取材:2022年11月16日
僕が介護職に就いた理由は、一緒に暮らしている祖父、祖母にいつか恩返しがしたいとの思いがあったからです。うちは母が仕事で家にいないことが多く、祖母がご飯を作ってくれていました。祖父は車で送り迎えしてくれたりして、2人が親代わりのようでした。高校生のとき、コンビニでアルバイトをしていて地域のご年配の方々や常連のお年寄りと交流する機会が多くあり、色々お話するうちに自分も何かお年寄りの役に立つ仕事ができればいいなと思ったことも理由です。介護職は希望にピッタリの職業だと思いました。
高校卒業後、就労継続支援B型の施設でアルバイトを経験した後、今働いている小規模多機能ホームに正社員として就職しました。友だちのお母さんが同じ法人内で働いていて、紹介していただいたのがここに決めた理由です。
正直、介護の専門的な知識は無いまま働くにはちょっと不安でした。今は何でも簡単に調べられる時代です。僕も調べるうちに心配になってきたのですが、母や祖父、祖母が「性格が優しいから大丈夫だよ」と励まし、背中を押してくれたことで勇気が出ました。「いつまでもバイトでは今後どうするの?」と心配していた母を、安心させたいとの思いもありました。
小規模多機能ホームはデイサービスも訪問介護もショートステイもあり忙しいのですが、母も祖父も「仕事は大変で当たり前」という考えの持ち主です。そんな家族を見ていたので僕も仕事が辛いと思ったことはありません。
でも最初は悩んだこともありました。入職するまで元気なお年寄りとしか接していなかったので、どう接すればいいのか。どう声掛けをしたらいいのか分からなかったからです。あと言葉遣い。ちょっと気を抜くとうちの祖父、祖母の顔が浮かんで友だちみたいなしゃべり方になってしまって(笑)。信頼関係が出来てからならちょっと崩してもいいと思うのですが、基本、敬語を使うべきだと思うので、しばらく苦労しました。
この仕事の良い点は、感謝の気持ちを聞くことが多いということ。介護の仕事は触れ合い、交流する機会が多い仕事です。ご家族さまに会うことも多く、感謝されると、やっていて良かったと思います。利用者さまが名前を覚えてくださることもとてもうれしいです。また、適切な判断や対応ができたとき、自分が成長できたと実感できるのも、この仕事ならではです。未経験での就業でしたが、先輩方や所長のサポートを受けながら働くことができているので、環境的にも恵まれていると感じています。
介護職に就いて2年目の今、自分も学びながらですが、特定技能で働いている外国の方々をサポートする立場でもあります。僕も入職したてのころは、こうだったなあ、と思いながらアドバイスしています。僕らも助かっていますし、細かいところにも気付いてくださることもあり、お互いに勉強できているように思います。
僕は未経験から介護の仕事に就きましたが、コンビニでの経験が生きていると思うこともたくさんあります。コミュニケーション力が上がったと思いますし、空気感を読めるようになりました。相手の感情を察するのはバイト経験を通じて得たもので、それは介護の仕事にも大変役立っています。
今、介護職員初任者研修の資格取得に向けて勉強しています。今後の目標は介護福祉士の資格を取ること。その後も取れる資格は取っていきたいですし、市が主催する勉強会などもどんどん参加したいです。所長や副所長のような手本にできる方が身近にいるので、目標にしていきたいと思っています。
中高生の方には、ぜひ身近にいる年配の方と昔のことなどいっぱい話していただきたいです。あと、コロナ禍で難しいとは思いますが、チャンスがあれば介護施設にボランティアに行ってみてください。実際に行ってみると、介護のイメージが変わると思います。