○愛知県犯罪被害者等支援条例

令和四年三月二十五日

愛知県条例第二号

愛知県犯罪被害者等支援条例をここに公布する。

愛知県犯罪被害者等支援条例

目次

第一章 総則(第一条―第七条)

第二章 犯罪被害者等支援に関する基本的施策等(第八条―第二十一条)

附則

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、犯罪被害者等支援について、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び民間支援団体の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援に関する施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等の権利利益の保護、受けた被害の回復又は軽減及び生活の再建を図るとともに、犯罪被害者等を支え、誰もが安全に安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者(以下「犯罪被害者」という。)及びその家族又は遺族をいう。

 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、安全に安心して暮らすことができるようにするための取組をいう。

 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、加害者及びその関係者の不誠実な言動、周囲の者の理解又は配慮に欠ける言動、インターネットを通じて行われるぼう中傷、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、名誉の毀損、生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害をいう。

 再被害 犯罪被害者が更なる犯罪等により受ける被害をいう。

 民間支援団体 犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和五十五年法律第三十六号)第二十三条第一項に規定する犯罪被害者等早期援助団体その他の犯罪被害者等支援を行う民間の団体をいう。

(基本理念)

第三条 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が個人としての尊厳を重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

 犯罪被害者等が受けた被害の状況及び原因、二次被害の有無等の犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行うとともに、当該犯罪被害者等支援により二次被害が生ずることのないよう十分配慮すること。

 犯罪被害者等が社会において孤立することなく、安全に安心して暮らすことができるよう、必要な支援を公正かつ迅速に途切れることなく提供すること。

 国、県、市町村、民間支援団体その他の関係者が相互に連携を図りながら協力して取り組むこと。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 県は、市町村が実施する犯罪被害者等支援に関する施策が推進されるよう、市町村に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

(県民の責務)

第五条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害が生ずることのないよう十分配慮するように努めなければならない。

2 県民は、基本理念にのっとり、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第六条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害が生ずることのないよう十分配慮するように努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する犯罪被害者等の就業に十分配慮するよう努めなければならない。

3 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(民間支援団体の責務)

第七条 民間支援団体は、犯罪被害者等支援を行うに当たっては、基本理念にのっとり、犯罪被害者等支援に関する専門的な知識及び経験を活用して行うよう努めなければならない。

2 民間支援団体は、基本理念にのっとり、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第二章 犯罪被害者等支援に関する基本的施策等

(支援に関する指針)

第八条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等支援に関する指針(以下「指針」という。)を定めるものとする。

2 指針は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 犯罪被害者等支援についての基本的な方針

 犯罪被害者等支援に関する施策

 前二号に掲げるもののほか、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 県は、指針を定めるに当たっては、あらかじめ、犯罪被害者等及び県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 県は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前二項の規定は、指針の変更について準用する。

(総合的な支援体制の整備)

第九条 県は、国、市町村、民間支援団体その他の関係者と連携し、及び相互に協力して、総合的な犯罪被害者等支援の体制を整備するよう努めるものとする。

(相談、情報の提供等)

第十条 県は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している各般の問題について、相談への対応、必要な情報の提供及び助言、犯罪被害者等支援に精通している者の紹介その他の必要な施策を講ずるものとする。

(心身に受けた影響からの回復)

第十一条 県は、犯罪被害者等が心理的外傷その他心身に受けた影響から早期に回復することができるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。

(安全の確保)

第十二条 県は、犯罪被害者等が再被害及び二次被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な施策を講ずるものとする。

(居住の安定等)

第十三条 県は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るとともに、犯罪被害者等が再被害及び二次被害を受けることを防止するため、犯罪被害者等の一時的な利用のための住居の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。

(雇用の安定等)

第十四条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るとともに、事業者が犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性及び二次被害の防止の重要性について理解を深めることができるよう、事業者に対する啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(経済的負担の軽減)

第十五条 県は、犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、経済的な助成に関する情報の提供及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

(県民の理解)

第十六条 県は、県民が犯罪被害者等の置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性及び二次被害の防止の重要性について理解を深めることができるよう、広報、啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(民間支援団体に対する支援)

第十七条 県は、犯罪被害者等支援において民間支援団体が果たす役割の重要性に鑑み、民間支援団体が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を行うことができるよう、民間支援団体に対する犯罪被害者等支援に関する情報の提供及び助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成)

第十八条 県は、犯罪被害者等支援に従事する人材の育成を図るため、研修の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

(個人情報の適切な管理)

第十九条 県は、犯罪被害者等支援に従事する者に対し、犯罪被害者等支援における個人情報の保護の重要性を認識して、犯罪被害者等に係る個人情報を適切に管理するよう求めるものとする。

(財政上の措置)

第二十条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施策の実施状況の公表)

第二十一条 県は、毎年度、犯罪被害者等支援に関する施策の実施状況について、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

(施行期日)

1 この条例は、令和四年四月一日から施行する。

(愛知県安全なまちづくり条例の一部改正)

2 愛知県安全なまちづくり条例(平成十六年愛知県条例第四号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

愛知県犯罪被害者等支援条例

令和4年3月25日 愛知県条例第2号

(令和4年4月1日施行)