介護の仕事に就く前は保育士をしていました。そのときの同期が保育所を辞めた後、今僕が勤めている法人に就職したのです。僕が保育士を辞めようか悩んでいるとき、その同期と話をする機会があったのですが、保育士をやっているときより、いきいきしていて。こんなにいきいきとできるなら介護の世界に飛び込んでみようと思いました。
　介護のことは何も知らないままこの世界に入りましたが、4年間の保育士経験が介護の仕事にも役に立っていると感じます。コミュニケーションを取りながら考えて行動することが必要ですし、人と関わる仕事という部分では同じです。
　介護の世界に飛び込む際、何も分からない状態だったので逆に不安もありませんでした。介護の仕事のことを少しでも知っていたら自分にできるのか心配したかもしれませんが、本当に何も分からなかったので不安も期待もありません。家族や友達からも特に反対はされませんでした。
　実際、知識や技術は働きながら身に付いていきますし、人と話す、コミュニケーションを取ることができれば何の問題も無いと思います。もちろん技術や知識があれば越したことはないのですが、技術的なことは現場で先輩方にフォローしてもらいながら覚えていけばいいことですし、自分も工業高校卒業で介護知識の無いまっさらな状態で入って、約９年この仕事を続けています。

　よく介護の仕事は大変なイメージだと聞きますが、働いていて大変だと思ったことは無いですし、これはあくまでも自分の場合ですが、保育士の方が大変でした。休みの日も制作物の準備や書類仕事をしなければならないので、休みの日でも休みじゃない。転職して介護の仕事をするようになり、休みの日はしっかり休めるので驚いたくらいです（笑）。

　現在はショートステイがあるユニットで介護主任をしています。仕事内容は通常のケアに加えショートステイ利用の調整や勤務表作りなど。ご家族さんに報告しなければならないことがあれば連絡するのも僕の役割です。主任というとスタッフをまとめる立場でもありますが、みんな僕よりしっかりしているので僕がまとめる必要が無いくらい、すでにまとまっています。
　ただ、立場的に大変なことは、職員2人のケアの仕方が違う場合、どちらかに決めてくれと言われると困ってしまうことはあります。人それぞれやり方は違います。両方間違っていないことを言っていて、アプローチの仕方が違うだけだと思うからです。
　将来的にはケアマネの資格を取り、管理者になって、いずれは今の自分の上司のようになれたらいいなと思っています。

　介護の仕事の良い点はいろいろありますが、その一つが安定です。高校を卒業してしばらく工場に勤めていましたが、自分は工場でずっと同じことを黙々と繰り返すことが性に合いませんでした。製造業がコロナで影響を受ける中でも、介護の仕事では打撃を受けて給料が減ることはありません。景気の良い悪いに左右されないですし、将来どうなるか不安だという人には向いている仕事だと思います。

　介護の仕事のやりがいは、感謝されることです。利用者さんからもしょっちゅう「ありがとう」と言われますが、ショートステイの送り迎えなどでご家族さんからも感謝されるときが、やっていて良かったと思えるときです。特に利用者さんが亡くなったとき、お通夜の席で「本当にお世話になりました。預けてよかった。」と言ってもらえることがあります。介護は最善と思われることを探しながら対応し、それが正解だったかどうか答えは分からないままです。でも最期にご家族から感謝されると、頑張って良かったと思います。と同時に、感謝されるけど、そこまでできたかな？もっとやれたんじゃないかな？という思いもあります。そのたびに、もっと頑張ろうと決意を新たにしています。