○愛知県警察歓楽街総合対策推進要綱の制定
平成30年7月4日
生総・総務・務警・地総・刑総・刑組・交総・備総・名企発甲第107号
健全で魅力あふれる繁華街・歓楽街の再生のため、これまで本県警察の総力を挙げて総合的な対策を推進してきたところであるが、繁華街・歓楽街の安全・安心の一層の確保に向け、迷惑行為の防止、街並みの改善、犯罪組織等の排除、犯罪インフラの解体、違法駐車対策等の諸対策を継続的に推進するため、愛知県警察歓楽街総合対策推進要綱を別記のとおり制定し、実施することとしたので、その効果的な運用に努められたい。
別記
愛知県警察歓楽街総合対策推進要綱
第1 基本方針
国内外の来訪者が安全で安心して訪れることができる、健全で魅力あふれる繁華街・歓楽街(以下「歓楽街」という。)を目指し、迷惑行為の防止、街並みの改善、犯罪組織(暴力団、匿名・流動型犯罪グループ等をいう。以下同じ。)の排除、犯罪インフラの解体、違法駐車対策等これまでの諸対策の成果及び課題を踏まえた総合対策(以下「歓楽街総合対策」という。)を一層推進するものとする。
第2 最重点地区等の指定
歓楽街総合対策を重点的に推進する地域を次のとおり指定する。
(1) 最重点地区、重点強化地区及び重点地区 別表第1のとおり
(2) 推進地区 (1)以外の地域で、警察署長が管内の実態に応じて指定する地区
第3 重点推進事項
歓楽街総合対策に当たっては、最重点地区及び重点強化地区にあっては次に掲げる全ての事項を、重点地区及び推進地区にあっては地区の実態、住民、事業者その他の関係者の要望等を踏まえて、次に掲げる事項から当該地区を管轄する警察署長が選定したものを重点的に推進するものとする。
(1) 歓楽街における犯罪組織の実態解明及び取締りの徹底
ア 犯罪組織に関する情報、犯罪収益の流れに関する情報等の積極的な収集を行い、各部門が連携し歓楽街における犯罪組織の実態解明を強力に推進すること。
イ 実態解明の結果を踏まえ、各部門が連携し、違法風俗営業等風俗関係事犯、薬物の密売、みかじめ料の徴収、恐喝等犯罪組織による資金獲得犯罪、不法就労、偽装結婚等の偽装滞在事犯、人身取引事犯及び少年の健全育成を阻害する事犯を取り締まるとともに、犯罪収益の確実な剝奪等犯罪組織の壊滅及び弱体化に向けた風俗環境の浄化に資する取締りを強力に推進すること。
ウ 風俗環境の変化を踏まえ、ホストクラブ等の売掛金等に起因した売春事犯、性風俗店へのあっせん事犯及びいわゆる推し活に起因した児童の性被害等の原因となる事犯の取締りを徹底すること。
(2) 事業者等と連携した犯罪組織、違法風俗店等の排除及び犯罪インフラの解体等
事業者、地域住民、自治体等(以下「事業者等」という。)と連携し、雑居ビル、広告宣伝媒体等から犯罪組織を排除する取組のほか、取締りにより生じた空きビル、空き店舗等に違法な風俗店等が入居することを阻止するための取組を推進する等歓楽街からの犯罪組織の排除及び犯罪インフラの解体等を推進すること。
(3) 事業者等との協働による迷惑行為の防止及び街並みの改善
ア 事業者等に対して、犯罪の発生状況、個別の対策の進捗状況、対策推進上の課題等を説明することにより、問題意識を共有すること。
イ 事業者等の協力を得ながら、客引き、スカウト行為、非行の深度が進んだ少年及び不良行為者のい集、違法広告物の設置、違法駐車等迷惑行為の取締りその他排除活動を積極的に行うこと。
ウ 事業者等と協働して、街の景観を害する要因を排除し、街並みの改善を図ること。
エ 自治体が行う新たなまちづくり事業の把握に努め、その計画段階から積極的に関与することにより、全てのまちづくり事業が安全と安心の確保に配意されたものとなるようにすること。
第4 推進体制
1 愛知県警察歓楽街総合対策本部
(1) 設置
警察本部に愛知県警察歓楽街総合対策本部(以下「総合対策本部」という。)を置く。
(2) 任務
総合対策本部は、歓楽街総合対策に関する各種施策の企画立案、関係部門間の調整等、本県警察の総力を挙げた活動の円滑な推進を図ることを任務とする。
(3) 構成等
ア 総合対策本部の構成は、本部長、統括副本部長、副本部長、幕僚及び本部員とし、それぞれ別表第2に定める者をもって充てる。
イ 本部長は、総合対策本部の事務を統括する。
ウ 統括副本部長は、本部長の指揮を受け、所掌事務について本部長を補佐するほか、本部員の推進する事務を集約し、全般的な調整を行う。
エ 副本部長及び幕僚は、各所掌事務について本部長を補佐し、総合対策本部の事務に関し必要な調整を行う。
オ 本部員は、統括副本部長、副本部長及び幕僚の指揮を受け、各所属における所掌事務の推進に当たる。
(4) 運営
総合対策本部は、総合対策本部会議及び総合対策本部調整会議により運営する。
(ア) 総合対策本部会議
a 任務
総合対策本部会議は、歓楽街総合対策に関する大綱方針等を決定し、その総合的な調整を図ることを任務とする。
b 構成
総合対策本部会議は、総合対策本部の本部長、統括副本部長、副本部長、幕僚及び本部員のうち本部長が指定する者をもって構成する。
c 運営
(a) 総合対策本部会議は、必要の都度、本部長が招集し、議事を主宰する。
(b) 本部長に事故があるときは、統括副本部長又はあらかじめ本部長が指定する副本部長がその職務を代行する。
(c) 本部長は、必要があると認めるときは、総合対策本部会議の構成員以外の者に対し、総合対策本部会議への出席を求めることができる。
(イ) 総合対策本部調整会議
a 任務
総合対策本部調整会議は、歓楽街総合対策の具体的な対策並びに部門間の連携及び調整に関する事項について協議し、及び検討することを任務とする。
b 構成
総合対策本部調整会議は、総合対策本部の統括副本部長及び本部員のうち統括副本部長が指定する者をもって構成する。
c 運営
(ア)のcは、総合対策本部調整会議の運営について準用する。この場合において「本部長」とあるのは「統括副本部長」と、「統括副本部長又はあらかじめ本部長」とあるのは「当該事項を所掌事務とする副本部長又はあらかじめ統括副本部長」と、「総合対策本部会議」とあるのは「総合対策本部調整会議」と読み替える。
(ウ) 総合対策本部の庶務は、生活安全総務課において行う。
2 総合対策本部事務局
(1) 設置
総合対策本部の事務を効率的に推進するため、総合対策本部の下に総合対策本部事務局(以下「事務局」という。)を置く。
(2) 任務
事務局は、総合対策本部を補佐し、歓楽街総合対策に係る具体的な事項について所属間の情報交換及び調整を行い、その結果を総合対策本部調整会議に報告することを任務とする。
(3) 構成
事務局は、事務局長及び事務局員をもって構成し、それぞれ別表第3に定める者をもって充てる。
(4) 運営
ア 統括副本部長は、部門間の連携を図るため、必要に応じて事務局長に、事務局会議を開催させる。
イ 事務局長は、事務局会議を主宰し、歓楽街総合対策に係る情報交換及び調整を行う。
ウ 事務局長は、必要があると認めるときは、事務局員以外の者に対し、事務局会議への出席を求めることができる。
3 警察署歓楽街対策推進本部
(1) 設置
最重点地区、重点強化地区及び重点地区(以下「最重点地区等」という。)を管轄する警察署に、警察署歓楽街対策推進本部(以下「警察署推進本部」という。)を置く。
なお、推進地区を管轄する警察署長は、当該推進地区の情勢を勘案し、署情に応じて警察署推進本部を置くことができるものとする。
(2) 任務
警察署推進本部は、総合対策本部との有機的な連携を図り、最重点地区等における効果的かつ効率的な対策の推進を図ることを任務とする。
(3) 構成等
警察署推進本部の組織、構成、任務等は、総合対策本部に準じて警察署長が定める。
第5 具体的推進要領
歓楽街総合対策の具体的な推進要領は、推進する対策の事務を所掌する部長が別に定める。
第6 推進上の留意事項
1 計画の策定
最重点地区等及び推進地区を管轄する警察署長(以下「管轄警察署長」という。)は、国内外の来訪者が安全で安心して訪れることができる健全で魅力あふれる歓楽街とするための諸対策の推進状況を踏まえ、その成果及び課題を検討した上で、第5の具体的推進要領に基づき、次の事項に配意した歓楽街総合対策推進計画(以下「計画」という。)を策定し、当該計画に基づく施策の実現に向けた取組を推進すること。また、計画の推進状況を定期的に把握し、必要に応じて見直しを図ること。
ア 実態把握の徹底
歓楽街及びその周辺地域における不法事犯の取締りと官民連携による諸対策が連動して効果的に推進されるよう、風俗営業者及び犯罪組織の実態解明、犯罪の発生状況等の分析等を徹底し、顕在化している違法行為のほか、潜在的な犯罪実態の把握に努めること。
イ 関係部門の連携
歓楽街の実態に即した重点的な対策を講ずることができるよう、関係部門が連携して取り組むこと。
ウ 住民の意見及び要望の反映
計画は、自治体、地域の事業者、警察等の関係者により設置された環境浄化又はまちづくりに関する協議会等(以下「協議会等」という。)を通じて把握した、住民、事業者等の関係者の意見及び要望を踏まえたものとすること。
エ 各種取組との連動
犯罪抑止対策、犯罪インフラ対策その他の対策における各種取組と連動したものとすること。
2 官民協働による推進体制
管轄警察署長は、1で策定した計画が官民協働で推進されるよう、次の事項に配意すること。
ア 官民協働体制の確立
(ア) 協議会等において警察としての視点を生かした積極的な働き掛けを行うほか、警察署幹部自らが取組の重要性を自治体の長等に直接訴えかけるなど、健全で魅力あふれるまちづくりに向けた官民協働体制を強化すること。
(イ) 協議会等を設置していない地区については、官民協働による体制づくりに配意すること。
イ 関係行政機関との連携
出入国在留管理庁、消防、自治体等と連携し、合同の取締り及び立入調査を行うなど、積極的に協力すること。
ウ 防犯ボランティア団体等との連携
防犯ボランティア団体、商店街振興組合、事業者等と連携し、合同パトロール、街の環境浄化、暴力団排除活動等の取組を拡大させること。
3 歓楽街に関する情報の集約、共有及び分析
管轄警察署長及び警察本部の業務主管課長(以下「管轄警察署長等」という。)は、関係行政機関等との連携により、必要な情報を集約し、及び共有して風俗営業者及び犯罪組織の実態、相互の関連性等を詳細に分析すること。
4 広報啓発活動の推進
管轄警察署長等は、活動の推進に当たっては、活動の効果を高めるとともに、県民の目に見える活動とするため、あらゆる媒体、機会等を通じて広報啓発活動を推進すること。
5 安全なまちづくり条例と連動した活動の推進
管轄警察署長等は、各種対策の推進に当たっては、愛知県安全なまちづくり条例(平成16年愛知県条例第4号)、市町村が策定する安全なまちづくりに関する条例等に基づく諸施策と連動した活動の推進に配意すること。
第7 報告
管轄警察署長は、推進地区の指定又は計画の策定若しくは見直しを行ったときは、その都度、警察本部長(生活安全総務課長経由)に報告すること。
〔平31備外発甲44号・本別記一部改正〕
別表第1
〔平31生総発甲7号・本表一部改正〕
最重点地区、重点強化地区及び重点地区
区分 | 地区の名称 | 区域 |
最重点地区 | 栄地区 | 名古屋市中区の区域のうち、錦三丁目、栄三丁目1番から15番まで及び栄四丁目の区域 |
重点強化地区 | 名古屋駅地区 | 名古屋市中村区の区域のうち、椿町、名駅一丁目、名駅三丁目、名駅四丁目及び名駅南一丁目の区域 |
松葉地区 | 豊橋市の区域のうち、松葉町一丁目、松葉町二丁目及び広小路一丁目の区域 | |
重点地区 | 今池地区 | 名古屋市千種区の区域のうち、内山三丁目、今池一丁目から五丁目まで及び池下一丁目の区域 |
金山地区 | 名古屋市中区の区域のうち、金山一丁目、金山二丁目、金山四丁目及び金山町一丁目の区域並びに名古屋市熱田区の区域のうち、金山一丁目、金山町一丁目、金山町二丁目及び波寄町の区域 | |
刈谷地区 | 刈谷市の区域のうち、桜町一丁目、桜町二丁目及び相生町二丁目の区域 |
別表第2
愛知県警察歓楽街総合対策本部
本部長 | 警察本部長 |
統括副本部長 | 生活安全部長 |
副本部長 | 総務部長 警務部長 地域部長 刑事部長 交通部長 警備部長 名古屋市警察部長 財務統括官 サイバー局長 組織犯罪対策局長 |
幕僚 | 警務部警務課長 首席監察官 刑事部参事官兼生活安全部参事官 警察学校長 |
本部員 | 生活安全総務課長 総務課長 広報課長 総務部会計課長 監察官室長 少年課長 保安課長 生活経済課長 情報技術戦略課長 サイバー犯罪対策課長 地域総務課長 刑事総務課長 情報分析捜査課長 組織犯罪対策課長 捜査第四課長 薬物銃器対策課長 組織犯罪特別捜査課長 国際捜査課長 交通総務課長 交通指導課長 交通捜査課長 交通規制課長 警備総務課長 警備部警備第一課長 外事課長 企画調整課長 企画官兼警務課次長 |
別表第3
〔平31務警発甲47号令2務警発甲26号令3務警発甲62―1号・本表一部改正〕
総合対策本部事務局
事務局長 | 生活安全総務課地域安全対策室室長 |
事務局員 | 総務課企画担当課長補佐 会計課企画担当課長補佐 警務課企画第一担当課長補佐 生活安全総務課防犯対策第二担当課長補佐 保安課企画担当課長補佐 情報技術戦略課戦略企画担当課長補佐 地域総務課企画担当課長補佐 自動車警ら隊隊長補佐 刑事総務課企画担当課長補佐 組織犯罪対策課指導企画担当課長補佐 組織犯罪特別捜査課指導企画担当課長補佐 交通総務課企画担当課長補佐 交通指導課指導企画担当課長補佐 交通捜査課捜査企画担当課長補佐 交通規制課規制企画担当課長補佐 警備総務課企画担当課長補佐 警備第一課実施第一担当課長補佐 外事課事件第一担当課長補佐 企画調整課企画調整担当課長補佐 |