取材:2022年9月8日
私はもともと、お年寄りの方たちと話すのがすごく好きでした。でも介護職には全く興味は無く、高校卒業後の進路も就職することだけ決めてはいたものの、自分がどういう仕事をしたいか分かりませんでした。当時はちょうどコロナ禍の就職難。高校の先生から進学を勧められ迷っていました。
そのころ、近くに住んでいた曾祖母が亡くなったのですが、生前「莉那ちゃんみたいな人がお世話してくれたら嬉しいし安心できる」と言っていたと同居している祖母から聞きました。その言葉を思い出し、介護の仕事にちょっと関心が生まれた私は、就職はとりあえず置いておき、介護を学べる近くの専門学校のオープンキャンパスに行ってみることにしました。
そのとき訪ねたのが今通っている専門学校だったのですが、見学のときに対応してくれた先生がすごく話しやすい先生だったことが進学の決め手になりました。「この先生のように話せるようになりたい、こんなふうにお年寄りとお話をしながら楽しく仕事ができる職場ってすごくいいだろうな」と思って今に至ります。
この学校を選んだ理由は他にもあり、まず実習の数が多いということ。あとコミュニケーション能力を高められそうだとの思いがありました。私は人見知りな性格で、同世代の子たちと話すより、お年寄りの方たちの方が安心してお話ができると思うくらい人前で話すのが苦手なタイプです。この学校の授業にはコミュニケーションの項目があり、担当の先生が「ここで学べばコミュニケーションのスキルが上がるし、自分みたいになれるよ」と言ってくれたことに魅力を感じました。就職を希望していたはずの私がギリギリに進路を変えたことで両親は最初驚いていましたが、今は「頑張って資格も取って」と応援してくれています。

介護の仕事は最初、誰でもできる仕事だと思っている部分がありました。でも勉強していると、そうではないと思うことばかりです。学校では座学も楽しいですが、私が一番好きなのは「生活支援技術」の授業。高齢者の方向けの献立を自分で考え実際に作って食べてみたり、裁縫で身の回りのものを作ったりします。仕事はもちろん、自分のためにも役に立つ内容です。
実習で一番印象に残っているのはグループホームでの実習です。それまで実習を行った施設では食事は担当の方が作ってくれていました。グループホームでは利用者の方と一緒に食事を作ることになっていて、すごく楽しかった。学びも多く雰囲気も良くて、一緒に家事をしながら生活できることが新鮮でした。
まだ就職前ですが、実習を通して感じた介護職の魅力は、やりがいが感じられることだと思います。グループホームでの実習の際、初めて受け持ちの利用者の方を決めて担当させていただきました。最初はいくら話しかけても反応してくれなくて、どうしたらいいのか分からなくて悩みました。でもこの方に笑顔になってもらうという目標を自分の中で決めて、コミュニケーションの取り方に工夫をしてみました。

そうしたら実習の最後の2日くらいのときに初めて「ありがとう」って言ってくれて。全く話さない方、うなずくだけの方だったので、とても嬉しかったですし、頑張って良かったと思いました。
将来は、利用者さんから「この人になら任せられる」と信頼される介護職員になりたいです。私も入学する前は人の目を見て話せないくらいでしたが、実習の際、このままではいけないと思って積極的に行動するうちに少し自信がついたように思います。
介護職を目指す同世代の方には、大変なこともあるけれど楽しいこともたくさんあると伝えたいです。私も楽しいことをたくさん見つけましたし、学んで損することはありません。ぜひオープンキャンパスなどを訪ねて、自分の目で確かめてみてください。