取材:2026年6月22日
僕は高校生のときから自転車競技でインターハイや国体に出場する選手だったのですが、その後競輪選手になり、21年間現役を続けました。起業した兄を手伝うために引退し約10年間兄の会社に勤めた後、55歳で転職したのが介護職です。なぜ介護職だったのかというと、これから65歳までの10年間で、かっこよく言えば社会貢献、誰かの役に立てる仕事をしたいという思いを抱いていたからです。
介護職に就いている競輪選手時代の元同僚も何人かいたので、自分にできるだろうか?と電話で尋ねたところ、介護の現場で元競輪選手の評価は結構高いということでした。先輩後輩の上下関係が厳しい世界でしたので、目上の人への礼儀や言葉遣いは身についています。体力も力もあります。その言葉に勇気をもらって介護職員初任者研修を受け、今いる施設にお世話になることになりました。ここで働き始めて4年目。59歳で介護福祉士の資格も取得しました。
初任者研修を受けるまで、僕は介護と無縁の生活でした。でも、ドラゴンズファンのサークルの仲間で嚥下を研究する方が嚥下について書かれた本をプレゼントしてくださって、難解な内容でしたが一生懸命読んだ記憶があります。今思えば、あれが介護との最初の出会いだったのかもしれません。とはいえ、自転車競技は怪我をすることもありますし、大きな事故で半身不随になってしまった先輩もいらっしゃいます。現役中はみんな勉強しながら体づくりをしていましたので、介護職ならその経験が活かせるかもしれないとの思いはありました。
55歳で知らない世界に飛び込むことに不安はありましたが、先に介護業界で働いている先輩が励ましてくれたのと、自分でも「できるんじゃないか」との思いがありました。やはりアスリートって「1年後にはこれができるようになっていたい」「目標を達成するために今はこれができるようになろう!」という思いで、少しずつ前に進んでいくポジティブな思考の人間が多いような気がします。これは利用者さんへの声掛けと同じで、「少しずつできるようになろう!」とお声掛けすると、みなさんやる気を出してくださる。自分もその姿にパワーをもらっています。
ただ、先輩から年齢的に夜勤がある職場は厳しいかも、とアドバイスをもらい、夜勤の無いデイケアのある法人に就職することにしました。
介護の仕事のやりがいは、感謝されることが一番です。利用者さんから頼りにされていることが伝わってくると本当にありがたい。人生の先輩である利用者さんを尊敬することはもちろんですが、利用者さんが明日に希望を持ってもらえるよう、僕たち介護職員が背中を押してあげられたらという気持ちもあります。
当施設のデイケアでは、毎日いろいろなレクリエーションを行っていて、僕も月に1回は担当しています。そんなときは自分が撮った写真を見てもらって感想を語り合ったり、撮影方法をレクチャーしたりしています。利用者さんが喜んでくださるのを見ると本当にうれしいですし、もっと工夫して楽しんでもらえるよう頑張ろうって思います。愛知県社会福祉協議会主催の「ふれあいフォトコンクール」で賞を何度かいただいたことで、ますますレクリエーションにも力が入ります。
これから介護の道を目指す方には、介護の仕事はさまざまな種類があり、その働き方は多様であると知ってほしい。介護の仕事は、自分に合わせた働き方で社会貢献ができ、利用者さんの生活や人生を支えることができる仕事です。ただ、介護の技術もどんどん新しくなるので、情報をアップデートし続けることも大切だと思います。僕も認知症介護者実践研修を今受けているところです。年齢的に覚えることが難しくはなってきますが、明日になればもっと覚え辛くなります。少しでも早い方がいい。そんな思いで頑張っています。
今後の目標は65歳の定年まで介護職を続けることをまず目指し、その後は自分で介護施設を開業する可能性もありますし、別の立場から介護を支える仕事に就くかもしれません。いずれにしても生涯介護に関係した仕事を続けていきたいと思っています。





