○愛知県警察職員懲戒等取扱規程の運用

平成13年3月28日

務監発甲第23号

愛知県警察職員懲戒等取扱規程(平成13年愛知県警察本部訓令第8号)の全部を改正したことに伴い、同規程の解釈及び運用を下記のように定め、平成13年4月1日から実施することとしたので、その適正な運用に努められたい。

なお、愛知県警察職員懲戒取扱規程の運用(昭和36年務監発甲第52号)は、廃止する。

1 適用範囲

地方公務員である愛知県警察職員(以下「職員」という。)に対する懲戒については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)、職員の懲戒の手続及び効果に関する条例(昭和26年愛知県条例第38号)等に基づいて行われるわけであるが、この規程は、その細部的な取り扱いを定めたものであり、地方警務官を除く職員の全員に適用される。

地方警務官の懲戒については、任命権者の関係上、この規程は適用されず、地方警務官の懲戒の取扱に関する規程(昭和29年国家公安委員会規程第2号)が適用される。

2 根拠法令

(1) 規律違反

地方公務員法第29条

(2) 手続及び効果

職員の懲戒の手続及び効果に関する条例及び愛知県警察職員懲戒等取扱規程

(3) 審査請求

地方公務員法第49条の2及び第49条の3並びに不利益処分についての審査請求に関する規則(昭和26年愛知県人事委員会規則9―1)

3 規律違反の報告等(第3条関係)

職員に規律違反の疑いがある場合には、事案調査の客観性を担保しつつ、自浄機能を十分に発揮するために、速やかに必要な調査を行う必要がある。

このため、所属長が所属職員に規律違反の疑いがあると認めたときには、速やかにその旨を首席監察官経由で警察本部長に報告した上、組織的対応の一部として当該事案の調査を行うこととし、全ての懲戒処分に係る申立ては、首席監察官が行うこととした。

4 懲戒処分の申立等(第4条関係)

(1) 申立書の記載事項は規律違反の事実のみとし、勤務成績、情状等身分的な事項は、別に身上調査書として作成することとしたが、これは第12条の規定により、被申立者が口頭審査を要求した場合に申立書の謄本を送付することとなるので、これを申立書に記入することは不適当と認められるからである。

(2) 規律違反の疑いに対する事実の調査への協力は、職員の職務として、調査への協力義務を明確化することとした。

5 委員会の設置等(第5条及び第6条関係)

(1) 懲戒処分権は、地方公務員法第6条の規定により、任命権者たる警察本部長の権限であるが、懲戒処分を慎重かつ公正に行うため、警察本部長の諮問機関として警察職員懲戒審査委員会(以下「委員会」という。)を設置し、これに懲戒事案の審査を行わせようとするものである。

(2) 第6条第3項の「警察本部長の命ずる課長」は、必要に応じてその都度命ずることとする。

(3) 第6条第4項の「あらかじめ」とは、「第8条に規定する審査の下命に先立って」という趣旨であり、委員長に事故があるときには常に指名しておくものではない。

6 審査の通知(第9条関係)

(1) 委員会は、警察本部長から審査の下命があったときは、被申立者に対し、その旨を通知することとした。これは、職員が懲戒手続に付されていることを知らずにいて懲戒処分が行われるということのないようにとの配慮からであり、かつ、口頭審査を要求しようとする者にその機会を与えるためである。

なお、この通知は、文書によることなく、所属長を通じて口頭により伝達すれば足りる。

(2) 委員会に審査を下命した場合には、規律違反の態様により、被申立者に支給品、貸与品等の返納を命じ、又は在所勤務を命ずるなど所要の指示をすることがあるが、これは、警察本部長の職務上の権限として当然できることであるから、この規程には特段の規定をしなかった。

7 審査の方法(第10条関係)

(1) 委員会の審査は書面審査を原則とし、被申立者が口頭審査を要求した場合にのみ、口頭審査を開催するものとした。したがって、被申立者からの明示の意思表示がない限り、審査は書面審査で行うこととなる。

(2) 委員会の意思決定は、多数決により行われる。これは書面審査と口頭審査のいずれにも共通する事項である。

(3) 緊急を要する場合等、委員会を開催することが適当でないと認めるときは、委員長の判断により、持ち回り審査を行うことができることとした。

8 口頭審査の要求(第11条関係)

(1) 被申立者は、第9条の規定に基づく通知を受けた場合において、委員会に出席し、陳述しようとするときは、口頭審査要求書を委員長に提出することとなるが、この書面は当該通知を受けた後、直ちに所属長を経由して提出するものとする。

(2) 被申立者による弁明の機会を担保するため、被申立者が希望する場合は、弁明書の提出を行うことができることとした。

(3) 委員長は、被申立者が弁明書の提出を希望する場合は、審査の期日を被申立者に通知し、審査の期日の前日までに所属長を経由して弁明書を提出させるものとする。

9 口頭審査の開催通知等(第12条関係)

口頭審査の要求があったときは、要求のあった被申立者に対し、審査の期日及び場所を委員長から通知するが、この通知は審査期日の1週間前までに行わなければならないこととした。これは、被申立者が証人の出席を要求し、又は必要な証拠を提出することができる期日が、審査期日の3日前までとなっているので、その間に若干の期間をおく必要があるからである。

10 口頭審査手続(第13条関係)

口頭審査を開催する場合の定足数を定めたものであるが、委員長又は第6条第4項の規定により委員長の職務を代理する者は、審査に必ず出席することを要し、委員については、半数以上の者が出席しなければ審査を開催できないこととした。

11 書面審査への移行(第14条関係)

被申立者からの要求により、口頭審査が行われることとなったにもかかわらず、同人が正当な理由なく審査期日に出席しない場合には円滑な懲戒審査手続が阻害されることとなる。このような場合には、委員長の権限により、口頭審査から書面による審査に切り替えることができることとした。

12 懲戒処分(第16条関係)

(1) 警察本部長は、委員会の答申に基づいて懲戒処分を行うものであるが、必ずしもこの答申に拘束されるものではなく、地方公務員法第6条に基づく懲戒処分権者として、その懲戒処分の種別及び程度を軽減することも加重することもできる。

(2) 懲戒処分は、懲戒処分書及び処分説明書を交付して行うものとし、文書の交付をもって、その効力が生ずる。

懲戒処分は、不利益処分であるから、当然文書の交付という要式行為が必要であり、その時期は、文書(意思表示)が相手方に到達したときであるが、この到達というのは、必ずしも相手方がこれを現実に受領することを要件とせず、相手方が了知できる状態にあれば足りる。例えば、本人の不在中、家族に交付し、又は本人の面前において手交する場合には、仮に本人が受け取ることを拒否するとしても、交付があったものとして効力が発生する。

なお、被処分者の所在を知ることができない場合は、家族に交付するのみでは了知し得ないことが明白であるから、このような場合は、愛知県公報に登載することとなる。

(3) 懲戒処分を受けた者がその処分に対し不服があるときは、地方公務員法第49条の2及び第49条の3の規定により、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に所定の手続により愛知県人事委員会にその処分についての審査請求をすることができる。ただし、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときは、これをすることができない。

13 監督上の措置(第18条関係)

(1) 監督上の措置は、「本部長訓戒」、「所属長訓戒」、「本部長注意」、「所属長注意」とし、その程度はこの順序で軽くなる。

(2) 所属長による監督上の措置は、警察本部長の命によって行うこととしたが、これは、所属長による所属職員に対する指揮監督権のうち、「訓戒」と「注意」が懲戒処分と連動して行われるためである。

〔平28務監発甲52号令2務監発甲110号・本記一部改正〕

愛知県警察職員懲戒等取扱規程の運用

平成13年3月28日 務監発甲第23号

(令和2年1月1日施行)

体系情報
第3編 務/第5章 察/第2節 表彰・懲戒/第2款
沿革情報
平成13年3月28日 務監発甲第23号
平成28年 務監発甲第52号
令和2年 務監発甲第110号