取材:2022年3月9日
私が介護の仕事に就いたきっかけは、17歳くらいのときの障害福祉施設でのアルバイトです。中学卒業後に就職した会社を退職したタイミングで、障害者福祉施設に勤めていた知り合いから「人手が足りないからアルバイトで入れないか」と相談され、これも何かの縁かと思い、介護の世界に飛び込みました。最初は児童ケアを担当していたんですが、社長に働きぶりを認めていただき、成人ケアも任されるようになりました。未経験ながらいろいろやらせてもらえたのが嬉しかったですね。仕事をする中で、将来親に介護が必要になったときに役立つんじゃないかと思い、福祉系の定時制高校に入学しました。卒業後はアルバイト先の施設にあらためて正職員として就職しました。
実際に働くまでは、介護の仕事に対して、世間でいわれているようなマイナスのイメージを私も持っていました。当初、アルバイトとはいえ介護の仕事をすることに抵抗があったのも事実です。しかし、入浴援助のときに利用者さんと話していて、共通の話題で盛り上がって一緒に笑ったとき、「介護職って楽しいんだ」と思ったんですよ。
利用者さんの反応がダイレクトに返ってきて、自分が役に立っていることが実感できるのは嬉しくて仕方ありません。介護職として働いてみて一番驚いたことは、働く前に抱いていたイメージと全く違っていたということ。介護職の道で頑張っていこうと思えたのは、きっかけとなったアルバイト時代が楽しかったからですし、こうして何年も続けられているのは、自分に合っていると思えたからですね。
介護の仕事は、今までの人生経験が活かせるのも面白いところですね。前の勤め先では清掃の仕事をしていたんですが、その経験も活きています。例えば、モップがけ。利用者さんが快適に感じてもらえるよう、きれいにする自信があります。介護職は、いろんな経験が役立つ仕事なんだなと思いますね。
今後の目標は介護福祉士など国家資格を取って仕事の幅を広げ、さまざまな対応ができる介護職になりたいです。今はとにかく現場が楽しいので、これからも現場で利用者さんと関わっていきたいと思っています。私の祖父母は亡くなってしまいましたが、今の職場は祖父母と同じくらいの年齢の方と関わることが多く、祖父母にできなかったことをしてあげられるのも嬉しいです。
私のように、実際に働いてみて介護の仕事の魅力ややりがいが見つかると、介護職として働いてみたくなると思います。残念ながら自分の周りには、介護職の方はほとんどいません。大変そうな仕事とどうしても思われてしまい、楽しさを伝えても響かないのが歯がゆいです。「1日だけの介護体験」とかできたら、印象が変わるのかなと思ったりしています。