取材:2017年10月26日
私が中学生のころ、看護師の母がデイサービス施設に勤めていたこともあり、介護の仕事があるのは知っていましたし、学校の職場体験もそのデイサービス施設に行きました。高校生のときはパティシエになりたいと思ったこともありましたが、介護の道に進もうと思ったのは、人と関わる仕事がしたかったからです。そのきっかけになったのは、中学生のときの職場体験。レクリエーションなどを通じて利用者さんと関わりながら、たくさんの時間を共有することができ、とにかく楽しかったんです。高校を卒業してすぐに就職することも考えましたが、介護の「か」の字も知らない状態ではいけない、基礎を学んでから現場に出たいと思い、専門学校に進学することにしました。もちろん両親も応援してくれています。
進学して良かったと思うのは、知識や技術を身に付けることができるだけでなく、「介護の根拠が学べる」ことです。「どうしてこういうケアをするのか」「どうしてこの技術が必要なのか」と、一つ一つに根拠があるのを知ったことで、現場での実習において、必要なケアに対してその根拠まで考えながら臨むことができました。
私は、利用者さんの自分らしさを支えていける介護福祉士になりたいと思っています。介護施設を利用していても、自分らしさが保ち続けられるように、こちらが気付いて支えてさしあげたいんです。それには、利用者さんの行動だけを見るのではなく、理由まで考えられる視点も大切で、それを実習で実感しました。特別養護老人ホームの実習でのことですが、お世話をさせていただいた利用者さんが、ベッドから車いすへの移乗時などに介護拒否があったんです。その方は耳が遠い方で、こちらの意思が伝わっていなかったことが理由だと分かり、それ以来、同意を得てから介助するようにしたところ、お礼まで言っていただけるようになったのです。

この学校で私は23回生になりますが、実習先の施設に行くと卒業生が指導者としていらっしゃることもあります。皆さんすてきで、尊敬しますし、憧れてしまいます。ずっと先のことですが、ゆくゆくは自分も若い人を指導できるようになりたいです。そのためにも、しっかり勉強して、介護福祉士としての経験をたくさん積みたいですね。
人と関わる仕事がしたくて介護の道を選びましたが、介護の仕事の一番の魅力は、より深いところで人と関われることだと感じています。楽しいこともつらいこともひっくるめて、人生にまで寄り添える仕事は、なかなか他にないと思うんです。

私と同じように人と関わる仕事がしたいと思っていたり、人と関わることが好きであれば、介護の道に進んではいかがでしょうか。介護の仕事と聞くと、良いイメージが持てないかもしれませんが、知識や技術を身に付けたり、実習で現場に行くとイメージは変わるものですし、何より介護自体がぐっと身近になります。実習先で職員の方に「介護は笑いだよ」と教えていただいたことがありましたが、全くその通りで、自分から笑顔で楽しむようにしたところ、自然に周りにも広がって、実習がさらに楽しくなりました。相手を思う気持ちさえあれば、大丈夫です。
私も来春には卒業ですが、今は不安よりも学んできたことを生かせる楽しみの方が大きいですね。