取材:2021年6月21日
日本福祉大学に通っていたのですが情報系の学部で、就職活動の際にいろいろな会社を受験して、内定をいただいた会社の一つが介護の仕事でした。もともと介護の仕事に興味があったわけではなかったものの、人と関わることは嫌いではありません。他に内定をもらった会社の仕事は、あまり自分には向いていないと思ったことが介護職を選んだきっかけです。
入社前の大学4年の終わりに当時のヘルパー2級の講座を受けて、資格を取得後に入社し、入社後も2週間の研修がありました。今、勤務している会社に転職する前の会社なのですが、この研修があったことで、何も知識の無い自分に介護の仕事ができるかな?という不安をある程度軽減してくれました。
前の会社では有料老人ホームで4年間働き、今の会社に勤めるようになって10年。今は入居者さまの日常のケアやレクリエーションなどを行いながら、フロアリーダーとして後輩を指導する立場でもあります。
ホームには、いろいろな状態、介護度もそれぞれの入居者さまがいらっしゃるので、その方に合ったケアを行うことが大事です。しかしそれ以上に大切なことが、入居者さまとの信頼関係です。介護の仕事といってもさまざまな職場がありますが、有料老人ホームは基本的に入居者さまがお亡くなりになるまで、人生の途中からではありますが、その後一生のお付き合いになります。誰だって、信頼できない人に自分の体を任せたくないですよね。ましてやこの先、ずっとお付き合いしていかなくてはならないので、信頼関係が一番大切だと思っています。
後輩の中には他業種から転職してきた人もいます。介護職が初めての職員には、まず入居者さまに顔を覚えていただいて馴染みの存在になることが大事だと教えています。技術も大事ですが、それはちょっとずつで大丈夫。自分も要領が良くない方なので、なかなかできない気持ちも分かります。なのでそんなに慌てず、まずは自分という人間を知ってもらうことが先かなあと思います。
有料老人ホームでの仕事は、サービスの質も求められます。自分はそこに魅力を感じましたし、より丁寧なサービスを提供したいという思いです。看取りはとても辛いことですが、その悲しみも含め、最期を看させていただくことは責任があると同時に、とてもやりがいのあることです。最期の瞬間、その方の最期のときを、いかにその人らしく穏やかに過ごしていただくか。それを日々、考えながら仕事をしています。
介護職に就く、就かないは別としても、介護は誰にでも関わりがあることです。将来、家族に介護が必要になったり、自分が介護される立場になることもあるかもしれません。介護に関心を持つことは無駄にはならないと思います。
介護の仕事というと、排泄や入浴の介助というイメージが先行していますが、それよりも人を相手にする、人と深くかかわっていく仕事だという面が伝わっていないような気がします。そこをもっと広く知ってもらえれば介護職に対するイメージも変わるんじゃないか。もちろん排泄ケアも必要なことですが、そこよりも大切なことがある、そのことを伝えていけたらいいなって思います。