- 近年、子どもたちを取り巻く家庭環境や社会環境が大きく変化するとともに、子どもたちの性に関する意識や価値観が多様化しています。
- 県内において、平成15年度中の、10代の人工妊娠中絶実施件数は、2,084件となっています。
10代後半に既に性感染症に罹っている人もあり、また、平成14・15・16年のHIV感染者・エイズ患者の報告数は、20歳代が最も多くなっています。
- 薬物乱用、喫煙・飲酒、過剰なダイエットの増加等の傾向が見られ、思春期の健康がむしばまれています。
- 不登校、心身症、ひきこもり、思春期やせ症をはじめとする思春期特有の心の問題が顕在化してきています。
<表3章−I−1>
10代の人工妊娠中絶実施状況 (率:15〜19歳女子人口千対)
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実数 |
率 |
実数 |
率 |
平成5年 |
1,856 |
7.2 |
29,776 |
6.6 |
10年 |
1,916 |
9.3 |
34,752 |
9.1 |
15年度 |
2,084 |
11.1 |
40,475 |
11.9 |
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<表3章−I−2>
県内における年代別エイズ患者・HIV感染者報告数
年代 |
平成13年までの累計 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
累計 |
50歳以上 |
32 |
10 |
7 |
16 |
65 |
40歳代 |
26 |
8 |
7 |
8 |
49 |
30歳代 |
98 |
13 |
18 |
21 |
150 |
20歳代 |
72 |
22 |
21 |
25 |
140 |
20歳未満 |
5 |
0 |
1 |
2 |
8 |
不明 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
|
- 愛知県では、平成14年度から「10代の望まない妊娠の減少」を母子保健重点目標に掲げ、各保健所において、地域の思春期保健の課題を分析評価しています。また、市町村とともに保健と教育が連携をした性教育を実施しています。また、エイズ教室の開催、エイズキャンペーン、中高生のポスターコンクール等により県民に対する知識普及を図っています。
- 県内の16歳から19歳の若者がタバコを吸っている割合は、平成16年度生活習慣関連調査では男子が6.7%、女子が4.5%となっており、「健康日本21あいち計画」に基づき、未成年者が新たにタバコを吸い始めないように知識の普及や、タバコを安易に購入できない環境づくりを推進しています。
- 県内における、覚せい剤等の薬物乱用による少年の補導人数は、平成15年から50人台となっています。最近の特徴としてMDHA等の錠剤型合成麻薬の乱用が懸念されます。
- 愛知県では、薬物乱用防止対策推進本部を設置し、関係機関・団体等と連携し、保健所を中心に相談事業、啓発活動等薬物乱用防止対策を実施しています。
また、愛知県警察では、小・中・高校生を中心に「薬物乱用防止教室」を開催しています。
- 県教育委員会では、学校における性教育、防煙教育、薬物乱用防止教育を推進するため、小中学校及び県立学校教諭を対象に専門講座を実施しています。
-
子どもたちに性に関する正しい知識と判断力を身につけさせるための教育が必要です。
- 喫煙の健康に及ぼす影響を認識させ、タバコを吸い始めないようにする防煙教育が必要です。
- 青少年による薬物乱用を根絶するため、関係機関の連携を密にし、啓発活動をより充実する必要があります。
- 思春期保健の課題に取り組むためには、家庭、学校、地域等の連携が急務であり、思春期保健対策のネットワークの構築が必要です。
- 市町村、学校等関係機関と連携し、エイズ予防、性感染症対策も含めた性教育の実施を進めます。
- 喫煙の健康に対する影響に関する知識の普及と未成年者がタバコを吸い始めないように、防煙教育を推進します。また、市町村立小中学校の学校敷地内を禁煙にするなど、防煙対策を実施するとともに受動喫煙を排除する環境づくりを推進します。
- 教育・薬物乱用防止教育専門講座を修了した教員による各地域、学校の教員への指導・助言などを通じて、正しい知識と判断力を身につける教育を推進します。
- 愛知県薬物乱用防止対策推進本部」を中心に関係機関と連携を図るとともに、薬物相談窓口事業、啓発活動等により青少年に薬物乱用に関する正しい知識の普及を図り、青少年による薬物乱用の根絶を目指します。
- 家庭、学校、地域等が思春期保健の課題に対し、関係機関それぞれの役割を発揮できる円滑な地域連携ネットワークの構築のために思春期保健対策検討委員会を設置し、思春期保健対策を推進します。
- 小中学校及び県立学校教員を対象とした性教育専門講座を、引き続き実施していきます。
- エイズ予防の普及啓発活動を、引き続き推進していきます。
- 未成年者の喫煙率を0%とするため、学校教育と連携し、保健所または市町村による防煙教育を、引き続き推進していきます。
また、保護者への禁煙教育を推進していきます。
- 受動喫煙を防止するため、多数の者が利用する公共の場等における禁煙・分煙を推進していきます。
- 青少年及び青少年を取り巻くあらゆる世代に対する薬物乱用防止教育及び啓発活動を、引き続き推進していきます。
- 小中学校及び県立学校教員を対象とした、防煙教育を含めた薬物乱用防止教育専門講座を、引き続き実施していきます。
- 家庭、学校、地域等が思春期保健の課題に対し、関係機関それぞれの機能を発揮できる円滑な地域連携ネットワークの構築のために思春期保健対策検討委員会を設置します。
項目 |
実施主体 |
現状 |
平成21年度までの目標 |
思春期保健対策のためのネットワークの構築 |
県 |
− |
思春期保健対策検討委員会の設置
(平成18年度) |
喫煙、薬物乱用防止等対策の推進 |
県
市町村
県・市町村教育委員会 |
防煙教育を実施している市町村
19市町村 |
すべての市町村 |
【性感染症】
主として性行為を介して、直接人から人へ病原微生物が伝播する感染症の総称。STD(Sexually Transmitted Diseases)とも言われています。
【エイズ】
ヒト免疫不全ウィルス(human immunodeficiency virus;HIV)の感染によって免疫力が低下し、いろいろな感染症にかかりやすくなったり、悪性腫瘍ができやすくなったりする病気であり、後天性免疫不全症候群とも言います。
HIVに感染してから、数か月から10年以上経過して発病すると言われています。
【HIV感染者】
HIVに感染しているがエイズを発症していない状態の者を言います。
【受動喫煙】
喫煙者のタバコの煙を周囲にいる人が吸ってしまうことです。
【防煙教育】
タバコを吸い始めないようにする教育(喫煙防止教育)です。
【愛知県薬物乱用防止対策推進本部】
青少年層への麻薬、覚せい剤、シンナー等薬物乱用の浸透を防止するため知事を本部長として設置し、県警始め21機関により組織されています。