3 まとめ
 
(1) 尾張地域
平成17年度は、尾張地域全般を見ると大きな沈下を示した水準点はほとんど見られず概ね沈静化の傾向にあります。平年と比べ降水量は非常に少なく、地下水位は、G1帯水層が低下したが、G2及びG3帯水層は一部を除き上昇し、地下水揚水量は尾張地域全域で前年と比べほぼ横ばいでした。しかし、尾張地域北東部や西部など一部地域では沈下を示した水準点が見られました。
 犬山市及びその周辺の尾張地域北東部では、1p以上の沈下域が約41q2見られました。沈下域内の最大沈下量は2.08pでした。この沈下域が見られた付近は砂礫層を中心とした比較的地盤沈下が起こりにくいと考えられていた地域でした。この沈下の原因としては、次の要因が考えられます。
1点目は一宮雨量観測所の記録が示すとおり、この付近の降水量が平年の70%程度と非常な少雨であったことなどにより平成17年秋以降木曽川の河川水位や犬山の地下水位が例年に比べ低下していました。
2点目として、平成17年1月9日に、この付近を震源とした比較的強い震度4の地震が発生しました。
これらの要因により沈下域が発生した可能性が考えられます。
 また、東海三県地盤沈下調査会によると、尾張地域がある濃尾平野では、軟弱な粘土層が厚く堆積している中西部において依然として沈下が進行する傾向にあります。この濃尾平野中西部に入る尾張地域の西部では同様に沈下が進行する傾向にあります。
 
○尾張地域(十四山地盤沈下観測所)の地下水位及び同所横の水準点(A309)の累積変動量
 
 
○犬山地盤沈下観測所 G3帯水層の地下水位経年変化
 
 
(2) 三河地域
 西三河地域では、ほぼ全域で浅層帯水層の地下水位が若干低下したが1年間(平成16年9月1日〜平成17年8月31日)で1p以上の沈下を示した水準点はありませんでした。
過去に地盤沈下が発生した矢作古川流域河口部においても沈下は見られず、昭和60年代以降緩やかな沈下となっており、近年は沈静化の傾向にあります。
 知多地域では、3年間(平成14年11月1日〜平成17年10月31日)の調査結果で、1年間に換算して1p以上の沈下を示した水準点はなく、調査開始以来沈下傾向は見られません。
 
○三河地域(吉良地盤沈下観測所)の地下水位及び同所横の水準点(A197)の累積変動量
 
 
  
 
1 地下水揚水量と地下水位の状況
2 地盤沈下の状況
(1) 尾張地域
(2) 西三河地域
(3) 東三河地域、渥美地域、知多地域
3 まとめ