第2回「21世紀にふさわしい公園づくり委員会」委員発言要旨


(文責事務局)
涌井委員長 あいさつ
 2月22日における前回の委員会で検討したゾーニング案をもとに行ったパブリックコメントについて、今日事務局からその結果をご報告いただく事になっている。
 愛・地球博の開催期間は既に残り2週間となり、入場者目標の1500万人を大幅に上回る状況の中で、大好評のうちに推移している。BIEの総会において、近来まれにみる博覧会であるという評価が正式にコメントされたという事も聞いている。これによって単に愛知県内のみならず、日本国全体、あるいは国際的にも、博覧会跡地となる青少年公園のあり方が非常に大きな関心を呼ぶことになるのではないだろうか。
 多くの市民の参加を得ながら、博覧会自身は盛り立てられていったわけであるが、これに
32年間、年平均280万人の利用があった青少年公園の原風景と未来をどうつなぎ合わせていくかという大きな課題に対して、この委員会が非常に重要な議論の場となると思うので、ご遠慮なく各委員からご発言をいただく事が望ましいと思っている。


会議の概要

【主な発言要旨】

委 員:

自然環境の面からひろばのゾーンについて考えると、こいの池南側の自然回復、アイススケート場周辺のわき水への配慮が必要。それ以外は、色々と利用を考えてもらえばよい。

委 員:

全体的に少し消極的な計画の印象がある。相当な人達がこの万博をいろんな意味で経験し、景観中心の万博で、あの景観に馴染んでいる方が多いということからすると、跡地の公園では、旧公園から1割アップの利用者数より、関わりたいと思う人がもっと多くなるのではないか。万博で経験し、成長した市民参加のプロセスを公園整備に取り込んでいくことが必要。こどものひろばやみんなのひろば全体に参加のプロセスを取り入れることを考えても良いのでは。

委 員:
今回の計画では、整備する側のメニューは入っているが、利用者からのアプローチが見えていない。誰がどういう風に何をやるかという利用イメージを作らないと計画はすすまない。また、施設整備は一度にまとめてというプロセスではなく、楽しみながらどう変わっていくかという部分も必要と考える。

委 員:

万博で培われたコミュニケーションを継続する場として、県民が参加し、協働で作り上げていく作法を見えるようにしてほしい。

委 員:

年間プログラム、ゾーン別のプログラムなどが見えておらず、計画について判断できない。博覧会施設の活用をもって万博の継承をするのは、少し違うのでは(迎賓館等)。万博を継承するものは物ではなく、資源循環、壁面緑化など環境に関わるシステムではないか。
委 員:

整備していく施設はだんだんまとまってきたと思うが、ソフト展開と併せてハードの計画を提示するとよい。公園と周辺とのかかわりからの観点からみると、サブエントランスについて、公園の玄関としてのアクセス性、感動、まとまり、演出などが弱く、空間の方向性がはっきりしていない。また、国際性という点から外国の方が来られても楽しめる公園になるように案内板などに外国語への配慮等があるとよい。
委 員:
フィールドセンターの活用方法を含め、市民参加のプロセスについて具体的にしていくとよい。大枠が決まった段階でゾーンごとにワークショップを行い、県民の意見を取り入れた公園づくりを目指す。施設に関しては、ユニバーサルデザインとして、休憩所、ベンチ、雨よけなどを多く配置する。ため池が多いので安全性への配慮を慎重に考えてほしい。
委 員:

中間報告で示された方針からの関連が弱い平面図となっている。イデアの広場だけで、博覧会の成果継承を行うのではなく園内全域で展開すべき。こどものひろばでは、管理で縦割りのイメージがでている(児童総合センター等)ので、連携というとらえ方より県全体で統合的に調整していくべきである。公園全体を統括する組織づくりを示すようにしてほしい。



観覧車で暫定利用を示すならば、暫定時の計画、将来の計画も示すべきである。

委 員:

5市3町の住民として、博覧会のにぎわいを少しでも残したいと考えている。これに貢献できる施設として観覧車を県に存置するよう要望した。博覧会後の公園は、地域の観光資源、交流資源として位置づけたい。魅力を持たせる方法として、整備・活用の方針を踏まえた上で、例えば、もりのゾーンの展開では、近隣にある森林公園や緑化センターと比較して、違うソフトの導入〜博覧会で培われたヒューマンウェア・ソフトウェアを組み込めるようにして頂きたい。



宿泊施設、キャンプ場は小規模でよいから残してほしいと住民要望がある。
また、ドキドキ・ワクワクするようなアドベンチャー体験する機能を取り込んでほしい。


西エントランスは、県道田籾名古屋線からのアプローチとして重要でありゲートとしての顔を作ってほしい。

委 員:

第2回委員会(H17.2)から間が空きすぎた。議論する頻度を上げてほしい。経営、システム、運営についてどう進めていくかが重要。今は、ソフトがないという事でパッチワーク的に計画が進んでいる状態。



迎賓館(博覧会展示館)のランニングコストは考慮しているのか。グローバルループ存置はなぜ一部分だけなのか。「もの」の継承だけでなく「人」も博覧会資産として活用すべきである。市民参加は、2カ所に閉じこめられた印象がある。博覧会の体験を生かした計画づくりをしてほしい。

委 員:
だれが、いつまでに、どのように、どう進めるか、という整理や整備内容を公園理念に近づける戦略性が必要である。政策的に跡地利用としての図面を示す必要があるかもしれないがオープン時に全て整備されていなければならないという話ではない。ソフト面が提示されていない。今後、実際に運営していくのが誰かをイメージしておく、例えばプロデューサーのような新しい運営体制を全体的に考えていく人が必要である。

委 員:

50年先の周辺の土地利用状況を予測し、公園外とのかかわりにも配慮するべきである。

委員長:

公園の理念を図面に記載した時の乖離が大きい。計画論(自然回復、パッチワーク的、ソフト・ハードの相乗性、ユニバーサル、宿泊、暫定計画、公園外とのかかわり、サブエントランス、国際性、整備ステップなど)、参加(博覧会の継承、協働、コミュニケーション、世代・地域・階層プログラムなど)管理運営(縦割り、管理運営の将来展望など)、の3つの観点について具体的な整理が必要。

委 員:

博覧会は諸々の事情で、入場予測を1,500万人とした。2,000万人以上入場したら環境負荷上失敗と考えるべき。サスティナブルとは、元々おとなしいもので、30年後は、施設より緑が多い空間であることが博覧会の跡地として評価される。


観覧車は、博覧会アセスを経ていなく、原則即刻撤去だが期間を限定するのであればやむを得ない。光害防止のため夜間照明はやめるべき。
委員長:
これまでの委員の意見に対して事務局の考えを示してほしい。

事務局:
@21世紀にふさわしい公園
・中間報告での方針を基本として進めている。ソフト計画については見直す。

A公園管理、一体的管理
・1つの公園として県が統括的に管理。実際の管理は指定管理者制度により都市整備協会にて対応、児童総合センターとは協力関係をつくっていく。

B宿泊施設
・民間との競合関係にある施設(宿泊施設)は全国的に整備しない方針。県内にも、同様な性格の宿泊施設があること、閉園前の利用状況や財政状況から整備は難しい。また、リニモで公園が利用しやすくなる。整備するならば、民活または教育的観点からと考える。

Cサブエントランス
・委員のご指摘の通りで、公園の顔としてふさわしい整備が必要。

D自然回復
・芹沢委員の意見をふまえる。こいの池の南側、ひろばのゾーンについて自然回復につとめる。

E存置の考え方(迎賓館、グローバルループ)
・迎賓館は博覧会を記念にふさわしいかどうか、恒久仕様である構造面も考慮し展示施設として位置付けた。運営管理費用については今後検討していく。グローバルループは仮設構造物であり全体の存置は無理。ただし、構造上残しやすい部分、モニュメント的な意味もあり一部存置。


サブ資料(ロハス*1展開イメージ)について説明。
*1Lifestyles Of Health And Sustinability、健康で持続可能なライフスタイル)

委員長:

今回の案についていうとテーマ性がない。戦略的に公園をどのように整備し、社会資産としてどのように考えていくかの議論が必要。


そのためには、公園の存在効用という側面から、周辺の景観や自然資産的に公園がどういう位置づけにあるか、どういう機能を担うべきかを明確にする必要がある。また、参加の面からは、比較的、市民協働という点に縛られているが、教育拠点としての地域資産や博覧会で提案した21世紀の将来像、愛知県の将来像が描き出される中で、産業シーズ、社会ニーズをどう公園計画としてつきあわせていくか。他の公園であれば別であるが、博覧会がなされた公園という点からそのような議論が重要である。それがイデアのひろばや中央棟にどのような姿で反映していくべきかにつながってくる。利用効用の面からは、ここにある様々な知的資産と、や環境立県をめざす愛知県の将来像と、この公園がどのように協働して、博覧会のエネルギーをどう継承していくのか、どう発展していくのかという視点が必要である。また、そういう方向にしていくには、どういう段階的なものがあるか、どういう利用形態があるか議論が必要。


今後の供用開始、整備スケジュールは。

事務局:

供用開始時期について
第1期:H18.7にメインエントランスからこどものひろば
第2期:H19.3までに温水プール・アイススケート場・もりのゾーン
その他の施設は、順次、整備を進め供用していく。

委員長:

整備スケジュールの点からみると、議論については十分な余地があり、戦略的な方向性の議論をして頂くことが可能と理解した。

委 員:

中間報告で示された公園マネジメントの組織作りについて新しい発想を取り入れながら進めていくとよい。前回、ハーフメード論も随分議論になったが、周辺の環境の変化により、利用ニーズが変わっていくためフレシキブルにどう上手く、公園管理運営に対応していくのかが重要。

委 員:
都市公園法は思ったほど堅くない。理念を実現するのはソフト展開であり、計画平面にはあまりこだわらなくてよい。

中経連、博覧会協会、経済産業省、周辺市町、マスコミなど、万博に関わった人たちが今後何を継承していくべきと考えているのか。また、新しい公園へどうかかわっていくつもりなのか、終わった後の責任をどうとるつもりなのか、を明らかにしてもらうべきである。県だけで責任をとる必要はない。
委 員:

テーマの展開イメージ(ロハス)では、キーワードで出されているものが公園でどう展開するかのイメージを明確にして議論が可能となる。例えばパーマカルチャー(*2)は、長久手町や海上地区など、周辺との連携したプログラム展開を考えると良い。施設を生かすプログラムのしくみがないと稼働率も悪くなる。宿泊施設もさまざまなプログラム展開において活用される施設となりうる。(*2:地域の自然を活かした永続的(permanent)な農業(agriculture)形態、生活スタイル)

委員長:
意見確認は、パブコメだけでは足りない。小委員会など設けて、個別内容について協議してもらうとよい。

委 員:
県民協働を考える際には、万博でどんな市民活動が行われたかを検証してほしい。何が行われ、どう継承していくかが大事である。
委員長:

博覧会では3つの成果がある。一つは科学技術の牽引という役割であり、今回の万博では、自然に謙虚に向き合うことによって未来の技術の姿、環境負荷軽減にも結びついた生物模倣技術を見いだした。二つめとして、地球という問題については市民社会が非常に重要であるということで、参画の形態として、国と地方自治体だけではなくて市民のエネルギーを上手くデザインし、組み込んだこと。さらにもう一つは、ホスピタリティという面で、地元が様々な国とタイアップし国際性に結びついた。


別な見方をすると、長久手町の田園バレー構想、大名古屋圏と東部丘陵地域、こうした全体の配置を考えたとき見えてくるものがある。それは、例えばサスティナブリティとは科学技術の方向、ロハス*とは一般市民の生活という側面で、互いに担い合っている関係ということが参考となる。これらの観点からどう公園を位置付けていくのか。

委 員:
次回でどの程度、具体化案が示されるか。次回までのスケジュールとそこまでに至るプロセスを決めて頂いたほうが良い。

委 員:
戦略性、効用性が決まらないと整理された図面が決まらないのか。それとも図面については大まかに賛成で、その上に立って利用する戦略というものを考えていこうとしているのか。今後の進め方はどうなるか。

委員長:

整理すると、2つあって、1つはゾーニングをふまえ、各ゾーニングのテーマ性など、意味を持てる内容を整理する。2つ目としてはもっと違う議論で考えてはというのがある。概ね前者としてよいだろう。

委 員:

万博経験前と後で状況がかわっており、コンセプト、テーマの見直しも配慮していくべきだ。

委 員:

万博を多くの人が経験し、地域が変わる可能性が高くなっている。経験値という動態価値を継承していくことが重要である。万博では3つの質が変わった。1つは個人・人生の質を高めたことであり、2つめは万博のブランド価値をあげたという質を高めたこと、3つめは、市民参加の最終目標である社会の質を高めたことである。公園は、万博で動態経験した価値をリアル社会にどう持ち込んだか、その象徴であり、展示等という箱に納めてしまおうとするのはそぐわず、参加のプロセスが重要となる。そのためには、今回の万博に関わった人が公園計画にも関わっていくべきである。

委 員:

大学との協働については、自然科学・環境に関連した分野での協働、体感型教育も考えられる。
委 員:

公園全体を大きな目からみた整備内容の展開が必要。もりのゾーン・ひろばのゾーンのストーリー付け、共生のあり方(壁面緑化、3R、生ゴミリサイクルなど)、自然と人との関わり方の具体的な展開、ゾーニングをつなげるネットワークなど、についてもう一工夫すべきである。


サスティナブルパークというロゴを造ってはどうか。初めてつくる価値はあり、サスティナブルをもっとわかりやすくして世界に発信していく。

委 員:

自分の地域に責任をとっていこうとする人材を造っていくことがサスティナブルとなる。合意形成の仕方は万博で経験しているので、誰かが勝手に走るというわけにはいかない。

委 員:

広場から森へのストーリーなど、具体的にどんな場所で何がおこるかを考えながら計画を考えないといけない。宿泊機能は子どもたちが夜の体験を含めて宇宙への夢を育てる場となる。プログラムの側から公園に何が必要か考えていくべきである。

委 員:

海上地区との連携が大事。県の所管としては環境部や農地林務部であるが、分担して博覧会を開催しており連携を考慮すべき。

委員長:
今日は各委員から活発な意見をいただいた。前半整理したことに加えて、博覧会の動態的体験を公園利用計画へどう反映させるか。サスティナビリティ、ロハスといった概念は概ね正しく、両方がこの公園の中に形成されることが望ましいのではないか。博覧会に関与した人には公園にも責任を持つというような形でご意見を聞くべきである。また、広域的な視点で考えて緑地の存在効用がどうなのか、地域とこの公園がどう関わりあっていくのか、参加の形態を含めシステムとして議論すべきである。そして、プランというのは、必ずしもフィジカルのプランではなくて、システムのプランであるべきで、当初の第1回、2回で議論したところに立ち戻りながらこのフィジカルプランを収斂していくようなコアを位置付けるべきだ、というご意見であったと理解している。



地域の意見、公園との関わり方の確認や公園支持者をどう構築していくかという点に関わる進め方について事務局の方いかがでしょうか。
事務局:

次回委員会に、関係者にはオブザーバーとしてご参加いただけるようにお願いする。

委員長:

今後の進め方は委員長に一任をしていただいて事務局と協議させていただくということでよろしいか

委 員:

(確認)

事務局:

次回委員会は11月頃を予定する。

委 員:

長時間にわたるご審議ありがとうございました。運営については次回提示する。また、次回委員会までの中間段階でワーキング等を実施し、検討させていただく。



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