取材:2017年7月5日
近所にお年寄りが多く、高校生のころまでその方たちとたくさん交流をしてきました。その中でとっても優しくしていただいたこともあり、将来は高齢者の方の手助けがしたいと思うようになったんです。自分に何ができるかを考え、高齢者施設で働く選択肢があることを知り、高校卒業後は必要なことを身に付けようと専門学校への進学を決めていました。振り返ってみると、私の場合は迷うことなく介護の道に進むことができたと言えるかもしれません。
専門学校を卒業後、当時住んでいた石川県の特別養護老人ホームで働き始めましたが、認知症の方の日常を理解するまでには少し時間がかかりました。学校で「認知症の方は時間が経ったら違うことを言いますが、受け入れましょう」と教わっていたものの、実際現場で入居者さんに、食べたはずのご飯を食べていないと言われてしまい戸惑ったこともしばしば。「さっき食べましたよ」と伝えた方が良いのではと思ったこともありましたが、本人にとってその瞬間は食べていないことが「本当」なんです。否定するのではなく肯定的に受け止めることが大切で、今も心掛けています。
愛知県に引っ越してきて、現在の施設でお世話になって半年になりますが、やりがいに感じられることは石川県にいたころと変わっていません。それは、一日の仕事を終え、入居者さんに挨拶をして帰るときに「今日はありがとう」と言われることです。「一日頑張ったな、明日も頑張ろう」と思えるんです。これは私にとって喜びですし、やりがいにつながっているのだと思います。
6月からは、ユニットリーダーを任せていただいています。入居者さんとスタッフ、相談員さん、看護職員さんそれぞれのつなぎ役でもあるので、周囲とコミュニケーションを取るように一層心掛けるようになりました。気は張っていますが、周りのスタッフが支えてくれているので辛くはありません。皆で頑張ろうという雰囲気があるのは、介護の現場の良いところだと思いますね。
介護の現場で働くようになって6年目に入り、この仕事は一緒にその場にいるだけでも誰かの役に立っているとつくづく思うんです。入居者さんに寄り添うときに「役に立つぞ」と構えることはありません。楽な気持ちでいればいいんです。それが難しいのかもしれませんが、「自分が人の役に立っている」を実感しやすい仕事であることは、声を大にして伝えたいです。
先日実施した「七夕交流会」でも実感しました。皆さんが笑顔で過ごしてくださっている中に私たちがいる、たとえ後になって忘れてしまう人がいたとしても、そのときに笑顔でいてくれたことが重要なんです。
こんな風に人に貢献できる仕事は、介護職ならではと言えるのではないでしょうか。
※ユニットリーダーとは
10名以下のグループをひとつの生活単位(ユニット)として、専用の居住空間と専任の介護職員を固定する方法で行う介護ケアを「ユニットケア」といい、ユニットケアを行う際に配置された介護職の方々をまとめる役割を担う。これに加え、臨機応変な対応や柔軟に仕事をこなすことが求められるため、知識・経験・スキルが必要である。