問題対策が特に必要である。
そこで、2023年度から、これら11市町村における人口問題の現状や課題の実態把握を進めてきた。その後、本年5月に、本県及びこれら市町村が、現状や課題を共有するとともに、連携・協力し、当該地区の実情に応じた人口問題対策を検討するため、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を新たに立ち上げ、現在、委員として11市町村のほか、オブザーバーとして参加を希望した34市町村が参画している。
本年5月に開催した第1回検討会議では、11市町村に対する個別ヒアリングの結果などを踏まえ、農林水産業の振興、地域交通の確保、空き家の活用の3つを当面の検討議題とし、これら検討議題ごとにワーキンググループを立ち上げ、県と市町村が一緒になって検討していくこととした。これらワーキンググループは、庁内関係局が事務局を担当し、現在までに各2回ずつ開催した。
また、本年6月に開催した第1回ワーキンググループでは、現状の課題の洗い出しを行うとともに、検討の方向性を共有した。8月から9月に開催した第2回ワーキンググループでは、県と市町村が連携して取り組む方策などについてアイデア出しを行った。
【委員】
愛知県・市町村人口問題対策検討会議の今後の進め方について伺う。
【理事者】
現在、ワーキンググループで3つの当面の検討議題を扱っている。今後も引き続き、この3つの検討議題に関し、ワーキンググループの事務局を担当する庁内関係局と協力し、県と市町村が連携して取り組む対応策などについて検討し、来年度の実施に向け、関係機関との調整などを進めていく。
その後、年度末までに3回目のワーキンググループ、2回目の検討会議をそれぞれ開催し、今年度の検討を振り返るとともに、来年度の取組について共有を図っていく。
【委員】
市職員、県職員も減少することになるが、市町村が進めるデジタル化、DX推進の取組について県はどのような支援を行っているのか。
【理事者】
人口減少の進行に対応し、質の高い行政サービスを持続可能な形で提供するためには、デジタル化・DXの推進に取り組む必要があり、最も住民に近い自治体である市町村においては最優先で取り組むべき課題の一つであると考えられる。
本県では、2022年度から、元気な愛知の市町村づくり補助金のメニューの一つにDX推進枠を設け、市町村のデジタル化・DXの取組に対する財政支援を実施している。支援内容は、市町村の新規事業を対象とし、システムやICT機器の調達に係る費用や、ICTを活用した実証実験に係る費用など1市町村当たり500万円を補助上限として支援している。
【委員】
元気な愛知の市町村づくり補助金に採択された市町村の取組にはどのようなものがあるか。
【理事者】
DX推進枠では、住民サービスの向上、地域課題の解決、庁内業務の改善などに関する取組として、2022年度から2024年度までの3年間で89事業を採択している。
例えば、住民サービスの向上では、ワンストップサービスを実現するためのタブレット端末を活用した申請書作成支援システムの導入や、24時間電話対応できるAI電話自動応答サービスの導入などがある。また、地域課題の解決では、コミュニティバスへの電子決済の導入、地下道への冠水を検知し、通知する機器の設置などがある。また、庁内業務の改善としては、AI議事録作成支援システムの導入など、業務効率化に資する取組を数多く採択している。
さらに、補助採択した事業の目的や概要、実施の効果などを取りまとめた成果報告書を翌年度の夏までに県から市町村に周知している。こうした取組を通じ、県内市町村全体のDXを推進していく。
【委員】
かなりのスピードで人口が減少することにより、行政職員も減少し、行政サービスの提供の仕方が変化すると思う。それを踏まえ、機械でやれることは機械でやればいいが、それ以外のことについては尽力し、どのように県民にサービスを提供していくかが一番重要であるため、様々な働き方を研究してほしい。