- 地域において一緒に遊ぶことができる子どもの数の減少、親の過保護や過干渉、育児不安など幼児を取り巻く状況が変化している中で、人間形成の基礎が培われる幼児期の教育は極めて重要であると言われています。
- 幼稚園・保育所において、幼児は、家庭での成長を踏まえて外の世界に足を踏み出し、友達との様々な体験を通じて自立への歩みを進め、人とのかかわり方を学ぶことになります。幼稚園・保育所は、「生きる力」の基礎をつくる重要な役割を担っています。
- 県内の幼稚園数は、平成16年5月1日現在で、532園となっています。また、園児数は、104,562人となっています。
<表 3章−II−1>
県内の幼稚園数・幼児数 (平成16年5月1日現在)
区分 |
国立 |
公立 |
私立 |
計 |
幼稚園数 |
園
1 |
園
104 |
園
427 |
園
532 |
幼児数 |
人
159 |
人
13,873 |
人
90,530 |
人
104,562 |
- 県教育委員会では、昭和47年度に、幼児教育に関する諸問題について研究協議するため、幼児教育関係者を委員とする愛知県幼児教育研究協議会を設置しています。
これまでに、本県の幼児教育に関する諸問題について協議し、教育内容の共通化を図るための研究を重ねてきました。
平成16年度において、愛知県幼児教育研究協議会を2回、同専門部会を4回開催しました。
<表 3章−II−2>
最近の愛知県幼児教育研究協議会の協議題
年度 |
協議題 |
平成2・3 |
自然との触れ合いや身近な環境とのかかわり合いについて |
4〜6 |
基本的な生活行動を主体的に身に付けるために |
7〜9 |
一人一人の幼児の特性や発達の課題に応じた教育・保育の在り方 |
10〜12 |
心豊かな幼児の育成をめざして |
13・14 |
幼児の心を豊かにする幼稚園・保育所と家庭との連携の在り方 |
15・16 |
子どもたちのすこやかな育ちを支える幼稚園・保育所と小学校の連携の在り方 |
- 幼稚園や保育所では、就学前の時期に戸惑いや不安を感じている子どもの事例が報告されており、幼稚園・保育所と小学校間の接続が、必ずしも円滑に行われていない実態があります。
県教育委員会が指定する研究指定校では、幼稚園、保育所などから小学校へ入学する段階で、集団学習・集団生活へ円滑に移行できるよう、第1学年において35人学級を実施しています。
- 幼稚園・保育所の小学校の連携体制の強化に関しては、平成15、16年度において、「子どもたちのすこやかな育ちを支える幼稚園・保育所と小学校の連携の在り方」について幼児教育研究協議会の協議題として、調査・研究を実施しました。
- 県教育委員会では、幼稚園教育についての県と各市町村教育委員会との連絡調整を図り、具体的な対応策についての情報交換を行うため、幼稚園教育担当者連絡会を設置しています。
- 県教育委員会では、幼児を取り巻く状況の変化に対応した教育のため、様々な研修事業を実施し、幼稚園教員や保育士の指導力や資質の向上を図っています。
<表 3章−II−B>
幼稚園教員・保育士を対象とした研修事業(平成15年度)
研修名 |
対象者 |
幼稚園等新規採用教員研修 |
公立・私立幼稚園の新規採用教員 |
幼稚園教育課程講座 |
公立・私立幼稚園の教員
公立保育所の保育士
|
園長等運営管理研修 |
国立・公立・私立幼稚園の園長
公立保育所の所長
|
保育技術講座 |
国立・公立・私立幼稚園の中堅教員
公立保育所の中堅保育士
|
10年経験者研修 |
公立・私立幼稚園の10年経験教員 |
- 愛知県では、私立幼稚園に対する補助制度(幼児教育充実推進費補助金(教員資質向上分・ティーム保育分))を通じて、私立幼稚園における幼児教育の充実に努めています。
- 教育職員免許法施行規則(昭和29年文部省令第26号)の一部改正により、幼稚園と小学校との間の教員免許の取得に係る履修科目の取扱いの一層の弾力化が図られたことを踏まえ、教員免許の併有を進めるとともに、人事交流を進める必要があります。
- 公立と私立、幼稚園と保育所という区別や担当する部門(教育部門と児童福祉部門)の違いなど制度上の違いはありますが、子育て支援、幼稚園・保育所と小学校の連携などを始めとした課題に取り組むためには、協議会、研修会など同じ場で話し合う機会を設けて連携の強化に努めていく必要があります。
- 幼稚園・保育所と小学校は、合同活動などを通して連携の強化を図るとともに、幼児期から児童期への一貫した育ちの流れを保障していく必要があります。
- 幼稚園・保育所と小学校の連携にあたっては、教員、保育士を始めとした幼児教育関係者と小学校関係者が互いの教育のあり方について十分な理解をし、幼稚園、保育所及び小学校のそれぞれの教育が専門性を生かした連携をするとともに、子どもの育ちに即した教育を行う必要があります。
- 幼児教育は、次に重点を置いて実施していきます。
・豊かな生活体験を通して自我の形成を図り、生きる力の基礎を養うこと
・ 幼児期における好ましい道徳的な判断力や善悪に対する感情の基盤となる道徳性の芽生えを培うこと
・遊びを中心とした生活を通して、一人一人に応じた総合的な指導を行うこと
・幼児の主体的活動を十分に確保するため、幼児理解に基づく教師による計画的な環境の構成や遊びへの関わりなど、教師の基本的な役割を明確にし、実践すること
- 安心な子育て、幼児の安全な生活と教育、質の高い教員の養成などの各種事業を展開していきます。
- 幼稚園・保育所と小学校の連携体制の強化を図り、幼児期から児童期への一貫した育ちの流れを保障していきます。
連携にあたっては、幼稚園、保育所及び小学校の教育がそれぞれの専門性を生かし、互いに子どもにとって生きた教育効果が生み出されるよう、幼児教育と小学校教育の間での円滑な移行や接続を推進していきます。
- 少人数学級については、義務教育の入り口が今後の教育のうえで重要な時期であることを踏まえ、実施していきます。
- 「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」については、地域の実情に応じて市町村が取り組んでいけるよう助言を行っていきます。
- 愛知県幼児教育研究協議会による専門的研究協議を、引き続き推進していきます。
- 幼稚園教員・保育士の資質向上を図るため、研修事業については、引き続き充実していきます。
- 幼児期から児童期の教育が円滑に移行できるよう、幼稚園・保育所と小学校の連携体制の構築に努めていきます。
- 幼稚園・保育所・小学校の人事交流や研修のあり方の工夫を、引き続き推進していきます。
- 現在の少人数学級が定着するよう、引き続き実施していきます。
- 私立幼稚園に対する補助制度を通じて、引き続き私立幼稚園における幼児教育の充実に努めていきます。
【
幼児教育充実推進費補助金(教員資質向上分)
】
国若しくは地方公共団体が主催する研修又は財団法人日本私学教育研究所等の公益法人(教員研修事業費等(教育研究団体補助)の補助対象団体を含む)が主催する3日以上にわたって開催される研修(初任者研修を除く)に教員を派遣している幼稚園に対する補助金を言います。
【
幼児教育充実推進費補助金(ティーム保育分)
】
幼稚園において年間を通じて日常的、恒常的に全ての学齢児を対象に複数の教師が共同して保育にあたる「ティーム保育」を導入している幼稚園に対する補助金を言います。