取材:2020年4月27日
進路に迷っていた中学生のころ、母親が「こんな仕事があるよ」とケアマネジャーの仕事を教えてくれたことが介護職に興味を持ったきっかけです。おじいちゃん、おばあちゃんとも一緒に暮らしていますが、当時2人とも元気に働いていたので介護の仕事のことは詳しく知りませんでした。でも今、振り返ってみると、母方の祖父が病気だったので母は介護職について知っていたのだと思います。その話を聞いて、目指すことにしました。
介護の仕事は今後も求められていくし、特にケアマネの仕事は相手の話を聞いて介護計画を立てます。私も人の話を聞いたり計画を立てたりすることが好きなので、母はそういう性格を知って勧めてくれたのかもしれません。
私自身もケアマネの仕事について調べ、介護福祉士の資格を取って、介護の現場で経験を積むことがケアマネになる近道だと知り、介護福祉士の受験資格を取ることができる高校に進学することにしました。
実際、高校の福祉科に進んでみて思ったのは、やっぱり大変だということです。実習も辛かったです。高齢者の方は体重が軽いイメージだったのですが、実際は全体重を支えなくてはならないので重たくて自分の体が痛くなります。認知症が重い方だと同じ話を何回もされたり、急に怒られたりして精神的にも大変でした。
でも、“それが実習だ”と割り切れていたので、大変だなとは思っても辞めたいとは思いませんでした。それに今考えると、実習では実用的ですぐ使える技術を学べたので、経験できて良かったです。実習で学んだことは今でもすごく役立っています。
ケアマネに早くなりたかったので、高校を卒業してすぐに就職しましたが、高校で学んだこと、例えば寝たままの利用者さんの着替えや利用者さんの負担が少ない介助の仕方、自分の体への負担が少ない移乗の仕方など、細かいことですが教えてもらっていて良かったと思うことがたくさんあります。
介護職に就いてまだ2年目ですが、やりがいを感じる瞬間がたくさんあります。例えば、新しく入所された利用者さんに褥瘡(じょくそう)※1があった時、担当のスタッフで話し合って対策することで治った時は嬉しかったです。また、私が働き始めた時から介護拒否されている利用者さんがいたのですが、挨拶したり少しずつ話し掛けたりして信頼してもらえるよう努め、最近ようやく介助させてもらえるようになった時は感動しました。1年かかりましたが、頑張って良かったと思います。
介護の仕事はキツいと思われがちですが、どんな仕事もキツいことはあります。利用者さんが、傷がよくなって喜んでくれたり、拘縮(こうしゅく)※2が緩くなったりする変化が見える時はやりがいを感じます。
私も今後、結婚や出産を経ても介護の仕事は続けたいと思います。結婚して別のところへ行ったとしても、どの地域でも必要とされる仕事だと思うので再就職もしやすいと思います。
そして、将来はこの特養にいるケアマネさんのように、利用者さんから信用され、好かれるケアマネ、挨拶に来るだけで、みんなが笑顔になるケアマネになりたいです。
※1 褥瘡:寝たきりなどによって圧迫されている皮膚がただれたり、傷ができたりすること
※2 拘縮:病気や怪我で関節が動かしにくくなること