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スペシャルコラム

僕をきっかけに介護を知り 一歩踏み出してもらえたら りんたろー。さん 後編

りんたろー。さんプロフィール
1986年3月6日生まれ、静岡県出身。吉本興業所属のお笑いコンビ、EXIT(イグジット)のメンバー。大学卒業後けがのためサッカー選手になる夢をあきらめ、2008年、お笑い芸人を目指して吉本興業の養成所(NSC東京)に入学。漫才コンビ、ピン芸人を経て現在の相方、兼近大樹さんと2017年12月、EXITを結成。テレビ、舞台、動画サイトなどで幅広く活躍。お笑い第7世代の代表格として若手を牽引している。趣味は美容、ジム、お酒、パチンコ。

更新日:2020年10月30日
取材日:2020年7月

介護の仕事を8年間続けていた漫才コンビEXITのりんたろー。さんに仕事との向き合い方や介護への思いを聞く後編。介護職を目指す人、今介護の現場で頑張っている人へのメッセージを聞きました。

世の中に発信し続けていくことは大事

 介護の仕事のいいところは、毎日小さな喜びがあるところ。ご飯作って食べるとき、その人があまり咀嚼できていなかったら次はおかゆにして、おかずは刻みにしてみる。そうしたら昨日より食べてくれたとか、そういう小さなことがうれしかったですね。昨日はおしっこが漏れちゃっていたからパットの当て方を変えてみたらどうだろう?1枚増やしてみようとか。自分がいろいろ工夫したことが、健やかに生活してもらうことに繋がったときは嬉しかったですね。
 介護の仕事は大変さに比べて給料が安いとかって言われていますけど、もっと待遇改善するために僕たちが声を発して、国とか自治体とか地域に訴えかけないといけないと思うんです。これからどんどん高齢者が増えていく中、あえて飛び込んでいる素敵な人たちがいるんだから、そこはちゃんと対価を払うべきだと、めっちゃ思うんですけどね。
 今の僕があるのも下積み時代に介護の職場でいい経験をしたことが大きかったと思うので、僕が発信することで介護の世界も違った広がりを見せるなら、僕もどんどん発信していきたいです。今は政治にもSNSからアプローチかけられたりしますよね。だから発信し続けていくことはとても大事だと思います。

夢は“スーパー介護施設”オープン!?

 介護の世界にまず飛び込んでみてもいいし、飛び込んで合わなかったら辞めてもいいと思います。合う、合わないはすごくある職業なので。僕なんかは自分に合っていたから8年間続けられたし、そこで得るものも大きかった。
 資格も大切ですし技術や知識も重要ですけど、まずはお年寄りが好きだったり、癒やされる空間が好きって人がいたらやってみてほしい。それくらいの気持ちでいいと思うんです。合わなかったとしても、その施設と相性が悪かったのかもしれないし、職業自体が合わなかったのかもしれない。いろいろ経験してみて、楽しいところが見つけられたら続けられると思います。
 資格は後からでも取れます。施設や人と合わなかったとしても例えばケアマネジャーの資格を取って違う働き方もできる。どんな形でも介護って関われます。現場だけが介護じゃないですし。
 僕もこのまま売れて、爆稼ぎしたらスーパー介護施設を名古屋と浜松に同時オープンさせようかなー。金髪OKで(笑)。でも真面目な話、せっかく関われた職業だし感謝もしているので、何かお返しできる機会があればいいと思っています。

悩んでいたとき勇気づけられた 利用者さんからの一言

 8年間の介護職時代に印象に残っていることがあって。僕が前の相方とコンビが駄目になって仕事が無くなって、どうしようかなーって悩んでいたときがあったんです。おじいちゃんを連れて並木道を散歩していたら、おじいちゃんが「お兄ちゃん、芸人なんだろ?頑張れよ」って。おじいちゃんは僕がお笑い芸人というのを覚えてくれていて。僕が置かれている状況を知らないから、そんな言葉が出てきたんだと思うんですけど、そのとき「あー、まだ頑張れるな」って。すごく勇気づけられました。
 もし介護の仕事に興味を持っている人がいたら、僕が一歩を踏み出すきっかけになったらうれしいです。いろいろな施設があると思うので、必ずしもすべて素敵な職場だとか、絶対合う職場だとは言い切れません。でも僕は合う職場に出合えたし、素敵な利用者さんに出会えて癒やされていい経験をさせてもらったので、飛び込んでみることも大事だと思います。もっと言えば、介護に興味の無かった人が、僕の話をきっかけに介護に興味を持ってくれたらうれしいです。

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