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スペシャルコラム

オラキオさん

オラキオさんプロフィール
1977年9月5日、佐賀県生まれ。2003年にお笑いコンビ「弾丸ジャッキー」を結成。元体操選手の経験を生かした体操選手のモノマネで人気を博す。2016年にコンビ解散後も芸人、俳優としてテレビ、映画、舞台に出演し活躍。2019年に実務者研修を修了。介護職のケア活動も行う。

更新日:2026年6月
取材日:2026年5月21日

芸人としてバラエティー番組などでお茶の間に笑いを届け、俳優としてもキャリアを重ねるタレントのオラキオさん。2020年からは介護人材の定着支援サービス「kaigo FIKA」の活動を始め、現在は介護啓発ユニット「介護&ピース」を結成して全国の学校、自治体などで出前授業やトークイベントを展開しています。さまざまな立場から介護業界、介護職員を応援するオラキオさんに、介護職への思いを語ってもらいました。

特養の施設長から誘われて無縁だった介護の世界へ

 僕が介護に関わり始めたきっかけは、本当に些細なことでした。僕はある体操選手の方と仲良くさせてもらっていて、その方と飲んだ機会に同席されていたのが当時、特別養護老人ホーム(特養)の施設長をやっていた柳沼亮一さんでした。2019年の夏、最初は3人で普通に飲んでいたのですが、お酒が進むうちに、柳沼さんが「芸能人が不祥事を起こして、禊(みそぎ)みたいに介護施設でボランティアをするのは何ですか?気分良くないです。こっちは普段、プロとして介護を本気でしているのに」って。僕は一応、芸能人側にいる人間なので「すみません。確かにそうですよね」って申し訳なく答えると柳沼さんも熱くなって「謝るくらいだったらオラキオさん、介護の仕事やりましょうよ」と言い出したんです。僕も酔っ払っていたので「分かりました。やりますよ!」と言い切ってしまいました。
 翌日、僕が「飲みの席での話だから」と軽く考えていたところに柳沼さんから電話がかかってきて「これから実務者研修を受けていただくので、手続きをしてください」と話がありました。僕も芸人がノリで言ってみただけ、と思われるのが嫌だったので「分かりました。当然やるつもりでしたよ」と答えました。内心、面倒くさいことになったなと思いながら。
 しかし、研修に入ってみると興味深いことの連続でした。序盤で、しっかり受けたいという気持ちになったんです。コロナで世の中が外出を自粛していたこともあり、約1年で実務者研修を修了したのですが、学びながら思ったのは、20年以上お笑い芸人としてやってきた僕のスキルみたいなものが、介護業界にマッチするということです。芸能と介護の両輪でやっていきたいと思うようになりました。
 ただ、僕が研修を修了したのはコロナの期間中だったこともあり実務経験があまり無いので、実際に介護の現場で利用者さんと触れ合うよりも、別の関わり方をした方がいいのではないかということになり、今は若い介護職員さんたちのメンタルケアや講演活動に重点を置いています。

オラキオさん

お笑いも介護も人と向き合う仕事。現場で生きる、芸人のスキル

 僕は施設で仕事をしているとき、利用者さんが何を求めているのかを考えることとお笑い芸人の仕事は、全く違うと思えませんでした。スキルが活かせると感じていたからこそ、無理なくここまで続けられているように思います。
 ただ、あくまでも僕はお笑い芸人で、芸能の仕事がメインです。介護、福祉の活動はライフワークとして一生続けていくつもりですが、それを生活の糧にしようとは思っていません。できる範囲で介護、福祉に携わっていきたいと思っています。僕にはあまり現場で直接ケアをしてきていないコンプレックスがあって、現場で働いていらっしゃる方の苦労をすべて知っているわけではありません。週に1回施設で働いていた時期もありましたが、すぐにコロナの自粛に入り、僕のように外部の人間との接触が多い人間が施設に行くのは良くないと判断し、リモートで若い介護職員さんたちの話を聞く活動にシフトしました。
 でも、若い介護職員さんたちが現場に定着したり、僕と話をすることでまた明日から頑張ろうとモチベーションを保ったりできれば、それは良いケアにも繋がると思います。僕が直接利用者さんと関わるより、介護職員さんたちが元気に働けるよう活動し、啓発を続けることで世の中の人が介護のことを考えてくれるきっかけになればいいな、という思いです。

オラキオさん

介護人材定着支援サービスで職員にリラックス時間を提供

 介護職員さんの仕事は、日常の延長です。利用者さんの生活に寄り添う仕事なので、介護人材の定着支援サービス「kaigo FIKA」では、僕と話をすることで普段の仕事では味わえないような会話を楽しんでもらっています。テレビで多少見たことのある芸人に今突っ込まれた!と、刺激やガス抜きになっていると感想をいただきます。1時間お話しをするのですが、介護のことではない話もいっぱいしますし、とにかく1時間を笑っていただく。そこは芸人の腕の見せどころなのですが、めちゃくちゃ笑える楽しい時間になるよう心がけています。
 あと、介護の仕事はどうしても外部の方と触れ合う機会が少ないので、第三者から直接褒められる機会が、少ないと感じています。もちろん利用者さんやご家族に感謝の気持ちを伝えられることはあるのですが、世間のイメージで「介護って大変だよね」と言われてしまう。なので、1時間の会話では「それはいいアイデアだね」とか「クリエイティブだし人間力が試される仕事だよね」と介護職員さんたちの自己肯定感を上げられるような声掛けができるよう、気をつけています。僕自身、芸人になって26年目ですが、介護業界での経験によって色々な考え方があることを知りましたし、トークの幅も広がったのではないかと実感しているので、両方の経験が良い影響を与え合っているのではないかと実感しています。

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