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介護理解促進福祉協力校

 愛知県では、介護職の魅力を広く知ってもらうことで、福祉・介護就労への理解を促し関心を高めてもらう取組の一環として、県内の高等学校を介護理解促進福祉協力校として指定し、介護体験等を行う「介護理解促進福祉協力校事業」を実施しています。今回は、令和元年度の協力校の一つ、椙山女学園高等学校の生徒たちの活動と学びを紹介します。

【令和元年度介護理解促進福祉協力校】
学校名 所在市町村

愛知県立一色高等学校

西尾市
愛知県立稲沢高等学校 稲沢市
椙山女学園高等高校 名古屋市
愛知県立豊橋商業高等学校 豊橋市
愛知県立美和高等学校 あま市

※五十音順

取組の一例紹介~中部大学春日丘高等学校~

事前総合学習会

取材日:2019年7月12日

 椙山女学園高等学校では社会福祉部(顧問・服部悠加教諭、内藤まりや教諭)の2、3年生17人が夏休み期間中、名古屋市千種区の特別養護老人ホーム藤美苑で4日間の介護体験学習を行いました。社会福祉部は募金活動や高齢者施設訪問などのボランティア活動、手話の練習などを行っていますが、4日間にわたり施設で高齢者と交流する介護体験は初めてです。
 7月に同校で行われた事前総合学習会では、日本福祉大学の大林由美子助教が「介護の仕事を理解しよう」をテーマに講義を行い、介護の仕事の目的や、魅力について話しました。また、介護職のキャリアパス、具体的な仕事内容も解説。さらに介護体験の心構えも伝え、「4日間の体験を通し、新たな発見をしてください!」と呼びかけました。

介護体験学習

取材日:2019年8月2日

 特別養護老人ホーム藤美苑での介護体験初日は、午前中にオリエンテーションとして注意事項や1日の流れなどを聞き、午後は談話ルームで利用者さんとコミュニケーションを取りました。最初は緊張気味だった生徒も2日目、3日目はリラックスして笑顔で交流できるように。掃除や食事の配膳、レクリエーションの手伝い、利用者さんとのおしゃべりや洗濯物たたみなどを行いました。

【参加した生徒の感想】

私は認知症の方がいらっしゃるフロアでの体験でした。体験前、認知症の方はあまり話せないと思っていたのですが、実際はお話しもできるし、知らないことを教えてもらいました。利用者さんとの触れ合いはとても楽しいです。介護職員の方がどんな状況でも冷静に判断されているのを見て、すごいと思うと同時に福祉の仕事っていいな、介護の仕事に就いてみてもいいかな、と思うようになりました。
施設訪問は数回ありますが、今回のように長い体験は初めてです。最初はコミュニケーションが取れるのか心配でしたし、どうやって話し掛ければいいのか戸惑いました。でも利用者さんはいろんなことを教えてくださいました。
 体験するまでは1対1の仕事だと思い込んでいた介護の仕事が、実はチームワークが大切な仕事だと知りました。将来は看護の仕事に就きたいので今回の体験を活かしたいです。
一人ひとり介護度や状況が違うので、コミュニケーションの取り方が思っていた以上に難しかったです。心がけていたのは、大きい声で同じ目線から話し掛けることです。自分も将来は看護の仕事に就きたいので、大変だけどやりがいがありそうだと感じます。利用者さんから「ありがとう」と言われたときはとても嬉しく、体験して良かったと思いました。

事後総合学習会

取材日:2019年10月30日

 10月に開かれた事後総合学習会では、生徒たちが施設で行ったこと、介護体験学習で感じたことなどを発表し、体験を共有。講師である日本福祉大学の大林由美子助教と質疑応答を行いました。
 大林助教は生徒の発表に感心しながら、「皆さんの体験を共有できたことが良かったと思います。利用者さん一人ひとり個別に対応することに驚く人が多かったですね。食事形態一つにもいろいろな工夫があり、細かくきざんだり、とろみをつけたりしています。その人に合ったケアを行うためにスタッフ全員が情報共有します。」と解説しました。そして「介護の現場は、いろいろな専門職がその専門性を生かし、連携を取りながら働く職場です。それは一人ひとりを尊重しているからです。」と話しました。

【生徒の感想(事業全体を通して)】

体験前は少しうるさくて、ごちゃごちゃしているのではないかと思っていましたが、明るく落ち着いた感じでした。      
80代、90代の人だけでなく60代の方もいらっしゃって驚きました。お風呂の中も風呂用車椅子など快適に利用できるよう工夫されていたのが印象に残りました。
介護職員さんだけが働いていると思っていたのですが、看護師さん、理学療法士さん、管理栄養士さんらさまざまな職種の方が働いていることを知りました。体験前まで認知症は恐ろしいものだと思っていましたが、ちゃんとコミュニケーションも取ることができ、怖くありませんでした。これからますます高齢化が進み、認知症の方も増えていきます。認知症になっても自分らしく生きていける寛容な社会になればいいなと思いました。
病院のようなところだと思っていましたが、実際は利用者の方がスムーズに生活できるよう工夫がある家のようなところだと感じました。ただ職員の数が少ないので、もっと多くなればいいと思います。
シビアな職場だと思いました。利用者さん一人ひとりのことを頭に入れなければいけない。人手も足りていない。認知症もいろいろな度合いがあります。食が進んでいない人に「頑張ってください」と言ったら「こっちは頑張ってるんだよ」と言われてしまいました。認知症でもそれぞれ症状が違います。どのようにコミュニケーションを取ればいいのか考えさせられました。
これまでレクリエーションのボランティアで訪問したことがありましたが、その際は食事の様子は分かりませんでした。今回食事の様子を見て、とろみを付けたり細かく刻んだりして一人ひとりに合わせた工夫をされていることに驚きました。

担当教員の声〈服部悠加教諭、内藤まりや教諭〉

介護の現場を知ったことで得た気づきと自信

先生
 
服部先生: 社会福祉部では年2回、高齢者施設にレクリエーションでうかがっています。1時間ほどのレクリエーションを考え、練習して発表します。しかし、このようにじっくり体験させていただくのは初めてです。
内藤先生: それ以外では普段、募金活動をしたり中部善意銀行の夏期高校生ボランティア活動に参加したりしています。今回、生徒に色々な体験をしてもらいたいという思いから、福祉協力校にチャレンジしました。生徒たちの感想を聞くと、実情を見て考えることができていたと感じました。
服部先生: 高齢者施設でのレクリエーションは、時間をいただき、やらせていただく状態なので、施設の方のアドバイスを受けることもないですし、認知症の方へもどう接したらいいのか毎回反省ばかりで答えが出ないままでした。今回、施設の方からいろいろなお話を聞き、実体験でき、貴重な時間を過ごすことができました。体験だけではなく事前学習があり、体験してからのフィードバックもあった。この流れが生徒たちにとって良かったと思います。
内藤先生: これまで夏期ボランティアには高齢者施設に行く生徒は少なかったのですが、この経験を生かし、次回から増えることを期待しています。元々あまり注目されていない部活動ですが、県から選んでもらって機会をいただいたことは生徒たちの自信になっていると感じます。今回の体験から新しいものを得て、次の活動に繋げていけたらと考えています。
〈介護体験学習先施設紹介〉
◆特別養護老人ホーム 藤美苑◆
 名古屋市千種区で初めての特別養護老人ホーム。施設の周辺は緑に恵まれ、目の前の茶屋ケ坂公園では四季折々の自然を楽しむことができます。感謝・感動・感激の新3Kをモットーに、小さな兆しを発見する目を持ち、変化を見逃さない介護を心がけています。

社会福祉法人葆光会 特別養護老人ホーム藤美苑
名古屋市千種区鍋屋上野町北山3515番地
TEL:052-722-2232(平日9:00~17:00)
FAX: 052-722-2239
URL: http://www.houkoukai.com/index.html

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