○総合対処法訓練要綱の制定
令和2年10月7日
務教発甲第147号
この度、警察官の職務執行に係る総合的な事態対処能力の向上に資するため、別記のとおり総合対処法訓練要綱を制定し、令和2年10月8日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。
別記
総合対処法訓練要綱
第1 目的
この要綱は、総合対処法の訓練に関し必要な事項を定めることにより、職務執行の現場において凶器等を所持した犯人等と対峙する事案に、柔軟かつ迅速、的確に対応するための判断能力及び対処技能の修得及び向上を図り、もって警察官の総合的な事態対処能力を向上させることを目的とする。
第2 意義
この要綱における用語の意義は、次に定めるところによる。
(1) 総合対処法 現場における職務執行に係る状況判断能力を養成するとともに、逮捕術、拳銃、柔道、剣道等で修得した全ての知識及び技能に基づき、受傷することなく犯人等を制圧し、検挙するための技能、勤務員相互の連携、装備資機材等(警棒、刺股、楯、特殊警戒用具等をいう。以下同じ。)の効果的活用方策等を修得するなど、警察官の総合的な事態対処能力の向上を図る方策をいう。
(2) 総合対処法訓練 総合対処法を効果的に推進するための実戦に即した訓練(以下「訓練」という。)をいう。
第3 訓練推進体制
1 訓練責任者
(1) 教養課、自動車警ら隊、鉄道警察隊、機動捜査隊、第一交通機動隊、第二交通機動隊、高速道路交通警察隊、機動隊、警察署及び警察学校(以下「特定所属」という。)に訓練責任者を置き、所属の長をもって充てる。
(2) 訓練責任者は、所属における訓練を計画的かつ確実に実施すること。
なお、特定所属以外の所属における訓練は、教養課の訓練責任者が実施すること。
2 訓練推進責任者
(1) 訓練責任者は、所属の警部以上の階級にある警察官の中から訓練推進責任者を指名すること。
(2) 訓練推進責任者は、年間を通じた効果的かつ効率的な訓練計画を定め、実効のある訓練を推進すること。
なお、特定所属以外の所属における訓練計画は、教養課の訓練推進責任者が定め、計画に基づいた訓練を推進すること。
3 訓練指導者
(1) 特定所属に訓練指導者を置き、術科訓練指導者等配置要綱の制定(平成14年務教発甲第31号)第4の1及び2に定める逮捕術及び拳銃操法の訓練指導者をもって充てる。
(2) 訓練指導者は、訓練に際し、実戦的かつ効果的な指導、安全管理の推進及び受傷事故の防止に努めること。
4 訓練指導責任者
(1) 訓練責任者は、訓練の実施ごとに、訓練指導者の中から訓練指導責任者を指名すること。
(2) 訓練指導責任者は、訓練参加者、訓練場所及び訓練状況を把握した上で適切かつ具体的な訓練指導、安全管理の推進及び受傷事故の防止に努めること。
第4 訓練の種類及び目的
1 基礎訓練
基礎訓練は、装備資機材等を活用した打撃、防御及び制圧の基本動作を修得するとともに、犯人等の攻撃手段(素手、ナイフ、日本刀、バット等をいう。以下同じ。)、犯人等との距離、警察官の装備資機材等の種類等に応じた打撃技、装備資機材等の活用判断及びこれらに基づき犯人等を制圧するための具体的な対処法を修得させることを目的とする。
2 想定訓練
想定訓練は、現場で発生し得る各種想定に基づき、犯人等からの様々な攻撃手段に対し、基礎訓練で修得した対処法を用いた実戦的かつ実用的な訓練を実施し、総合対処法を修得させることを目的とする。
第5 訓練計画の策定
訓練推進責任者は、訓練が特定の者に偏ることのないよう、所属する全ての警察官(教養課の訓練推進責任者にあっては、特定所属以外の警察官を含む。)が実施できる訓練計画を策定すること。また、所属における訓練実施状況を管理し、訓練の実施が低調な者に対しては、補完の訓練を実施させること。
第6 訓練推進上の留意事項
1 警務部長は、効果的かつ効率的な訓練の実施に資するため、毎年、訓練実施に関する指針を訓練責任者に示すこと。
2 警務部長は、訓練を確実に推進するため、訓練場所の確保及び訓練に必要な資機材の整備に努めること。また、訓練状況を把握し、その内容を検証した上、訓練の実施に必要な環境の整備に努めること。
3 教養課長は、総合対処法訓練に係る各種教養の実施、教養資料の作成等に努めること。
4 教養課長は、訓練指導者及び訓練指導者としての適性を有すると認められる者に対し、訓練に必要な知識及び技能の修得及び向上を図るための講習等を受講させるなど、訓練指導者の計画的な育成に努めること。
第7 細目的事項
この要綱に定めるもののほか、訓練の実施に関する細目的事項は、警務部長が別に定める。