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介護理解促進福祉協力校

 愛知県では、福祉・介護職への理解を促し関心を高める取り組みの一環として県内の高等学校を介護理解促進福祉協力校に指定。介護体験等を通して高校生に介護の魅力を知ってもらう「介護理解促進福祉協力校事業」を実施してきました。令和3年度は前年に続き新型コロナウイルス感染拡大防止のため、施設での介護体験学習から3回シリーズの出前介護講座に変更。講座を受講した指定校7校の中から修文女子高等学校(一宮市)の生徒たちの学びを紹介します。

【令和3年度介護理解促進福祉協力校】(7校)
学校名 所在市町村

学校法人愛知産業大学 愛知産業大学三河高等学校

岡崎市
愛知県立安城高等学校 安城市
学校法人愛知享栄学園 享栄高等学校 名古屋市
愛知県立猿投農林高等学校 豊田市
学校法人修文学院 修文女子高等学校 一宮市
愛知県立千種高等学校 名古屋市
愛知県立津島北高等学校 津島市

※50音順

取組の一例紹介~修文女子高等学校~ 取組の一例紹介~修文女子高等学校~

出前介護講座①

取材日:2021年9月15日 講師:株式会社経営志援 辻 暦さん(看護師、社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士)

 修文女子高等学校ではインターアクトクラブの1年生から3年生までの部員9人が「介護の仕事を理解しよう」をテーマにした講義を受講しました。介護現場での勤務経験があり看護師、社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員でもある辻暦さんが高齢者の現状を伝えながら、「福祉とは?」「介護とは?」を生徒と一緒に考えました。同校のインターアクトクラブではボランティア活動で高齢者施設を訪問したことがあり、介護の仕事を具体的にイメージできる生徒が多くいます。講師の「介護の仕事とは、何を支援すればその人がその人らしく生きられるのかを常に考え、その実現を本人と共に目指していく仕事」との言葉に、うなずきながら耳を傾けていました。

  • 講座風景
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出前介護講座②

取材日:2021年10月20日 講師:社会福祉法人愛知県厚生事業団 特別養護老人ホーム愛厚ホーム一宮苑
   生活相談員 笹山圭佑さん
   介護職員  前田雅子さん

 約1か月後に開催された出前講座の2回目は、特別養護老人ホームの生活相談員を務める笹山さんと介護職員の前田さんを講師に迎え、「介護を考えよう〜特別養護老人ホームから〜」をテーマに講義が行われました。
 笹山さんは、最初に介護のスタイル(通所・訪問・居宅)や特別養護老人ホームではどのような職種の人々がどのくらいの人数働いているかを説明。色々な立場の人々が協力しながら働いている職場であると話していました。
 前田さんは具体的な業務内容と、食事介助で気をつけていることについて、入居者さんと直接接する職員ならではの工夫と心掛けを語りかけました。  
 2人は介護の仕事に就いたきっかけについても触れ、「人の役に立っていることが分かりやすく実感できる」(前田さん)、「やりがいがある上に安定していて職を失う可能性が少ない」(笹山さん)と介護職の多様な魅力についても紹介。介護系の資格取得のルートについても解説し、生徒たちは熱心にメモを取りながら集中して話を聞いていました。

  • 講座風景
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出前介護講座③

取材日:2021年12月10日

 出前講座最終回の3回目は、1回目の講師も担当した辻暦さんを迎え、「もっとみんなで介護を理解しよう」をテーマにグループワークなどを行いました。辻さんが過去2回のまとめを行い、生徒それぞれが今回の出前講座で抱いた思いや学んだことを共有しました。
 まず辻さんは生徒たちに「講座を受ける前と後では介護に対するイメージが変わったか変わらないか」を質問。生徒たちは全員「変わった」と答えました。どのように変わったかを生徒全員が発表しました。

  • 講座風景
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【生徒の発表】

始めは仕事の内容が分からなくて、辛い仕事ばかりなのかと思っていましたが、感謝される仕事だと分かりました。         
介護職員さんのお話しで、介護は一人で行う仕事ではなく協力し合って行う仕事で、喜びを感じることができる仕事だと知りました。
前は辛いことが多くて大変なイメージを持っていましたが、今はみんなで協力してできる仕事でやりがいが大きいと分かりました。
介護の仕事について前は良いイメージを持っていなかったのですが、仕事に対することや治療について考えながら介護していることを知り考えが変わりました。
全ての世話をしなければいけない大変でマイナスなイメージだったのですが、全てを世話するのではなくて、高齢者の方ができることは自分でやってもらうということを学びました。
大変な仕事というイメージだったのですが、大変だけど色々な人と出会いがあり、協力しながらできる楽しい仕事だということが分かりました。
最初は何でもやってくれる人が介護職員だと思っていましたが、利用者さんができるかぎり自分でやれるように助ける人が介護職員だと知りました。
介護の仕事は人に生きる力を与えることができると聞いて、自分の仕事が生きる力に変わることはとても素敵な仕事だと思いました。

 そして、各自が「将来、こんな社会になったらいい」と思うことを考え、グループワークでお互いにどう考えたかを共有。その後、「歩けなくて元気が無いAさんと温泉に行こう」というテーマで、自分が介護職員だったらどんなプランを立てるかを考えていきました。
 プランを立てるに当たり配慮しなければいけないことは、「温泉に行くまで何をしたらいいか」「Aさんを元気づけるために何をしたらいいか」など。グループごとに手段を考え、発表しました。
 発表では「ご家族と下呂温泉へ車で行き、飛騨牛を食べる」「温泉に行くまで、足湯から始めてお風呂に入るための座る練習をする」「至るところがバリアフリーになればいい」など、各自が考えた「将来、こんな社会になったらいい」も含めたプランが生まれました。
 辻さんは「将来、こんな社会になってほしい」という思いは、身近なところから考えると分かりやすい」と説明すると同時に、介護の仕事の将来性、キャリアアップについても話しました。そして最後に「医療は命を助け、福祉は人生を助ける。その担い手が福祉関係で働く人々です」と生徒たちに語りかけ、3回の講座をまとめました。

担当教員の声〈インターアクトクラブ顧問・田嶋佑里亜教諭、副顧問・青山美香子教諭〉

外部講師や介護の現場で働く人の生の声を聞き 職業選択のための広い視野を得ることができた 外部講師や介護の現場で働く人の生の声を聞き 職業選択のための広い視野を得ることができた

田嶋先生
 出前講座を受けたのはインターアクトクラブの1年生から3年生までの9人です。インターアクトクラブは普段、国際交流とボランティア活動を行っています。コロナウイルスの影響が出る前は赤い羽根募金活動などのボランティア活動を行い、中にはロータリークラブの支援を受け、オーストラリアでの研修に参加する生徒もいます。
 今回、介護理解促進福祉協力校に応募した理由はいくつかあります。授業では介護に関して学べる機会は少ないため、相手の立場に立ってボランティアに臨むためにも介護について学んでほしかったということ。そして自分の立場とは異なる方と理解を深めながら、ボランティアに参加するためにはどうすればいいのかを講座を通して考えてもらいたかったからです。
 コロナ禍では交流の機会が無いため、今回の講座を受けたことで外部の人との関わり方がどう変わったのか直接見ることはできませんでしたが、外部の講師に来ていただくことによって、自分たちはいかに視野が狭かったかを感じたと生徒は話していました。また、外部の方とお話しすることで将来の選択肢を考えるための広い視野を持てるようになったとも言っていました。
 愛厚ホームの職員の方がおっしゃっていましたが、介護の仕事は今後も無くならない仕事です。AIが人間の仕事を代わりに行う時代になったとしても、看護師や教師同様、介護の仕事も人間でなければできません。自分の将来に悩んだとき、人と関わることが好きな生徒であれば介護の仕事も選択肢の一つです。今回学んだことを活かし、職業選択の際に役立ててほしいと思っています。
 インターアクトクラブでは2022年4月に「ワールドフード+ふれ愛フェスタ」、夏休みには福祉施設でのボランティアを予定しています。どちらもインターアクトクラブ恒例の行事ですが21年はコロナの影響で一部参加できませんでした。22年は参加できる状況になり、生徒たちに学びと経験を深めていってほしいと思っています。
〈出前介護講座②講師 勤務施設紹介〉
◆社会福祉法人愛知県厚生事業団 特別養護老人ホーム愛厚ホーム一宮苑◆
 明るく開放的な建物で、安心・安全・快適にお過ごしいただける施設です。多様な福祉サービスがご利用者さまの意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫すると共に、利用者さまが有する能力に応じて自立した生活を営むことができるよう、サービスの質的向上と援助技術の向上に努めています。

社会福祉法人愛知県厚生事業団 特別養護老人ホーム愛厚ホーム一宮苑
一宮市大和町苅安賀字狭間70
TEL:0586-44-8300
URL: http://www.ai-kou.or.jp/home_ichinomiya/2012022614510289.html

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