取材:2019年4月22日
私は現在の施設に入職して6年目になりますが、40歳を過ぎてからここで初めて介護の仕事に携わりました。それまで私がいたのは、紳士服量販店など介護とは異なる業界。右も左も分からないながら、未経験の業界に飛び込んだ大きなきっかけは、実家の父が要介護認定を受けたことです。当時は、要介護認定という言葉自体、耳にしたことがある程度。しかし肉親がそうなったことで介護について考えるようになり、介護の仕事に就くことで知識や技術を身に付け、父や母の手助けになればと思ったのです。
今では、母から父の話を少し聞くだけで状況がよく理解できます。また、2年ほど前に介護福祉士の資格も取得したので、ときには母にアドバイスをしてあげられるようになりました。
私の勤めているグループホームは、体は動くものの認知症の症状のある方が利用されています。同じ利用者さんでも昨日できたことが今日できるとは限らないので、入職当初はその見極めに苦労しましたが、利用者さん一人一人と関わり続けることで、そのときどきの対応ができるようになりました。入職当初の苦労といえば、日々の食事の用意が思い出されます。家庭的な雰囲気づくりのために利用者さんと食材を一緒に買いに行き、それをわれわれスタッフが調理するのですが、恥ずかしながら自炊をしたことがなかったので、料理を教えてくれた同僚たちには感謝しかありません。
グループホームに限らず、介護施設は世代やキャリアの異なる人が働く職場です。そこで、未経験・40歳代で入職した私が、先輩スタッフと関係を作る上で実感しているのは、あいさつと報告の大切さ。利用者さん一人に対して複数のスタッフが関わるので、特に業務上の報告は常にするように心掛けています。もちろん介護施設に限ったことではありませんが、私のように異業種から未経験での転職を考えている人には、覚えておいてほしいです。
今年に入って3か月ほど、系列の有料老人ホームへ手伝いに行く機会がありました。規模が大きい上に、利用者さんのほとんどが車いすをお使いになるか寝たきりの方で、看護師さんとも事あるごとに連携が必要でした。普段とは違う環境で、質の異なる難しさはあったものの、いい経験になりました。私のいる施設では寝たきりの状態になる前に、利用者さんは特別養護老人ホームや有料老人ホームなどへ移りますが、グループホームも「看取り介護加算」が認められるようになった今、あらためて医療的な知識を身に付ける必要性に気付き、学びたい気持ちを持つことができました。
私にとって、利用者さんが一日を無事に過ごせたときが一番うれしく、それが一番のモチベーションでもあります。これは今後も変わらないでしょうが、欲を言えばもっと早く介護の仕事に就きたかったですね。