○捜査費の取扱い等に関する要綱の制定

平成16年3月9日

総会発甲第25号

このたび、県費捜査費の取扱いについて、別記のとおり捜査費の取扱い等に関する要綱を制定し、平成16年4月1日から実施することとしたので誤りのないようにされたい。

なお、捜査費の取扱いの制定(平成13年総会発甲第124号)は廃止する。

別記

捜査費の取扱い等に関する要綱

第1 目的

この要綱は、県費捜査費(以下「捜査費」という。)の取扱いについて必要な事項を定めることを目的とする。

第2 捜査費経理の概要

1 捜査費の性格

(1) 捜査費は、その性質上、特に、緊急を要し、又は秘密を要するため、正規の支出手続を経ていては警察活動上支障を来す場合に使用できる経費として、現金経理が認められている。

(2) 捜査費の使途は、犯罪の捜査等に従事する職員(以下「捜査員」という。)の活動のための諸経費及び捜査等に関する情報提供者、協力者等に対する諸経費である。

(3) 捜査費は、最終的に債主への支払が完了するまでは依然として公金であり、その所有権は県に属することから、慎重に取り扱うとともに、適正に使用しなければならない。捜査費により取得した物品についても、同様である。

2 経理の基本

(1) 捜査費の経理を取り扱わせるため、次に掲げる者を置くものとする。

ア 取扱責任者

取扱責任者は、警察本部長とする。

イ 取扱者及び捜査本部取扱者(以下「取扱者等」という。)

(ア) 取扱者

取扱者は、捜査費を執行する警察本部の所属の長及び警察署長とする。ただし、取扱責任者が必要と認める場合は、この限りでない。

(イ) 捜査本部取扱者

取扱責任者は、捜査本部等が設置された場合に、必要に応じて、警察本部の主管課長又は関係警察署長のうちから捜査本部取扱者を指定することができる。ただし、捜査本部取扱者が他の取扱者を兼ねる場合は、両者の経理は個別に取り扱うものとし、両者の経理を流用することはできない。

ウ 中間取扱者及び捜査本部中間取扱者(以下「中間取扱者等」という。)

(ア) 中間取扱者

取扱者は、事務の一部を分掌させる必要がある場合に、取扱責任者の承認を得て、所属内の警視の階級にある者のうちから中間取扱者を指定することができる。ただし、原則として中間取扱者は、エの(ア)の中間交付者を兼ねることができない。

(イ) 捜査本部中間取扱者

捜査本部取扱者は、事務の一部を分掌させる必要がある場合に、取扱責任者の承認を得て、捜査本部員のうち警視又は警部の階級にある者のうちから捜査本部中間取扱者を指定することができる。ただし、原則として捜査本部中間取扱者は、エの(イ)の捜査本部中間交付者を兼ねることができない。

エ 中間交付者及び捜査本部中間交付者(以下「中間交付者等」という。)

(ア) 中間交付者

取扱者は、警察本部の所属にあっては課長補佐(同相当職を含む。)、警察署にあっては課長及び課長代理のうちから中間交付者を指定することができる。

(イ) 捜査本部中間交付者

捜査本部取扱者は、捜査本部員のうち警視又は警部の階級にある者のうちから捜査本部中間交付者を指定することができる。

オ 主任執行者

取扱者等は、特定事件において複数の捜査員を隔地で捜査に専従させる場合に、必要に応じて、主任の捜査員(複数の捜査員の長の立場にある原則として警部補以上の階級にある者)を主任執行者に指定することができる。

(2) 捜査費の経理は、捜査費の支出の流れ(別図1)及び捜査費の交付の流れ(別図2)のとおりとする

なお、(1)のウにより中間取扱者等を指定する場合は、捜査費の交付の流れ(中間取扱者等を指定する場合)(別図3)のとおりとする。

3 捜査費の区分

捜査費を次のとおり区分する。

ア 一般捜査費

取扱者等、中間取扱者等又は主任執行者の判断に基づき執行する経費

イ 捜査諸雑費

捜査員の判断に基づき執行できる少額な経費

第3 責務

1 取扱責任者

(1) 取扱責任者は、取扱者等に現金を交付して捜査費の経理に当たらせ、取扱者等の取り扱った捜査費の経理について責任を負う。

(2) 取扱責任者は、取扱者等の事務を統括し、必要な指導監督を行う。

(3) 取扱責任者は、事務の一部を総務部会計課長(以下「取責補助者」という。)に補助させることができる。

2 取扱者等

(1) 取扱者等は、取扱責任者から交付を受けた捜査費の経理について責任を負う。

(2) 取扱者等は、中間取扱者等、中間交付者等及び主任執行者の事務を総括し、必要な指導監督を行う。

(3) 取扱者は、当該所属の次長(同相当職を含む。)又は副署長を、捜査本部取扱者は、捜査本部員のうち警視又は警部の階級にある者を取扱補助者に指定し、事務の一部を補助させることができる。

(4) 取扱者等は、次に掲げる者(以下「署会計課長等」という。)に事務の一部を処理させることができる。

ア 警察本部においては、取扱者が指名した庶務を担当する課長補佐又は係長(同相当職を含む。)

イ 警察署においては、警察署の会計課長

ウ 警察署長が捜査本部取扱者である捜査本部においては、警察署の会計課長。それ以外の捜査本部においては、警察本部所属の者のうち捜査本部取扱者が指名した捜査本部の庶務を担当する課長補佐又は係長(同相当職を含む。)

3 中間取扱者等

中間取扱者等は、取扱者等から交付を受けた捜査費の経理について責任を負う。

4 中間交付者等

中間交付者等は、取扱者等又は中間取扱者等から交付を受けた捜査諸雑費の経理について責任を負う。

5 主任執行者

主任執行者は、取扱者等又は中間取扱者等から交付を受けた一般捜査費の経理について責任を負う。

6 捜査員

捜査員は、自ら執行した捜査費の経理について責任を負う。

第4 具体的な事務

1 取扱責任者

(1) 取扱責任者の事務は、次のとおりとする。

ア 捜査費の所要額を決定し、収支等命令者に請求すること。

イ 総務部会計課資金前渡員(以下「資金前渡員」という。)から現金を受領すること。

ウ 取扱者等から所要額の交付の請求を受けること。

エ 取扱者等への交付額を決定し、現金を交付すること。

オ 捜査活動に当たり、必要により債権者に現金を支払うこと。

カ 現金を保管すること。

キ 取扱者等から残額として現金を受領し、収支等命令者に返納すること。

ク 現金出納簿を備え付け、これに記帳し、証拠書類を作成し、これを編てつし、及び保管すること。

(2) 取扱責任者が取責補助者に補助させることができる事務は、次のとおりとする。

ア 資金前渡員から現金を受領すること。

イ 取扱者等から所要額の交付の請求を受けること。

ウ 取扱者等に現金を交付すること及び取扱者等から残額として現金を受領すること。

エ 現金を保管すること。

オ 現金出納簿に記帳し、証拠書類を作成し、これを編てつし、及び保管すること。

2 取扱者等

(1) 取扱者等の事務は、次のとおりとする。

ア 取扱責任者への捜査費の請求額を決定し、請求すること。

イ 取扱責任者から現金を受領すること及び取扱責任者に残額として現金を返納すること。

ウ 中間取扱者等、中間交付者等、主任執行者及び捜査員への交付額を決定し、現金を交付すること並びに中間取扱者等、中間交付者等、主任執行者及び捜査員から残額として現金を受領すること。

エ 捜査活動に当たり、必要により債権者に現金を支払うこと。

オ 捜査員による一般捜査費の執行内容を確認すること。

カ 中間交付者が捜査員による捜査諸雑費の執行内容の確認を適切に行っているか点検すること。

キ 必要に応じ、中間取扱者、中間交付者及び捜査員に対して捜査諸雑費の執行内容を確認すること。

ク 現金を保管すること。

ケ 現金出納簿を備え付け、これに記帳し、証拠書類を作成し、これを編てつし、及び保管すること。

(2) 取扱者等が取扱補助者に補助させることができる事務は、次のとおりとする。

ア 取扱責任者から現金を受領すること及び取扱責任者に残額として現金を返納すること。

イ 中間交付者等、主任執行者及び捜査員に現金を交付すること並びに中間交付者等、主任執行者及び捜査員から残額として現金を受領すること。

ウ 現金を保管すること。

エ 現金出納簿に記帳し、証拠書類を作成し、及びこれを編てつすること。

オ 取扱者等が不在で緊急を要する場合に、捜査員への交付額を決定し、現金を交付すること。

(3) 取扱者等が署会計課長等に処理させることができる事務は、次のとおりとする。ただし、イの事務については、警察署及び警察署に置かれた捜査本部等に限る。

ア 取扱者等により精算が終了した証拠書類を編てつすること。

イ 取扱責任者から現金を受領すること及び取扱責任者に残額として現金を返納すること。

3 中間取扱者等

中間取扱者等の事務は、次のとおりとする。

ア 取扱者等への捜査費の請求額を決定し、請求すること。

イ 取扱者等から現金を受領すること及び取扱者等に残額として現金を返納すること。

ウ 中間交付者等、主任執行者及び捜査員への交付額を決定し、現金を交付すること並びに中間交付者等、主任執行者及び捜査員から残額として現金を受領すること。

エ 捜査活動に当たり、必要により債権者に現金を支払うこと。

オ 現金を保管すること。

カ 捜査員による一般捜査費の執行内容を確認すること。

キ 中間交付者が捜査員による捜査諸雑費の執行内容の確認を適切に行っているか点検すること。

ク 必要に応じ、中間交付者及び捜査員に対して捜査諸雑費の執行内容を確認すること。

ケ 現金出納簿を備え付け、これに記帳し、証拠書類を作成し、及びこれを編てつすること。

コ 取扱者等から交付を受けた捜査費について、毎月の経理状況を取扱者等に報告すること。

なお、年度末の精算が終了した場合又は年度中であってもその事務が終了した場合は、残額の返納及び立替金の精算をし、現金出納簿及び証拠書類を添えて取扱者等に提出すること。

サ 中間取扱者等が、取扱者等に代わって編てつの終了した証拠書類を保管する必要がある場合は、取扱責任者の承認を得ること。

4 中間交付者等

中間交付者等の事務は、次のとおりとする。

ア 取扱者等又は中間取扱者等への捜査諸雑費の請求額を決定し、請求すること。

イ 取扱者等又は中間取扱者等から現金を受領すること。

ウ 捜査員への交付額を決定し、現金を交付すること、及び捜査員から残額として現金を受領すること。

エ 捜査活動に当たり、必要により債権者に現金を支払うこと。

オ 現金を保管すること。

カ 捜査員から支払伝票及び領収書等の提出を受け、捜査諸雑費の執行内容を確認し、取扱者等又は中間取扱者等に残額の返納及び立替金の精算をすること。

5 主任執行者

主任執行者の事務は、次のとおりとする。

ア 取扱者等又は中間取扱者等への捜査費の請求額を決定し、請求すること。

イ 取扱者等又は中間取扱者等から現金を受領すること。

ウ 捜査員への交付額を決定し、現金を交付すること、及び捜査員から残額として現金を受領すること。

エ 捜査活動に当たり、必要により債権者に現金を支払うこと。

オ 現金を保管すること。

カ 捜査員による捜査費の執行内容を確認し、取扱者等又は中間取扱者等に残額の返納及び立替金の精算をすること。

第5 捜査費の保管管理

1 保管方法

捜査費の保管に当たっては、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

ア 取扱者等、中間取扱者等、中間交付者等及び主任執行者は、捜査費を施錠できる手提げ金庫等に保管すること。

イ 捜査費を手提げ金庫等に保管したときは、当該手提げ金庫を施錠できるキャビネット等に保管すること。

ウ 捜査員は、原則、概算で交付を受けた捜査諸雑費を自己の財布等に入れて携行すること。ただし、中間交付者等に許可を得たときに限り、施錠できる個人の机等に保管することができる。

エ 捜査費の保管場所となる手提げ金庫、キャビネット、個人の机等(以下「金庫等」という。)の鍵は、手元に保管し、執務室等に放置することがないよう適切に管理すること。

2 保管状況の点検

(1) 所属における点検

取扱者等、中間取扱者等、中間交付者等及び主任執行者は、部下職員が保管する捜査費が1に定める方法により保管されているかどうかについて、随時に点検するものとする。

(2) 総務部会計課長による点検

総務部会計課長は、愛知県警察の会計監査に関する規程(平成16年愛知県警察本部訓令第3号)に基づく監査を実施するときは、捜査費の保管状況及び金庫等の鍵の管理状況について点検するものとする。

第6 交代等の際の取扱い

1 交代時の引継ぎ

(1) 取扱責任者、取扱者等又は中間取扱者等が交代した場合は、前任者は、異動の前日をもって保管現金及び現金出納簿の残高を確認後、現金出納簿を締め切り、引継事項を記入し、署名の上、異動の日をもって後任者に引き継ぐものとする。

(2) (1)の引継ぎを受けた後任者は、保管現金及び現金出納簿の残高を確認後、現金出納簿に署名するものとする。

2 捜査本部取扱者の指定の解除

捜査本部取扱者が、その指定を解除された場合には、解除された日をもって経理を締め切り、残額として現金を取扱責任者に返納するものとする。

3 交代検査

(1) 取扱責任者が交代した場合は、総務部監査官が、引き継ぐべき保管現金及び捜査費関係文書(現金出納簿及び証拠書類をいう。以下同じ。)の検査を行うものとする。

(2) 取扱者等又は中間取扱者等が交代した場合は、警察本部の所属にあっては総務部会計課監査室の課長補佐以上の職にある者が、警察署にあっては当該警察署の会計課長が、引き継ぐべき保管現金及び捜査費関係文書の検査を行うものとする。

(3) (1)及び(2)の検査は、交代に際して速やかに実施するものとする。

第7 保管金の取扱い

取扱責任者は、重要な事案に対して、現金を緊急かつ一時的に必要とする場合に対処するため、あらかじめ保管金として現金を保管することができる。

第8 捜査費関係文書の厳格な管理

1 書類の適正な保管

捜査費関係文書は、他の行政文書と区分して保管するものとする。

2 取扱者等による保管

捜査費関係文書の保管は、警察本部の所属にあっては執務室に、警察署にあっては署長室に、それぞれ設置した専用のキャビネット等に収納して施錠するとともに、鍵を取扱者等が自ら管理するものとする。ただし、編てつ前の証拠書類は、取扱補助者、中間取扱者等又は中間交付者等が自ら保管することができる。

なお、第4の3のサにより中間取扱者等が自ら保管する場合は、警察本部の所属における取扱者等による保管に準ずるものとする。

3 保管文書の移管

組織改正により所属の統廃合が行われた場合の取扱者及び中間取扱者が保管する捜査費関係文書又は捜査本部等解散後の捜査本部取扱者及び捜査本部中間取扱者が保管する捜査費関係文書は、その事務を引き継いだ所属に移管し、その保管は、移管先の取扱者が行うものとする。

第9 その他

この要綱に定めるもののほか、捜査費の取扱いに関し必要な細目的事項は、取責補助者が定めるものとする。

〔平16総会発甲101号・本別記一部改正、平19総会発甲79号・本別記全部改正、平23総会発甲258号平26総会発甲60号平27総会発甲49号令2総会発甲38号令3総会発甲36号・本別記一部改正〕

〔平19総会発甲79号平26総会発甲60号・本別図全部改正〕

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〔平19総会発甲79号平26総会発甲60号・本別図全部改正〕

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〔平19総会発甲79号平26総会発甲60号・本別図全部改正〕

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捜査費の取扱い等に関する要綱の制定

平成16年3月9日 総会発甲第25号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第2編 務/第4章 計/第1節 会計手続
沿革情報
平成16年3月9日 総会発甲第25号
平成16年 総会発甲第101号
平成19年 総会発甲第79号
平成23年 総会発甲第258号
平成26年 総会発甲第60号
平成27年 総会発甲第49号
令和2年 総会発甲第38号
令和3年 総会発甲第36号
令和6年3月18日 総会発甲第59号