ここから本文です。

スペシャルコラム

小森麻由さん(後編)

梅小鉢 小森麻由さんプロフィール
昭和56(1981)年1月13日京都府生まれ。平成12(2000)年、高校の同級生、高田紗千子さんとお笑いコンビ、梅小鉢を結成。大久保佳代子さん、篠原涼子さんら、ものまねや歌のレパートリーを数多く持つことで知られ、「ものまねグランプリ」(日本テレビ)、「細かすぎて伝わらないモノマネ」(フジテレビ)などバラエティー番組、舞台、ラジオなどで活躍中。2児の母。現在も非常勤職員として介護事業所に勤務し、介護福祉士の資格も取得している。

更新日:2024年8月
取材日:2024年5月22日

お笑いコンビ「梅小鉢」として活動するかたわら、介護福祉士の資格を取得。2年前から小規模多機能型居宅介護事業所で非常勤職員として働いている小森麻由さんのインタビューの後編。介護職の魅力などについてうかがいました。

気持ちのこもった「ありがとう」に感動。苦労より魅力が大きい介護の仕事

 介護の現場で利用者さんと接するときは、常に目線を合わせて笑顔でお話しすることを心掛けています。他に、「違いますよ」ではなく「そうですね」と、まずは受け入れることも大切にしています。そうすることで仮に機嫌を損ねていても穏やかな気持ちになっていただけるような気がするんです。
 よく周りの人から、ストレス溜まりませんか?と聞かれますが、職場を一歩出たら切り替えるようにしているのでストレスはありませんし、それ以上に魅力的なことの方が多いように感じていますから。これまで介護職以外の仕事に就いたこともありますが、介護のお仕事では、一緒に生活しながら「ありがとう」と言ってもらえます。介護職以外の仕事においても、会話の中でお礼を言ってもらえることは確かにありますが、介護の現場での「ありがとう」ほど感謝の気持ちを直に受け取れるお仕事はないと思っています。商品を作っておられるお仕事の方だったら、商品がお客さんの手元に届いて嬉しいと思ってもらえたとしても、その表情を直接見ることはできません。介護の現場は一つひとつのお仕事に「ありがとう」が受け取れる、他にはないお仕事です。気持ちが深い「ありがとう」をもらえることが、介護の仕事の一番の魅力だと感じています。

小森麻由さん

自分の生活の一部であり、身近なこと。暮らしの延長線上にある介護の仕事

 ありがたいことに、介護職の経験者であることが芸能のお仕事に役立っていると感じる瞬間も多くあります。イベントに呼んでいただけることもあり、7年間働かせていただいた事業所からもお声掛けいただきました。そこでコンビネタをさせてもらって、歌を歌っているときに利用者さんが気持ちよさそうに聞いているのを見て、「私はこれがやりたかったんだ」と思って感激しました。お笑いと介護、人の役に立ちたいと思っていたことが一つになった瞬間です。相方も日本健康マスター検定の資格を持っているので、営業で行かせてもらったところでは、その場にいる人を楽しませたいという思いをお互い強く持ってネタをさせていただいています。
 若い方の中には、介護の仕事は大変というイメージをお持ちの方が多いことは知っています。トイレの介助であったり、利用者さんの体を抱えたりするのが重労働だと思われているのかもしれません。もちろん体を使う仕事だし、介護技術も必要ではありますが、介護の現場は知らない世界のことではないはずです。私たちもトイレに行き、お風呂に入り、就寝します。視点を変えることで、介護の現場を身近に感じていただけるのではないでしょうか。
 私も最近、テレビで息子と一緒に育児ネタをさせていただいたのですが、介護をもっと身近に感じていただけるように、介護ネタも取り入れてみようかと計画中です。

小森麻由さん

人として尊敬できる人が多い介護職とその現場

 今、働いている小規模多機能型居宅介護事業所や、7年間働いていた介護老人保健施設も含め、介護の仕事に就いている皆さんは、ありがたいことに人として尊敬できる方ばかりでした。介護だけではなく人として勉強させてもらいたいといつも思っていました。これから介護の現場で働きたいと思っている方や興味がある方には、介護の仕事をしている方に悪い人はいない、優しい人ばかりなので安心してくださいと伝えたいです。
 そして、現在介護職として働いている人には、体を大切にしていただいて、身に付けた技術や経験を次の世代に伝えていただきたいと思っています。

小森麻由さん
閉じる トップページ