デイサービスでボランティアをした際、周りの介護職員さんたちを見て感じたのは、常に声掛けを大事にしていらっしゃるということです。特に認知症の利用者さんへの声掛けは難しいです。食事を介助しようとしても食べてくれないとか、口腔ケアをしようとして指を噛まれるといったこともあると聞きます。そういったことも含めて職員さんは声掛けしながら上手にケアされているので尊敬します。あと、気配りですね。利用者さんの中にはうまくしゃべれない方もいらっしゃいます。そういった方の表情や仕草で、何に困っていらっしゃるのか読み解く力がすごいと思いました。
　そんな中でも、「あなた120点」と言ってくださった利用者さん（※前編参照）のように、私を「加トちゃんの奥さん」ではなく一人の職員として見てくれて、またあなたに介護されたいと言われたときは嬉しかったですし、利用者さんがより良い生活、自分らしい生活を送るために目標に向かって一緒に努力していく、介護のお仕事は本当にすごい仕事なんだなと思いました。

　若い方たちに介護に興味があるかどうか聞いてみたことがあります。皆さん、自分には関係無いと思っているようでした。でも本当は介護ってすごく身近な存在で、自分のおじいちゃん、おばあちゃんはもちろん、若い友達でも事故や病気で介護が必要な状態になることもあります。いつ自分や家族が介護の必要な状態になるかもしれないということに気付いていただきたいですし、介護関係の方が世の中に介護の重要性、やりがいを発信しても介護に興味のある方しか見ていただけない現状にもどかしさを感じます。
　だからこそ今私が一番やりたいことは、介護職をやっている方と、介護に興味が無い方の架け橋になることです。自分がボランティアをやって感じたことをSNSやYouTubeで発信し、若い方たちが「介護、やってみたい」と興味を持っていただけたら嬉しいです。実際、「綾菜さんの影響で、介護の試験を受けてみました」って方も結構いらっしゃって、日々、どうやったら介護の魅力を広く知ってもらえるのか考えているところです。

　8月からボランティアを再開しますが、ブランクで忘れていることも多いと思うので不安もあります。そして、今後は介護する側だけでなく介護される側のことも学んでみたいという気持ちもあります。例えばおむつ交換の方法は頭に入っていますが、交換してもらう側の気持ちはどうなんだろうといったことです。
　介護される側の気持ちを知りたくて、1日おむつを付けて生活したことがあります。学校へおむつをはいて行って、トイレで付けたままおしっこしようとしましたが、できませんでした。今後は介護する側のことだけを勉強するのではなく、介護される側の気持ちもくみ取れるよう現場で学び、一から勉強し直そうと思っています。
　自分はまだまだ知識や経験が少なく、ボランティアの現場でたくさんのことを教えてもらいました。介護職員として働く皆さんには、これからもっと勉強して現場で同じチームとしてケアできるように頑張りますので、一緒に頑張りましょうと伝えたいです。そして、介護職の素晴らしさをもっとたくさんの方に知っていただきたい。私が現場に立って感じたことを色々なメディアで発信し、知っていただけるきっかけを作りたいと思っています。