- 子どもの健康や体力は、子どもの「生きる力」の根底となるもので、子どもが生涯にわたっていきいきと生きるためには、必要不可欠なものです。
- 子どもの身長、体重などの体格については、食生活や生活様式の変化などを背景に大きく向上しました。
一方、子どもの体力・運動能力については、敏しょう性を除いて全般に長期的な低下傾向にあると言われています。
<図 3章−II−3>
年齢別平均身長の推移(全国)
(備考) 資料 文部科学省編「データからみる日本の教育2004」
<図 3章−II−4>
年齢別平均体重の推移(全国)
(備考) 資料 文部科学省編「データからみる日本の教育2004」
<図 3章−II−5>
子どもの体力・運動能力の推移[50m走の年次推移](全国)
(備考) 資料 文部科学省編「データからみる日本の教育2004」
<図 3章−II−6>
子どもの体力・運動能力の推移[ボール投げの年次推移](全国)
(備考) 資料 文部科学省編「データからみる日本の教育2004」
<図 3章−II−7>
子どもの体力・運動能力の推移[立ち幅とびの年次推移](全国)
(備考) 資料 文部科学省編「データからみる日本の教育2004」
<図 3章−II−8>
子どもの体力・運動能力の推移[握力の年次推移](全国)
(備考) 資料 文部科学省編「データからみる日本の教育2004」
- 子どもの体力低下は、日常生活において、体を使っての遊びなど基本的な運動の機会が著しく減少していることに起因すると言われています。
-
県教育委員会では、子どもの体力の状況を把握し、子どもの体力向上につながる取組を行っています。
毎年、小学校入学生に、体力テスト個人票を配布し、小学校入学年から高等学校卒業までの発達状況を記録させています。これにより、児童生徒は、自らの発達状況を知ることができ、教員はその指導に役立てています。
また、体力テストにおいて、体力に優れた児童生徒や日頃から体力向上に努力した児童生徒に対しては、体力章を交付し、児童生徒のやる気を促すとともに、体力に優れ、活力に満ちた児童生徒を育成した学校を表彰し、体力向上のための学校づくりに努めています。
平成15年度においては、体力章を52,614枚交付しました。
- 県教育委員会では、児童生徒が生涯にわたって積極的にスポーツに親しむ習慣、意欲及び能力を育成するため、学校体育スポーツを奨励し、全国大会に出場した中高生に奨励品を支給し、学校体育の振興と充実を図っています。
- 県教育委員会では、部活動ひいては学校全体を活性化する目的で、外部の専門的技術を有する者を部活動指導者(運動部・文化部)として配置しています。
また、運動部にあっては、地域連携の促進及び強化重点校の充実を図るため、地域の指導者(スポーツエキスパート)を学校に派遣するとともに、教員に対して理論から実技に至るまでの幅広い内容についての研修を実施し、教員の資質向上に努めています。
- 子どもの運動離れが進む中で、体育授業を充実させるため、優れた指導者の育成、指導方法の工夫や改善等を行うことは重要なことです。
県教育委員会では、体育教員を対象に様々な講習会を実施し、優れた指導者の育成、指導方法の工夫や改善等に努めています。
<表 3章−II−7>
体育教員を対象に実施している講習会
名 称 |
内 容 |
学校体育実技指導者講習会 |
中部地区体育実技講習会(文部科学省主催)で実施された内容についての実技研修(研修期間 1日) |
体育スポーツ実践講座 |
大学教授による専門講座、スポーツ医科学分野等の専門家による実技講座等(研修期間 3日又は5日) |
武道指導者養成講習会・
学校体育実技(武道)認定講習会
|
学校体育における武道(柔道又は剣道)指導の充実を図るため、基本的技能の習得と段位取得を促進するための実技研修(研修期間 2日又は4日) |
- 子どもたちの食生活については、豊かな食物に恵まれている一方、過度に偏った食事内容や朝食をとらない子どもの増加などの問題が生じています。また、これらを背景に、肥満傾向が強い子どもの増加など、将来の生活習慣病の心配が深刻となっています。
<図 3章−II−9>
子どもの肥満傾向の推移(全国)
(備考) 資料 文部科学省「学校保健統計調査」
- 県教育委員会では、食習慣が形成される児童期に、児童が食について関心を持ち、進んで正しい食生活を身につけようとする子どもの育成を図るため、「食育」に関する様々な取組を実施しています。
平成13、14年度において、56か所の小学校で、「食に関連した体験的な学習のあり方の研究」、「児童と地 域住民との交流給食等、地域との連携を深める研究」、「米や地域産物に関する理解を深める研究」などの実践研究を行いました。
平成15年度には、子ども食サミットの開催、児童生徒料理コンテスト、子ども食新聞の発行など、子どもが自らの実践を発表する「子ども食育実践事業−集まれみんなの食フェスタ」を実施しました。
平成16年度は、学校における食の指導体制の充実を図るため、「食に関する指導者養成講座」を開催しました。
- 愛知県では、「食育」の推進のため、農村生活改善、健康づくり、食生活改善など広範な分野のリーダー的な方を対象として、講習会等を開催し、「食育推進ボランティア」の養成を行っています。
こうした食育推進ボランティア等が講師となり、地域の親子料理教室の場などを通じて、家庭や地域社会における食育の推進に努めています。
平成16年度では、299名の食育推進ボランティアの方が活動しています。
- 健康教育については、教育活動全体を通じて、心の健康に関する指導、薬物乱用防止教育、発達段階に応じた性に関する指導、感染症対策などの充実に努めています。
県教育委員会では、心の健康に関する指導を充実するため、教育相談担当教員を対象とした「精神保健相談事例研究会」、養護教諭を対象とした「保健室相談活動研修会」を実施し、指導力・対応力の向上に努めています。
また、児童生徒が健康で安全な生活行動を実践する能力や資質を身に付けるための取組として、平成13〜15年度においては、「子どもの心SOS講演会」、「健康教育専門講座」の開催や児童生徒の心身における健康問題解決のための実践研究を実施しました。
平成16年度からは、「からだと心の専門講座」とともに、生徒自らが健康問題への関心を高め、課題を解決する能力を身に付けるための「ピアカウンセリング体験セミナー」を開催しています。
- 子どもがたくましく生きるための健康や体力を育むためには、教科による指導はもとより、あらゆる教育活動を通じて、適切に配慮していく必要があります。
- 子どもが望ましい食習慣と自己管理能力を身につけ、自らの健康を保持増進していく能力を培っていくためには、学校における効果的な食に関する指導体制の整備が必要です。
- 学校における健康教育を充実するためには、専門家の協力や地域保健との連携を図っていく必要があります。
- 健やかな体を育成するため、体育や健康教育では、次に重点を置いた取組を実施していきます。
・ 子どもが健康の増進や体力の向上の必要性を十分に理解したうえで、自ら健康を増進する能力や、興味・関心や適正等に応じて、適切に運動することのできる能力を育てていくこと
・ 心身の健康増進活動や日常的なスポーツ活動を促すことにより、生涯にわたり健康な生活を送るための基礎を培うこと
- 児童生徒が、体力テスト個人票に体力テスト結果を記録していくことは、児童生徒が、自らの発達状況を知る上で有益であり、教員は、個に応じたきめ細かな指導を行うことができるので、今後も実施していきます。
- 児童生徒が、自ら進んで運動に取り組もうとする気持ちを促すうえで、体力テストにおける体力章の交付や優良校の表彰は有効な手段であることから、今後も実施していきます。
- 学校体育スポーツにおいて、優秀な成績を修めた生徒に対する奨励品の支給は、生徒の励みとなるもので、学校体育スポーツを奨励していくうえで有効な手段であることから、今後も実施していきます。
- 学校の活性化、部活動の充実及び地域との連携を図るため、今後も、専門的な技術指導力を備えた外部指導者を活用していきます。
- 優れた指導者の養成、指導方法の工夫や改善を行うため、体育教員を対象とし
た講習会等を、今後も実施していきます。
- 学校における「食育」の推進については、次に重点を置いて実施していきます。
・ 県内の小中学校では、学校給食が100%実施されていることから、自らの望ましい食事を体験する給食を通じて、教職員の指導の下、教育としての食育を展開していきます。
・ 「食に関する指導者養成講座」については、受講の対象を広げ実施していきます。
- 食育推進ボランティアが活動の場を広げられるよう支援していきます。
- 健康教育については、児童生徒を対象とした体験セミナーの実施、教員の指導力・対応力の向上を図るための研修等を実施し、その充実に努めていきます。
また、実施にあたっては、専門家の協力や地域保健との連携を図っていきます。
- 体力テスト個人票の配布とその活用、体力章の交付及び優良校の表彰は、引き続き実施していきます。
- 学校体育スポーツにおいて、優秀な成績を修めた生徒に対する奨励品の支給は、引き続き実施していきます。
- 部活動への外部指導者の活用は、引き続き実施していきます。
また、運動部活動を指導している教員の実技研修についても、引き続き実施していきます。
- 体育教員を対象とした研修は、引き続き実施していきます。
- 学校における食育を、引き続き推進していきます。
- 食育推進ボランティアに対する支援を、引き続き推進していきます。
- 健康教育については、児童生徒を対象とした体験セミナーの実施、教員の指導力・対応力の向上を図るための研修等を、引き続き実施していきます。
項目 |
実施主体 |
現状 |
平成21年度までの目標 |
部活動外部指導者
の活用の推進
(県立高等学校)
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県教育
委員会
|
配置校数:110校
配置人数:149人
延べ配置時間:2,483時間/月
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引き続き実施 |
【
食育
】
「食育」とは、一人一人に適した望ましい食生活を身につけ、自らの健康管理ができる能力を育てようとするものです。「食育」は体だけでなく、五感の働きを通して美味しいと感じる心や季節の移り変わりを感じる心、食べ物に対する感謝の心等、豊かな心を育てます。また、家族や友人等と共に楽しく食事をすることを通して社会性を育てます。
【
ピアカウンセリング
】
「ピアカウンセリング」とは、人間の成長と心の健康に関する知識とともに、アクティブリスニング(積極的傾聴)と問題解決のスキルを用いることによって、ピア(仲間)の意識を持って行う相談活動を言います。