- 学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域が連携協力して教育活動を展開するためには、学校を開かれたものとするとともに、学校の経営責任を明らかにするための取組が必要であると言われています。
- 県教育委員会では、学校が、保護者や地域住民等の信頼に応え、家庭や地域と連携協力して子どもたちの健やかな成長を図っていくため、学校評議員制度の導入について市町村教育委員会へ働きかけるとともに、県立高等学校での導入を進め、開かれた学校づくりに努めています。
平成16年度において、県内の約8割の市町の小中学校が、学校評議員制度を導入しています。
また、平成16年11月1日現在、60か所の県立高等学校で、学校評議員制度が導入されています。
- 学校の自己点検及び評価の結果を保護者や地域に公開する「学校評価システム」については、平成14〜16年度において、小中学校の各1か所と2か所の県立高等学校で調査研究を実施しました。
平成16年度に、「学校評価システム推進会議」を開催し、新たに指定した県立学校6校における実践研究をもとに、学校評価システムの進め方について具体的な検討を行いました。
- 県立高等学校では、社会の変化や生徒の多様化、少子化による生徒数の減少に対応するため、外部有識者による「県立高等学校適正規模等検討会議」の最終報告の提言を踏まえ、県立高等学校再編整備計画を策定し、魅力と活力ある県立高等学校づくりを推進しています。
・ 県立高等学校再編整備基本計画 平成13年11月発表
平成22年度までの10年間を目標とする再編整備計画の基本的な方針と施策を示しました。
・ 県立高等学校再編整備実施計画(第1期) 平成14年6月発表
基本計画に基づき、平成18年度までを目標とする具体的な内容を示しました。
・ 県立高等学校再編整備実施計画(第1期2次分) 平成15年10月発表
平成18年度までに統合により再編する学校やその実施の手順などを示しました。
- 県教育委員会では、特色ある学校づくりを進めるため、県立田口高等学校、設楽町立設楽中学校、豊根村立豊根中学校、津具村立津具中学校において、連携型中高一貫教育校を開設し、教育課程の編成、生徒間・教員間の交流等について実践研究を行っています。
- 子どもの「生きる力」を育む学校教育を展開するためには、教員の豊かな人間性と専門的な知識・技術や幅広い教養を基盤とする実践的な指導力が必要とされますが、県教育委員会では、こうした教員の指導力を向上させるため様々な研修を実施しています。
<表 3章−II−8>
小中学校の教員を対象とした主な研修事業
区分 |
内容 |
基本研修 |
教員のキャリアステージに沿い、教職経験に応じて全員が参加し、体系的・総合的に資質の向上を図る研修
○初任者研修、教職経験者研修(5年・10年)など
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職務研修 |
職務に応じ、必要な知識・技能等の向上を図る研修
○新任教務主任研修、新任校長・教頭研修など
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課題研修 |
今日的な教育課題に適切に対処することができる資質能力及び職務に関する課題に適応することができる資質能力の向上を図る研修
○小中学校教育課程フォーラム、道徳教育講座など
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専門研修 |
教員のニーズや実践的な問題に対応して実践的指導力の向上を図る研修 |
長期研修 |
一定期間、基本的な課題や当面する諸問題に関する研修・研究を行い、教員としての資質向上を図る研修
○夏期研修、大学院派遣研修、社会体験型研修など
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<表 3章−II−9>
高等学校の教員を対象とした主な研修事業
区分 |
内容 |
基本研修 |
教職経験に応じて、教育専門職としての資質向上を図る研修
○初任者研修、教職経験者研修(5年・10年)など
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職務研修 |
学校経営に関する資質能力や職務に応じた職責遂行のために必要な知識・技能等の向上を図る研修
○新任教務主任研修、新任校長・教頭研修など
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課題研修 |
職務に関する課題や教育課題に対応することができる資質能力の向上を図る研修 |
専門研修 |
学習指導や生徒指導等の実践的指導力の向上を図る研修 |
長期研修 |
一定期間、基本的な課題や当面する諸問題に関する研修・研究を行い、教員としての資質向上を図る研修 |
- 県教育委員会では、「新しい教員評価制度」の導入に向けて、平成15年度に「教 員評価制度調査研究会議」を設置し調査研究を行うとともに、平成16年度においては、県立学校8校で試行を行いました。
- 愛知県では、平成16年4月に「愛知県安全なまちづくり条例(平成16年3月26日条例第4号)」を施行し、児童等の安全の確保に努めること、児童等が犯罪被害にあわないようにするための教育の充実に努めることを明記しました。
条例に基づく指針(学校等における児童等の安全の確保のための指針)において、「正当な理由なく学校等に立ち入ろうとする者の侵入防止等」、「施設・設備の点検整備等」、「児童等に対する安全教育の充実」などについての具体的方策を定め、子どもを犯罪等の被害から守るための取組をしています。
※ 「愛知県安全なまちづくり条例」については、「III 安全で安心できる子育て環境の整備」において記載しています。
- 県教育委員会では、防犯教育に関する取組として、平成14年度において、4か所の小学校、2か所の中学校、1か所の県立高等学校及び1か所の特殊教育諸学校で、「学校における危機管理の体制づくり」、「保護者、地域及び関係機関との連携」等に関する実践研究を行いました。
実践研究成果の発信、「学校安全マニュアル」の作成・配布などを通じて、教職員の危機管理意識を高め、学校等における児童生徒の安全の確保に努めています。
- 県教育委員会では、防災教育に関する取組として、平成16年度において、小学校1年生と中学校1年生全員を対象とした「地震防災パンフレット」の配布、「親子で学ぶ参加体験型地震防災教育」の実践とシンポジウム(実践発表)の開催、高校生防災リーダーの育成などを行いました。
- 学校が地域住民の信頼にこたえ、家庭や地域が連携協力して教育活動を展開するために、学校評議員制度や学校評価システムの実施を通じて、開かれた学校づくりに努めていく必要があります。
- 教職員の人材育成と能力開発を目指すとともに、学校組織の活性化と教育活動の充実が図れるように、新しい教員評価制度の実施を通じて、教職員の教育活動を適正に評価する必要があります。
- 児童生徒が安心して教育を受けることができるよう、家庭、地域、関係機関等と連携しながら、安全管理に関する取組を継続的に行う必要があります。
- 学校が、保護者や地域住民等の信頼に応え、家庭や地域と連携協力して子どもたちの健やかな成長を図っていくために、地域に開かれた学校づくりを推進していきます。
- 開かれた学校づくりを推進するため、学校評議員制度を導入していない市町村教育委員会に対しては、制度の趣旨を十分理解してもらい、その導入を働きかけ、拡大に努めていきます。
また、県立学校においても、学校評議員制度の導入を引き続き拡大します。
- 学校評価システムについては、すべての県立学校で導入します。
- 県立高等学校については、「県立高等学校再編整備計画」を実施し、魅力と活力ある県立高等学校づくりを推進します。
基本的な方針 |
内容 |
魅力ある学校づくり
の推進
|
これからの高等学校教育には、社会の変化や生徒の多様化に適切に対応していくことが求められているため、子どもたちの多様な個性に対応する柔軟な教育システムを実現することや、生徒自身がそれぞれの将来を考えるなど、生きる力を育てる教育を推進します。
(主な内容)
(1)総合学科の設置(2)総合選択制の導入(3)コース制の導入
(4)定時制課程の活性化(5)養護学校の併設等
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基本的な方針 |
内容 |
活力ある学校づくり
の推進
|
少子化の進行により、今後も生徒数が減少することが見込まれるため、適正な学校の規模や配置を確保します。
(主な内容)
(1)県立高等学校(全日制)の標準規模を1学年6〜8学級(1学級40名を前提)とし、平成22年度までに、原則として標準規模となるよう適正な学校規模の確保に努めること
(2)現在ある校舎※については、平成18年度を目途に募集停止すること
※校舎:新城東高等学校本郷校舎、田口高等学校稲武校舎
|
- 中高一貫教育については、課題や条件整備について検討や研究を進め、現在、実践している連携型中高一貫教育校をモデル校として、その状況と成果を普及していきます。
また、生徒や保護者、地域住民、県民に対して、連携型中高一貫教育校の実践について十分な理解が得られるよう啓発活動を行っていきます。
- 教員の指導力向上のための研修については、内容の充実を図り、体系的かつ総合的な研修を実施していきます。
- 新しい教員評価制度については、公立学校(名古屋市を除く)において、能力や業績に応じた具体的な処遇を検討します
- 学校における児童生徒の安全を確保するため、次の取組に努めていきます。
・ 不審者の侵入を防止し、児童生徒に対する危害を未然に防ぐための出入口の限定、出入口門扉の施錠、来校者の名簿記入等の必要な対策
・ 不審者の侵入を防止するとともに、侵入した不審者による児童生徒に対する危害を防止するための警報装置、施錠設備等の点検整備など
・ 児童生徒が日常生活全般において自ら安全を確保できるよう、犯罪の被害にあわないための知識を習得し、様々な危険を予知・予測し、自ら安全に行動できる能力を育成するための安全教育の充実、防犯教室の実施など
・ 学校の近隣において児童生徒に危害が及ぶおそれがある事案が発生した場合や不審者の学校への侵入に備えるための危機管理マニュアルの策定、地域住民及び警察署、消防署等の関係機関との連携した対策など
- 家庭及び地域と連携を図り、児童生徒の発達段階にあわせた防災教育を実施していきます。
- 学校評議員制度を導入していない市町村教育委員会に対しては、その導入を働きかけ、引き続き拡大していきます。
また、県立学校においても、学校評議員制度の導入を引き続き拡大します。
- 学校評価システムについては、すべての県立学校で導入します。
- 県立高等学校については、「県立高等学校再編整備計画」を実施し、魅力と活力ある県立高等学校づくりを推進します。
- 現在、実践している連携型中高一貫教育校の成果を普及していきます。
- 教員の指導力向上のための研修については、引き続き実施していきます。
- 新しい教員評価制度については、公立学校(名古屋市を除く)への導入を検討します。
- 学校における防犯教室の開催など、児童生徒の安全を確保するため取組に努めていきます。
- 防災教育については、引き続き実施していきます。
項目 |
実施主体 |
現状 |
平成21年度までの目標 |
学校評議員制度の導入
の推進(小中学校)
|
市町村教
育委員会
|
小学校:557校
中学校:235校
|
引き続き拡大 |
学校評議員制度の導入
の推進(県立高等学校)
|
県教育
委員会
|
60校 |
引き続き拡大 |
※ 小中学校は、名古屋市を除く
【
学校評議員制度
】
学校が、保護者や地域住民等の信頼に応え、家庭や地域と連携協力して一体となって子どもたちの健やかな成長を図っていく観点から、地域に開かれた学校づくりを推進していくため、中央教育審議会の答申「今後の地方教育行政の在り方について」(平成10年9月)を踏まえ、我が国で初めて導入された地域住民の学校運営への参画の制度を言います。
【
連携型中高一貫教育校
】
既存の市町村立の中学校と都道府県立の高等学校など、異なる設置者による中学校と高等学校が、教育課程の編成や教員・生徒間交流等の連携を深める形で中高一貫教育を実施するものを言います。
【
新しい教員評価制度
】
平成13年12月に、公務員制度改革大綱が閣議決定され、能力評価と業績評価からなる新評価制度の導入が目指されることとなりました。教育改革国民最終報告では、教師の意欲や努力が報われ評価される体制をつくることが謳われ、文部科学省は平成15年度に教員の評価に関する調査研究を各県へ委嘱して、新しい教員評価制度の研究が始まっています。